1. 女性就労の量の拡大 ( 就業継続 再就職に対する支援 ) 女性就業率が出産 育児期に落ち込む M 字カーブ は 今や主要先進国では ほぼ解消した これは両立支援拡充の政策努力により克服してきたものである 日本の場合 労働市場における流動性の低さとも相まって 女性のキャリアの中断は 培った能力を

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女性の活躍促進や仕事と子育て等の両立支援に取り組む企業に対するインセンティブ付与等 役員 管理職等への女性の登用促進 М 字カーブ問題の解消には企業の取組が不可欠 このため 企業の自主的な取組について 経済的に支援する 経営上のメリットにつなぐ 外部から見えるようにし当該取組の市場評価を高めるよう政

女性が働きやすい制度等への見直しについて

資料9

23 歳までの育児のための短時間勤務制度の制度普及率について 2012 年度実績の 58.4% に対し 2013 年度は 57.7% と普及率は 0.7 ポイント低下し 目標の 65% を達成することができなかった 事業所規模別では 30 人以上規模では8 割を超える措置率となっているものの 5~2

女性が働きやすい環境を整え社会に活力を取り戻す

女性の活躍推進の意義と課題 意 義 課題 少子高齢化で生産年齢人口が減少 労働力人口の増加 海外を含む企業間競争の中で 性別に関わらず優秀な人材の確保が必要 埋もれている優秀な人材の確保 少子化と生産年齢人口の減少が進む中で 女性の活躍の推進は喫緊の課題 女性の労働力率は 第 1 子出産を機に 6

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我が国の女性の活躍推進に向けて

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

平成28年度企業主導型保育事業の助成決定について(第1回)

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図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計

子ども・子育て会議(第7回) 次世代育成支援対策推進法の延長等の検討について

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女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

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社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

資料2(コラム)

2. 改正の趣旨 背景税制面では 配偶者のパート収入が103 万円を超えても世帯の手取りが逆転しないよう控除額を段階的に減少させる 配偶者特別控除 の導入により 103 万円の壁 は解消されている 他方 企業の配偶者手当の支給基準の援用や心理的な壁として 103 万円の壁 が作用し パート収入を10

平成23年9月29日WG後修正

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中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル

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(0830時点)PR版

7 民法改正 : (13) 選択的夫婦別姓の実現 (14) 婚姻最低年齢 再婚禁止 (15) 婚外子相続分差別規定廃止 是正 8 性暴力 : (16) 性暴力禁止法 (17)DV 防止法 9 日本軍 慰安婦 : (18) 河野 村山談話 (19) 国家の謝罪と補償 10 性的健康 : (20) 刑法


流山市子ども・子育て会議

新設 拡充又は延長を必要とする理地方公共団体の実施する一定の地方創生事業に対して企業が寄附を行うことを促すことにより 地方創生に取り組む地方を応援することを目的とする ⑴ 政策目的 ⑵ 施策の必要性 少子高齢化に歯止めをかけ 地域の人口減少と地域経済の縮小を克服するため 国及び地方公共団体は まち

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4 子育てしやすいようにするための制度の導入 仕事内容への配慮子育て中の社員のため以下のような配慮がありますか? 短時間勤務ができる フレックスタイムによる勤務ができる 勤務時間等 始業 終業時刻の繰上げ 繰下げによる勤務ができる 残業などの所定外労働を制限することができる 育児サービスを受けるため

第3回税制調査会 総3-2

参考 1 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに

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( 女性の登用状況を見える化 / 仕事と子育ての両立支援を強化 ) 女性の活躍 見える化 サイト を開設し 上場企業の約 3 割に当たる 1,154 社について管理職比率等のデータ掲載を行った また 本年 4 月には 次世代育成支援対策推進法の延長のための改正法案が成立するなど 女性の活躍推進のため

ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)  レベル診断チェックシート

扶養手当制度の概要 1 支給要件 扶養親族 ( 他に生計の途がなく主として職員の扶養を受けているもの ) を有する職員に対して支給 年額 130 万円以上の恒常的な所得があると見込まれる者は対象外 2 支給月額 配偶者 : 13,000 円子など : 1 人につき 6,500 円 ( 配偶者のない場

7 民法改正 : (13) 選択的夫婦別姓の実現 (14) 婚姻最低年齢 再婚禁止 (15) 婚外子相続分差別規定廃止 是正 8 性暴力 : (16) 性暴力禁止法 (17)DV 防止法 9 日本軍 慰安婦 : (18) 河野 村山談話 (19) 国家の謝罪と補償 10 性的健康 : (20) 刑法

企業中小企(2) 所得拡大促進税制の見直し ( 案 ) 大大企業については 前年度比 以上の賃上げを行う企業に支援を重点化した上で 給与支給総額の前年度からの増加額への支援を拡充します ( 現行制度とあわせて 1) 中小企業については 現行制度を維持しつつ 前年度比 以上の賃上げを行う企業について

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男女共同参画に関する意識調査

つのシナリオにおける社会保障給付費の超長期見通し ( マクロ ) (GDP 比 %) 年金 医療 介護の社会保障給付費合計 現行制度に即して社会保障給付の将来を推計 生産性 ( 実質賃金 ) 人口の規模や構成によって将来像 (1 人当たりや GDP 比 ) が違ってくる

従業員に占める女性の割合 7 割弱の企業が 40% 未満 と回答 一方 60% 以上 と回答した企業も 1 割以上 ある 66.8% 19.1% 14.1% 40% 未満 40~60% 未満 60% 以上 女性管理職比率 7 割の企業が 5% 未満 と回答 一方 30% 以上 と回答した企業も 1

主な論点 資料 4 1. ワーク ライフ バランスの推進 生産性向上等の観点から 働き方とともに休み方を見直すことの必要性 重要性 (1) 有給休暇取得状況と長時間労働の国際比較 (2) 休暇取得と生産性との関係 (3) 仕事と仕事以外の生活の充実 2. 秋の連休の大型化等を実現する上での課題 (1

7 民法改正 : (13) 選択的夫婦別姓の実現 (14) 婚姻最低年齢 再婚禁止 (15) 婚外子相続分差別規定廃止 是正 8 性暴力 : (16) 性暴力禁止法 (17)DV 防止法 9 日本軍 慰安婦 : (18) 河野 村山談話 (19) 国家の謝罪と補償 10 性的健康 : (20) 刑法

希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会 潜在待機児童数に関する考察 1. はじめに希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会 ( 以降 本会 と記す ) では 待機児童が概ねゼロになる状況をめざす上で 保育園を増やしても待機児童問題が解消されない原因を把握し その原因を

3. 行政分野への女性の参画 (1) 行政分野への女性の参画の実態 1 国 オランダには 13 の省があり それらの関係政府機関に現在約 20 万 7 千人の国家公務員が勤務している オランダの国家公務員全体における女性比率は約 3 割 (2005 年 ) で 約 6 万 5 千人の女性公務員が勤務

25~44歳の子育てと仕事の両立

学生確保の見通し及び申請者としての取組状況

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地域子育て支援拠点事業について

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

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することを可能とするとともに 投資対象についても 株式以外の有価証券を対象に加えることとする ただし 指標連動型 ETF( 現物拠出 現物交換型 ETF 及び 金銭拠出 現物交換型 ETFのうち指標に連動するもの ) について 満たすべき要件を設けることとする 具体的には 1 現物拠出型 ETFにつ

鳩山政権の経済政策の効果

内閣府令本文

1. 改革の方向性 女性の働き方に中立的な制度整備に当たっては 可処分所得の大幅な減少が生じないよう 負担を最小化 負担増減を円滑化するとともに こうした見直しが 負担増の生じる世帯 個人に ベネフィットとして戻ってくる制度改革とすることが不可欠 改革の進め方についての方針を明示し できるものから早

