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(c) (d) (e) 図 及び付表地域別の平均気温の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 棒グラフが現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 年間 : 春 (3~5 月 ) (c): 夏 (6~8 月 ) (d): 秋 (9~1

2017 年 3 月 27 日の那須雪崩をもたらした低気圧の予測可能性 Predictability of an Extratropical Cyclone Causing Snow Avalanche at Nasu on 27th March ), 2) 吉田聡 A. Kuwano-

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れる これらの式を加重平均した式 (f) により統合指標値 G が算出される 続いて 図 - に示す 3 つのしきい値から 危険度ランク 3 危険性なしを判定する.398x 3. 8 f (a).8x f (b) 8.99x. 3 f (c) (3) Web による表示局

平成 30 年 2 月の気象概況 2 月は 中旬まで冬型の気圧配置が多く 強い寒気の影響を受け雪や雨の日があった 下旬は短い周期で天気が変化した 県内アメタ スの月降水量は 18.5~88.5 ミリ ( 平年比 29~106%) で 大分 佐賀関 臼杵 竹田 県南部で平年並の他は少ないかかなり少なか

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No < 本号の目次 > CAVOK 通信とは ( 発刊にあたってご挨拶 ) 1 業務紹介 ( 福岡航空地方気象台の業務概要 ) 2 悪天事例報告 ( 福岡空港のマイクロバーストアラート事例の報告 ) 用語集 3-6 CAVOK 通信とは 福岡航空地方気象台では 航空機

図 1: 抽出事例での時間最大雨量の頻度分布. 横軸は時間最大雨量 (mm/h), 縦軸は頻度 (%). のと考えられる. メソ現象の環境場の解析においてメソ客観解析値を使った研究には, 宮崎県における台風時の竜巻環境場を調べた Sakurai and Mukougawa (2009) や関東平野で

火山ガスの状況( 図 8-5 図 9-4) 1 日 6 日 8 日 14 日 20 日 22 日に実施した現地調査では 火山ガス ( 二酸化硫黄 ) の1 日あたりの放出量は700~1,800 トン (10 月 :500~1,70 トン ) と増減しながら 概ねやや多い状態で経過しました 地殻変動の

台風解析の技術 平成 21 年 10 月 29 日気象庁予報部

改版履歴 発行年月日版数適用 平成 29 年 2 月 24 日初版初版として発行

Transcription:

を用いた大阪平野南部で 発達した雷雨の再現実験 ( のネストシステムを目指して ) 瀬古弘 露木義 斉藤和雄 ( 気象研究所 ) 黒田徹 ( 海洋研究開発機構 ) 藤田匡 ( 気象庁 ) 三好建正 ( メリーランド大 )

を用いたアンサンブル予報 観測やに誤差はつきもの大気の初期状態はある存在確率で把握する方が望ましい ( 特に局地豪雨は初期値に敏感で 決定論的な予報は困難 ) 単独予報値摂動予報値 初期の確率密度関数 ( 誤差による分布 ) 値値 + 摂動 予報の確率密度関数 アンサンブル平均値観測値 単独予報よりアンサンブル平均の方が精度が良いことが多い 単独予報が悪くても メンバーの予報が良いことがある( 見逃しが少なくなる ) アンサンブル予報の予報誤差を利用し 観測データを用いて 次のメンバーの摂動を作成

ネストした同化システムの必要性 細かい格子のモデルで再現したい現象がある 局地豪雨は対流まで表現する必要がある 正確な降水量などは細かい格子でないと再現できない

高解像度で数値実験を行なう必要性 B08RDP Tier2 で取り上げられた 2007 年 7 月 31 日の雷雨 に注目する 南北に伸びた降水系が北京を通過し 18UTC に 3 時間降水量 70mm の降水が観測された GMS IR 画像 18UTC 30 July 2007 雨量データ レーダーデータ Tier 1 ( X=15km) は 十分な予報なのだろうか? Tier-1 から予報を行なって格子間隔 2km の予報 (Tier-2) を得た Tier-2 の 3 時間降水量を Tier-1 の格子に置きなおし 降水量の総和や降水量の最大値 降水域の面積を比較する M02p 15km grid 3km grid M03m 15km grid 3km grid

