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国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会 提言書の概要 2017 年 ( 平成 29 年 )3 月 0

社会的背景 研究会設立の経緯 日本社会の急速な人口構造の変化 人口に占める 65 歳以上高齢者率 2015 年 26.7% 2025 年 30.3%( 予測 ) 2060 年 39.9%( 予測 ) 参考資料 内閣府平成 28 年度版高齢社会白書 高齢者は複数疾患 多臓器疾患が多い 日本人の平均寿命は延び続けている 心身の虚弱状態から容易に重篤化する 疾病構造の変化 高齢者の死因となった疾病平成 27 年 (2015 年 ) 第 1 位悪性新生物 370,000 人第 2 位心疾患 199,000 人第 3 位肺炎 123,000 人参考資料 厚生労働省人口動態統計 がんおよび循環器疾患 糖尿病 ( 重大な合併症を引き起こす ) COPD( 死因として急速増加の予測 ) 21 世紀における国民健康づくり運動 ( 健康日本 21( 第 2 次 )) 我が国において実現されるべき最終的な目標 健康寿命の延伸 健康格差の縮小 生活習慣病の発症 重症化予防 医薬品産業強化総合戦略 がん対策加速化プラン 漢方薬の役割 漢方薬を用いた研究に言及 保険医療における漢方治療への期待の高まり 国民の健康と医療に貢献し続けるために 解決すべき課題 有効性 安全性に係るエビデンスの集積 臨床ガイドライン掲載 医療経済学的な検証 製造販売承認に係るガイドラインの整備 原料生薬の安定的確保 医療用漢方製剤等の安定供給等 アカデミア 関係団体 関係官庁 国民 患者等 漢方の現状認識および課題の共通認識の醸成 課題解決のための検討 国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会 立上げ 1

Ⅰ 漢方製剤をめぐる現状 1. 漢方医学の特徴 漢方医学は 中国起源の医学を基に 日本で独自の発展を遂げた伝統医学 からだ全体を診ることで症状がもたらす原因を 追究し からだ全体のバランスを整え回復させる 2. 近年における漢方医療 教育の発展 漢方薬に対する意識 使用実態調査 以前は処方していたが 現在は処方していない 処方経験なし 現在漢方薬を処方している 89.0% N = 627 現在使用している医師 558 人 開業医 : 203 人勤務医 : 424 人 項目 2011 年 2008 年 漢方製剤を現在使用している 89.0% 83.5% 漢方製剤を第一選択薬とする場合がある 59.0% 52.7% 漢方医学教育 : 全 80 の医学部 医科大学 全 74 の薬学部 薬科大学で実施 漢方外来 :79 大学病院と 103 の臨床研修指定病院 診療科標榜 :26 大学病院 ( 漢方内科や和漢診療科等 ) エビデンス集積により 70 の診療ガイドラインに全 148 処方中 85 処方が掲載されている 3. 漢方の課題 原料生薬調達の現状 その他 :11% 原料生薬の調達は 約 8 割を中国に依存している 中国国内における生薬の市場価格は毎年上昇しており 原料生薬の調達価格は 2006 年を基準とした場合 8 年間で約 2.5 倍に上昇している 日本 :10% 中国 :79% 2 日漢協調査 (2014 年度 )

Ⅱ 各研究会の概要 研究会 Ⅰ: がん領域 (2016 年年 8 月 3 日 ) - がん領域における漢方製剤等の研究成果 - 医療経済的研究 研究会 Ⅱ: 高齢者医療 (2016 年 10 月 26 日 ) - 高齢者医療における漢方製剤等の研究成果 研究会 Ⅲ: 品質確保と安定供給 (2016 年 11 月 21 日 ) - 原料生薬の安定確保 - 漢方製剤等の品質確保と安定供給 フォーラム (2017 年 2 月 9 日 ) - 研究会 Ⅰ Ⅱ Ⅲ を踏まえた取り纏め - 提言書 ( 案 ) の骨子 ( 詳細は P4~P10 P18~P20) 3

