新たに定期接種ワクチンとされたことから 本邦における HPV ワクチンによる免疫獲得状況を把握 して 将来の子宮頸癌予防計画に役立つ基盤データを蓄積することを目的に 14 年度から本事業にて HPV16 抗体価の測定調査を実施することとなった 2. 感受性調査 (1) 調査目的ヒトの HPV16 に

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方法について教えてください A 妊娠中の接種に関する有効性および安全性が確立されていないため 3 回接種を完了する前に妊娠していることがわかった場合には一旦接種を中断し 出産後に残りの接種を行うようにしてください 接種が中断しても 最初から接種し直す必要はありません 具体的には 1 回目接種後に妊娠

子宮頸がん予防ワクチンとヘルスリテラシー

0516(資料9-2)【概要】HPVワクチンの有効性

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日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール

避するためには 子宮頸がん検診を定期的に受診することが必要不可欠であること 3 HPV ワクチンの長期成績は未だ確認されていないこと このため 将来的に追加接種が必要となる可能性もあること 4 10 歳未満の小児 妊娠中の女性及び高齢者に対する有効性と安全性は確立されていないこと 5 HPV は性行

始前に出生したお子さんについては できるだけ早く 1 回目の接種を開始できるように 指導をお願いします スムーズに定期接種を進めるために定期接種といっても 予防接種をスムーズに進めるためには 保護者の理解が不可欠です しかし B 型肝炎ワクチンの接種効果は一生を左右する重要なものですが 逆にすぐに効

婦人科癌 : 具体的には? 卵管癌 子宮体癌 卵管 卵巣癌 体部 頸部 卵巣 腟 外陰

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2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者

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科学的根拠に基づいた子宮頸がん予防 井上正樹 * 1. はじめに 子宮頸がん検診 は 我が国では 1982 年に老人健康法が定められ 全国で始められました 子宮頸がん死亡率の低下のみならず がん検診を我が国に定着させた主導的役割は大きいと思われます その後 厚労省も 有効な検診 と評価しています 1

細胞 THE CELL 2011年6月臨時増刊号 (立ち読み)

ロタウイルスワクチンは初回接種を1 価で始めた場合は 1 価の2 回接種 5 価で始めた場合は 5 価の3 回接種 となります 母子感染予防の場合のスケジュール案を示す 母子感染予防以外の目的で受ける場合は 4 週間の間隔をあけて2 回接種し 1 回目 の接種から20~24 週あけて3 回目を接種生

小児用肺炎球菌ワクチン 対象者 : 生後 2カ月 ~5 歳未満の方接種費用 : 無料ただし 接種開始が2 歳以上の場合は自己負担あり (1100 円 ) 接種回数 : 接種開始年齢によって異なります 接種開始月 年齢接種回数 接種間隔接種費用 生後 2 月から 7 月未満 生後 7 月から 12 月

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も 医療関連施設という集団の中での免疫の度合いを高めることを基本的な目標として 書かれています 医療関係者に対するワクチン接種の考え方 この後は 医療関係者に対するワクチン接種の基本的な考え方について ワクチン毎 に分けて述べていこうと思います 1)B 型肝炎ワクチンまず B 型肝炎ワクチンについて

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僕が見た21世紀の 産婦人科医療

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

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マンスリー・ヘルシートピックス(2015年4月号)

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H30_業務の概要18.予防接種

Vol. 32 Suppl.II,2017 麻疹 風疹 水痘 流行性耳下腺炎 ( ムンプス ) に関する Q&A の公開にあたって 日本環境感染学会では 平成 21 年 5 月に 院内感染対策としてのワクチンガイドライン第 1 版 を 平成 26 年 9 月に 医療関係者のためのワクチンガイドライン

医療従事者の方へ 平成 30 年 12 月 21 日 一般社団法人日本プライマリ ケア連合学会 理事長丸山泉 ヒトパピローマウイルスワクチンに関する日本プライマリ ケア連合学会の考え方 ( この内容は本学会の HPV に関する特別委員会で協議され 理事会で承認されたもの です ) 平成 25 年 4

3.2013/14シーズンのインフルエンザアップデート(12/25現在)

研究実績報告書宮頸部擦過細胞検体から採取された DNA には 病変を形成していない一過性の HPV 感染も検出されてしまうため 結果として複数のハイリスク HPV 型の DNA が検出されることも多く 病変形成に関わった真の HPV 型の同定が困難である そこで 既に診断の得られている子宮頸部腫瘍の