3hour rainfall/grind (mm) 3 時間降水量の総和 (Tier-2 領域で比較 ) 15km grid 3km grid Maximum 3hour rainfall 格子点内での最大降水量 15km grid 3km grid member member 3hour rainfall (mm) 3hour rainfall (mm) 80 70 60 50 40 30 20 10 0 3 時間降水量の順位 M00_03 M00_15 M03_03 M03_15 P02_03 P02_15 1 101 201 301 401 501 rank 601 rank Rainfall area (grid) 1.0mm 以上の降水域の grid 数 15km grid 3km grid member P02 以外では Tier-1 の降水量が Tier-2 よりも大きい しかし 降水量の最大値は Tier-2 のほうが Tier-1 よりも大きい 1.0mm 以上の降水域は Tier-2 よりも Tier-1 の方が広い Tier-2 の方が降水が集中している ( 降水のヒストグラムでも 確認できる ) P02 以外は Tier-1 の降水量は Tier-2 より多い ことから 現実に近いと考えられる高解像度の値は 粗い解像度の値からは単純には算出できない 統計でなく 計算で求める必要がある

ネストした同化システムの必要性 細かい格子のモデルで再現したい現象がある 局地豪雨は対流まで表現する必要がある これらの現象の再現の同化データとして 高分解能な観測データ ( ドップラーレーダなど ) を用いることができる できれば 細かい格子で再現した現象の影響を 親モデルに返してやりたい ( 収束線の位置の修正などに寄与すると思う )

2008 年 9 月 5 日の堺市の雷雨の事例 14JST 15JST 16JST 現業レーダで観測した 2008 年 9 月 5 日のエコー分布 2008 年 9 月 5 日 14 時から 17 時までの堺市のアメダスの 10 分間降水量

32 C L W C 14JST 14JST 大阪付近で気温が上昇し 熱的な低気圧が形成された 紀伊半島の西部には 南風 伊勢湾からは南東風 大阪平野の熱的な低気圧に向かって地上風が収束していた

ネストした同化システムの流れ 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) cda データ ( 地上 + 高層 ) 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) cda データ ( 地上 + 高層 ) 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) cda データ ( 地上 + 高層 ) 予報 20(12) メンバー 15km 格子 予報 20(12) メンバー 1.875km 格子 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) cda データ ( 地上 + 高層 ) 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) cda データ ( 地上 + 高層 ) 複数の子領域を 周辺を重なるようにして配置する 今回は 1 パッチの実験を紹介する

ネストした同化システムの結果 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 5 日 03 時 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 5 日 09 時 5 日 15 時 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 予報 20(12) メンバー 15km 格子 9 月 1 日 09 時 ~5 日 03 時 予報 20(12) メンバー 1.875km 格子 アンサンブル平均 (15 時 15km) 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) スプレッド (15 時 15km) 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) テスト用のシステムなので Outer の 15km モデルの領域は狭く スプレッドも小さい 領域のほぼ中心の関西を使う

ネストした同化システムの結果 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 5 日 03 時 5 日 09 時 5 日 15 時 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 予報 20(12) メンバー 15km 格子 9 月 1 日 09 時 ~5 日 03 時 予報 20(12) メンバー 1.875km 格子 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) アンサンブル平均 (15 時 15km) アンサンブル平均 (15 時 2km) 観測 (15 時 )

ネストした同化システムの結果 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 5 日 03 時 5 日 09 時 5 日 15 時 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 予報 20(12) メンバー 15km 格子 9 月 1 日 09 時 ~5 日 03 時 予報 20(12) メンバー 1.875km 格子 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) アンサンブル平均 (15 時 15km) アンサンブル平均 (15 時 2km) アンサンブル平均なので メリハリがないが 格子間隔約 2km の inner は より細かな降水分布を表現している

