操舵室 船室 本件倉庫の通気口 本件倉庫 船尾側 写真 1 本船本船は 船長ほか甲板員 1 人が乗り組み コンベンション協会が企画する地域興し企画の目的で 参加者 11 人及び知人 1 人を乗せ 船体中央部にある船室の各窓を閉めてエアコンを運転し 18 時 40 分ごろ檮原川津賀ダム上流の北岸の係留

Similar documents
船舶事故調査報告書 平成 30 年 12 月 19 日運輸安全委員会 ( 海事専門部会 ) 議決委員佐藤雄二 ( 部会長 ) 委員田村兼吉委員岡本満喜子 事故種類発生日時発生場所事故の概要事故調査の経過 衝突 平成 29 年 12 月 23 日 19 時 15 分ごろ 京浜港東京第 2 区 晴海信号

その他の事項 という ) を乗せ ウェイクボーダーをけん.. 引して遊走する目的で 平成 30 年 8 月 13 日 14 時 00 分ごろ土庄町室埼北東方にある砂浜 ( 以下 本件砂浜 という ) を出発した 船長は 自らが操船し 操縦者 同乗者 E の順にウェイクボードに 搭乗させ 本件砂浜北東

船舶事故調査報告書 平成 29 年 7 月 13 日運輸安全委員会 ( 海事専門部会 ) 議決委員庄司邦昭 ( 部会長 ) 委員小須田敏委員根本美奈 事故種類衝突 ( 防波堤 ) 発生日時発生場所事故の概要事故調査の経過事実情報船種船名 総トン数船舶番号 船舶所有者等 L B D 船質機関 出力 進

本船は 船長が1 人で船橋当直につき 主機を回転数毎分約 1,2 00( 出力約 20%) とし 約 5ノットの対地速力で 早岐港南東方沖を手動操舵により南南東進中 11 時 07 分ごろ主機が突然停止した 機関長は 温度計測の目的で機関室出入口の垂直はしごを降りていたところ ふだんと違う同室の音を

船舶事故調査報告書 平成 25 年 8 月 22 日 運輸安全委員会 ( 海事部会 ) 議決 委員長 後藤昇弘 委 員 横山鐵男 ( 部会長 ) 委 員 庄司邦昭 委 員 石川敏行 委 員 根本美奈 事故種類発生日時発生場所船舶事故の概要事故調査の経過事実情報船種船名船籍港総トン数 IMO 番号船舶

免許登録日平成 26 年 7 月 3 日免許証交付日平成 26 年 7 月 3 日 ( 平成 31 年 7 月 2 日まで有効 ) 釣り客 A 男性 54 歳釣り客 B 男性 51 歳釣り客 C 男性 74 歳死傷者等重傷 3 人 ( 釣り客 A 釣り客 B 及び釣り客 C) 損傷 なし 気象 海象

おお航海士 Aは 22 時 00 分ごろ福岡県宗像市大島東方沖で船長から 船橋当直を引き継ぎ レーダー 1 台を 6 海里 (M) レンジとして 電 子海図表示装置及び GPS プロッターを 12M レンジとしてそれぞれ 作動させ 操舵スタンド後方に立って単独で操船に当たった 本船は 航海士 A が

船舶事故調査報告書 平成 26 年 9 月 4 日 運輸安全委員会 ( 海事専門部会 ) 議決 委 員 横山鐵男 ( 部会長 ) 委 員 庄司邦昭 委 員 根本美奈 事故種類発生日時発生場所事故調査の経過事実情報船種船名 総トン数船舶番号 船舶所有者等 L B D 船質機関 出力 進水等乗組員等に関

船尾部の便所 スパンカーマスト及び操舵室上部が脱落した 大浦丸は 左舷船首部 のハンドレールに曲損を 前部マストに折損を 船底部に破口及び擦過痕をそれぞれ 生じた < 原因 > 本事故は 洲埼北西方沖において 大浦丸が北進中 第五育丸が漂泊して釣り中 両船長が見張りを適切に行っていなかったため 両船

目 次 はじめに 1 1 立入検査の状況 2 2 命令に係る事項 3 3 その他輸送の安全に重大な関係を有する事項 (1) 船舶事故等の発生状況 6 (2) 船種別事故等の発生状況 7 (3) 主な指導内容 9

MI 船舶インシデント調査報告書 ( 地方事務所事案 ) 横浜事務所 1 引船第二十一管洋運航不能 ( 絡索 ) 2 漁船末廣丸運航不能 ( 機関損傷 ) 3 貨物船鹿児島エキスプレス運航不能 ( 機関損傷 ) 神戸事務所 4 貨物船東翔丸運航不能 ( 船体傾斜 ) 5 ヨット朝鳥運航

