第 3 章住まい まちづくりの基本方針 1. 基本理念 大館市は 平成 17 年 6 月に 1 市 2 町が合併して誕生し 北東北 3 県の拠点都市として位置づけられています 地域特性としては 大館地域の都市部と比内地域及び田代地域の農山部に分かれており 地域ごとに異なったまちが形成され 住宅特性も異なっています したがって 地域ごとの住宅特性を尊重した住まい まちづくりを図るとともに 市民が安全 安心に居住できる住環境を整えていく必要があります 本市の 新大館市総合計画 では - 21 世紀に飛翔する環境先端都市 - 地域の多彩な魅力で創造し 自然環境と都市機能が融合した北東北の拠点都市 おおだて をまちづくりの将来像として掲げています また 前章では 次の 4 点を主要な課題として挙げています 安全で安心できる住まいづくりの推進 活力を呼び戻すための住まいづくりの推進 街なかで暮らせる住環境づくりの推進 多様なライフスタイルやニーズに合った住まいづくりの推進 したがって 本市の住まい まちづくりの将来像は 新大館市総合計画 を踏まえ 自然環境と都市機能が調和しつつ 地域特性を踏まえた快適な住まい まちづくりを目指し まちと豊かな自然が調和した大館の住まいづくり と設定します 新大館市総合計画 将来像 - 21 世紀に飛翔する環境先端都市 - 地域の多彩な魅力で創造し 自然環境と都市機能が融合した北東北の拠点都市 おおだ 大館市都市計画マスタープラン まちづくりの理念 人 まち 自然が調和するまち育て環境共生都市 おおだて 大館市の住まい まちづくりの課題 - 16 -
2. 基本目標 ここでは 基本理念 まちと豊かな自然が調和した大館の住まいづくり の実現に向けて 住まい まちづくりの基本目標を次のように設定します 大館市では 人口減少と少子高齢化が進んでおり また地域外への人口流出が続けば 将来的には地域の活力低下が深刻化することが懸念されます 特に 中心市街地では人口の減少や 商業活動の衰退が継続しており 街なか居住により人口の定住化を図る必要があります 一方 大館地域 比内地域 田代地域では異なった地域特性があり 前章で挙げた住まい まちづくりの課題についても それぞれの地域特性に適した対応をすることが必要です したがって 基本理念を念頭に 地域特性に応じて推進する住まい まちづくりの目標を 以下のように設定します 安全で安心できる住まいづくり 目標実現のための視点 高齢者等が安心して住み続けられる仕組みづくりが必要 安全に住み続けられる地震等の災害に強い住まいづくりが必要 活力を呼び戻すための住まいづくり 目標実現のための視点 地域の活力を高める住宅政策の展開が必要 若者の定住を促進する住宅供給が必要 働き手が流出しない住まいづくりの推進が必要 街なかで暮らせる住環境づくり 目標実現のための視点 中心市街地活性化施策と連携した商業 業務の複合化による賑わいの再生が必要 市営住宅の建替えに伴い街なか居住を促進する住宅供給が必要 - 17 -
多様なライフスタイルやニーズに合った住まいづくり 目標実現のための視点 市民のライフスタイル等に対応した多様な住宅の供給が必要 高齢化の進展等に伴う世帯規模と住宅規模のミスマッチを解消し ストックの有効活用を図ることが必要 円滑な住宅市場の形成と誘導を図ることが必要 地域特性やニーズを踏まえた市営住宅の再構築 目標実現のための視点 老朽化が進んだ市営住宅ストックについては 中心市街地の活性化と連携した適切な建替えや改善の実施が必要 市営住宅の居住水準や住環境の向上とともに 周辺環境と調和した住宅づくりが必要 高齢者 障害者に配慮したストックの更新及び入居時の配慮が必要 少子化対策の観点から 若年層や子育て層に対する支援の検討が必要 基本理念 まちと豊かな自然が調和した大館の住まいづくり 安全で安心できる住まいづくり 活力を呼び戻すための住まいづくり 街なかで暮らせる住環境づくり 多様なライフスタイルやニーズに合った住まいづくり 地域特性やニーズを踏まえた市営住宅の再構築 - 18 -
