また 国外財産調書制度は 2013 年 12 月末の国外財産から調書の提出義務が始まりましたので 5,000 万円超の国外財産を保有の方はご留意ください これに関連して 国税庁より 2013 年 11 月 15 日に FAQ が発表されており FAQ は国税庁のホームページで閲覧等できます 資産税ニ

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給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

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【表紙】

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

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支給開始日以前に カ月の標準報酬月額がある場合 06 年 月 日まで 06 年 4 月 日以降 休んだ日の標準報酬月額 0 日 / 支給開始日以前の継続した カ月間の各月の標準報酬月額の平均額 0 日 / ( 例 ) 支給開始日以前の継続した カ月間に 標準報酬月額が 6 万円の月が カ月 0 万円

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所令要綱

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

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第 5 章 N

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(ⅲ) 源泉徴収選択口座への受入れ 源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

上場株式等の配当等に対する課税

49 年 12 月 31 日までの間 源泉徴収される配当等の額に係るの額に対して 2.1% の税率により復興 特別が源泉徴収されます b. 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 分割型分割及び株式分配並びに組織変更による場合を除く 以下本 1において同じ

1 仮想通貨の売却問保有する仮想通貨を売却 ( 日本円に換金 ) した際の所得の計算方法を教えてください ( 例 )3 月 9 日 2,000,000 円 ( 支払手数料を含む ) で4ビットコインを購入した 5 月 20 日 0.2 ビットコイン ( 支払手数料を含む ) を 110,000 円で

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Z-64-A 簿記論〔第一問〕-解 答-

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1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

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事業承継税制の全体像は ( 図表 1) の通りである ( 図表 1) 事業承継税制の全体像 経営者 1 代目 経営者 2 代目 一括贈与 大臣認定 贈与税の課税 贈与税の納税猶予の適用 相続税の納税猶予制度と同様 雇用確保を含む 5 年間の事業継続を行い その後も株式を継続保有 生前贈与により株式の

( ロ ) 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る出資等減少分配 ( 所得税法第 24 条に定めるものをいいます 以下 本 ( ロ ) 出資等減少分配に係る税務 において同じです ) のうち本投資法人の税務上の資本金等の額に相当する金額を超える金額がある場合には みなし配当 ( 計

d. 少額上場株式等の非課税口座制度 ( 通称 NISA) 少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した非課税口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 26 年から平成 35 年までの 10 年間 新規投資額で毎年 100 万円を上限

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A. 受贈者に一定の債務を負担させることを条件に 財産を贈与することを 負担付贈与 といいます 本ケースでは 夫は1 妻の住宅ローン債務を引き受ける代わりに 2 妻の自宅の所有権持分を取得する ( 持分の贈与を受ける 以下持分と記載 ) ことになります したがって 夫は1と2を合わせ 妻から負担付贈

投資主が受け取る配当等の額については 原則どおり配当等の額を受け取る際に20%( 所得税 )( 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までは復興特別所得税とあわせて20.42%) の税率により源泉徴収された後 総合課税の対象となります ( ロ ) 出資等減少分配に係る税

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(1) 改正の内容 内容 現行制度 特例制度 納税猶予対象株式 納税猶予税額 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の 80% 取得した全ての株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係

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税金読本(8-5)特定口座と確定申告

を受けたものを除きます ) の合計額に対応する譲渡所得 ( 又は山林所得 ) がないものと仮定して次の算式により計算した税額 X 又はYと 確定申告書に記載される所得税額との差額に相当する金額とされています ( 所法 1324 所令 266 措令 平 25.5 改正前の措令 25の814

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

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1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

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特別障害者一人につき 75 万円を所得から控除することができます 障害者控除は 扶養控除の適用がない16 歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます ⑶ 心身障害者扶養共済掛金の控除 P128 条例の規定により地方公共団体が実施するいわゆる心身障害者扶養共済制度による契約で一定の要件を備えて

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Transcription:

www.pwc.com/jp/tax 資産税ニュース 2014 年度税制改正富裕層への主な影響項目 Issue 14, May 2014 2014 年度税制改正に関する法律 所得税法等の一部を改正する法律案 が 2014 年 3 月 20 日に国会で可決 成立し 3 月 31 日に公布されました 別段の定めのあるものを除き 2014 年 4 月 1 日より施行されています このニュースレターでは 税制改正の内 所得税及び資産税 ( 相続税 贈与税等 ) について 富裕層の方に影響があると思われる項目を中心に 主要な部分の概要をお伝えします また 現時点においては改正税法に対応する政令や省令の改正が一部未了になっており 今後の政省令の追加の改正によって明らかになる部分があります点 ご了承ください 2014 年 3 月 20 日に 2014 年度税制改正法案が可決 成立し 3 月 31 日に公布されました 以下 所得税及び資産税 ( 相続税 贈与税等 ) について 富裕層の方に大きな影響があると思われる項目を中心に 主な改正の概要をご紹介します 1. 給与所得控除の上限の引下げ 2. 同族会社の発行する社債 ( 私募債 ) の利子所得の分離課税不適用 3. ストックオプションの権利行使前譲渡にかかる改正 4. ゴルフ会員権の譲渡損失の損益通算の廃止 5. 相続により取得した土地等の譲渡にかかる相続税取得費加算の特例の改正 6. 公益法人等への寄附にかかる譲渡所得等の非課税範囲の縮小 7. 医業継続のための相続税 贈与税の納税猶予制度の創設 8. 純資産価額方式における評価差額に対する法人税額等に相当する金額の改正 9. 国外証券口座へ有価証券を移管した場合の法定調書の新設

