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藤沢市地区計画運用基準 施行平成 30 年 4 月 1 日 る 本運用基準は, 地区計画の届出に際しての審査の画一化及び円滑化を図るため, 必要な事項を定め 項目第 1 建築物等の用途の制限に関する事項第 2 建築物の容積率の最高限度に関する事項第 3 建築物の建蔽率の最高限度に関する事項第 4 建

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(2) 市原市における区域設定の考え方本市においては 更級地区における商業集積や沿岸における工業地帯の形成等 これまで特色ある土地利用展開を行ってきた経緯を踏まえ 居住誘導区域の設定に合わせ地域の特性に応じた区域を設定します 市原市における区域設定の考え方 市街化区域 1 居住誘導区域 2 一般居住

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( 県の責務 ) 第三条県は 地震防災に関する総合的な施策を策定し 及びこれを実施する責務を有する 2 県は 市町村 自主防災組織その他防災関係機関等と連携して 地震防災対策を推進しなければならない 3 県は 地震に関する調査及び研究を行い その成果を県民 事業者及び市町村に公表するとともに 地震防

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はじめに 都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域は 都市再生特別措置法 ( 平成 14 年 4 月 5 日公布 平成 14 年 6 月 1 日施行 以下 法 という ) に基づき 国が政令で指定するものです 1 都市再生緊急整備地域 趣旨 都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上を図るため

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区域の整備 開発及び保全に関する方針地区施設の整備の方針建築物等の整備の方針 (2) 公園 緑地の整備方針地域に親しまれる やすらぎと憩いの空間を形成するとともに 西武立川駅から玉川上水に向けて形成される緑のネットワークの拠点となるよう公園や緑地を配置する (3) その他の公共空地の整備方針各敷地の

3. 市街化調整区域における土地利用の調整に関し必要な事項 区域毎の面積 ( 単位 : m2 ) 区域名 市街化区域 市街化調整区域 合計 ( 別紙 ) 用途区分別面積は 市町村の農業振興地域整備計画で定められている用途区分別の面積を記入すること 土地利用調整区域毎に市街化区域と市街化調整区域それぞ

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静岡市の耐震対策事業

基本方針

目次 1 はじめに 2 地区協議会意見のまとめ 2.1 津波対策の基本方針案 2.2 津波対策の基本方針案の詳細 3 津波対策の方針 結論 ( 参考資料 ) 参 1 津波被害想定 参 1.1 津波浸水想定とレベル 1 津波必要堤防高 参 1.2 津波避難困難地域 参 2 津波避難マップ 参 3 検討

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Transcription:

施策 1-2-5 避難困難者の解消 ( 避難施設 ( タワー ビル等 )) 取組の概要 地震発生後に 津波が短時間で襲来する場合には 避難対象地域の外へ逃げ遅れる避難困難者が発生する地区があります 地方公共団体は そのような避難困難地区には 津波の避難施設として整備または公共施設や民間施設等を緊急的 一時的な避難場所として利用するため 津波避難ビルの指定を行い 避難困難者の解消を図ります 図津波避難施設配置の考え方 計画 整備にあたっての着眼点 留意点 津波の避難施設には 築山 ( 避難マウンド ) タワー型 シェルター型 津波避難ビル等があります 津波の避難施設は 津波浸水深や津波到達時間 津波の速度を考慮して整備や指定する必要があります 98

津波の避難施設配置に関する考え方 1 津波到達時間の考え方 想定する浸水深を検討 ( 津波浸水シミュレーションによる ) 津波高 0.3m で死亡者発生 1m でほぼ全員が亡くなる 2 歩いて逃げることが可能な距離 市町村における津波避難計画策定指針 ( 消防庁 平成 14 年 ) 避難可能距離 = 歩行速度 ( 津波到達時間 -2 分 ) 津波避難ビル等に係るガイドライン ( 内閣府 平成 17 年 ) 避難可能距離 = 歩行速度 ( 津波到達時間 - 避難までに要する時間 - 高台等へ上る時間 ) 津波避難を想定した避難路 避難施設の配置及び避難誘導について ( 国土交通省平成 24 年 ) 避難速度 ( 徒歩 ) (km/h) 平均避難距離 避難距離 (m) 直線距離 全体 2.24 423 282 リアス部 1.89 371 246 平野部 2.81 501 334 3 津波避難施設の整備地点には 空白地が生じないこと 津波避難ビル等に係るガイドライン では 避難施設のカバーエリアは 津波から遠ざかる方向への避難が行われることを想定する範囲 ( 半円 ) とされていますが 津波到達時間や地形地物等の諸条件により海側に避難をする必要があるかも知れません そのためには 地域住民等の意見を踏まえ設定することが必要です 築山やタワー型の整備にあたっては 高齢者や子ども等の災害時要援護者を考慮した階段勾配 スロープ整備の検討が必要です また 流木や漂流船 その他の海岸からの漂流物の衝突が想定されることから 構造への配慮として 支柱の前に木除杭等の緩衝材を設置する等の検討が必要です 避難場所としての適地が限られ場合は 急傾斜地崩壊危険箇所への管理階段を利用して 背後地を避難場所としての活用を検討することも必要です その際は 斜面の崩壊対策や背後地の安全性確保に努めるなどの配慮が必要となります 津波の避難施設では 夜間の利用を考え 照明( 太陽光発電式 ) を整備する必要があります 99

