リハビリテーション科 2002 1. 国際障害分類でいう活動 =Activity の障害 ( 旧国際障害分類呼称では能力障害 =Disability) を評価するのはどれか a. 徒手筋力検査 b. 脳卒中片麻痺機能検査 c. 知能検査 d. 日常生活動作検査 e. 職業適性検査 解答 解説 1980 年に採択された WHO の国際障害分類では 障害 について 3 つの概念規定をし それぞれについて次のように分類している 1. 機能障害 (impairment) 心理的 生理的 解剖的な構造又は機能のなんらかの喪失又は異常 2. 能力低下 (disability) 人間として正常とみなされる方法や範囲で活動していく能力の( 機能障害に起因して起こる ) なんらかの制限や欠如 3. 社会的不利 (handicap) 機能低下や能力低下の結果として その個人に生じた不利益であって その個人にとって正常な役割 ( 年齢 性別 社会文化的など ) を果たすことが制限されたり妨げられたりすること しかしその一方で 障害 の考え方について積極的なとらえ方をしても良いのではないか という指摘 批判が起こり 1999 年に 国際障害者分類の改正試案 が提唱され 2001 年から新たに 国際障害者分類第 2 版 (ICIDH-2) が決定された ICIDH-2 では従来の ICIDH の考えからさらに踏み込んだ考え方になった 国際障害者分類 (ICIDH) 機能障害 (impairment) 国際障害者分類第 2 版 (ICIDH-2) 機能 構造 / 機能 構造の変調 (body functions and structure) 能力低下 (disability) 社会的不利 (handicap) 活動 / 活動制限 (activity) 参加 / 参加制約 (participation) 新しい分類では 機能低下 を 機能 構造 能力低下 を 活動 社会的不利 を 参加 とし 問題があるために否定的になる部分をそれぞれ変調 制限 制約と考えて
いる また ICIDH の考え方では 機能障害の結果能力低下が起き 社会的不利が発生する としていたものを ICIDH-2 では 機能障害 = 能力低下 ではないことを示している これは能力低下の原因が単にその人固有の問題 ( 個人因子 ) だけではなく 物理的 社会的 制度的な多くの 環境因子 によっても異なっており それぞれの背景因子によって影響を受けるものであると言う考え方から 障害は環境因子によって大きな影響を受けるものであると示されている 選択肢を見ると a~d は 機能障害に起因して起こるなんらかの制限や欠如 に対する検査であるが e の職業適性検査は明らかにこの範疇ではない 答え :e 2. 肩関節外転 60 度とは肩関節を a. 外方に 60 度開いた状態 b. 外方に 120 度開いた状態 c. 外方に 60 度捻った状態 d. 外方に 120 度捻った状態 e. 前方に 60 度挙げた状態 解答 解説 外転と内転とは 多くは前額面の運動で 体幹から手指の軸から遠ざかる動きが外転 近づく動きが内転である よって答えは a 3. 疾患と評価方法の組み合わせで正しいのはどれか a. パーキンソン病 -Milani 運動発達検査 b. 脳卒中片麻痺 -Sherrard 分類 c. 脊髄損傷 -ASIA 分類 d. 脳性麻痺 -Hoen Yahr 重症度分類 e. 二分脊椎 -Brunnstrom 機能評価 解答 解説 a. パーキンソン病の障害度分類は Hoen Yahr 重症度分類が最も普及している 重症度 Ⅰ Hoen Yahr 重症度説明片側のみの障害で 機能低下はあってもごくわずかである
Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 両側性または体幹の障害や平衡機能障害はない 姿勢反射障害の初期兆候がみられ 方向転換とか閉脚 閉眼あるいは起立時に体を押された際に不安定となる 身体機能は軽度から中等度に低下するが 仕事によっては労働可能でADL は介助を必要としない 病状は進行して 重症の機能障害を呈する 歩行と起立保持には介助を必要としないが ADLで一部介助を要する 全面的な介助を必要とし 臥床状態 c. 外傷性脊髄損傷の診断 評価は神経学的診断法 ASIA の標準脊髄損傷神経機能評価法 機能障害尺度 (ASIA impairment scale) Frankel 尺度などが用いられる ASIA 分類は アジア諸国で決めたスタンダード なわけはなく American Spinal Injury Association の略だそうです ASIA Impairment Scale A complete S4-5 運動知覚完全麻痺 B incomplete 運動完全麻痺 / 知覚 S4-5 残存 C incomplete 運動不全麻痺 (MMT<3) D incomplete 運動不全麻痺 (MMT>=3) E normal 運動知覚正常 b d e: 特に機能評価に名前は付いていない模様 4. 廃用症候群でないのはどれか a. 関節拘縮 b. 心肺機能低下 c. 起立性低血圧 d. 精神活動低下 e. 自律神経過反射 解答 解説 ( 概要 ) 廃用症候群とは 寝たきり老人などで長期的かつ過度の安静が保たれ 身体機能 ( 骨 関節 靱帯 筋肉など ) を使わないうちにその機能が失われることを言う しばしば種々の合併症を伴う 具体的には筋力低下 筋萎縮 骨萎縮 関節拘縮 起立性低血圧
褥瘡 精神活動の低下 心肺機能低下などがある 予防がきわめて大事である 1 褥瘡 拘縮を防ぐために体位変換をたびたび (2 時間毎 ) 行う 2 心肺機能の低下 歩行障害などを防ぐために段階的に運動させる 3 温熱療法 ( 代謝促進 筋緊張緩和 鎮痛作用を期待 ) 答え :e 5. 脳卒中のリハ訓練内容とその条件の組み合わせで間違っているのはどれか a. 発病早期の可動域訓練 - 筋緊張亢進 b. 起座呼吸の開始 - 意識障害が JCS で 30 c. 座位訓練の中止 - 血圧低下 30mmHg d. 共同運動の抑制 - 脳卒中片麻痺機能検査 Brunnstrom Stage 4 e. 移乗動作の介助法指導 -ADL の Barthel 指数が 40 解答 解説 正直言って よくわかりません 教科書を見ても脳卒中のリハだけで 10 頁以上あり わけがわからないうえ この設問に答え得る情報がありませんでした ただ 起座呼吸の開始は JCS で 1 桁まで回復してから行うそうなので 答えは b のようです ほんと すみません
2003 年卒業試験問題リハビリテーション科 各問題で適切な回答を一つ選択し 解答用紙に記入しなさい 1. 国際生活機能分類 :ICF( 旧呼称 : 国際障害分類 ICIDH) でいう活動 (Activity) の障害 ( 旧呼称では能力障害 =Disability) を評価するのはどれか a. 徒手筋力検査 b. 脳卒中片麻痺機能検査 c. 知能検査 d. 日常生活動作 e. 職業適性検査 2. 関節の運動方向で正しいのはどれか a. 肩関節屈曲 : 上腕骨を前方に上げる b. 肩関節外転 : 上腕骨を外方にひねる c. 肩関節外旋 : 上腕骨を外側方向に上げる d. 前腕回外 : 手掌を内側下方に向ける方向に前腕をひねる e. 手関節背屈 : 手関節を手のひらの方向に動かす 3. 座位で膝伸展を指示したら 患者は膝関節を完全伸展できた しかし下腿に手を乗せて軽い抵抗を加えたところ 膝関節を伸展できなかった このときの筋力は下記のどれか a.5(n) b.4(g) c.3(f) d.2(p) e.1(t) 4. 疾患と評価方法の組み合わせで正しいのはどれか a. パーキンソン病 - Milani 運動発達検査 b. 脳卒中片麻痺 - Sharrard 分類 c. 脳性麻痺 - Stein Brocker 分類 d. 二分脊椎 - Brunnstorm 機能評価法 e. 脊髄損傷 - ASIA 分類
