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カラー Zantedeschia spp. サトイモ科 1 経営的特徴と導入方法カラーは サトイモ科の球根で 8 種が南アフリカに自生している これらのうち 現在園芸用に利用されているのは4 種であり それぞれの生育条件から 常に水分の豊富な場所を好む湿地種と比較的透水性の良い場所を好む畑地種に分けることができる カラーは 従来の原種の白 黄 ピンクという苞色に加え 近年の系統選抜や種間交雑により 暗赤 紅 紫ピンク オレンジ 緑などの苞色が作出され アレンジメントに多用されるようになり 需要を伸ばしている要因となっている また 耐寒性は強いとはいえず 温暖地ではほ場に植えたままで越冬するが 寒地 寒冷地では凍害が起きるため 秋期に掘り取り 凍害をおこさない場所で貯蔵することが多い 経営的には 定植と収穫及び塊茎の堀げに労力がかかるが その他はあまりかからず 省力的な品目である 表 1 10a 当たり旬別所要労働時間 ( 単位 : 時間 ) 月 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月旬中中中中中中時間 37.0 9.0 14.0 15.0 15.0 20.0 18.0 23.0 18.0 89.0 82.0 50.0 50.0 47.0 20.0 10.0 32.0 34.0 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 合計 中 中 中 中 中 中 2.0 7.0 7.0 7.0 7.0 7.0 7.0 7.0 7.0 7.0 37.0 4.0 4.0 4.0 4.0 4.0 1.0 1.0 707.0 ( 注 )1. 秋田県作物別技術 経営指標 (1996.2) 2. 収穫本数 30,000 本 /10a 1~6 月出荷 2 生理生態的特性と適応性原産地は南アフリカ地方であるが種により場所が異なる また生育条件も種によって異なり 常に水分の豊富な場所を好んで生育する湿地種と 乾いた畑を好んで生育する畑地種がある ザ アエティオピカ : 湿地種 仏炎苞は白でケープ トランスバール地方原産 ザ エリオッティアナ ( 通称エリオチアナ ): 畑地種 仏炎苞は黄色でトランスバール地方原産 - 292 -

ザ アルボマクラタ : 畑地種 仏炎苞は白で葉に白斑が入る ケープ ナタール以北原産 ザ レーマニー : 畑地種 仏炎苞は淡桃色でナタール原産 現在栽培されている品種は記 4 種から育種されたものであり 特に エリオチアナ と レーマニー の交配種が多数導入されている 3 作型と品種 作型 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 湿地種 畑地種 促成栽培 雨よけ栽培 球根養成 凡例 ; 定植 : 採花 : 球根掘りげ : (1) 湿地種の特性湿地種は地茎で増殖し 水分を非常に好むため 通常常に水の流れる横地または水田地で栽培されている 現在栽培されている品種の チャイルジアナ ( チルドシアナ ) は四季咲き性が強く 冬季温度の高い条件では冬から春まで順次開花する 花芽の発達のためには夏季に比較的涼しい条件が好ましいようで 栽培地で湧水を利用して栽培していることは 地水の夏低温の条件が花芽の発達に好適であるといえる 反対に冬の場合は自然状態では低温が直接花芽の発達を抑え 結果的に春温暖になってから一斉に開花することになる これが栽培地では株もとに外温より温度の高い地水が流れ 部にビニルハウス等が被覆されているため 保温の効果によって冬季でも開花することになる 記の湧水地での栽培とは別に 温室で鉢植えにより栽培する株について その株を夏季冷蔵することにより冬季における開花数を多くしたという研究例もある (2) 畑地種の特性畑地種は地に塊茎を形成し 冬は休眠して春に芽を出し 初夏に開花する - 293 -

