前回の改正労働基準法案の制定経緯

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第22回規制改革会議 資料3

あおもり働き方改革推進企業認証制度 Q&A 平成 29 年 12 月 14 日 Vol.1 目次 1 あおもり働き方改革推進企業認証制度全般関係 Q1 県外に本社がある場合はどのように申請できるのか P1 2 あおもり働き方改革宣言企業関係 Q2 次世代法に基づく一般事業主行動計画とはどういうものか

Microsoft Word 年度評価シート.docx

Microsoft Word - H29 結果概要

4 子育てしやすいようにするための制度の導入 仕事内容への配慮子育て中の社員のため以下のような配慮がありますか? 短時間勤務ができる フレックスタイムによる勤務ができる 勤務時間等 始業 終業時刻の繰上げ 繰下げによる勤務ができる 残業などの所定外労働を制限することができる 育児サービスを受けるため

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23 歳までの育児のための短時間勤務制度の制度普及率について 2012 年度実績の 58.4% に対し 2013 年度は 57.7% と普及率は 0.7 ポイント低下し 目標の 65% を達成することができなかった 事業所規模別では 30 人以上規模では8 割を超える措置率となっているものの 5~2

従業員に占める女性の割合 7 割弱の企業が 40% 未満 と回答 一方 60% 以上 と回答した企業も 1 割以上 ある 66.8% 19.1% 14.1% 40% 未満 40~60% 未満 60% 以上 女性管理職比率 7 割の企業が 5% 未満 と回答 一方 30% 以上 と回答した企業も 1

ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)  レベル診断チェックシート


Microsoft PowerPoint - 2の(別紙2)雇用形態に関わらない公正な待遇の確保【佐賀局版】

PowerPoint プレゼンテーション

短時間 有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針 について ( 同一労働同一賃金ガイドライン ) 厚生労働省雇用環境 均等局有期 短時間労働課職業安定局需給調整事業課

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(3) 始業 終業時刻が労働者に委ねられることの明確化裁量労働制において 使用者が具体的な指示をしない時間配分の決定に始業及び終業の時刻の決定が含まれることを明確化する (4) 専門業務型裁量労働制の対象労働者への事前通知の法定化専門業務型裁量労働制の導入に当たり 事前に 対象労働者に対して 1 専

目次. 独立行政法人労働政策研究 研修機構による調査 速報値 ページ : 企業調査 ページ : 労働者調査 ページ. 総務省行政評価局による調査 ページ

女性の活躍促進や仕事と子育て等の両立支援に取り組む企業に対するインセンティブ付与等 役員 管理職等への女性の登用促進 М 字カーブ問題の解消には企業の取組が不可欠 このため 企業の自主的な取組について 経済的に支援する 経営上のメリットにつなぐ 外部から見えるようにし当該取組の市場評価を高めるよう政

職場環境 回答者数 654 人員構成タイプ % タイプ % タイプ % タイプ % タイプ % % 質問 1_ 採用 回答 /654 中途採用 % 新卒採用 % タ

2019 年 3 月 経営 Q&A 回答者 Be Ambitious 社会保険労務士法人代表社員飯野正明 働き方改革のポイントと助成金の活用 ~ 働き方改革における助成金の活用 ~ Question 相談者: 製造業 A 社代表取締役 I 氏 当社における人事上の課題は 人手不足 です 最近は 予定

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Microsoft PowerPoint - 9月末公表(栃木県正社員転換・待遇改善実現プラン)

Ⅲ コース等で区分した雇用管理を行うに当たって留意すべき事項 ( 指針 3) コース別雇用管理 とは?? 雇用する労働者について 労働者の職種 資格等に基づき複数のコースを設定し コースごとに異なる配置 昇進 教育訓練等の雇用管理を行うシステムをいいます ( 例 ) 総合職や一般職等のコースを設定し


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2018年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果

( 様式第 1 号 ( 共通 )) 共通事項 1 キャリアアップ管理者 情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 印 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 企業全体で常時雇用する労働

Microsoft PowerPoint - いしかわの「働き方改革」H30.4

別添

中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル

資料9

共通事項 1 キャリアアップ 管理者情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 印 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 奨励金対象労働者数 ( 全労働者数 ) 9 企業規模 ( 該当

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Microsoft Word - 様式第1号 キャリアアップ計画書 記入例

ダイバーシティ 年に向けた政策展開のポイント テレワークが当たり前になる社会 の実現に向け 多様な主体と連携した普及啓発や導入支援への取組を強化 地域での就労支援やマッチング強化により 女性や高齢者の就業を推進 働き方改革と併せて時差 Biz の定着に向けた取組を推進 強化した政策

1-4

子ども・子育て会議(第7回) 次世代育成支援対策推進法の延長等の検討について

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内閣府令本文

1. 育児 介護の事情がある世帯 に対応した柔軟な働き方の推進 1 育児 介護の事情がある世帯 の働く人には 始業 終業時刻の柔軟化 突発的な事態への対応 といったニーズがあり これらのニーズに即した対応が必要 ニーズ 始業 終業時刻を柔軟にしたい例 : 保育所への送り迎え 学校行事 対応 (1)

佐藤委員提出資料

務が他の職種の職務と明確な差異がある場合には 解雇回避努力の内容として 配置転換や職務転換に限られず 退職金の上乗せ 再就職支援等をもって解雇回避努力を尽くしたとされる場合があり 他方 限定された職務が高度な専門性や高い職位を伴わない場合 あるいは当該職務が他の職種の職務と差異が小さい場合には 解雇

