正解肢を見つける裏ワザ 年で宅建士試験の出題形式が激変! 宅建試験は 4 肢択一試験 であり 今も変わりはありません しかし 以前のように 正しいもの ( または誤り ) を選びなさい という問題だけではなく 下記のような 組合せ問題 や 個数問題 などの問題が出題されるようになり その数は多い年では全体の約 2% にもなっています また 権利関係分野では 判例読解問題も毎年 問出題されることが定着しています まず最初に どのように変わったかを確認しておきましょう
権利関係 法令上の制限 宅建業法 出題年度 条文規定 判例読解 組合せ 個数問題 組合せ 個数問題 H 7 年 H 8 年 2 H 9 年 H 2 年 H 2 年 2 H 22 年 2 H 23 年 2 H 24 年 2 4 H 25 年 3 3 H 26 年 6 H 27 年 8 H 28 年 2 5 2
3
4 肢択一試験はこのように解け! 試験には 試験 択一試験 論述試験など様々な形式があります 試験に合格するためには 学習を始める前に その試験の 特徴 を押さえることが重要です では 宅建試験ではどうでしょうか? この試験は 4 肢択一 の試験です つまり 4つの選択肢の中から つだけ選ぶ ことができれば 点数を獲得できるのです では ここでみなさんに4 肢択一試験を具体的に体験していただくために 下記の問題を解いてみてください 日本の首都は 下記のうちどれか選びなさい 大阪 2 名古屋 3 福岡 4 東京 上記の問題は宅建ではありませんが 当然 4 の東京を選ぶことができたと思います なぜ 4 を選ぶこ とができたのでしょうか? それは ~4 のすべての肢を知っていたからであり また これらのこ とは知らなければならない事項です では 下記の問題はどうでしょうか? 日本の首都は 下記のうちどれか選びなさい レイキャビク? 2 ダブリン? 3 バクー? 4 東京 これも正解は4の東京です しかし 今度は選択肢のうち おそらく~3はどこの国の首都か知らなかったのではないでしょうか? けれどもみなさんは4を選んだはずです それは日本の首都が東京であるということを知っているからです したがって 他の選択肢がわからなくても正解肢は4だと判断できるのです もし間違えた人がいるのであれば それは~3を知らなかったからではなく 4の知識がなかったからです では 下記のような問題はどうでしょう? アイスランドの首都は 下記のうちどれか選びなさい 大阪 2 名古屋 3 レイキャビク 4 東京 4
できましたか? 今度の正解は3ですね ではみなさんはなぜ3を選んだのでしょうか? おそらくレイキャビクがアイスランドの首都だということを知って答えた人は少なかったと思います もし 記述試験であれば レイキャビクを知っていなければ正解することはできません しかし 4 択 なので 大阪 名古屋 東京ではないということを知っているので3を知らなくても正解を導き出せたと思います つまり 2 4ではないなら3が正解であると確信したはずです このように4 肢択一というのは すべての知識がなければ正解を選ぶことができないというものではないのです 2 宅建試験に当てはめよう! 不動産取得税 ( 事例 ) では 今度は宅建の過去に出題された問題を当てはめてみましょう 下記の問題は 2 年に 度は出題されているという不動産取得税です この問題は比較的やさしい内容ですが まだ税金の学習をしていない方もいると思いますので 今から説明することだけ覚えてください いいですか? では始めます そもそも税金の計算式は 課税標準 税率 = 税額となります 例えば 所得税であれば所得に対して税率をかけて計算します 不動産取得税も同様に不動産の価額に税率をかけて計算します しかし 不動産取得税では 宅地 の場合 課税標準を2 分の にするという特例があります では この知識をもとに 下記の平成 8 年度の問題を解いてください ヒント 宅地の課税標準は 2 分の である ( 一部改正平成 8 年度問 28) 不動産取得税に関する次の記述のうち 正しいものはどれか 住宅以外の家屋を取得した場合 不動産取得税の標準税率は 分の3である 2 宅地を取得した場合 当該取得に係る不動産取得税の課税標準は 当該宅地の価格の2 分のの額とされる 3 不動産取得税は 不動産の取得に対して 当該不動産の所在する都道府県が課する税であるが その徴収は特別徴収の方法がとられている 4 床面積が25 m2である新築住宅に係る不動産取得税の課税標準の算定については 当該新築住宅の価格から,2 万円が控除される 解けましたか? 