2)HBV の予防 (1)HBV ワクチンプログラム HBV のワクチンの接種歴がなく抗体価が低い職員は アレルギー等の接種するうえでの問題がない場合は HB ワクチンを接種することが推奨される HB ワクチンは 1 クールで 3 回 ( 初回 1 か月後 6 か月後 ) 接種する必要があり 病院の

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平成 26 年度事業計画書 自平成 26 年 4 月 1 日 至平成 27 年 3 月 31 日 公益財団法人性の健康医学財団

なお, 世間では HPV ワクチンのことを 子宮頸がんワクチン と呼んでいるが, ワクチンの性格上, 本稿では HPV ワクチン ( 正確には HPV 感染症予防ワクチン ) と表現する HPV 感染と子宮頸がんとの関係子宮頸がんの原因のひとつとして,HPV 感染による細胞の癌化が証明されている H

種の血清型 (6A,9A,9L,18B,18F) に対する交差免疫もあるため これを含めるとカバー率はさらに上昇する PCV7でカバーできる薬剤耐性肺炎球菌の割合が カバーできない薬剤耐性肺炎球菌より高いため 薬剤耐性肺炎球菌だけでみると90% がカバーできるとされている ワクチン接種前に既に肺炎球

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HPV HPV HPV HPV 7 HPV 8 9 HPV 3 HPV HPV HPV , Becker Ajzen H

●子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案

生ワクチン乳幼児の予防接種スケジュール ( 例 : その 1) 同時接種を希望するが 1 回に受ける数は 2 種類以下を希望する場合 ( 受診回数 : インフルエンザを除いて 18 回回または 19 回 ) 0 歳 0カ月 カ月 カ月 1 歳 カ月 13 カ月 1 15 カ月 16 カ月 17 カ月

り感染し 麻薬注射や刺青なども原因になります 輸血の安全性や医療環境の改善によって 医原性の感染は例外的な場合になりました 日本では約 100 万人の B 型肝炎ウイルスキャリアがいます その大部分は成人で, 昔の母子感染を含む小児期の感染に由来します 1986 年から B 型肝炎ウイルスキャリアの

平成 22 年第 2 四半期エイズ発生動向 ( 平成 22(2010) 年 3 月 29 日 ~ 平成 22(2010) 年 6 月 27 日 ) 平成 22 年 8 月 13 日 厚生労働省エイズ動向委員会

1. 今回の変更に関する整理 効能 効果及び用法 用量 ( 添付文書より転載 ) 従来製剤 ( バイアル製剤 ) と製法変更製剤 ( シリンジ製剤 ) で変更はない 効能 効果 用法 容量 B 型肝炎の予防通常 0.5mL ずつ4 週間隔で2 回 更に 20~24 週を経過した後に1 回 0.5mL

3-2 全国と札幌市の定点あたり患者報告数の年平均値流行状況の年次推移を 全国的な状況と比較するため 全国と札幌市の定点あたり患者報告数の年平均値について解析した ( 図 2) 全国的には 調査期間の定点あたり患者報告数の年平均値は その年次推移にやや増減があるものの大きな変動は認められなかった 札

ヒブ ( インフルエンザ菌 b 型 ) 対象者 : 生後 2ヶ月から5 歳未満までのお子さん標準的な接種開始期間は 生後 2ヶ月から7ヶ月未満です 生後 2ヶ月を過ぎたら 早目に接種しましょう 接種方法 : 接種開始時の年齢により接種方法が異なります 接種開始が生後 2ヶ月から7ヶ月未満の場合 (

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麻しん 2

通知(写入)

平成 27(2015) 年エイズ発生動向 概要 厚生労働省エイズ動向委員会エイズ動向委員会は 3 ヶ月ごとに委員会を開催し 都道府県等からの報告に基づき日本国内の患者発生動向を把握し公表している 本稿では 平成 27(2015) 年 1 年間の発生動向の概要を報告する 2015 年に報告された HI

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サーバリックス の効果について 1 サーバリックス の接種対象者は 10 歳以上の女性です 2 サーバリックス は 臨床試験により 15~25 歳の女性に対する HPV 16 型と 18 型の感染や 前がん病変の発症を予防する効果が確認されています 10~15 歳の女児および

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平成 2 8 年 6 月 平成 27 年中における行方不明者の状況 警察庁生活安全局生活安全企画課

