融合規則 ( もっとも簡単な形, 選言的三段論法 ) ll mm ll mm これについては (ll mm) mmが推論の前提部になり mmであるから mmは常に偽となることがわかり ll mmはllと等しくなることがわかる 機械的には 分配則より (ll mm) mm (ll mm) 0 ll m

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Transcription:

知識工学 ( 第 5 回 ) 二宮崇 ( ninomiya@cs.ehime-u.ac.jp ) 論理的エージェント (7 章のつづき ) 証明の戦略その 3 ( 融合法 ) 証明の戦略その 1 やその 2 で証明できたときは たしかにKKKK ααとなることがわかるが なかなか証明できないときや 証明が本当にできないときには KKKK ααが成り立つのか成り立たないのかわからない また どのような証明手続きを踏めば証明できるのか定かではない そこで 必ず有限時間で終了する完全な推論の方法である融合法を紹介する 融合法はその基本戦略として背理法を用いる つまり KKKK ααが充足不能であることを示すことで KKKK ααを示す 1. KKKK ααを連言標準形 (conjunctive normal form: CNF) に変換する 連言標準形は次の形をした文である (ll 1,1 ll 1,2 ) (ll 2,1 ll 2,2 ) (ll nn,1 ll nn,2 ) ただし ll ii,jj はリテラルと呼ばれ リテラルは命題記号または命題記号の否定のいずれかである 命題記号は正リテラル 命題記号の否定は負リテラルとも呼ばれる (ll ii,1 ll ii,2 ) は節と呼ばれる KKKK ααを CNF に変換した結果の節集合をKKKK とする 2. 節集合 KKKK ( 知識ベース + αα) に対し融合規則を適用し KKKK RRとなるRRをみつけRRを節集合 KKKK に追加する (KKKK は更新される ) この操作( 推論 ) をKKKK RRと書くことにする 3. 追加できる新しい節がない場合 KKKK ααが証明されたことになる 4. KKKK 0となれば KKKK ααが証明されたことになる 5. 2. に戻る 1

融合規則 ( もっとも簡単な形, 選言的三段論法 ) ll mm ll mm これについては (ll mm) mmが推論の前提部になり mmであるから mmは常に偽となることがわかり ll mmはllと等しくなることがわかる 機械的には 分配則より (ll mm) mm (ll mm) 0 ll mmであり 縮小律 (And 除去 ) により ll mm llが成り立つ 従って (ll mm) mm llとなる または真理値表で確認しても成り立つことがわかる 融合規則 ( 長さ 2 の節の場合 ) ll mm mm nn ll nn これについては分配則を 2 回適用し 縮小律 (And 除去 ) を適用すれば 結論部が得られる もしくは 真理値表を書けばこの推論が成り立つことがわかる 融合規則 ( 一般 ) ll 1 ll ii mm mm nn 1 nn jj ll 1 ll ii nn 1 nn jj これについては長さ 2 の場合の融合規則におけるllやnnにll 1 ll ii やnn 1 nn jj を代入すれば成り立つことがわかる 融合規則においては 二つの節が選言で融合することになるがその場合に同じリテラルが複数個出現した場合それらを一つに簡単化できる ( 簡単化しなければいけない ) 例えば (AA BB) と (AA BB) を融合すれば AA AAとなるが これはAAに簡単化される この操作をファクタリング (factoring) という 融合規則をKKKK に対し適用し 偽 (= 0) が出現すれば 全体 (KKKK αα) が充足不能である ということが証明できたことになり 背理法によりKKKK ααとなることがわかる 偽が出現せず 融合規則をもう適用できなくなれば 全体 (KKKK αα) を真とする何らかのモデルを割り当てることができ その場合はKKKK ααが成り立たないことがわかる 2

偽の出現については 例えば mm 0 mm となる場合であり これは KKKK αα RR 1 RR nn mm mm 0 となることを意味しており 全体が 充足不能となる 連言標準形(CNF) への変換次に 最初のステップである CNF への変換について説明する 任意の論理式は CNF に変換可能である 次の CNF への変換手続きは次のようになる 1. αα ββを (αα ββ) (ββ αα) に置き換えることで を除去する 2. αα ββを αα ββに置き換えることで を除去する 3. 次の論理的同値関係を使うことで否定 ( ) を内側へいれていく αα αα 二重否定除去 (αα ββ) αα ββ (αα ββ) αα ββ ド モルガンの法則 ド モルガンの法則 4. 次の論理的同値関係を使うことで を に対して可能な限り分配する αα (ββ γγ) (αα ββ) (αα γγ) この手続きによって CNF となる 例 BB 1,1 PP 1,2 PP 2,1 1. の除去 BB 1,1 PP 1,2 PP 2,1 PP 1,2 PP 2,1 BB 1,1 2. の除去 BB 1,1 PP 1,2 PP 2,1 PP 1,2 PP 2,1 BB 1,1 3