正解は 宅地を取得した場合 当該取得に係る不動産取得税の課税標準は 当該宅地の価格の2 分のの額とされる という 2が正解となります もし間違えたのなら それは 3 4の選択肢がわからないからではなく 2が正しいということがわからなかったからです つまり 重要な内容を押さえておけば わからない選択肢があっても答えは導き出せるのです なお この2の内容は平成 8 年度 年度 2 年度 6 年度 8 年度 24 年度にも出題されている重要なポイントです 5
特定住宅瑕疵担保履行法 ( 事例 2) 今度は平成 22 年度から毎年 問ずつ出題されている 特定住宅瑕疵担保履行法 を例として 解いてみましょう この法律は 簡単に言えば宅建業者が 新築住宅 を販売して その住宅に瑕疵があった場合 その宅建業者がたとえ倒産しても 消費者 ( 買主 ) を救済できるようにするため 販売する新築住宅数に応じて 宅建業者に一定額を 供託 させたり 保険 に加入させることにより 資力確保 を義務づけさせるというものです ここで先ほどと同じようにつだけ覚えてください この法律では 新築住宅を販売する場合 契約が成立するまで に 書面 で 供託所の説明 を新築住宅の買主に説明しなければならないと定めています この知識をもとに 下記の平成 23 年度の正解肢を選んでください ヒント供託所の説明は 契約成立まで に 書面 を交付して説明しなければならない ( 平成 23 年度問 45) 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険の締結 ( 以下この問において 資力確保措置 という ) に関する次の記述のうち 正しいものはどれか 宅地建物取引業者は 自ら売主として建設業者である買主との間で新築住宅の売買契約を締結し 当該住宅を引き渡す場合 資力確保措置を講じる必要はない 2 自ら売主として新築住宅を宅地建物取引業者でない買主に引き渡した宅地建物取引業者は 基準日に係る資力確保措置の状況の届出をしなければ 当該基準日以後 新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結することができない 3 自ら売主として新築住宅を販売する宅地建物取引業者は 住宅販売瑕疵担保保証金の供託をする場合 当該住宅の売買契約を締結するまでに 当該住宅の買主に対し 供託所の所在地等について記載した書面を交付して説明しなければならない 4 住宅販売瑕疵担保責任保険契約は 新築住宅の買主が保険料を支払うことを約し 住宅瑕疵担保責任保険法人と締結する保険契約であり 当該住宅の引渡しを受けた時から 年間 当該住宅の瑕疵によって生じた損害について保険金が支払われる この問題の正解は 3の 自ら売主として新築住宅を販売する宅地建物取引業者は 住宅販売瑕疵担保保証金の供託をする場合 当該住宅の売買契約を締結するまでに 当該住宅の買主に対し 供託所の所在地等について記載した書面を交付して説明しなければならない ですね このように択一試験というのは すべてがわからなくても正解肢を選ぶことができるのです 近年 宅建試験では 正しいものはいくつあるか? という問い方をする問題があります この場合はすべての選択肢がわからなければ正解できませんが このような問題は全体の 割程度であり また 内容はすべてわかるような基本問題が大半です 6
3 組合せ問題に当てはめよう! 都市計画法 ( 事例 ) 各種の試験において 組合せ問題 が出題されるケースがよく見受けられます 宅建試験においても近年よく出題されています しかし これらの問題もやはり選択できる基本的知識さえ身に付けておけば正解肢を選ぶことはできます 択一試験であることには変わりありません 都市計画法において 毎年出題されている 開発行為 についての問題を例にとってみましょう そもそも開発行為とは 主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更 をいいます 例えば 山を削って (= 土地の形質の変更 ) 建物を建築するような行為です このような開発行為をするに当たっては 知事の許可を必要とします これが開発行為の許可制度です ここでもつみなさんに覚えてもらうことを説明します それは この開発行為は 市街化区域内 では,m2 から必要になるということです では 平成 9 年度の下記の問題を解いてみてください ヒント開発行為をする場合 市街化区域内では,m2から知事の許可が必要である ( 平成 9 年度問 2) 土地の区画形質の変更に関する次の記述のうち 都市計画法による開発許可を受ける必要のないものの組み合せとして 正しいものはどれか ア. 