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3 睡眠時間について 平日の就寝時刻は学年が進むほど午後 1 時以降が多くなっていた ( 図 5) 中学生で は寝る時刻が遅くなり 睡眠時間が 7 時間未満の生徒が.7 であった ( 図 7) 図 5 平日の就寝時刻 ( 平成 1 年度 ) 図 中学生の就寝時刻の推移 図 7 1 日の睡眠時間 親子

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール 014 年 10 月 1 日版日本小児科学会 乳児期幼児期学童期 / 思春期 ワクチン 種類 直後 6 週 以上 インフルエンザ菌 b 型 ( ヒブ )

<B 型肝炎 (HBV)> ~ 平成 28 年 10 月 1 日から定期の予防接種になりました ~ このワクチンは B 型肝炎ウイルス (HBV) の感染を予防するためのワクチンです 乳幼児感染すると一過性感染あるいは持続性感染 ( キャリア ) を起こします そのうち約 10~15 パーセントは

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平成 24 年 7 月改定版 すべての予防接種につきましては 次のページに記載してあります 平成 24 年度予防接種日程表 ( 国の通知により 内容が変わる場合があります 毎月の 広報みなみちた でご確認ください 新 麻しん風しん混合 3 期 4 期 ( 個別 ) 対象 :3 期 ( 中学 1 年生

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

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現在にいたっております その結果 現在 HPVワクチンは定期接種でありながら 接種対象となる12 歳から16 歳の女子に対する接種がほとんど行われていないのが現状です このような状況は先進国では日本だけで見られていることであり 将来 子宮頸がんの発症が他国に比べて著しく高くなるというような事態が起き

A 農場の自家育成牛と導入牛の HI 抗体価の と抗体陽性率について 11 年の血清で比較すると 自家育成牛は 13 倍と 25% で 導入牛は 453 倍と % であった ( 図 4) A 農場の個体別に症状と保有している HI 抗体価の と抗体陽性率を 11 年の血清で比較した および流産 加療

9 予防接種

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10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

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図 3. 新規 HIV 感染者報告数の国籍別 性別年次推移 図 4. 新規 AIDS 患者報告数の国籍別 性別年次推移 (2) 感染経路 1 HIV 感染者 2016 年の HIV 感染者報告例の感染経路で 異性間の性的接触による感染が 170 件 (16.8%) 同性間の性的接触による感染が 73

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- 日中医学協会助成事業 - 肺炎球菌ワクチンに対する免疫応答性の日中間における比較に関する研究 研究者氏名教授川上和義研究機関東北大学大学院医学系研究科共同研究者氏名張天托 ( 中山大学医学部教授 ) 宮坂智充 ( 東北大学大学院医学系研究科大学院生 ) 要旨肺炎球菌は成人肺炎の最も頻度の高い起炎

総合保健科学第 29 巻 2013 統計解析はカイ2 乗検定を用い,p <0.05を有意とした なお, 受診者には予め, 個人を特定できない形での検査結果の解析について同意を得て, 検討を行った Ⅲ. 結果接種者の性 年齢構成は, 男性 439 名, 女性 560 名, 平均年齢は男性 23.1 歳

審査結果 平成 26 年 2 月 7 日 [ 販売名 ] 1 ヘプタバックス-Ⅱ 2 ビームゲン 同注 0.25mL 同注 0.5mL [ 一般名 ] 組換え沈降 B 型肝炎ワクチン ( 酵母由来 ) [ 申請者名 ] 1 MSD 株式会社 2 一般財団法人化学及血清療法研究所 [ 申請年月日 ]

和歌山県地域がん登録事業報告書

平成 30 年 9 月 10 日第 11 回ワクチン評価に関する小委員会資料 資料 1-1 肺炎球菌ワクチン (PPSV23) について 経緯平成 22 年 7 月第 11 回感染症分科会予防接種部会において 肺炎球菌ポリサッカライドワクチン ( 成人用 ) に関するファクトシート が報告された 平

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34 片渕美和子他 表 1 各年度の B 型肝炎, 麻疹, 風疹およびムンプスに対する抗体陽性率 検査年度 HBs 麻疹 風疹 ムンプス 2003 年 3/231(1.3)* 131/217(60.4) 200/217(92.2) 114/217(52.5) 2004 年 0/231( 0) 134

% ORG/WIKI/FILE:SALKWS.JPG 1. ORG/WIKI

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2. 定期接種ンの 接種方法等について ( 表 2) ンの 種類 1 歳未満 生 BCG MR 麻疹風疹 接種回数接種方法接種回数 1 回上腕外側のほぼ中央部に菅針を用いて2か所に圧刺 ( 経皮接種 ) 1 期は1 歳以上 2 歳未満 2 期は5 歳以上 7 歳未満で小学校入学前の 1 年間 ( 年