Microsoft Word - ①(様式第1号)キャリアアップ計画書

改正労働基準法

規定例 ( 育児 介護休業制度 ) 株式会社 と 労働組合は 育児 介護休業制度に関し 次 のとおり協定する ( 対象者 ) 育児休業の対象者は 生後満 歳に達しない子を養育するすべての従業員とする 2 介護休業の対象者は 介護を必要とする家族を持つすべての従業員とする 介護の対象となる家族の範囲は

平成23年9月29日WG後修正

調査結果 1. 働き方改革 と聞いてイメージすること 男女とも 有休取得 残業減 が 2 トップに 次いで 育児と仕事の両立 女性活躍 生産性向上 が上位に 働き方改革 と聞いてイメージすることを聞いたところ 全体では 有給休暇が取りやすくなる (37.6%) が最も多く 次いで 残業が減る (36

( 様式第 1 号 ( 共通 )) 共通事項 1 キャリアアップ管理者 情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 企業全体で常時雇用する労働 者

Ⅱ.1 ワーク ライフ バランス施策の定義と類型 (1) ワーク ライフ バランス施策とは work-life balance 1 (2) ワーク ライフ バランス施策の類型

(参考)女性の活躍推進企業データベース記入要領

3. 無期労働契約への転換後の労働条件無期労働契約に転換した後の職務 勤務地 賃金 労働時間等の労働条件は 労働協約 就業規則または個々の労働契約等に別段の定めがない限り 直前の有期労働契約と同一になるとされており 無期転換に当たって職務の内容などが変更されないにもかかわらず 無期転換後の労働条件を

11月は『職業能力開発促進月間

第 3 働き方改革 の推進などを通じた労働環境の整備 生産性の向上 非正規雇用労働者の待遇改善 長時間労働の是正 人材育成の強化 人材確保対策の推進 地方創生の推進及び労働者が安全で健康に働くことができる職場づくりなどにより 労働環境の整備 生産性の向上を図る 1 非正規雇用労働者の待遇改善 長時間

( 様式第 1 号 ( 共通 )) 共通事項 ( 事業所情報欄 ) 1 事業主名 ( - ) 2 事業所住所 3 電話番号 ( ) 5 雇用保険適用 - 事業所番号 4 事業所の 担当者 - 都道府県所掌管轄基幹番号枝番号 6 労働保険番号 - ( 代理人 社会保険労務士による提出代行者または事務代

PowerPoint プレゼンテーション

平成 27 年改正の概要 ( サマリー ) 一般労働者派遣事業 ( 許可制 ) 特定労働者派遣事業 ( 届出制 ) 26 業務 期間制限なし 26 業務以外 原則 1 年 意見聴取により最長 3 年まで 規定なし 規定なし 1. 許可制への統一 2. 派遣契約の期間制限について すべての労働者派遣事

4 父親も育児参画しよう! 父親となる職員に, 配偶者出産休暇や男性の育児参加休暇を取得するよう働き掛けましたか 対象の職員全てに働き掛けは行われている 回答数 76 0 全人数割合 (%) 対象者なし 293 配偶者出産休暇 (3 日 ) 数値目標 31 年度までに配偶者出

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Microsoft Word - H29市町村職員の勤務条件等の状況

女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

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制度名 No. 1 ( 働 1) フレックスタイム制度 対象者: 営業職の正社員 労働時間の清算期間: 毎月 1 日から末日までの1か月 1 日の所定労働時間は 8 時間 清算期間内の総労働時間: 1 日あたり8 時間として 清算期間中の労働日数を乗じて得られた時間数 ただし 清算期間内を平均し1

企業の人材確保支援 中小企業人材支援センターによる採用 定着支援や 障がい者の雇用促進 企業の成長を担うプロ人材の採用支援等により 大阪産業を支える中小企業の人材確保を支援する 大阪働き方改革支援センターの人材確保支援の機能を強化し 大阪人材確保推進会議と協働して製造 運輸 建設の 3 分野を中心に

様式第1号 職場定着支援計画

働き方改革推進の基本方針 平成 29 年 9 月 22 日 一般社団法人日本建設業連合会 政府は 平成 29 年 3 月 28 日に 働き方改革実行計画 を策定した 本計画では 同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善 賃金引上げと労働生産性向上 罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是

平成30年版 少子化社会対策白書 概要版(PDF版)

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過労死等の防止のための対策に関する大綱 ( 平成 30 年 7 月 24 日閣議決定 ) の概要 ~ 過労死をゼロにし 健康で充実して働き続けることのできる社会へ ~ 第 1 はじめに 1 これまでの取組 過労死等防止対策推進法の成立 施行の背景 過労死等の防止のための対策に関する大綱の策定 見直し

Microsoft Word - 様式第1号 キャリアアップ計画書記入例(全国版)

図 1-a 貴社は 働き方改革に向けた取り組みを なっていますか? ( 企業規模別 ) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1 50 名 4 46% 6% 名 55% 36% 9% 名 63% 301 名以上 82% 9% 図 2 働き方改革に取り組んでいな

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( 注 ) 女性活躍推進法に基づく認定企業 ( 女性の活躍推進に関する取組の実施状況等が優良な事業主 ) 法に基づき行動計画の策定 届出を行った企業のうち 女性の活躍推進に関する取組の実施状況等が優良な企業は 都道府県労働局への申請により 厚生労働大臣の認定を受けることができます 1 段階目について

