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2012 CDTL 回路設計ノウハウノート file: OP アンプ応用ヘッドホーン用アンプの設計ノウハウ 回路理論 完成 シミュレーション 電子回路設計技術 検証 回路設計 試作実験 [OP アンプ応用ヘッドホーン用アンプの設計ノウハウ ] OP アンプとトランジスタ出力のヘッドホーン用アンプの設計ノウハウ

1 2012-9 オペアンプの応用によるヘッドホーン用アンプの設計 1. 概要電圧増幅段に 汎用のオペアンプを使用し コンパクトで低消費電力とした また低インピーダンス負荷での性能も考慮して ディスクリート構成の出力段とすることで 十分な音質を狙っている また 電源部分は既成の AC アダプターを使用し 簡単なフィルター回路によりコンパクト化と低ノイズ化を図っている 音質は 使用するオペアンプにより変化するが LME49720 を使用した場合 入出力にコンデンサがあるとは思えない ハイクオリティーが得られている 2. 設計仕様 電源 :DC12V~20V 単一電源 AC アダプターなどの単一電源が使用できることとした また低消費電力での動作を狙ったため 上記電圧で最大電流 1A 程度の AC アダプターが使用できること 入出力 / 出力仕様 : 入力 50KΩ/ 出力コンデンサ出力 AC 単一電源での使用を前提としたため 入力及び出力はコンデンサ結合としている 音質を重視した場合 当然入出力のコンデンサは無い方が良いが DC 方式での動作での回路の複雑さとコンデンサによる音質劣化を天秤かけ コンデンサ結合とする 負荷インピーダンス :40Ω~300Ω 市販のヘッドホーンは十数 Ωから数百 Ωまでいろいろなものが販売されている 今回 低電圧での動作を考慮し 40Ω~300Ωを想定しているが 測定では 50Ωを中心に評価を行った 出力電力 : 100mW 以上低インピーダンスのヘドホーンでも十分な音量で 聞くことができるために 50Ω 負荷で 100mW 以上とした 周波数特性 : 20Hz~50KHz 周波数特性は 通常のオーディオ帯域を満足するものとする 歪率特性 : 0.1% 以下歪率特性は 一般のオーディオ アンプとして使用出力範囲で 0.1% 以下とする

2 2012-9 2. 使用オペアンプについてオペアンプを低周波増幅回路に応用する場合 一般の汎用オペアンプでは第一ポールが低く 高域周波数での歪劣化の原因となる その点を考慮して オ-ディオ用のオペアンプを使用することを前提としたが 比較のため汎用オペアンプも実験を行った オペアンプに関しては手元にあった 下記の4 種類で実験を行った (A)OPA2134(BURR-BROWN) FET 入力のオーディオ用オペアンプ Voltage Gain:120dB Gain Bandwidth:8MHz THD:0.00008%(Hz RL=2KΩ) (B)LME49720(National Semiconductor) 高性能オーディオ用オペアンプ Voltage Gain:140dB Gain Bandwidth:55MHz THD:0.00003%(Hz RL=2KΩ) (C)TL072(Texas Instruments) FET 入力の汎用オペアンプ Voltage Gain:110dB Gain Bandwidth:3MHz THD:0.003%(Hz RL=2KΩ) (D)JRC4558(JRC) PNP トランジスタ入力の汎用オペアンプ Voltage Gain:100dB Gain Bandwidth:3MHz

