目次 問 1 労使合意による適用拡大とはどのようなものか 問 2 労使合意に必要となる働いている方々の 2 分の 1 以上の同意とは具体的にどのようなものか 問 3 事業主の合意は必要か 問 4 短時間労働者が 1 名でも社会保険の加入を希望した場合 合意に向けての労使の協議は必ず行う必要があるのか

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短時間労働者の適用拡大 新しい 4 分の 3 基準 に満たない場合であっても 平成 28 年 10 月 1 日以降 次のすべての要件に該当した場合は 短時間労働者の適用拡大の対象となります 週労働時間 20 時間以上 勤務期間 1 年以上 月額賃金 8.8 万円以上 学生でない 従業員 501 人

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表 2 イ特別支給の老齢厚生年金老齢厚生年金は本来 65 歳から支給されるものです しかし 一定の要件を満たせば 65 歳未満でも 特別支給の老齢厚生年金 を受けることができます 支給要件 a 組合員期間が1 年以上あること b 組合員期間等が25 年以上あること (P.23の表 1 参照 ) c

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スライド 0

資格取得( 認定日 ) 出生 離職 婚姻 離婚 1カ月以内の届出 出生日 喪失日から 市区町村受理日 1カ月を越えた届出 出生日 健康保険組合受付日 被扶養者の範囲被扶養者となるためには 主として被保険者の収入によって生活していることが必要です 扶養の程度の基準としては 被扶養者となる人の年間収入が

等により明示するように努めるものとする ( 就業規則の作成の手続 ) 第 7 条事業主は 短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し 又は変更しようとするときは 当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする ( 短時間労働者の待遇の原

企業 メリット : 1 労働者が社内では得られない知識 スキルを獲得することができる 2 優秀な人材の獲得 流出の防止ができ 競争力が向上する 3 労働者が社外から新たな知識 情報や人脈を入れることで 事業機会の拡大につながる 留意点 : 1 必要な就業時間の把握 管理や健康管理への対応 労働者の職

新規裁定当該期間 ( 月又は年度 ) 中に新たに裁定され 年金受給権を得た者が対象であり 年金額については裁定された時点で決定された年金額 ( 年額 ) となっている なお 特別支給の老齢厚生年金の受給権者が65 歳に到達した以降 老齢基礎年金及び老齢厚生年金 ( 本来支給もしくは繰下げ支給 ) を

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例 言 厚生年金保険被保険者厚生年金保険被保険者については 平成 27 年 10 月 1 日から被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律が施行されたことに伴い 厚生年金保険法第 2 条の5の規定に基づき 以下のように分類している 1 第 1 号厚生年金被保険者第 2

一元化後における退職共済年金および老齢厚生年金の在職支給停止 65 歳未満の場合の年金の支給停止計算方法 ( 低在老 ) 試算表 1 年金と賃金の合算額が 28 万を超えた場合に 年金額の支給停止 ( これを 低在老 といいます ) が行われます 年金と賃金の合算額 (c) が 28 万以下の場合は

8-1 雇用保険 雇用保険の適用基準 1 31 日以上引き続き雇用されることが見込まれること 31 日以上雇用が継続しないことが明確である場合を除き この要件に該当することとなります このため 例えば 次の場合には 雇用契約期間が31 日未満であっても 原則として 31 日以上の雇用が見込まれるもの

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題名

2 職務専念義務 秘密保持義務 競業避止義務を意識することが必要である 3 1 週間の所定労働時間が短い業務を複数行う場合には 雇用保険等の適用がな い場合があることに留意が必要である 企業 メリット : 1 労働者が社内では得られない知識 スキルを獲得することができる 2 労働者の自律性 自主性を

調査等 何らかの形でその者が雇用期間の更新を希望する旨を確認することに代えることができる ( 雇用期間の末日 ) 第 6 条第 4 条及び第 5 条の雇用期間の末日は 再雇用された者が満 65 歳に達する日以後における最初の3 月 31 日以前でなければならない 2 削除 3 削除 ( 人事異動通知

