平成26年版少子化社会対策白書

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23 歳までの育児のための短時間勤務制度の制度普及率について 2012 年度実績の 58.4% に対し 2013 年度は 57.7% と普及率は 0.7 ポイント低下し 目標の 65% を達成することができなかった 事業所規模別では 30 人以上規模では8 割を超える措置率となっているものの 5~2

平成27年版少子化社会対策白書 全文(PDF形式)

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女性の活躍推進の意義と課題 意 義 課題 少子高齢化で生産年齢人口が減少 労働力人口の増加 海外を含む企業間競争の中で 性別に関わらず優秀な人材の確保が必要 埋もれている優秀な人材の確保 少子化と生産年齢人口の減少が進む中で 女性の活躍の推進は喫緊の課題 女性の労働力率は 第 1 子出産を機に 6

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女性が働きやすい環境を整え社会に活力を取り戻す

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ダイバーシティ 年に向けた政策展開のポイント テレワークが当たり前になる社会 の実現に向け 多様な主体と連携した普及啓発や導入支援への取組を強化 地域での就労支援やマッチング強化により 女性や高齢者の就業を推進 働き方改革と併せて時差 Biz の定着に向けた取組を推進 強化した政策

4-1 育児関連 育児休業の対象者 ( 第 5 条 第 6 条第 1 項 ) 育児休業は 男女労働者とも事業主に申し出ることにより取得することができます 対象となる労働者から育児休業の申し出があったときには 事業主は これを拒むことはできません ただし 日々雇用される労働者 は対象から除外されます


ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)  レベル診断チェックシート

育児のための両立支援制度 制度の概要 ( イメージ ) 出生 1 歳 1 歳 6か月 3 歳就学 パパ ママ育休プラス 1 歳 6 か月延長 ( 子の年齢 ) ⑴ 育児休業 Ⅰ Ⅱ 努力義務 ⑵ 短時間勤務制度 ⑶ 所定外労働の免除 努力義務 努力義務 ⑷ 子の看護休暇 ⑸ 法定時間外労働の制限 ⑹

4 子育てしやすいようにするための制度の導入 仕事内容への配慮子育て中の社員のため以下のような配慮がありますか? 短時間勤務ができる フレックスタイムによる勤務ができる 勤務時間等 始業 終業時刻の繰上げ 繰下げによる勤務ができる 残業などの所定外労働を制限することができる 育児サービスを受けるため

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4 父親も育児参画しよう! 父親となる職員に, 配偶者出産休暇や男性の育児参加休暇を取得するよう働き掛けましたか 対象の職員全てに働き掛けは行われている 回答数 76 0 全人数割合 (%) 対象者なし 293 配偶者出産休暇 (3 日 ) 数値目標 31 年度までに配偶者出

従業員に占める女性の割合 7 割弱の企業が 40% 未満 と回答 一方 60% 以上 と回答した企業も 1 割以上 ある 66.8% 19.1% 14.1% 40% 未満 40~60% 未満 60% 以上 女性管理職比率 7 割の企業が 5% 未満 と回答 一方 30% 以上 と回答した企業も 1

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規定例 ( 育児 介護休業制度 ) 株式会社 と 労働組合は 育児 介護休業制度に関し 次 のとおり協定する ( 対象者 ) 育児休業の対象者は 生後満 歳に達しない子を養育するすべての従業員とする 2 介護休業の対象者は 介護を必要とする家族を持つすべての従業員とする 介護の対象となる家族の範囲は

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Ⅲ コース等で区分した雇用管理を行うに当たって留意すべき事項 ( 指針 3) コース別雇用管理 とは?? 雇用する労働者について 労働者の職種 資格等に基づき複数のコースを設定し コースごとに異なる配置 昇進 教育訓練等の雇用管理を行うシステムをいいます ( 例 ) 総合職や一般職等のコースを設定し

4-1 育児関連 休業期間を有給にするか 無給にするかは 就業規則等の定めに従います また 雇用保険に加入している労働者には 国から給付金が支給されます (P106 参照 ) 産前産後休業期間中及び育児休業期間中は 労働者 使用者とも申請により社会保険料が免除になります 育児休業の対象者 ( 第 5

