特典 3 知らないと人生で損をする! 給料の仕組み 1 給与はどのように計算されているのか 1 給与は お金 の源泉である お金 を増やしたいという欲求は どなたもお持ちだと思います 会社に勤められている方々の収入の源泉は 給料 であり この 給料 が すべての活動のベースになります その一方で 自分の給料がどのように計算されているのか 理解している方が少ないのが実情です 多くの方々が持つ疑問は どうして これだけしか振り込まれないのだろう? という 給料の額面額と手取り額の違いです そこで 本特典では 給与の計算内容を理解するとともに 自分の お 金 を増やすコツをお教えしましょう 2 給与明細をみてみよう まず 最初に皆さんのお手許に 先月の 給与明細 を用意してください 給与明細のフォーマットは会社によって 様々ですが基本的な構成は 勤怠 支給 控除の 3 項目からなっています 1 2010 岩谷誠治公認会計士事務所
勤怠項目 勤怠項目は その月の勤務情報 ( 欠勤日数 残業時間等 ) を記載する ところで 記載の単位は日数や時間になります 支給項目 支給される給与の内訳です 給与の内訳は基本給と諸手当に分類され ます 諸手当には 固定的な諸手当と変動的な諸手当があります 控除項目 控除項目は 支給金額から差し引かれる金額であり 税金 ( 所得税と 住民税 ) と社会保険 ( 健康保険と厚生年金 ) が その典型です 2 2010 岩谷誠治公認会計士事務所
その他に 財形貯蓄や労働組合の会費などが含まれます 支給項目の総額から控除項目の合計額を差引いた金額が 最終の支給 額 いわゆる 手取り額 でなります 2 支給項目を増やすには まずは 支給項目を増やすために どのような方法があるか考えてみ ましょう 1 残業代 ~ 管理職にも残業代はある ~ 支給項目が増えれば手取り額も増えることは当然ですが 支給項目のほとんどは 皆さんのお勤めの会社の給与規定によって決まっているため 簡単に変更することはできません 一般の方々にとって 支給金額を増やす手段として最初に思いつくのは残業代でしょう 残業時間が増えれば 当然 支給金額も増えていきますが 自分の収入を増やすことを目的とするような残業は すぐに周りの人々にばれてしまいますから 職場の人間関係を維持するためにも 自分の都合で残業時間を調整することは賢明な方法ではありません 一方 既に管理職になられた方は 残業代が支給されなくなるため この項目は関係ないと思われているのではないでしょうか しかし 一 点だけ 注意していただきたいことがあります 3 2010 岩谷誠治公認会計士事務所
それは 管理職 ( 正確には労働基準法第 41 条における管理監督者 ) に残業手当を支給しなくてもよいという労働基準法上の規定は 深夜残業 ( 夜 10 時から朝 5 時まで ) については及びません つまり 深夜残業分の割増賃金については管理職であっても支給を受ける権利があるのです 2 手当制度のフル活用 各種の手当については 会社によって様々な制度があります 多くの方々は 通勤にかかった実費が支給されるため 手当という意識はないと思いますが 通勤手当も立派な手当です したがって 通勤手当の支給ルールは 会社によって異なりますので 一度 自社の規定を確認してみましょう 特に 自転車を利用した際の扱いについては様々なパターンがあります 通勤手当は 会社が負担するのだから 貰えるだけ貰った方が得とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが 所得税法上 非課税となる通勤手当の金額には上限があり 交通機関または有料道路を利用している場合には 10 万円が上限となっており 10 万円を超える金額については所得の金額に含まれる点に注意してください また 各種の資格手当を用意している会社も多いです この資格手当は 資格を取得した際に一時金として支払われるパターンと 資格所持期間に渡って支給されるパターンの 2 種類がありますが 特に後者の場合には かなりの収入総額になりますので 狙いを定めてチャレンジしてみるのも有効でしょう 4 2010 岩谷誠治公認会計士事務所
3 控除項目を減らすには 控除項目は大きく 税金 と 社会保険 の 2 種類に分けられます 1 所得税 ~ 103 万円の壁 を理解しよう ~ 給与から控除される税金には 所得税 と 住民税 の2 種類があります 所得税 については 毎月の支払額をもとに源泉徴収 ( いわゆる天引き ) され 年末調整によって 1 年間の税金の金額が精算されます 1 年間に源泉した所得税額と 確定した所得税額との差額を12 月の給与支給時に調整します 年末調整 12 月 1/1 12/31 12/31 1 月の 2 月の 3 月の 4 月の 5 月の 6 月の 7 月の 8 月の 9 月の 10 月の 11 月の 12 月の源泉額源泉額源泉額源泉額源泉額源泉額源泉額源泉額源泉額源泉額源泉額源泉額 当年度の確定所得税額 還付額 源泉した所得税額が多い場合には差額を戻します 一方 住民税は昨年度の所得金額に対する税金を 1 年遅れで分割して源 泉していきます 源泉される時期が 所得税と住民税では異なりますが いずれにしろ ポイントになるのは 税額の基礎となる所得金額の計算方法を理解する 5 2010 岩谷誠治公認会計士事務所
