第 1 編保険請求事務の基礎知識 第 1 章レセプト作成の概要 1 ❸ 病名の移行 例 4 75 健全歯 5 支台歯の歯冠形成中露髄の為抜髄 ❹ 同一診療期間内 ( 一連の診療行為の場合 ) は同一病名 例 5 Pul にて前月歯内療法完了 当月歯冠形成 歯冠修復 例 5 54 間に1 歯相当分の間隙 ❺ 歯式の省略 例 6 7 近心根部分割抜歯 遠心根を支台とする ❻ ブリッジの病名 例 1 765 欠損 ❼ ブリッジ脱離 再装着 例 2 765 欠損 7 C 2 5 C 3 急化 Pul ❽ ブリッジ破損 再製作 例 3 5 C 3 処置歯 7 健全歯とする 20 21
第 1 編保険請求事務の基礎知識 第 2 章レセプト点検の概要 1 ないか 診療実日数と再診料の算定回数の不一致等をチェックします カルテをみて当月より前にさかのぼり診療内容を確認することも必要です 保険者には同一患者のレセプトが初診から治ゆまで保存され 縦覧点検が行われていますから 院内点検時にも1 枚のレセプトの前後月の診療内容を確認しなければなりません 2. 算定要件からみた点検 算定点数の誤りは 点数表の規定についての理解不十分によるものが圧倒的に多いといえます 1. 算定単位の誤り 2. 医学管理等の算定誤り 3. 歯内治療における根管数の算定誤り 4. 歯冠形成と歯冠修復の相互関係の誤り 5. ブリッジの算定要件誤り 6. 有床義歯の維持装置等の算定誤り 7. 病名もれ 病名誤り 8. 病名部位と治療内容の不一致以上のような内容の誤りが多くみられます 治療における疾患は 下表のように大きく 5 つの疾患に分けることができます 疾患別診療内容傷病名 ( 例 ) 点検 初期う蝕の治療 4 C(C 1 C 2 C 1 " C 2 ") 各疾患別で治療内容が異ります 歯髄炎の治療 感染根管の治療 歯周治療 欠損補綴ブリッジ 有床義歯 7 Pul 6 Per 7 7 7 7 P 567 MT 764 567 MT 初期う蝕の治療の流れ (C) 治療の流れを把握することで点数算定や 治療の内容が理解できます 治療の流れ をみて点検をしていくことがポイントに なります また 歯科には算定単位の定めがあって次のように条件が決められているので注意を要 します 算定単位について 1 口腔につき 口腔内全体で1 回のみの算定 補綴時診断料等 1 口腔 1 回につき口腔内全体で1 回ごとの算定 歯周疾患処置等 1 顎につき 上顎 下顎別々に1 回のみの算定が可線副子等 1 顎 1 回につき 上顎 下顎別々に1 回ごとの算定が可有床義歯床下粘膜調整処置等 直接歯髄保護処置を行った場合は1 月以上の経過観察を行った後に歯冠修復を実施する 歯髄温存療法を行った場合は 3 月以上の経過観察を行った後に歯冠修復を実施する 1/3 顎につき 1/3 顎ごとに 1 回のみの算定スケーリング等 1 歯につき 1 つの歯について 1 回のみの算定抜歯手術等 1 歯 1 回につき 1 つの歯について 1 回ごとの算定う蝕処置 根管貼薬処置等 歯髄炎の治療の流れ (Pul) 3. 治療の流れからみた点検 歯科診療の場合は 治療の流れによる点検が必要となります 28 29
第 2 編点数算定と点数表の解釈 第 2 章特掲診療料 2 病名部位欄の記載から除去した部位が明らかに特定できる場合は省略してもよい レセプト点検のポイント 1)1 歯に 2 個以上の除去料を算定しているもの 2) 急性症状ではない病名に インレー除去を 32 点で算定しているもの 3) 生活歯に 54 点の除去を算定しているもの 4) 充形又は修形に除去料を算定しているもの 5)Pul 病名又は歯内治療の途中において根管内異物除去を算定しているもの ⑵ 歯周組織の処置 I 011 歯周基本治療 歯周基本治療 ( 浸麻の費用を含む ) スケーリング (SC) 初回 2 回目以降 (1/3 顎につき ) 66(99) 33(50) (1/3 顎を増すごとに ) +38(+57) +19(+29) SRP 及び PCur(1 歯につき ) 初回 