5. リハで用いられる評価法と評価対象の組み合わせで誤っているのはどれか a.ashworth scale: 筋緊張 b.brunnstorm stage: 脳性麻痺評価 c.hoen Year 分類 : パーキンソン病 d.functional Independence Measure: 日常生活動作 e.american Spinalcord Injury Association: 脊髄損傷評価 6. 脳卒中片麻痺の運動機能障害を評価する基準としてもっとも適当な現象をひとつ選択せよ a. 固縮 b. 痙縮 c. 筋力 d. 不随意運動 e. 共同運動 7. 下記の中で高次脳機能障害はどれか a. 嘔気 b. 半盲 c. 頭痛 d. 失認 e. 耳鳴 8. 脳卒中片麻痺で廃用症候群でないのはどれか a. 自律神経過反射 b. 心筋機能低下 c. 起立性低血圧 d. 関節拘縮 e. 知的機能低下 9. 脳卒中のリハ訓練内容とその目安との組み合わせで誤っているのはどれか a. 間接可動域訓練を重点的に行う - 筋緊張亢進 b. 起座訓練を開始する - 意識障害がJCSで30 c. 坐位訓練を中止する - 血圧 30mmHg 低下した d. 共同運動抑制訓練を行う - 片麻痺運動機能が Brunnstorm Stage で4 e. 移乗動作の介助法を家族指導 - ADL の Barthel 指数が 30 点
10. 青年男性の脊髄損傷完全麻痺で屋内日常生活動作の自立が期待される損傷高位はどれか a. 第 3 頚髄節残存 b. 第 6 頚髄節残存 c. 第 6 胸髄節残存 d. 第 1 腰髄節残存 e. 第 3 腰髄節残存 11. 大腿切断で起きやすい拘縮はどれか ア. 屈曲位拘縮イ. 伸展位拘縮ウ. 内旋位拘縮エ. 内転位拘縮オ. 外転位拘縮 a. アイ b. イウ c. ウエ d. エオ e. アオ 12. 大腿切断に使用されない義足部分 ( パーツ ) はどれか a. 坐骨収納式ソケット b. 四辺形ソケット c.ptbソケット d. 多軸膝継ぎ手 e. エネルギー蓄積式足部 13. 多軸膝継ぎ手の特徴を示す文章で誤っているものを選べ a. 膝関節相当部に床に座れるように回旋できるように製作されたものである b. 膝関節相当部の回転中心は屈曲 伸展角度に対応して移動する c. 多くの多軸膝継ぎ手は膝伸展時に回転中心が後上方に位置して膝折れを防止する d. 回転中心は義足の安全性と操作性の特性を表現できるように設計されて作製される e. 遊脚相または立脚相の膝の運動を制御する機構を組み込んで作成することが可能である 14. 短下肢装具で固定する身体部位はどれか a. 股関節 b. 膝関節 c. 足関節 d. 膝関節と足関節と足部
e. 足関節と足部 15. 健康保険法で支給できない補装具はどれか a. 車椅子 b. 訓練用仮義足 c. 治療用短下肢装具 d. 治療用長下肢装具 e. 治療用短対立装具 16. 両手関節に疼痛 腫脹 局所熱感がある関節リウマチ患者に禁忌のリハアプローチはどれか a. 関節保護法を指導する b. 手関節固定相具を作製する c. 家事用自助具を導入する d. 他動的伸張運動で可動域を増大させる e. 等尺性運動で筋力増強訓練をする 17. 脳性麻痺の定義で正しいのはどれか a. 遺伝性に生じる b. 脳の非進行性病変による c. 病型は変形しない d.2 歳を過ぎて発症する e. 進行性疾患である 18. 出世以後 4 ヶ月の児の特徴はどれか a. 全身が屈曲優位 b. 緊張性頸部反射が支配 c. 抗重力姿勢 運動の出現 d. 体軸内の回旋運動が出現 e. パラシュート反応の出現 19. 変形性膝関節症に対する理学療法で誤っているのはどれか a. ホットパックを用いて温熱療法をする b. 極超短波を用いて温熱療法をする c. 洋式便器 ベッドの導入を指導 支援する d. しゃがみ立ち運動による大腿四頭筋筋力強化 e. 自動運動による膝関節可動域の維持訓練
