中途採用 に関する特別調査 調査結果の概要 1 中途採用をしたことがある企業は全体の 9 割強 2 計画通りの中途採用人数を確保できた企業は 2 割 3 今後中途採用を検討していると答えた企業は全体の 8 割 人材採用の方法としては 全体では職業安定所による募集が最も多い 近年の深刻な人手不足や 緩やかながらも景気回 復していることなどから 社員 1 人あたりの業務量 が増加している企業は多い 各企業は即戦力となる 中途採用の人材確保に積極的に取り組んでおり 転 職マーケットも新卒同様に売り手市場が続いている そこで 9 月に実施した 第 184 回企業動向調査 において 岐阜県 愛知県の企業に対し 中途採用 に関するアンケート調査を実施し 近年の中途採用 の状況や課題 今後ターゲットとしていく年齢層 職務などを調査した 1. 概要 1 中途採用をしたことがある企業は 全体の 95% で あった 調査要領 1. 調査方法岐阜県 愛知県の企業に対し 郵送によるアンケートを実施 2. 調査時期 2018 年 9 月 1 日 ~18 日 3. 回答状況有効回答数 237 社 ( 岐阜県 愛知県の企業 600 社 ; 有 効回答率 39.5%) ( 注 ) 本文中の図表の計数は 四捨五入の関係で内訳の合計等が合致しない場合がある 2 中途採用をしたことのある企業 224 社のうち 期 待通りの応募があった と回答した企業は 69 社 () であった 募集に対して 応募が全くない という企業も1 割近くあった 3 中途採用をしたことのある企業のうち 計画通りの採用人数を確保した と回答した企業は 2 割 未充足 が 4 割を占めた 4 中途採用をしたことのある企業のうち 近年の中途採用人数が 増加傾向 と答えた企業は全体の 減少傾向 は であった 5 中途採用をしたことのある企業のうち 中途採用後の課題について 課題はない と回答した企業は全体のわずか 8% で 9 割超の企業が何らかの課題を抱えている 6 今後中途採用を検討していると答えた企業は全体の 8 割を占めた 経営課題の解決や社員の戦力強化に対する意識の高さがうかがえる 7 中途採用したい年齢層については 全体の 81% の企業が 30 代を選択した 採用したい職務については 全体の 71% の企業が 一般ワーカー を選択した 管理職 技術者というハイクラス層もそれぞれ 4 割近くを占めており 社内で社員管理や専門知識を持った管理責任者の後任が育っていないことや 中堅層の人員が少ない企業が多いと推察される 十六総合研究所 1
2. 中途採用をしたことがあるか 中途採用をしたことがある企業は 全体の 95% で あった 調査対象を 右表の 7 つの業種グループに 分類してそれぞれの傾向を分析すると 建設業 運 輸業 サービス業ではすべての企業が中途採用をし たことがあると回答した その他の業種グループで も 9 割前後の企業が実施している 従業員規模別でみると 10 人未満の零細企業では 5 にとどまる一方 10 人以上の企業では 9 割を 超えており 従業員数が増えるほど中途採用の実施 率が高く 300 人以上の企業では となった 地域別での差はほとんどなかった 中途採用をしたことはありますか ( 業種別 )n=237 全体 95% 素材型 94% 加工 組立型 生活関連 その他 建設業 卸売 小売業 運輸業 サービス業 中途採用あり 94% 9 中途採用なし 5% 4% 業種グループ個別業種 (21 業種 ) 回答数比率 1. 素材型 2. 加工 組立型 3. 生活関連 その他 10 人未満 10~50 人未満 50~100 人未満 100~300 人未満 中途採用をしたことはありますか ( 従業員規模別 )n=237 300 人以上 木材 木製品 紙 紙加工品 化学工業 窯業 土石製品 鉄鋼 非鉄金属 刃物 金属製品 プラスチック その他製造業 鉱業 一般機械器具 電気機械器具 輸送用機械器具 食料品 繊維 衣類その他繊維製品 家具 装備品 出版 印刷 中途採用あり 5 95% 9 98% 中途採用なし 69 29.1% 35 14.8% 27 11.4% 4. 建設業建設業 25 10.5% 5. 卸売 小売業卸売業 小売業 54 22.8% 6. 運輸業運輸業 11 4. 7. サービス業サービス業 16 6.8% 全業種 合計 237 100.0% 4 5% 2% 3. 