輸入貨物に係る関税評価上の取扱い等に関する照会 HDS( ホット デリバリー サービス ) チャージの関税評価上の取扱いについて 照会 照会内容等 1 輸入貨物の品名 2 照会の趣旨 3 取引の概要及び関税評価に関する照会者の見解とその理由 繊維製品 買手 ( 輸入者 ) が船社により運送される輸入貨物について支払う HDS( ホット デリバリー サービス ) チャージは 輸入港到着までの運賃等として 当該輸入貨物の課税価格に算入されるか否かを照会するものです 別紙 1 のとおり 4 関係する法令条項等 5 添付書類 関税定率法第 4 条第 1 項第 1 号 照会の趣旨及びその理由等の照会事項に関する参考資料 回答 回答年月日平成 20 年 12 月 22 日回答者大阪税関業務部首席関税評価官 回答内容 別紙 2 のとおり ただし 次のことを申し添えます (1) 回答内容は あくまで照会に係る事実関係を前提としたものであり 具体的な事例において異なる事実がある場合や新たな事実が生じた場合には 回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります (2) 回答内容は 税関としての見解であり 事前照会者の申告内容等を拘束するものではありませんのでご留意ください
( 別紙 1) 1. 取引形態図 繊維製品 インボイス輸入者 買手 B 社 ( 本邦 ) 貨物代金支払 輸出者 売手 S 社 (X 国 ) 運賃 HDS チャージ支払 船社 C 社 ( 本邦 ) 2. 取引概要 (1) 買手 ( 輸入者 )B 社 ( 以下 買手 という ) は 本邦所在の船社 C 社 ( 以下 船社 という ) の海上輸送を利用して X 国所在の売手 ( 輸出者 )S 社の縫製工場から繊維製品 ( 以下 輸入貨物 という ) を輸入しています (2) 買手は 船社に対し 通常の海上運賃 サーチャージの他に HDS( ホット デリバリー サービス ) チャージ ( 以下 本サービスについては HDS 本チャージについては HDSチャージ という ) と称する特別手数料を支払っています (3) HDSチャージは 輸入港においてHDS 対象コンテナー ( 以下 対象コンテナー という ) を HDSの対象とならない他のコンテナー ( 以下 一般コンテナー という ) より優先して荷役し 一般コンテナーより早く対象コンテナーのみ個別搬入手続きを行うために支払うものです したがって 輸入 ( 納税 ) 申告時にはHDSチャージを支払うか否か 支払う場合にはその金額が確定しています (4) HDSチャージについて買手が船社に確認したところ 次のような説明がなされました 1 原則として 船社が使用している輸出港コンテナーヤードでは コンテナーが搬入される順番に本船に積み付けることとしているため 輸出港においては 対象コンテナー ( 全体の約 6 割を占める ) の持込締切時間を一般コンテナーの持込締切時間よりも遅く設定することで 対象コンテナーが本船内の奥側に配置されないような工夫をしている このような方法をとる理由は 当該輸出港コンテナーヤードが狭く 搬入されたコンテナーのうちから対象コンテナーのみを取り分け 後から本船のドア口寄りに積み付けるというような特別な作業ができないため また 対象コンテナーが一般コンテナーの持込締切時間よりも早く持ち込まれることはほとんど発生しないためである したがって 輸出港では対象コンテナーに限定した特別な作業やコストは発生しない HDS はコンテナーの持込締切時間を遅くするサービスではない
2 輸出港における積付作業の結果は 荷役完了時にコンテナー配置図 ( 本船積付プラン ) として輸出港において搬入作業を行った者から船社に伝達される 3 HDSについては コンテナーを本船に積み込む前であればキャンセルできるが 積み込んだ後はキャンセルできない 4 上記 2のコンテナー配置図から判断して 輸入港で早期にデリバリー可能な場所にコンテナーが積み付けられているとされた場合に限り 船社は 本船出港後であってもHDSの追加申込みを受け付ける HDSチャージについては 本船出港前であっても出港後であってもその金額に差異はない 5 毎週同じ曜日の定刻 ( 午前中 ) に輸入港へ到着後 船社は コンテナー配置図をもとに最初に対象コンテナーの荷揚作業を行い 原則として同日の午前中に2 回 個別搬入手続を行う 一方 一般コンテナーについては 同日の午後に一括搬入手続を行う 6 HDSは 輸入港において輸入港到着後のデリバリーに付加価値を付けるサービスであり 輸出港における本船への積付作業に付帯する費用の送金はない 3. 関税評価に関する照会者の見解関税定率法第 4 条第 1 項第 1 号には 輸入港までの運賃等 は課税価格に算入する旨の規定がある しかしながら 同法基本通達 4-8(7) において 輸入港までの運賃等は 輸入貨物の輸入港到着後の運賃等を含まないとされている 買手が船社に対して支払うHDSに係る対価は 輸入貨物の輸出港における運賃等又は海上運送に要する運賃等ではなく 輸入港に到着した後に発生するサービスに対する手数料である 以上のことから 買手が船社に支払うHDSの費用は 輸入貨物の課税価格に算入されないと考える