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今回の改正によってこの規定が廃止され 労使協定の基準を設けることで対象者を選別することができなくなり 希望者全員を再雇用しなければならなくなりました ただし 今回の改正には 一定の期間の経過措置が設けられております つまり 平成 25 年 4 月 1 日以降であっても直ちに希望者全員を 歳まで再雇用

等により明示するように努めるものとする ( 就業規則の作成の手続 ) 第 7 条事業主は 短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し 又は変更しようとするときは 当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする ( 短時間労働者の待遇の原

参考 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに 家

結果概要 Ⅰ 働き方改革に係る各制度改正について 時間外労働の上限規制等について. 新たな時間外労働の上限規制が導入された場合の影響について 社 % 直近 年を振り返って新たな時間外労働の上限規制に抵触する労働者がいる 0. 直近 年を振り返って新たな時間外労働の上限規制に抵触する労働者はいない,0

改正労働基準法

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(1) はじめに 何故この 3 点のみご案内させていただくのかと申しますと 他の要件と比較し導入がしやすい点にあります 非正規労働者の職業訓練や賃金テーブルの見直し 法定外の健康診断制度は導入する敷居が若干高く また それらは一度制度として導入してしまうと助成金の申請期間が過ぎた後も通常続けざるを得

働き方の現状と今後の課題

2 取組実績 ( 選択した取組事項について記入すること ) (1) 労働時間等設定改善委員会の設置等労使の話し合いの機会の整備 ( 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第 7 条第 2 項の規定による衛生委員会のみなしを含む ) 労働時間等設定改善委員会などの設置の有無 名称 話し合いの機会の頻

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Microsoft Word - 改訂 H28 H27施行状況記者発表(リード文)

主な論点 資料 4 1. ワーク ライフ バランスの推進 生産性向上等の観点から 働き方とともに休み方を見直すことの必要性 重要性 (1) 有給休暇取得状況と長時間労働の国際比較 (2) 休暇取得と生産性との関係 (3) 仕事と仕事以外の生活の充実 2. 秋の連休の大型化等を実現する上での課題 (1

採用者数の記載にあたっては 機械的に採用日の属する年度とするのではなく 一括 採用を行っている場合等において 次年度新規採用者を一定期間前倒しして雇い入れた 場合は 次年度の採用者数に含めることとしてください 5 新卒者等以外 (35 歳未満 ) の採用実績及び定着状況採用者数は認定申請日の直近の3

我が国の女性の活躍推進に向けて

Microsoft Word - 4AFBAE70.doc

改正要綱 第 1 国家公務員の育児休業等に関する法律に関する事項 育児休業等に係る職員が養育する子の範囲の拡大 1 職員が民法の規定による特別養子縁組の成立に係る監護を現に行う者 児童福祉法の規定により里親である職員に委託されている児童であって当該職員が養子縁組によって養親となることを希望しているも

働き方改革 魅力ある建設業の構築に向けて 特集 域によっても大きな差があり, 北陸地方や北海道 など一部の地方では平成 28 年 10 月調査の加入率が 80% を超えているのに対し, 大都市部のある関東 地方 (55%) や近畿地方 (60%) は低い加入率に 留まっている ( ) 建設マネジメン

また 営業秘密の取扱いについても 社内の規程を整備することが秘密情報の流出時に法的保護を受ける上で重要であることから 今回の職務発明規程の整備に併せて 同期間 IN PITでは 営業秘密管理規程を含む企業の秘密情報管理体制の構築に関する情報提供や周知活動も積極的に行っていきます ( 本発表資料のお問

Microsoft PowerPoint - 雇用保険法等の一部を改正する法律案 改正内容

1 なぜ 同一労働同一賃金 が導入されるのか? 総務省統計局労働力調査 ( 詳細集計 ) 平成 30 年 (2018 年 )7~9 月期平均 ( 速報 ) によると 非正規労働者数は 2,118 万人 ( 前年同期比 68 万人増加 ) 正規労働者数は 3,500 万人となっています 役員を除く雇用

第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

Transcription:

資料 1-3 長時間労働抑制策と 多様な働き方の普及促進策について 平成 2 7 年 3 月 2 日 ( 月 )

本部長本部長代理事務局長 長時間労働削減推進本部 ( 厚生労働省 ) 趣旨 日本再興戦略 改訂 2014( 平成 26 年 6 月 24 日閣議決定 ) に 働き過ぎ防止のための取組強化 が盛り込まれ 本年 6 月に 過労死等防止対策推進法 が成立 長時間労働対策の強化は喫緊の課題 大臣を本部長とする 長時間労働削減推進本部 を設置 ( 平成 26 年 9 月 30 日 ) 厚生労働大臣厚生労働副大臣 ( 労働担当 ) 厚生労働大臣政務官 ( 労働担当 ) 労働基準局長 過重労働等撲滅チーム ➀ 長時間労働削減の徹底に向けた重点監督の実施 ⅰ 相当の時間外労働時間が認められる事業場等 ⅱ 過労死等に係る労災請求がなされた事業場等を対象に 重点監督を実施 ➁ 相談体制の強化 ➂ 労使団体への要請 ➃ 過労死等の防止に向けた取組 働き方改革 休暇取得促進チーム ➀ 本省幹部による企業経営陣への働きかけ ➁ 地方自治体との協働による地域レベルでの年次有給休暇の取得促進 ➂ 切れ目のない年次有給休暇取得促進 各都道府県労働局に設置 ( 平成 27 年 1 月 ) 省内長時間労働削減推進チーム若手職員からの意見聴取や民間企業へヒアリング等を行い 以下の方策を検討 実施 ➀ 長時間労働に係る負担軽減方策について ➁ 早期退庁 休暇取得促進方策について ➂ 早期退庁後や休暇の有効な活用事例について 協力要請 連携 都道府県 市町村 事業主団体 労働団体等 働き方改革推進本部 ( 本部長都道府県労働局長 ) 企業の自主的な働き方の見直しを推進 ➀ 労働局長 労働基準部長による企業経営陣への働きかけ ( 仕事の進め方の見直しによる時短など ) ➁ 地方自治体 労使団体等との連携による働き方の見直しに向けた地域全体における気運の醸成 ( 年次有給休暇の取得促進など ) 地方創生 につなげる 仕事と生活の調和を図ることができる環境の整備 地域の特性を生かした 魅力ある就業の機会の創出 1