H28秋_24地方税財源


資料 3 国家戦略特区における追加の規制改革事項等について ( 案 ) 平成 29 年 2 月 21 日国家戦略特別区域諮問会議 国家戦略特区について 日本再興戦略 2016 ( 平成 28 年 6 月 2 日閣議決定 ) などに基づき また 指定した特区の区域会議や全国の地方自治体 民間からの提案

14 日本 ( 社人研推計 ) 日本 ( 国連推計 ) 韓国中国イタリアドイツ英国フランススウェーデン 米国 図 1. 1 主要国の高齢化率の推移と将来推計 ( 国立社会保障 人口問題研究所 資料による ) 高齢者を支える

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平成13年度税制改正(租税特別措置)要望事項(新設・拡充・延長)

第第第ライフスタイルに対する国民の意識と求められるすがた50 また 働いていないが 今後働きたい と回答した人の割合は 男性では 7.4% であるのに対し て 女性は19.1% である さらに 女性の中では 30 代の割合が高く ( 図表 2-1-2) その中でも 特に三大都市圏で高い割合となってい

【課題1】海外の企業・人材が東京でビジネスをしやすい環境づくり~【参考】民間によるビジネス交流拠点の例

2. 女性の労働力率の上昇要因 М 字カーブがほぼ解消しつつあるものの 3 歳代の女性の労働力率が上昇した主な要因は非正規雇用の増加である 217 年の女性の年齢階級別の労働力率の内訳をみると の労働力率 ( 年齢階級別の人口に占めるの割合 ) は25~29 歳をピークに低下しており 4 歳代以降は

税・社会保障等を通じた受益と負担について

働き方の現状と今後の課題

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ダイバーシティ 年に向けた政策展開のポイント テレワークが当たり前になる社会 の実現に向け 多様な主体と連携した普及啓発や導入支援への取組を強化 地域での就労支援やマッチング強化により 女性や高齢者の就業を推進 働き方改革と併せて時差 Biz の定着に向けた取組を推進 強化した政策

第8回税制調査会 総8-2(案とれ)

新たな外国人材受入れ制度の検討経緯及び概要 平成 30 年 7 月 12 日 経済産業省 製造産業局 今年 2 月 20 日の経済財政諮問会議において 総理から以下の指示 安倍政権として いわゆる移民政策をとる考えはありません この点は堅持します 他方で 5 年間のアベノミクスによって 有効求人倍率

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持続可能な自治会活動に向けた男女共同参画の推進について(概要)

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H25見える化 Ⅰ

2018年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果

第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

いる 〇また 障害者の権利に関する条約 においては 障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとされている 〇一方 成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度 ( いわゆる欠格条項 ) については いわゆるノーマライゼーションやソーシャルインクルージョン ( 社会的包摂 ) を基本理念とする成年

< 参考資料 目次 > 1. 平成 16 年年金制度改正における給付と負担の見直し 1 2. 財政再計算と実績の比較 ( 収支差引残 ) 3 3. 実質的な運用利回り ( 厚生年金 ) の財政再計算と実績の比較 4 4. 厚生年金被保険者数の推移 5 5. 厚生年金保険の適用状況の推移 6 6. 基

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2019 年 3 月 経営 Q&A 回答者 Be Ambitious 社会保険労務士法人代表社員飯野正明 働き方改革のポイントと助成金の活用 ~ 働き方改革における助成金の活用 ~ Question 相談者: 製造業 A 社代表取締役 I 氏 当社における人事上の課題は 人手不足 です 最近は 予定

消費税 5% 引上げによる社会保障制度の安定財源確保 消費税率 ( 国 地方 ) を 2014 年 4 月より 8% へ 2017 年 4 月より 10% へ段階的に引上げ 消費税収の使い途は 国分については これまで高齢者 3 経費 ( 基礎年金 老人医療 介護 ) となっていたが 今回 社会保障