2 回目以降 前歯 60 (90) 30(45) 小臼歯 64 (96) 32(48) 大臼歯 72(108) 36(54) 歯周基本治療 ( スケーリング SRP PCur) は 歯周病検査に基づき行われる 1 歯に SRP と PCur は算定できない 特定薬剤及び浸麻を含む 歯周基本治療を実施した後に同一部位に実施したスケーリング SRP PCurは所定点数の100 分の50により算定する 歯周病安定期治療を開始した日以降は算定できない 混合歯列期歯周病検査に基づく歯周基本治療はスケーリングにより算定する I 010 歯周疾患処置 (P 処 )(1 口腔 1 回につき ) 10 点 歯周ポケット内の単なる洗浄ではなく 歯周疾患の症状の改善を目的として歯周ポケット内へ特定薬剤を注入した場合に算定する 1. 歯周基本治療後の歯周病検査の結果 期待された症状の改善がみられず 歯周ポケットが4mm 以上の部位に対して計画的に1 月間薬剤注入を行った場合 2. 薬剤注入後の歯周病検査の結果 歯周ポケットが4mm 未満に改善されず さらに1 月間薬剤注入を行った場合 3. 急性症状時に症状の緩解を目的として歯周ポケット内に薬剤注入を行った場合 薬剤名 ペリオクリン歯科用軟膏 ペリオフィール歯科用軟膏 2% 薬価 0.5g 1シリンジ 609.40 円 0.5g 1シリンジ 388.40 円 点数 57 点 35 点 I 011-3 歯周基本治療処置 (P 基処 )(1 口腔につき ) 10 点 歯周基本治療を行った部位に対して 薬剤による歯周ポケット内洗浄等の処置 ( 歯周疾患処置を除く ) を行った場合に月 1 回に限り算定する 歯周疾患処置と同月の歯周基本治療処置は算定できない 使用する薬剤等の費用は算定できない 歯周基本治療処置は歯周基本治療と同日に算定できる 歯周基本治療処置を算定後 歯周疾患の急性症状で歯周ポケット内に特定薬剤注入を行った場合は 特定薬剤のみ算定できる レセプト記載上の留意点 特定薬剤算定の場合は 処置 手術の その他 欄に部位を記載する レセプト点検のポイント 1) 歯周病検査がなくスケーリングを算定しているもの 2) スケーリングの算定回数が1/3 顎のブロック数を超えているもの 3) 全顎のスケーリングが終了していないのに2 回目の検査を実施し SRPを算定しているもの 4)SRP PCurの合計が P 部位の歯数を超えているもの 5)P 急性発作等の病名なく初診時に歯周疾患処置を算定しているもの 6) 特定薬剤の使用なく歯周疾患処置を算定しているもの 7) 歯周基本治療処置同月に歯周疾患処置を算定しているもの 8) 歯周基本治療を行わず歯周基本治療処置を算定しているもの 134 135
第 3 編レセプト作成と点検 第 1 章レセプト作成 3 歯髄炎の治療 (Pul その 2) カルテ例 3( 歯髄炎の治療その2) の解説 ❸❹ 行目管理計画書の作成をし文書提供を行っています 歯科疾患管理料 110 点を算定します 画像診断はデジタル撮影で 電子画像管理加算を合算して58 点となります ❺ 行目抜髄に浸麻を使用していますが 抜髄は特に規定する処置として 浸麻の手技料及び薬剤料は算定できません ❻ 行目 7 急化 Pulです 急性症状のインレーの除去料は32 点となります ❾ 行目抜髄即充には浸麻の手技料及び薬剤料の算定はできません 行目インレー除去は急性症状ではないので 16 点となります 4 番は下顎小臼歯で単根の算定となります 抜髄即充に加圧根充加算を算定します 行目 4 のデンタルは同一部位 2 回目の撮影で症状の確認となり 48 点の算定で す 加圧根充加算を算定する場合は レントゲンでの確認が必要です 行目 KP は複雑なもののインレーのための歯冠形成です 窩洞形成の複雑の算定 となります 行目メタルコアの印象は 22 点です 行目インレー (MOD) 複雑の算定となります 行目当月の締めを行います カルテ記載病名 C 3 急化 Pul と C 3 潰 Pul です レセプト病名は Pul となります 歯式は部 