過重労働対策の一層の強化 1. 月 100 時間超の残業が行われている事業場等に対する監督指導の徹底 ( 平成 27 年 1 月から実施 ) 監督の結果 違反 問題等が認められた事業場に対しては 是正勧告書等を交付し 指導 法違反を是正しない事業場は 送検も視野に入れて対応 ( 送検した場合には企業名等を公表 ) 2. 監督指導 捜査体制の強化 都道府県労働局長自らが経営トップに対して是正勧告書を交付し是正指導 ( 平成 27 年度から実施 ) 実施した監督指導のうち 著しい過重労働の実態と関係法令違反が認められた企業について 労働局長から経営トップに対して是正勧告書を交付 過重労働に係る大規模事案 困難事案等に対する特別チームの新設 ( 平成 27 年度から実施 ) 東京労働局 大阪労働局に 過重労働に係る大規模事案 困難事案等に対応するため 特別チームを新設 3. 情報の提供 収集体制の強化 インターネットによる情報監視 (1 月から試行実施 ) 本省がインターネット上の求人情報等を監視し収集し その情報を 労働基準監督署による監督指導等に活用 (1 月からの取組状況を反映し 平成 27 年度に本格実施 ) 地方公共団体の労働関係部署や大学等の就職相談窓口と連携した情報収集 ( 平成 27 年度に実施 ) 4. メンタルヘルス対策の強化 過重労働による健康障害等に関する労働者等の相談に対応する電話相談窓口を新設 ( 平成 27 年度から実施 ) 2

働き方改革の一層の推進 本省と都道府県労働局が連携して 下記の取組を実施 1 企業の自主的な働き方の見直しの推進 2 地域における働き方改革の気運の醸成 都道府県労働局と地方公共団体が連携して まち ひと しごと 創生の観点からも取組 地域住民生活等緊急支援のための交付金 ( 平成 26 年度補正予算 1,700 億円 ) を活用し地域の実情に応じた 地域企業の職場環境の改善を推進 働き方 休み方改善ポータルサイトを活用した働き方改革の全国展開 本省幹部による業界のリーディングカンパニーへの訪問 2 月 28 日現在 25 社を訪問 * 日新火災 カルビー 伊藤忠商事 富士ゼロックスなど 25 社 引き続き 働きかけを実施 都道府県労働局長による地域のリーディングカンパニーへの訪問 都道府県労働局に 労働局長を本部長とする 働き方改革推進本部 を設置 ( 平成 27 年 1 月 ) * 全局に本部を設置し 自治体 労使団体と連携の上働き方改革を推進 管内の企業トップへの働きかけを実施 平成 27 年 1 月から全国展開へ 先進的な取組事例等について ポータルサイトを活用して情報発信 ( 平成 27 年 1 月 30 日開設 ) 企業が 働き方 休み方改善指標 を用いて診断を行い その結果に基づき対策を提案 社員が 働き方 休み方改善指標 を用いて診断を行い 自らの働き方 休み方を振り返る機会を提供 地方公共団体における働き方改革の取組事例 ( 知事等のメッセージや宣言など ) を掲載予定 地域の実情に応じた取組を国 地方公共団体が一体となって推進 3

働き方 休み方改善ポータルサイト を利用して働き方改革を進めてみませんか 厚生労働省では 企業の皆さまが社員の働き方 休み方の改善に向けた検討を行う際に活用できる 働き方 休み方改善ポータルサイ ト を開設しました サイトでは 専用指標によって企業診断ができる 働き方 休み方改善指標 や 企業における取組事例 などを 掲載しています 社員が自らの働き方 休み方を振り返るための診断も行えます 長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば 社員のメンタルヘルスに影響を及ぼす可能性が高くなり 生産性が低下します また 企業としては 離職リスクの上昇や イメージの低下など さまざまな問題が生じることになります 社員のために そして企業経営の観 点からも 長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が求められています 3 診断結果に基づき対策を提案します 1 2 働き方改革ツールを提供します 専用指標による企業診断ができます 4 5 提案内容に関連した取組を実施して いる企業の取組概要を紹介します 企業の取組事例を詳しく紹介します 働き方 休み方改善ポータルサイト http://work-holiday.mhlw.go.jp 平成27年1月30日開設 4