20. 地域リハビリテーションを示すもっとも正しい表現はどれか a. プライマリーケア段階のリハビリテーション b. 発病早期に地域医療機関が行うリハビリテーション c. 障害が回復する時期のリハビリテーション d. 障害を維持する時期の在宅リハビリテーション e. 終末期の緩和ケアに協力するリハビリテーション
2003 年リハビリテーション科卒業試験 解答 解説 水落先生にお聞きしたので信頼度は高いと思われます 1.d 1980 年に採択された WHO の国際障害分類 ICIDH では 障害 について 3 つの概念規定をし それぞれについて次のように分類している 機能障害 (impairment) 心理的 生理的 解剖的な構造又は機能のなんらかの喪失又は異常 能力低下 (disability) 人間として正常とみなされる方法や範囲で活動していく能力の( 機能障害に起因して起こる ) なんらかの制限や欠如 社会的不利 (handicap) 機能低下や能力低下の結果として その個人に生じた不利益であって その個人にとって正常な役割 ( 年齢 性別 社会文化的など ) を果たすことが制限されたり妨げられたりすること わかりやすくするとこのような感じ 外傷による筋力低下 (impairment) 歩けない (disability) 学校に行けない (handicap) 選択肢を見ると a~c は Impairment の評価法 dは Disability の評価法 e は Handicap の評価法である 2.a a. 肩関節 頸部 体幹では 前方への動きが屈曲 後方への動きが伸展 b. 外転は 体幹から遠ざかるように前額面で動かす c. 肩関節を 90 外転 肘関節を 90 屈曲した肢位 ( このとき肩 肘 手首は同じ高さ ) から 肘から先を外方 ( 上 ) へ回旋する動き d. 手掌を上に向ける動き e. 手関節では 手掌への動きが屈曲 手背への動きが伸展 3.c 5 (Normal): 強い抵抗を加えても それに打ち勝って全可動域を完全に動く 4 (Good): いくらか抵抗を加えても それに打ち勝って全可動域を完全に動く 3 (Fair): 抵抗を与えなければ 重力に打ち勝って全可動域を完全に動く 2 (Poor): 重力を除けば全可動域を完全に動く
1 (Trace): 関節は動かないが 筋の収縮は経度に見られる 0 (Zero): 筋の収縮はまったく見られない 4.e a. パーキンソン病の障害度分類は Hoen Yahr 重症度分類が最も普及している Milani 運動発達検査は乳幼児の運動発達評価 b. 脳卒中片麻痺の運動機能回復評価には Brunnstrom 機能評価法がよく使われる c. Stein Brocker 分類は 慢性関節リウマチの病期の評価 d. 二分脊椎の麻痺レベルによる分類は Sharrard 分類 e. ASIA(American Spinal Injury Association) その名の通り 脊髄損傷の評価 5.b Brunnstrom stage は 脳卒中片麻痺の運動機能回復評価 6.e 脳血管障害による麻痺は 片麻痺が圧倒的に多い 麻痺回復は中枢から末梢へ進み 随意運動の出現 共同運動の出現 ( 屈筋共同運動 伸筋共 同運動 ) 関節分離運動の出現 ( 肘を伸ばしたまま肩を曲げられる など ) と進む この回復の程度を評価するのが Brunnstrom stage である 下の表は Brunnstrom stage をとっても簡単にしたもの 参考にしてください ステージ上肢 下肢 手指 I 動きなし ( 弛緩麻痺 ) 動きなし ( 弛緩麻痺 ) II 連合反応 わずかに握る III 共同運動 握れるが開けない IV 分離運動の開始 横つまみ わずかな伸展 V 個別的な関節運動可能 色々なつまみ 伸展可能 VI 全運動可能 全運動可能 7.d 高次脳機能障害には 痴呆 失語 運動失行 失行認 失認 注意の障害 記憶の障害などがある 原因となる疾患は 脳血管障害 脳外傷 低酸素脳症 脳腫瘍 脳炎など 8.a 廃用症候群とは 安静臥床に伴い 主に運動しないことによって身体機能や精神機能が退行的
