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図 1 主要なアフラトキシンの構造式 AF は紫外線照射下で非常に強い蛍光を発するため, 薄層クロマトグラフィー (TLC) や高速液体クロマトグラフィー (HPLC ) で分離したAF を蛍光検出器 (FL) で測定する方法が基本的な方法である 3) 抽出には, メタノール 水混液, クロロホルム等を用い, シリカゲルやフロリジル 5) を用いたカラムクロマトグラフィーで精製が行われてきた 近年, 免疫学的な手法として AF に対する抗体が作製され, それをカラムに固定したイムノアフィニティーカラム (IAC) が AF の精製によく使用されるようになった 6)~16) AF 分析用 IAC のほとんどは,AFB 1,B 2,G 1, G 2, M 1 及びM 2 の同時精製が可能である 価格の高さ, 使用期限の短さ, 精製可能な試料量の少なさ等の欠点はあるが,IAC で精製した後 HPLC で測定するときょう夾ざつ雑ピークが非常に少ないクロマトグラムが得られる IAC を使用する場合, その抗体を変性させないために抽出溶媒にメタノール 水混液がよく使用され,AF に自然汚染した香辛料からの抽出率が低くなる場合があった しかし, アセトニトリルに耐性の強い抗体を用いた IAC が作製 17), 市販され, 香辛料中の AF の抽出に適したアセトニトリル 水混液が使用できるようになったため, この問題も解決の方向にある また, もう一つの精製法として, 逆相, イオン交換等の複数の充 剤を混合した多機能カラムと呼ばれる固相抽出カラムも使用されている 3)4)18) 通常, 乾燥状態のカラムをプレコンディショニングなしで使用し, 試料抽出液を通過させるだけで精製を行う 精製後の HPLC のクロマトグラムには夾雑ピークがやや多いが, 精製に要する時間が短く, 迅速な分析が可能である アセトニトリル 水混液で抽出し多機能カラムで精製後,HPLC FL で測定する方法が, 現在の日本の AF の公定法である HPLC で AF が検出された場合の確認法としてフォトケミカルリアクターを使用する方法 19)20) がある 図 2 ラテラルフロー試験の原理 HPLC の分析カラムと蛍光検出器の間にリアクターを挿入し, 分析カラムで分離した後, リアクター中で強い紫外線を照射して AFB 1 と AFG 1 を誘導体化する 通常行われているトリフルオロ酢酸で誘導化した後 HPLC に注入する場合とAFB 1 と AFG 1 誘導体の保持時間が異なる この装置は安価 ( 定価 :20 万円程度 ) であり,AF の確認法として有用な方法である 検出法として LC/MS/MS を使用する方法が報告されている 21)~24) が, 試料と精製法によってはマトリックス効果によるイオン化抑制等が起こり, 定量値が正確でない場合がある このような場合には, 安定同位体を用いた内部標準物質 ( 以下 サロゲート と記載 ) を用いて定量値の補正を行うが,AF のサロゲートは, 現在のところ市販されていない しかし,HPLC で検出された際の確認法としては有用な手法の一つであり,AF のサロゲートを作製したとの報告 25) もあることから, 今後, 定量性も改善されると考えられる また,HPLC 等の大型機器を必要とせず, 迅速なスクリーニング法として免疫学的な検出法が開発されてい 552

る マイクロウェルにコートした抗 AF 抗体を使用する ELISA は, 試料マトリックスの影響で擬陽性, 擬陰性等, 正しい結果が出ない場合もあるが, 対象試料をトウモロコシ等の分析可能な試料に限定すれば, 多数の検体を短時間で処理できるスクリーニング法として有用である 近年, 抗 AF 抗体 金コロイド複合体を使用したイムノクロマトグラフ法 26)~30) が新たに開発され, キットが市販されている ラテラルフロー試験紙にはテストライン (AF BSA を固定 ) とコントロールライン ( 抗マウス IgG 抗体を固定 ) の 2 本のラインが用意されている { 図 2(a)} 試料抽出液を抗 AF 抗体 金コロイド ( 着色 ) 複合体とマウス IgG 金複合体とに混合した後, その混合液をラテラルフロー試験紙に吸収させる 混合液は, 毛細管現象により試験紙を移動していき,2 本のラインを通過する 試料抽出液中の AF 濃度が低い (cut off 値以下 ) 場合は,AF と未結合部位のある抗 AF 抗体 金コロイド複合体が混合液中に残る