働き方の見直しに向けた労働時間法制の改正について ニーズ 必要性 1 働き過ぎ防止のための取り組み強化 < 一般の勤労者 > 長時間労働抑制策 年次有給休暇取得促進策 企業等における長時間労働が是正されるよう 監督指導体制の充実強化 仕事と生活の調和の取れた働き方を推進するため 特に 朝早く出社し 夕方に退社する 朝型 の働き方を普及 2 時間ではなく成果で評価される制度への改革 <グローバルに活動するプロフェッショナル> 労働時間の長さと賃金のリンクを切り離した 新たな労働時間制度 を創設する 対応案 ア年休取得が確実に進むよう 使用者に義務づけ ( 年休の一部について 使用者が 月 日は休みなさい という仕組みの導入 ) イ中小企業における月 60 時間超の時間外労働に対する割増賃金率の引上げ ( 現行 25% 改正案 50%) ウ時間外労働に対する監督指導の強化エ 朝型 など働き方の見直しに向けた企業の取組の促進 時間ではなく成果で評価される 特定高度専門業務 成果型労働制 ( 高度プロフェッショナル制度 ) の創設 3 裁量労働制の新たな枠組みの構築 < 中核的なホワイトカラー > 対象範囲や手続きを見直し 裁量労働制の新たな枠組み を構築する 4フレックスタイム制の見直し < 子育て中の勤労者 > 月をまたいだ弾力的な労働時間の配分を可能とする清算期間の延長 企画業務型裁量労働制の対象業務を拡大 ( 新たな類型の業務を対象に追加 ) フレックスタイム制を 使い勝手が良くなるよう見直し ( 清算期間 を最長 1 か月から 3 か月に延長 ) 2 月 13 日 ( 金 ) 厚生労働省の審議会で 上記の方向性を取りまとめたところ 審議会取りまとめに即して法案を作成し 本通常国会に提出予定 5

1 働き過ぎ防止のための取り組み強化 1-(1) 年次有給休暇の取得促進 労働基準法の改正 現状 いつ休むかは労働者が決める 労働者が請求しない限りは年休をとらせなくてもよい 職場の雰囲気 などで年休を取りにくい実態 ( 平成 24 年 :66.5%) 改正案 使用者が 休む日を指定する仕組みを導入する ( 年 5 日 ) 注 1: 使用者に対し年次有給休暇の付与日数が 10 日以上である労働者について 年 5 日分の指定を義務づける方向で調整中注 2: ただし 労働者が時季指定をしたり 計画的付与がなされれば使用者は上記の義務から解放される 6

1-(2) 中小企業における月 60 時間超の時間外労働に対する割増賃金率 ( 適用猶予の見直し ) 労働基準法の改正 現状 1 働き過ぎ防止のための取り組み強化 改正案 時間外労働が 1 ヶ月 60 時間を超えた分の割増賃金率は 大企業 50% 中小企業 25% ( 中小企業は 50% 規定適用猶予 ) 中小企業労働者は全労働者の 66% 時間外労働が 1 ヶ月 60 時間を超えた分の割増賃金率を大企業 50% 中小企業 50% に引き上げ 同時に 長時間労働者が多い運輸業界に支援 施行時期 : 平成 31 年 4 月 1-(3) 健康確保のための時間外労働に対する監督指導 労働基準法の改正 現状 健康確保のための時間外労働に対する監督指導の方針は 労働基準法で定められていない 改正案 健康確保のための時間外労働に対する監督指導の方針 ( ) を労働基準法で定める 助言指導を行うに当たっては 労働者の健康が確保されるよう配慮する 旨を法定 7

1 働き過ぎ防止のための取り組み強化 1-(4) 働き方の見直しに向けた企業労使の自主的取組の促進 労働時間等設定改善法の改正 現状 働き方の見直しに関するガイドラインが改訂されておらず 企業に対して推奨する取組の内容が古くなっている 改正案 ガイドラインを改訂し ノー残業デー や 長期休暇の付与 等の従来の内容のほか インターバル措置 朝型の働き方 勤務時間を限定した正社員制度 などの取組についても 新たに盛り込む 働き方の見直しに向けた全社的な取組を促進 ( 全社的な労使の話し合いの場を設定 ) 8

4 フレックスタイム制の見直し 労働基準法の改正 現状 改正案 フレックスタイム制は 労働者が一定の労働時間の枠内で 始業 終業時刻を自由に選べる制度 ( 労働者は 現在 最長 1 か月 ( 清算期間 ) で定められた労働時間の枠内で働く ) 清算期間を 最長 3 か月 に延長し より柔軟な働き方を可能とする ニーズ 例えば 6 7 8 月の 3 か月 の中で労働時間の調整が可能となるため 子育て中の親が 8 月の労働時間を短くすることで 夏休み中の子どもと過ごす時間を確保しやすくなる 9

フレックスタイム制の見直し ( 清算期間の延長 ) について 現行制度 フレックスタイム制とは 労働者が始業 終業時刻を自由に選べる制度 結果的に 労働時間が長い日もあれば 短い日もある このため 労働者は 清算期間 ( 現在 最長 1 か月 ) で定められた所定労働時間に達するよう 労働時間を調整して働く ( 法定労働時間の枠を超えれば割増賃金が発生 ) 課題 対応案 現在 清算期間 が最長 1 か月なので 労働者は 1 か月の中での生活上のニーズに対応することはできるが 1 か月を超えた労働時間の調整はできない 清算期間 を最長 3 か月に延長し より柔軟な働き方を可能とする 例えば 6 7 8 月の 3 か月 の中で労働時間の調整が可能となるため 子育て中の親が 8 月の労働時間を短くすることで 夏休み中の子どもと過ごす時間を確保しやすくなる 労働時間 1 現行では 1 か月で清算するので この分の割増賃金を支払う必要 2 所定労働時間 ( 通常は法定労働時間以内で設定 ) 働いていないため 現行では欠勤扱いとなる 法定労働時間 清算期間を 3 か月とすれば 1 割増賃金を支払う必要はなくなる 26 月に働いた時間分は 8 月に働かなくても欠勤扱いとならない 6 月 7 月 8 月 10