すること 適切な予防をしていかないと 原病は軽快したのに二次的な寝たきり状態になる 脳血管障害でおこる廃用症候群は以下のようなものがある 運動器系 ) 筋力低下 筋萎縮 関節拘縮 骨粗鬆症循環器系 ) 起立性低血圧 心予備能低下 深部静脈血栓呼吸器系 ) 肺活量低下 換気障害精神機能 ) 知的機能低下 痴呆 うつ状態消化器系 ) 便秘 食欲低下泌尿器系 ) 失禁 尿路感染症 尿路結石皮膚 ) 褥瘡自律神経過反射は 脊髄損傷の合併症として起こる 9.b 座位訓練の開始基準は JCS1 桁で全身状態が安定していること 中止基準は 血圧が 10mmHg 以上低下したら 5 分後の回復で判断し 30mmHg 以上なら訓練中止 10.c, d, e 脊髄損傷の機能回復 C4 損傷 なかなか人工呼吸器はずせない C5 損傷 腕はないに等しい ( ベッドで半座位可 ) C6 損傷 肘より先が動かない ( 電動型車椅子可 ) C7 損傷 手首より先が動かない ( 標準型車椅子可 ) C8 損傷 指の細かい運動ができない ( 指 1 本でワープロ可 ) 意味がわかりづらい問題で この場合 c.d.e どれも正解になるだろうとのことでした 11.e 大腿切断後 残肢は屈曲外転外旋位をとりやすい 術後は1 日に 1~2 回腹臥位となり 拘縮予防が必要である 12.c 義足は ソケット 継手 足部 というパーツから成る ソケットは断端肢をはめこむところ 継手 joint は関節機能を代替する部分である 坐骨収納型ソケット 四辺形ソケット 大腿義足のソケット PTB ソケット 下腿義足のソケット 多軸膝継ぎ手 膝関節を代替する部分 エネルギー蓄積型足部 ばねの弾力性を利用して ランニングができる足部
13.a 正常歩行に近い義足歩行ができるように さまざまな工夫がされている 多軸継手は 膝の角度によって回転中心が変化するしくみの継手である 立脚相制御 立脚相とは 歩行時に足が地面についている時のこと 膝を伸展させた状態で 踵を地面につけると 回転中心が後上方へ移動して膝折れを防ぐ 遊脚相制御 遊脚相とは 歩行時に足が地面から離れているときのこと 下腿の前方振り出しの補助 遊脚末期の下腿振り出し減速をする 14.c 短下肢装具 :ankle foot orthosis(afo) short leg brace(slb) 下腿から足底にかけての装具で 足関節を制御する 適応は 尖足 下垂足 麻痺足などの背屈力補助 ちなみに 長下肢装具 :knee ankle foot orthosis(kafo) long leg brace(llb) は 大腿から足底にかけての装具で膝関節と足関節を制御する 15.a 車椅子は健康保険法で支給できないらしいです 16.d リウマチ患者のリハアプローチは 病期によって異なる 急性炎症期局所の安静 疼痛の除去が最優先される 固定用装具など 回復期 関節手術後積極的なリハビリテーションを行う 自動介助間接可動域訓練 等尺性筋力強化訓練 ( 関節運動を生じない訓練 ) 自助具の導入など 慢性期 安定期障害予防に重点を置き 患者教育 日常生活指導を行う 矯正装具 関節保護法指導 全身運動 家事動作訓練など 安静が優先される急性炎症期に 他動的に関節を動かしてはいけないので d は禁忌 17.b 脳性麻痺の定義は 受胎から生後 4 週間までの間に生じた脳の非進行性病変にもとづく 永続的な しかし変化しうる運動および姿勢の異常である ( 厚生省研究班による ) 原因はさまざまだが 新生児仮死や黄疸などの周産期のものは減りつつあり 未熟児や脳の奇形によるものが増えてきている
