インターネットを用いた言語教育の可能性 -Web教材とリアルタイム通信-

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56 語学教育研究所紀要 Vol.10 上記項目を前年度と比較すると, 数値はほとんど変わらない データの分析及び考察は別稿にゆずることにし, ここでは前年度と大きく異なる点は自由記載が多くなったことであることを指摘したい 回収回答者の半数近くが自由記載に積極的だった 昨年度は教師に対する感謝の言葉

日本語ドキドキ体験交流活動集

Water Sunshine

3-2 学びの機会 グループワークやプレゼンテーション ディスカッションを取り入れた授業が 8 年間で大きく増加 この8 年間で グループワークなどの協同作業をする授業 ( よく+ある程度あった ) と回答した比率は18.1ポイント プレゼンテーションの機会を取り入れた授業 ( 同 ) は 16.0

データ概要調査対象 : 留学ジャーナルから 7 月 ~9 月に短期留学 (1 週間 ~4 週間の留学を指す ) した大学生に任意で実施したアンケート調査の結果調査人数 :64 名調査期間 :2016 年 9 月 26 日 ~10 月 16 日 留学期間 1 週間以内 2 週間 3 週間 4 週間 合

慶應外語 2019 年度春学期三田正科注意 : やむをえない理由により 予告なしに担当講師が代講または変更となることがあります 講座開始後 この変更を理由に講座をキャンセルされる場合 受講料の返還はいたしません 講座コード C ベトナム語 基礎コース 担当者 グエン Nguyễn ミン

人コ 年. 人コ 年. 保育 年. 保育 年. 不明. 計. 平成 年度授業評価アンケート結果 ( 月実施 ) 真宗の思想 Ⅱ ( 後藤明信先生 ) 授業計画 ( シラバス ) について授業で説明があった 授業に遅刻することなく受講した テキストや教材は適切に活用された 教員は授業中に受講生が私語

結果からの考察 中学校 高校の英語の授業では音声指導や文法指導などが多く 話す 書く を含めた言語活動がまだ十分に行われていないという課題が明らかになりました 中高生の英語によるコミュニケーション能力の向上のためには 従来の文法中心の指導からの脱却が求められます 英語教員の多くは 英語で表現する機会

名古屋大学留学生センター紀要第 9 号 日本語教育メディア システム開発部門報告 村上京子 石崎俊子 佐藤弘毅 日本語教育メディア システム開発部門 (JEMS) では,2010 年度に以下の活動を行った 1. オンライン日本語コースの改訂と運営 2. 文法コースの構築 3.WebCMJ の改訂と運

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ワークシート 分析 わかる できる つながる 三連携 言語領域文化領域グローバル社会領域 休日 趣味の尋ね方や答え方について n 語で口頭で復習する (A1) 休日 趣味の尋ね方や答え方について n 語で口頭で質問し答えることができる (B1) リストアップした内容を各グループ内で討論

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例 1) 日系人の A さんの場合 1 域内の外国人の状況 ニーズ, 地域のリソース等の把握 (1) 対象とする学習者の属性や数の把握 レディネス( 日本語学習をどの程度行っているか ) 家族形態 来日 3か月で日本語学習経験はなし 妻, 子供 ( 小学生 ) 漢字圏かどうか 在留資格 非漢字圏 定

〈各種報告〉近畿大学語学研修(中国語圏・台湾大学)に関する報告

ったが 祝日もあり 学生の習得状況を見ながら調整することもあったため 一週間で 1 課が終わらない場合もあった 作文を書く練習は 1 課が終わった授業の最後の 15 分間を用いて実施した 教師が添削した作文を次回の授業のときに学習者に返し グループ内で読み合い 話し合いをした後 各グループで代表者一

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中国・韓国・スウェーデンを日本語でつなぐ遠隔交流会の実践

活動の流れ 1 4 人のグループに分かれ テーマを決める 校内の施設紹介 学校行事 クラブ活動 時間割など 2 各グループで実施計画を立てる 3 動画を撮影する 4 写真を使って動画を作成する 動画の長さは 1 人 2~3 分とし 全員が発表できるように 分担 を決める 5 必要な語いや表現を調べる

コマ 月曜日 ~ 木曜日 1:4 1 コマ 1:8 2コマ 各 50 分授業 グループレッスン 3コマ 1 限目 08:00~08:50 1/ 1:1 2 限目 09:00~09:50 2/ 1:1 3 限目 10:00~10:50 3/ 1:1 4 限目 11:00~11:50 4/ 1:1 11