市街化調整区域内における庭球場の建設の用に供する目的で行う5,m2の土地の区画形質の変更イ. 市街化調整区域内における図書館の建築の用に供する目的で行う3,m2の土地の区画形質の変更ウ. 市街化区域内における農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う,5m2の土地の区画形質の変更 ア イ 2 ア ウ 3 イ ウ 4 ア イ ウ 正解はになりましたか? つまり ウは 市街化区域内における農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う,5m2の土地の区画形質の変更 ですから開発行為の許可が必要ですね そうすると この問題は開発行為の 許可が必要ない ものの組合せを選ぶものなので ウが入っている選択肢は誤りになります したがって 正解は下記のようにになります もし間違ったのであれば それはアやイがわからなかったから正解肢を選べなかったのではなく ウの開発行為は 市街化区域内 では,m2 から必要になるという基本中の基本を理解していなかったからです しかし 受験生の中には ウくらいは知っていたが アやイがわからなかったから間違えた ということを平気で言う人もいます 残念ながら このような人は合格することは難しいと思います ア イ 2 ア ウ 3 イ ウ 4 ア イ ウ 7
都市計画法 ( 事例 2) では ここでもう一問開発行為についての問題を解いてみてください ここでもヒントをつ差し上げます 土地の区画形質を変更して建築物等を建築する場合 この建築物が 図書館 であれば どの地域でも どんなに大きくても開発行為の許可は不要となります ヒント図書館を建築するための開発行為は許可が不要である ( 平成 24 年度問 7) 次の記述のうち 都市計画法による許可を受ける必要のある開発行為の組合せとして 正しいものはどれか ただし 許可を要する開発行為の面積については 条例による定めはないものとする ア. 市街化調整区域において 図書館法に規定する図書館の建築の用に供する目的で行われる3,m2の開発行為イ. 準都市計画区域において 医療法に規定する病院の建築の用に供する目的で行われる4,m2の開発行為ウ. 市街化区域内において 農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行われる,5m2の開発行為 ア イ 2 ア ウ 3 イ ウ 4 ア イ ウ 今度は開発許可が 必要なもの の組合せはどれか? という問題です そこで アに着目してください 市街化調整区域において 図書館法に規定する図書館の建築の用に供する目的で行われる 3,m2の開発行為 これは開発行為の許可は不要ですね ということは アが入っている選択肢は誤りということになります したがって 正解は下記のように3となります ア イ 2 ア ウ 3 イ ウ 4 ア イ ウ このように 選択肢を選ぶために すべての知識が必要というわけではありません また 合格率が5% 以上あるというような検定試験とは異なり テキストのどこかに記載されている中からすべての選択肢が構成されているとも限りません したがって 正解肢を選択できるようになるためには 何を理解し 覚える必要があるのかを見つけることができれば 合格することができます そのために過去問題を分析する必要があります 8