それが試験紙上を移動していき, 試験紙の AF BSA 複合体 ( テストライン ) に結合してとどまり, 着色したラインとなるため, 目視で判定できる { 図 2(b)} 試料抽出液中の AF 濃度が高い (cut off 値以上 ) 場合は, 抗 AF 抗体の AF 結合部位はふさがれているため, テストラインを通過し, テストラインは着色しない コントロールラインは, 試験が成功しているかどうかの判定用である 操作が簡便なため測定者によるばらつきが少なく, 短時間で結果が得られるため, スクリーニング法として普及してきている 3 オクラトキシンの分析法オクラトキシンA は腎毒性を有するカビ毒で, 穀類, 豆類, 果実加工品等幅広い食品から検出されている オクラトキシンには 10 種類ほど同族体があるが, 最も重要なものは, オクラトキシンA, 次いでB である この二つの構造式を図 3 に示した オクラトキシンは, フェニルアラニンが結合したイソクマリン骨格を有している オクラトキシン A に対してヨーロッパ諸国を中心に規制値が設けられており,EU の規制値は, 穀類, ブドウ加工品に対して 2~10 ng/kg である 31) このため, 精密な分析法の定量下限は,0.2~1 ng/kg 以下であることが望まれる オクラトキシン A 及び B は紫外線照射下で蛍光を発するため, 蛍光検出器付きのHPLC で測定されてきた 抽出には酢酸エチル, クロロホルム等が, 精製には, カルボン酸を有することを利用して, 液 液分配や, イオン交換等の固相抽出法が用いられてきた 4)32) オクラトキシン A にも抗体が作製され, 現在は, 精製に IAC を用い, 測定に蛍光検出器付き HPLC を使用する分析法 3)33)~39) が主流となっている AF では, 複 図 3 オクラトキシンの構造式数の主要な AF を一つの IAC で精製することが可能であるが, オクラトキシン A の抗体は B を認識しないものもあり,IAC を用いてオクラトキシン A と B を同時に精製した報告は見あたらない 最近, オクラトキシン B の抗体も作製されたとの報告 40) があった 今後 IAC によるオクラトキシン A と B の同時分析も行われると考えられる オクラトキシンの分析にも LC/MS/MS を使用した分析法が多数報告されている オクラトキシンの場合, LC/MS では蛍光検出器よりも感度が悪いが,LC/MS/ MS では蛍光検出器と同等以上の感度であるため, 汚染実態調査に使用されてきている 12)32),41)~43) オクラトキシン A のスクリーニング試験にも AF と同様に ELISA 44)~46) やイムノクロマトグラフ法 46) が開発されている 4 トリコテセン系カビ毒の分析図 4 に示した特徴的な 4 環構造のトリコテセン骨格 (tetracyclic 12,13 epoxy trichothec 9 ene) を有するカビ毒は, 総称してトリコテセン系カビ毒と呼ばれている 70 種以上の化合物が知られており, その構造によりタイプ A~F の六つのタイプに分類されている その中で食品衛生上特に重要なものはタイプ A と B に含まれる 6 種類である ( 図 4) 日本でも暫定規準値が設定されているデオキシニバレノール (DON) には, 規制値を 750 ng/kg 前後に設定している国が多い 2) そのため,AF やオクラトキシンほどの高感度は要求されない タイプ A 及び B の数種のトリコテセン系カビ毒を同時に分析する方法が多数報告されている よく粉砕した試料をアセトニトリル 水混液等で抽出し, フロリジルまたはシリカゲルのカラムで精製し, トリメチルシリル化後 GC/MS の SIM モードで定量する方法が基本である 検出された場合は SCAN モードで測定し, マススペクトルを標準品と比較して確認を行う 4) トリコテセン系カビ毒にも IAC を使用した DON や T 2 トキシン等の分析法が開発されている 47)~49) AF とは異なった組成の多機能カラム 50)~53) も市販されている 検出法では, 誘導体化の必要がない LC/MS/MS 553