乾燥した畑の状態で生育し 特に夏冷涼な場所でよく発育する ただし冬季の強い低温には弱く 0 以 の温度に塊茎が遭遇すると枯死してしまう この種の仲間の花芽分化状況の詳細についての報告はないが 早春の植え付け後かなり短期間の間に花芽が分化し発達するものと思われる 4 栽培 (1) 湿地種 ア ほ場の選定 栽培するほ場は地水が豊富に出る場所であることが必要である 自然湧水の出る場所を選び それだけで不十分であればポンプで汲みげて利用する ただしその場合は 水の汲みげが他の栽培者による地水利用の妨げにならないように注意し 強制的な汲みげによって湧水に異常をきたすようなら中止すべきである 湧出する水の水質も問題である 特定な成分を含むとそれが生育に影響することもあるので ECで0. 3ms/cm 以 phは6.5~7.0の範囲にあることが望ましい イ 株の入手 初めて栽培する場合は植え付け用の株を入手する必要がある これまで栽培されていた チャイルジアナ の株は市販されていないので 栽培者から入手しなければならない それ以外の品種は種苗会社等で扱っているので そちらから入手すればよい また これまで栽培している株があれば 切り花の出荷が終わる5 月旬から6 月中旬に株を掘りげ 株分けして使用する 掘りげは 地 15~20cm で茎を切ってから行い 1 株 3~4 芽になるように株分けをする なお 株分けした株は直ちに植え付ける ウ 定植準備 パイプハウスなどの栽培施設の間口に沿って植え付け床を設け ハウスの外に幅 1 m 以の管理通路 を設ける 基肥は a 当たり成分量で各 2kg を緩効性肥料で施用する 施肥 耕起を行ってから ハウス全面に水を流しておく エ 定植 定植間隔は条間 50cm 株間 30~40cm とし 中央に幅 60cm 程度の通路を設け a 当たり 240~360 株植え 付ける 定植する際は 水の流れで株が倒れないよう 1 株ごとに手で掘って 深植えにならないよ慎重に 植える - 294 -

オ 定植後の管理 定植後の活着を早め 夏の間の生育を早めるために 定植後から8 月旬まで50~60% の遮光となるように黒寒冷紗を被覆する また夏の高温の影響を避けるために 冷水が株元によく流れるよう配慮する 夏に水が停滞して水温が25 程度以になると株は非常に弱るので注意する 10 月旬になって気温が低したらビニール被覆を行うが 気温の高いうちはできるだけ日中換気する カラーは株元まで日が当たることが望ましく 株間の雑草は早く抜き取るとともに 随時芽かきや葉かきを行う 葉が込んでくると花立ちが悪くなり 咲く花も軟弱になりやすい このため2 年目以降は 1 株 10 芽程度を限度として小さい芽を早めに掻き取る また 葉が多くなり 伸びすぎたときは大きい葉を切って間を透かせるが この葉切りは 葉が淡緑色で茎もしっかりしていれば行う必要はない カ 肥培管理 5 月旬頃には花立ちも少なくなるので 採花をやめて ハウスのビニールを取り去り 株も地 30 cm 程度で刈り取って再生を図る 株分けするものはこの時期掘りげるが 据え置くものはこの葉切りを行って夏越しに備える この時 生育状況を見て必要があれば追肥を行う a 当たり各成分 1.2kg 程度の緩効性肥料を水流を止めて施用する 葉色は淡緑色を示すのが理想なので 濃い場合は不要である 真夏は遮光し 株分け3 年を目途に実施する (2) 畑地種切り花栽培では球根を購入していては採算面でかなり厳しいので 球根養成栽培を行うほうがよい ア 球根養成 ( ア ) ほ場の選定球根養成は 夏期高温になる一般の土地では 軟ぷ病が発生するとほとんど球根を生産できなくなる場合もあるため 夏期冷涼な高冷地にほ場を求めるほうがよい ほ場の条件として低湿地を避け 有機質の多い保水性のあるほ場を選ぶようにする 気温と土壌条件で適地を選び 連作を避ければ 良質で大きい球根を得ることができる ( イ ) 球根の入手新しく栽培する場合は種苗会社から種球を購入して着手することになる しかし球根の価格はかなり高額になるので 品種や入手先の選定などを慎重に行う必要がある なお在来の品種は増殖や販売は自由であるが 登録やパテントのある品種については 球根の販売禁 - 295 -