MA 船舶事故調査報告書 平成 24 年 4 月 27 日 運輸安全委員会 Japan Transport Safety Board

台風による外国船の 走錨衝突事故防止に向けて 平成 24 年 9 月 6 日 運輸安全委員会事務局横浜事務所

1. 船舶事故の概要報告書 1 ページ 旅客フェリーさんふらわあだいせつは 船長ほか22 人が乗り組み 旅客 71 人を乗せ 車両等 160 台を積載し 北海道苫小牧市苫小牧港に向けて茨城県大洗港を出港し 苫小牧港南方沖を北進中 平成 27 年 7 月 31 日 17 時 10 分ごろ第 2 甲板で

3. 特記事項別紙 関係行政機関及び地方公共団体等からの通知 欄に記載されたリコール情報については 詳細を 消費者庁リコール情報サイト で確認することができます 以下のウェブサイトアドレスから アクセスして御利用ください 消費者庁リコール情報サイト ウェブサイトアドレス PC

Japan Transport Safety Board 1 コンテナ船 ACX CRYSTAL ミサイル駆逐艦 USS FITZGERALD 衝突事故 運輸安全委員会令和元年 8 月

をガス専焼モードとして運転していたところ ガス燃料管のガスリークディテクタがガス濃度上昇の信号を発し LNGの蒸発ガスの燃焼が停止して主ボイラが失火したので 蒸気消費量を減少させようとして2 台のタービン発電機のうちの1 台の負荷をディーゼル発電機に移行させたが 1 台のタービン発電機の気中遮断器を

( 東京事案 ) 1 貨物船 MAY STAR 漁船明神丸衝突及び貨物船 MAY STAR 乗揚 2 旅客船 DANS PENTA 1 乗揚 3 釣船うしお丸転覆 4 貨物船第七住力丸漁船大業丸衝突 5 油送船第八豊栄丸乗組員死亡 ( 地方事務所事案 ) 函館事務所 6 漁船西山丸転覆 7 遊漁船第

その他の事項 約 200 であり 船首の作業灯がついていて 船長が投錨する旨を指 示したので 機関室に移動して発電機を起動し いつでも主機を中立 運転にできるように準備した後 自室に戻った 航海士 A は 20 時 00 分ごろ本船が減速していることに気付いて 昇橋したところ 船長から船位が分からな

<4D F736F F F696E74202D A957A A8EC0895E8D7182C982A882AF82E EF89FC915082CC82BD82DF82CC A83808DC5934B89BB A2E >

MA 船舶事故調査報告書 平成 23 年 9 月 30 日 運輸安全委員会

内容 1. 調査概要 2. 内航船の騒音実態調査 3. Janssen 法による騒音予測プログラム 4. 騒音対策の検討 5. まとめ 2

( 東京事案 ) 1 モーターボート建友爆発 2 貨物船 AQUAMARINE 漁船平新丸衝突 ( 地方事務所事案 ) 函館事務所 3 漁船第五十一萬漁丸火災 4 漁船第 18 勝丸火災 5 プレジャーボート第十八栄海丸乗揚 6 漁船第六十八廣洋丸衝突 ( 消波ブロック ) 7 漁船第五十五富丸衝突

( 東京事案 ) 1 旅客船龍宮城乗組員死亡 2 プレジャーボートかいきょう丸プレジャーボートこくら丸衝突 3 遊漁船しぶさき10 号沈没 4 遊漁船はなぶさ釣り客負傷 5 モーターボートKaiser 衝突 ( 係船杭 ) 6 漁船若栄丸小型兼用船福寿丸衝突 7 遊漁船一福丸モーターボート可奈丸衝突

同船は沈没した NIKKEI TIGER に死傷者はなく また 船体に大きな損傷はなかった < 原因 > 本事故は 夜間 金華山東方沖 930km 付近において NIKKEI TIGER が北東進中 堀栄丸が南南西進中 両船の進路が交差する態勢で接近する状況となった際 NIKKEI TIGER が左

船舶事故調査報告書 船種船名コンテナ船 WAN HAI 162 I M O 番号 総トン数 13,246 トン 船種船名漁船第七盛南丸 漁船登録番号 OS 総トン数 9.7 トン 船種船名漁船第八盛南丸 漁船登録番号 OS 総トン数 9.7 トン 事故種類衝突