等により明示するように努めるものとする ( 就業規則の作成の手続 ) 第 7 条事業主は 短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し 又は変更しようとするときは 当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする ( 短時間労働者の待遇の原

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第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

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1-4

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ただし 平成 22 年 6 月 30 日時点で 常時 100 人以下の労働者を雇用する事業主については 公布日から3 年後に当たる平成 24 年 6 月 30 日 ( 予定 ) までの間 < 短時間勤務制度の義務化 >< 所定外労働の免除の義務化 >< 介護休暇 >について 改正規定の適用が猶予され

( 注 ) 女性活躍推進法に基づく認定企業 ( 女性の活躍推進に関する取組の実施状況等が優良な事業主 ) 法に基づき行動計画の策定 届出を行った企業のうち 女性の活躍推進に関する取組の実施状況等が優良な企業は 都道府県労働局への申請により 厚生労働大臣の認定を受けることができます 1 段階目について

短時間 有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針 について ( 同一労働同一賃金ガイドライン ) 厚生労働省雇用環境 均等局有期 短時間労働課職業安定局需給調整事業課

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2 経口移行加算の充実 経口移行加算については 経管栄養により食事を摂取している入所者の摂食 嚥 下機能を踏まえた経口移行支援を充実させる 経口移行加算 (1 日につき ) 28 単位 (1 日につき ) 28 単位 算定要件等 ( 変更点のみ ) 経口移行計画に従い 医師の指示を受けた管理栄養士又

平成30年版 少子化社会対策白書 概要版(PDF版)

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Transcription:

第 2 節 仕事と家庭が両立できる職場環境の実現を 1 育児休業制度その他の両立支援制度の普及 定着及び継続就業の支援とともに 子育て女性等の再就職支援を図る 1) 育児休業や短時間勤務等の両立支援制度の定着 育児 介護期は特に仕事と家庭の両立が困 難であることから 労働者の継続就業を図るため 仕事と家庭の両立支援策を重点的に推進する必要がある 直近の調査では 女性の育児休業取得率は 83.6%(2012( 平成 24) 年 ) と 育児休業制度の着実な定着が図られつつある しかし 第 1 子出産後の女性の継続就業割合をみると 子どもの出生年が2005( 平成 17) 年から 2009( 平成 21) 年である女性の継続就業率は38.0%(2010( 平成 22) 年 ) にとどまっている ただ 2010 年出生児を持つ女性について 第 1 子出産前後の継続就業率を見ると 10 年前の出生児を持つ女性に比べ 継続就業率が32.2% から45.8% に上昇しており 改善が見られる しかし依然として 第 1 子出産を機に離職する女性の割合は高く 仕事と育児の両立が難しいため やむを得ず辞めた女性も少なくない また 男性の約 3 割が育児休業を取りたいと考えているが 実際の取得率は1.89% (2012 年 ) にとどまっている さらに 男性の子育てや家事に費やす時間も先進国中最低の水準にとどまっている こうした男女とも仕事と生活の調和のとれない状況が女性の継続就業を困難にし 少子化の原因の一つとなっていると考えられる こうした状況の中 男女ともに子育て等をしながら働き続けることができる環境を整備することを目的に 2009 年 6 月に育児 介護休業法の一部が改正され 短時間勤務制度の措置義務や所定外労働を免除する制度の新設 のほか 父母がともに育児休業を取得する場合の育児休業取得可能期間の延長 ( パパ ママ育休プラス ) 等 父親の育児休業取得を促進するための制度の導入等が盛り込まれた このうち 短時間勤務制度 所定外労働の制限の制度及び介護休暇については 従業員数が100 人以下の事業主に適用が猶予されていたが 2012 年 7 月 1 日より全面施行された この育児 介護休業法の周知 徹底を図るとともに 法律に規定されている育児 介護休業や短時間勤務制度等の両立支援制度を安心して利用できる職場環境の整備を支援している 都道府県労働局雇用均等室では 計画的に事業所を訪問し 就業規則等で必要な制度が設けられているかを確認するなど 育児 介護休業法に規定されている制度の普及 定着に向けた行政指導を実施している また 育児休業を取得した労働者の雇用の継続を目的として 雇用保険を財源に 育児休業開始から6 月までは休業開始前賃金の 67% それ以降は休業開始前賃金の50% を支給している ( 育児休業給付 ) 従来は 全期間について休業開始前賃金の 50% を支給していたが 2013( 平成 25) 年 12 月 26 日に労働政策審議会雇用保険部会において取りまとめられた 雇用保険部会報告 において 男女ともに育児休業を取得していくことを更に促進するため 育児休業給付の給付率を引き上げることとし ( 中略 ) 育児休業開始時から最初の6 月の間について 67% の給付率とすべきである とされ 同内容を盛り込んだ 雇用保険法の一部を改正する法律案 が2014( 平成 26) 年 3 月 28 日に第 186 回通常国会で成立し 2014( 平成 26) 年 4 月 1 日より施行されている 118