4 個数問題は宅建業法! 近年の宅建試験では 必ず 個数問題 が出題されています ( 下記参照 ) その問題数も年々増加し ここ 5 年の間では 5 問以上 ( 多い年は 9 問 ) が定着してきています この個数問題を解くにあたっては 4 つの選択肢をすべて正解しなければなりません しかし ここで注目すべき点は この出題のほとんどが 宅建業法 であるということです この宅建業法は民法 (44 条 ) とは異なり 86 条しかありません しかも 2 問出題されるのですから 2 4=8の選択肢があるということになります したがって 宅建業法の学習方法を誤らなければ 問題にすることはありません 宅地建物取引業者 A が B から自己所有の宅地の売却の媒介を依頼された場合における当該媒介に 係る契約に関する次の記述のうち 宅地建物取引業法の規定によれば 正しいものはいくつあるか ア.A が B との間に一般媒介契約 ( 専任媒介契約でない媒介契約 ) を締結したときは 当該宅地に関する所定の事項を必ずしも指定流通機構へ登録しなくてもよいため 当該媒介契約の内容を記載した書面に 指定流通機構への登録に関する事項を記載する必要はない イ.A が B との間に専任媒介契約を締結し 当該宅地に関する所定の事項を指定流通機構に登録したときは A は 遅滞なく その旨を記載した書面を作成して B に交付しなければならない ウ.A が B との間に専任媒介契約を締結し 売買契約を成立させたときは A は 遅滞なく 当該宅地の所在 取引価格 売買契約の成立した年月日を指定流通機構に通知しなければならない. 一つ 2. 二つ 3. 三つ 4. なし ちなみに 上記の選択肢は 下記のようにすべて誤りなので 3ということになります ア誤り 一般媒介契約においては 指定流通機構への登録は義務化されていません よって 依頼者に交付する書面には 登録するかしないか等の登録に関する事項を記載しなければなりません イ誤り 専任媒介契約において 宅建業者が指定流通機構への登録をした場合 指定流通機構は 当該登録を証する書面をその宅建業者に交付しなければならず その宅建業者は 専任媒介契約の依頼者にその書面を引き渡さなければなりません ウ誤り 専任媒介契約において 指定流通機構への登録をした宅地 建物について 売買契約が成立したときは 遅滞なく 登録番号 取引価格 売買契約成立の年月日を指定流通機構に通知しなければなりません 9
5 判例読解問題はこう解く! 権利関係の分野では平成 2 年から毎年出題されているのが 下記のような判例読解の問題です この形式の問題は 一見難しそうに見えますが 判決文に答えが記載されているので 判決文を読めれば正解肢を選ぶことができます また 判決文が読めなくても その判決に関連する内容の基本的知識さえあれば 正解肢を選ぶことができる年もあります では 実際の問題を見てみましょう 例題 権利関係 ( 判例読解問題 ) 民法 ( 弁済関係 ) 平成 2 年 -8 出題 平成 2 年出題弁済に関する次の から 4 までの記述のうち 判決文及び民法の規定によれば 誤っているものはどれか ( 判決文 ) 借地上の建物の賃借人はその敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有すると解するのが相当である 思うに 建物賃借人と土地賃貸人との間には直接の契約関係はないが 土地賃借権が消滅するときは 建物賃借人は土地賃貸人に対して 賃借建物から退去して土地を明け渡すべき義務を負う法律関係にあり 建物賃借人は 敷地の地代を弁済し 敷地の賃借権が消滅することを防止することに法律上の利益を有するものと解されるからである. 借地人が地代の支払を怠っている場合 借地上の建物の賃借人は 借地人の意思に反しても 地代を弁済することができる 2. 借地人が地代の支払を怠っている場合 借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を支払おうとしても 土地賃貸人がこれを受け取らないときは 当該賃借人は地代を供託することができる 3. 借地人が地代の支払を怠っている場合 借地上の建物の賃借人は 土地賃貸人の意思に反しても 地代について金銭以外のもので代物弁済することができる 4. 借地人が地代の支払を怠っている場合 借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を弁済すれば 土地賃貸人は借地人の地代の不払を理由として借地契約を解除することはできない