豊かで活力ある社会の実現を図るためには 自らの意思によって職業生活を営み 又は営もうとする女性の個性と能力が十分に発揮されることが一層重要である そのため 以下を基本原則として 女性の職業生活における活躍を推進する 女性に対する採用 昇進等の機会の積極的な提供及びその活用が行われること 職業生活と家庭生活との両立を図るために必要な環境の整備により 職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立を可能にすること 女性の職業生活と家庭生活との両立に関し 本人の意思が尊重されるべきこと 基本方針等の策定 国は 女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針を策定 ( 閣議決定 ) 地方公共団体 ( 都道府県 市町村 ) は 上記基本方針等を勘案して 当該区域内における女性の職業生活における活躍についての推進計画を策定 ( 努力義務 ) 事業主行動計画の策定等 国は 事業主行動計画の策定に関する指針を策定 国や地方公共団体 民間事業主は以下の事項を実施 ( 労働者が 300 人以下の民間事業主については努力義務 ) 女性の活躍に関する状況の把握 改善すべき事情についての分析 参考 状況把握する事項: 1 女性採用比率 2 勤続年数男女差 3 労働時間の状況 4 女性管理職比率等 上記の状況把握 分析を踏まえ 定量的目標や取組内容などを内容とする 事業主行動計画 の策定 公表等 女性の活躍に関する情報の公表 ( 省令で定める事項のうち 事業主が選択して公表 ) 国は 優れた取組を行う一般事業主の認定を行うこととする 女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置 国は 職業訓練 職業紹介 啓発活動 情報の収集 提供等を行うこととする 地方公共団体は 相談 助言等に努めることとする 地域において 女性活躍推進に係る取組に関する協議を行う 協議会 を組織することができることとする ( 任意 ) その他 原則 公布日施行 ( 事業主行動計画の策定については 平成 28 年 4 月 1 日施行 ) 10 年間の時限立法 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案の概要 11

1 基本方針等 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案の概要 ( 民間事業主関係部分 ) 国は 女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針を策定 ( 閣議決定 ) 地方公共団体 ( 都道府県 市町村 ) は 上記基本方針等を勘案して 当該区域内における推進計画を策定 ( 努力義務 ) 2 事業主行動計画等 1~3 について大企業 (301 人以上 ): 義務 / 中小企業 (300 人以下 ): 努力義務 1 自社の女性の活躍に関する状況把握 課題分析 状況把握の必須項目 ( 省令で規定 ) 1 女性採用比率 2 勤続年数男女差 3 労働時間の状況 4 女性管理職比率 任意項目についてさらに検討 ( 例 : 非正規雇用から正規雇用への転換状況等 ) 2 状況把握 課題分析を踏まえた行動計画の策定 届出 公表 ( 指針に即した行動計画を策定 公表 ( 労働者への周知含む )) 行動計画の必須記載事項 目標 ( 定量的目標 ) 取組内容 実施時期 計画期間 3 女性の活躍に関する情報公表 情報公表の項目 ( 省令で規定 ) 女性の職業選択に資するよう 省令で定める情報 ( 限定列挙 ) から事業主が適切と考えるものを公表 4 認定制度 認定基準 ( 省令 ) は 業種毎 企業規模毎の特性等に配慮し 今後検討 5 履行確保措置厚生労働大臣 ( 都道府県労働局長 ) による報告徴収 助言指導 勧告 - 行動計画策定指針 ( 告示 )- 国は 事業主行動計画の策定に関する指針を策定 女性の活躍のために解決すべき課題に対応する以下の項目に関する効果的取組等を規定 各企業は これらを参考に自社の課題解決に必要な取組を選択し 行動計画を策定 女性の積極採用に関する取組 配置 育成 教育訓練に関する取組 継続就業に関する取組 長時間労働是正など働き方の改革に向けた取組 女性の積極登用 評価に関する取組 雇用形態や職種の転換に関する取組 ( パート等から正規雇用 へ 一般職から総合職へ等 ) 女性の再雇用や中途採用に関する取組 性別役割分担意識の見直し等職場風土改革に関する取組 3 その他 ( 施行期日等 ) 地域において 女性活躍推進に係る取組に関する協議を行う 協議会 を組織することができることとする ( 任意 ) 原則 公布日施行 ( 事業主行動計画の策定については 平成 28 年 4 月 1 日施行 ) 10 年間の時限立法 12