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改正労働基準法

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今回の改正によってこの規定が廃止され 労使協定の基準を設けることで対象者を選別することができなくなり 希望者全員を再雇用しなければならなくなりました ただし 今回の改正には 一定の期間の経過措置が設けられております つまり 平成 25 年 4 月 1 日以降であっても直ちに希望者全員を 歳まで再雇用

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第 2 節強制被保険者 1 第 1 号被保険者頻出 択 ( 法 7 条 1 項 1 号 ) 資格要件 日本国内に住所を有する20 歳以上 60 歳未満の者 ( 第 2 号 第 3 号被保険者に該当する者を除く ) 例 ) 自営業者 農漁業従事者 無業者など 適用除外 被用者年金各法に基づく老齢又は退

A4 経営事項審査の受審状況により確認方法が異なります なお 適用除外は 労働者の就業形態等によって適用除外とならない場合もあることから 元請負人は 年金事務所等に適用除外となる要件を確認した上で判断してください 経営事項審査を受審している場合 有効期間にある経営規模等評価結果通知書総合評定値通知書

4-1 育児関連 育児休業の対象者 ( 第 5 条 第 6 条第 1 項 ) 育児休業は 男女労働者とも事業主に申し出ることにより取得することができます 対象となる労働者から育児休業の申し出があったときには 事業主は これを拒むことはできません ただし 日々雇用される労働者 は対象から除外されます

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- 2 - り 又は知り得る状態であったと認められる場合には この限りでない 2~7 略 (保険料を控除した事実に係る判断)第一条の二前条第一項に規定する機関は 厚生年金保険制度及び国民年金制度により生活の安定が図られる国民の立場に立って同項に規定する事実がある者が不利益を被ることがないようにする観

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04 件数表280205(東京)

2 改正の概要 昇給又は降給などで固定的賃金に変動があった月以後の継続した3か月間の報酬の平均から算出した標準報酬月額 ( 通常の随時改定の計算方法により算出した標準報酬月額 ) と 1 昇給月又は降給月以後の継続した3か月の間に受けた固定的賃金の月平均額に 2 昇給月又は降給月前の継続した9か月及

一公職の候補者となる労働者の雇用の継続の確保のための立候補休暇に関する法律案目次第一章総則 ( 第一条 第二条 ) 第二章立候補休暇 ( 第三条 第六条 ) 第三章雑則 ( 第七条 第九条 ) 附則第一章総則 ( 目的 ) 第一条この法律は 立候補休暇の制度を設けることにより 公職の候補者となる労働


時効特例給付制度の概要 制度の概要 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律 ( 平成 19 年 7 月 6 日施行 ) に基づき 年金記録の訂正がなされた上で年金が裁定された場合には 5 年で時効消滅する部分について 時効特例給付として給付を行うこととされた 法施行前

再任用と年金加入の関係をまとめると次のようになる ( 都道府県によって勤務形態は異なる ) 再任用の勤務形態フルタイム勤務 3/4 1/2 週の勤務時間 38 時間 45 分 29 時間 19 時間 15 分 共済年金 厚生年金 (2016 年 9 月 30 日まで ) 加入する年金 (2015 年

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No.706

育児休業や 介護休業をする方を 経済的に支援します 育児休業給付の支給 介護休業給付の支給 育児休業等期間中の社会保険料 ( 健康保険 厚生年金保険 ) の免除 育児休業等終了後の社会保険料 ( 健康保険 厚生年金保険 ) の特例 3 歳未満の子を養育する期間についての年金額計算の特例 ( 厚生年金

52 (2) 再就職後 年金受給権が発生した場合正規職員無職一般企業 無職 共済組合員 A 厚生年金 B ( 一般厚生年金 ) 退職再就職老齢厚生年金支給開始年齢 1 年金待機者登録 2 公的年金加入 3 年金決定請求 ( 一部又は全額支給停止 ) 1 退職した際は 年金の受給権発生まで期間がありま