一酸化炭素中毒災害発生状況については 毎年 30~40 件前後発生 例年起因別で多いのは内燃機関の使用によるもの ( 約 4 割 ) 調理器具の使用によるもの ( 約 2 割 ) 屋外における有害作業による中毒災害も発生している 〇一酸化炭素中毒対策に係る規定等 安全衛生規則第 578 条 ( 内燃

5 ii) 実燃費方式 (499GT 貨物船 749GT 貨物船 5000kl 積みタンカー以外の船舶 ) (a) 新造船 6 申請船の CO2 排出量 (EEDI 値から求めた CO2 排出量 ) と比較船 (1990~2010 年に建造され かつ 航路及び船の大きさが申請船と同等のものに限る )

<4D F736F F D A815B91E58C588ECE8E968CCC91CE8DF482CC82DC82C682DF E646F63>


スライド 1

<4D F736F F F696E74202D208A438B5A8CA48CA48B8694AD955C89EF A4A816A88F38DFC E >

れるところである Ⅱ 閉鎖系の場合喫煙所の排気口の場所や出入口からのたばこ煙の漏えいにも留意しつつ 事業場の出入口等にたばこ煙が流入しないよう適切な場所に設置することが望ましい 2 設置が推奨されない場所 事業場の軒下や壁際( 開放系に限る 屋根や壁をつたって屋内にたばこ煙が流入する危険が高い )

( 東京事案 ) 1 貨物船 MAY STAR 漁船明神丸衝突及び貨物船 MAY STAR 乗揚 2 旅客船 DANS PENTA 1 乗揚 3 釣船うしお丸転覆 4 貨物船第七住力丸漁船大業丸衝突 5 油送船第八豊栄丸乗組員死亡 ( 地方事務所事案 ) 函館事務所 6 漁船西山丸転覆 7 遊漁船第

< F2D A8E678BA692E88E9696B D2E6A7464>

(1) 船舶の堪航能力が不十分であるとき (2) 天候 本船の状態 積荷の種類又は水路等の状況に照らし 運航に危険 のおそれがあるとき (3) 水先船の航行に危険のおそれがあるとき (4) 水先人の乗下船に対する安全施設が不備であるとき (5) 水先人の業務執行に際し 身体及び生命に危険のおそれがあ

本報告書の調査は 本件航空重大インシデントに関し 運輸安全委員会設置 法及び国際民間航空条約第 13 附属書に従い 運輸安全委員会により 航空事 故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり 本事案の責任を 問うために行われたものではない 運輸安全委員会 委員長後藤昇弘

別紙第 1 職員の給与 ( 海事職給料表の導入等 ) に関する報告 本委員会は 船舶に乗り組む職員 ( 以下 船舶乗組員 という ) の給与について 昨年 10 月 9 日の職員の給与に関する報告でも言及したとおり 勤務の特殊性から見直す必要があると考え 検討を重ねてきた その結果は 次のとおりであ

船舶事故等調査報告書 ( 軽微 ) 1 船舶事故計 96 件 2 船舶インシデント計 26 件 合計 122 件 平成 21 年 12 月 18 日 運輸安全委員会

( 東京事案 ) 1 交通船フレッシュありかわ乗揚 2 モーターボート涼乗船者負傷 3 貨物船新賢和丸貨物船第八昭和丸衝突 4 貨物船大航丸乗揚 5 漁船大康丸漁船宮島丸衝突 ( 地方事務所事案 ) 函館事務所 6 漁船第六十三潮丸乗組員死亡 7 貨物船阿州山丸火災 8 漁船第 18 太平丸乗組員死

<4D F736F F D E9E8AD48AB78B D8CF08AB795FB8AB78B CC895E935D92E28E7E95FB964082C62E646F63>

No01-60 VL15ZM 4分岐認定書.xls

4.3 用語の定義 気密性能建物の内外を隔てる外周部分 ( 建物外皮 ) または建物の部位で内外を隔てる部分の密閉性の程度を意味し 総相当隙間面積または相当隙間面積で表す 建物外皮 外壁 屋根 天井 基礎 床 開口部などの部位であって 建物内外を気密に隔て る部分をいう 共同

m 3 /s

Microsoft Word _報告書表紙_MA_.doc

目 次 Q 1 マリンレジャーはどのようなものがあるの? Q 2 水上オートバイって安全なの? Q 3 最近よく耳にするミニボートってどんなもの? Q 4 プレジャーボートを操縦するのに免許は必要? Q 5 小型船舶の免許はどのようにして取得するの? Q 6 小型船舶に乗るときは救命胴衣を着用しない

<4D F736F F D E518D6C8CA990CF95E58F CC816988C4816A2E646F63>

海上自衛官の海技従事者国家試験の受験資格について(通知)

