資料 3-3 東京都における計画段階環境影響評価制度の概要 1 計画段階環境影響評価制度の導入の経緯 平成 5 年 2 月 : 総合環境アセスメント制度検討委員会を設置 平成 9 年 4 月 : 同検討委員会 東京都における新たな環境配慮制度のあり方 について報告 平成 10 年 10 月 : 東京都総合環境アセスメント試行審査会を設置 平成 12 年 3 月 ~ 平成 13 年 4 月 : 総合環境アセスメント制度の試行 ( 東京都市計画道路幹線街路放射第 5 号線及び三鷹都市計画道路 3 2 2 号線 ) 既定の都市計画 ( 道路幅員 ) 玉川上水の保全方法 沿道環境の保全等の組み合わせで複数案を提案 平成 13 年 10 月 : 東京都総合環境アセスメント試行審査会から答申 平成 14 年 4 月 : 東京都環境影響評価審議会から 計画段階アセスメント制度の導入等について 答申 環境影響評価の結果を事業計画に適切に反映 計画の早い段階での住民への情報提供 複数の事業による複合的 累積的な環境影響への対応 平成 14 年 7 月 : 東京都環境影響評価条例を改定 ( 計画段階アセスメント制度の導入等 ) 2 計画段階環境影響評価制度の対象計画 (1) 計画段階環境影響評価の対象となる計画 個別計画 ( 原則として事業段階アセス対象規模の 2 倍以上 ) 実施場所 規模 ( 事業計画区域の面積 道路幅員 建築物の高さ及び床面積等 ) 設置する施設の構造又は配置など 広域複合開発計画 (30ha 以上 ) 対象地域 規模 計画人口 土地利用計画など (2) 事業計画の早い段階から 複数案を環境面から比較評価 (3) 制度の適用東京都の策定する計画に適用
環境配慮査意見3 計画段階環境影響評価手続き 公示 縦聴民の業く覧意聴者会事書都見をく会審事業段階アセス後調評査価書事計画書計画段階アセス 見をの意価書案書調画策定評査計画書計4 計画段階環境影響評価 (1) 対象計画社会的要素及び経済的な要素並びに技術面からみて 実施可能な複数の対象計画の案を策定 (2) 予測 評価項目別の評価対象計画の案の予測 評価項目別の評価は 2つの評価軸 を採用ア環境影響の程度事業段階環境影響評価と同様に 評価の指標に照らしてどの程度の環境影響かを明らかにする 可能な限り定量的に予測 評価 イ環境配慮目標の達成の程度及び良好な環境の創出に対する配慮の程度 東京都環境基本計画 都市づくりに関する配慮の指針 等の視点から 対象計画で設定した環境配慮目標をどの程度達成することができるかを明らかにする ( 定性的に評価 ) (3) 複数案に対する総合評価上記の 2つの評価軸に基づき 社会的 経済的な側面も含めて 総合的な複数案を評価 ( 社会 経済的な側面による評価は任意 )
1. 事業者の名称 代表者の氏名及び主たる事業所の所在地名称 : 東京都代表者 : 東京都知事石原慎太郎所在地 : 東京都新宿区西新宿二丁目 8 番 1 号 2. 対象計画の案の名称及び種類 名称 :( 仮称 ) 東京港臨港道路南北線建設計画種類 : 道路の新設 ( 約 2.5km~ 約 4.2km) 3. 対象計画の案の内容の概略本計画は 10 号地その 1 埋立地又は 10 号地その 2 埋立地を起点とし 中央防波堤内側埋立地又は中央防波堤外側埋立地を終点とする区間において 往復 4 車線の臨港道路 ( 1 以下 計画道路 という ) を整備するものである 本環境配慮書における複数の対象計画案は 計画道路の配置及び構造等の基本的な事項を定める前の早い段階から環境保全について適正な配慮を行うため 東京都環境影響評価条例 ( 昭和 55 年 10 月東京都条例第 96 号 ) 第 11 条の規定に基づき策定した なお 起終点は 中央防波堤内側埋立地の北側に近接して存在する 3 つの埋立地のうち既に第二航路海底トンネルで結ばれている 13 号地を除いた前記 2 つの埋立地を起点として選定できること及び起終点間に海域があるため構造を橋梁かトンネルの 2 つを選択できることから設定した 対象計画の案の概要は表 3.1 計画道路の位置は図 3.1 策定した 4 案の計画平面図は図 3.2 に示すとおりである 表 3.1 対象計画の案の概要 項目対象計画の案の概要 計画道路名称 ( 仮称 ) 東京港臨港道路南北線 複数の計画案 A 案 B 案 C 案 D 案 1 経路 起点 10 号地その 2 埋立地 10 号地その 1 埋立地 終点 中央防波堤内側埋立地中央防波堤外側埋立地中央防波堤内側埋立地中央防波堤外側埋立地 構造トンネル橋梁トンネル橋梁 延 2 長 約 2.5km 約 3.5km 約 3.5km 約 4.2km 車 線 数 往復 4 車線 備 考 第二航路を横断する 注 ) 1 : 計画道路が既計画道路に接続するまでの区間とした 2 : 延長は 設計前であるため概略値である 1 臨港道路 : 港湾法 ( 昭和 25 年 5 月法律第 218 号 ) 第 2 条第 5 項に規定される 港湾施設 のうち同条同項第 4 号に規定される 臨港交通施設 として東京港港湾計画において位置付けられる - 1 -