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留意事項 ( 1) 賃金アップの方法 欄には 賃金の算定方法を下記から選択し記載してください 賃金アップが 毎月決まって支払われる賃金 の場合は 1 賃金アップが 毎月決まって支払われる賃金 + 臨時に支払われる賃金 の場合は 2 賃金アップの方法 欄において 1の 毎月決まって支払われる賃金 を選

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2 障害厚生年金障害厚生年金は次の1~3の条件すべてに該当する方が受給できます 1 障害の原因となった病気やケガの初診日 ( 1) が 厚生年金保険の被保険者である期間にあること 2 障害の原因となった病気やケガによる障害の程度が 障害認定日 ( 2) に法令により定められている障害等級表 ( 3)

特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 23 国民年金関係事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 甲府市は 国民年金関係事務における特定個人情報ファイルの取扱いにあたり 特定個人情報ファイルの取扱いが個人のプライバシー等の権利利益に影響を及ぼしかね

社会福祉事業等の事業所用 別紙 1 社会保険及び労働保険への加入状況にかかる確認票貴事業所の現状等について 下記の項目に回答してください Ⅰ. 現在 厚生年金保険 健康保険に加入していますか ( 該当する番号に を付してください また 必要事項をご記入ください ) 加入状況加入している 下記のいずれ

規定例 ( 育児 介護休業制度 ) 株式会社 と 労働組合は 育児 介護休業制度に関し 次 のとおり協定する ( 対象者 ) 育児休業の対象者は 生後満 歳に達しない子を養育するすべての従業員とする 2 介護休業の対象者は 介護を必要とする家族を持つすべての従業員とする 介護の対象となる家族の範囲は

第 1 章育児休業 第 1 条 ( 対象者 ) 生後 1 年未満 ( 第 5 条による育児休業の場合は 1 歳 6 ヶ月 ) の子と同居し養育する従業員であって 休業後も引き続き勤務する意思のある者は 育児のための休業をすることができる ただし 日々雇用者 期間雇用者 ( 申出時点において雇用期間が

ただし 対象期間の翌年度から起算して3 年度目以降に追納する場合は 保険料に加算額が上乗せされます 保険料の免除や猶予を受けず保険料の未納の期間があると 1 年金額が減額される 2 年期を受給できない3 障害基礎年金や遺族基礎年金を請求できない 場合がありますのでご注意ください 全額または一部免除

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雇用促進税制に関する Q&A 雇用促進税制について Q1 雇用促進税制とはどのような制度か ( 平成 28 年 4 月 1 日現在 ) Q2 雇用促進税制の適用要件を一度でも満たした場合には その後 適用年度中であれば継続して雇用促進税制の適用を受けることができるのか Q3 雇用者の採用を複数回に分

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控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

1

他の所得による制限と雇用保険受給による年金の停止 公務員として再就職し厚生年金に加入された場合は 経過的職域加算額は全額停止となり 特別 ( 本来 ) 支給の老齢厚生年金の一部または全部に制限がかかることがあります なお 民間に再就職し厚生年金に加入された場合は 経過的職域加算額は全額支給されますが

Q1 社会保険とはどのような制度でしょうか 会社などで働く人たちが収入に応じて保険料を出し合い いざというときの生活の安定を図る目的でつくられた制度のことで 一般的に健康保険や厚生年金保険のことを 社会保険 といいます 健康保険法第 1 条では 労働者の業務外の事由による疾病 負傷若しくは死亡又は出

ただし 日雇従業員 期間契約従業員 ( 法に定める一定の範囲の期間契約従業員を除く ) 労使協定で除外された次のいずれかに該当する従業員についてはこの限りではない (2) 週の所定労働日数が2 日以下の従業員 (3) 申出の日から93 日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員 2 要介護状態に

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( イ ) 従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり 1 歳 6か月以降育児に当たる予定であった者が死亡 負傷 疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合 6 育児休業をすることを希望する従業員は 原則として 育児休業を開始しようとする日の1か月前 (4 及び5に基づく1 歳