ネストした同化システムの結果 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 5 日 03 時 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 5 日 09 時 5 日 15 時 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 予報 20 メンバー 15km 格子 9 月 1 日 09 時 ~5 日 03 時 予報 20 メンバー 1.875km 格子 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) Inner は 観測と似た地域に降水が発生している ( 山地による地形性の降水が見えている?) アンサンブル平均 (15 時 2km) 観測 (15 時 )

ネストした同化システムの結果 9 月 1 日 09 時 ~5 日 03 時 5 日 09 時 5 日 15 時 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 予報 20 メンバー 15km 格子 予報 20 メンバー 1.875km 格子 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) 降水域や大阪湾でスプレッドが大きい 境界のスプレッドは親モデルを反映 この場合では 子モデルで作られるものより小さい アンサンブル平均 (15 時 2km) スプレッド (15 時 2km)

ネストした同化システムの結果 9 月 1 日 09 時 ~5 日 03 時 5 日 09 時 5 日 15 時 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 予報 20 メンバー 15km 格子 予報 20 メンバー 1.875km 格子 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) より観測に近づけるには GPS 可降水量や ドップラーレーダ等の高分解能なデータが必要 アンサンブル平均 (15 時 2km) 観測 (15 時 )

6 時間毎の 5 日 15 時 ネストあり 予報 20メンバー 15km 格子 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 予報 20メンバー 1.875km 格子 観測データ (1 時間間隔 ) 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) アンサンブル平均 (15 時 15km) スプレッド (15 時 15km) 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) スプレッド拡大 (15 時 15km) 0.1 ネストなし 予報 20メンバー 15km 格子 アンサンブル平均 (15 時 15km) スプレッド (15 時 15km) 予報 20メンバー 1.875km 格子 スプレッド拡大 (15 時 15km) 0.1 0.1 ネストにより スプレッドがわずかに増加した

15 時 15 時 16 時 17 時 個々のメンバーを見てみると

15 時 15 時 16 時 17 時 雷雨の種が短時強雨が再現されている 個々のメンバーを見てみると

15 時 15 時 短時強雨の種が雷雨の種が再現されている 16 時 17 時 雷雨の種が短時強雨が再現されている 個々のメンバーを見てみると

GPS 可降水量の精度 : ゾンデと同等 高層ゾンデで観測された PWV と GPS による PWV との比較 (1999 年 6 月 ~2000 年 5 月 ) ゾンデの観測点と GPS が水平距離 10km 未満,, 高度差 20m 未満の下表の点で比較を行った ゾンデとの比較で 2.3mm( ただし 精密暦を用いた事後であることに注意 )

GPS 可降水量の同化 ( 手法 1) 観測データ :GPS 可降水量 モデルと観測点の標高差が 50m 以下を使用 NHM- で得た第一推定値と統計値 各観測点で ±100km 内の格子の気温 湿度や湿度のスプレッドのプロファイル の入力データ : 湿度プロファイル 観測誤差の鉛直相関を考え 40 層のデータを鉛直方向に 300hPa まで 3 層ごとに間引いて与えた 入力データの模式図 現象の位置ずれを考え 受信機から ±100km 内の湿度の平均とスプレッドの最大値を得る 高度 (km) スプレッドの最大値 仮定 : 予報誤差が大きいほど 値と第一推定値の差が大きい 予報誤差に応じて 第一推定値を増減させ の入力値を求めた 第一推定値の平均値 の入力値 ±100km 湿度

GPS 可降水量の同化 ( 手法 2) 観測データ :GPS 可降水量 モデルと観測点の標高差が 50m 以下を使用 NHM- で得た第一推定値と統計値 各観測点で ±100km 内の格子の気温 湿度や湿度のスプレッドのプロファイル の入力データ : 湿度プロファイル 観測誤差の鉛直相関を考え 40 層のデータを鉛直方向に 300hPa まで 3 層ごとに間引いて与えた ±100km 現象の位置ずれを考え 受信機から ±100km 内の湿度の平均とスプレッドの最大値を得る 仮定 : 予報誤差が大きいほど 値と第一推定値の差が大きい 可降水量と各層の水蒸気量の相関を取り その絶対値が大きな層だけ変更させて の入力値を求めた 高度 (km) スプレッドの最大値 第一推定値の平均値 の入力値 湿度