第1章2章第1章第2章第3章第5章2) 両立支援制度を利用しやすい職場環境の整備 育児や家族の介護を行う労働者が働き続け やすい雇用環境の整備を行う事業主等を支援するため 両立支援等助成金の支給を行っている 事業所内保育施設設置 運営等支援助成金労働者のための事業所内保育施設を設置 運営等したとき 子育て期短時間勤務支援助成金子育て期の労働者が利用できる短時間勤務制度の導入 利用促進に向けた取組を行い 利用者が出たとき 中小企業両立支援助成金 代替要員確保コース育児休業取得者に対し 代替要員を確保し 原職等に復帰させたとき 休業中能力アップコース育児又は介護休業者が円滑に職場に復帰できるよう 能力開発及び向上に関するプログラムを実施したとき ( 2014 ( 平成 26) 年 3 月 31 日までに育児休業又は介護休業を開始し 休業を終了した労働者が2014 年 9 月 30 日までに出た事業主が対象 ) 継続就業支援コース育児休業取得者を原職等に復帰させ 一年以上継続して雇用するとともに 両立支援制度を利用しやすい職場環境の整備のため 研修を実施したとき ( 初めて育児休業を終了した労働者が 2011( 平成 23) 年 10 月 1 日以降 2013( 平成 25) 年 3 月 31 日までに出た事業主が対象 ) 期間雇用者継続就業支援コース期間雇用者と正社員が同等の要件で利用できる育児休業制度 育児短時間勤務制度を就業規則等に規定し 期間雇用者の育児休業取得者を原職又は原職等に復帰させ 6か月以上継続して雇用するとともに 両立支援制度を利用しやすい職場環境の整備のため 研修を実施したと き ( 育児休業を終了した期間雇用者が 2013 年 4 月 1 日以後 2016( 平成 28) 年 3 月 31 日までに出た事業主が対象 ) 3 ) 妊娠 出産 産前産後休業及び育児休業の取得等を理由とする不利益取扱いの防止 妊娠 出産 産前産後休業及び育児休業等の取得等を理由とする解雇その他不利益取扱いは 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 ( 昭和 47 年法律第 113 号 以下 男女雇用機会均等法 という ) 及び育児 介護休業法により禁止されているところであるが こうした不利益取扱いに関する相談件数等は引き続き高い水準で推移している このような不利益取扱いに係る労働者からの相談には丁寧に対応し 法違反の疑いがある事案については迅速かつ厳正に指導するとともに 法違反を未然に防止するための周知徹底を行っている さらに 相談者のニーズに応じ 都道府県労働局長による紛争解決援助及び調停を実施し 円滑かつ迅速な紛争の解決を図っている 4) 妊娠中及び出産後の健康管理の推進 男女雇用機会均等法に基づいた母性健康管理の措置 ( 健康診査の受診等に必要な時間の確保及び医師等の指導事項を守るために必要な措置を講じること ) 及び労働基準法の母性保護規定 ( 産前産後休業 危険有害業務の就業制限等 ) について 事業主 女性労働者 医療関係者等に対し周知徹底を図っている また 母性健康管理に関して必要な措置を講じない等男女雇用機会均等法違反の企業に対し 行政指導を行うとともに 事業主が母性健康管理の措置を適切に講ずることができるように 女性労働者に対して出された医師等の指導事項を的確に事業主に伝えるための 119 第2 節仕事と家庭が両立できる職場環境の実現を第4章第 参考付録索引