4. 環境に及ぼす影響の評価の結論 4.1 予測 評価項目別の評価計画の内容及び地域の概況を考慮し 9 環境影響評価の項目 で選定した項目について 10 環境に及ぼす影響の予測及び評価 において対象計画の実施が及ぼす環境への影響について予測及び評価を行った 予測 評価項目ごとの評価結果を基に 複数の対象計画の案について評価結果を相互に比較検討し 各対象計画の案の環境面から見た特性を整理した 比較検討に当たっては まず 環境影響の程度 を評価軸として整理した また 6.3 対象計画の案の策定にあたり環境上配慮する目標及び方針 で設定した環境配慮目標に対し その達成の程度を明らかにする 環境配慮目標の達成の程度 を評価軸として整理した 環境影響の程度についての結果は表 4.1(1) 環境配慮目標の達成の程度についての結果は表 4.1(2) に示すとおりである なお 予測及び評価については 計画道路の配置及び構造等の基本的な事項を定める前であるため定性的に整理した また 対象時点を工事の完了後とした 表 4.1(1) 各対象計画の案の環境面から見た影響の程度 環境影響評価の項目 評価軸 計画案 注 ) 1 環境影響の程度 予測事項 A 案 B 案 C 案 D 案 1. 大気汚染 自動車の走行に伴う二酸化窒素及び浮遊粒子状物質排出量等 2. 騒音 振動自動車の走行に伴う騒音及び振動等 3. 地盤道路の存在に伴う地盤の変形の範囲 変形の程度 4. 水循環 道路の存在に伴う地下水の水位の変化の程度 道路の存在に伴う潮流の変化の程度 5. 日影道路の存在に伴う日影の状況の変化の程度 6. 電波障害道路の存在に伴う遮へい障害の程度 7. 風環境道路の存在に伴う風環境に及ぼす影響の程度 道路の存在に伴う地域景観の特性の変化の程度 8. 景観 道路の存在に伴う代表的な眺望地点からの眺望の変化の程度 注 ) : 他の計画案に比べて最も優れているか同等である : 他の計画案と比べ 2 番目に優れている : 他の計画案に比べて 3 番目に優れている : 他の計画案に比べて劣っている - 5 -
表 4.1(2) 各対象計画の案の環境基本計画等から見た環境配慮目標の達成の程度 環境影響評価の項目 評価軸 計画案 注 ) 2 目標の達成の程度 環境配慮目標 A 案 B 案 C 案 D 案 1. 大気汚染 2. 騒音 振動 3. 地盤 道路のルートや構造を選定する際には 走行に伴う周辺地域への大気汚染に十分配慮する 自動車の走行に伴う大気汚染の低減に努める 道路の地下化を選択する際には 排出される NOx SPM 等の低減対策の導入に努める 道路のルートや構造を選定する際には 走行に伴う周辺地域への騒音 振動の防止に十分配慮する 道路の整備に当たっては 可能な限り 低騒音舗装の実施 遮音壁の設置等を行う 地下水位が安定し 地盤沈下が抑制されている状態を継続する 4. 水循環 トンネル等 地下構造物の建設に当たっては 地下水脈への影響に配慮する 橋梁の建設に当たっては 潮流への影響に配慮する 5. 日影 高架や建築物等を建設する場合は 周辺地域に日照障害を及ぼさないよう配慮する 6. 電波障害 高架や建築物等により 周辺地域に電波障害が生じる場合には対策を講じる 7. 風環境 高架や建築物等を建設する場合は 周辺地域に風害を及ぼさないよう配慮する 8. 景観 東京都景観計画に基づき 景観基本軸 景観形成特別地区はもとより 一般地域においても 地域の特性に応じて景観形成に努める 注 ) : 他の計画案に比べて最も優れているか同等である : 他の計画案と比べ 2 番目に優れている : 他の計画案に比べて 3 番目に優れている : 他の計画案に比べて劣っている - 6 -
4.2 各対象計画の案の総合評価 4.1 予測 評価項目別の評価 による対象計画の案ごとに 環境面から見た特性を明らかにし評価した さらに 社会的側面についても表 4.2 に整理した なお 本対象計画では 道路の新設という性格上 環境影響としては自動車の走行による要因が大きいと考えられる よって 大気汚染 騒音 振動の各項目に重点をおいた評価を行った 4.2.1 A 案 (10 号地その 2 埋立地を結ぶトンネル案 ) 大気汚染については 大気汚染物質の総排出量が最も少なく 近接して病院等の立地もない さらに トンネル構造であるため 換気設備により大気汚染物質の拡散を制御 抑制することができることから 最も環境への影響の少ない案である 騒音 振動については 