学習指導第 3 章 学習指導 学校教育法には 学力の3 要素 (1 基礎的 基本的な知識 技能 2 思考力 判断力 表現力等の能力 3 主体的に学習に取り組む態度 ) が示されている これを受けて新学習指導要領では 生きる力を育むために 知識 技能の習得と思考力 判断力 表現力等の育成のため 習得 活用 探究 が重視されている 各学校においては 新学習指導要領の趣旨を十分に理解して 児童生徒に確かな学力を身に付けさせるために学習指導の工夫改善に取り組んでいくことが必要である 1 学力の 3 要素 (1) 基礎的 基本的な知識 技能の習得 確かな学力を育成するためには その基盤として 基礎的 基本的な知識 技能を徹底して習得 させることが必要である 新学習指導要領では 例えば 漢字の指導を充実させたり 四則演算に ついて学年間で反復 ( スパイラル ) させたりするなどの学習活動を各教科の内容に加え 発達の段 階に応じた知識 技能の習得を重視している 栃木県教育委員会は 本県の全ての児童生徒が各学年段階ごとに身に付けるべき基礎的 基本的 な知識 技能等を明らかにした とちぎの子どもの基礎 基本 を発行している また 問題事例 集については とちぎの子どもの基礎 基本 に示した基礎的な知識 技能を問題の形にして 学習に取り組みやすくした基礎編と 基礎的な知識 技能がどのように必要とされ 活きていくの かが分かるような活用問題をまとめた活用編が発行されている とちぎの子どもの基礎 基本 やその問題事例集の活用例については 平成 23 年 3 月 栃木県教育 委員会から出されたリーフレット とちぎの子どもの 確かな学力 の向上のために に示されているので参考にしてほしい また 毎年 1 月に実施される とちぎの子どもの基礎 基本 習得状況調査の結果を分析し 習 得状況調査の結果と授業改善に向けて を作成し配付している 本資料は 本県として継続的に改 善に取り組むべき課題の解決に向けた指導のポイントを中心に 各教科ごとにまとめたものである 児童生徒の学力向上に向け 次の重要事項を参考にし 授業改善に活用してほしい 各教科ごとに示した授業改善のポイントを基に日々の指導の在り方を見直す 児童生徒の実態を的確に把握し それに即して指導内容の重点化を図るとともに 反復練習や繰 り返し学習を授業に取り入れ 確実に習得させる指導の充実を図る 習得した基礎的 基本的な知識 技能がその後の学習に生かされるように これまでの学習がど のように行われ 次の学習にどうつながっていくのかを把握するなど 単元 ( 題材 ) や学年 学校種 間の系統性に配慮して指導する 児童生徒の習得状況の把握を意図的 計画的に実施し 十分でない場合には確実に習得させるま で補充指導等を行う - 9 -
(2) 思考力 判断力 表現力等の育成思考力 判断力 表現力等を育むためには 観察 実験 レポートの作成 論述など知識 技能の活用を図る学習活動を発達の段階に応じて充実させることが重要である そして これらの学習活動の基盤となる言語に関する能力の育成のために言語活動を充実させる必要がある 授業の中では 個人や集団で思考 判断する活動や集団での学び合いを充実させるとともに 個人や集団への教師の関わり方を工夫する必要がある 中央教育審議会答申 ( 平成 20 年 1 月 ) では 思考力 判断力 表現力等を育むために以下の1~6のような学習活動例を示している 1 2 3 4 5 6 体験から感じ取ったことを表現する事実を正確に理解し伝達する概念 法則 意図などを解釈し 説明したり活用したりする情報を分析 評価し 論述する課題について 構想を立て実践し 評価 改善する互いの考えを伝え合い 自らの考えや集団の考えを発展させる なお これらの学習活動の基盤となるものは 数式などを含む広い意味での言語である 言語活 動の充実については 本書の p.11 12 に記載しているので参照されたい (3) 主体的に学習に取り組む態度の育成 OECD( 経済協力開発機構 ) の PISA 調査などの各種学力調査から 我が国の児童生徒につ いては 