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労使合意に基づく適用拡大 Q&A 集

目次 問 1 労使合意による適用拡大とはどのようなものか 問 2 労使合意に必要となる働いている方々の 2 分の 1 以上の同意とは具体的にどのようなものか 問 3 事業主の合意は必要か 問 4 短時間労働者が 1 名でも社会保険の加入を希望した場合 合意に向けての労使の協議は必ず行う必要があるのか 問 5 同意対象者から選ばれる過半数代表者になるための要件はあるのか 問 6 労働者の同意や事業主の申出は企業単位と事業所単位のどちらで行うのか 問 7 労働者の同意書に有効期間はあるのか 年金事務所等への申出は 同意があった日からいつまでに行う必要があるのか 問 8 申出が受理された後に 過半数代表者が退職した場合や同意対象者が過半数割れした場合など 改めて同意を取り直す必要はあるか 問 9 派遣労働者の方が社会保険に加入するためには 派遣元と派遣先のどちらで同意を取ることになるのか 問 10 労働者の同意及び事業主からの適用拡大の申出は 平成 29 年 4 月 1 日より前に行っても有効か 問 11 一度申出が受理されれば 社会保険に加入し続けることができるのか 問 12 労使合意に基づく適用拡大により厚生年金保険に加入することとなった場合 障害者特例や長期加入者特例に該当している特別支給の老齢厚生年金受給者に対しては 平成 28 年 10 月の適用拡大時と同様 何らかの経過措置は設けられるのか

問 1 労使合意による適用拡大とはどのようなものか ( 答 ) 働きたい人が働きやすい環境を整えるとともに 短時間労働者の方について 年金などの保障を厚くする観点から 厚生年金保険 健康保険 ( 以下 社会保険 といいます ) の適用拡大を進めています このような趣旨から 以下のような法改正を行っています 平成 28 年 10 月 1 日からは 週 30 時間以上働く方に加え 501 人以上の企業にお勤めで 以下の 1~4 の要件を全て満たす短時間労働者の方も 社会保険に加入できるようになりました 1 週の所定労働時間が 20 時間以上であること ( 残業時間等は含めません ) 2 1 月の所定内賃金が月額 88,000 円以上であること ( 賞与 残業代 通勤手当等は含めません ) 3 雇用期間が 1 年以上見込まれること 4 学生 ( 夜間 通信 定時制の方は除きます ) でないこと 各要件の詳細については 日本年金機構の HP に掲載している 短時間労働者に 対する健康保険 厚生年金保険の適用拡大 Q&A 集 ( 第 2 版 ( 平成 28 年 9 月 30 日 更新 )) をご覧ください ( 参考 URL:https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2016/0516.files/0516.pdf) 平成 29 年 4 月 1 日からは 500 人以下の企業にお勤めの方も 労使合意 ( 働いている方々の 2 分の 1 以上と事業主の方が社会保険に加入することについて合意すること ) がなされれば 上記 1~4 の要件を全て満たす短時間労働者の方は 企業単位で社会保険に加入できるようになります 加入に当たっては 事業主の方が管轄の年金事務所 ( 健康保険組合に加入している企業については 健康保険組合にも申出を行っていただくことが必要です 以下同じ ) に対して 労使合意を行っている旨の同意書 ( ) を添えて 申出を行っていただくことが必要です 年金事務所等が事業主の方からの申出を受理した日に 上記 1~4 の要件を全て満たす短時間労働者の方は社会保険に加入することになります ( ) 同意書については 追って 日本年金機構の HP にてお示しさせていただく予 定です 3