3. を内側にいれる BB 1,1 PP 1,2 PP 2,1 PP 1,2 PP 2,1 BB 1,1 4. を に対して分配 BB 1,1 PP 1,2 PP 2,1 PP 1,2 BB 1,1 PP 2,1 BB 1,1 融合法の完全性節集合 SSに対し 融合規則を可能な限り適用した結果の節の集合をRRRR(SS) とする 命題記号は有限であり ファクタリングにより一つの節の中に同じリテラルは二度出現しないため RRRR(SS) は有限のサイズとなる 従って 融合規則の適用は必ず終了する 基礎融合定理 (ground resolution theorem) 節集合 SS が充足不能 RRRR(SS) が偽を含む 右から左は明らかに成り立つので 節集合 SSが充足不能 RRRR(SS) が偽を含むを証明すれば良い これは この対偶を証明すれば良い RRRR(SS) が偽を含まない 節集合 SSは充足可能 RRRR(SS) が求まり 偽が含まれなければ 全体を真とするモデル ( 各命題記号に対する真理値の割り当て ) を必ず与える手続きが存在し そのため 上の基礎融合定理が成り立つ 実際にワンパスワールドの例を融合法で解いてみる ワンパスワールドの例 R 1 : PP 1,1 R 2 : R 3 : BB 1,1 PP 1,2 PP 2,1 BB 2,1 PP 1,1 PP 2,2 PP 3,1 4

R 4 : BB 1,1 R 5 : BB 2,1 KKKK = {R 1, R 2, R 3, R 4, R 5 }, QQ: PP 1,2 PP 2,1 としたとき KKKK QQ が成り立つか否か? KKKK QQ PP 1,1 BB 1,1 PP 1,2 PP 2,1 BB 2,1 PP 1,1 PP 2,2 PP 3,1 BB 1,1 BB 2,1 PP 1,2 PP 2,1 BB 1,1 PP 1,2 PP 2,1 に対し の除去を適用し BB 1,1 PP 1,2 PP 2,1 PP 1,2 PP 2,1 BB 1,1 続いて を除去し 否定を内側に入れ 分配則を適用する BB 1,1 PP 1,2 PP 2,1 PP 1,2 PP 2,1 BB 1,1 BB 1,1 PP 1,2 PP 2,1 PP 1,2 PP 2,1 BB 1,1 BB 1,1 PP 1,2 PP 2,1 PP 1,2 BB 1,1 PP 2,1 BB 1,1 1 同様に BB 2,1 PP 1,1 PP 2,2 PP 3,1 に対し の除去を適用し BB 2,1 PP 1,1 PP 2,2 PP 3,1 PP 1,1 PP 2,2 PP 3,1 BB 2,1 続いて を除去し 否定を内側に入れ 分配則を適用する BB 2,1 PP 1,1 PP 2,2 PP 3,1 PP 1,1 PP 2,2 PP 3,1 BB 2,1 BB 2,1 PP 1,1 PP 2,2 PP 3,1 PP 1,1 PP 2,2 PP 3,1 BB 2,1 BB 2,1 PP 1,1 PP 2,2 PP 3,1 PP 1,1 BB 2,1 PP 2,2 BB 2,1 PP 3,1 BB 2,1 2 クエリーの否定を中にいれ PP 1,2 PP 2,1 = PP 1,2 PP 2,1 3 123 より KKKK QQ PP 1,1 BB 1,1 PP 1,2 PP 2,1 PP 1,2 BB 1,1 PP 2,1 BB 1,1 BB 2,1 PP 1,1 PP 2,2 PP 3,1 PP 1,1 BB 2,1 PP 2,2 BB 2,1 PP 3,1 BB 2,1 BB 1,1 BB 2,1 PP 1,2 PP 2,1 ここで KKKK QQ が矛盾することを証明する PP 1,2 BB 1,1, BB 1,1 PP 1,2 PP 2,1 BB 1,1, BB 1,1 PP 2,1 5