読解力で成績分布の分散が拡大しており その背景には家庭での学習時間などの学習意欲 学習習慣 生活習慣に課題があると見られる これらの課題を踏まえ 中央教育審議会答申 ( 平成 20 年 1 月 ) では 学習意欲の向上や学習習慣の確立を基本的な考え方とし 新学習指導要領におい ては 学習意欲を向上させ 主体的に学習に取り組む態度を養うとともに 家庭との連携を図りな がら 学習習慣を確立することが重視された 本県では 学力向上の三つの柱 を 教師の指導力 子どもの意欲 学習習慣 保護者の理解 協力 とし 児童生徒の確かな学力を育むための様 様な施策を推進している ア 学習意欲の向上 学習意欲とは 学習者が意志をもって 自発的に学習活動を求めようとする心の働きのことで ある 学ぶこと自体がおもしろい 知りたいから学ぶ といった学習活動そのものに対する欲 求や よい成績を取りたい 希望する職業に就くために学習する といった自己実現の手段と しての欲求は 全て学習意欲と捉えることができる 平成 22 年 3 月 栃木県総合教育センターからリーフレット 学ぶ意欲をはぐくむ が出され 学ぶ意欲を育む視点と方策が示された 詳細については 平成 22 年度那須地区教育の概要 p.15 を参照されたい 児童生徒の学ぶ意欲を測定することのできる 学習に関するアンケート 用紙 は 栃木県総合教育センターのホームページからダウンロードすることができ 実施したアンケ ートのデータを入力すると 学校全体 学年 学級 個人別のグラフが表示され 指導の参考と することができる 平成 23 年 3 月に同センターから発行された冊子 学ぶ意欲をはぐくむ - 学 習に関するアンケート を活用して - と併せて積極的な活用を期待したい また 児童生徒の学習意欲の向上に欠かせないのが 学業指導の充実 である 学業指導とは それぞれの学級を 学びに向かう集団 に高めながら 児童生徒一人一人が自らの力で様々な不 適応を解消し意欲的に学習活動に取り組めるように指導 援助していくことである 学びに向 かう集団づくり と 子どもが意欲的に取り組む授業づくり の二つを軸にし 互いの関連を図 りながら 指導を充実させていくことが大切である 詳細については 本書の p.41~43 に記載 しているので参照されたい - 10 -
習指導イ 家庭学習の充実 家庭学習を通して学習習慣や学習内容が身に付き 自ら学ぼうとする意欲や態度が育つことを 再認識するとともに 家庭と連携しながら家庭学習の充実を図る必要がある 栃木県教育委員会 から出されている 家庭学習のすすめ の有効な活用を通して 児童生徒の家庭学習の習慣化を 図るとともに 保護者の理解 協力を得られるように努力していく必要がある なお 家庭学 習のすすめ については 平成 24 年度から活用できる改訂版が発行される予定である 学( ア ) 宿題について児童生徒に家庭学習の習慣を身に付けさせるためには 意図的に家庭学習の機会をつくることが必要であり そのために有効な手立ての一つが宿題である 児童生徒が宿題に取り組むことによって 学校で学習した内容の理解を深めたり 学習することの充実感を得たりすることができる 児童生徒の意欲を高めていけるよう配慮しながら 実態に応じて量的にも質的にも適切な宿題の出し方が求められる 以下 効果的な宿題の出し方について再度確認してほしい 宿題の出し方について教職員間の共通理解を図り 評価 指導を実施している 授業との関連を大切にし 授業で学習したことをもう一度確認したり 振り返ったりできる宿題や 授業やテストで間違った問題をやり直す宿題を出している 児童生徒にとって 適切な分量になっている 家庭での学習方法やノートの書き方について細かく指導している また 宿題を出したあとの教師の取組としては 確認や励ましはもちろんのこと 授業中に宿題の解答 解説を行ったり 教師が採点をするなどして実施状況を把握し その内容を一斉指導や個別指導に生かしたりすることも必要である ( イ ) 自主学習について家庭学習を 生涯にわたって学び続ける態度を養う機会であると考えると 