3. 将来フレームの推計 3-1 将来人口 将来世帯数の見通しこの計画の上位計画である 新大館市総合計画 では 平成 27 年 (2015 年 ) 将来人口の目標値を 78,000 人と設定しています 本計画においては 平成 27 年の目標値と平成 17 年 平成 20 年の実績値の増減率をもとに 平成 25 年の人口を 78,551 人 30,372 世帯 平成 30 年の人口を 77,174 人 32,010 世帯を目標とします 表 3-3-1 将来人口の推計値 実績 平成 12 年平成 17 年平成 20 年国調国調国調住民基本台帳 単位 : 人 世帯 推計値総合計画目標値 推計値 平成 25 年 平成 27 年 平成 30 年 総人口 86,288 82,504 79,928 78,551 78,000 77,174 年少人口 11,585 10,316 9,555 9,269 9,307 9,201 生産年齢人口 53,134 48,314 45,549 43,192 42,987 41,889 老年人口 21,527 23,816 24,766 25,618 25,706 26,109 総世帯数 28,679 28,406 28,643 30,372 31,000 32,010 平均世帯人員 3.01 2.90 2.79 2.59 2.52 2.41 総人口以外は推計値 ( 人 ) 88,000 86,000 84,000 86,288 平成 12 年国勢調査 86,288 人 平成 20 年国勢調査 住民基本台帳 79,928 人 82,000 82,504 80,000 78,000 平成 17 年国勢調査 82,504 人 79,928 78,551 78,000 77,174 76,000 74,000 72,000 平成 12 年平成 13 年平成 14 年平成 15 年平成 16 年平成 17 年平成 18 年 実績値 推計値 平成 19 年平成 20 年平成 21 年平成 22 年平成 23 年 図 3-3-1 将来人口の推計値 平成 27 年総合発展計画 78,000 人 平成 24 年平成 25 年平成 26 年平成 27 年 平成 28 年平成 29 年平成 30 年 - 19 -
3-2 現況及び将来の住宅ストック将来 ( 平成 30 年度 ) の住宅ストックは 住宅数と世帯数の関係から算定することができます 住宅ストックとは ある時点における全ての住宅の総数であり 実際には 空き家や建築中の建物などがあるため 世帯数と住宅ストックが同じになることはありません 住宅ストック=1 居住世帯のある住宅数 +2 居住世帯のない住宅数 中間年次である平成 25 年及び目標年次である平成 30 年度の持ち家 借家別住宅ストックを算出すると 次表のとおりとなり 平成 25 年の住宅ストックは 33,409 戸 ( 持ち家 24,182 戸 借家等 5,699 戸 ) 平成 30 年は住宅ストック 35,211 戸 ( 持ち家 25,566 戸 借家等 5,953 戸 ) になることが予測されます 表 3-3-2 持ち家 借家別将来住宅ストックの推計 平成 17 年 ( 実績 ) 平成 20 年 平成 25 年 単位 : 戸 世帯 平成 30 年 持ち家 1 22,547 22,736 24,182 25,566 持ち家率 79.6% 79.6% 79.9% 80.1% 借家等 2 5,368 5,416 5,699 5,953 間借り等 3 402 402 402 402 施設世帯等 4 89 89 89 89 空き家等 5 2,841 2,864 3,037 3,201 住宅ストック 31,247 31,507 33,409 35,211 ( ストックの増加分 ) - 261 1,902 1,802 一般世帯数 6 28,317 28,554 30,283 31,921 主世帯数 7 27,915 28,152 29,881 31,519 1: 持ち家 = 一般世帯数 持ち家率 2: 借家等 = 一般世帯数 - 持ち家数 - 間借り等 3: 間借りは H17 を不変とする 4: 施設世帯等 = 施設等世帯 + 不詳 施設世帯等は H17 を不変とする 5: 空き家等 = 住宅ストック - 一般世帯数 - 施設世帯等 6: 一般世帯数 = 総世帯数 - 施設世帯等 7: 主世帯数 = 一般世帯数 - 間借り等 - 20 -
( 戸 ) 40,000 35,000 30,000 25,000 28,317 2,841 2,864 28,554 5,368 5,416 3,037 5,699 30,283 3,201 5,953 31,921 20,000 15,000 10,000 22,547 22,736 24,182 25,566 5,000 0 平成 17 年 ( 実績 ) 平成 20 年 平成 25 年 平成 30 年 持ち家借家等間借り等施設世帯等空き家等主世帯数 図 3-3-2 住宅ストックの推計 - 21 -