図 4 主なトリコテセン系カビ毒の構造式 を使用した分析法 51)~53) も多数報告されている トリコテセン系カビ毒の一部のサロゲートが作製され,LC/ MS(/MS) 分析時の試料マトリックスによるイオン化抑制や回収率の補正に使用されている 54)~59) 日本のDON の公定法は, 多機能カラムで精製後, UV 検出器付き HPLC で測定する方法である 50) 定量下限は,50~100 ng/kg である 測定波長が 220 nm であることもあり, 夾雑ピークが多い 検出された場合の確認は LC/MS(/MS) で行うこととなっている 多機能カラムで精製し,LC/MS/MS を用いて AF やゼアラレノン等他のカビ毒との同時分析法 60) も報告されている その中で, 飛行時間型質量分析計 (TOF MS) を使用した分析法 20) がある 目的イオンの元素組成の精密質量により, 測定する質量の範囲を狭くして選択性を向上させており, 定量も可能である スクリーニング試験として ELISA のほか,DON や T 2 トキシン分析用のイムノクロマトグラム法 61)62) も開発されている 5 ゼアラレノンの分析法ゼアラレノンは, マクロライド環を有する構造で, 女性ホルモン様の作用を有するカビ毒であり, 家畜で中毒事例が報告されている 規制値は,200 または 1000 ng/ kg に設定している国が多い 2) ゼアラレノンの代謝産物であるa, b のゼアラレノール及びゼアララノールも, 女性ホルモン様作用がある ゼアラレノン及びその代謝産物の構造式を図 5 に示した ゼアラレノンは, タイプ A と B のトリコテセン系カビ毒とともに GC/MS で測定する一斉分析法 4), 蛍光検出器付き HPLC を用いた分析法 3) が基本的なものである 図 5 ゼアラレノン及び代謝産物の構造式ゼアラレノンの分析用にも IAC が開発され, それを用いて, ゼアラレノン 63)~65) のほか, 女性ホルモン様作用を有する 4 種の代謝産物も同時に精製することが可能である 66),67) また, 多機能カラムにより精製し,LC/ MS/MS を用いたトリコテセン系カビ毒との同時分析法 68) も報告されている 6 フモニシンの分析法フモニシンは,1980 年台後半に発見された比較的新しいカビ毒で, 数種の同族体がある 主なものは, フモニシン B 1 と B 2 及び B 3 である フモニシンは長い炭化水素鎖とアミノ基を有する構造 ( 図 6) で, 分子量は 700 以上とマイコトキシンの中では比較的大きな分子である 規制値を設定している国はまだ少ないが, 多くが 1000 ng/kg である 2) 554

製し GC/MS で測定する方法 74) では, 定量は 1 ng/kg, マススペクトルによる確認は 5 ng/kg まで可能である LC/MS で測定する方法 76) もあり, サロゲートを使用して, 回収率とマトリックス効果の補正を行っている 8 複数のマイコトキシンの同時分析法 図 6 主なフモニシンの構造式図 7 パツリンの構造式フモニシンの分析は, 多くの検査機関で AOAC Official Methods of Analysis 995.15 3) を基本とした方法で行われており, フモニシン B 1,B 2 及び B 3 の同時分析が可能である 粉砕した試料にメタノール 水 (3:1) 混液を加えて抽出し, 陰イオン交換カートリッジで精製する アミノ基があることを利用して, オルトフタルアルデヒド等で蛍光誘導体化し, 蛍光検出器付き HPLC で分析する 最近は,IAC 69) や LC/MS(/MS) を用いた分析法 70), イムノクロマトグラフ法 71) も報告されている 7 パツリンの分析法パツリンは, 不飽和 5 員環ラクトンを含む 2 環構造 ( 図 7) の比較的低分子のカビ毒であり, 毒性発現の作用機序は明確になっていないが, 多くの種類の動物に致死的な毒性を有する 日本を含め, 多くの国でリンゴ果汁等に対して規制値が設定されており, そのほとんどが 50 ng/kg である 2) パツリンには紫外部の吸収があり, その極大吸収波長は 276 nm である この性質を利用して, 試料から酢酸エチルで抽出し, 炭酸ナトリウム水溶液で洗浄を行って UV 検出器付きHPLC で測定するAOAC Official MethodsofAnalysis995.10 3) が国際的に広く用いられており 72)73), 日本における公定法もこれを採用している この方法での定量下限は 10~20 ng/kg である GC/MS により測定する方法 74)75) も報告されており, HPLC より精度の良い分析ができる 固相抽出等で精 多種類のカビ毒を同時に分析する方法 77)~80) がいくつか報告されている アセトニトリル 水混液等で抽出し, そのまま, あるいは多機能カラムで精製後 LC/MS /MS で測定するものが多い 化学的性質の異なったものを同一の抽出精製を行うため, 回収率, 感度の面で, 個別分析法には及ばないが, 短時間で多種類のカビ毒をスクリーニングできる 回収率を改善するため, サロゲートを使用しているものもある 中には, 抽出液を精製なしに LC/MS/MS に注入する方法もあるが, 迅速性では優れているものの, 多数の試料を繰り返し注入していると試料中のマトリックスにより分析カラムの劣化やイオン化部の汚れが促進されることが懸念される 9 おわりにカビ毒は, 毒性が強く, 様々な食品を汚染しているため, 先進国はもとより, 開発途上国を含め国際的に規制値の設定が進んでいる それに伴い, 感度や精度の向上を目指して, 分析法の開発が行われてきた 検出法では,TLC と HPLC に, フォトケミカルリアクター,GC/MS, LC/MS/MS が, 精製では, 液 液分配に, 固相抽出カラム,IAC, 多機能カラムなどが加わった これまでの化学的性質を利用して精製と測定を行う個別分析法から,LC/MS/MS 等を利用した複数のカビ毒の一斉分析法の開発も進行中である また, 免疫学的手法を使用して短時間に多数の試料のスクリーニングを行う方法も精度が向上してきた 新たな分析手法が開発されたことにより, 分析法を選ぶ範囲が広くなり, いくつかの選択肢の中から, 目的とする感度や精度により分析法を選択することが可能となった カビ毒が検出された場合の確認法は, 定量で使用したものと分離又は検出のモードが異なるもので行う必要がある これまでの確認法は, 定性的なものが多く, 定量値が正しいか否かを確認できなかったが, 現在は, HPLC FL と LC/MS/MS を組み合わせること等により, 定量値も確認することができ, 信頼性の高い分析結果を出すことが可能となった 規制値を超えているかどうかを判断するのか, リスク評価等の目的のモニタリングとして汚染を低濃度まで調査するのか, その目的によって, 選択する分析法が違ってくる 例えば, 高額な分析機器の購入が困難な国で AF の分析を行う際は,TLC が適している AF は, 非常に強い蛍光を発するため,TLC で十分低濃度まで測 555

定することができる また, 二次元 TLC では,HPLC よりも精度の良い結果を得られる場合もある LC/MS よりも蛍光検出器付き HPLC のほうが感度, 精度が良い場合もある 種々の分析法の原理, 適用範囲 ( 対象食品, 測定可能濃度 ), 利点, 欠点を把握して, 目的に合ったものを選択することが肝要であると考える 文献 1) L. Lewis, M. Onsongo, H. Njapau, H. Schurz Rogers, G. Luber, S. Kieszak, J. Nyamongo, L. Backer, A. M. Dahiye, A. Misore, K. DeCock, C. Rubin: Environ. Health Perspect., 113,1763(2005). 2) FAO: FAO FOOD AND NUTRITION PAPER 81, (2004), (FAO, Rome, Italy). 3) M. W. Trucksess (ed): Official Methods of Analysis of AOAC INTERNATIONAL, 18th Edition, chapter 49 (2005), (AOAC INTERNATIONAL, Gaithersburg, MD United States of America) 4) 食品衛生検査指針理化学編,p. 609 (2005),( 日本食品衛生協会, 東京, 日本 ). 5) V. S. Sobolev: J. Agric. Food Chem., 55, 2136 (2007). 6) C. Brera, F. Debegnach, V. Minardi, E. Pannunzi, B. De Santis,M.J.Miraglia:IAOAC Int., 90,765(2007). 7) S.P.Ip,C.T.Che:J. Chromatogr. A, 1135, 241 (2006). 8) I. Arranz, E. Sizoo, H. van Egmond, K. Kroeger, T. M. Legarda, P. Burdaspal, K. Reif, J. Stroka: J. 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