3 特別支援学級における学習指導案 特別支援学級においても 学習指導案は授業の設計図としての働きに変わりはありません しかし 特別支援学級では 児童生徒の実態から指導の内容や計画を考えることに大きな意味があります 通常の学級の学習指導案では 例えば 単元について は学習指導要領に沿った指導計画に基づ

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課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的


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Microsoft Word - 社会科

3 題材の目標 (1) (2) 4 題材の評価規準 ( 指導要録の四つの観点 ( 生活や技術への関心 意欲 態度 ) から題材の学習を通して目指す生徒の姿を示します ) 文章の語尾は 評価規準の作成, 評価方法の工夫改善のための参考資料 ( 中学校技術 家庭 ) 平成 23 年 11 月 ( 国立教

No_05_A4.ai

授業の構成要素 学び合う授業で育つ 3 つの力 資料 2 基礎 基本の力知識 理解 技能 問題解決力思考力 判断力 表現力 想像力 学ぼうとする力学習意欲 自己有用感 身に付けた知識 技能を活用したり その成果を踏まえた探究活動を行う中で学び合う授業を展開する 教師の役割 < 問題提示の工夫 > 多

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「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

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7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

第 5 学年 社会科学習指導案 1 単元名自動車をつくる工業 2 目標 我が国の自動車工業の様子に関心を持って意欲的に調べ, 働く人々の工夫や努力によって国民生活を支える我が国の工業生産の役割や発展について考えようとしている ( 社会的事象への関心 意欲 態度 ) 我が国の自動車工業について調べた事

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知識・技能を活用して、考えさせる授業モデルの研究

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中学校第 3 学年社会科 ( 公民的分野 ) 単元名 よりよい社会をめざして 1 本単元で人権教育を進めるにあたって 本単元は 持続可能な社会を形成するという観点から 私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を設けて探究し 自分の考えをまとめさせ これらの課題を考え続けていく態度を育てる

3 第 3 学年及び第 4 学年の評価規準 集団活動や生活への関心 意欲態度 集団の一員としての思考 判断 実践 学級の生活上の問題に関心 楽しい学級をつくるために を持ち 他の児童と協力して意 話し合い 自己の役割や集団と 欲的に集団活動に取り組もう してよりよい方法について考 としている え 判

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解答類型

第 2 学年 理科学習指導案 平成 29 年 1 月 1 7 日 ( 火 ) 場所理科室 1 単元名電流とその利用 イ電流と磁界 ( イ ) 磁界中の電流が受ける力 2 単元について ( 1 ) 生徒観略 ( 2 ) 単元観生徒は 小学校第 3 学年で 磁石の性質 第 4 学年で 電気の働き 第 5

単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究

上に食に関する指導の充実が求められている 食環境の乱れが社会的課題とっている今日 中学生が食生活の自立を目指した学習をすることは大切なことであるので 本時は 自分や家族の食生活の中で見付けた問題点の改善に自主的に取り組むことができるように 指導を進めることにした 指導に当たっては これまでの学習を踏

工業教育資料347号

4. 題材の評価規準 題材の評価規準 については, B 日常の食事と調理の基礎 (2),(3), D 身近な消費生活 と環境 (1) の 評価規準に盛り込むべき事項 及び 評価規準の設定例 を参考に設定して いる 家庭生活への関心 意欲 態度 お弁当作りに関心をもち, おか 生活を創意工夫する能力

(2) 児童観児童は1 年生 1 月に おはなしをつくろう で 昔話をもとにして 人物と出来事を考えて簡単に物語を書く学習を行っている また 2 年生の1 学期には じゅんじょよく書こう の学習で はじめ 中 おわり の構成を考え 自分の経験を伝える文章を書く学習をしてきている この学習を通して 順

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国語科第 1 学年熊野町立熊野中学校指導者森島登紀子 単元名 根拠を明確にして書こう 本単元で育成する資質 能力 自ら考え判断する力, 読解力 情報収集能力 1 日 時平成 29 年 11 月 16 日 5 校時 2 場 所 1 年 3 組教室 3 学年 学級第 1 学年 3 組 (27 名男子 1

Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

第4章 道徳

国語科学習指導案

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考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

