目的 第 3 次産業活動指数の内訳大分類業種系列である情報通信業の季節調整済指数に特殊な動きが生じており 季節調整済指数の評価に注意を要する事態が生じている そこで 季節調整期間を長くしてモデルを再検討したり 様々な季節調整方法 (Decomp や X-13 ARIMA-SEATS) を試しつつ 公

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9 月の情報通信業の落ち込みにはご用心 第 3 次産業活動指数の情報通信業における季節調整に係る検証 ミニ経済分析 URL:http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai-result-1.html

目的 第 3 次産業活動指数の内訳大分類業種系列である情報通信業の季節調整済指数に特殊な動きが生じており 季節調整済指数の評価に注意を要する事態が生じている そこで 季節調整期間を長くしてモデルを再検討したり 様々な季節調整方法 (Decomp や X-13 ARIMA-SEATS) を試しつつ 公表系列と比較する 季節調整済指数の公表系列の前月比の動きは 内訳業種の変動では説明できない部分が大きい ( 加法不整合 ) が 季節調整方法を再検討した上で 情報通信業全体の季節調整済指数と内訳業種の季節調整済指数の動きがどれだけ整合しているかチェックする 1

情報通信業の活動指数の推移 情報通信業の活動推移をみると 2015 年 9 月以降 3 月と 9 月の落ち込みが特に目立つ傾向にある (2010 年 =) 115 第 3 次産業活動指数の情報通信業 ( 季節調整済指数 ) の推移 113 111 109 107 105 103 101 99 97 95 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 8 2

情報通信業の季節調整済指数と原指数の比較 情報通信業の原指数をみると 2015 年 9 月以降の 3,9 月の指数値のいずれにおいても 過去の 3,9 月の平均値よりも高い状況にあり 活動レベルが低下している訳ではない 季節調整に問題があり 3,9 月の値が過剰に割り引かれている可能性がある (2010 年 =) 115 季節調整済指数 105 95 160 原指数 3 月平均 140 120 9 月平均 80 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 8 3

3 9 月の情報通信業の季節調整済前月比の内訳業種別要因分解 3,9 月の情報通信業の季節調整済前月比を 内訳業種別に要因分解してみると 2016 年 9 月と 2017 年 3 月では 情報サービス業の寄与が大きい 一方 情報通信業の季節調整値は 内訳業種の季節調整値の積み上げではなく 情報通信業全体に直接季節調整を行う直接適用法にて算出されているが 3,9 月の変動は 内訳業種の変動では説明できない部分 ( 加法不整合 ) も大きい 情報通信業の季節調整済前月比の内訳業種別要因分解 前月比寄与度 (%p) 0.5 0.0-0.5-1.0-1.5 加法不整合映像 音声 文字情報制作業インターネット附随サービス業情報サービス業 -2.0 放送業 -2.5-3.0 9 3 9 3 2015 16 17 通信業 情報通信業 4

参考 情報サービス業における売上高計上タイミングの分散化 情報サービス業における売上高の計上は 3 月 9 月に集中しているが 長期的には分散化傾向にある 特に 2008 年の 3 月の売上高が年間売上高に占める割合は 18.2% だったが 09 年 10 年 11 年と低下し 以降 15% 台で推移している こうした売上高計上タイミングの分散化の動向は 季節パターンに大きな変化をもたらす一方で 季節調整を不十分なものにしている可能性がある ( 百万円 ) 800 700 600 500 400 300 200 (%) 22 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 18.6 情報サービス業の 1 事業所当たり売上高 1 事業所当たりの年間売上高に占める各月の売上高の割合 20.3 20.1 19.4 19.6 19.2 18.9 18.2 18.2 17.1 16.2 15.8 15.5 15.6 15.5 15.3 15.9 15.4 2017 年以降の割合は 2016 年の年間売上高対比 3 6 9123 6 9123 6 9123 6 9123 6 9123 6 9123 6 9123 6 9123 6 9123 6 9123 6 9123 6 9123 6 9123 6 9123 6 9123 6 9123 6 9123 68 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 資料 : 経済産業省 特定サービス産業動態統計 により作成 5