津波避難ビルの指定にあたっては 構造や位置とあわせて 地盤状況や避難経路等の確認が必要です 既存建築物を津波避難ビルとして指定した場合 外階段の設置などにより 屋上まで必ず上れるなど 少しでも高いところへ逃げることが可能になるような工夫を行う必要があります 東日本大震災時の津波による避難実態の調査がされています 避難シミュレーションを行う際には 調査結果で示されている歩行速度や避難時間等が有用な資料となります 設計上配慮すべきと考えられる事項 津波避難ビルであっても滞在を余儀なくされる期間が数日間におよぶ可能性があることが確認され 期待する効果 役割に応じて装備する設備とその配慮事項を整理する必要があります 要避難の際に介護が必要な方々の歩行速度が健常者より遅くなることも考慮した避難施設の配置計画が必要です 参考資料 津波対策推進マニュアル検討報告書( 総務省消防庁 平成 14 年 3 月 ) http://www.fdma.go.jp/html/new/tunami1403/tunami_index.html 津波避難対策推進マニュアル検討会( 総務省消防庁 :H24) http://www.fdma.go.jp/neuter/about/shingi_kento/h24/tsunami_hinan/index.html 地域防災計画における地震 津波対策の充実 強化に関する検討会( 総務省消防庁 :H23) http://www.fdma.go.jp/disaster/chiikibousai_kento/index.html 津波避難ビル等に係るガイドラインについて( 津波避難ビルに係るガイドライン検討会 内閣府政策統括官防災担当 平成 17 年 6 月 ) http://www.bousai.go.jp/oshirase/h17/tsunami_hinan.html 津波に対し構造耐力上安全な建築物の設計法等に係る追加的知見について( 国土交通省住宅局平成 23 年 11 月 17 日 ) http://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000274.html 津波避難を想定した避難路 避難施設の配置及び避難誘導について( 国土交通省都市局平成 24 年 4 月 ) 国土交通省 HP 津波防災地域づくりに関する法律について http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/point/tsunamibousai.html 100

参考: 津波避難ビル等に係るガイドラインの概要 構造的要件 地震発生時の耐震条件; 新耐震設計基準 (1981 年 ( 昭和 56 年 )) 津波発生時の耐波条件;RC または SRC 構造 位置的要件 津波浸水想定を確認し 浸水深 津波到達時間等より避難可能な地域を差し引いて避難困難地域を選定 避難困難地域における避難困難者数を算出( 観光客等も考慮 ) 避難困難地域において 各候補のカバーエリアを算出し 津波避難ビル等候補を選定 各候補について留意点を確認 津波避難ビル等へ避難困難者が安全に避難できるように避難経路 避難方法を確認 参考: 津波に対し構造耐力上安全な建築物の設計法等に係る追加的知見について 国土交通省は 上記 津波避難ビル等に係るガイドライン に示されている構造上の要件について 国費補助による調査研究 ( 東京大学生産技術研究所及び ( 独 ) 建築研究所の共同研究 ) の成果等を踏まえ 避難ビル等の構造上の要件に係る暫定指針を策定している 構造上の要件: 津波避難ビル等に関するガイドライン に示される津波荷重の設定 一律 浸水深の 3.0 倍の静水圧 を東日本大震災の状況を踏まえ 以下 津波荷重設定の合理化の概要 のように合理化している 併せて 荷重設定にあたって 以下のことを明示している 開口部 ( 窓等 ) への流入に係る波力低減が可能 ピロティの解放部分は荷重算定の対象から除外 避難スペースの高さ: 浸水深や階高等に応じ個別検討が必要であるが 想定浸水深相当階の 2 階以上に設ければ安全である 101