理科学習指導案

第 6 学年 1 組理科学習指導案単元名 : 瀬野川の生き物のつながり 生き物のくらしと環境 男子 18 名女子 21 名計 39 名 単元について 指導者澄川和生 単元観本単元は, 小学校学習指導要領解説理科編第 6 学年 内容 B(3) の 動物や植物の生活を観察したり, 資料を活用したりして調

第 2 学年 * 組保健体育科 ( 保健分野 ) 学習指導案 1 単元名生涯の各段階における健康 ( イ ) 結婚生活と健康 指導者間中大介 2 単元の目標 生涯の各段階における健康について, 課題の解決に向けての話し合いや模擬授業, ディベート形式のディスカッションなどの学習活動に意欲的に取り組む

学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

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彩の国埼玉県 埼玉県のマスコット コバトン 科学的な見方や考え方を養う理科の授業 小学校理科の観察 実験で大切なことは? 県立総合教育センターでの 学校間の接続に関する調査研究 の意識調査では 埼玉県内の児童生徒の多くは 理科が好きな理由として 観察 実験などの活動があること を一番にあげています

英語科学習指導案 京都教育大学附属桃山中学校 指導者 : 津田優子 1. 指導日時平成 30 年 2 月 2 日 ( 金 ) 公開授業 Ⅱ(10:45~11:35) 2. 指導学級 ( 場所 ) 第 2 学年 3 組 ( 男子 20 名女子 17 名計 37 名 ) 3. 場所京都教育大学附属桃山中

○数学科 2年 連立方程式

17 石川県 事業計画書

第1学年国語科学習指導案

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回数テーマ学習内容学びのポイント 2 過去に行われた自閉症児の教育 2 感覚統合法によるアプローチ 認知発達を重視したアプローチ 感覚統合法における指導段階について学ぶ 自閉症児に対する感覚統合法の実際を学ぶ 感覚統合法の問題点について学ぶ 言語 認知障害説について学ぶ 自閉症児における認知障害につ

国語科学習指導案様式(案)

3. ➀ 1 1 ➁ 2 ➀ ➁ /

必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

2、協同的探究学習について

5 単元の評価規準と学習活動における具体の評価規準 単元の評価規準 学習活動における具体の評価規準 ア関心 意欲 態度イ読む能力ウ知識 理解 本文の読解を通じて 科学 について改めて問い直し 新たな視点で考えようとすることができる 学習指導要領 国語総合 3- (6)- ウ -( オ ) 1 科学

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H26関ブロ美術プレ大会学習指導案(完成版)

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(3) 指導観公民的分野は地理的分野と歴史的分野の学びの積み重ねによるところが大きい 用語や概念も高度化し 生徒の感想にも 難しい と感じるものが多くなっている そこで その難しいと感じる公民の用語などは積極的に用語集を活用し 難しい言葉に対する抵抗感を少しでも和らげるよう授業でも活用している また

看護部 : 教育理念 目標 目的 理念 看護部理念に基づき組織の中での自分の位置づけを明らかにし 主体的によりよい看護実践ができる看護職員を育成する 目標 看護職員の個々の学習ニーズを尊重し 専門職業人として成長 発達を支援するための教育環境を提供する 目的 1 看護専門職として 質の高いケアを提供

4 本単元と情報リテラシーの関わり 課題設定担任による 説明会におけるデモンストレーションを見ることを通して 本単元を貫く言語活動としての これぞ和の文化! おすすめの 和の文化 を調べて説明会を開こう を知り 見通しを持たせ学校司書による関連図書紹介を通して 和の文化への関心を高め 進んで調べよう

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

6 年 No.22 my summer vacation. 1/8 単元の目標 主な言語材料 過去の表し方に気付く 夏休みの思い出について, 楽しかったことなどを伝え合う 夏休みの思い出について, 音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現で書かれたものの意味が分かり, 他者に伝えるなどの目的

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平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

< 自己と 事象 とのつながり> 題材との出会いの場面において, やってみたいという思いや, どのようになっているのかなどの知的欲求を刺激するように, 実際の小物や写真などを提示し, 自分の生活を豊かにする楽しい小物について具体的なイメージを完成予想図として描き表していく そうすることで, 事象 (

第○学年 ○○科指導計画

H27 国語

子葉と本葉に注目すると植物の成長の変化を見ることができるという見方や, 植物は 葉 茎 根 からできていて, それらからできているものが植物であるという見方ができるようにしていく また, 学んだことを生かして科学的なものの見方を育てるために, 生活の中で口にしている野菜も取り上げて観察する活動を取り