18.c a. 全身屈曲優位なのは生後 2 週目まで b. 緊張性頚反射はだいたい 4 ヶ月までに消失する ( 原始反射 ) c. 生後 4 ヶ月では抗重力姿勢 運動の発達がみられる ( 腹ばいになって安定した on elbow 頭部の正中位での保持 ) d. 体軸内回旋運動がでてくるのは 5 ヶ月頃 寝返りができるようになる e. パラシュート反応は 4 ヶ月を過ぎたあたりから出現する中脳レベルの反射 *Milani の発達評価表を参考に解答を作っています 小児科の教科書だと 緊張性頚反射の消失は 3~6 ヶ月頃 パラシュート反応出現も 3~6 ヶ月頃と もっと幅が広くなっています 19.d 症状を軽減させるために 正座を避ける 杖をつく 一歩一歩穏やかに歩くことが大切 また 体重が関節への負荷を高めるので減量のための栄養指導も行われる 痛みにはホットパックなどを用いた温熱療法と 装具が有効である 大腿四頭筋の筋力トレーニングは必要だが 仰臥位で膝を伸展させたまま 下肢を挙上させて行う しゃがみ立ちは膝に負担がかかるので良くない 20.d 地域リハビリテーションとは 障害を持つ人々や高齢者が 地域社会において通常の市民と変わらない生活を獲得すること ( ノーマライゼーション ) である 地域リハビリテーションの2つの課題は 社会参加と円満な家庭生活の確立である この2つの課題を達成するのに 保健 医療 福祉の連携と介護保険が大きな役割を果たす
横浜市立大学医学部平成 16 年度卒業試験問題リハビリテーション科 平成 16 年 11 月 22 日 横浜市立大学医学部平成 16 年度卒業試験問題 リハビリテーション科 各問題で適切な回答を一つ選択し 解答用紙に記入しなさい * 問 20 には正解はありません 自分の考えに最も近い選択肢を一つ選んでください 全員 正解として採点しますが 無回答の場合は減点します * 水落先生から 全員受かる 去年と同じ問題は出さない!? と言われました でも一昨年のと比べると 同じような問題もあるので 見てみてください
横浜市立大学医学部平成 16 年度卒業試験問題リハビリテーション科 1. 日常生活活動 (ADL) に含まれないのはどれか a. 更衣 b. 会話 c. 食事 d. 排泄 e. 移乗 解答 b *7 大 ADL(activities of daily living) 1 移動 2 食事 3 排泄 4 入浴 5 着替 6 整容 ( 身だしなみ ) 7 意思疎通 * 判定にあたっては 補装具や自助具等の器具を使用した状態であっても差し支えない 2. 基本肢位 ( 関節可動検査の 0 ) で正しいのはどれか a. 直立位で掌 ( 手のひら ) を前方に向けた姿勢 b. 直立位 ( 気をつけの姿勢 ) c. 背臥位 d. 開脚立位 e. 椅子座位 解答 b 3. 座位で膝伸展を指示したところ 患者は膝関節を完全伸展することはできなかったが 側臥位で 検者が下肢を支えると完全伸展できた このときの筋力はどれか a.5(n) b.4(g) c.3(f) d.2(p) e.1(t)
横浜市立大学医学部平成 16 年度卒業試験問題リハビリテーション科 解答 d 筋力の表示法 判定基準 正常 (normal) 5 強い抵抗を加えてもなお重力に打ち勝って完全に動く 優 (good) 良 (fair) 可 (poor) 不可 (trace) ゼロ (zero) 4 いくらか抵抗を加えてもなお重力に打ち勝って完全に動く 3 抵抗を加えなければ重力に打ち勝って動く 2 重力を除けば関節が動く 1 関節は動かないが筋収縮は認められる 0 筋の収縮も認められない 4. リハビリテーション専門職と専門業務との組合せで誤っているのはどれか a. 理学療法士 (PT) 歩行訓練 b. 作業療法士 (OT) 自助具作製 c. 言語聴覚士 (ST) 失語症訓練 d. 医療ソーシャルワーカー (MSW) 福祉制度利用の手続き e. 