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2012 年 11 月 21 日放送 変貌する侵襲性溶血性レンサ球菌感染症 北里大学北里生命科学研究所特任教授生方公子はじめに b 溶血性レンサ球菌は 咽頭 / 扁桃炎や膿痂疹などの局所感染症から 髄膜炎や劇症型感染症などの全身性感染症まで 幅広い感染症を引き起こす細菌です わが国では 急速な少子

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子宮頸がん死亡数 国立がん研究センターがん対策情報センターHPより

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ギガンジウム 子宮頚癌予防ワクチン接種開始 1 年を経過して 我が国では毎年多くの人が癌で亡くなっています ( 死亡率の第 1 位 ) なかでも子宮頸癌は 我が国において毎年 15,000 人の方が罹患 (8,000 人は初期癌 ) し 昨年は 2,486 人の方が亡くなっています これは 20 ~

Transcription:

第 7 ヒトパピローマウイルス感染症 要約ヒトパピローマウイルス (HPV) の持続感染は子宮頸癌の主要な原因であり なかでもヒトパピローマウイルス16 型 (HPV16) は世界の5-6% の子宮頸癌の発症に関わっている 近年 HPV 感染を予防するワクチンが開発され世界で導入が進んでおり 本邦においては13 年 4 月の予防接種法の改正により 新たな定期接種ワクチンとして小学六年生から高校一年生の女子を対象に接種が開始された HPVワクチンによる免疫獲得状況を把握するために 本事業でHPV16 抗体価の測定調査を実施することとなり 今回が初年度のデータ報告となる 3 都県を対象に 歳以上の成人 371 名 ( 女性 2 名 男性 161 名 ) の抗体調査を実施した HPV16 ウイルス様粒子を用いたELISA 法にて血清中のHPV16 抗体価を測定し 国際共同研究にて設定された抗体価のカットオフ値を用いて抗体陽性 陰性を判定した 抗体陽性率は 女性 11.9% 男性 3.1% であり 全体として女性のほうが高い値を示した またワクチン未接種女性の抗体保有率は.3% であった 年齢群別の抗体保有率では 歳の女性が最も高い陽性率 28.6% を示し 次いで 歳の女性.7% 歳の女性 18.2% であった 一方 男性では 歳 歳 歳 歳 歳の各年齢群で 4-7% 程度の抗体陽性が認められた 今回の調査に含まれるワクチン接種者は任意接種の5 名のみであり 得られたデータはHPV16の自然感染レベルを反映していると考えられた 今後 定期接種を受けた年代の女性が調査対象となった時に 集団内で高いHPV16 抗体価を保持しているかを検討する必要がある 1. まえがきヒトパピローマウイルス (HPV) は性行為を介して感染する性感染症ウイルスであり 種類以上の遺伝子型のうち約 15 種類は高リスク型 HPV と呼ばれ 一部の感染者において 年以上の持続感染の後に 子宮頸癌や他の生殖器癌 ( 外陰部癌 膣癌 陰茎癌 肛門癌 ) を引き起こすことが知られている なかでもヒトパピローマウイルス 16 型 (HPV16) および 18 型 (HPV18) は 世界の約 7% の子宮頸癌発症に関わっている 1) また男女の生殖器に良性のイボ( 尖圭コンジローマ ) を生じさせる低リスク型 HPV として HPV6 および HPV11 がある 日本での子宮頸癌の患者数は 199 年代の後半以降増加傾向にあり 11 年では新規の罹患者数は約 11, 人 死亡者数は約 2,7 人と推定されている 2) 特に 代後半から 4 代前半の若年成人層で子宮頸癌罹患者が増加しており これらの年齢層の女性が妊娠出産年齢に相当することからも 子宮頸癌対策の強化の必要性が唱えられている 子宮頸癌を予防する目的で 組換え DNA 技術を用いて HPV のキャプシド蛋白質を産生し ウイルス様粒子に再構成したものを抗原として利用する HPV 感染予防ワクチンが開発され 6 年から世界で接種が開始されている HPV ワクチンには HPV16/18 の感染を予防する二価ワクチンと HPV6/11/16/18 の感染を予防する四価ワクチンがあり 本邦においては 9 年に二価ワクチン 11 年に四価ワクチンが承認 販売開始されている HPV ワクチンは性交渉を開始する前の女児を接種対象としており 多くの欧米諸国では 12 歳前後の女子を優先的な接種推奨年齢として公費負担により接種が行われている 一方 本邦では 年 11 月から 子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業 の形で 中学一年生から高校一年生相当年齢の女子に対して 公費による HPV ワクチンの接種事業が始まった さらに HPV ワクチンは 13 年 4 月の予防接種法の改正により 小学六年生から高校一年生相当年齢の女子に対する定期接種ワクチンとして位置づけられるようになった - 214 -