Microsoft Word - 07mj103.doc

P&I 保険 とは 船舶の運航に不可欠 船舶の運航に伴って生じる船主の法律上 契約上の責任を対象とする 賠償責任保険 です 例えば 船舶の運航中に港湾 漁業施設などの船舶以外の財物に与えた損害 および 費用をてん補します 非営利での運営 船舶の運航に欠かせない P&I 保険は 非営利で運営される組合

総トン数 :169,379 トン 乗客定員 :4246 人 乗組員数 :1551 人 全長 :347m 全幅 :41m 喫水 :8.5m 巡航速度 :22 ノット 就航年 :2019 年 4 月 デッキプラン Spectrum of the Seas スペクトラム オブ ザ シーズ 2019 月 0

平成24年

第 21 換気設備等製造所等の換気設備及び排出設備の基準については 次による 1 換気設備 (1) 換気設備は 室内の空気を有効に置換するとともに 室温を上昇させないためのものであり 下記のものがある ア自然換気設備 ( 給気口と排気口により構成されるもの ) イ強制換気設備 ( 給気口と回転式又は

船舶事故調査報告書 船種船名 LNG 船 PUTERI NILAM SATU IMO 番号 総トン数 94,446トン 船種船名 LPG 船 SAKURA HARMONY IMO 番号 総トン数 2,997トン 事故種類衝突発生日時平成 25 年 1 月 10 日 1

Microsoft Word - 船労結果概要.doc

伏木富山港における大型クルーズ船受入機能強化等 基盤整備調査 調査成果報告書 別添 3 調査主体 富山県 対象地域 富山県高岡市 対象となる基盤整備分野 港湾. 調査の背景と目的伏木富山港は 平成 3 年 月に日本海側拠点港の 外航クルーズ ( 背後観光地クルーズ ) に選定されたほか その他の機能

様式1

<4D F736F F D2089C692EB BF B C838C815B CC AF834B E2895BD90AC E368C8E29>

出来ない このようなことから 自動車の出力をそのままで使用することは不可能であり ここでは 耐久面を考慮して自動車用の出力の 1/2 を舶用定格出力として使用する 右図のトヨタ自動車 (FCHV-adv)90kW の燃料電池から 高さ 奥行 幅の寸法比率が 1: 1.38:2.45 であり 車体幅大

船舶事故等調査報告書 ( 軽微 ) 1 船舶事故計 96 件 2 船舶インシデント計 26 件 合計 122 件 平成 21 年 12 月 18 日 運輸安全委員会

いろり座卓使用時の一酸化炭素中毒に注意!

(Microsoft PowerPoint - \216R\223c\221\262\230_2011 [\214\335\212\267\203\202\201[\203h])

船舶プロダクト検討について 背景 船舶の情報はユーザーの注目が高く その情報は主に AIS( 後述 ) や衛星画像 ログ情報等から得られる そして海象 気象情報との連携や統計情報等の大量データから得られる情報等から新しい価値の創出も期待できる このことからコアサービスから提供するプロダクト検討の一環

職場における熱中症による死傷災害の発生状況 ( 広島労働局 ) 1 熱中症による死傷者数の推移 ( 平成 20 年 ~ 平成 29 年分 ) 過去 10 年間の職場での熱中症による死亡者及び休業 4 日以上の業務上疾病者の数 ( 以下 死傷者数 という ) をみると 年によって差はあるものの 3 人

5章.indd

粒子画像流速測定法を用いた室内流速測定法に関する研究

加熱式たばこ使用時の空気環境影響について

車載式故障診断装置 (OBD) に関する制度と運用の現状 資料 4

(溶け込み)大阪事務所BCP【実施要領】

< F31322D819A B8AED8BEF82CC C B95B68E91>

News Release 平成 27 年 2 月 5 日 消費者安全法の重大事故等に係る公表について 消費者安全法に基づき 平成 27 年 1 月 26 日から平成 27 年 2 月 1 日までに関係行政機関等から生命 身体被害に関する消費者事故等として通知された事案は 88 件 うち重大事故等とし

東京事務所版 BCP 実施要領目次応急頁 < 第 1グループ> 直ちに実施する業務 1 事務所における死傷者の救護や搬送 応急救護を行う一時的な救護スペースの設置 運営 備蓄の設置 医療機関への搬送 1 2 事務所に緊急避難してきた県民や旅行者等への対応 避難 一次避難スペースの運営 指定避難所への