24 京都教育大学教育実践研究紀要 第17号 内容 発達段階に応じてどのように充実を図るかが重要であるとされ CAN-DOの形で指標形式が示されてい る そこでは ヨーロッパ言語共通参照枠 CEFR の日本版であるCEFR-Jを参考に 系統だった指導と学習 評価 筆記テストのみならず スピーチ イン

英語科学習指導案 京都教育大学附属桃山中学校 指導者 : 津田優子 1. 指導日時平成 30 年 2 月 2 日 ( 金 ) 公開授業 Ⅱ(10:45~11:35) 2. 指導学級 ( 場所 ) 第 2 学年 3 組 ( 男子 20 名女子 17 名計 37 名 ) 3. 場所京都教育大学附属桃山中

小学校国語について


インドネシアの高等教育における日本語教育現状と課題

2016 年 8 月 19 日 報道関係各位 株式会社イーオンイーオン 中学 高校の英語教師を対象とした 中高における英語教育実態調査 2016 を実施 英会話教室を運営する株式会社イーオン ( 本社 : 東京都新宿区 代表取締役 : 三宅義和 以下 イーオン ) は 中学 高校で英語を教えている現

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目次 1 留学先及び実習期間 3 2 留学先概要 3 3 留学目的 4 4 留学内容 4 1 留学のスケジュール 留学の詳細 8 5 当初目的 目標への達成度 9 6 反省 課題 10 謝辞 10 2

「外国語科目」の履修方法

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教授要目及び科目一覧_本文.indd

Akita University 自律学習を促進するための学習支援システムの開発 総合情報処理センター 吉崎弘一 1. はじめに 学習を効果的にするためのソフトウェアや Web サービスが, 学習の内容や手法に応じて既に数多く提案されている 特に自学における学習の情報化では, 近年のスマートフォンと

2 116

文化庁平成 27 年度都道府県 市区町村等日本語教育担当者研修 2015 年 7 月 1 日 生活者としての外国人 に対する日本語教育の体制整備に向けた役割分担 日本語教育担当者が地域課題に挑む10のステップ よねせはるこ米勢治子 ( 東海日本語ネットワーク )

P1

簿記教育における習熟度別クラス編成 簿記教育における習熟度別クラス編成 濱田峰子 要旨 近年 学生の多様化に伴い きめ細やかな個別対応や対話型授業が可能な少人数の習熟度別クラス編成の重要性が増している そのため 本学では入学時にプレイスメントテストを実施し 国語 数学 英語の 3 教科については習熟

授業科目名英語科教育基礎論 a (Basics of English Language Education a) 科目番号 授業形態講義単位数 1 単位標準履修年次 2 年次実施学期春 AB 曜時限水曜 2 時限対象学群 学類担当教員 ( 連絡先 ) 斉田智里 ( 非常勤講師 ) オ

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(2) 学習指導要領の領域別の平均正答率 1 小学校国語 A (%) 学習指導要領の領域 領 域 話すこと 聞くこと 66.6(69.2) 77.0(79.2) 書くこと 61.8(60.6) 69.3(72.8) 読むこと 69.9(70.2) 77.4(78.5) 伝統的な言語文化等 78.3(

SULMS簡単操作マニュアル

第 1 問 B 身の回りの事柄に関して平易な英語で話される短い発話を聞き, それに対応するイラストを選ぶことを通じて, 発話内容の概要や要点を把握する力を問う 問 1 5 英語の特徴やきまりに関する知識 技 能 ( 音声, 語, 友人や家族, 学校生活など, 身近な話題に関する平易で短い説明を聞き取

オンライン日本語アクセント辞書 (OJAD) を活用した教材作成および授業実践例 2013 年 12 月 26 日ニコラウス コペルニクス大学日本言語文化研究室瀬口利一 1. 本稿の目的本稿は 本年 11 月 30 日のポーランド日本語教師会による勉強会の発表資料に加筆したものである 通常授業の枠内

306

日本語教室の あり方 を考える 日本語教室って どういう場所? 下の図は 地域日本語教育のシステム図 と呼ばれているものです この図の中心の楕円 ボランティア を活用した日本語支援 が日本語教室を表しています 日本語教室は 生活者としての外国人 ( 学習者 ) と 生活者としての日本人 ( ボランテ

修士論文 ( 要旨 ) 2012 年 1 月 聴解ストラテジーを用いた教授法の開発と実践 指導宮副ウォン裕子教授 言語教育研究科日本語教育専攻 210J3019 梁凱傑