新たに定期接種ワクチンとされたことから 本邦における HPV ワクチンによる免疫獲得状況を把握 して 将来の子宮頸癌予防計画に役立つ基盤データを蓄積することを目的に 14 年度から本事業にて HPV16 抗体価の測定調査を実施することとなった 2. 感受性調査 (1) 調査目的ヒトの HPV16 に対する抗体保有状況を調査し HPV ワクチンの接種による免疫獲得状況を調べて 今後の予防接種計画策定の資料とする (2) 調査対象調査は千葉県 東京都 佐賀県の 3 都県で実施された 当該都県につき 1 地区を選定し 歳 歳 歳 歳 歳 歳 5-59 歳 6 歳以上の 8 年齢区分を設け 各年齢区分から男女原則 名ずつ 計 16 名を選定した (3) 調査時期 原則として 14 年の 7 月から 9 月 (4) 調査内容調査対象者から採血し 血清中の HPV16 に対する抗体価を測定した 抗体価の測定は ヒトパピローマウイルス感受性調査検査術式 に準じて 国立感染症研究所で作成した HPV16 ウイルス様粒子を用いた ELISA 法により行った (5) 調査結果 A) 調査対象 14 年度に HPV16 抗体価が報告されたのは 女性 2 名 男性 161 名の 371 名であった ( 表 1-1, 1-2, 1-3) 年齢別調査数は男女あわせて 歳 38 名 歳 58 名 歳 43 名 歳 39 名 歳 45 名 歳 42 名 歳 5 名 歳 28 名 6 歳以上 28 名であった B) 年齢別抗体保有状況表 3 に年齢別の HPV16 抗体保有状況 表 4 に年齢群別の HPV16 抗体保有状況を示した 図 1 および図 2 に 年齢別および年齢群別の HPV16 抗体保有率を示した 世界保健機関 (WHO) の HPV ラボラトリーネットワークによる国際共同研究 3) にて決定された HPV16 抗体価のカットオフ値 4. IU/mL を用いて 抗体陽性 陰性を判定した 対象者全体での抗体陽性率は 女性 11.9% 男性 3.1% であり 全体として女性のほうが高い値を示した またワクチン未接種女性の抗体保有率は.3% であった 年齢群別の抗体保有率では 歳の女性が最も高い陽性率 28.6% を示し 次いで 歳の女性.7% 歳の女性 18.2% であった 一方 男性では 歳 歳 歳 歳 歳の年齢群で それぞれ 4-7% 程度の抗体陽性が認められた C) 抗体保有率の年次推移 14 年度は初回の調査結果であり 今後 継続的に抗体保有率の推移を検討する予定である - 215 -

D) 地域差 抗体保有状況に関して 地域間で大きな差は認められなかった ( 表 2, 図 3) なお東京都で 歳の男性で % の抗体陽性率となったのは 対象者 1 名が抗体陽性を示したためであった ( 表 2-2) E) 予防接種効果 HPV ワクチンの 3 回接種後には ほぼ % の接種者が HPV 抗体陽性となることが示されているが 4) 今回の調査対象でのワクチン接種者 5 名のうち 3 回接種もしくは回数不明の 4 名が抗体陽性を示し 1 回接種の 1 名のみが抗体陰性であった ( 表 7) 特にワクチン被接種者のうち 2 名は 64. IU/mL 以上の高い抗体価を示した なお今回の調査でのワクチン被接種者は 全て任意接種によるものであった 3. 考察および今後の流行予測今回の調査に含まれる HPV ワクチン被接種者は 5 名 ( 歳 2 名 歳 2 名 歳 1 名 ) であり 女性の全対象者 2 名の 2.4% に限られる 従って今回の抗体保有状況の結果は ほぼ自然感染による HPV16 抗体保有状況を表しているものと考えられる HPV の自然感染による抗体陽転率は 5-6% とされており ワクチン未接種女性の 17-% がこれまでに HPV16 への感染歴があると推定された 一方で男性の抗体陽性率は女性と比べて低く 同様の結果は米国での大規模調査でも示されている 5) これは HPV16 感染に対する免疫応答が男性では弱いためと推察されている 今回の調査には 年からの 子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業 および 13 年からの定期接種の対象者は含まれておらず 今後これら接種対象の女性が本調査に含まれるようになった時に 自然感染レベルを超える高い HPV16 抗体価を集団内で保持しているか検討することが求められる 4. 参考文献 1) Silvia de Sanjose et al.: Human papillomavirus genotype attribution in invasive cervical cancer: a retrospective cross-sectional worldwide study. Lancet Oncology, 11: 48-56,. 2) 国立がん研究センターがん情報サービス がん登録 統計 http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html 3) Carina Eklund et al.: International collaborative proficiency study of human papillomavirus type 16 serology. Vaccine, : 294 299, 12. 4) John T Schiller et al.: A Review of clinical trials of human papillomavirus prophylactic vaccines. Vaccine, S: F123-138, 12. 5) Lauri E Markowitz et al.: Seroprevalence of human papillomavirus types 6, 11, 16, and 18 in the United States: National health and nutrition examination survey 3-4. J Infect Dis, : 59-67, 9. 国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センター第一室 感染症疫学センター第三室 - 216 -