母性健康管理指導事項連絡カード の利用を促進している さらに 企業や働く女性に対して母性健康管理に関する情報を提供する支援サイト 妊娠 出産をサポートする女性にやさしい職場づくりナビ をPCサイト及び携帯サイトで開設し 制度の周知を図っている 妊娠 出産をサポートする女性にやさしい職場づくりナビ PC サイト :http://www.bosei-navi.go.jp/ 携帯サイト :http://www.bosei-navi.go.jp/ mobile/ 5) 子育て女性等の再就職支援 全国 177か所 (2014( 平成 26) 年 4 月 1 日現在 ) のマザーズハローワーク マザーズコーナーにおいて 子育てをしながら就職を希望する女性等に対して 子ども連れで来所しやすい環境を整備するとともに 担当者制によるきめ細かな就職支援 求人情報や地方公共団体等との連携による保育サービス関連情報等の提供など 再就職に向けた総合的かつ一貫した支援を行っている 子育て等のためにいったん離職した女性の再就職 起業等を総合的に支援するための 女性の再チャレンジ支援プラン (2006( 平成 18) 年 12 月改定 ) に基づき 関係府省が密接に連携して支援策の推進に努めている 職業能力開発施設では 土日 夜間等の時間帯を活用した訓練コースを設定し 訓練機会の確保を図った さらに インターネット上で再就職に向けた具体的な取組計画の作成や再就職のための基礎知識を習得できるe-ラーニングプログラムの提供を行っている 内閣府では 子育て中の女性の再チャレンジに必要な情報提供を行う講座を身近な子育て支援施設等において実施できるようなプログラム 教材の開発とともに 再チャレンジした女性の成功事例の分析やNPOにおける女性の再チャレンジの実情等に関する調査事 業を実施している また 総合的な支援情報ポータルサイト 女性いきいき応援ナビ (http://www.gender.go.jp/re-challenge/ osirase/osirase_site.html) を通じ子育て等でいったん退職した女性等の再就職 起業支援を推進している 経済産業省では 2012( 平成 24) 年度より 育児等で一度退職し 再就職を希望する女性等 ( 新戦力 ) に対し 職場経験のブランクを埋める機会を提供するため 中小企業 小規模事業者が実施する職場実習 ( インターンシップ ) を支援する 中小企業新戦力発掘プロジェクト を全国 5,000 人規模で実施している 6) 男女雇用機会均等の確保による就業継続の支援 労働者が性別により差別されることなく また 働く女性が母性を尊重されつつ その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備するため 男女雇用機会均等法に沿った男女均等取扱いが徹底されるよう周知啓発 指導を行うとともに 事業主と労働者の間に紛争が生じた場合には円滑かつ迅速な解決を図られるよう援助を行っている なお 2013( 平成 25) 年 12 月に改正男女雇用機会均等法施行 第 2-4-1 図 出典 : 厚生労働省資料 ポジティブ アクション普及促進のためのシンボルマーク きらら 120