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504 特定事業等に係る外国人の入国 在留諸申請優先処理事業 1. 特例を設ける趣旨外国人研究者等海外からの頭脳流入の拡大により経済活性化を図る地域において 当該地域における特定事業等に係る外国人の受入れにあたり 当該外国人の入国 在留諸申請を優先的に処理する措置を講じることにより 当該地域における

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( 参考 ) 平成 29 年度予算編成にあたっての財務大臣 厚生労働大臣の合意事項 ( 平成 29 年 12 月 19 日大臣折衝事項の別紙 ) < 医療制度改革 > 別紙 (1) 高額療養費制度の見直し 1 現役並み所得者 - 外来上限特例の上限額を 44,400 円から 57,600 円に引き上

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Transcription:

資料 1 雇用 人材分科会 ( テーマ : 女性活躍推進 ) 2014 年 3 月 14 日 成長戦略としての女性の活躍推進について 本ペーパーは民間議員の意見を踏まえ 主査の責任のもと取り纏めたものである 安倍政権が掲げる 女性が輝く日本 は 従来レベルでの女性政策では実現できない 女性が輝く日本 の実現は グローバルに通用する世界トップレベルの雇用環境 働き方 の実現を目指すこととほぼ同義であり 大幅な構造改革を伴うものである 中長期的観点からの日本経済における最大の制約要因は 少子 高齢化による労働力及び内需の縮小である この人口動態による制約を最小化することは 我が国経済を持続可能な成長路線に乗せるための大前提と言える 海外からの指摘を待つまでもなく 1 第一の処方箋は 先進国標準から大きくかい離した ( ゆえに潜在力も大きい ) 女性就労の水準を量 質ともに大幅に改善することである 2 1980 年代半ば以降 先進国において 女性の就労率が高い国では出生率も高いという関係がみられ 3 女性就労の促進は 就労と育児 家事の両立を可能とする環境の整備を通じて少子化対策としての効果も期待され 現在及び将来の労働力確保にも資するものといえる また 夫婦共稼ぎ ( ダブルインカム ) 世帯の増加は家計所得を増やし 消費を活性化することで 内需の規模の維持 拡大にもつながる こうした観点から 世界で一番女性が活躍しやすい国 を目指し 成長戦略の重要な柱 である女性の活躍推進のための政策を加速化させ 例えば WEFランキングで世界 105 位まで低下したジェンダーギャップ指数の改善等 各種個別政策において明確な目標 KPIを掲げ 総理主導で スピーディに 総合的な対策を講じるべきである 4 1 IMFラガルド専務理事は 女性が日本を救う (Can Women Save Japan?) ( 2012 年 10 月 IMFのWP) を紹介し 急激な高齢化による日本の潜在成長率の低下に歯止めをかけるには 女性の就業促進がカギ 日本の女性労働力率が他の G7( イタリアを除く ) 並みになれば 1 人当たりの GDP が4% 北欧並みになれば8% 上昇する と指摘 2 女性の潜在労働力 ( 就業希望者 )342 万人が就労すれば 雇用者報酬総額が 7 兆円程度 (GDPの約 1.5%) 増加するとの試算もある ( 平成 24 年 2 月 男女共同参画会議基本問題 影響調査専門調査会報告書 ) 3 かつては先進国の間でも 女性の就業率が高い国は出生率が低い という負の関係が見られたが 1980 年代半ば以降 仕事と育児の両立支援が拡充された結果 女性の就業率が高い国では出生率も高い という正の関係が見られるようになった また 日本の都道府県についても 同様に正の相関関係が見られる 4 平成 26 年 1 月 22 日安倍総理世界経済フォーラム年次総会会議冒頭演説抜粋 いまだに活用されていな資源の最たるもの それが女性の力ですから 日本は女性に輝く機会を与える場でなくてはなりません 2020 年までに指導的地位にいる人の 3 割を女性にします 1