( 正解肢の選び方 ) ( 判決文を読まなくても正解肢を選べるパターン ) この問題では 代物弁済は 債権者が承諾 がなければすることができない という 民法の基礎知識 があれば 判決文を読まなくても選択肢の内容だけで 3 が正解であることが解ります ( 解説 ) 判決文の要旨 本問の判例は 弁済 に関するものである 判決文 では 借地上の建物の賃借人は その敷地の弁済に関して利害関係を有する としていることが読み取れます 2 民法の基礎知識 法律の利害関係を有する者は 債務者の意思に反して弁済することができます また 有効な弁済をすれば 弁済を受けた債権者である土地賃貸人は 債務不履行を理由に契約を解除することはできないのは当然です したがって と 4 は 正しい ことが解ります 3 正解肢の選び方 残る選択肢 2 及び 3 は 下記のいずれかの基礎知識があれば 答えを選ぶことができます 債権者が弁済の受領を拒んだときは 供託することができるので 債権者である賃貸人が地代の受領を拒めば 地代を供託することができます したがって 2 は 正しい 2 代物弁済をする場合には 債権者の 承諾 が必要となるので 土地賃貸人の承諾がなければ代 物弁済をすることができない したがって 3 は誤り 正解 3
例題 2 権利関係 ( 判例読解問題 ) 民法 ( 抵当権 法定地上権関係 ) 平成 2 年 -7 出題 法定地上権に関する次の から 4 までの記述のうち 民法の規定 判例及び判決文によれば 誤っているものはどれか ( 判決文 ) 土地について 番抵当権が設定された当時 土地と地上建物の所有者が異なり 法定地上権成立の要件が充足されていなかった場合には 土地と地上建物を同一人が所有するに至った後に後順位抵当権が設定されたとしても その後に抵当権が実行され 土地が競落されたことにより 番抵当権が消滅するときには 地上建物のための法定地上権は成立しないものと解するのが相当である. 土地及びその地上建物の所有者が同一である状態で 土地に 番抵当権が設定され その実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは 地上建物について法定地上権が成立する 2. 更地である土地の抵当権者が抵当権設定後に地上建物が建築されることを承認した場合であっても 土地の抵当権設定時に土地と所有者を同じくする地上建物が存在していない以上 地上建物について法定地上権は成立しない 3. 土地に 番抵当権が設定された当時 土地と地上建物の所有者が異なっていたとしても 2 番抵当権設定時に土地と地上建物の所有者が同一人となれば 土地の抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは 地上建物について法定地上権が成立する 4. 土地の所有者が 当該土地の借地人から抵当権が設定されていない地上建物を購入した後 建物の所有権移転登記をする前に土地に抵当権を設定した場合 当該抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは 地上建物について法定地上権が成立する 2
( 判決文を読めば 正解肢を選べるパターン!) 本問では 判決文を素直に読めば 正解は 3 であることが解ります 番抵当権設定当時 同 一所有者でないので 法定地上権 は成立しない! ( 解説 ) 判決文の要旨 本問の判例は 判決文の読み方 に関するものである 判決文 では 番抵当権が設定された当時 土地と地上建物の所有者が異なっていた場合 その後に同一所有者となっても 法定地上権は成立しない ことが読み取れます 2 民法の基礎知識 下記の 3 つ の要件を満たせば 法定地上権 が成立する 抵当権設定当時 土地上に建物が存在していたこと 2 抵当権設定当時 土地と建物が同一の所有者に帰属していたこと 3 抵当権の実行の結果 土地と建物が別々の所有者に帰属したこと 3 正解肢の選び方 本判決の通り 番抵当権設定当時 土地と建物の所有者が 同一 であれば 法定地上権は成立し 同一でなければ 成立しません なお 4 は少し応用となりますが 土地の所有者が抵当権を設定する前に建物を購入しているので 抵当権設定当時は 同一 の所有者になっていたことが解ります したがって 及び 4 は正しく 3 は誤りとなります また 2 は抵当権設定当時に建物が存在しないので法定地上権は成立しません したがって 2 は正しい 正解 3 3