( 別紙 2) 回答内容上記取引において船社により提供されているHDSの対価として支払われている費用は 輸入港到着後の運賃等に該当するものと考えて差し支えなく その費用の額は輸入貨物の課税価格に算入されないと解されます なお 上記取引において 輸出港におけるサービスの対価として支払われる費用の額が明らかな場合には 当該費用の額は輸入港到着までの運賃等に該当し 輸入貨物の課税価格に算入されると解されますので ご留意ください ( 理由 ) 1. 輸入貨物の課税標準となる価格は 当該輸入貨物に係る輸入取引がされた時に買手により売手に対し又は売手のために 当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格 ( 現実支払価格 ) に その含まれていない限度において 運賃等の額を加えた価格 とされています ( 関税定率法第 4 条第 1 項本文 ) 同項第 1 号に掲げる輸入港に到着するまでの 運送に関連する費用 とは 輸入貨物の輸入港までの運送に付随して発生する積卸しその他の役務の対価として支払われる費用をいい 輸出国において要したコンテナー サービス チャージ等を含むとされています ( 関税定率法基本通達 4-8(5)) また 輸入港までの運賃等は 輸入港における船内荷役 沿岸荷役といった船卸し等の費用のような輸入港到着後の運賃等を含まないとされています ( 関税定率法基本通達 4-8(7)) 2. 上記取引の概要における船社の説明によると 船社が提供するHDSでは 輸入港へ到着後 最初に対象コンテナーの荷揚げ作業が行われ 個別の搬入手続きが行われます ( 以下 輸入港到着後におけるサービス という ) なお 同サービスの対象とならない一般コンテナーについては 個別の搬入手続きは行われず 一括での搬入手続きが行われます 3. また 船社の説明によると 輸入港到着後におけるサービス を実施するために 輸出港において 対象コンテナーの持込締切時間を遅く設定し 対象コンテナーが本船内の奥側に配置されないように工夫しているとされ 輸出港においても対象コンテナーを一般コンテナーより搬出口に近い場所に積み付けることなどのサービス ( 以下 輸出港におけるサービス という ) が行われていると認められます したがって 船社が提供するHDSは 対象コンテナーの輸出港での持込みから積込みまで及び輸入港における到着後の船卸しから個別搬入手続きまでにおいて提供されていると解されます 4. 上記取引において コンテナーの積付けに係る作業は 対象コンテナーであるか否かにかかわらず すべてのコンテナーに対して行われる役務であり 対象コンテナーに対して追加的な役務は発生していないと認められます また 対象コンテナーを積み付けるまでの間 HDSの申込みをキャンセルすることが可能とされ 更に 本船の出港後であっても コンテナー配置図により 輸入港到着後におけるサービスの提供が可能な場所にコンテナーが積み付けられていると判断した場合には HDS の申込みを受け付けることとされています また 本船の出港後にHDSの申込みを行う場合 同サービスの利用者は 輸出港におけるサービス を享受することができないにもかかわらず 船積み前にHDSを申し込んでいる場合と同じ額のHDSチャージを支払うこととされています
5. これらのことを考慮すると 上記 HDS において船社から利用者に提供される中心的なサービスは 輸入港到着後におけるサービス であり 輸出港におけるサービス は 輸入港到着後におけるサービス を実施するために副次的に提供されるサービスであると認められます 6. したがって 上記取引において船社により提供されているHDSの対価として支払われている費用は 輸入港到着後の運賃等に該当するものと考えて差し支えなく その費用の額は輸入貨物の課税価格に算入されないと解されます 7. なお 上記取引において 輸出港におけるサービスの対価として支払われる費用の額が明らかな場合には 当該費用の額は 輸入港到着までの運賃等に該当し 輸入貨物の課税価格に算入されると解されますので ご留意ください