1 施設設備の衛生管理 1-1 食品取扱室の清掃及び保守点検 < 認証基準 > 床 内壁 天井 窓 照明器具 換気扇 手洗い設備及び排水溝の清掃手順 保守点検方法が定められていること 床及び排水溝の清掃は1 日に1 回以上 その他の清掃はそれぞれ清掃の頻度の記載があること 保守点検頻度の記載があるこ


< F75208BF38B4390B48FF28B4092B28DB A838A815B F E786C7378>

裁決録

風力発電インデックスの算出方法について 1. 風力発電インデックスについて風力発電インデックスは 気象庁 GPV(RSM) 1 局地気象モデル 2 (ANEMOS:LAWEPS-1 次領域モデル ) マスコンモデル 3 により 1km メッシュの地上高 70m における 24 時間の毎時風速を予測し

資料3 船舶ワーキンググループにおける検討方針等について

船舶案内 ( 株 ) 藤村海事工業所 三重県四日市市千歳町 1-3 TEL 059(351)1088 FAX 059(351)

○新潟県高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行細則

( 東京事案 ) 1 コンテナ船 SONG CHENG 乗揚 2 漁船第八浦郷丸火災 ( 地方事務所事案 ) 函館事務所 3 漁船日正丸転覆仙台事務所 4 モーターボート三王丸転覆 5 モーターボートムスタング乗組員行方不明横浜事務所 6 モーターボート Ever Free Ⅱ 同乗者負傷 7 漁船

( 東京事案 ) 1 ダイビング船スタイル乗船者死亡 2 油送船第十七永進丸ケミカルタンカー COSMO BUSAN 衝突 3 ケミカルタンカー錦陽丸引船かいりゅう台船 千 2 衝突 ( 地方事務所事案 ) 函館事務所 4 貨物船りゅうえい乗揚 5 漁船進正丸乗組員死亡 6 漁船第十八のぞみ丸転覆

粒子画像流速測定法を用いた室内流速測定法に関する研究

untitled

ダムの運用改善の対応状況 資料 5-1 近畿地方整備局 平成 24 年度の取り組み 風屋ダム 池原ダム 電源開発 ( 株 ) は 学識者及び河川管理者からなる ダム操作に関する技術検討会 を設置し ダム運用の改善策を検討 平成 9 年に設定した目安水位 ( 自主運用 ) の低下を図り ダムの空き容量

便所 縮尺 福祉型便房のある便所の構造 福祉型便房並びに腰掛便座及び手すりの 設けられた便房の構造並びに床置式の小便器の構造 手すり 縮尺 外形 両端部及びわん曲部の構造並びに傾斜路及び階段の両端部の構造 視覚障害者用 床材 縮尺 視覚障害者用床材及び周囲の床材の仕上げ材料 仕上げ方法 色及び形 状

裁決録

総トン数 :122,000 トン 乗客定員 :2850 人 乗組員数 :1246 人 全長 :317m 全幅 :37m 喫水 :8.2m 巡航速度 :24.0 ノット 就航年 :2009 年 8 月 改装年 :2014 年 4 月 デッキプラン Celebrity Equinox セレブリティ イク

<4D F736F F D B089BB E9688C482CC8A8893AE977697CC2E646F63>

( 東京事案 ) 1 旅客フェリー万葉船体傾斜 2 旅客船第三あんえい号旅客負傷 3 旅客船第三十八あんえい号旅客負傷 ( 地方事務所事案 ) 函館事務所 4 漁船第五十五漁信丸乗揚 5 漁船善宝丸乗組員死亡 6 漁船保栄丸衝突 ( 防波堤 ) 仙台事務所 7 漁船漁栄丸プレジャーボート第五カサイ丸

資料 8 平成 28 年 7 月 25 日 海外のスマートフォンを用いた航海支援アプリについて 海上技術安全研究所 1. 概要現在 スマートフォンを用いたナビゲーション支援アプリは 自動車をはじめ 歩行者用 公共交通機関の乗り継ぎ案内等多くの交通機関を対象として様々な機能に対応している ここでは 海

換気計画と換気計算方法 ( 居室の必要換気回数 0.5 回 /h 以上 ) パッシブエネルギージャパン株式会社

パッシブ設計実測比較_薪ストーブ編

<8F5A8CCB8E648FE3955C FC816A2E786C7378>

(Microsoft Word \224N4\214\216_\203h\203\211\203t\203g_\221D\224\225\201FTOKIO MARINE Topics_\216\251\223\256\216\324\220\352\227p\221D\203\212\203X\203N.doc)