第1章2章第1章第2章第3章第5章2 企業等における取組の 見える化 によりもう一段の取組を推進する 1 ) 企業経営者等の意識変革 企業における仕事と生活の調和を推進するためには 経営幹部のリーダーシップによる取組が必要である 2010( 平成 22) 年 9 月には 仕事と生活の調和を実現するために必要 規則等を公布し 2014( 平成 26) 年 7 月から施行されるので 改正内容について周知徹底を図っている また 実質的な男女労働者間の均等を確保するためには 男女労働者間に事実上生じている格差の解消を目指すための企業の自主的かつ積極的な取組 ( ポジティブ アクション ) が不可欠である このため 企業が具体的な取組を行うことができるよう 必要な助言及び情報提供を積極的に行い その一層の促進を図っている 具体的には ポジティブ アクションの取組やポジティブ アクション情報ポータルサイトを活用した女性の活躍状況の情報開示についての個別の企業に対する働きかけを実施するとともに ポジティブ アクションに積極的に取り組む企業に対する中小企業両立支援助成金の支給額加算の実施 均等 両立推進企業表彰 ( 第 2-4-3 表 ) の実施 経営者団体等と連携した 女性の活躍推進協議会 の開催 ポジティブ アクション普及促進のためのシンボルマーク きらら の活用促進等を実施している さらに 男女労働者間の格差について企業内での実態把握や気づきを促す 男女間賃金格差解消に向けた労使の取組支援のためのガイドライン や 業種別 見える化 支援ツール の作成 普及により ポジティブ アクションの具体的取組を支援するとともに メンター制度やロールモデルの普及促進により 女性労働者が就業を継続していけるような環境作りを支援している となる仕事の進め方の効率化について 企業トップからの強いメッセージの発信 などのノウハウをまとめた ワーク ライフ バランスのための仕事の進め方の効率化に関する調査 の報告書を公表するとともに 企業向けの啓発パンフレット ワーク ライフ バランスの実現に向けた 3 つの心構えと 10 の実践 を作成した また 中小企業の経営者に対してセミナーを開催し 取組事例を共有する等 経済団体等と連携しながらワーク ライフ バランスの推進に取り組んでいる さらに 企業が取組を進める上で必要となるノウハウや好事例についての情報を提供するため 各企業の仕事と生活の調和担当者を対象にメールマガジンを配信し 企業内部における取組の促進を図っている 2 ) 一般事業主行動計画 ( 次世代育成支援対策推進法 ) の策定 公表の促進 次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ育つ環境をつくるために 次世代育成支援対策推進法 ( 平成 15 年法律第 120 号 以下 次世代法 という ) に基づき 国 地方公共団体 事業主 国民がそれぞれの立場で次世代育成支援を進めている 地域や企業の更なる取組を促進するため 2008( 平成 20) 年 12 月に次世代法が改正された この改正法の施行により 2011( 平成 23) 年 4 月 1 日から一般事業主行動計画 ( 以下 行動計画 という ) の策定 届出等が義務となる企業は 常時雇用する従業員数 301 人以上企業から101 人以上企業へ拡大された これを受けて 次世代育成支援対策推進センター ( 行動計画の策定 実施を支援するため指定された事業主団体等 ) 労使団体及び地方公共団体等と連携し 行動計画の策定 届出を促進した結果 2014( 平成 26) 年 3 月末現在 従業員数 101 人以上 300 人以下の企業 121 第2 節仕事と家庭が両立できる職場環境の実現を第4章第 参考付録索引

の届出率は98.4% となった 引き続き 行動計画の策定 届出の一層の促進に取り組んでいる また 次世代法は2014( 平成 26) 年度末までの時限立法であるが 2013( 平成 25) 年 12 月 10 日に労働政策審議会雇用均等分科会において 同法の有効期限の10 年間の延長 新たな認定 ( 特例認定 ) 制度の創設等を内容とする検討結果が取りまとめられ 厚生労働大臣に建議がなされた 当該建議の内容を踏まえた改正法案について 第 186 回通常国会に提出し 2014 年 4 月 16 日に成立したところである 3) 次世代認定マーク ( くるみん ) の周知 取組促進 適切な行動計画を策定 実施し その目標を達成するなど一定の要件を満たした企業は厚生労働大臣の認定を受け 認定マーク ( 愛称 : くるみん ) を使用することができる こ の認定制度及び認定マークの認知度を高めるため 認定企業の取組事例や認定を受けるメリット等を積極的に紹介するとともに 2011 ( 平成 23) 年 6 月に創設された認定企業に対する税制上の措置 1 について 2014( 平成 26) 年度税制改正において1 年間延長されたことを踏まえ 今後も当該措置 1 について幅広く周知し 認定の取得促進を図っていく 4) 企業における両立支援の取組促進 仕事と家庭の両立に向けた自主的な取組を促進するため インターネットで設問に答えると自社の 仕事と家庭の両立のしやすさ を点検 評価することができる両立指標や両立支援に積極的に取り組んでいる企業の取組等を掲載したサイト 両立支援のひろば (http://www.ryouritsu.jp/) を運用するとともに 企業の両立支援の進捗状況に応じた取組のポイントと様々な企業の具体的な取組事 第 2-4-2 図認定マーク くるみん 参考 : 平成 26 年 3 月末現在 一般事業主行動計画届出状況 規模計 67,640 社 301 人以上企業 14,580 社 ( 届出率 98.5%) 101 人以上 300 人以下企業 31,988 社 ( 届出率 98.4%) 300 人以下企業 53,060 社 認定企業 1,818 社 出典 : 厚生労働省資料 1 2011 年 4 月 1 日から 2014( 平成 26) 年 3 月 31 日までの期間内に開始する各事業年度において 次世代法に基づく認定を受けた企業は 認定を受けた日を含む事業年度終了の日において有する建物等のうち 認定を受ける対象となった行動計画の計画期間開始の日から認定を受けた日を含む事業年度終了の日までの期間内に取得 新築 増改築をした建物等について 普通償却限度額の 32% の割増償却ができる 122