また 国外財産調書制度は 2013 年 12 月末の国外財産から調書の提出義務が始まりましたので 5,000 万円超の国外財産を保有の方はご留意ください これに関連して 国税庁より 2013 年 11 月 15 日に FAQ が発表されており FAQ は国税庁のホームページで閲覧等できます 資産税ニュース Issue 12 国外財産調書制度の創設 (2) http://www.pwc.com/jp/ja/taxnews-estate-taxation/issue12.jhtml 国税庁ホームページ 国外財産調書の提出制度 (FAQ) http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hotei/kokugai_zaisan/pdf/kokugai_faq.pdf 1. 給与所得控除の上限の引下げ 給与所得は 収入から一定の算式による給与所得控除額を控除して算出されますが 給与所得控除額の上限が以下のとおり引き下げられます 現行 2016 年分の所得税 2017 年分以降の所得税 ( 1) ( 2) 上限額が適用される給与収入 1,500 万円 1,200 万円 1,000 万円 給与所得控除の上限額 245 万円 230 万円 220 万円 1 個人住民税については 2017 年分について適用 2 個人住民税については 2018 年分から適用 ( 参考 : 給与所得控除の速算表 ) 給与収入金額 給与所得控除額 65 万円まで 65 万円 65 万円超 180 万円以下 収入金額 40% 180 万円超 360 万円以下 収入金額 30%+18 万円 360 万円超 660 万円以下 収入金額 20%+54 万円 660 万円超 1,000 万円以下 収入金額 10%+120 万円 1,000 万円超 収入金額 5%+170 万円 2. 同族会社の発行する社債 ( 私募債 ) の利子所得の分離課税不適用 2013 年度税制改正により 同族会社において同族株主等が支払いを受ける社債 ( 私募債 ) の利子について 2016 年以降は 原則として源泉分離課税 (20%) ではなく 総合課税 ( 最高税率 55%) の対象となりました ただし 2015 年 12 月 31 日以前に発行した社債については 特定公社債として従来とほぼ同様の分離課税 ( 申告分離課税 20% ただし源泉徴収されたものは申告不要も可 ) の対象となる例外対象となっていました 今回の改正で 特定公社債の範囲から 2015 年 12 月 31 日以前に発行した公社債であっても同族会社が発行した社債は除外されることになりました したがって 同族会社が 2015 年 12 月 31 日以前に発行した社債 ( 私募債 ) の利子でその同族会社の株主等が 2016 年 1 月 1 日以降に支払を受けるものは 利子所得の源泉分離課税 ( 所得税 15% 住民税 5%) の対象から除外され 総合課税 ( 所得税最高税率 45% 住民税 10%) の取扱いを受けることになります 3. ストックオプションの権利行使前譲渡にかかる改正 発行法人から与えられた新株予約権等でその権利行使時に経済的な利益に対して課税されるものを 権利行使前にその新株予約権等の発行者に譲渡した場合には 当該譲渡対価の額を 事業所得に係る総収入金額 給与等の収入金額 退職手当等の収入金額 一時所得に係る総収入金額又は雑所得に係る総収入金額とみなして課税することになりました PwC 2