ことです 一般的な給与にかかる所得金額は 以下の計算式で算出されます 給与所得 = 給与収入 給与所得控除 - 所得控除 納税額を減らすために 給与収入を減らしてしまっては本末転倒ですから 給与収入はできるだけ増やさざるを得ません 次の 給与所得控除 は 最低金額 65 万円から始まって 以降は給与収入額に一定の割合を乗じて計算されますので調整の余地がありません そこで 手取りの金額を増やしながら納税額を減らすためには 所得控除 の金額をどれだけ増やせるかがポイントになります 所得控除の主なものは 以下の通りです 社会保険料控除 ( 厚生年金や健康保険料 ) 生命保険料控除 ( 個人で加入している生命保険料の一部 ) 配偶者控除 ( 通常の専業主婦の場合 38 万円 ) 扶養控除 ( 子供ひとりにつき38 万円 16 歳以上 23 歳未満の場合は63 万円 ) 基礎控除 ( 38 万円がすべての人に適用される ) ここで よく問題になるのが 配偶者控除 と 扶養控除 です 配偶者控除と扶養控除の対象となるためには その年の所得金額が 38 万円以下 という条件があります 先ほどの給与所得の計算式にこの金額を入れてみましょう 6 2010 岩谷誠治公認会計士事務所
給与所得 = 給与収入 給与所得控除 - 所得控除 38 万円 =? - ( 最低額 65 万円 ) - ( 一律 38 万円 ) この計算式から給与収入を逆算すると 103 万円になります つまり 奥さんやお子さんが アルバイトなどで年間 1 03 万円以上の収入を得ると 配偶者控除や扶養控除の対象から外れるため お父さんの手取り額が減少するのです ( ただし アルバイト収入の増加分 家族全体としての収入額は増えます ) これを 所得税の 1 0 3 万円の壁 と言います 実際の手取り減少額は 所得控除の金額の全額ではなく 所得控除の 金額に税率 ( 所得に応じて累進的に変化します ) を乗じたものになりま す 2 社会保険 ~ 4~6 月に働くな! ~ 一般に 社会保険と呼ばれるものの中心は健康保険と厚生年金になり ます 毎月の社会保険料は その月に実際に支払う報酬を基準に計算するのではなく 標準報酬月額 を基準に計算されます この 標準報酬月額 は 1 年の平均額ではなく その年の4, 5,6 月に実際に支払われた報酬額の平均値が用いられます この時の報酬額は 基本給部分だけではなく その月に実際に支給された金額がベースになるため 4, 5, 6 月に残業が多いと標準報酬月額が上がることによって 年間の社会保険負担額が増加してしまうのです 7 2010 岩谷誠治公認会計士事務所
3 社会保険 ~ 130 万円の壁 とは ~ 先ほどご説明した 103 万円の壁 とは 被扶養者 ( 配偶者やご子息 ) が所得税法における扶養の定義から外れてしまうことを意味していました 一方 社会保険には 130 万円の壁 と呼ばれるものがあります これは 被扶養者の収入が 130 万円を超えると 社会保険における扶養者の対象から外れてしまうことを指しています 具体的にご説明しましょう まず あなたの配偶者が あなたの扶養者の場合には 配偶者分の健康保険料は あなたの保険料で賄われますので特段の負担はありません また 国民年金についても配偶者分の負担はありません ( これを 国民年金の第 3 号被保険者といいます ) しかし 配偶者の収入が年 130 万円を超え あなたの扶養者から外れた場合 配偶者自身が別途 国民健康保険と国民年金に加入して 自ら保険料を負担しなければなりません ( 国民年金は年額約 18 万円 国民健康保険の保険料は お住まいの市町村及び所得によって大きく異なります ) また 会社の給与規定で定められている扶養手当は 通常 社会保 険の扶養者の基準に合わせているケースが多いので 社会保険の対象 から外れるとともに 手当の金額も減額されていまします 社会保険の 130 万円の壁 は 所得税の 103 万円の壁 以上に 家計を圧迫しますので これらの点を考慮に入れて アルバイト収入 の適切な量を検討する必要があるのです 8 2010 岩谷誠治公認会計士事務所
4 控除項目は減らせばいいのか 1 財形貯蓄の利用 給与の手取り額を増やすためには 支給項目を増やす 控除項目を減らすの2つの方法があると ご説明しましたが 控除項目を減らす のではなく 控除項目を増やす ことによって あなたの お金 を増やす方法があります それは 財形貯蓄 です 財形貯蓄とは 正確には勤労者財産形成貯蓄制度といい 勤労者財産 形成促進法にもとづいて 毎月の給与から天引きで貯蓄を行うものです 財形貯蓄には 3 つの種類があります 1 一般財形貯蓄 資金の使途に制限がない 2 財形年金貯蓄 住宅取得を目的とする貯蓄 3 財形住宅貯蓄 老後の資金確保を目的とする貯蓄 お金 を貯めるコツとして 財布を 2 つに分けろ とよく言われます これは 普段使うお金と貯めるお金は分けて管理しろということです そこで 手取り金額のすべてを同じ預金口座に入金してしまうのではなく 財形貯蓄という別の財布で管理しておくのです さらに 財形貯蓄の中でも2 財形年金貯蓄と 3 財形住宅貯蓄については 元本 550 万円までは受取利息が非課税になります 通常 銀行からの受取利息については 20% 分が税金として源泉されて 9 2010 岩谷誠治公認会計士事務所
しまうのですが 上記 2 種類の財形貯蓄に関しては この20% 分の源泉が免除されるのです これは 他の預金の利回りよりも20% 有利なことが確定しているということですので 大変有利な金融商品と言えます ( ただし 財形貯蓄は 皆さんのお勤めの会社が この制度を導入していないと加入できないので ご注意ください ) これで 給与の仕組み はご理解いただけたでしょうか これからは 給与明細にも よく目を通して 無駄のないマネーライ フを送っていきましょう 10 2010 岩谷誠治公認会計士事務所