第1章2章第1章第2章第3章第5章第 2-4-3 表均等 両立推進企業表彰受賞企業一覧 2013( 平成 25) 年度厚生労働大臣優良賞 均等推進企業部門ファミリー フレンドリー企業部門 例をまとめた ベストプラクティス集 ( 中小企業における両立支援のためのアイディア集 ) による効果的 効率的な情報提供を行っている また 仕事と育児 介護との両立支援のための取組を積極的に行っており かつその成果が挙がっている企業に対し 公募により 均等 両立推進企業表彰 を実施し その取組を広く周知することにより 労働者が仕事と家庭を両立しやすい職場環境の整備を促進している さらに 仕事と家庭が両立できる職場環境作りの後押しとして 経済産業省では 2012 ( 平成 24) 年度より女性の活躍など人材の多様性を生かす経営に取り組む企業を表彰し 先進事例として広く発信することで 積極的に取り組む企業のすそ野を広げ 女性活躍推進の動きを加速化させるため ダイバーシティ経営企業 100 選 (http://www.meti. go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/ kigho100sen/index.html) を 厚生労働省では 2013( 平成 25) 年度より男性の育児参加を積極的に促進しつつ 業務改善を図る企業を表彰し 他企業のロールモデルとして普及させていくことで 企業における働き方を改革し 育児と仕事の両立を推進するため 株式会社みずほファイナンシャルグループ明治安田生命保険相互会社 注 1:1999( 平成 11) 年度から 2006( 平成 18) 年度までは 均等推進企業表彰 ファミリー フレンドリー企業表彰 として実施 注 2: 企業表彰をはじめた 1999 年度から 2013( 平成 25) 年度までの受賞企業数 厚生労働大臣最優良賞 3 企業 均等推進企業部門厚生労働大臣賞 45 企業都道府県労働局長賞 412 企業 ファミリー フレンドリー企業部門厚生労働大臣賞 39 企業都道府県労働局長賞 380 企業出典 : 厚生労働省資料 イクメン企業アワード を実施している その他 企業の管理職に対してセミナーを開催し 女性を始めとする多様な人材の能力を引き出して仕事の成果に生かしていくダイバーシティの取組を推進している また 経済産業省は 東京証券取引所と共同で 女性活躍推進に優れた上場企業を 中長期の企業価値向上 を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として選定 発表する なでしこ銘柄 (http://www.meti.go.jp/ policy/economy/jinzai/diversity/nadeshiko. html) を2012 年度より実施している なでしこ銘柄 の選定にあたっては 女性のキャリア支援 とともに 仕事と家庭の両立支援 の側面に着目して評価を行っている 5 ) 入札手続等における対応 仕事と生活の調和等の企業の取組を推進するため 内閣府では2010( 平成 22) 年度より ワーク ライフ バランスや男女共同参画に関連する調査について 一般競争入札総合評価落札方式により入札を行う際に ワーク ライフ バランス等に積極的に取り組む企業を評価できるような仕組みを導入した 123 第2 節仕事と家庭が両立できる職場環境の実現を第4章第 参考付録索引