3-3 市営住宅の整備目標量 公営住宅は 住宅に困窮する低所得者世帯に対して 一定水準の住宅を供給するセーフティネットとしての機能を果たしてきましたが 近年の社会構造の変化とともに これまで以上にセーフティネットの機能向上が求められています これに対して 国においては DV 被害者などの単身入居要件の緩和や 子育て世帯の入居収入基準の緩和などの改革が実施されています また 平成 18 年には 真に住宅に困窮する世帯が適切に入居できるようにするため 公営住宅法施行令の一部改正が行われ 社会の実情に即した収入基準に見直しが行われました 本市においては この国の動向を見据え 適切な市営住宅の整備目標量を算定するものとします 前項においては 将来における持ち家と借家の数を算定しました ここでは この内 市営住宅として供給すべき目標量を推計します まず 本市においては 下図に示す世帯層を市営住宅対象階層として検討します 階層収入分位市営住宅民営借家及び給与住宅 : 対象階層 一般世帯高齢者世帯一般世帯高齢者世帯 原則階層 裁量階層 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ 0~10% 10~15% 15~20% 20~25% 25~33% 33~40% 1 公営住宅継続住居世帯 : 市営住宅入居者のうち 今後も継続して居住すると考えられる世帯 2 民営借家からの住み替え世帯 ( 一般 ): 民営借家等の入居者で原則階層世帯のうち 自力で最低住居水準を達成できない世帯 3 民営借家からの住み替え世帯 ( 高齢 ): 民営借家等の入居者で原則 裁量階層世帯のうち 自力で最低住居水準を達成できない世帯 図 3-3-3 市営住宅の入居対象階層 - 22 -
次に 公営住宅法施行令の一部改正に伴う収入基準の見直しにより 収入基準が次のとおり変更となりました 表 3-3-3 公営住宅法施行令の一部改正に伴う入居収入基準等の見直し < 現行 > 階層 政令月収 原則階層裁量階層 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ 0~ 123,001~ 153,001~ 178,001~ 200,001~ 238,001~ 123,000 153,000 178,000 200,000 238,000 268,000 < 改正後 > 階層 政令月収 原則階層裁量階層 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ 0~ 104,001~ 123,001~ 139,001~ 158,001~ 186,001~ 104,000 123,000 139,000 158,000 186,000 214,000 以上の変更内容を踏まえ 本検討は次のとおり進める 現在市営住宅に居住する世帯数 収入超過及び高額所得世帯の除外 1 市営住宅継続居住世帯 将来の民営借家等世帯数の推計 原則階層 裁量階層の抽出 最低居住水準未満世帯の抽出 2 民営借家からの住み替え世帯 ( 一般 ) 3 民営借家からの住み替え世帯 ( 高齢 ) 市営住宅必要量 =1+2+3 図 3-3-4 市営住宅必要量算定フロー - 23 -
検討の結果 市営住宅の必要量は 以下の通り 目標年次である平成 30 年では 821 戸となり 現況から-130 戸となります 表 3-3-4 将来の市営住宅必要量 増減量 年次 必要戸数 現況管理戸数比 現況入居世帯比 ( 現在入居数 - 必要戸数 ) 備考 平成 20 年 ( 基準年 ) 951 戸 0 戸 232 戸現在入居数 719 戸 市営住宅居住継続世帯数 695 戸 平成 25 年 ( 中間年次 ) 民営借家からの住み替え 一般世帯 高齢者世帯 70 戸 49 戸 民営借家等入居者で原則階層内かつ最低居住水準未満の一般世帯 民営借家等入居者で 原則階層内又は裁量階層内かつ 最低居住水準未満の高齢者世帯 平成 25 年合計 814 戸 -137 戸 95 戸 市営住宅居住継続世帯数 695 戸 平成 30 年 ( 目標年次 ) 民営借家からの住み替え 一般世帯 高齢者世帯 75 戸 51 戸 民営借家等入居者で原則階層内かつ最低居住水準未満の一般世帯 民営借家等入居者で 原則階層内又は裁量階層内かつ 最低居住水準未満の高齢者世帯 平成 30 年合計 821 戸 -130 戸 102 戸 - 24 -