中途採用の募集に対し応募はどれくらいあるか 中途採用をしたことのある企業 224 社のうち 期待通りの応募があった と回答した企業は 69 社 () だった 募集に対して 応募が全くない という企業も1 割近くあった 地域別でみると 最も多く 期待通り の応募を獲得しているのが中濃で 4 であった 飛騨や愛知では 応募が全くない という企業が1 割を超えている 業種グループ別でみると 期待通り の応募は 素材型が最も多く 4 一方で運輸業ではゼロであった 従業員規模別では規模が小さいほど 応募が全くない の割合が高くなった 全体岐阜西濃中濃東濃飛騨尾張 名古屋 知多三河 募集に対する応募 ( 地域別 )n=224 60% 9% 2 6 8% 4 3 5 52% 59% 8% 14% 12% 期待通り未充足まったくない 十六総合研究所 2
募集に対する応募 ( 業種別 )n=224 素材型 4 募集に対する応募 ( 従業員規模別 ) n=224 加工 組立型生活関連 その他建設業 6 68% 9% 15% 8% 50 人未満 50~100 人未満 60% 15% 卸売 小売業運輸業サービス業 19% 91% 69% 1 9% 1 100~300 人未満 300 人以上 2 72% 69% 期待通り未充足まったくない 期待通り未充足まったくない 4. 中途採用における採用人数の確保は計画通りだったか 中途採用をしたことのある企業のうち 計画通りの採用人数を確保した と回答した企業は 2 割だった 未充足 が 4 割を占めた 地域別でみると 計画通り と回答した企業が西濃ではゼロ 飛騨で と岐阜の一部地域でとても少なかった 最も多く 計画通り と回答したのは中濃で であった 業種グループ別でみると 計画通り の企業は運輸業ではゼロであった 従業員規模別では大きな違いはみられなかった 採用人数の確保 ( 地域別 )n=224 全体 岐阜 西濃 中濃 東濃 飛騨 尾張 名古屋 知多 三河 39% 1 2 3 48% 4 4 28% 計画通りどちらともいえない未充足 採用人数の確保 ( 業種別 )n=224 素材型加工 組立型生活関連 その他建設業卸売 小売業 22% 2 48% 48% 42% 運輸業 3 64% サービス業 1 38% 計画通り どちらともいえない 未充足 5. 近年の中途採用人数の動向 中途採用をしたことのある企業のうち 近年の中途採用人数が 増加傾向 と答えた企業は全体の 減少傾向 は であった 岐阜県と愛知県で比較すると 岐阜県では 増加傾向 が最も多く 3 愛知県では 変化なし が最も多く 39% であった 岐阜県の方が中途採用に積極的なようだ 近年の中途採用人数の動向 ( 地域別 ) n=221 3 39% 29% 2 2 1 1 9% 全体岐阜愛知 増加傾向 変化なし 減少傾向 どちらともいえない 十六総合研究所 3
業種グループ別では 運輸業 サービス業以外は 減少傾向 よりも 増加傾向 の企業が多かった ま た 従業員規模別でみると 増加傾向 を選択している企業は 300 人以上の企業では過半数 300 人未満の 企業では 前後であった 加工 組立型生活関連 その他建設業卸売 小売業運輸業サービス業 近年の中途採用人数の動向 ( 業種別 )n=221 素材型 3 1 14% 3 3 38% 3 38% 19% 19% 1 1 12% 12% 15% 増加傾向変化なし減少傾向どちらともいえない 50 人未満 50~100 人未満 100~300 人未満 300 人以上 近年の中途採用人数の動向 ( 従業員規模別 )n=221 増加傾向減少傾向 29% 29% 3 1 14% 1 14% 10% 変化なしどちらともいえない 6. 中途採用後の課題 ( 複数回答可 ) 中途採用をしたことのある企業のうち 中途採用後の課題について質問した 課題はない と回答した企業は全体のわずか 8% で 9 割超の企業が何らかの課題を抱えている 全体では 知識 スキル習得 仕事のやり方 考え方の習得 組織への適応 について課題を抱える企業が多く 3 割超を占めた 従業員規模別でみると 300 人以上の企業では 組織への適応 を選択した企業が過半数を占めた 中途採用後の課題 ( 従業員規模別 )n=224 ( 複数回答可 ) 38% 42% 34% 3 3 34% 34% 2 22% 1 1 19% 1 10% 8% 8% 9% 2% 2% 2% 全体 50 人未満 50~100 人未満 100~300 人未満 300 人以上 知識 スキル習得コミュニケーション仕事のやり方 考え方の習得組織への適応賃金体系課題はないその他 7. 今後中途採用を検討しているか 今後中途採用を検討していると答えた企業は全体の 8 割を占めた 経営課題の解決や社員の戦力強化に対する意識の高さがうかがえる 地域別でみると 飛騨ではすべての企業が検討している 前述 (4. 採用人数の確保は計画通りだったか ) で最も計画通り採用人数の確保ができていた中濃では 今後中途採用を検討しない の割合が最も高かった 業種グループ別でみると 運輸業では 建設業では 92% の企業が検討している 従業員規模別では大きな違いは見られなかった 十六総合研究所 4