表 1-1 都道府県別年齢群別ヒトパピローマウイルス感染症感受性調査対象者数 : 女性 The number of examinees for human papillomavirus infections susceptibility investigation by age group in each prefecture : Female 14 年度 都道府県 Prefecture 年齢群 ( 歳 ) Age group (years) 6-2 21 29 27 21 22 28 33 15 14 千葉 Chiba 44 2 5 8 7 4 2 7 6 3 東京 Tokyo 94 13 11 6 9 16 17 6 6 佐賀 Saga 72 9 11 8 8 9 9 3 5 表 1-2 都道府県別年齢群別ヒトパピローマウイルス感染症感受性調査対象者数 : 男性 The number of examinees for human papillomavirus infections susceptibility investigation by age group in each prefecture : Male 都道府県 Prefecture 年齢群 ( 歳 ) Age group (years) 6-161 17 29 16 18 23 14 17 13 14 千葉 Chiba 59 5 9 7 11 6 3 2 6 東京 Tokyo 42 1 1 3 2 6 7 2 佐賀 Saga 6 2 8 7 9 6 8 4 6 表 1-3 都道府県別年齢群別ヒトパピローマウイルス感染症感受性調査対象者数 : 女性 + 男性 The number of examinees for human papillomavirus infections susceptibility investigation by age group in each prefecture : Female+Male 都道府県 Prefecture 年齢群 ( 歳 ) Age group (years) 6-371 38 58 43 39 45 42 5 28 28 千葉 Chiba 3 7 14 15 17 15 8 8 9 東京 Tokyo 136 23 12 7 12 18 23 13 8 佐賀 Saga 132 11 21 16 15 18 16 17 7 11-217 -

14 年度 千葉 表 2-1 都道府県別ヒトパピローマウイルス 16 型抗体保有状況 : 女性 Age group distribution of antibody titer to human papillomavirus type 16 (HPV16) by prefecture : Female 都道府県 / 年齢群 ( 歳 ) Prefecture /Age group (years) Chiba 44 41 2 1 2 1 1 5 5 8 6 2 7 7 4 4 2 2 7 7 6 6 6-3 3 東京 Tokyo 94 86 4 2 2 8 1 1 13 2 1 11 11 6 6 9 8 1 16 15 1 17 17 6 6 6-6 5 1 佐賀 Saga 72 58 6 4 2 1 1 9 6 2 1 11 8 1 2 8 8 8 6 1 1 9 6 1 2 8 2 9 9 3 3 6-5 4 1-218 -

14 年度 千葉 表 2-2 都道府県別ヒトパピローマウイルス 16 型抗体保有状況 : 男性 Age group distribution of antibody titer to human papillomavirus type 16 (HPV16) by prefecture : Male 都道府県 / 年齢群 ( 歳 ) Prefecture /Age group (years) Chiba 59 59 5 5 9 9 7 7 11 11 6 6 3 3 2 2 6-6 6 東京 Tokyo 42 41 1 1 1 1 1 3 3 2 2 6 6 7 7 6-2 2 佐賀 Saga 6 56 2 1 1 2 2 8 8 7 6 1 9 8 1 6 5 1 8 7 1 4 4 6-6 6-219 -