3 2012-9 4. 回路構成 電圧増幅回路部 図 (a) のように単一電源 Vcc による動作で Vcc/2 の基準電圧によりオペア ンプを非反転増幅動作さ せている Vcc/2 の基準電圧をオ ペアンプで作っている理 由は 使用周波数帯域の 全体で低インピーダンス の基準電圧源を確保する ためである また Vcc/2 を基準に動作しているため 入力側にカップリング コンデンサーを入れ ている 電力増幅回路部 オペアンプを応用してヘッドホーンを使用するには 高インピーダンスのヘッドホー ン ( 数百 Ω) では オペアンプのみで使用可能であるが 低インピーダンスのヘッドホ ーンを低歪で十分ドライブするには 出力部を強化する必要がある 従て 電力増幅回路は 低インピーダンスのヘッドホーンでも十分ドライブできるよ うに Pc が最大 10W のトランジスタの SEPP 回路とした 更にダーリントン接続にて ドライブを強化している SEPP 回路のベース バイアスは D1~D4 のダイオードの 順方向電圧を利用した簡単な回路である SEPP 回路に単一電源 12V を供給の場合 AB 級電力増幅の半サイクルでの供給電圧 Vcc=6V とであり その時の出力電力 P o は 負荷 R L =50Ω 時 P o = Vcc2 2 R L = 6 6 2 50 =360mW Input C1 100u C2 R3 100K R1 22K R2 22K 3 2 R4 10K 5 6 R5 1 U1 TL072 47K C3 5pF 7 U1 TL072 R6 4.7K R7 100 D1 1N4148 D2 1N4148 D3 1N4148 D4 1N4148 R8 100 R9 4.7K 1/2Vcc 基準電圧 Q2 2SA1015GR 図 (a) Q1 2SC1815GR R10 R12 R11 220 240 Q4 2SA1358Y Q3 2SC3421Y R13 10 R14 10 C4 0. C6 C5 CC 1000uF 8 4 V+ V- R15 U OUT GND Vcc 負荷 R L =300Ω 時 P o = Vcc2 2 R L = 6 6 2 300 =60mW となる ただし 抵抗 R13 及び R14 による損失により最大出力はさらに少なくなる また Vcc/2 を基準に動作しているため 出力側にカップリング コンデンサーを入れている Vcc/2 の基準電圧源に電流バッファを追加し 出力電流を大きくすれば 出力側のコンデンサを無くし ヘッドホーンに直結できるが 低消費電力 コンパクト化を狙っているため 上記のような回路構成とした

4 2012-9 電源フィルター部 電源部は AC アダプター ( スイッチング電源 ) で Q1-collector Q2SC3421Y Q1 Q1-emitter の供給を前提に考えており 電源によるノイズ ( スイ R1 QC1815GR Q2 C2 3m 50 R2 チング ノイズ等 ) を抑えるために 図 (b) のようなト ランジスタによるフィルター回路を構成した 15 V1 C1 図 (b) file: DC_Filter1.sxsch 特性は 図 (c) のように定電圧機能は無く 入力電圧に対して Q1 及び Q2 のベース-エミッタ間電圧の出力電圧低下がある ただし抵抗 R1 の Ωとコンデンサ C1 の 1μF によるフィルターにより AC アダプターからのノイズを低減している 図 (c) Q2SC3421Y Q1 db V2 R1 QC1815GR Q2 C2 3m 50 R2 15 V1 C1 図 (d) file: DC_Filter_dB.sxsch 図 (e) 図 (d) は 電源フィルター回路の周波数特性をシミュレーションするもので 図 (e) のように一般的にスイッチング レギュレータで使用されるスイッチング周波数は 100KHz 以上なので 十分減衰している なお 更に低い周波数の減衰を期待するのであれば コンデンサ C1 の容量を大きくすればよい また出力電圧を一定電圧で制限する場合は コンデンサ C1 に並列にツェナー ダイオードを並列に入れることで 制限できる ただしその場合は 抵抗 R1 の値はツェナー ダイオードに流す電流を考慮して 変更する必要がある