止はもちろん 自家増殖も規制されているものがあるので 養成栽培を行うならよく調査する ( ウ ) 定植準備前もって深耕し ph を6.0~6.5に矯正する 堆肥は a 当たり200kg 肥料は a 当たり成分で窒素 1.5kg りん酸 2.0kg 加里 1.5kg を植え付け前に施用しておく 追肥はなるべく行わない ( エ ) 定植うね幅 90cm に条間 50cm の2 条植えとし 株間は平均 15cm 程度として球根の大きさにより調節する 球根のには7 cm 程度覆土する 植え付け直後から乾燥と雑草防止のため敷きわらかポリマルチを行う ( オ ) 定植後の管理雨の多いときは ほ場の排水に注意し 場合によってはうね間の土をげ 植え付けた場所が水に浸からないようにする 充実した球根を得るため 開花した苞は摘み取る ( 引き抜かないこと ) ( カ ) 球根の掘りげ 10~11 月にかけて葉が枯れたら 強い低温に合わないうちに球根を掘りげ 低温にあわない場所で 1ヶ月程度乾燥してから根などを取り除き 凍らない場所で保管する イ 切り花用ほ場の選定 排水がよく なるべく暖かい場所を選び パイプハウスなどを被覆しておく カラーの促成栽培では 初期の発育のために高い温度を必要とするので 加温設備をもつ施設がよい しかし 病害の面からは 連作を避けるためパイプハウスなどの移動可能な施設が好ましい ウ 定植準備 切り花栽培の場合は a 当たり各成分 1.0kg 程度を化成肥料で全面に施用しておく 追肥は不要 エ 定植 養成した球根の中から 一芽当たりの球根の容積が多く 尻高の丸い 50g 以の球根を選び 床幅 1.3m 程度に条間 30~40cm 株間は15cm の4 条植えとする 植え付けの深さは5~10cm とし 根を充分に張らせるためにはやや深めのほうがよく 深いほど軟ぷ病の発生は少ない しかし 促成栽培の場合は 高めた地温を利用して早く発芽させるために やや浅めのほうがよい 植え付け後は充分にかん水する オ 定植後の管理 植え付け後は透明ポリフィルムをべた掛けし そのに小トンネルをかけるなど保温に努め 日中もそ のままとして極力地温を高めるようにするが 発芽したらべた掛けしたポリフィルムは取り去り 小トン - 296 -

ネルは朝晩開閉する 葉が展開してきたら 換気を図って日中の気温をげすぎないように注意する 日中の温度を高温にしすぎると葉先が焼けるとともに 軟ぷ病の発生の原因にもなるので 30 以にげないように温度管理には充分に注意する 植え付け床にはわらか黒ポリによるマルチをして 乾燥を防ぐとともに土の跳ねがりを防ぎ病害の発生を抑えることが好ましい カラーは葉が軟弱に育ちやすいので 薬剤散布を行う際は薬液の濃度などに注意をし 1 週間間隔など定期的に散布をするとよい なお 強い直射光を避けるため寒冷紗などの被覆による遮光も考えられるが 球根の充実にとっては好ましくないと思われる 5 主要病害虫とその対策 (1) 病 害 ア 軟 腐 病 葉柄 花茎の地際部が軟化腐敗する 被害葉は黄化し 折れて倒伏する 著しいものは地部全体が倒 伏し 地部の塊茎も軟腐する 高温時に排水の悪い畑で発生しやすい また 貯蔵中の塊茎腐敗として 多発することもある 防除は健全塊茎を用いることが重要で 定植前に罹病塊茎を除去する できるだけ 排水の良い畑に作付けし 発病株は早めに除去する イ 疫 病 地部は外葉から黄化する 地部は根が水浸状に腐敗するため 生育が極端に悪くなる 病原菌は土 壌伝染性で水を介して容易に伝染する また 病原菌の付着した塊茎での伝染も認められるようである 品種によって抵抗性の強弱があることが知られている ウ モザイク病 葉に黄緑色濃淡のモザイクを生じ 生育不良となる 病原ウイルスはキュウリモザイクウイルス (CMV) とサトイモモザイクウイルス (DasMV) が知られている 両ウイルスともアブラムシ及び汁液で伝染する 防除は健全な塊茎を用いるとともに寒冷紗などを設置してアブラムシによる感染を回避する (2) 虫害アザミウマ類やアブラムシ類等が加害するとされているが 他の害虫も含めて県内では不明な点が多い - 297 -