義肢装具士 (PO) 義肢装具の処方解答 e 義肢装具士 : 医師の指示の下に 義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の製作及び身体への適合を行うことを業とする者 義肢装具士法より処方をするのは医師 5. リハビリテーションで用いられる評価法と評価対象との組合せで誤っているのはどれか a.barthel Index ADL b.brunnstrom stage 中枢性運動麻痺 c.sf36 QOL d.milani Comparetti チャート 運動発達 e.vas(visual Analogue Scale) 自覚的運動強度 解答 e Barthel Index :ADL の評価 Brunnstrom stage: 片麻痺の評価 SF36(Short Form 36):QOL の評価 Milani Comparetti チャート : 幼児運動発達評価表 VAS( 視覚アナログ尺度 ): 疼痛スケール ( 良く 痛みはこのものさしで (1~10 で ) どれくらいですか? って聞いてるものです ) 6. 慢性期脳卒中片麻痺患者の麻痺の特徴はどれか ア. 固縮イ. 痙縮ウ. 共同運動エ. 弛緩性麻痺オ. 不随意運動 a. ア イ b. イ ウ c. ウ エ d. エ オ e. ア オ
横浜市立大学医学部平成 16 年度卒業試験問題リハビリテーション科 解答 b 脳卒中 : 上位運動ニューロンが 痙縮 調節なしで下位だけが 共同運動 ( すべて曲げる すべて伸ばす e.t.c.) 固縮 : パーキンソン病が有名弛緩性麻痺 : 下位 筋の障害不随意運動 : 主に基底核障害 7. 右脳損傷で頻度の高い高次脳機能障害はどれか a. 感情失禁 b. 記憶障害 c. 痴呆 d. 半側空間無視 e. 失語 解答 d 半側空間無視 劣位半球頭頂葉障害 感情失禁 : 脳血管性痴呆に見られる 記憶障害 : 側頭葉内側 ( 海馬など ) 痴呆 : 失語 : 左側の障害が多い 8. 発語は流暢だが意味のある文章にはなっておらず 検者の言語指示が全く伝わらない失語症のタイプはどれか a. 運動性失語 ( ブローカ失語 ) b. 健忘失語 c. 感覚性失語 ( ウェルニッケ失語 ) d. 伝道失語 e. 全失語 解答 c 感覚性失語 ( ウェルニッケ失語 ): 理解できないが話せる 運動性失語 ( ブローカ失語 ): 理解できるが話せない健忘失語 : 名詞が出てこない ( 語健忘 ) 伝道失語 : 脳弓のあたりの障害全失語 : 感覚 運動 9. 頸髄損傷患者の理学療法中に頭痛を訴え血圧が急激に上昇した 原因は何か a. 深部静脈血栓症 b. 自律神経過反射 c. 起立性低血圧 d. 無気肺 e. 迷走神経反射
横浜市立大学医学部平成 16 年度卒業試験問題リハビリテーション科 解答 b 自律神経過反射 : 発作時に徐脈 頭痛 胸内苦悶 上半身発汗上昇 膀胱内の尿の貯留が誘因となる 深部静脈血栓症 : 下肢の腫脹起立性低血圧 : 大内臓神経 ( 交感神経 ) の切断による 無気肺 : 直接的な因果関係なし?? 迷走神経反射 : 血圧低下 10. 脊髄損傷の総合的機能評価表 ASIA(American Spinal cord Injury Association)Scale において 髄節と対応する運動筋群との組合せで誤っているのはどれか a. 第 5 頸髄節 肘屈筋群 b. 第 7 頸髄節 肘伸筋群 c. 第 1 胸髄節 指屈筋群 d. 第 2 腰髄節 股屈筋群 e. 第 1 仙髄節 足底屈筋群 解答 c
横浜市立大学医学部平成 16 年度卒業試験問題リハビリテーション科 11.ASIA Scale において 髄節と対応する表在感覚部位との組合せで誤っているのはどれか a. 第 3 頸髄節 頸周囲 b. 第 4 胸髄節 乳頭周囲 c. 第 10 胸髄節 臍周囲 d. 第 1 腰髄節 鼠径部周囲 e. 第 2 仙髄節 肛門周囲 解答 e http://www.jsrs.jp/html/one_point/doc/skato001.pdf 標準 p.362 12. 高齢者の下肢切断原因で頻度の高いものはどれか ア. 外傷イ. 腫瘍ウ. 末梢循環障害エ. 糖尿病性壊疽オ. 感染 a. ア イ b. イ ウ c. ウ エ d. エ オ e. ア オ 解答 c