別紙 1 消防危第 174 号 平成 25 年 10 月 4 日 < 関係団体の長 > 殿 消防庁危険物保安室長 ガソリン携行缶本体の注意表示の充実に係るご協力のお願いについて 平素から消防行政へのご理解とご協力を賜り 厚く御礼申し上げます 平成 25 年 8 月 15 日に京都府福知山市花火大会で

総トン数 :122,000 トン 乗客定員 :2850 人 乗組員数 :1246 人 全長 :317m 全幅 :37m 喫水 :8.2m 巡航速度 :24.0 ノット 就航年 :2010 年 4 月 改装年 :2015 年 4 月 デッキプラン Celebrity Eclipse セレブリティ イク

( 東京事案 ) 1 ケミカルタンカー青鷹沈没 2 油タンカー PACIFIC POLARIS 衝突 ( 桟橋 ) 3 旅客船第十一天竜丸転覆 ( 地方事務所事案 ) 函館事務所 4 貨物船 SAKHISLAND 引船たていわ丸衝突 5 漁船第十五漁徳丸乗組員死亡 6 漁船第三恵丸乗組員死亡仙台事務

< F31312D926E88E68E DAA8EBA82CC834A8145>

総トン数 :91,000 トン 乗客定員 :2158 人 乗組員数 :950 人 全長 :294m 全幅 :32m 喫水 :7.9m 巡航速度 :24.0 ノット 就航年 :2001 年 10 月 改装年 :2016 年 3 月 デッキプラン Celebrity Summit セレブリティ サミット

Transcription:

船舶事故調査報告書 平成 28 年 10 月 6 日運輸安全委員会 ( 海事専門部会 ) 議決委員庄司邦昭 ( 部会長 ) 委員小須田敏委員根本美奈 事故種類 発生日時 発生場所 事故の概要 事故調査の経過 事実情報 船種船名 総トン数 船舶番号 船舶所有者等 L B D 船質 機関 出力 進水等 乗組員等に関する情報 同乗者負傷 平成 27 年 8 月 20 日 19 時 40 分ごろ ゆすはらつが高知県四万十町檮原川津賀ダム上流の北岸 たけのち竹ノ地 四等三角点から真方位 220 400m 付近 ( 概位北緯 33 17.8 東経 132 56.8 ) 屋形船いぶきは 係留中 同乗者 6 人が一酸化炭素中毒になった 平成 27 年 8 月 24 日 本事故の調査を担当する主管調査官 ( 神戸 事務所 ) ほか 1 人の地方事故調査官を指名した 原因関係者から意見聴取を行った 屋形船いぶき 19 トン 282-17053 高知 有限会社小椋電気工業 10.78m(Lr) 4.99m 0.80m FRP ガソリン機関 ( 船外機 ) 66.2kW 平成 9 年 5 月 船長男性 68 歳 二級小型船舶操縦士 特殊小型船舶操縦士 特定 免許登録日平成 5 年 8 月 4 日 免許証交付日平成 24 年 8 月 15 日 同乗者 A 男性 54 歳 同乗者 B 女性 43 歳 ( 平成 30 年 8 月 3 日まで有効 ) 死傷者等重傷 2 人 ( 同乗者 A 及び同乗者 B) 軽傷 4 人 ( 同乗者 ) 損傷 気象 海象 なし 気象 : 天気晴れ 風向東 風速約 2m/s 視界良好 水象 : 川面平穏 事故の経過本船は 船体が四角形の形状をした屋形船であり 船長が 平成 2 7 年 8 月 20 日 18 時 20 分ごろ エアコンを運転する目的で左舷船 尾側に設けられた天井板のない倉庫 ( 以下 本件倉庫 という ) に 置いていたキャスター付きの携帯発電機 ( 以下 本件発電機 とい う ) を始動した ( 写真 1 参照 ) - 1 -