1. 女性就労の量の拡大 ( 就業継続 再就職に対する支援 ) 女性就業率が出産 育児期に落ち込む M 字カーブ は 今や主要先進国では ほぼ解消した これは両立支援拡充の政策努力により克服してきたものである 日本の場合 労働市場における流動性の低さとも相まって 女性のキャリアの中断は 培った能力を活かした再チャレンジを極めて困難なものとしている このことが ひいては女性という貴重な人的資本の劣化を招き 人材育成投資の浪費という社会的損失を招いている 育児休業の制度化にも拘わらず 第 1 子出産時の離職率が約 6 割に及ぶという現状を改善するためには 社会における子育てインフラの整備 と 多様で柔軟な働き方の環境整備と推進 を車の両輪として 仕事と育児 家事の両立支援のための環境整備を進める必要がある (1) 社会における子育てインフラの整備 1 学童保育の量的拡充と質の向上 昨今急増している小学校段階の学童保育サービスの不足により 深刻化しつつある 小 1のカベ 問題に対応し 待機児童解消加速化プラン による保育の受け皿拡大に加えて 学童保育の量的 質的拡充が必要である このため 現在調査中の学童保育の潜在的な利用ニーズを可能な限り早期に把握し 受入れ拡大の目標値と期限を定めた具体的な整備プランを策定し 実施状況をオープンな場で監視していくことが不可欠である 政策立案に際しては 従来の児童福祉的発想からくる単なる 預かり を超えた利用者のニーズに立脚した教育面やサービス面での高付加価値化を図ることが極めて重要である 具体的には 例えば 創意工夫ある民間団体や企業等が 公設民営 を利用した小学校校舎の活用促進により効率化を図りつつ 必要な予算措置を講じた上で 厚労省による 放課後児童クラブ 事業と文科省による 放課後子ども教室 事業の将来的な一元化を視野に入れ 両者の連携促進のための取組を講じ 質量両面の充実を図る 2 育児経験が豊かな主婦層の就労機会の拡大 都市部を中心とした深刻な待機児童問題は 保育士不足が大きな要因である そのため 育児経験の豊かな主婦の力を保育の現場で活用する 保育士試験の回数の増加や 試験内容を育児経験が正当に評価されるよう実践的なものとすること 試験合格科目の有効期間の延長等 保育士不足解消に必要な見直しを行う 准保育士資格( 民間認証 ) を設け 育児経験ある主婦層の就業機会を増やし保育所の質の向上を図る 2

3 育児 家事支援サービスの利用促進 男性の育児 家事参加を促すとともに 育児 家事支援サービスの利用促進が重要である 現状において 使いたいけど使えない の最大の理由が 価格が高い ことであるため 需要を喚起し スケールメリットを通じてコスト効率を向上させる好循環を創出するためには 例えば 税制措置 ( 所得税の税額控除や特定支出控除項目への追加等 ) やバウチャー等による利用者負担の軽減策を講じるべきである 親族の介護等も含め家庭の事情から 働きたくても働けない人に対して働く機会を与えるためにも 家事支援サービス事業を支援する政策は不可欠である また 将来的な人材不足に備え外国人の活用も視野に入れる必要がある そのため 人材育成を含め サービスの品質を担保する仕組みをつくり 信頼性の高い市場を構築していく 例えば 介護 育児 家事支援などの分野で一定の資格や技能をもつ外国人に在留資格を与えられるようにすべきである なお 外国人活用については 先ずは国家戦略特区で 管理体制を整えた上で 外国人による育児 家事支援サービス提供事業を試験的に許可して事業を開始させ どの程度の需要があるか等を見極めてから拡大の必要性を検討する (2) 多様で柔軟な働き方の環境整備と推進 女性の活躍推進の視点からも わが国の成長に向けた国内外の多様な人材を活用する世界トップレベルの雇用環境を実現することが必要である そのためにも 多様で柔軟な働き方の推進を図るとともに 社会全体の 働き方改革 の一歩を踏み出す 個人が各々のライフスタイルに応じて働き方を選択し その能力を最大限に発揮するための創造性の高い働き方を実現することが 個人 企業 国の成長力を上げることにつながる 1 時間と場所を自由に選べる多様で柔軟な働き方の推進 (ITを活用した在宅勤務等における労働法制等の整備 ) 出産時の就業継続を確保した上で 女性活躍をさらに後押しするためには 女性の家庭負担を前提とした 従来のような 仕事を減らす ことによる両立支援 ( 育休 時短の拡充 ) から 在宅勤務等による柔軟な働き方の推進や家事 育児のアウトソース支援により 育児 介護による制約を減らす 方向での支援 環境整備への切り替えが重要である 育児中の女性にとって 時間や場所の制約がパフォーマンスの制約となるという マミー トラック 5 問題の解消に向けて 現在のIT 技術の水準を踏まえ 個々の家庭事情に応じて 時間と場所を自由に選べるような多様で柔軟な働き方 をできる限り広げていく方向で 労働時間法制等を見直していくべきで 5 子供を持つ女性の働き方のひとつで 仕事と子育ての両立はできるものの 昇進 昇格とは縁遠いキャリアコースのこと 3