中学校第 3 学年国語科学習指導案 日時平成 28 年 月 日第 校時対象第 3 学年 組学校名 中学校授業者 1 教材名 故郷 2 単元の目標 情景や人物を描写する語句や表現を読み取り 内容への理解を深めることができる 作品を通して 社会の中での人間の生き方について考え 自分の意見をもつことができ

主語と述語に気を付けながら場面に合ったことばを使おう 学年 小学校 2 年生 教科 ( 授業内容 ) 国語 ( 主語と述語 ) 情報提供者 品川区立台場小学校 学習活動の分類 B. 学習指導要領に例示されてはいないが 学習指導要領に示される各教科 等の内容を指導する中で実施するもの 教材タイプ ビジ

愛媛県学力向上5か年計画

平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

Taro-自立活動とは

理科学習指導案指導者海田町立海田西中学校教諭柚中朗 1 日時平成 30 年 1 月 24 日 ( 水 ) 2 学年第 2 学年 1 組 ( 男子 14 名女子 18 名計 32 名 ) 3 単元名天気とその変化 ~ 大気の動きと日本の天気 ~ 4 単元について (1) 単元観本単元は, 学習指導要領

中学校における授業実践事例 1 第 3 学年社会科 消費生活と経済 1 学校名 職氏名萩市立田万川中学校教諭室谷雄二 2 生徒 3 学年 15 人 3 学習指導案 (1) 題材名消費生活と経済 (2) 題材の目標経済活動の意義について消費生活を中心に理解させるとともに 価格の働きに着目させて市場経済

平成 21 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 21 年 10 月 2 日 ( 金 ) 教務部 平成 21 年 4 月 21 日 ( 火 )AM8:50~11:50 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (95 名 ) 教科に関す

5 児童の実態と主題に迫るための手だて (1) 児童の実態本学級の児童は明るく 男女の仲もよい いろいろな場面で声を掛け合ったり 仕事を手伝ったりできる児童も多い 話し合い活動では 友達の意見のいいところを取り上げて考えをまとめることができたり 人の意見を聞いて自分の考えを変えることができたりする児

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

自己決定の場を設定する 自己存在感を持たせる 共感的な人間関係を育成する準備活動のどの場面で どの子どもを生かすのか 見通しを持って授業に臨む 導入の場面する 深める場面り返りの場面2 確かな学力の育成 複雑で変化の激しい現代社会に子どもたちが主体的に関わり よりよい社会を創造していくためには 一人

座標軸の入ったワークシートで整理して, 次の単元 もっとすばらしい自分へ~ 自分向上プロジェクト~ につなげていく 整理 分析 協同的な学習について児童がスクラップした新聞記事の人物や, 身近な地域の人を定期的に紹介し合う場を設けることで, 自分が知らなかった様々な かがやいている人 がいることを知

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単元名 算数第 2 学年安芸太田町立加計小学校指導者田尾佐智恵 かけ算 (2) ( 九九をつくろう ) 本単元で育成する資質 能力 伝え合う力 1 日時平成 29 年 1 月 19 日 ( 水 )5 校時 2 学年第 2 学年男子 7 名女子 15 名計 22 名 3 単元名 かけ算(2) 九九をつ

4.原稿(資料)

Taro-5年研究のまとめ

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2 各教科の領域別結果および状況 小学校 国語 A 書くこと 伝統的言語文化と国語の特質に関する事項 の2 領域は おおむね満足できると考えられる 話すこと 聞くこと 読むこと の2 領域は 一部課題がある 国語 B 書くこと 読むこと の領域は 一定身についているがさらに伸ばしたい 短答式はおおむ

トコラージュ というメディアの形態を提案する 本単元では 説明文の 構成メモ をフォトコラージュの形でまとめる このことにより 資料を活用して説明文を書くことが容易になる フォトコラージュとは次に示すように 2 枚以上の写真と それに対する説明文を対応させた情報伝達の形式である 本学級では 社会科の

し, 定期的に評価することで 自己の考え を自覚する場面を意図的に設定している 本教材の学習においては, 様々な情報の中から必要な情報を取り出し, 整理 分析し, それに基づいた自分の考えを表現する活動を通して, 自己の考えの深まりや広がり を実感させることによって, 課題改善につなげたいと考えてい