位をまとめて記載します レセプト摘要欄に除去を行った部位と除去物を記載します X-Ray(D) デジタル撮影は レセプトの X 線 検査のその他欄に電 58 2 電 48 2 と記載します カルテ例 3 歯髄炎の治療 (Pul) の流れ 7 C 3 急化 Pul 4 C 3 潰 Pul 抜髄 根管貼薬 根管貼薬 根充 ( 加圧根充 ) メタルコア印象 (588 点 )(40 点 ) (40 点 ) (110 点 +184 点 ) (22 点 ) メタルコア set 失活歯歯冠形成 連合印象 咬合 金パラ 5/5 冠 set (237 点 166 点 +30 点 62 点 16 点 )(824 点 +45 点 +12 点 +100 点 ) 抜髄即充 ( 加圧根充 ) 窩洞形成 連合印象 咬合 金パラインレー ( 複雑 )set (296 点 +128 点 ) (86 点 62 点 16 点 )(455 点 +45 点 +12 点 ) 274 275
第 3 編レセプト作成と点検 第 1 章レセプト作成 3 カルテ例 3 276 277
第4編 歯科の基礎知識 第2章 第2章 歯の疾患 歯の疾患 3 う蝕症第3度 C3 C3 1 う蝕症 むし歯 う蝕が進行して髄腔まで達したもので 軟化象牙質を除去 するとすぐに歯髄 歯の神経 が露出するか すでに歯髄が 露出しているものの状態をいいます 治療は主として歯髄の除去 抜髄 が行われ 抜髄した歯 は 失活歯 神経がなくなり死んでしまった歯 となり 歯 内療法 根の治療 が行われます むし歯のことをう蝕症といいます う蝕症は 細菌感染により歯が浸食されておきる病気です う蝕は咬み合わせの面 咬合面 や 歯と歯が接している面 隣接面 と歯頸部によく 起こります その崩壊度 深さにより進行度をう蝕症第1度 C1 う蝕症第2度 C2 4 う蝕症第4度 C4 残根状態 う蝕症第3度 C3 う蝕症第4度 C4 に区分されています う蝕症の進行度によりそれぞれの治療が行われます C4 ればならない状態のものをいいます 1 う蝕症第1度 C1 C1 いわゆる残根状態になったもので 歯冠の崩壊が著しく多 くの場合 歯冠の回復が困難で抜歯 歯を抜くこと しなけ 永久歯を抜歯すると その部分は欠損歯 けっそんし に 初期のう蝕症であり 浅在性う蝕ともいいます エナメル質 あるいはわずかに象牙質の一部まで浸蝕され なります 又 残根状態以外の疾患で抜歯して欠損歯になる 場合も多くあります た程度のものをいいます その欠損部分を人工的に補って咀嚼機能の回復をはかるこ 治療は エナメル質の一部のむし歯による穴 う窩 にセ とを欠損補綴といいます メントをつめるなど この段階で治療すると比較的早期に終 了します う蝕症の治療の概要 2 う蝕症第2度 C2 C2 深在性う蝕といわれるもので う蝕が象牙質の部分まで進 行したものをいいます ただし 髄腔との間には まだ 浸蝕されていない象牙質の一層が残っている程度のものに なります 歯髄にまでは細菌感染がおきていませんので 治療は比 較的早期に終了します この時点では う蝕の進行状態により外来刺激が歯髄に 影響を起こさないよう 又 歯髄への細菌感染を防ぐ目的 で歯髄の保護法等が行われます 358 硬組織疾患 C1 C2 の場合には 歯髄に感染はありませんから 歯髄を保護する方法 をとり う窩の状況に応じて歯冠部のう窩につめたり かぶせたりする歯冠修復 P369 参照 を行います う蝕症第3度になると 歯髄疾患 Pul へと進行していますので 歯髄処置 抜髄等 を行い 根の治療 歯内療法 を行った上で 歯冠修復を行います 根尖性歯周炎 Per の場合は 感染根管の治療 感染根管処置 を十分に行い 歯冠 修復を行います 抜歯のケースもありその後は欠損補綴 ブリッジや入れ歯 へと移行していきます 残根状態 C4 になった歯は多くの場合抜歯され欠損補綴 P372参照 を行いますが 根がしっかりしている場合は その根の部分を残してとりはずしのできる入れ歯 有床 義歯 を作製することもあります 359 4