情報通信業の季節調整の課題検証 季節調整の現状 過去 8 年間のデータを用いて ARIMA 次数 異常値 曜日調整等を決定 1 年に一度だけ季節指数を作成し 向こう 1 年はその季節指数で季節調整 ( 暫定季節調整方式 ) 季節調整方法の再検討 季節調整期間を長くして ( 過去に溯り 最新値も反映させる )ARIMA の次数や異常値 曜日調整を再検討してみる 内訳業種ごとに季節調整モデルを検討 様々な季節調整方法 (Decomp X-13 ARIMA-SEATS) を試してみる 加法不整合のチェック 季節調整方法を再検討した上で どの程度の加法不整合が生じているかチェックしてみる 6

季節調整方法の再検討の詳細 季節調整期間を長くして ( 過去に溯り 最新値も反映させる )ARIMA の次数や異常値 曜日調整を再検討してみる 過去 8 年分のデータでは 異常値検出を含め 最適な季節調整モデルが選択されていない可能性がある このため 各系列について 過去遡れる最長期間のデータを用いて さらに 2017 年 8 月の最新値までのデータで季節調整モデルを再検討する なお モデルの選定は BIC 基準で行う 内訳業種ごとに季節調整モデルを検討 基準改定では 内訳業種ごとに季節調整モデルの検討を行っているが 上記のとおり最適な季節調整モデルが選択されていない可能性があるため 内訳業種ごとに季節調整モデルの検討を行う 様々な季節調整方法 (Decomp X-13 ARIMA-SEATS) を試してみる X-12-ARIMA による季節調整を前提とせず X-13 ARIMA-SEATS を用いて X11 パートを SEATS に置き換えて季節調整を行ったり 状態空間モデルを用いた季節調整ツールである Decomp を使った季節調整を試してみる 7

情報通信業の季節調整の再検討 X-12-ARIMA によるモデル再選択や Decomp X-13 ARIMA-SEATS による季節調整で 足下の 3,9 月の落ち込みはほぼ解消 また X-13 による季節調整値のばらつきがもっとも小さい このうち 落ち込みに影響を与えていると考えられる情報サービス業の季節調整結果については スライド 10 で示す (2010 年 =) 114 112 108 106 104 102 98 96 94 X-12-ARIMA モデル再選択 ( 参考 )2017 年 3 月前後の動きの比較 前月比 % X12 2017 年 2 月 -0.5-0.1 3 月 -2.2-0.7 4 月 3.6 1.2 X12 前月比の標準偏差 :1.50 X12 :1.02 (2010 年 =) 114 112 108 106 104 102 98 96 94 ( 参考 )2017 年 3 月前後の動きの比較 前月比 % Decomp 2017 年 2 月 -0.5-0.1 3 月 -2.2-0.1 4 月 3.6 0.5 Decomp Decomp 前月比の標準偏差 : 1.50 Decomp :0.55 (2010 年 =) 114 112 108 106 104 102 98 96 94 X-13 ARIMA-SEATS ( 参考 )2017 年 3 月前後の動きの比較 前月比 % X13 2017 年 2 月 -0.5 0.0 3 月 -2.2 0.0 4 月 3.6 0.4 X13 前月比の標準偏差 :1.50 X13 :0.49 期間 モデル等の詳細情報 公表系列 2009.1-2016.12 X-12 再選択 /X-13 1998.1-2017.8 Decomp ARIMA 等 (0 1 1)(0 1 1) (0 1 1)(0 1 1) Trend:2 AR:0 異常値 曜日調整 X-13 ARIMA-SEATS による季節調整は X-12-ARIMA の X11 パートを SEATS( デフォルト ) に置き換えて実施したもの 8

2017 年 9 月の落ち込みはどれくらい割り引いて見たらよいか Decomp や X-13 ARIMA-SEATS で再調整した指数値に対するの乖離率は 2015 年 9 月及び 2016 年 9 月の実績によると -1.7%~ ー 1.4% 程度 この実績に基づくと 2017 年 9 月のについても 再調整した指数値と比べて同程度の落ち込みがあるものと予想される (2010 年 =) における 2015 年 9 月と 2016 年 9 月の落ち込みの評価 112 111 109 108 107 106 再調整系列に対する公表系列の乖離率 Decomp X13 2015 年 9 月 -1.5% -1.7% 2016 年 9 月 -1.4% -1.7% 106.8 106.6 公表系列 Decomp X13 直接適用法で季節調整 108.1 107.9 106.3 105 105.0 104 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 2015 16 17 9