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第 1 学年国語科学習指導案 日時 平成 27 年 11 月 11 日 ( 水 ) 授業 2 場所 八幡平市立西根中学校 1 年 2 組教室 学級 1 年 2 組 ( 男子 17 名女子 13 名計 30 名 ) 授業者佐々木朋子 1 単元名いにしえの心にふれる蓬莱の玉の枝 竹取物語 から 2 単元

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5 題材の目標 生涯発達の視点から各ライフステージの特徴 課題について理解す 青年期の自立について考え, 男女の協力などについて考え 結婚 家族 家庭の意義や機能などについて理解し, 自の問題として考え 6 題材の評価規準関心 意欲 態度 思考 判断 表現 技能 知識 理解 自自身のことや, 自らし

Transcription:

~Vol.5 学習指導案について ~ Ⅰ 学習指導案の役割 1 学習指導案の役割とは 学習指導案は 児童生徒の学びたいこと と 教師の教えたいこと をつなぐための設計図です 学習指導案を作成することは 児童生徒に どのような力を身につけさせるために 教師が どのような学習指導を行うのか 授業の内容や手順を具体的に考えていくこと と言えます 学習指導案には次のような役割が考えられます 学習指導 授業の設計図としての役割上に述べたように 学習指導案は 授業のねらいを達成するための設計図と言えます 同時に 実際の指導を進めていく際の進行表としての働きもあります 学習指導案を基に授業を行うことで ねらいどおりの学習指導を 計画的に 効果的に進めていくことができます 授業研究の資料としての役割学習指導案は 研究授業などにおいて参観の観点を明確にし 指導者が何を伝えたいのか 自分の考えや思いを明確に打ち出し 共通理解を図るための資料として重要な役割を果たします この場合 授業者はポイントをしぼり 簡潔に表現するなど 参観する相手の立場に立った内容の表記に努めることが大切です 授業実践 研究の記録としての役割授業を振り返って 児童生徒の反応 計画の変更点や反省点など様々な書き込みがされた学習指導案は 授業の記録としての役割を果たします 自らの授業力を高める上でも 授業を終えた後の学習指導案を活用することは 有効な手立てであり 次の授業改善への構想につながる資料となります 2 学習指導案を作成する上で大切にしたいこと 児童生徒につけたい力にはどのような力があるでしょうか 人と関わったり協力できる力 自分の置かれている状況を受け止め 役割を果たす力 前向きに考える力 課題に見通しをもって取り組む力 自分を肯定的にとらえる力 等々 それは 児童生徒一人一人がまわりの人や社会との関わりの中で 自分の役割を果たしながら自分らしく生きていくために必要な力です 普段の学習でのねらいが 児童生徒が社会で自分らしい生き方を実現するための力を育てることと関連づいていることが大切だと考えます

3 特別支援学級における学習指導案 特別支援学級においても 学習指導案は授業の設計図としての働きに変わりはありません しかし 特別支援学級では 児童生徒の実態から指導の内容や計画を考えることに大きな意味があります 通常の学級の学習指導案では 例えば 単元について は学習指導要領に沿った指導計画に基づき 教材観から書き始めることが一般的であるのに比べ 児童生徒の実態に基づき 単元 ( 題材 ) を設定していきます このことは 特別支援学級の授業づくりで最も大切にしたいことです 実態把握から個別の指導計画の作成へ児童生徒の実態を的確に把握することで 個に応じたきめ細かな指導計画を立てることができます 実態に合った適切な指導が 児童生徒の能力や可能性を伸ばすことにつながります 個別の指導計画は 児童生徒一人一人の実態に応じ具体的な指導を行うためのきめ細やかな計画です 児童生徒一人一人の教育的ニーズに対応して 指導目標や指導内容 方法が盛り込まれています 実態把握 については Vol.1を参照 また 個別の指導計画 については和歌山県教育委員会が発行した 発達障害児指導事例集 に様式や記入例等が掲載されています 学びの丘 Webページ 特別支援教育サイト よりダウンロードできます http://www.wakayama-edc.big-u.jp/tokusi/tokusi.html 個別の指導計画と学習指導案のつながり個別の指導計画を日々の指導につなげていくためには 指導計画を具体化していく必要があります 個別の指導計画の長期目標や短期目標を達成するために この単元 ( 題材 ) では どのような目標で どのような指導をしていくのか 学習指導案に反映させていきます 肝心なことは 個別の指導計画と学習指導案が関連性や整合性があること つまり 個別の指導計画が実践とどのようにつながっているのかを把握して実践していくことです