沿道に物流施設等が立地しており居住者及び従業者 ( 以下 居住者等 という ) が少ない上に トンネル構造であり開口部 ( 堀割部 ) が限定されることから 最も環境への影響の少ない案である 従って 対象計画の案の中で最も環境への影響の少ない案であると考える 4.2.2 B 案 (10 号地その 2 埋立地を結ぶ橋梁案 ) 大気汚染については 大気汚染物質の総排出量が 2 番目に少なく 近接して病院等の立地もないが 橋梁構造であるため 全線から大気汚染物質が拡散することから A 案 C 案に次いで 3 番目に環境への影響の少ない案である 騒音 振動については 沿道に物流施設等が立地しており居住者等が少ないが 橋梁構造であり開口部 ( アプローチ高架橋 ) の延長が最も長いため 最も環境への影響に配慮を要する案である 従って 対象計画の案の中で D 案と並んで環境への影響に配慮を要する案であると考える 4.2.3 C 案 (10 号地その 1 埋立地を結ぶトンネル案 ) 大気汚染については 大気汚染物質の総排出量が 2 番目に少ないが 近接して病床数 700 の病院が立地している ただし トンネル構造であるため 換気設備により大気汚染物質の拡散を制御 抑制することができることから A 案に次いで 2 番目に環境への影響の少ない案である 騒音 振動については 沿道に物流施設等が立地しており居住者等が少ない上に トンネル構造であり開口部 ( 堀割部 ) が限定されることから 最も環境への影響の少ない案である 従って 対象計画の案の中で A 案に次いで 2 番目に環境への影響の少ない案であると考える 4.2.4 D 案 (10 号地その 1 埋立地を結ぶ橋梁案 ) 大気汚染については 大気汚染物質の総排出量が最も多く 近接して病床数 700 の病院が立地している さらに 橋梁構造であるため 全線から大気汚染物質が拡散することから 最も環境への影響に配慮を要する案である 騒音 振動については 沿道に物流施設等が立地しており居住者等が少なく 橋梁構造であり開口部 ( アプローチ高架橋 ) の延長が B 案に比べ短いことから A 案 C 案に次いで 3 番目に環境への影響の少ない案である 従って 対象計画の案の中で B 案と並んで環境への影響に配慮を要する案であると考える - 7 -
評価軸 利用者の視点 計画案 道路の利便性安全性 快適性 事業者の視点事業費 ( 用地費及び工事費 ) 港湾管理者の視点 表 4.2 社会的側面からの評価 A 案 B 案 C 案 D 案 新たな南北道路の整備により 第二航路海底トンネルへの交通集中による渋滞が回避され 交通が円滑化する これにより 利便性 安全性 快適性が向上する 用地買収等は特段必要としない 同じトンネル構造の C 案と比較して延長が短いため 工事費は C 案と比較して安くなる 特段の支障物件は存在しない 構造上の課題特になし 港湾物流機能の強化 用地買収等は特段必要としない 同じ橋梁構造の D 案と比較して延長が短いため 工事費は D 案と比較して安くなる 特段の支障物件は存在しない 第二航路部における桁下空間の確保の必要性 から 中央防波堤内側埋立地へのアクセスがトンネル案と比較して困難となる 10 号地その1 鉄鋼ふ頭 ( 民有地 ) の買収等が必要となるため 用地費がかかる 同じトンネル構造の A 案と比較して延長が長いため 工事費は A 案と比較して高くなる 10 号地その 1 における既設共同溝の移設が必要であるため 工事費が増大する 特になし 10 号地その1 鉄鋼ふ頭 ( 民有地 ) の買収等が必要となるため 用地費がかかる 同じ橋梁構造の B 案と比較して延長が長いため 工事費は B 案と比較して高くなる 10 号地その 1 における既設共同溝の移設が必要であるため 工事費が増大する 第二航路部における桁下空間の確保の必要性 から 中央防波堤内側埋立地へのアクセスがトンネル案と比較して困難となる 中央防波堤内側 外側 新海面処分場埋立地のふ頭と内陸部とを結ぶ道路ネットワークが充実し 東京港の物流機能が強化される 10 号地その 2 と中央防波堤内側 10 号地その 1 には主要な公共埠埋立地のふ頭が直接結ばれ ふ頭頭が存在しないことから 埠頭間間の連携が強化される の直接的な連携強化にはつながらない 緑とのふれあい海の森公園へのアクセス性が向上する 船舶航行 ふ頭 特になし 橋脚の存在が 特になし 利用への影響 船舶の航行安 全やふ頭の利 用に影響を与 えるおそれが ある 橋脚の存在が船舶の航行安全やふ頭の利用に影響を与えるおそれがある : 想定される航行船舶の最高高さに一定の余裕高と潮位を加味し決定され 隣接する臨海大橋 ( 仮称 ) の桁下高 A.P.+54.6m と同 程度となると想定される - 8 -