児童生徒の成長に伴って家庭学習の内容が 宿題から児童生徒の興味 関心に基づく自主学習に移行していくことが必要である 家庭学習が自主的に進められるように 児童生徒に対しては自主学習のねらいや意義を適宜説明したり 自主学習の方法を具体例を挙げて教えたりするなど 教師の意図的 計画的な指導が大切である 2 言語活動の充実知識 技能の習得や これらを活用し課題を解決するために思考し 判断し 表現することは全て言語によって行われるものであり これらの学習活動の基盤となるのは 言語に関する能力である (1) 国語科における言語活動言語に関する能力を育成する学習の中核となるのは国語科である 国語科における言語活動を充実させる上で大切なことは次の2 点である 的確に理解し 論理的に思考し表現する能力 互いの立場や考えを尊重して伝え合う能力を育成する 感性や情緒をはぐくむ などの言語に関する能力そのものの育成が目的であること 言語活動が 思考力 判断力 表現力等を育成するための手段であること このように 国語科では 言語に関する能力の育成が目的であり また手段でもあるということである - 11 -
(2) 各教科等における言語活動各教科等では 国語で培った言語に関する能力を基本に それぞれの教科等の知識 技能を活用する学習活動を充実させることが重要である 各教科等における言語活動を充実させる上で大切なことは次の2 点である 言語活動が 各教科等の学習のねらいを効果的に達成するための手段であること 言語活動が 思考力 判断力 表現力等を育成するための手段であること 下図のように 各教科等のねらいを達成させるため 発達の段階を考慮しながら 各教科等の特 性に応じ 単元 ( 題材 ) を見通して言語活動を計画的に位置付け 授業の中で具現化していくこと が大切である また とちぎの子どもの基礎 基本 においても 言語に関する能力の基礎 基本として 国 語科の学習指導要領を基に 各教科共通とそれに基づく各教科等における習得のめやすを設定して いるので参考にしてほしい (3) 言語活動を充実させる指導と事例 とちぎの子どもの学力 学習の状況 ( 平成 22 年 11 月栃木県教育委員会 ) より 文部科学省は 平成 22 年 12 月に 言語活動の充実に関する指導事例集 ~ 思考力, 判断力, 表現力 等の育成に向けて~ 小学校版 平成 23 年 5 月に同 中学校版 を出した これらには 言語活 動について 国語科で培った能力を基本に 各教科等において充実するために 言語活動を充実す る際の基本的な考え方や 言語の役割を踏まえた指導の在り方と留意点を整理するとともに 参考 となる優れた指導事例が収録されている 指導事例は 小学校版で 100 事例 中学校版で 83 事例あ り これらの事例を参考に それぞれの教科等の目標を実現するため これまでの各学校での取組 を見直し 効果的な指導に改善していくきっかけにすることが望まれる 具体的には これまでの言語活動を通じた指導について把握 検証した上で 各教科等の目標と 指導事項との関連及び児童生徒の発達の段階や言語能力を踏まえて言語活動を計画的に位置付け 授業の構成や指導の在り方自体を工夫 改善していくことが求められる 言語活動の充実における留意事項チェックシート( 例 ) を 本書の p.75に記載しているので 活用してほしい - 12 -
3 習指導指導方法 指導体制の工夫 (1) 学習形態 単元や本時のねらい及び学習内容を考慮して 効果を見極めつつ 様々な学習形態を工夫して組 み合わせていくことが大切である 一斉指導 学級全員に短時間で指示したり 共通理解をさせたり まとめたりする場合学 個別学習 個人の能力 適性 興味 関心など個人の特性を生かす場合 ペア トリオ学習 学級全体での話合いの前に 2 人又は3 人で意見交換を行う場合 グループ学習 グループごとの思考や技能の深まりをねらったり 多面的な思考による学び合い学習をしたりする場合グループ学習を行う際には グループを固定せずに柔軟に編成することや 一斉指導とうまく組み合わせ グループで話し合った内容を共有する機会を設けることが必要になる (2) 体験的な学習 問題解決的な学習体験的な学習や問題解決的な学習を積極的に取り入れて 児童生徒の関心を高め 主体的な学習を促進させることが必要である 実施する際には 教師が教えるべき内容と児童生徒に主体的に課題に取り組ませる内容とを区別しておくことや 児童生徒に目的意識をもたせることが大切である また ねらいに応じた展開を工夫するとともに活動するための時間を確保し 計画的 継続的に実施することも重要となる (3) 補充的な学習 発展的な学習指導計画を立案する際 単元の途中やまとめの段階でコース別学習を設定し そこで補充的又は発展的な学習活動を行うといった工夫 改善を進める必要がある また 一単位時間の中で 発展的な課題を与えたり 補充的な学習を行う時間を設けたりすることも考えられる 実践に当たっては 個々の学習状況や理解度などに違いが表れやすいところは単元のどの部分なのかを見通し 児童生徒の学習の達成状況を把握しながら個に応じた指導が展開できるよう計画を立てる必要がある (4) 教育機器の活用教育機器には TV VTRやDVD パソコン プロジェクター 電子黒板 実物投影機 デジタルカメラなどがあり 学習の効果を高める道具として活用されるものである 教育機器を活用する際は 授業のねらいを明確にし 機器の特性を生かしながら 授業のどの場面でどのように活用するかを工夫しなければならない また 教育機器の使い方の指導だけになっていないか 授業のねらいから外れていないかなどに留意する必要がある (5) ティーム ティーチング ( 以下 T T という ) T Tは 複数の教師が協力して指導に当たる形態を幅広く指すものである T Tには 同一学級内で複数の教師が役割分担をして指導に当たるケースや 少人数の学習集団を編成し 複数の教師が協力して指導に当たるケースなど様々な方法が考えられる T Tを取り入れることで 児童生徒の習熟度に対応したり 興味 関心を生かしたりするなど より個に応じた授業を展開することができる T Tの授業を行うに当たっては 授業のねらいや指導内容はもちろんのこと それぞれの教員がどの児童生徒にどのような働き掛けをするのかなどの役割分担を明確にしておくことが大切である また 単元 ( 題材 ) の指導計画や評価計画をチームで検討したり 指導計画に基づいて共同で教材 教具を作成したり 単元 ( 題材 ) 等の終了後に指導の評価について共に協議し 改善点等を確認したりすることも重要である - 13 -
4 授業づくりのポイント (1) 見通しをもった単元指導計画 時間ねらい 1 新学習指導要領では 児童生徒の学習意欲の向上を重視し 各教科等の指導に当たっては 児童生徒が学習の見通しを立て たり 学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入 れるように工夫することが重要であるとしている そこで 授業づくりにおいては 左の図のように見通しをも った単元指導計画を立てる必要がある まず 単元の目標 指導計画及び評価計画の整合性を確認し 児童生徒がそれぞれの単位時間 ( 学習のまとまり ) ごとのねら いを実現していくことが 単元の目標を実現することになると いう認識をもつことが重要である また 評価においても 単 位時間ごとの各観点の評価規準における おおむね満足できる 状況 を実現していくことが 単元の目標を実現していくこと になるということにも留意したい 下表参照 単元 ( 題材 ) の指導 評価計画の例 学習活動における具体の評価規準 関心 意欲 態度思考 判断 表現技能知識 理解 2 単位時間 ( 学習のまとまり ) のねらいの実現 5 (2) 本時の指導 単元 ( 題材 ) の目標の実現 ア イ 分かる授業づくりを進めるためには ねらい 手立て 評価 の整合性が特に重要である 手立て は ねらい の達成のためにあり ねらい が実現できたかどうかを適切に 評価 するという 指導と評価の一体化 を実現する授業づくりに取り組むことが大切である 明確なねらい 授業のねらいは 