労働政策審議会建議 女性の活躍推進に向けた新たな法的枠組みの構築について ( 平成 26 年 9 月 30 日 ) ( 抜粋 ) 2 女性の活躍のために解決すべき課題 (4) 継続就業 ( 略 ) 一方 両立困難による退職の具体的理由としては 勤務時間が合いそうもなかった (65.4%) 職場に両立を支援する雰囲気がなかった (49.5%) を挙げる回答が多い 現に 第 1 子出産時の継続就業状況と職場の育児休業制度との関係を見てみると 単に規定が整備されているだけでなく 実際に利用しやすい雰囲気があるかどうかによって 大きく継続就業率が異なっている ( 略 ) 女性が出産 子育てを通じて働き続けられる職場環境とするためには 長時間労働の是正に加え フレックスタイムやテレワークなど働き方の柔軟性が重要である また 制度を整えることに加え 出産 子育てをしながら働き続けることを支援する職場の雰囲気を作ることが重要である ( 略 ) さらに 配偶者の男性の家事 育児参画度合いも 女性の継続就業に非常に大きな影響を与えている ( 略 ) 日本の男性は アメリカや欧州諸国の男性に比べ 家事 育児の時間が極端に短いが その背景には 諸外国には見られない長時間労働の実態がある 女性の活躍を推進するためには 男女を通じた 社会全体での長時間労働の是正が不可欠である 13

労働政策審議会建議 女性の活躍推進に向けた新たな法的枠組みの構築について ( 平成 26 年 9 月 30 日 ) ( 抜粋 ) 2 女性の活躍のために解決すべき課題 (5) 男女を通じた長時間労働の是正など働き方の改革 上述のように 長時間労働は その職場における女性の活躍の大きな障壁となるだけでなく その職場 の男性の家事 育児分担を困難にし 当該男性の配偶者である女性の活躍の障壁ともなるとともに 少子化の要因ともなっている等 当該企業だけでなく 社会全体へ負の影響を及ぼす ( 略 ) 長時間労働の是正には 労働者一人一人の時間当たりの生産性の高さを評価することが効果的だと 考えられている一方で 実際には 7 割強の企業において取り組まれていない また 女性が出産 子育てを通じて働き続けられる職場環境とするためには 長時間労働の是正に 加え 働き方の柔軟性が重要である 男女を通じた長時間労働の是正を含めた働き方の改革に向け 事業主の取組につながるよう有効な方策を検討していく必要がある 14

〇 日本再興戦略 改訂2014において テレワークの推進に向け 新たなモデルの構築 導入ノウハウの提供等に取り組む とされ 世界最先端IT国家創造宣言に おいても 引き続き 2020年には テレワーク導入企業を2012年度比で3倍 週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10 以上 にすることが宣言されている 〇このため テレワークの普及促進に向けた気運の醸成 個別企業へのきめ細かな支援に係る施策等を強化するとともに テレワークモデル実証事業の平成26年度 成果を踏まえた検証の実施や業界団体と連携した傘下企業への支援を実施することによりテレワークの普及促進を図る必要がある 平成27年度予算 案 1,134,214千円 1 普及促進に向けた気運の醸成 ノウハウの周知 労務管理Q&A集の作成 新規 テレワーク セミナー 拡充 労務管理上の留意点 VDT作業における留意点等について 関心のある 企業等へ広く周知するためのセミナーを開催 子育て 介護との両立事例集の作成(継続 テレワークにより仕事と子育て 介護との両立を支援する企業の事例集を作成 テレワーク導入のための労務管理Q&A集を作成して 周知 労使向けシンポジウムの開催 新規 テレワーク普及に向けた社会的気運の醸成を図るため 先進的企業に対して政府 として表彰を行い その取組みをシンポジウム等を通じて幅広く周知 2 個別企業 業界団体へのきめ細かな支援 相談センター運営 訪問コンサルタント 継続 テレワークの導入 実施時における労務管理上の課題等について 相談に 応える相談センターを設置 相談センターにおいて テレワークの導入を検討する企業に対して総務省 が実施するICT技術のためのコンサルタントと連携して労務管理等に関する 訪問によるコンサルティングを実施 職場意識改善助成金 テレワークコース等 拡充 サテライトオフィスを活用したテレワークについても助成の範囲とする等の 拡充を図る 業界団体と連携した支援 新規 業界団体と連携し 業種の特性に応じたテレワークの導入を促進するため 団体傘下の企業に対し コーディネーター等を通じた支援を実施 3 テレワークモデル実証事業 平成26年度に構築予定の 週1日以上在宅で就業する雇用型在宅型 テレワーク等を可能とする労務管理 人事評価 情報通信技術等に係る 実証モデル について 課題の検証 モデル更新 再実証 を行う 平成26年度 平成28年度の3年間で実施 モデルを検証するための有識者による検討会を開催 平成26年度の成果を踏まえた事例集の作成 新規 15