千葉 表 2-3 都道府県別ヒトパピローマウイルス 16 型抗体保有状況 : 女性 + 男性 Age group distribution of antibody titer to human papillomavirus type 16 (HPV16) by prefecture : Female+Male 都道府県 / 年齢群 ( 歳 ) Prefecture /Age group (years) 14 年度 Chiba 3 2 1 7 6 1 14 14 15 13 2 17 17 15 15 8 8 8 8 6-9 9 東京 Tokyo 136 127 5 2 2 18 1 1 23 2 1 12 11 1 7 7 12 11 1 18 17 1 23 23 13 13 6-8 7 1 佐賀 Saga 132 114 8 5 3 1 1 11 8 2 1 21 18 1 2 16 16 15 12 1 1 1 18 14 2 2 16 13 2 1 17 16 1 7 7 6-11 1-2 -

14 年度 年齢 ( 歳 ) Age (years) 表 3-1 年齢別ヒトパピローマウイルス 16 型抗体保有状況 : 女性 Age distribution of antibody titer to human papillomavirus type 16 (HPV16) : Female 2 185 6 4 1 4 4 2 2 21 2 2 22 5 5 23 4 1 2 1 24 6 5 1 25 5 3 1 1 26 5 3 1 1 27 6 6 28 5 4 1 29 8 7 1 6 5 1 31 6 6 32 4 4 33 5 5 34 6 5 1 35 7 7 36 4 2 1 1 37 2 2 38 4 4 39 4 4 4 4 4 41 5 4 1 42 5 4 1 43 4 2 2 44 4 4 45 3 3 46 5 4 1 47 7 6 1 48 6 5 1 49 7 7 5 6 6 51 5 5 52 7 7 53 8 8 54 7 7 55 1 1 56 2 2 57 4 4 58 3 3 59 5 5 6-14 12 1 1-221 -

14 年度 表 3-2 年齢別ヒトパピローマウイルス 16 型抗体保有状況 : 男性 Age distribution of antibody titer to human papillomavirus type 16 (HPV16) : Male 年齢 ( 歳 ) Age (years) 161 156 3 1 1 3 3 21 1 1 22 4 4 23 4 4 24 5 5 25 6 6 26 11 11 27 7 7 28 4 4 29 1 1 2 1 1 31 5 5 32 4 4 33 3 3 34 2 2 35 7 7 36 4 3 1 37 1 1 38 4 4 39 2 2 4 7 7 41 3 3 42 7 6 1 43 3 3 44 3 3 45 1 1 46 3 3 47 5 4 1 48 2 2 49 3 3 5 4 4 51 5 5 52 5 4 1 53 3 3 54 55 4 4 56 3 3 57 3 3 58 2 2 59 1 1 6-14 14-222 -

14 年度 表 3-3 年齢別ヒトパピローマウイルス 16 型抗体保有状況 : 女性 + 男性 Age distribution of antibody titer to human papillomavirus type 16 (HPV16) : Female+Male 年齢 ( 歳 ) Age (years) 371 341 13 7 5 1 4 7 5 2 21 3 3 22 9 9 23 8 5 2 1 24 11 1 25 11 9 1 1 26 16 14 1 1 27 13 13 28 9 8 1 29 9 8 1 8 6 1 1 31 11 11 32 8 8 33 8 8 34 8 7 1 35 14 14 36 8 5 1 1 1 37 3 3 38 8 8 39 6 6 4 11 11 41 8 7 1 42 12 2 43 7 5 2 44 7 7 45 4 4 46 8 7 1 47 12 1 1 48 8 7 1 49 5 51 52 12 11 1 53 11 11 54 7 7 55 5 5 56 5 5 57 7 7 58 5 5 59 6 6 6-28 26 1 1-223 -

14 年度 表 4-1 年齢群別ヒトパピローマウイルス 16 型抗体保有状況 : 女性 Age group distribution of antibody titer to human papillomavirus type 16 (HPV16) : Female 年齢群 ( 歳 ) Age group (years) 2 185 6 4 1 4 21 15 2 2 2 29 23 2 1 2 1 27 25 2 21 19 1 1 22 18 2 2 28 25 3 33 33 15 15 6-14 12 1 1 表 4-2 年齢群別ヒトパピローマウイルス 16 型抗体保有状況 : 男性 Age group distribution of antibody titer to human papillomavirus type 16 (HPV16) : Male 年齢群 ( 歳 ) Age group (years) 161 156 3 1 1 17 17 29 29 16 15 1 18 17 1 23 22 1 14 13 1 17 16 1 13 13 6-14 14 表 4-3 年齢群別ヒトパピローマウイルス 16 型抗体保有状況 : 女性 + 男性 Age group distribution of antibody titer to human papillomavirus type 16 (HPV16) : Female+Male 年齢群 ( 歳 ) Age group (years) 371 341 13 7 5 1 4 38 32 2 2 2 58 52 2 1 2 1 43 4 1 2 39 36 1 1 1 45 4 3 2 42 38 3 1 5 49 1 28 28 6-28 26 1 1-224 -