問 2 労使合意に必要となる働いている方々の 2 分の 1 以上の同意とは具体的にどのようなものか ( 答 ) 同意の対象となる働いている方々 ( 以下 同意対象者 といいます ) は 以下の方々となります 厚生年金保険の被保険者 70 歳以上被用者 ( ) 問 1 の 1~4 の要件を全て満たす短時間労働者 ( ) 過去に厚生年金保険の加入期間を有する方であって 仮に 70 歳未満であれば 厚生年金保険の被保険者要件 ( 週 30 時間以上働くこと又は問 1 の 1~4 の全ての 要件など ) を満たすような働き方をしている方に限ります これらの方々の過半数で組織する労働組合がある場合は その労働組合の同意が必要になります また 同意対象者の過半数で組織する労働組合がない場合は 同意対象者の過半数を代表する者 ( 以下 過半数代表者 といいます ) の同意 同意対象者の 2 分の 1 以上の同意のいずれかが必要になります なお 週の所定労働時間が 20 時間未満の方など厚生年金保険の被保険者となり得ない方は 今回の労使合意による適用拡大の同意対象者には含まれませんが たとえば労働基準法第 36 条に基づく労使協定 (36 協定 ) などでは 同意対象者に含まれているなど 異なる点がありますので ご注意ください 問 3 事業主の合意は必要か ( 答 ) 労使合意に基づく適用拡大は 労働者と事業主双方が了承の上で行われるものです そのため 申出は 双方了承の上で 事業主の方から行っていただく必要があります なお 法人の会社において 代表取締役など事業主である方が厚生年金保険の被保険者である場合は 当該事業主の方は 事業主としての立場のほか 厚生年金保険の被保険者として 労働者側の同意対象者にもなります 4

問 4 短時間労働者が 1 名でも社会保険の加入を希望した場合 合意に向けての労使の協議は必ず行う必要があるのか ( 答 ) 事業主側が希望を把握した場合 短時間労働者の方から 直接事業主の方に社会保険の加入についての相談があった場合など 事業主の方が 短時間労働者の方が社会保険の加入を希望していることを把握した場合には 事業主の方は そういった相談があったことを労働組合や過半数代表者の方に情報提供するなど 改正法の趣旨を踏まえ 社会保険の適用に向けて 労使の協議が適切に行われるための環境の整備に努めるようにしてください 労働組合等が希望を把握した場合 短時間労働者の方は 社会保険の加入を希望する場合に 労働組合や過半数代表者の方などに 相談することが考えられます 労働組合や過半数代表者の方などは こうした短時間労働者の意向や改正法の趣旨を踏まえた上で 社会保険の適用に向けて 労使の協議が適切に行われるよう努めてください 働く方々の年金や医療の給付を充実させ 安心して就労できる基盤を整備することは 雇用に伴う事業主の責務であるとともに 結果として働く方々の健康の保持や労働生産性の増進につながりうるものであるため 社会保険の加入は事業主の方にもメリットがあると考えられます さらに 短時間労働者への社会保険の適用が 企業の魅力を向上させ より長く働いてくれるような人材の確保に効果的と考えられます 事業主の方におかれましては こうした改正法の趣旨を踏まえ 短時間労働者の方の社会保険の加入について ご検討いただくようお願いします 5

問 5 同意対象者から選ばれる過半数代表者になるための要件はあるのか ( 答 ) 以下の 1 2 のいずれにも該当することが必要です 1 労働基準法第 41 条第 2 号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと 2 過半数代表者を選出することを明らかにして実施される投票 挙手 持ち回り決議等の方法により選出された者であること 上記 1 は 労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある方をいい 役職名だけでなく その職務内容 責任と権限 勤務様態等の実態によって判断してください 上記 1 に該当する者がいない場合は 過半数代表者は 2 に該当する者とします なお 事業主は 過半数代表者であることや 過半数代表者になろうとしたこと等を理由として 労働者に対して不利益な取扱いをしないようにしなければいけません 上記要件については 3 月 9 日公布の省令にて規定しています ( 参考 ) 労働基準法 ( 昭和 22 年法律第 49 号 ) 第四十一条この章 第六章及び第六章の二で定める労働時間 休憩及び休日に関する規定は 次の各号の一に該当する労働者については適用しない 二事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者 問 6 労働者の同意や事業主の申出は企業単位と事業所単位のどちらで行うのか ( 答 ) 法人事業所であれば企業単位 ( 法人単位 ) で 個人事業所であれば適用事業所単位となります 6