児童生徒に身に付けさせたい力 として設定することが大切である 児童 生徒自身が 授業における学習活動を通してどのような力を身に付けるのか が具体的に理解 できるようなものである必要がある 本時のねらいとは 本時の目標を 児童生徒に 何が どのように どのくらい でき ればよいのかが分かるように示したものである 教師が 本時のねらいをしっかりと把握し タ イミングや方法を工夫して提示し 児童生徒が見通しをもって学習に取り組めるようにしていく 必要がある 明確なねらいの具体例を 本書の p.74 に記載しているので参考にしてほしい 具体的な手立て 授業における一連の学習活動を ねらいを実現するための具体的な手立てとして構成していく ことが大切である 児童生徒の実態を適切に把握し 教材 指導方法 指導体制 学習課題等の 観点から工夫していくことになる 手立ては その全てがねらいの実現のためにあり 常に児童生徒が実際に活動する様子を想定 し 努力を要する児童生徒がおおむね満足できる状況に到達できるように具体化していくことが 大切である 具体的な手立ての例については平成 22 年度那須地区教育の概要 p.20 を参照されたい - 14 -
習指導ウ 適切な評価 ( ア ) 新しい評価 平成 22 年 5 月に文部科学省は 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の 児童生 徒の学習評価の在り方について ( 報告 ) を受けて 小学校 中学校 高等学校及び特別支援 学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について ( 通知 ) を出した 新学 学習指導要領に基づく学習評価等については この通知に書かれていることが基本となる - 15 - これらを踏まえ 国立教育政策研究所は 各学校における児童生徒の学習の効果的 効率的 な評価に資するため 平成 22 年 11 月に 評価規準の作成のための参考資料 平成 23 年 3 月と 7 月に 評価規準の作成 評価方法等の工夫改善のための参考資料 を出した これらの資料 を基に 小 中学校の学習評価等について要点を整理すると以下のとおりである 1 学習評価の基本的な考え方 現在の学習評価の在り方を維持 目標に準拠した評価による観点別学習状況の評価の着 実な実施 新学習指導要領における改善事項を反映 学力の3 要素と評価の観点を整理 地域や学校 児童生徒の実態に対応 学校や設置者の創意工夫を生かす現場主義 2 評価の観点 (1) 新しい観点 関心 意欲 態度 思考 判断 表現 技能 知識 理解 (2) 学力の3 要素 ( 学校教育法 30 条 2) との整理 基礎的 基本的な知識 技能 技能 知識 理解 思考力 判断力 表現力等 思考 判断 表現 主体的に学習に取り組む態度 関心 意欲 態度 (3) 評価の観点の趣旨 ア 関心 意欲 態度 授業中の挙手や発言の回数といった表面的な状況のみに着目しない 教科の特性や学習指導の内容等を踏まえつつ ある程度長い区切りの中で適切な頻 度で評価する イ 思考 判断 表現 新学習指導要領において 思考力 判断力 表現力等を育成するため 活用 を重 視し 言語活動の充実が求められたことから 新たに設定された 各教科の内容等に即して思考 判断した過程や結果を 説明 論述 討論などの言 語活動等を通じて評価する ウ 技能 従来の 技能 表現 の観点の 表現 との混同を避けるため 技能 に改める 現在の 技能 表現 で評価している内容は引き続き 技能 で評価する エ 知識 理解 習得すべき知識や重要な概念等を身に付けているかどうかを評価する 3 指導要録の改善 外国語活動 ( 小学校 ) 評価の観点を 設置者 が設定し 文章によって記述する 特別活動 各学校が自ら定めた特別活動全体に係る評価の観点を記入した上で 各活動 や学校行事ごとに評価する 部活動 ( 中学校 ) 新学習指導要領において 教育課程との関連が明確化したため 総 合所見及び指導上参考となる諸事項 に部活動を通じた生徒の成長等 を記載することが適当である