情報サービス業の季節調整 X-12-ARIMA によるモデルの再選択や Decomp X-13 ARIMA-SEATS による季節調整で 足下の不安定な動きはほぼ解消 また X-13 による季節調整値のばらつきがもっとも小さい (2010 年 =) 112 108 106 104 102 98 96 94 92 90 88 X-12-ARIMA モデル再選択 ( 参考 )2017 年 3 月前後の動きの比較 前月比 % X12 2017 年 2 月 -1.9 0.1 3 月 -2.3-1.3 4 月 4.7 2.3 X12 前月比の標準偏差 :2.02 X12 :2.06 (2010 年 =) 112 108 106 104 102 98 96 94 92 90 88 Decomp ( 参考 )2017 年 3 月前後の動きの比較 前月比 % Decomp 2017 年 2 月 -1.9-0.1 3 月 -2.3-0.5 4 月 4.7 1.0 Decomp 前月比の標準偏差 :2.02 Decomp :1.00 (2010 年 =) 112 108 106 104 102 98 96 94 92 90 88 X-13 ARIMA-SEATS ( 参考 )2017 年 3 月前後の動きの比較 前月比 % X13 2017 年 2 月 -1.9 0.1 3 月 -2.3 0.1 4 月 4.7 0.2 X13 前月比の標準偏差 :2.02 X13 :0.77 期間 モデル等の詳細情報 公表系列 2009.1-2016.12 X-12 再選択 /X-13 1994.1-2017.8 Decomp ARIMA 等 (2 1 0)(1 1 0) (3 1 1)(0 1 1) Trend:2 AR:0 異常値 LS2000.jul 曜日調整 TDNOLPYEAR LPYEAR TD1NOLPYEAR X-13 ARIMA-SEATS による季節調整は X-12-ARIMA の X11 パートを SEATS( デフォルト ) に置き換えて実施したもの 有 10

参考 情報サービス業内訳業種の季節調整 (X-13 ARIMA-SEATS) (2010 年 =) 受注ソフトウェア (2010 年 =) ソフトウェアプロダクツ 120 115 X13 180 160 X13 140 105 120 80 95 60 90 40 (2010 年 =) システム等管理運営受託情報処理 提供 ( その他 ) (2010 年 =) 120 X13 X13 115 105 105 95 95 90 90 85 11

情報通信業の内訳業種別寄与度分解 (X-13 ARIMA-SEATS の場合 ) 情報通信業とその内訳中分類業種それぞれに X-13 ARIMA-SEATS で季節調整を行い 加法不整合について と比較を行ったところ 加法不整合は大きく解消 公表系列 X-13 ARIMA-SEATS 加法不整合映像 音声 文字情報制作業インターネット附随サービス業情報サービス業放送業通信業 前月比寄与度 (%p) 4 3 2 1 0-1 -2-3 前月比寄与度 (%p) 4 3 2 1 0-1 -2-3 -4 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17-4 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 前月比寄与度 (%p) 4 加法不整合分のみ抜粋 前月比寄与度 (%p) 4 加法不整合分のみ抜粋 092 10 11 12 13 14 15 16 2 17 0 0-2 -2-4 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17-4 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 12

直接適用法と間接適用法の比較 スライド 12 の結果を踏まえ 情報通信業の季節調整済指数について X-13 ARIMA-SEATS による直接適用法と間接適用法 ( 内訳中分類業種の積み上げ ) の指数値を比較してみると ほぼ一致した動きとなっている (2010 年 =) X-13 ARIMA-SEATS による直接適用法と間接適用法の比較 112 108 106 104 102 98 96 ( 指数の差 = 直接適用法ー間接適用法 ) 1.5 直接適用法 間接適用法 1.0 0.5 0.0-0.5 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 8 13

まとめ 情報通信業の季節調整済指数に 原指数には見られない 2015 年 9 月以降の 3 月と 9 月の低下が見られるといった特殊な動きが生じており その変動要因として内訳中分類業種の情報サービス業の寄与が大きいことや 内訳中分類業種の動きの積み上げでは説明しきれない 加法不整合があることを指摘した 季節調整期間を長くして X-12-ARIMA のモデルを再検討したり 様々な季節調整方法 (Decomp や X-13 ARIMA-SEATS) を試しつつ と比較してみたところ 情報通信業の季節調整済指数に見られた足下の 3,9 月の落ち込みや 情報サービス業の季節調整済指数の足下の不安定な動きは解消された また Decomp や X-13 ARIMA-SEATS による季節調整値は や X-12- ARIMA で再調整した値と比べて滑らかな動きの系列となった Decomp や X-13 ARIMA-SEATS で再調整した指数値に対するの乖離率は 2015 年 9 月及び 2016 年 9 月の実績によると -1.7~ ー 1.4% 程度 この実績に基づくと 2017 年 9 月のについても 再調整した指数値と比べて同程度の落ち込みがあるものと予想される 情報通信業とその内訳中分類業種それぞれに X-13 ARIMA-SEATS で季節調整を行い 加法不整合について と比較を行ったところ 加法不整合は大きく解消した また X-13 による直接適用法と間接適用法の結果を比較してみると ほぼ一致した結果となっていることが確認できた 14