上記の改正は 2014 年 4 月 1 日以後に行う新株予約権等の譲渡について適用されます 4. ゴルフ会員権の譲渡損失の損益通算の廃止 譲渡損失の他の所得との損益通算及び雑損控除を適用することができない生活に通常必要でない資産の範囲に 主として趣味 娯楽 保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産 ( ゴルフ会員権等 ) を加えることとされます 上記の改正は 2014 年 4 月 1 日以後に行う資産の譲渡等について適用されます 従来は いわゆるゴルフ会員権を譲渡して損失が生じた場合は 一般的には総合課税の譲渡所得として取扱われ 給与所得等の他の所得と損益通算することができました しかしながら 2014 年 4 月 1 日以降の譲渡にかかる損失からは損益通算ができないことになります 5. 相続により取得した土地等の譲渡にかかる相続税取得費加算の特例の改正 相続等により取得した資産を 相続開始から 3 年 10 カ月以内に譲渡した場合には その譲渡資産の取得費には一定の計算方法により支払った相続税を加算することができますが 土地等についての計算方法が以下のとおり改正されました 相続財産である土地等を譲渡した場合の特例について 当該土地等を譲渡した場合に譲渡所得の金額の計算上 取得費に加算する金額を その者が相続した全ての土地等に対応する相続税相当額から その譲渡した土地等に対応する相続税相当額とされます 上記の改正は 2015 年 1 月 1 日以後に開始する相続又は遺贈により取得した資産を譲渡する場合について適用されます 6. 公益法人等への寄附にかかる譲渡所得等の非課税範囲の縮小 公益法人等へ寄附をする場合には 一定の要件の下で国税庁長官の承認を受けることで寄附に関する譲渡所得は非課税として取扱われます その非課税のための要件として以下追加されました 国税庁長官の非課税承認の要件である寄附者の所得税等を不当に減少させる結果とならないことを満たすための条件に 株式の寄附を受けた公益法人等が当該寄附によりその株式発行法人の発行済株式総数の 2 分の 1 を超えて保有することにならないことが追加されました 上記の改正は 2014 年 4 月 1 日以後に行われる株式の寄附について適用されます そもそも公益法人等は他の会社の議決権の過半数を保有することはできないため 過半数を超えるような株式の寄附や保有の事例は一般的に見受けられませんでした しかし 近年では会社法の改正により種類株式の発行が容易になって以降 無議決権株式を多数発行することにより発行済株式総数の殆ど全てを財団に寄附し 保有させることも実務的に可能となっています こういった状況に鑑みて 寄附する財産がある会社の発行済株式総数の 2 分の 1 を超えるような極端なケースを制限するための改正と考えられます 7. 医業継続のための相続税 贈与税の納税猶予制度の創設 個人 ( 以下 相続人 という ) が持分の定めのある医療法人の持分を相続又は遺贈により取得した場合において その医療法人が相続税の申告期限において認定医療法人であるときは 担保の提供を条件に 当該相続人が納付すべき相続税額のうち 当該認定医療法人の持分に係る課税価格に対応する相続税額については 認定移行計画の期間満了までその納税を猶予し 移行期間内に当該相続人が持分の全てを放棄した場合には 猶予税額が免除されます また 持分の定めのある医療法人の出資者が持分を放棄したことにより他の出資者の持分の価額が増加することについて その増加額 ( 経済的利益 ) に相当する額の贈与を受けたものとみなして当該他の出資者に贈与税が課される場合において その医療法人が認定医療法人であるときは 担保の提供を条件に 当該他の出資者が納付すべき贈与税額のうち 当該経済的利益に係る課税価格に対応する贈与税額については 認定移行計画の期間満了までその納税を猶予し 移行期間内に当該他の出資者が持分の全てを放棄した場合には 猶予税額が免除されます PwC 3

認定医療法人とは 良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律に規定される認定移行計画について 認定制度の施行の日から 3 年以内に厚生労働大臣の認定を受けた医療法人をいいます 上記の改正は 認定移行計画の認定制度の施行の日以後の相続若しくは遺贈又はみなし贈与に係る相続税又は贈与税について適用されます 8. 純資産価額方式における 評価差額に対する法人税額等に相当する金額 の改正 相続 遺贈又は贈与の場合の取引相場のない株式等の評価における純資産価額方式では 評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除しますが 当該評価差額に対する法人税額等に相当する金額の算定に用いる 法人税率等の合計割合 が 42% から 40% に改正されました これは 2014 年度税制改正において 2014 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度から復興特別法人税が廃止され 法人税率等の合計割合 の根拠となる税率等が変わったことに伴う改正です 上記の制度は 2014 年 4 月 1 日以後に相続 遺贈又は贈与により取得した取引相場のない株式等の評価に適用されます 9. 国外証券口座へ有価証券を移管した場合の法定調書の新設 金融商品取引業者等の営業所の長が 顧客の依頼に基づき 当該営業所に開設された有価証券の保管等に係る口座 ( 以下 国内証券口座 という ) から国外において金融商品取引業を営む者の営業所等に開設された有価証券の保管等に係る口座 ( 以下 国外証券口座 という ) に有価証券の移管をした場合又は国内証券口座に国外証券口座から有価証券の移管を受けた場合には 当該金融商品取引業者等の営業所の長は その移管に係る有価証券の種類 数又は金額その他の事項を記載した調書を 当該営業所の所在地の所轄税務署長に提出しなければならないことになりました 上記の制度は 2015 年 1 月 1 日以後に行われる有価証券の移管について適用されます これは納税者が直接提出するものではありませんが 2015 年以降は有価証券を国外証券口座に移管した場合には 金融機関の方からその情報 ( 種類 数量 金額等 ) が税務署に通知されることになります 国外財産調書制度に加えて 税務当局による個人の有する国外財産の把握手段がさらに強化されることになります PwC 4

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