Ⅲ 国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会 提言書の概要 課題 エビデンスの一層の集積 原料生薬の安定確保 製剤の安定供給等 1. がん支持療法および高齢者のフレイルに対応する医療における漢方製剤等の必要性 2. 漢方製剤等に係る研究の推進 (1) がん領域 1 抗がん剤 ( 特に分子標的薬 ) による副作用対策安全性データ ( 相互作用 ) の蓄積 2 バイオマーカー ( レスポンダーマーカー ) の開発 (2) 高齢者医療 1 ポリファーマシーの視点をも含めた安全性データ ( 副作用 相互作用 ) の蓄積や西洋薬 ( 抗精神病薬 睡眠薬等 ) の副作用対策としての有用性検討 2 フェノタイプ と 証 の整合性研究 ( 漢方個別化医療の推進 ) (3) 医療経済学的研究の推進 (4) 新規領域 疾患への応用研究 (5) 研究支援体制の構築と研究費支援 (6) エビデンスに基づく診療ガイドラインへの掲載 研究会が提言 課題解決 3. 漢方製剤等の品質確保と安定供給に向けた取り組み (1) 多成分系医薬品である漢方製剤等に関する リポジショニングや新剤型等のための品質保証および承認申請に資するガイドライン の整備を目指す (2) 原料生薬の安定確保に向けた国内栽培の推進 4. 医療保険制度における位置づけ 5. 日本オリジナルの薬剤 (Made in JAPAN) である漢方製剤の海外展開の推進 6. 産官学 国民との連携 (1) 生薬 漢方製剤等に係る研究者 技術者の人材育成 (2) 国民 ( 患者 ) への啓発 アウトリーチ活動の必要性 1 漢方のエビデンスやフレイル等の啓発活動の推進 2 大学等や国民 ( 患者 ) へのアウトリーチ活動 3 国民の理解と納得に基づく合意形成 西洋医学と漢方医学の融合により 国民の健康と医療に貢献 4

提言 1. がん支持療法および高齢者のフレイルに対応する医療における漢方製剤等の必要性 背景 がん対策加速化プラン の がんと共生 には有効治療の継続のための副作用予防と支持療法が重要 経済財政運営と改革の基本方針 2016 の社会保障分野の改革の取り組みにおいて 高齢者のフレイル対策推進 が示されている フレイルを早期に発見し 適切な介入により 健康寿命を延ばすことが可能になる 現状 抗がん剤の副作用である しびれなど末梢神経障害 口内炎 食欲不振 全身倦怠感 皮膚障害等に対し 漢方製剤によるエビデンスの報告がある 漢方医学の概念には 腎虚 フレイル がある 漢方製剤等によるフレイルの様々な要素に対するエビデンス報告があり 精神心理的な要素 社会的な閉じこもり 食欲 独居の方への効果など多面的な効果が期待できる 医療経済学的分析研究結果より 保険医療上における Cost-saving が期待できる 研究会からの提言 がん支持療法 高齢者のフレイルに対して 漢方製剤等は必要不可欠 産官学連携による 漢方研究支援体制の整備が必要 漢方を社会保障分野の政府方針へ組み入れられるよう 積極的な活動が必要 5

提言 2. 漢方製剤等に係る研究の推進 提言 1. の背景と現状を踏まえ 以下の課題を解決する必要がある 課題 漢方製剤等のエビデンス構築を加速化すべき 研究支援体制の構築が必要 様々な課題の解決には時間と多額の研究費が必要 研究会からの提言 がん支持療法 高齢者疾患に対する漢方製剤のエビデンス構築の加速化 1) 抗がん剤による副作用対策と安全性データの蓄積 2) バイオマーカーの開発 3) ポリファーマシーの視点をも含めた安全性データの蓄積 西洋薬の副作用対策としての有用性検討 4) フェノタイプ と 証 の整合性研究 ( 漢方個別化医療の推進 ) 医療経済学的研究の推進 新規領域 疾患への応用研究 研究支援体制の構築と研究費支援 エビデンスに基づく診療ガイドラインへの掲載 6