操舵室 船室 本件倉庫の通気口 本件倉庫 船尾側 写真 1 本船本船は 船長ほか甲板員 1 人が乗り組み コンベンション協会が企画する地域興し企画の目的で 参加者 11 人及び知人 1 人を乗せ 船体中央部にある船室の各窓を閉めてエアコンを運転し 18 時 40 分ごろ檮原川津賀ダム上流の北岸の係留地を発し 上流へ向かった 本船は 船長が左舷船首にある操舵室で単独で操船し 係留地の上流約 100mのところにある下津井橋まで約 3ノットの対地速力で航行したのち 同乗者が川辺の景色の撮影を終えて船室に戻った頃 回頭して係留地に向かった 同乗者の1 人 ( 女性 51 歳 以下 同乗者 C という ) は 船室の右舷船首側に座って資料の整理等をしたのち 他の同乗者と共に船室の中央付近に置かれたテーブルを囲んで 自己紹介及び資料の説明を行った後 弁当を食べ始めた 本船は 19 時 35 分ごろ 係留地に戻り 船長及び甲板員が係留索を取り 渡り板が掛けられた 同乗者 Cは 19 時 40 分ごろ 船室で急に気分が悪くなって前に倒れ 意識を失い 近くにいた同乗者による心肺蘇生等の応急処置で すぐに意識を取り戻し 他の同乗者が119 番通報したので救急車が到着するまで 船室で横になっていた 更に別の同乗者 ( 男性 58 歳 以下 同乗者 D という ) は 船室で 出口に行こうとして立ち上がって少し歩いたところで意識を失い 他の同乗者により河原に運ばれて横になっていたところ 意識を取り戻した 別の同乗者 ( 女性 19 歳 以下 同乗者 E という ) は 船室で気分が悪くなって船酔いかと思い トイレに行こうと船室の船尾側出口から外に出たところ 本船がすでに着岸していたので 河原に下りて休んだ - 2 -

その他の事項 船長は 船室での異変に気付き 船室に入ると窓が開放され 同乗者 Cが他の同乗者に付き添われて横になっており 何が起きたか分からなかったが 同乗者 C 及び同人に付き添っていた同乗者を除く全員に下船して河原で休憩するように言った 同乗者 Aは 本船を下りる途中で気分が悪くなり そのうち意識を失い 同乗者 E 等の手助けで河原に下り 座って外気に当たっているうちに意識を取り戻した 同乗者 11 人は 救急車等で近くの診療所に運ばれ 酸素吸入等の治療を受け そのうちの症状が重い同乗者 A 同乗者 B 同乗者 C 同乗者 D 同乗者 E 及び同乗者 1 人 ( 女性 58 歳 以下 同乗者 F という ) の6 人が21 日午前 0 時ごろに高知県高知市の病院に搬送され 一酸化炭素中毒と診断された 同乗者 C 及び同乗者 Fは 集中治療室へ入って治療を受けた 同乗者 C 同乗者 D 同乗者 E 及び同乗者 Fは 一酸化炭素ヘモグロビン (CO-Hb) の血中濃度が下がり 8 月 21 日又は22 日に退院した 同乗者 A 及び同乗者 Bは 8 月 22 日の午後に一酸化炭素ヘモグロビンの血中濃度が下がり 救急科から一般病棟に移って経過観察のために5 日間入院した ( 付図 1 事故発生場所概略図参照 ) 病院に搬送された同乗者の血中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度は 次のとおりであった ( 通常時の基準値 0.5~1.5%) 同乗者 A 7.6% 同乗者 B 5.1% 同乗者 C 4.6% 同乗者 D 8.8% 同乗者 E 1.6% 同乗者 F 4.5% 一酸化炭素は 空気より軽い気体 ( 対空気比重が0.967) である 本船は 船体中央部に長さ約 6.9m 幅約 3.1mの天井のない船室が 船室の船首側 船尾側 左舷側及び右舷側に天井板の設けられた通路がそれぞれ配置され 各通路のを仕切る壁等はなく ロの字形につながっていた 船室の天井部分は 屋根に沿って化粧板が張られ 各通路部分とは内壁で仕切られており 船首側の妻壁の中央部に通風口 ( 以下 船室用通気口 という ) が2 個設けられていた また 船首側通路のには 船首側妻壁に船外との通気口が1 個設けられていた 本件倉庫は 左舷船尾側に設けられ トイレ及び船尾側通路に隣接しており 天井部と船尾側通路のとの間に隙間があり 空気の流通があった 本件倉庫には 舷側の最下段部に本件発電機用の区画 ( 以下 本件区画 という ) があり 本件区画の船首側には移動防止用の角材 - 3 -