PP 1,2 PP 2,1, PP 1,2 PP 2,1 PP 2,1, PP 2,1 0 よって矛盾することが証明された 従って背理法より KKKK QQ が成り立つ 付録 : 融合法の完全性の証明の詳細 RRRR(SS) が偽を含まない 節集合 SSは充足可能このことを証明する RRRR(SS) が求まり 偽が含まれなければ 全体を真とするモデル ( 各命題記号に対する真理値の割り当て ) を必ず与える手続きが存在する その手続きは次のようになる SSに出現する命題記号をPP 1,, PP kk とする 1からkkまでiiを動かしながら PP ii を含み かつそれまでに選ばれたPP 1,, PP ii 1 への真理値割り当てのもとで他のリテラルがすべて偽となるような節がRRRR(SS) に存在する場合 偽をPP ii に割り当てる そのような節が存在しなければ PP ii に真を割り当てる この手続きにより 全体を真とするモデルが与えられるため 基礎融合定理が成り立つ 最後に この手続きで与えられる真理値割り当てがSSのモデルとなることを数学的帰納法で証明する PP 1,, PP ii 1 まで真理値割り当てが終わっていて その割り当てにより真偽が決定される節には偽となる節は存在しないと仮定する 今 PP ii の真理値を決めようとしているとする このとき ある節 CCが偽になる場合は CCが (0 0 0 PP ii ) となるか (0 0 0 PP ii ) となるかのどちらかであるが RRRR(SS) にこの一方しか含まれない場合は CCが真になるようPP ii の値を決めれば良い 問題はRRRR(SS) にこの両方が含まれる場合であるが 融合法により融合規則を可能な限り適用した後であるため これらの二つを融合した (0 0 0) = 0となる節が存在していることになる しかし これは仮定に反する よって RRRR(SS) に上記の二つの節が同時に含まれることはない 従って 数学的帰納法により この真理値割り当ての手順でSS 全体を真とするモデルを作ることができる ( 証明終 ) 6

第 4 回と第 5 回のまとめ 証明の戦略その 1 ( 普通の証明 ) 1. KKKK RRとなるRRをみつけRRを知識ベースに追加する ( 知識ベースは更新される ) この操作 ( 推論 ) をKKKK RRと書くことにする 2. KKKK ααとなれば KKKK ααが証明されたことになる 3. 1. に戻る 証明の戦略その 2 ( 背理法による証明 ) 1. KKBB = KKKK ααとする 2. KKKK RRとなるRRをみつけRRを知識ベースKKKK に追加する ( 知識ベースKKKK は更新される ) この操作( 推論 ) をKKKK RRと書くことにする 3. KKKK 0となれば KKKK ααが証明されたことになる 4. 2. に戻る 推論規則 (KKKK RR) 推論規則 KKKK RRには 伴意関係 KKKK RRや論理的同値関係 KKKK RRを用いることができる 7

証明の戦略その 3 ( 融合法 ) 1. KKKK αα を連言標準形 (CNF) に変換し その節集合を KKKK とする 連言標準形は次の 形をした論理式である (ll 1,1 ll 1,2 ) (ll 2,1 ll 2,2 ) (ll nn,1 ll nn,2 ) ただし ll ii,jj は正リテラル ( 命題記号 ) か負リテラル ( 否定のついた命題記号 ) である (ll ii,1 ll ii,2 ) は節と呼ばれる 2. 節集合 KKKK に対し融合規則を適用し KKKK RR となる RR をみつけ RR を節集合 KKKK に追加 する (KKKK は更新される ) この操作 ( 推論 ) を KKKK RR と書くことにする 3. 追加できる新しい節がない場合 KKKK αα が証明されたことになる 4. KKKK 0 となれば KKKK αα が証明されたことになる 5. 2. に戻る 融合法での推論規則 (KKKK RR) 融合法で用いる推論規則は融合規則ただ一つのみ 連言標準形 (CNF) への変換 ll 1 ll ii mm mm nn 1 nn jj ( 融合規則 ) ll 1 ll ii nn 1 nn jj 1. αα ββ を (αα ββ) (ββ αα) に置き換えることで を除去する 2. αα ββ を αα ββ に置き換えることで を除去する 3. 次の論理的同値関係を使うことで否定 ( ) を内側へいれていく αα αα 二重否定除去 (αα ββ) αα ββ (αα ββ) αα ββ ド モルガンの法則 ド モルガンの法則 4. 次の論理的同値関係を使うことで を に対して可能な限り分配する αα (ββ γγ) (αα ββ) (αα γγ) 8