背 景 多元的で安心できる働き方 の導入促進 < 平成 27 年度予算案 > 正規 非正規の二極化を解消し 雇用形態にかかわらず 労働者の希望に応じて 安心して生活できる多様な働き方を実現するため 日本再興戦略改訂 2014 ( 平成 26 年 6 月 24 日閣議決定 ) において 働き方改革の実現 の一つとして 職務等を限定した 多様な正社員 の普及 拡大 が盛り込まれた 平成 27 年度は 多様な正社員 の普及 拡大を図るため 成功事例や雇用管理上の留意点等の周知を行うとともに モデル就業規則の作成 多様な正社員制度の導入 ( 無期転換ルールへの対応を含む ) を検討している企業に対するコンサルティングの実施を通じて 制度導入のノウハウを情報提供し導入促進を図る また シンポジウムの開催等により 多様な正社員 に対する社会的気運の醸成を図る 取組概要 平成 27 年度予算案 99 百万円 (123 百万円 ) 企業に対する多様な正社員の導入支援 多様な正社員 ( 無期転換含む ) のモデル就業規則の作成等 業種別の実態調査 規定収集 モデル就業規則作成 企業アンケート調査による多様な正社員の運用実態等の把握 企業に対するコンサルティングの実施 多様な正社員制度の導入等を検討している企業 (100 社 ) への支援 モデル就業規則 モデル就業規則の周知等 収集事例 ( コンサルティング事例等 ) 各種機会を活用した企業への周知 局署において企業からの相談への対応や助言に活用 多様な正社員の周知 啓発 非正規雇用労働者の処遇改善の取組を実施している事例収集 非正規雇用労働者の賃金水準の向上に取り組んでいる事例 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の 同一労働同一賃金 を実現している事例 事例集 取りまとめた成果の周知 啓発等 ホームページの更新 運営 多様な正社員 に関する事例 非正規雇用労働者の処遇改善に取り組んでいる事例を追加 シンポジウムの開催 全国主要地域において 企業 有識者 マスコミ等を参加者として シンポジウムを開催し 多様な正社員 に対する社会的気運の醸成を図る 企業向けセミナーの開催 16 事例等を活用し 都道府県労働局においてセミナーを実施

キャリアアップ助成金について ( 平成 27 年度予定額 :221 億円 ) 有期契約労働者 短時間労働者 派遣労働者といった非正規雇用労働者の企業内のキャリアアップ等を促進するため 正規雇用転換や処遇改善などの取組を実施した事業主に対して包括的に助成 本助成金の活用に当たって 事前に事業所ごとに キャリアアップ管理者 の配置 キャリアアップ計画 の作成が必要 助成メニュー 下線は平成 27 年度における新規または拡充部分 コース名 内容助成額 ( ) 内は大企業の額 ( 注 ) は平成 28 年 3 月 31 日まで助成額を拡充または要件を緩和 正規雇用等転換 有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用 1 有期 正規 :1 人当たり 50 万円 (40 万円 ) 2 有期 無期 :1 人当たり 20 万円 (15 万円 ) 3 無期 正規 :1 人当たり 30 万円 (25 万円 ) ( 注 ) ( 注 ) 派遣労働者を正規雇用で直接雇用する場合 1 人当たり 30 万円 ( 大企業も同額 ) 加算 ( 注 ) 多様な正社員 勤務地 職務限定正社員制度を新たに規定有期契約労働者等を多様な正社員に転換または直接雇用 1 勤務地 職務限定正社員制度規定 適用 :1 事業所当たり40 万円 (30 万円 ) 2 有期 無期 勤務地 職務限定 短時間正社員 :1 人当たり30 万円 (25 万円 ) 3 正規 短時間正社員 短時間正社員雇入れ 0 :1 人当たり20 万円 (15 万円 ) 派遣労働者を多様な正社員で直接雇用する場合 1 人当たり 15 万円 ( 大企業も同額 ) 加算 ( 注 ) 上記の他 有期契約労働者等に対する人材育成 ( 職業訓練 ) 処遇改善 法定外の健康診断制度の規定 所定労働時間延長を実施した場合に助成 17

趣旨 経緯 多様な正社員 の普及 拡大のための有識者懇談会報告書の概要 いわゆる正社員 と 非正規雇用の労働者 の働き方の二極化を緩和し 労働者一人ひとりのワーク ライフ バランスと 企業による優秀な人材の確保や定着の実現のため 職務 勤務地又は労働時間を限定した 多様な正社員 を労使双方にとって望ましい形で普及させることが求められている 日本再興戦略 ( 平成 25 年 6 月閣議決定 ) 等を踏まえ 多様な正社員の普及 拡大のための有識者懇談会 ( 座長 : 今野浩一郎学習院大学教授 ) において 多様な正社員 の雇用管理をめぐる課題について検討 労使等の関係者が参照することができる 雇用管理上の留意事項 や就業規則の規定例を整理するととともに 政策提言をとりまとめ 公表 ( 平成 26 年 7 月 30 日 ) 雇用管理上の留意事項 のポイント 多様な正社員の効果的な活用が期待できるケース 事業所閉鎖や職務の廃止等への対応 ( 雇用保障 ) 均衡処遇 制度の設計 導入 運用に当たっての労使コミュニケーション 労働者に対する限定の内容の明示 転換制度 いわゆる正社員の働き方の見直し 人材育成 職業能力評価 主な留意事項の内容 労働条件の明示 転換制度 均衡処遇 雇用保障 限定がある場合は 限定の内容を労働者に明示し 書面で確認 転換制度 ( 社内のルール ) を設け 転換応募資格 要件等についても制度として明確化 労使の話し合いで納得性のある賃金の水準とすること いわゆる正社員と比較した勤務地限定正社員の賃金水準は 9 割超 ~8 割の水準とする企業が多い 勤務地や職務の限定のゆえに 事業所閉鎖や職務廃止の際に直ちに解雇が有効となるわけではなく 整理解雇法理を否定する裁判例はない 主な政策提言の内容 労働契約の締結 変更時の労働条件の明示 いわゆる正社員との相互転換 均衡処遇について 労働契約法の解釈を通知し 周知を図る (7 月 30 日付け通達発出 ) 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定指針に 限定の内容の明示等が望ましいことを明記する ( 平成 26 年 11 月 28 日告示制定 ) 多様な正社員の導入に対する新たな支援 ( 助成措置等 ) を行う 18