分析乗組員等の関与船体 機関等の関与気象 海象等の関与判明した事項の解析 が 船尾側の側壁には直径約 50mmの排気ガス用の穴 ( 以下 本件排気口 という ) がそれぞれ設けられていた また 本件倉庫の左舷側及び船尾側の側壁には高さ約 0.60m 幅約 0.23mの 船首側にある開き戸には高さ約 0.60m 幅約 0.52mの格子状の通気口 ( 以下 倉庫通気口 という ) が それぞれ設けられていた 船長は 本件発電機に燃料を補給する際 本件発電機を本件区画に置いた状態では本件区画の上面と給油口との間に余裕がなかったので 本件発電機を本件区画から手前に出して行っていたが いつしか燃料補給時の煩わしさから本件発電機を本件区画から出した状態で使用していた 船長は 本件発電機からの排出ガスが 倉庫通気口等から船外に排出されていると思っていた ( 付図 2 本船配置及び本件ガス経路の略図 写真 2 本件倉庫 写真 3 本件発電機 写真 4 本件発電機移動後の本件倉庫 写真 5 本件倉庫天井 写真 6 左舷側通路 写真 7 船室前部 写真 8 エアコン室内機及び船室用通気口参照 ) 本船は 平成 13 年 5 月から平成 20 年 5 月までの間 不定期航路事業の届け出がされていたが 平成 27 年 6 月末に船長の知人等の依頼により 蛍見物の目的で3 回ほど運航し 船室の窓を開放して航行していたので 窓を閉めてエアコンを運転した状態で運航したことがほとんどなかった 船長は 以前 何回か本船に甲板員として乗り組んだことがあり 船長としての乗船は 本事故時で4 回目であった 船長は 出港の約 2 時間前に 本件発電機に燃料を約 10l 補給し 本事故当時 船室の窓を閉めてエアコンを運転していた 本船は 平成 24 年 8 月以降 日本小型船舶検査機構 (JCI) の定期検査を受検しておらず 船舶検査証書が失効していた ありありなし本船は 係留地において 本件倉庫に備えられていた本件発電機を運転して係留中 本件発電機からの排気ガスに含まれる一酸化炭素が 本件倉庫内に滞留していたことから 本件倉庫天井部の隙間から通路の及び船室用通気口を経由して船室に入り 船室にいた同乗者 6 人が吸引して一酸化炭素中毒になったものと考えられる 本船は 船長が本件発電機の燃料補給をしやすくしようと本件発電機を本件区画の手前側で使用していたことから 本件発電機からの排気ガスに含まれる一酸化炭素が本件倉庫内に滞留していたものと考えられる - 4 -

原因 参考 本船は 各通路のを仕切る壁等もなくつながっていたことから 一酸化炭素が本件倉庫天井部の隙間から船尾側通路のに流れ込み 各舷側通路の及び船室用通気口を経由して船室に入ったものと考えられる 一酸化炭素は 空気より軽い気体であったものの 船室の各窓が閉められ エアコンが運転されていたことから 船室内を循環していたものと考えられる 船長は 本件倉庫のが 各舷側通路のを通して船室とつながっていることを知らなかった可能性があると考えられる 本船は 船舶検査証書が失効していたことから 航行の用に供してはならなかった 本事故は 本船が 係留地において 本件倉庫に備えられていた本件発電機を運転して係留中 本件発電機からの排気ガスに含まれる一酸化炭素が 本件倉庫内に滞留していたため 本件倉庫天井部の隙間から通路の及び船室用通気口を経由して船室に入り 船室にいた同乗者 6 人が吸引して一酸化炭素中毒になったことにより発生したものと考えられる 今後の同種事故等の再発防止に役立つ事項として 次のことが考えられる 船内で携帯発電機を使用する際は 排気ガスが外気に直接排出されるよう排気用の配管を設けること 又は暴露甲板上で使用すること 換気口及び換気扇は ダクトを通して外気が直接出入りするように設備することが望まれる - 5 -

付図 1 事故発生場所概略図 竹ノ地四等三角点 事故発生場所 ( 平成 27 年 8 月 20 日 19 時 40 分ごろ発生 ) 高知県四万十町 ( 国土地理院 2 万 5 千分の 1 地形図使用 ) 高知県 四万十町 - 6 -

付図 2 本船配置及び本件ガス経路の略図 外壁 船首側 操舵室 船外へ排出 通気口 船首側通路 側壁 船首 船室用通気口 エアコン 室外機 室内機 船室 船室へ流入 側壁 循環 側壁 同乗者 C 同乗者 E 同乗者 B 同乗者 A 左舷側通路 右舷側通路 同乗者 F 同乗者 D 棚 床の間 引き戸 倉庫通気口 天井 船尾側通路 本件倉庫 本件発電機 トイレ 排気出口 船外機 給湯室 本件排気口ストッパー : 本件発電機の元の位置 : 本件ガスの流れの方向 船尾側 - 7 -

写真 2 本件倉庫 写真 3 本件発電機 給油口 排気出口 本件発電機 写真 4 本件発電機移動後の本件倉庫 倉庫通気口 本件排気口 左舷側 本件発電機移動防止用の角材 船首側 - 8 -

写真 5 本件倉庫天井 写真 6 左舷側通路 天井開口部 写真 7 船室前部 船室通気口エアコン 写真 8 エアコン室内機及び船室用通気口 船室通気口 - 9 -