宅建業法の法改正 ( ここが狙われる!) 重要な法改正 は出題される可能性は高く 受験者は必ず押さえておく必要があります 本年 度は特に 宅建業法 に注意する必要があります ここでは本年度出題される可能性が高い 下記 の 7 つ について押さえておきましょう! 営業保証金の 還付 について 宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者( 宅地建物取引業者に該当する者を除く ) は その取引により生じた債権に関し 宅地建物取引業者が供託した営業保証金について その債権の弁済を受ける権利を有する と改正されました ポイント改正前は 還付請求権者に宅建業者は除くという規定はありませんでした しかし 今回の改正により還付請求権者から宅建業者は除かれることになりました したがって 宅建業者は営業保証金から還付請求することはできません 2 弁済業務保証金の 還付 について 保証協会の社員である宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者( 社員とその者が社員となる前に宅地建物取引業に関し取引をした者を含み 宅地建物取引業者に該当する者を除く ) で その取引により生じた債権を有する者は 弁済業務保証金から還付を受けることがでる ポイント改正前は 還付請求権者に宅建業者は除くという規定はありませんでした しかし 今回の改正により営業保証金と同様に 還付請求権者から宅建業者は除かれることになりました したがって 宅建業者は弁済業務保証金から還付請求することはできません 3 保証協会に関する新設規定 保証協会については 下記のような規定が新設されました. 保証協会 は 全国の宅地建物取引業者を直接又は間接の社員とする一般社団法人に対して 宅地建物取引士等に対する研修の実施に要する費用の助成をすることができる 保証協会 の業務に 費用の助成業務 が加わりました. 宅地建物取引業者を直接又は間接の社員とする 一般社団法人 は 宅地建物取引士等がその 職務に関し必要な知識及び能力を効果的かつ効率的に習得できるよう 法令 金融その他の多 様な分野に係る体系的な研修を実施するよう努めなければならない 一般社団法人 は 取引士等の知識向上のため 研修を実施するように努めるようにす ることが規定されました 4
4 媒介契約に関する新設規定媒介契約を締結した宅地建物取引業者は 当該媒介契約の目的物である宅地又は建物の売買の申込みがあったときは 遅滞なく その旨を依頼者に 報告 しなければならない なお 上記の規定に反する特約は 無効とする 5 供託所の説明について宅建業者は 宅建業者の相手方等 ( 宅建業者を除く ) に対して 売買 交換 貸借の契約が成立するまでの間に 営業保証金を供託している主たる事務所の最寄りの供託所 等や 保証協会の社員である旨 等を説明しなければならない ポイント改正により 供託所の説明 をする相手方から 宅建業者が除かれました 6 重要事項に関する改正と新設規定について ( 改正 ) 宅地又は建物の取得者又は借主が宅建業者の場合 重要事項の説明については 説明を必要とせず 重要事項を記載した書面 35 条書面 の交付のみでたりる ポイント改正前は 重要事項の説明は相手方 ( 買主等 ) が宅建業者であっても 書面を交付して説明しなければならないと定めていました しかし 今回の改正では説明の相手方が宅建業者の場合 重要事項の 説明は不要 となりました ただし 重要事項説明書 (35 条書面 ) の 交付は必要 なので注意! ( 新設 ) 賃貸住宅の媒介時に重要事項として説明すべき 管理の委託先 について 賃貸住宅管理業者登録規程の登録を受けている賃貸住宅管理業者に管理が委託されている場合 管理者の氏名 住所に加え 登録番号も新たに説明しなければならない 2 建築基準法第 6 条の 3 第 項の特定用途誘導地区内の容積率制限及び建築面積制限に関する規定について 重要事項として説明しなければならない 7 従業者名簿について宅地建物取引業者は 国土交通省令で定めるところにより その事務所ごとに 従業者名簿を備え 従業者の氏名 第一項の証明書の番号その他国土交通省令で定める事項を記載しなければならない ポイント改正前では 従業者名簿には 氏名 住所 第一項の証明書の番号その他国土交通省令で定める事項を記載としていましたが 改正により 従業者の 住所 が記載事項から削除されました 5