Ⅱ 学習指導案を書いてみよう 学習指導案には特に決まった様式はありません ここでは 一つの様式例 ( 細案 ) を参考に 学習指導案作成上のポイントを示していきます 学習指導案様式例 学習指導案 指導者 (T1) (T2) 1 日時平成 年 月 日 ( ) 限 2 学年第 学年 組 ( 男子 名女子 名計 名 ) 3 単元 ( 題材 ) 名 単元名とは いくつかの教材や活動で構成された一連の学習活動を指す 児童 ( 生徒 ) の 視点に立ち 学習活動がイメージしやすく ねらいや内容が一目でわかるように明記する 4 指導にあたって (1) 児童 ( 生徒 ) 観 どのような子どもたちの実態か 本単元( 題材 ) についての児童 ( 生徒 ) の興味 関心 意欲 取り上げる内容一人一人の子どもの個別の指導計画の目標をふまえ 集団や個人の姿が具体的にイメージできるについてのこれまでの学習や経験からように記述します 個々に応じた指導の手掛かりみた達成度 既習事項の定着度など となること 指導上特に留意しておくべきことも本単元 ( 題材 ) を進めていく前提とし記述します 個人情報管理には十分配慮します ての児童 ( 生徒 ) や学級の実態を記述する (2) 教材観 何を教えるか 取り上げる教材の内容 既習事項との関連 その教材を取り上げることの意義やねらいを明確にする 学習指導要領の該当箇所を根拠に 本単元で身につけさせるために どのような学習活動を行うのか 学習活動の概要を記述する 児童 ( 生徒 ) 観で表記された課題と対応させ なぜこの教材を取り上げたのか その意義やねらいを記述します 個々に応じた指導の手掛かりとなること 指導上特に留意しておくべきことも記述します

(3) 指導観 どのように指導するのか 児童( 生徒 ) 観や教材観を受けて どのような指導をするのかというポイントを記述する 指導 支援の力点 指導の形態 その他の配慮事項など 児童 ( 生徒 ) のよさや可能性を生かすような工夫や手立てを具体的に記述する 5 単元の目標 単元の学習の中で 児童 ( 生徒 ) が何を習得し どのような力を身に付けるのか具体的に記述する 学習指導要領で示された目標や内容等をふまえて設定する 文末は ~することができる ~しようとする など 児童 ( 生徒 ) の立場で書く 6 指導と評価の計画 それぞれの時間の学習を簡潔に書く その中に 本時の部分がどこに位置するのかを明示する 指導と評価の計画 ( 全 13 時間 ) 全部で何時間の単元になるのかを書きます 次学習内容時学習活動評価規準 ( 主な評価方法 ) 1 指導の過程や指導する内容が明確になるように 授業者の立場から簡潔に書きます 具体的な学習活動について 児童生徒の立場から記述します どのようなことを どのようにして行うか を実際に行う学習活動に即した表現で記述します 評価規準 とは 評価観点 ( ) によって示された子どもにつけたい力を より具体的に文章化したものです 評価規準を作成するとき それぞれの単元の学習内容と つけたい力を関連づけて 具体的な文章表現を工夫すること が大切です 2 単元の学習活動全体を 数時間ごとにひとまと まりのもとした区切り を 次 と呼びます 評価観点は 関心 意欲 態度 思考 判断 知識 理解 技能 表現 などを使う場合や 学校独自の観点を使う場合があります 7 本時の目標 (1) 全体目標 単元の目標を達成するために 本時において児童 ( 生徒 ) にどのような力を身に付けさせるのかを具体的に記述する ( 目標を一つに絞る方がよい )