付表 X-13 ARIMA SEATS による季節調整モデル等の詳細情報 情報通信業の内訳中分類業種の再検討結果 公表系列 再検討結果 期間 ARIMA 異常値曜日調整期間 ARIMA 異常値曜日調整 通信業 2009.1-2016.12 (0 1 2)(0 1 2) AO2014.Mar 放送業 2009.1-2016.12 (0 1 1)(0 1 2) インターネット付随サービス業 2009.1-2016.12 (0 1 1) (1 1 0) LS2009.Oct LS2011.Mar,LS2011.Jul, TC2012.Oct,TC2013.Jul, AO2013.Sep,LS2014.Jan 映像 音声 文字情報制作業 2009.1-2016.12 (0 1 1)(0 1 2) TC2011.Mar,AO2011.May, TC2014.Jan 情報サービス業の内訳業種の再検討結果 TC1990.Apr,AO1990.Sep, AO1990.Dec,AO1992.Mar, AO1992.Jun,TC1993.Oct,T C1994.Feb,AO1994.Dec,T 1988.1-2017.8 C1995.Aug,AO1995.Dec,A (3 1 0)(0 1 1) O1996.Mar,AO1996.May,L S1996.Jul,AO1996.Sep,AO 1996.Dec,AO1997.Mar,AO 1997.Sep,TC1997.Dec,AO 1998.Jan TC2003.Jul,AO2003.Sep,A - 1988.1-2017.8 O2004.Jan,AO2004.Mar,T (0 1 2)(0 1 1) C2007.Aug,LS2011.Jul, TC2013.Jul,LS2014.Jan AO2008.Sep,LS2009.Jan,L 2003.1-2017.8 (0 1 1)(0 1 1) S2009.Oct,LS2013.Oct, LS2015.Jan TDNOLPYEAR LPYEAR TDNOLPYEAR LPYEAR TDNOLPYEAR LPYEAR - TDNOLPYEAR 1998.1-2017.8 (0 1 1)(0 1 1) TC2008.Feb,TC2011.Mar TDNOLPYEAR - 公表系列 再検討結果 期間 ARIMA 異常値曜日調整期間 ARIMA 異常値曜日調整 受注ソフトウェア 2009.1-2016.12 (2 1 0) (0 1 2) - - 1994.1-2017.8 (3 1 1)(0 1 1) AO1996.Apr,AO1998.May, LS2002.Apr,AO2002.May ソフトウェアプロダクツ 2009.1-2016.12 (2 1 0) (0 1 2) - TDNOLPYEAR LPYEAR システム等管理運営受託 2009.1-2016.12 (0 1 1) (0 1 2) AO2009.Feb,AO2012.Apr TDNOLPYEAR 1994.1-2017.8 (3 1 1)(0 1 1) 1994.1-2017.8 (0 1 1)(1 1 1) - - AO1996.Aug,AO1997.Aug, AO1997.Dec,AO1999.Sep, AO1999.Dec,LS2000.Sep, AO2000.Oct,AO2002.Apr 情報処理 提供 ( その他 ) 2009.1-2016.12 (2 1 0) (0 1 1) - - 1994.1-2017.8 (2 1 0)(0 1 1) AO1997.Sep,LS1998.Jan - - - 情報サービス業の内訳業種の過去系列 (1994 年 1 月 ~1997 年 12 月 ) については 経済産業省 特定サービス産業動態統計 を用いた試算値を使用 SEATS パートはデフォルトの設定で実行 15

ひ動とき言で解見説る 経ミ済ニ経指済標分な析ど 問合せ先 ぜひお手持ちの電話で QR コードを読み取って下さい!! ご不明な点はコチラにお問合せください 経済産業省大臣官房調査統計グループ経済解析室電話 :03-3501-1644( 直通 ) FAX:03-3501-7775 E-MAIL: qqcebc@meti.go.jp