事例 静岡県吉田町の取組 津波避難シミュレーションと津波の避難施設 ( タワー型 ) 吉田町は 津波避難シミュレーションを行い 避難対象地域や避難困難地区を把握し 避難困難者の避難場所として 津波の避難施設 ( タワー型 ) の整備を行っています 津波の避難困難地区の把握 ( 津波浸水シミュレーションによる ) 津波最終到達ラインから 500m 以内の健常者は浸水想定の外に避難でき 250m 以内の災害時要援護者も避難できることとし それ以外は避難困難地区と設定 避難困難地区の自治会ごとに区分し 避難場所を配置 既設の施設( 津波避難ビル ) が利用できない場合には 避難施設 ( タワー型 ) を整備 津波の避難施設 ( タワー型 ) の整備 津波の避難施設( タワー型 ) は 用地取得の時間や工期短縮 経費の軽減を図るため 道路空間を活用した横断歩道橋と避難施設との兼用工作物として整備しています しかし 避難施設 ( タワー型 ) の設計は タワーの強度や津波の波力等 町だけの技術力だけでは設計が困難なため 構造的な問題の解決に向けて 検討委員会により検討を行っています 102

参考資料 道路上に設置する避難施設 ( タワー型 ) の標準仕様設計基準 ( 静岡県吉田町適用基準平成 24 年 9 月版 )( 抜粋版 ) 津波避難施設イメージ図 ( 道路上に設置される津波避難施設 ) 103

静岡県沼津市の取組 避難マウント 津波避難ビルの指定 沼津市の津波避難困難地区では 築山( 避難マウント ) の整備や津波避難ビルの指定を行っています 下記写真の築山( 避難津波マウント ) は TP+12.0m 避難地面積 600 m2 (300 人 2 m2 ) 避難階段 1 箇所 +スロープ 1 箇所で整備しています 出典 : 東海地震における地震 津波防災マニュアル ( 改訂前 ) 沼津市 静岡県吉田町の取組 避難場所の屋上に避難階段を設置 住吉小学校は 吉田町南西部に位置する住吉地区の避難場所となっているが 平成 23 年 11 月に町独自で作成した 1,000 年に一度の大津波を想定した吉田町津波ハザードマップ では 津波浸水区域に位置することがわかりました このため 学校に登校する児童及び地域住民を津波被害から守るために 住吉小学校校舎の 4 階屋上へ避難が可能となるよう 3 階屋上から 4 階屋上に上がるための避難階段と屋上フェンスを設置し 避難機能を高めました 津波から命を守る避難階段の整備 104

静岡県焼津市の取組 小川第 13 コミュニティ防災センター整備 焼津市は 平常時は自主防災組織活動の中心として 防災訓練及び防止知識の普及の場として 災害時には津波避難ビル及び災害応急活動の拠点としての機能を持つ 小川第 13 コミュニティ防災センター を整備しています 敷地面積:427.58 m2 構造: 鉄筋コンクリート造 3 階建 床面積:1 階 170.52 m2展示ホール 事務室 2 階 173.72 m2避難者収容室 3 階 173.72 m2防災会議室 研修室 食料備蓄庫延床面積 539.35 m2 整備費用: 国 県 市 地元からの寄附 焼津市津波避難ビル機能整備等事業焼津市は 海抜 5 メートル未満区域に現存または新設する津波避難ビルなどで市から指定されるものを対象に市が補助金を交付しています 条件 地域住民が年間を通して 常に避難できるように施設を開放することを前提に市と協定の締結 沿岸部への津波の到達時間 5 分 津波の遡上速度 10 メートル / 秒 避難住民の歩行速度 1 メートル / 秒として計算した別に定める避難可能な範囲に住民が在住 津波避難ビルの要件 耐震性を有するRCおよびSRC 造の建築物または津波に対する安全性が確認されている S 造の建築物 津波に対し安全な場所で 50 平方メートル以上の避難場所の確保 屋外階段 屋上フェンス工事を新設または増設 避難場所( 屋根 ) の補強 津波避難タワーの要件 新耐震基準に適合し かつ 津波に対する安全性が確認されている工作物出典 : 津波避難ビル機能整備等事業費交付要綱 ( 焼津市 HP) http://www.city.yaizu.lg.jp/g01-007/tsunami.html 105