更新 2019/8/ 年 9 月ウィークリー レッスンスケジュール 1 時間目 11:00-11:50 第 1 週目 9 月 2 日 ~ 9 月 8 日 9 月 2 日 MON 9 月 3 日 TUE 9 月 4 日 WED 9 月 5 日 THU 9 月 6 日 FRI 中級 Shu

成績評価を「学習のための評価」に

1 高等学校学習指導要領との整合性 高等学校学習指導要領との整合性 ( 試験名 : 実用英語技能検定 ( 英検 )2 級 ) ⅰ) 試験の目的 出題方針について < 目的 > 英検 2 級は 4 技能における英語運用能力 (CEFR の B1 レベル ) を測定するテストである テスト課題においては

平成 30 年 6 月 8 日 ( 金 ) 第 5 校時 尾道市立日比崎小学校第 4 学年 2 組外国語活動 指導者 HRT 東森 千晶 JTE 片山 奈弥津 単元名 好きな曜日は何かな? ~I like Mondays.~ 本単元で育成する資質 能力 コミュニケーション能力 主体性 本時のポイント

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先行研究

委託事業実施内容報告書 平成 21 年度 生活者としての外国人 のための日本語教育事業 日本語教室の設置運営 1 事業の趣旨 目的 受託団体名株式会社インターナショナルアカデミー 子育てをしている外国人が必要とする基本的な日本語の習得を支援する ( 小学校 中学校等とのやりとりで必要とする日本語と日

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よくある質問 TELP とは? TELP を受講する利点 TELP と他の ESL プログラムとの違い TELP には初級の ESL クラスがありますか? TELP を終了するためにどのくらいの時間がかかりますか? TELP の費用 TELP の申し込み方法 TELP のクラス分けテストの受験方法

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調査の目的 対象 手法 調査目的海外で日本語教育を行う機関の現状を把握し 主に以下の 3 つの観点から有用な情報を提供する 1 研究者なと か 日本語教育に関する調査 研究を行う際の基礎資料 2 日本語関係機関 国際交流団体なと か 日本語教育に関する各種事業を実施する際の参考資料 3 日本語教育機

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Microsoft Word - risyu

5 主体的 対話的で深い学びの視点 (1) 主体的な学びとしての視点主体的な学びとして 本単元ではプレゼンテーションを作成する段階で 聞き手の関心を最大限ひきつけることができるようなテーマの設定を生徒たち自身に行わせたい このことにより 教師から与えられたテーマではなく 自分たち自身もより興味 関心

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(3) 将来の夢や目標を持っていますか 平成 29 年度 平成 28 年度 平成

習動機を満たすことにも繋げられる と述べている そういった考え方に基づき 日本語の学習者及び LJI の学習者の現実のコミュニケーション能力の育成を重視するために LJI の JF コースでは クラスの中で 外部から日本人ゲストを呼んで 発表会や交流会を行ったりすることが必要ではないかと考えた 期末

修士論文 ( 要旨 ) 2012 年 1 月 中国人日本語学習者の語彙学習ストラテジーの考察 上海の大学生を対象に 指導堀口純子教授 言語教育研究科日本語教育専攻 210J3007 章志翔

いろいろな衣装を知ろう

表 回答科目数と回答数 前期 後期 通年 ( 合計 ) 科目数 回答数 科目数 回答数 科目数 回答数 外国語 ( 英語 ) 120 / 133 3,263 / 4, / 152 3,051 / 4, / 285 6,314 / 8,426 外国語 ( 英語以

6 年 No.12 英語劇をしよう (2/7) 英語での 桃太郎 のお話を理解し 音読する 導 あいさつをす 挨拶の後 Rows and Columns を交え 天気や時 入 候の確認 既習事項の確認をす (T1,T2) ペンマンシップ ペンマンシップ教材を用いて アルファベットの ジングル絵カー

Taro-① 平成30年度全国学力・学習状況調査の結果の概要について

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調査結果からみえてきたこと 大学教育改革の渦中にあった 8 年間の学生の意識や学びの変化をまとめると 以下 3 点です (1) アクティブ ラーニング形式の授業が増え 自己主張できる学生が増加 大学の授業で際立って増加しているのが アクティブ ラーニングの機会です 特にこの 4 年間で ディスカッシ