6 収穫 調製 出荷 (1) 湿地種採花の際の切り前は 冬季なら8 分咲き 気温が高くなったら開く寸前に抜き取る 採花は手で花の茎を持って引き抜くようにして花を取る 採花時及び採花後に花弁が折れたりするとすぐに黒い しみ ができるので取り扱いは慎重にする 以前は必ず葉をつけて出荷していたが 現在は葉をつけないことが一般化している しかし 市場から指示された場合は しまった葉をつけて出荷する (2) 畑地種採花の際の切り前は 仏炎苞が色づき7~8 分咲きになったら 花茎のついた葉の元から折るようにして採花する 葉が不要なら花だけを切る どちらも5 本を1 束として段ボール箱で出荷する 葉をつけるかどうかは出荷先に相談して決める 参考 引用文献 1) 林角郎 農業技術大系花卉編 10 シクラメン球根類 農山漁村文化協会 ( 平成 7 年 ) - 298 -

カラー ( 湿地種 ) 栽培ごよみ 生育月旬作業栽培の要点摘要状況 1 作型と品種 1 中品種定植採花採花中断 チルト シアナなど 5 月旬 12 月以降翌 5 月以降 2 中 2 ほ場の選定 地水が豊富である場所 湧水の ph6.5~7.0 EC 0.3ms/cm 以の範囲が望ましい 3 中 3 定植準備 パイプハウスの外に 1m 幅の管理通路を設ける 4 中定植準備基肥は成分で a 当たり 2.0kg 程度緩効性肥料で施す 施肥 耕起後ハウス全面に水を流しておく 5 中 定 定 植 4 定植 植 条間 50cm 株間 30~40cm 中央に幅 60cm 程度の通路を設ける 管 理 株が倒れないように 深植えにならないように注意する 6 中 5 定植後の管理 管 定植後 8 月旬まで50~60% の遮光をする 7 中 理 株元には光が当たるよう管理する 6 肥培管理 8 中 5 月旬頃花立ちが少なくなったらビニールを剥ぎ 地 30cm で株を刈り再 生を図る 生育の状況を見ながら追肥を行うが この時期 a 当たり成分で各 1.2kg 程度施 9 中 す 株は3 年を目途に更新する 7 収穫 調製 出荷 10 中 切り前は冬場は8 分咲き 気温が高くなってきたら開く直前に抜き取る 折れ たりすると黒いシミができるので注意して扱う 5 本 1 束して段ボール箱で出荷する 葉の有無については出荷先と事前に協議 11 中する 収穫 収 12 中穫 - 299 -

カラー栽培 ( 畑地種 ) ごよみ 促成雨よ球根月旬栽培け栽養成 作 業 栽 培 の 要 点 摘 要 培 栽培 1 作型と品種 1 中作型品種定植採花掘りげ 定定植準備促成栽培エリオチアナ 1~3 月 5~6 月 9 月旬 植雨よけ栽培アルハ マクラータ 3~4 月 7 月 ~ 2 中球根養成レーマニーなど 5 月 - 11 月中旬 定植 定 2 ほ場の選定 3 中植排水がよく 加温設備を持つ施設 連作を避けるためパイプハウス などの移動可能な施設 養成の場合は排水がよく冷涼な場所 管 4 中理 3 定植準備 切り花栽培の場合は a 当たり各成分 1kg を化成肥料全面施用 養成の場合は 1.5-2.0-1.5kg/a 程度 いずれも追肥は行わない 5 中 採 管 定植 管 理 4 定植 花 理 50g 以の球を選び床幅 1.3m に条間 30~40cm 株間 15cm の4 条 6 中 植えとする 植え付けの深さは5~10cm とする 採 花 養成の場合はうね幅 90cm 条間 50cm の2 条植えとし株間 15cm 程度 とって 7cm 程度覆土する 7 中採 花 5 採花 採花の際の切り前は仏炎苞が色づき 7~8 分咲きになったら葉の元か 8 中ら折るようにして採花する 葉が不要なら花だけを切る 5 本を 1 束として段ボール箱で出荷する 葉をつけるかどうかは出荷 先に相談して決める 9 中 10 中 11 中 12 中 球 球 球 根 根 根 掘 掘 掘 げ げ げ 球根掘げ 6 球根の掘りげ 11~12 月にかけて葉が枯れたら 強い低温に合わないうちに球根を 掘りげ 低温に合わない場所で1ヶ月程度乾燥してから根などを取 り除き 凍らない場所で保管する - 300 -