表 5 予防接種歴別年齢群別ヒトパピローマウイルス感染症感受性調査対象者数 : 女性 The number of examinees for human papillomavirus infections susceptibility investigation by vaccination history and age group : Female 年齢群 ( 歳 ) Age group (years) 無 Nonvaccinee 1 回 予防接種歴 Vaccination history 有 Vaccinee 2 回 不明 Unknown 1 dose 2 doses 3 doses HPV2 HPV4 HPV2 HPV4 HPV2 HPV4 A B C D E F G H I 14 年度 接種率 Vaccinee (%) 2 155 1 1 1 2 5 3.1 21 14 1 1 5 12.5 無 Nonvaccinee 29 23 2 4 8. 27 19 1 7 5. 21 14 7. 22 15 7. 28 23 5. 33 26 7. 15 5. 6-14 11 3. Vaccinee (%) = (B+C+D+E+F+G+H) / (A+B+C+D+E+F+G+H) * HPV2 : 2-valent human papillomavirus vaccine / HPV4 : 4-valent human papillomavirus vaccine 3 回 その他 Others 表 6 予防接種歴別都道府県別ヒトパピローマウイルス感染症感受性調査対象者数 : 女性 The number of examinees for human papillomavirus infections susceptibility investigation by vaccination history and prefecture : Female 都道府県 Prefecture 1 回 予防接種歴 Vaccination history 有 Vaccinee 2 回 不明 Unknown 1 dose 2 doses 3 doses HPV2 HPV4 HPV2 HPV4 HPV2 HPV4 A B C D E F G H I 接種率 Vaccinee (%) 2 155 1 1 1 2 5 3.1 千葉 Chiba 44 25 19. 東京 Tokyo 94 79 1 1 13 2.5 佐賀 Saga 72 51 1 1 1 18 5.6 Vaccinee (%) = (B+C+D+E+F+G+H) / (A+B+C+D+E+F+G+H) * HPV2 : 2-valent human papillomavirus vaccine / HPV4 : 4-valent human papillomavirus vaccine 3 回 その他 Others - 225 -

無 表 7 予防接種歴別ヒトパピローマウイルス 16 型抗体保有状況 : 女性 Age group distribution of antibody titer to human papillomavirus type 16 (HPV16) by vaccination history : Female 予防接種歴 / 年齢群 ( 歳 ) Vaccination history /Age group (years) 14 年度 Non-vaccinee 155 139 7 5 1 1 2 14 1 2 1 23 1 1 1 19 19 14 12 1 1 15 12 2 1 23 21 2 26 26 6-11 9 1 1 有 1 回 Vaccinee : 1 dose 1 1 1 1 6- 有 2 回 Vaccinee : 2 doses 6- 有 3 回 Vaccinee : 3 doses 2 1 1 2 1 1 6- - 226 -

1 14 Age distribution of antibody positives to human papillomavirus type 16 (HPV16), 14 Female n = 2 9 8 7 6 5 4 25 35 4 45 5 55 6 Age years Male n = 161 9 8 7 6 5 4 25 35 4 45 5 55 6 Age years 9 8 7 6 5 4 Female + Male n = 371 25 35 4 45 5 55 6 Age years - 227 -

2 14 Age group distribution of antibody positives to human papillomavirus type 16 (HPV16), 14 Female n = 2 9 8 7 6 5 4 6 Age group years Male n = 161 9 8 7 6 5 4 6 Age group years 9 8 7 6 5 4 Female + Male n = 371 6 Age group years - 228 -

3 14 Age group distribution of antibody positives to human papillomavirus type 16 (HPV16) in each prefecture, 14 Female Male Female + Male Chiba 9 Female n = 44 Male n = 59 Female + Male n = 3 8 7 6 5 4 Tokyo 9 Female n = 94 Male n = 42 Female + Male n = 136 8 7 6 5 4 6 6 6 Age group years Saga 9 Female n = 72 Male n = 6 Female + Male n = 132 8 7 6 5 4 6 6 6 6 6 6 Age group years Age group years - 229 -