ある 例えば 業務遂行 ( および健康管理 ) を自律的に行える一定の層の働く個人を対象に 在宅勤務を含め 時間と場所を自由に選べる働き方 ( スマートワーク ) のための新しい労働法制 ( 従来のように時間ベースではなく 成果ベースの労働管理の制度 ) の創設を検討すべきである また 健康確保に配慮した上で 裁量労働やフレックス制度の拡充等の見直し ( 在宅勤務のニーズを踏まえた特例措置の検討 ) や 深夜 休日の割増賃金規制を 例えば 本人都合で在宅勤務を希望する場合に限り 所定労働時間内という制限の下で緩和していくことも検討を行うべきである 加えて 女性の労働参加促進や優秀な女性の活躍機会拡大のためにも 今後 ジョブ型の働き方 を普及 促進するための環境整備を進めるべきである 女性の就業機会を増やすために 医療 看護などの社会的ニーズの高い分野において 育児等で離職した女性が復職する際の学び直し支援が必要である なお ここで述べている新しい働き方 ( スマートワーク ) については 早期実現のために まずは 国家戦略特区での試験的実施をすべきと考えるが それが困難な場合には 全国での実施が可能なように早急に検討すべきである 2 中小企業 研究機関等における出産後の就業継続支援 中小企業等における女性の就業継続を支援するため 社員の育休取得に対応するための負担を軽減することが必要である そのため 社員の育休取得に伴う代替要員確保や他の社員の残業増加に係る費用負担に対する補助制度を検討すべきである また 次世代育成支援法の改正法案に盛り込まれた特例認定については 具体的な取得促進策を講じるべきである 女性研究者が子育てをしながら研究を続ける環境を整備することにより 国際的に著しく低い女性研究者の割合を引き上げ イノベーションを生み出す素地を作ることが重要である 例えば 子育て中の研究者 大学院生等が子供を預けながら研究や教育に専念できるよう学内託児所の整備を進める 国の競争的資金等によるプロジェクト研究が 出産 子育て等により中断した場合でも 復帰や継続して研究可能な仕組みの整備を図るべきである 2. 女性就労の質の向上 ( キャリア形成支援 ) ダイバーシティ経営 がグローバルな潮流となりつつある中 企業の競争戦略として 役員 管理職への女性の登用促進を加速化していくことは 我が国経済の持続的成長のためにも重要な課題である 政府は 2020 年までに指導的地位の女性割合を 30% にする目標を掲げているが 役員 管理職への女性登用については 個々の企業等の経営戦略であり 政府の役割は 企業の自主的な取組みを後押しする方向で 情報開示 ( 見える化 ) の促進やインセンティブ付与等による環境整備に重点を置く そのため ベストプラクティスの発掘 発信に加え 市場の評価を通じて 女性の登用を強力に進めるため 登用に関する主要な情報の開示を促進する 4