5 2012-9 5. シミュレーションによる回路検証 SIMetrix によるシミュレーションの確認 Q2SC3421Y Q1 1k R7 R18 D1 200 R13 Q3 QC1815GR Q6 Q2SC3421Y 5 R10 C6 C4 QC1815GR 3m Q2 15 V1 V2 C2 100k R4 X1 TL072 D2 100 R16 100 R15 2k R9 5 R11 1m C3 R17 db 20 R12 R1 C1 10k R5 D4 D3 1k R19 R8 200 Q4 R14 QA1015GR Q5 Q2SA1358Y 10k R2 50k R6 10p C5 10k X2 C7 100u R3 TL072 図 (f) file: Headphone_Amplifier_B.sxsch 図 (g) ここで オペアンプ IC は一番ポピュラーな TL072 を使用して 周波数特性のシミュレーション確認を行っている また ヘッドホーン負荷を考慮すると ヘッドホーンの中には接続ケーブルにシールドケーブルを用いているものもあり 出力に 1000pF の容量性負荷を追加してシミュレーションを行う 4.7k R7 D1 200 R13 Q3 QC1815GR Q6 Q2SC3421Y 10 R10 C6 12 V1 C2 100k R4 X1 TL072 D2 100 R16 100 R15 R9 10 R11 1m C3 R17 50 R12 C7 1n 10k R5 D4 D3 4.7k R8 200 Q4 R14 QA1015GR Q5 Q2SA1358Y 6 V2 50k AC 1 R6 V3 IN OUT =OUT/IN LAP1-1 図 (h) file: Headphone_Amp_B_Boad.sxsch 図 (i) 図 (h) は ボーデ線図を描くためのシミュレーション回路で図 (i) のボーデ線図のシミュレーション結果によると ループゲイン 0dB における位相は 96 と 180 に対して 84 の余裕があることが分かる また低域は 10Hz 以下で減衰するが 出力のコンデンサの影響である

6 2012-9 6. 試作実験 実際に試作機の組み立てによる実験を行った 図 (j) は オペアンプ実験用の OP-MOD1A 基板の一部を利用してヘッドホーンアンプを組み立てた場合の回路図である 図 (k) はヘッドホーンアンプ回路を 組み上げた基板 図 (j) 図 (k) ±15V 電源を搭載した実験 I/O ボードを使用して 回路の動作を確認している様子 ( ただし今回は +15V の電源のみを使用して回路の動作を確認した ) 図 (l)

7 2012-9 6-1. 総合特性 周波数特性 : オペアンプの違いによる特性を比較した (A)OPA2134 (B)LME49720 (C)TL072 (D)JRC4558 LME49720 が一番良い高周波特性に成っており Gain Bandwidth:55MHz の特性が大きく貢献している ただし 負帰還回路での位相補正用コンデンサの影響も あり上記のような高域特性となっている

8 2012-9 歪率特性 : (A)OPA2134 負荷が 50Ω では高域 (10KHz) で歪率特性が悪くなります これはオペアンプとし ての周波数特性により 高域での負帰還量が少なくなることが原因と思われる 負荷が 300Ω では 出力段での高域歪が少なくなっていることが推測される (B)LME49720 四種類の中で一番良い歪率特性で 10KHz での特性が一番よくなっている 理由は オペアンプの周波数特性の良さが起因している

9 2012-9 (C)TL072 高域主は数 (10KHz) では オペアンプ特有の周波数特性の影響が出て 中低域と 比較して歪率特性が悪くなっている (D)JRC4558 TL072 と同様に 負荷 50Ω 時では 10KHz の特性が良くない 負荷 300Ω では 10KHz の特性もまあまあの特性となっている

10 2012-9 6-2. 音質について特性の比較の項のデータにあるように オペアンプ (B)LME49720 のデータが4 種類の中で一番よいが 聴感上でも一番いいという結果であった 音の滑らかさや深みが感じられ 歪が少ないことが聴感上でもわかる 次に良いのが OPA2134 であった 音の解像度も十分であるが LME49720 と比較して音の深みが少ない TL072 JRC4558 はオーディオ用では無いということもあるのだろうか一部刺激的な音がする場合がある 視聴に使用したヘッドホーン : ウルトラゾーン Pro2900 でインピーダンスは 40Ωを使用して行った ほかに SONY MDR-Z1000 ゼンハーザー HD650 があるが アンプ自体の音質評価には解像度が高い Pro2900 が合っていると思っている 音源 : ヤマハ ネットワーク プレーヤー NP-S2000 を使用し NAS(LAN Disk A35DF) にリッピングしてある CD 音源を中心に行った なお 使用した入出力のコンデンサーは 一応オーディオ用と称して販売されているも のであるが もっと高音質なものに交換すれば さらに良好な音質が得られるものと思う

11 2012-9 CDTLab (Circuit Design Technology Laboratory) http://www.cdtlab.jp