1. 概要 1.1 Moodle の概要 Moodle とは? インターネット上で教育 学習活動を行うために必要な機能を提供し 教員と学生間はもちろん 学生同士の双方向のコミュニケーションを通じて 学生が主体的に学習することを支援するためのeラーニングシステムです Moodle を使った

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留学生および日本人学生のインタラクティブな授業の試み Designing a collaborative class for International students and Japanese students 末繁美和ケーレブ プリチャードジョン ルシンスキー Miwa SUESHIGE Ca

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甲37号


言語は人とコミュニケーションを取るためにあるものだが 実際に使うために学んでいるのではなく受験で格差をつけるために日本人は英語を学習している 日本人で英語を話せる人がより増えるようにするためには 実際に使える英語 を学び 英語を学ぶ目的を明確にさせれば良い 3 方法 日本 韓国 中国 ( 都市部 )

6 年度春学期授業アンケート結果集計 講義科目 ( 科目別 ) アンケート回答数. 担当教員名 ラサモエラ, ボリアナ 履修者数 6. 授業科目 フランス語 CⅢ 7 3. 教室番号 577 あまりそう思わない 点 そう思わない 点 回答率 43.8% 4. 曜日 / 時限 曜日 / 時限 欠損値

マは以下の通りである なおテーマ1,2 は2016 年度 1 学期に学習しており, 今学期はテー マ3,4,5 を扱う 2016 年 1 学期 テーマ1: 女性の生き方 テーマ2: 子どもと教育 2016 年 2 学期 テーマ3: 若者の感性 テーマ4: 仕事への意識 テーマ5: 日本の外国人 表

目次 Moodle 利用マニュアル ( 教師用 ) 初版 1.Moodle の概要 Moodle とは Moodle の主な用語 Moodle の利用環境 3 2.Moodle の利用 Moodle フロントページの表示 Moodle フロ

相互行為における不同意の会話分析研究 ―マルチモダリティの視点から―

博士論文概要 タイトル : 物語談話における文法と談話構造 氏名 : 奥川育子 本論文の目的は自然な日本語の物語談話 (Narrative) とはどのようなものなのかを明らかにすること また 日本語学習者の誤用 中間言語分析を通じて 日本語上級者であっても習得が難しい 一つの構造体としてのまとまりを

プロジェクトのあらまし 平成 年度特別経費 ( プロジェクト分 新規事業 ) 大学の特性を生かした多様な学術研究機能の充実採択プロジェクト : 教授システム学 の研究普及拠点の形成 学び直しを支援する社会人教育専門家養成 [ 短期プログラム ] パッケージの開発と普及 概要 e ラーニング専門家養成

平成16年度小学校及び中学校教育課程研究協議会報告書

2014年度 春学期 実践的英語力強化プログラム 「カランメソッド(オンライン型)」 受講生募集について

2章 学習スキル

コミュニケーションゲーム

目次 1 留学先及び実習期間 留学先概要 留学目的 留学内容 留学のスケジュール 留学の詳細 当初目的 目標への達成度 反省 課題...9 謝辞...9 2

SGH 発表用 ドラフト

2 学校は 防災や防犯についての体制作りや情報収集を適切に行っている 十分 おおむね十分 やや十分 不十分 分からない 不明 計 学校は 防災や防犯についての体制作りや情報収

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2019 年度文学部 2 年生英語 III IV( 必修科目 ) Web エントリー 履修申告要領および英語インテンシブ ( 総合教育科目 ) の案内 本要領ではまず英語 III( 春学期開講 ) IV( 秋学期開講 ) を 必修外国語 として履修する学生を対象とし, 英語 III IV の Web

開設 全学共通科目 講義コード 科目ナンバー ZC103 講義名 手話入門 ⅠA 組 開講期 前期 担当者名 橋本一郎 受講可能学部 E/I/C/U 単位数 2 備考 科目の趣旨 手話という聴覚障害者のコミュニケーションツールの初歩レベルを学び あわせて 聴覚障害者を取り巻く社会的

難関私立大 一般国立大まで対応高 1~ 高 3 高校生進学選抜クラス ( 英 数 国 単科制 全教室 ) ~ 部活や学校行事が忙しくても無理なく学習できる ~ 少人数制集団授業 + 個別演習 十分な演習量を確保! やむを得ず欠席した授業は 映像授業 で補えるハイブリッド型 授業は 少人数制の先生と生

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Transcription:

インターネットを用いた言語教育の可能性 -Web 教材とリアルタイム通信 - 東京外国語大学 林俊成

内容 インターネットを用いた言語教育の可能性 前書き Web 教材開発 TUFS 言語モジュール リアルタイム通信による言語教育の利用 日本 台湾遠隔協働授業 インターネットを用いた日本語教授法 ネットワークと言語教育の今後の展望

前書き 日本に立脚してのインターネットを用いた言語教育の可能性 CALL 教材の開発評価 豊富なリソースによる Web 教材開発 言語交換による協働授業 日本語学習者と中国語学習者による協働授業の可能性 インターネットを用いた日本語教授 海外の日本語学習者への日本語教育の可能性

CALL 教材の開発 TUFS 言語モジュール その特徴 アジア諸言語を含む 二十数国地域の言語教材 発音 会話 文法と語彙の四つのモジュールで構成 最大限のデータ再利用の設計 XML データ構造の利用 http://www.coelang.tufs.ac.jp/modules/ SCROM2004 規格対応ずみ 今現在 Moodle 上運用中 発音モジュール会話モジュール文法モジュール会話モジュール

TUFS 言語モジュールの教材設計会話モジュール自習者用教材デモ 5

日本語会話モジュールの利用事例 目的 担当教師による観察に加えて 学習者のアクセスログに基づく 教材利用実態のより体系的な理解 上記の結果をふまえた 教材作成へのフィードバック 教材の利用者 ( 学習者 ) 台湾にある大学の学生 ( 日本語専攻 1 年生 ) 20 数名 日本語学習歴 :6 ヶ月 学習環境 教材は日本の e-learning サーバーに設置 自律学習型 教室外の自由利用 講義内容と無関係に利用 担当教師が週に 2 課学習するよう指導 利用期間 約 4 が月間 http://www.coelang.tufs.ac.jp/modules/ja/dmod/index_learner.html 6

採集データ アクセスログ 毎回の学習時間 利用した各ページの利用時間 アンケート 1 ページの利用時間が 15 秒以下と 20 分以上のデータを除く 担当教師へのアンケート 個々の学習者の通常の学習状況についての所見 7

利用評価ー利用回数と教師の所見 利用回数の分析 教師の所見 ( 成績 ) と利用回 クラスター分析により 3 グループに分類 数の相関 判明できない3 名を除く 成績と利用回数に高い相関 グループ1 適当組 グループ2 積極組 グループ3 留年と2/3 成績 上位 下位 グループ1 1 6 グループ2 13 5 8

教材利用状況ー 聞く 話す 各ページの平均利用時間 ( 分 ) 5 4.5 4 3.5 3 各ページの利用平均時間 ( 分 ) 適当好き Page1 好き組 > 適当組 (**) Page2 同じ Page3 同じ Page4 適当組 > 好き組 (**) Page5 好き組 > 適当組 (**) **1% 有意 2.5 2 1.5 1 0.5 適当組 は 文字が出るページに時間をかけるのに対し 積極組 は 会話の聞き取り 発話に時間をかける 0 Page1 Page2 Page3 Page4 Page5 9

日台遠隔協働授業 目的 インターネットをコミュニケーションのツールとして利用し お互いの学習言語と母語で 対等な立場でのコミュニケーション環境を構築し お互いに言語を学びあう場を実現すること その実現 台湾の日本語学習者と日本の中国語学習者同じ時間帯に講義を開催 同時間で授業開催 活動方針 お互いに知りたい情報を与え 調査報告を中心とした活動構成主義学習理論の教授上の留意点 インフォーメーションギャップとフィードバックを中心とした活動 教師の役割まちがうことを尊重 コミュニケーション内容の設計探索することを奨励 潤滑なコミュニケーションを行えるように 手助け学習者の相互のやりとりを促す教師の役割は援助であり 学習者自らが知識を構成していくのを 助け こと 11

日台遠隔協働授業 2007 年から 2012 年まで 6 年間実施 台湾側日本語専攻学生 07 年 4 年生前期 以後 3 年生前期 日本側中国語専攻学生 3 年生第後期学生 同じ曜日 同じ時間帯で両側授業開催 日本側 2 限 ( 日本時間 10:40-12:10) 台湾側 3 4 限 ( 日本時間 11:10-13:00) 1 時間の重複時間 本発表 2007 年と 2009 年の活動内容の紹介 アンケート調査による評価結果 12