提言 3. 漢方製剤等の品質確保と安定供給に向けた取り組み ( その 1) 現状 1967 年 ( 昭和 42 年 ) 1987 年 ( 昭和 62 年 ) 漢方エキス製剤が初めて薬価基準に収載 医療用漢方製剤が現在の 148 処方となった それ以降 新たな漢方処方の収載はなく 効能 効果の追加や剤形変更も行われていない 課題 効能 効果の追加や剤形変更ができないのはなぜか - 多成分系医薬品の品質保証をどのように考えるか 明確でないことに由来 - 多成分系医薬品の承認基準が未整備なため 研究会からの提言 多成分系医薬品である漢方製剤等に関する リポジショニングや新剤形等のための品質保証および承認申請に資するガイドライン の整備を目指す - 第一ステップ : 未承認薬迅速実用化スキーム を活用した承認の検討 - 次のステップ : 多成分系医薬品 ( ボタニカルプロダクト ) を包括する品質保証のためのガイドラインの作成が必須 - 生物学的同等性の考え方の確立と新剤形 ( 高齢者 がん患者も服用しやすい剤形 ) の開発 厚生労働省 国立医薬品食品衛生研究所 PMDA AMED および有識者等でワーキンググループまたは研究班を立ち上げ検討すべき 7

提言 3. 漢方製剤等の品質確保と安定供給に向けた取り組み ( その 2) 現状 原料生薬の約 80% を中国依存による不安 課題 - 中国の砂漠化防止 自然災害 政情不安による 供給の停止 - 中国国内の生薬需要の増加等による 国内栽培化については 次の課題がある 価格の上昇 - 薬用植物生産振興に必須な 基原の確かな種苗の供給体制が整備されていない - 薬用植物栽培と生薬の加工調製の経験や技術を習得している方々の高齢化 - 各地域の気候 土壌に適した栽培方法や薬用植物品種が確立されていない - 効率化を図る技術基盤が乏しい ( 機械化 農薬の適正使用など ) 研究会からの提言 原料生薬の安定確保に向けた国内栽培の推進 - 国内で栽培可能な優良種苗の選抜 保存 増殖法の兼用 - 優良新品種の育成 - 大規模機械化栽培法 新規生産栽培法の開発 - 植物工場における水耕栽培等 閉鎖系施設による新規栽培法の構築 - データベース化による情報の集積と発信 8

提言 4. 医療保険制度における位置づけ 背景 国民医療において重要な役割を担っており 保険医療上不可欠である 漢方製剤等は 1987 年 ( 昭和 62 年 ) 以降 新たな品目が収載されていない 原料生薬の高騰等により企業の経済的負担が増加 現状の薬価において採算性が悪化し 製造販売企業や品目数が年々減少 漢方製剤等の安定供給に懸念を生じている 研究会からの提言 基礎的医薬品として位置づけ 薬価の安定化策を講じるべき -エビデンスの集積により診療ガイドラインに掲載され 広く臨床現場で使用されているなど汎用性がある品目 9

提言 5. 日本オリジナルの薬剤 (Made in JAPAN) である漢方製剤の海外展開の推進 現状 日本は植物薬の研究に関し世界で最も進んでいる 漢方製剤等は他国にない 日本オリジナルの薬剤 である 臨床で医師が西洋医学 ( 西洋薬 ) と漢方医学 ( 漢方薬 ) を融合できるのは 日本だけである 課題 アメリカ ヨーロッパ アジア等の政府機関 ファンディング機関 大学研究機関等との共同研究の推進が必要 海外とのコラボレーションによる臨床試験の推進が必要 研究会からの提言 漢方製剤の海外展開の推進 - 産官学の漢方製剤等に係る研究協力体制を構築しエビデンスを充実すべき - 関連産業の進出 海外市場の拡大 活性化を図り 日本の経済成長に寄与する仕組みを構築すべき 10

提言 6. 産官学 国民との連携 現状 一般国民は漢方製剤をほとんど認知していない 漢方製剤等を医療に活かすための医療関係者 保険者 行政 患者 国民等への情報伝達が脆弱 課題 漢方製剤の安定供給には 様々なセクターの関係者の協力体制が必要 様々な学会の連携のもと個々の研究成果を有機的に結び付けることも重要 All Japanで諸課題を解決する体制が必要研究会からの提言 生薬 漢方製剤等に係る研究者 技術者の人材育成 国民 ( 患者 ) への啓発 アウトリーチ活動の必要性 漢方のエビデンスやフレイル等の啓発活動の推進 大学等や国民( 患者 ) へのアウトリーチ活動 国民( 患者 ) の理解と納得に基づく合意形成 11