観測された GPS 可降水量 14JST 14JST 14JST 現業レーダで観測した 9 月 5 日 14 時のエコー分布と GPS 可降水量と収束量 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 予報 20 メンバー 15km 格子 予報 20 メンバー 1.875km 格子 9 時 -15 時の間に 10 分毎に同化した LET KF 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) LET KF ダウン親モスケーデルルへの反映 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) LET KF

可降水量の同化の結果 観測 (15 時 ) 高度 (km) スプレッドの最大値 手法 1 高度 (km) スプレッドの最大値 手法 2 の入力値 の入力値 第一推定値の平均値 第一推定値の平均値 アンサンブル平均 (CNTL) アンサンブル平均 ( 手法 1) 湿度 湿度 アンサンブル平均 ( 手法 2)

可降水量の同化の結果 観測 (15 時 ) GPS を同化しても 降水分布に顕著な差はないが 大阪府や和歌山県北部 滋賀県の降水域が 強められた 本事例では 手法 1 と 2 の差は 大きくなかった アンサンブル平均 (CNTL) アンサンブル平均 ( 手法 1) アンサンブル平均 ( 手法 2)

CNTL と比較すると 雷雨の再現が良くなっている GPS_ 手法 2 17JST CNTL 17JST

CNTL と比較すると 雷雨の再現が良くなっている 強められた大阪府の降水域の種が発達 GPS_ 手法 2 17JST CNTL 17JST

観測されたドップラーレーダの水平風 関西空港と大阪空港のドップラーレーダーの動径風から draftを用いてdual を 6 時間毎の LET 6 時間毎の LET 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) KF 観測データ (1 時間間隔 ) KF 観測データ (1 時間間隔 ) 高度 0.5kmから1km毎に行った 予報 20 メンバー 15km 格子 14-15 時の高度 3.5km以下の水平風を10 分毎に同化した 予報 20 メンバー 1.875km 格子 ダウン親モスケーデルルへの反映 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) LET KF

Radar の水平風を同化すると GPS ほどではないが 観測と同じ位置 形状で再現されているものが増えている Radar_UV 17JST CNTL 17JST

GPS と Radar を両方同化すると 両方の改善が反映される GPS_Radar 17JST CNTL 17JST 青とピンクの丸は GPS とレーダで改善されたメンバーを示す

複数パッチのテスト ( 境界は悪さをするか?) 9 月 1 日 09 時 ~5 日 03 時 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 09 時 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 15 時 21 時 5 日 09 時 5 日 15 時 6 時間毎の観測データ (1 時間間隔 ) 予報 20メンバー 15km 格子 予報 20メンバー 1.875km 格子 アンサンブル平均 (15 時 10km) 1 時間毎の 1 時間毎の観測データ (10 分間隔 ) 観測データ (10 分間隔 ) アンサンブル平均 (21 時 10km) ネストあり 予報 20メンバー 15km 格子 アンサンブル平均 (15 時 10km) ネストなし 予報 20メンバー 1.875km 格子 アンサンブル平均 (21 時 10km) アンサンブル平均 (15 時 2km) 境界に不自然な対流はない この時刻は 4 パッチでも大丈夫そう

まとめと今後 1. をネストさせて 対流スケールの同化を試みた 2.2008 年 9 月 5 日の大阪の雷雨の事例では ネストにより 詳細な降水分布が再現できた 3. 可降水量やドップラーレーダの水平風を同化すると 雷雨の再現が改善された 4. 今後 ネスト法や可降水量 ドップラー風の同化法等の改善を継続すると共に 他の高解像度な観測データの同化法の開発も行う