( イ ) 指導と評価の一体化 基礎的 基本的な知識 技能の習得と思考力 判断力 表現力等をバランスよく育成するた めに 学習指導の改善を進めると同時に 学習評価においては 各観点ごとの評価をバランス よく実施することが必要である 指導と評価の一体化を図るために 授業づくりにおいて ねらいと評価規準との整合性に留 意しつつ おおむね満足できる状況と十分満足できる状況の例とを具体的な児童生徒の姿とし て想定しておかなければならない また 児童生徒一人一人に学習内容の確実な定着を図るに は 個々の学習状況を適切に評価し 評価を指導の改善に生かすという視点を一層重視し 教 師が指導の過程や評価方法を見直して より効果的な指導が行えるよう指導の在り方について 工夫改善を図っていくことが重要である 評価規準の設定に当たっては 評価規準の作成のための参考資料 における 評価規準に 盛り込むべき事項 及び それらをより具体化した 評価規準の設定例 を参考にしつつ 各 学校において適切な評価規準を設定していく必要がある ( ウ ) 評価方法の工夫改善 各教科の学習活動の特質 評価の観点や評価規準 評価の場面や児童生徒の発達の段階に応 じて 観察 児童生徒との対話 ノート ワークシート 学習カード 作品 レポート ペー パーテスト 質問紙 面接などの様々な評価方法の中から その場面における児童生徒の学習 の状況を的確に評価できる方法を選択していくことが重要である また 児童生徒による自己 評価や児童生徒同士の相互評価を工夫することも考えられる 評価規準の作成 評価方法等の工夫改善のための参考資料 には 評価方法等の工夫改善 に関する事例が各教科ごとに具体的に示されているので参考にしてほしい (3) 学習訓練の徹底 児童生徒の発達の段階に応じて 姿勢 話の聞き方 発表の仕方等の授業中の約束事を決め 学 習訓練を行うことで 授業に規律やメリハリが生まれる 中学校区の取組として 小中で一貫した 学習訓練に関する共通理解を図ることも効果的である 授業中の約束事は 教師側からは学習訓練 に関する指導事項と捉えることができるが これを徹底する場合には 以下のような点に留意する 必要がある 指導事項の教師間での共通理解 児童生徒にとって分かりやすい形での掲示と伝達 実態に応じての繰り返しの指導 児童生徒への定着度の見取り 指導事項の見直し 掲示方法や指導方法の工夫改善 さらに 学習訓練を徹底するためには 教師の指導技術の向上が必要である 児童生徒に話の聞き方を身に付けさせるためには 教師の表情 声の大きさ 言葉の選び方等の工夫が必要である (4) 板書計画とノート指導の重要性児童生徒が 学習のねらいや流れを確認したり 学習内容の要点を捉えたりする上で 板書は極めて重要である 板書は 児童生徒がノートを取るときの一番の手本ともなる 教師は板書計画を立て 工夫された板書 分かりやすい板書を心掛ける必要がある 板書においては ねらいやまとめを枠で囲んだり 大切なことは色チョークを使ったり 板書された事柄を線や矢印で関連付けたりするなどの工夫ができる また 児童生徒の考えが生きる場になるためにネームカードを活用することも有効である 授業の最後に板書を振り返ってみたとき 思考の流れがはっきりと分かり 視覚的にも児童生徒の学習意欲の向上につながるものであるとよい 板書は 教師と児童生徒とで創り上げていく 一枚の大きなノート でもある - 16 -
習指導また 板書とともに重要となるのがノート指導である ノートは児童生徒が自分の思考を表現す る場であり また 思考や学習内容を整理する場でもある ノート指導は 言語活動の特に 書く ということに関わる大切なものである ノート指導においては 板書を手本としながら指導することが考えられるが 児童生徒が教師の 板書を基に工夫して書いていけるように指導していくことも必要である 各教科ごとの基本的なノ 学ートの取り方や 番号を書く 囲みを入れる 記号を活用する などの技能 授業のまとめや - 17 - 感想の書き方などの共通理解を図り 学校全体で取り組む一貫したノート指導が大切である