ガバナンス情報として特に重要性が指摘されている 女性役員の比率( 人数 ) については 有価証券報告書を通じた情報開示の促進をするとともに 管理職比率及び役員 管理職への女性登用に関する方針や具体的な取組については 証券取引所に提出する コーポレート ガバナンス報告書 における記載を促進する 欧州では 役員についてはクォータ制を導入する企業が広がりつつあるが 6 英国の例に倣い まずは経済界の自主的な取組として 役員 管理職への女性登用に関する目標設定及び実績の情報開示を進めていく 女性登用に積極的に取り組む企業に対するインセンティブ付与として 多くの自治体でみられるような公共調達における女性活躍状況の評価や 補助金 助成金における女性枠の設定等の取組みを 国レベルでも 現行の枠組みにとらわれず 大胆に進める なお 政府においても目標達成に向けた取り組みを明示し フォローアップをするとともに 官庁等の幹部 役員について 外部からの登用も含め クォータ制の導入を進める 3. 女性活躍を阻害するような社会制度の見直し 夫が外で働いてお金を稼ぎ 妻が家を守る という従来の一律な社会通念を是正する意識改革が必要である 個人の意識や選択は 国の制度のあり方が影響するため 性別役割分担を 標準 とした税制 社会保障の仕組みについて 女性就労への負のインセンティブを解消する方向での見直しが必要である 基本的な考え方は 働き方の選択に対して中立的であること 就労に対し抑制的ではないこととする 配偶者控除 103 万円のカベ と第 3 号被保険者 130 万円のカベ の問題を解消する ( 配偶者控除 : 103 万円のカベ ) 配偶者控除は女性の就労に対して抑制的に働き 弊害が大きい( 特にパート労働者において就業調整を行う傾向が顕著 ) さらに 未婚の単身世帯やダブルインカム世帯の増加傾向という現状を踏まえれば 少子 高齢化が進む我が国経済社会の持続可能性という観点からも 次世代の新しい生き方を支援するという未来志向で 制度の見直しを行うべき時期に来ている 配偶者のいる女性の年間雇用所得分布をみると 20 代を除く各年齢階級において 100 万円付近で ( 不自然に ) 高くなる傾向があり 多くの女性がいわゆる 103 万円のカベを意識して就業調整をしている結果といえる このため 働きたいと望む女性の意欲を阻害しないよう 働き方の選択に中立的 な税制とすべき 6 欧州各国では 法律によって企業の役員会に一定割合以上の登用を義務付けるクォータ制の導入が進んでいる ( 例 : ノルウェー スペイン イタリア オランダ フランスなど ) 5

である 例えば 現行の配偶者控除のように 専業主婦又は一定額以下の所得のパート主婦の家計だけを対象にした制度ではなく 共働き家計でも専業主婦家計でも対象とする 子育て に着目をした控除の仕組み ( 子ども手当 の支給開始の際に廃止された年少扶養控除の復活など ) 等 女性の就労意欲の抑制要因を取り除き 子育て世帯支援に重点化する方向で再設計することを検討すべきである 将来的には所得控除全体の抜本的見直しが必要である ( 第 3 号被保険者 : 130 万円のカベ ) 年金制度における第 3 号被保険者や健康保険等の被扶養者の問題については 女性の活躍推進のみならず 社会保険制度の公平性や持続可能性の観点からも 2016 年 10 月の適用拡大の施行にとどまらず 第 3 号被保険者制度の存続の是非も含めた年金 医療制度全体の抜本改革について 経済財政諮問会議や社会保障国民会議の後継会議にて早急に検討を始めるべきである なお 配偶者控除制度の見直し ( 縮小 廃止 ) や第 3 号被保険者制度の見直しに際しては これに併せて 例えば 企業等の配偶者手当制度に関しても配偶者控除手当の廃止と引き換えに子供の扶養手当の増額を図るなど 女性の就労参加促進などの貢献の視点から検討をすべきである 以上 6