全体 岐阜 西濃 中濃 東濃 飛騨 尾張 名古屋 知多 今後中途採用を検討しているか ( 地域別 )n=228 三河 80% 71% 62% 88% 8 はいいいえわからない 8% 12% 1 1 14% 8% 4% 今後中途採用を検討しているか ( 業種別 ) n=228 素材型 加工 組立型 生活関連 その他 建設業 卸売 小売業 運輸業 サービス業 7 7 8 92% 74% 8 はいいいえわからない 9% 15% 9% 14% 4% 1 4% 4% 1 1 8. 中途採用したい具体的な年齢層 ( 複数回答可 ) 中途採用したい年齢層については 全体の 81% の企業が 30 代を選択した 次いで 20 代が 4 40 代が であった すべての地域 すべての業種グループで 30 代が最も高い割合を占めた 中途採用したい年齢層 ( 業種別 )n=182( 複数回答可 ) 81% 8 85% 85% 8 91% 69% 59% 52% 4 45% 34% 3 2 2 10% 1 2% 5% 4% 5% 58% 1 20 代以下 30 代 40 代 50 代 60 代以上 9. 採用したい職務 ( 複数回答可 ) 採用したい職務については 全体の 71% の企業が 一般ワーカー を選択した 管理職 技術者というハイクラス層もそれぞれ 4 割近くを占めており 社内で社員管理や 71% 39% 38% 採用したい職務 ( 地域別 ) n=182 ( 複数回答可 ) 94% 82% 71% 69% 68% 62% 3 44% 45% 38% 38% 38% 42% 6 専門知識を持った管理責任 者の後任が育っていないこ とや 中堅層の人員が少ない企業が多いと推察される 管理職技術者一般ワーカー 十六総合研究所 5
地域別でみると 飛騨の中途採用希望企業の 7 割近くが 技術者 を求めている その他の地域で は 一般ワーカー を求める企業の割合が高いが 管理職や技術者を求める企業も 3~5 割にのぼっ た 採用したい職務 ( 業種別 ) n=182 ( 複数回答可 ) 78% 60% 70% 75% 38% 8 79% 2 22% 7 75% 45% 2 1 管理職技術者一般ワーカー 十六総合研究所 6
業種グループ別でみると 製造業 ( 素材型 加工 組立型 生活関連 その他 ) では 求める管理職として 工場経営 製造品質管理 の管理者を求める企業が多かった 管理者の高齢化が進み マネージメントや技術を引き継ぐ次世代の中堅層が少ないため 即戦力となる中途採用のニーズが高まっているものと思われる 一般ワーカーとしては 製造現場の要員を求める企業が多く 大卒 高卒 パート採用に苦戦している状況がわかる 非製造業のうち 建設業では 電気 土木 設計部門の技術者ニーズが高く こうした技術者の採用は難易度が高い状況にある 卸売 小売業では 販売部門が中心となるため 求める管理職として営業力強化や営業戦略立案のために営業所長クラスのニーズが高く 同時に営業力強化のための営業の一般ワーカーのニーズが高い 10. 中途採用の人材確保に関してどこに頼りたいか ( 複数回答可 ) 人材採用の方法としては 全体では職業安定所による募集が最も多く 中途採用希望企業の7 割近くが頼りたい先として選択した 一方で 管理職 技術者といったハイクラス層については 働きながら人材紹介会社などに登録し 次の職場を探している人材が多いため 職業安定所での採用人数は多くないものと思われる そのため 人材紹介会社も全体の4 割が頼りたい先として選択している 人手不足が深刻化する中 職務によってはコストをかけてでも求める人材を確保したいという企業が今後増えていくものと思われる 中途採用に関してどこに頼りたいか ( 業種別 )n=182 ( 複数回答可 ) 92% 6 70% 74% 64% 60% 62% 64% 5 42% 42% 44% 45% 48% 3 3 28% 2 19% 14% 15% 22% 1 10% 4% 10% 4% 職業安定所人材派遣会社人材紹介会社自治体その他 ( 研究員藤木由江 ) 十六総合研究所 7