また 教師は 授業の内容によりノートを回収し 助言や励ましの言葉 感想などを記入したり 素晴らしいノートについては紹介したりして 評価に活かしながら児童生徒の意欲を高める工夫が 必要である ワークシートを活用する授業もあるが ワークシートをノートに貼ったり ファイル にまとめたりして その後の授業に活用できるように工夫してほしい 5 学習指導案 学習指導案は 指導者が自分の考えや提案を具体的に表現し 授業の流れが分かるように書くこと が大切である 授業のねらいが明確であって学習活動が分かりやすく 児童生徒の活動と教師の支援 が具体的に書かれており 第三者が見ても 実際の授業のイメージができるものがよい 次ページから学習指導案の例を掲載する 各学校では 授業についての研究を進めるとともに学習 指導案についても研究し 学校の実態に合ったものを作り上げていくことが望まれる 参考資料 小学校学習指導要領解説 総則編 平成 20 年 8 月 文部科学省 中学校学習指導要領解説 総則編 平成 20 年 9 月 文部科学省 とちぎの子どもの基礎 基本 平成 24 年 3 月 栃木県教育委員会 とちぎの子どもの 確かな学力 の向上のために リーフレット 平成 23 年 3 月 栃木県教育委員会 平成 22 年度 とちぎの子どもの基礎 基本 習得状況調査の結果と授業改善に向けて 平成 23 年 3 月 栃木県教育委員会 学ぶ意欲をはぐくむ リーフレット 平成 22 年 3 月 栃木県総合教育センター 学ぶ意欲をはぐくむ- 学習に関するアンケート を活用して- 平成 23 年 3 月 栃木県総合教育センター あなたは学業指導を知っていますか! リーフレット 平成 21 年 1 月 栃木県教育委員会 家庭学習のすすめ リーフレット 平成 21 年 1 月 栃木県教育委員会 各教科等における言語活動の充実 平成 20 年 11 月 教育開発研究所 初等教育資料 平成 21 年 8 月 文部科学省 初等教育資料 平成 23 年 6 月 7 月 文部科学省 とちぎの子どもの学力 学習の状況 平成 22 年 11 月 栃木県教育委員会 言語活動の充実に関する指導事例集 小学校版 平成 22 年 12 月 文部科学省 言語活動の充実に関する指導事例集 中学校版 平成 23 年 5 月 文部科学省 学校力 教師力 を高めよう 平成 19 年 2 月 栃木県教育委員会 小学校 中学校 高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について ( 通知 ) 平成 22 年 5 月 文部科学省 評価規準の作成のための参考資料 平成 22 年 11 月 国立教育政策研究所 評価規準の作成 評価方法等の工夫改善のための参考資料 小学校版 平成 23 年 3 月 国立教育政策研究所 評価規準の作成 評価方法等の工夫改善のための参考資料 中学校版 平成 23 年 7 月 国立教育政策研究所 授業のアイデア 授業を楽しむコツ70 3 4 年 平成 16 年 4 月 佐藤正寿著 ひまわり社
6 学習指導案の例 1 単元名 ( 小単元名又は題材名 ) 科学習指導案 平成 年 月 日 ( ) 校時 年 組指導者 2 単元 ( 題材 ) の目標 国立教育政策研究所の 評価規準の作成のための参考資料 を参考にするなどして 評価の観点から身に付けさせたい資質や能力を分析し できるだけ具体的な目標を設定する 3 単元設定の理由 ( 単元 ( 題材 ) 観 教材観 指導観 指導方針等 ) 教材の系統性や児童生徒の実態を捉えて この時期に このような指導の構想や方針で このように指導していくとき このような効果が期待できるので設定したということを明らかにする その際 教科書会社発行の教師用指導書だけを拠り所にする傾向があるので注意する 学習の主体である児童生徒が それぞれの教材や題材とどのように出会い それらに内在する教育的価値をどのように獲得していくかの筋道を 学習指導要領やその解説を基に明らかにする 4 児童生徒の実態 ( 男子 名 女子 名 計 名 ) 単元 ( 