2007 年の活動概要 3 週で特定のテーマによる 発表準備 テーマ内容の討論と準備 インターネット接続 ビデオ会議システムによる発表 テーマの決定は 大枠の中で自由に選択 台湾側日本語 日本側中国語での発表と質疑応答 テレビ電話 (SKYPE) による討論 内容の反省 日本と中国語による少人数での発表内容と討論 なお テレビ電話の内容が録音され ディクテーション課題として 内容の反省 インターネット接続の内容の反省 2007 年では 4 ターン施行 13

日期活動内容 2007 年授業時間とその内容 課題 オリエンテーション グループ分け 10/4 テーマ : 自己紹介や大学紹介 学校所在地を紹介発表者の決定 プレゼンテーションの準備全員の自己紹介 10/11 ビデオ会議室システムによる発表 : 大学紹介終了後の作業 : 会話のディクテーション ( 中国語 日本語 ) 10/18 ディクテーションした内容でクラス全員で一緒に振りかえるグループディスカッション 10/25 テーマ : 食文化プレゼンテーションの準備ビデオ会議室システムによる発表 ( 発表者 ) 11/1 11/8 Skypeによる1 対 1 会話および録音 テーマ : 食文化終了後の作業 : 会話のディクテーション ( 中国語 日本語 ) クラス全員でディクテーションした内容をE-learning 上に公開し お互い添削国際日本研究センターシンポジウム 発表内容練習 大学紹介の発表内容のディクテーション 料理作りの録音 ディクテーション課題 1 回目 Skype 会話のディクテーション 料理作りの録音 ディクテーション 14 課題 2 回目

発表テーマ 1 回目大学紹介 台湾側 : 淡水紹介日本側 : 東外大紹介 2 回目食文化 台灣 淡水小吃 日本 廣島焼 3 回目交通 台灣 雪山隧道 日本 東京交通情况 4 回目ディベート 中国語で 小学生の携帯電話利用 について 日本語で 高校の校則の是非 15

パワーポイントによる発表風景 16

テレビ電話の利用接続 1 対 1か 少数人数での討論 発表した内容を中心とした内容 最初だけ 必ず用意した内容で説明 お好み焼きのつくり方などは用意した内容で 実際に利用した Skype による 1 対 1 会話の画面 17

E-learning システムによるディクテー ション ( 授業成績評価として ) 日本人学生のディクテーション内容 台湾人学生の添削結果 国際日本研究センターシンポジウム 18

2009 年活動概要 日 台独自チームと混合チームの編成によるグループ活動が中心 アンケート調査 テーマを決定し 日本人と相手ともアンケートを採取 アンケート内容によるレポート作成 異文化対照レポート 作成したレポートのお互いの添削 レポート内容を e-learning システム上に公開 レポート内容に基づき 発表 19

2009 年授業後アンケート調査 質問内容 評点 1 授業に熱心に参加した 4.13 2 学習言語への興味が前より増した 3.83 3 相手の国についてもっと理解したいと思う 4.17 4 語学の授業をもっと頑張ろうと思った 3.79 5 自分の語学の勉強に参考となる授業である 4.27 6 リスニング能力が向上した 4.00 7 文法力が向上した 3.51 8 日本語の語彙数が増えた 3.95 9 スピーキング能力が向上した 3.92 10 ライティング能力が向上した 4.03 11 自分の語学力の向上に役に立った 4.13 満点 5 20

PPT による口頭 レポート作成 作文の相手の グループ討論 Skype による 1 対 お見合いゲーム PPT による口頭 レポート作成 Skype による 1 対 作文の相手の グループ討論 お見合いゲーム ちなみに 35.00% 30.00% 32.88% 一番大変だった活動 30.14% 35.00% 30.00% 一番役に立った活動 25.00% 25.00% 20.00% 15.00% 10.00% 15.07% 10.96% 9.59% 20.00% 15.00% 10.00% 5.00% 0.00% 1.37% 5.00% 0.00% 21

インターネットを用いた日本語教授法 2012 年により 本学大学院日本語教育専修コースで開催 日本側に与える課題 学習者ニーズ分析 教案作成 台湾学生の誤用観察 コミュニカティブアプローチの観察 臺灣側学生に与える課題 インタビュー調査 レポート作成 ( 添削 ) 発表 ( コミュニカティブアプローチを中心 )

インターネットによる言語学習 教育 言語学習の目的をコミュニケーションとすると コミュニケーション達成のための言語教育 教材作成と提供 電子教材の作成手法 LMS による教育手法 リアルタイムによる言語学習利用 物理の距離を超えたコミュニケーションで直接その言葉と触れ合い可能 そのコミュニケーション達成のための言語学習 教育手法 23