問 7 労働者の同意書に有効期間はあるのか 年金事務所等への申出は 同意があった日からいつまでに行う必要があるのか ( 答 ) 同意書に一律の有効期間はありませんが 年金事務所等が申出を受理した日に社会保険に加入となりますので たとえばいつから短時間労働者の方への社会保険の適用を開始するかなど労働者と事業主で話し合われた内容を考慮した上で 適切に同意の取得や申出を行っていただく必要があります 問 8 申出が受理された後に 過半数代表者が退職した場合や同意した者が過半数割れした場合など 改めて同意を取り直す必要はあるか ( 答 ) 取り直す必要はありません 既に受理された申出は有効です 問 9 派遣労働者の方が社会保険に加入するためには 派遣元と派遣先のどちらで同意を取ることになるのか ( 答 ) 派遣労働者の方に対しては 社会保険の加入先である派遣元の企業で同意を取る必要があります 問 10 労働者の同意及び事業主からの適用拡大の申出は 平成 29 年 4 月 1 日より前に行っても有効か ( 答 ) 社会保険の加入は 平成 29 年 4 月 1 日以降になりますが 平成 29 年 4 月 1 日 ( 土 ) が年金機構等の休業日であることから 同日からの加入を希望される場合は 同日前に同意及び申出を行うことが可能です 7

問 11 一度申出が受理されれば 社会保険に加入し続けることができるのか ( 答 ) その通りです ただしその後の事情変更により 厚生年金保険の被保険者及び 70 歳以上被用者 ( 以下 4 分の 3 以上同意対象者 といいます ) の 4 分の 3 以上の同意 ( 1) を得て 事業主が管轄の年金事務所等に社会保険から脱退する旨の申出を行い 受理された場合には 受理された日の翌日に 短時間労働者の方の社会保険の資格が喪失することになります ( 2) ( 1) 4 分の 3 以上同意対象者 の 4 分の 3 以上で組織する労働組合がある場合は その労働組合の同意が必要になります 労働組合がない場合は 4 分の 3 以上同意対象者 の 4 分の 3 以上を代表する者の同意 4 分の 3 以上同意対象者 の 4 分の 3 以上の同意 のいずれかの同意が必要になります ( 2) 労使合意に基づき適用拡大の申出を行った事業所が その後 特定適用事業所 ( 厚生年金保険の被保険者数が常時 501 人以上であること ) に該当した場合には 特定適用事業所でいる間は 労使合意によって社会保険から脱退することはありま せん 8

問 12 労使合意に基づく適用拡大により厚生年金保険に加入することとなった場合 障害者特例や長期加入者特例に該当している特別支給の老齢厚生年金受給者に対しては 平成 28 年 10 月の適用拡大時と同様 何らかの経過措置は設けられるのか ( 答 ) 平成 29 年 4 月 1 日前から障害者 ( 障害厚生年金の等級が 1 級から 3 級に該当するもの ) 又は長期加入者 ( 厚生年金保険の被保険者期間を 44 年以上もつこと ) の特例措置に該当することにより年金の定額部分 ( 加給年金額が加算されているときは 加給年金額を含みます 以下同じ ) を受給している方であって 同日前から引き続き同一の事業所に勤めている短時間労働者の方が 一定の期間内に労使合意に基づく適用拡大により厚生年金保険に加入することとなった場合は 年金の定額部分を引き続き支給する旨の経過措置を設ける予定です 詳細は追って厚生労働省の HP 等でお知らせいたします ( 参考 ) 平成 28 年 10 月から厚生年金保険 健康保険の加入対象が広がっています! ( 社会保険の適用拡大 ) ( 厚生労働省 HP) ( 参考 URL:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/2810tekiyoukakudai/) ( 参考 ) 平成 28 年 10 月の適用拡大時における経過措置について日本年金機構 HP 上の 平成 28 年 10 月より短時間労働者に対する健康保険 厚生年金保険の適用拡大が始まります をご覧ください ( 参考 URL:https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2016/0929.html) 9