題材 ) の目標や内容との関連から 児童生徒の実態を記述する 具体的には 関連する既習事項の定着度 単元への関心 意欲 態度や単元についての知識 理解など 教師の観察や調査 テスト等によって学級集団の実態 児童生徒一人一人の実態を捉え その要点を記述していく 5 学校課題等との関連 研究主題や研究内容が分かるように記述し またそれらと単元及び本時との関連を記述する 6 人権教育との関連 単元の目標や学習内容との関わりと 人権教育における各学校の育てたい能力 態度 ( 知性 判断力 感受性 実践力等 ) から検討して記述する 以下の 人権教育の視点 人権教育上の配慮 等との整合性を図る 7 指導計画及び評価計画 年間指導計画に沿って 単元の中での指導順序と時間数を明記するとともに 本時の位置付けを明確にする 指導の順序は 単元の特性を押さえて どうすれば目標を達成できるかに考慮して効果的な学習活動を設定して配列する 教科によっては 教材や題目 毎時間の目標を配列する場合もある 指導と評価の一体化を図るため 評価計画も位置付けることが望ましい また 一単位時間の評価は一観点に絞るなどの重点化を図るとともに 単元を通すと全ての観点が評価できるようにする なお 関心 意欲 態度 については 教科の特性や学習指導の内容等を踏まえつつ ある程度長い区切りの中で適切な頻度で評価する 教科によって評価の観点が異なるので 注意が必要である 時学習活動指導上の留意点 評価の重点評価規準 ( 方法 ) 関思技知おおむね満足できる状況十分満足できる状況の例 児童生徒の活動を促進させるための留意点や努力を要する児童生徒への手立て等を記述する - 18 -
8 習指導本時の指導 (1) 題目 ( 題材名 ) (2) 目標 指導計画によって 1 時間ごとに配列された内容や活動を簡潔に記述する この時間では何を目標として授業を展開するのか 具体的に記述する 児童生徒に提示するねらい及び本時の評価規準との整合性を図る 学(3) 人権教育の視点 - 19 - 本時のねらいや学習活動 指導方法 ( 学習形態 ) が自校の人権教育における 育てたい能力 態度 ( 知性 判断力 感受性 実践力等 ) とどのように関連しているかを記述する ここでの視点が展開の 人権教育上の配慮 において具体的な記述となる (4) 生かしたい児童生徒 人権教育上配慮したい児童生徒に対し 本時で意図的に支援を行う 努力を 要する児童生徒への指導や支援だけではなく 児童生徒のよさを伸ばし 授業 に生かしていく指導や支援の内容も記述する (5) 展開 第三者が見ても 実際の授業がイメージできるように記述する 項目としては 学習活動 教師 の支援と評価及び資料 準備等が考えられる 学習活動の欄は 本時の目標を達成するために 授 業の各段階でどのような活動をするのかを具体的に表す さらに導入 展開 終末等の学習段階や 時間配分の予定を入れる 人権教育上の配慮 3あい運動との関連 学校課題等との関連 等について記載 段階 学 習 活 動 時間 教師の支援と評価 資料 準備 個々の児童生徒の学習の実態や状況を踏まえて 本時のねらいの達成 に向けて 学習のどの段階で どのような支援の手立てがあり どのよ本時のねらいを知る うな評価を行うのかを具体的かつ簡潔に書く 本書 p.14~16 参照 本時のねらいは 児童生徒に分かりやすい言葉で提示する その際 具体の評価規準を反映した ねらいの提示を図る より効果的な提示になるよう タイミングや方法に配慮する 本書 p.14 参照 十分満足できる状況の例 おおむね満足できる状況 努力を要する児童生徒への手立て 評 7 指導計画及び評価計画 の価評価規準との整合性を図る 評価方規 努力を要する児童生徒が おお法についても記入する 準むね満足できる状況に到達できる ような支援の手立てを具体的に記 支 十分満足できる状況の例にある おおむね満足できる状況にある 述する 児童生徒が 更に質の高い状況に 児童生徒が 十分満足できる状況 援 到達できるような支援の手立てを の例に到達できるような支援の手 記述する 立てを記述する