(2) 個別の実態と目標 児童 生徒名 単元 ( 題材 ) に関する実態 単元 ( 題材 ) に関する個別目標 A B 単元 ( 題材 ) に関する実態をポイントを絞って書きます できることに着目して何がどこまでできているか どんな方法ならできるかを記述します 全体目標と個別の指導計画の目標を対応させ 具体的な個人目標を設定します 児童 ( 生徒 ) の実態は異なるため 目標も一人一人異なります 8 本時の展開 時間学習活動支援方法 留意事項評価 本時の目標が学習過程につながっています 導入 分 学習過程に沿って 児童 ( 生徒 ) の活動を具体的に書きます どんな活動をするか 学習活動と対応させて 教師の支援と留意事項を書きます 個別の指導計画の指導の手立て 評価規準を具体的に書きます ( 単元の目標 本時の目標との整合を図る ) 児童 ( 生徒 ) の学習す が支援方法とつながるように どの場面で どのような観 る過程や活動する姿 する 点で児童 ( 生徒 ) の学習の 展開 がイメージしやすい 支援の対象がわかるように 全 様子や課題達成の状況を 分 ように書く 体への支援は 個別の支援は 評価するのか記述する 等で示す また 個別の支援 文例 : は誰に対する支援かをわかる 評価の方法を書く まとめ ~ を確かめる ように表記する 観察 ( 行動 発言 表情 分 ~ について話合う 等 ) ノート ~ についてまとめる 手立ては 次のような視点を取 ワークシート 作品 ~ を表現する り入れる ペーパーテスト など 目標を実現するための手立て 主体的な学習を進める手立て T1 T2 の役割を明確にする

9 配置図 黒板 T1 キーホ ート A B C T2 教室内での授業者 児童生徒の活動位置 教材の位置だけでなく 動き方についても 図示しておけばわかりやすいです 参考 特別支援学校 ( 知的障害 ) 本時の展開 様式例 よく見られる様式 学習活動 ( 学習内容 ) 指導上の留意点評価 特定の機能を重視した様式例 1 全体の活動と個への指導 支援の両方が見える学習の流れ主な学習活動と教師の指導や支援備考 A B C D 児童生徒共通の学習活動 個別の学習活動個別の学習活動個別の学習活動個別の学習活動 教師の指導 支援 教師の指導 支援 教師の指導 支援 教師の指導 支援

2 教師の動きが見える 学習内容 T1 T2 T3 T4 備考 3 グループごとの指導の様子が分かる 主な学習の流れ A グループ B グループ C グループ 備考 ( 児童生徒氏名 ) ( 児童生徒氏名 ) ( 児童生徒氏名 ) キャリア教育 の視点を取り入れた様式例 キャリア教育 とは キャリア発達 ( 社会の中で自分の役割を果たしながら 自分らしい生き方を実現していく過程 ) を支援し 一人一人の社会的 職業的自立に向け 必要な能力や態度を育てることを目指すものです 学習指導要領の中にも 随所にキャリア教育が目指す目標や内容が盛り込まれています 子どもの実態や学校の実情を踏まえ 従来の学習活動をキャリア教育の視点でとらえることで 授業をとおして 家庭や地域での生活や将来を見据え 自分らしく生きていく力 が育てられていくと考えます 活動内容 ねらい 評価の視点 キャリア教育 の視点 支援方法 キャリア教育でつけたい力の例 それぞれの学校 地域等の実情や 各校の児童生徒の実態を踏まえ 学校ごとに 育成しようとする力の目標を定める A 人間関係形成能力 1 人との関わり 2 集団参加 3 意思表示 4 挨拶 B 情報活用能力 1 様々な情報への関心 2 情報理解 選択 3 社会資源の活用マナー C 将来設計能力 1 習慣形成 2 役割 3 やりがい D 意思決定能力 1 自己選択 2 振り返り

引用 参考文献 宮城県特別支援教育センター特別支援学校教師のためのサポートブック Ⅱ 学習指導案を書こう 30のポイント (2010) 文部科学省小学校キャリア教育の手引き ( 改訂版 )(2011) 京都府総合教育センター質の高い学力を育成する学習指導案ハンドブック (2013) 千葉市養護教育センター特別支援学級担任のためのハンドブック ( 学習指導案編 )(H25 年度調査研究 )(2013) 茨城県教育研修センター特別支援教育課特別支援学級スタート応援ブック授業づくり編 (2013) 東京都教職員研修センター HP 学習指導案書式例 ( 特別支援学校 特別支援学級 ) http://www.kyoiku-kensyu.metro.tokyo.jp/03hissyu/files/sho_03.doc 鹿児島大学教育学部肥後祥治雲井未歓片岡美華 / 鹿児島大学教育学部附属特別支援学校 特別支援教育の学習指導案と授業研究子どもたちが学ぶ楽しさを味わえる授業づくり ジアース教育新社 (2013)