横浜市立大学医学部平成 16 年度卒業試験問題リハビリテーション科 13. 疾患と補装具との組合せで誤っているのはどれか a. パーキンソン病 四輪歩行器 b. 変形性脊椎症 コルセット c. 関節リウマチ 自助具 d. 脳卒中片麻痺 短下肢装具 e. 脊髄損傷 尿収器 解答 a Parkinson 病には運動療法として 視聴覚刺激を与えてすくみ足を治す 14. 車椅子に関する記述で誤っているのはどれか a. 普通型車椅子は砂利道も走行できる b. 電動車椅子は道路交通法上歩行者として扱われる c. マラソン競技用車椅子は重心が後方にあり操作性が高い d. 移乗動作を容易にするため座面の高さは足底が床につく高さが良い e. 公共交通機関の旅客施設には車椅子移動に支障をきたさぬよう バリアフリーが義務付けられている 解答 a 砂利道は 実習のときに砂利道が駄目なのを実践したはず!? 15. 変形性膝関節症に対する保存的療法で誤っているのはどれか a. 関節への荷重を軽減するため患側上肢に杖をつかせる b. 疼痛緩和を目的としてホットパックを適用する c. 大腿四頭筋の筋力増強訓練を行う d. 関節動揺がある場合 膝装具を処方する e. しゃがみ動作など 膝関節に負担のかかる動作を避けるよう指導する 解答 a 患側 健側健側の上肢の杖を患側の足代わりにして 患側に負担が掛からないようにする 16. 関節リウマチによる身体障害の特徴で誤っているのはどれか a. リーチ制限 b. 関節拘縮 変形 c. 筋力低下 d. 感覚障害 e. 関節痛 解答 d
横浜市立大学医学部平成 16 年度卒業試験問題リハビリテーション科 17. 脳性麻痺児の二次的身体障害で誤っているのはどれか a. 脊椎変形 ( 側彎 後彎 ) b. 股関節脱臼 c. 膝屈曲拘縮 d. 骨粗鬆症 e. 踵足変形 解答 e 二分脊椎の子供に. 踵足変形が起こる 脳性麻痺児は尖足変形 d 骨粗鬆症は歩行が出来ないことにより 刺激が減り 骨形成 18.7 ヶ月幼児の正常運動発達で誤っているのはどれか a. 頸は完全に座っている b. おすわりができる c. 足把握反射は消失している d. はいはいができる e. パラシュート反応が出現している 解答 c 19. 介護保険法施行により新しく制定された国家資格はどれか a. 介護福祉士 b. 介護支援専門員 ( ケアマネージャー ) c. 社会福祉士 d. 訪問看護師 e. 義肢装具士 解答 b 20.16 歳男子高校生 オートバイ事故による頸髄損傷四肢麻痺 受傷後早期よりリハを開始し 6 週間経過したが 最近 リハビリをしても良くならない こんなことなら死にたい と口にし リハビリを拒否している 担当医 ( 研修医 ) のあなたが取る対応はどれか a. 抗うつ薬など薬物療法を検討する b. 患者さんと二人でゆっくり話し合う時間を設ける c. 指導医に報告し 指示に従う d. パラリンピックの選手など 障害を克服した障害者の例を紹介する e. 臨床心理士に心理テストを依頼し 心理面の問題を明らかにする 解答?? できれば b d は! 落ち込んでいる希死念慮のある人に励ます言葉は禁忌!
1. 国際生活機能分類 (International classification of functioning, disability and health : ICF) でいう活動 (Activity) の制限を評価するのはどれか a. 徒手筋力検査 b. 脳卒中片麻痺機能検査 c.rom 検査 d. 日常生活動作検査 e. 職業適性検査 解答 d 解説 :ICF では障害のある人を包括的に している活動 できる活動 を評価する Disability の評価はdの日常生活動作検査 2. 関節の運動方向とその説明との組み合わせで正しいのはどれか a. 股関節内旋 腰掛け座位で下腿を内方へ回旋する b. 足関節内反 足関節を内返し方向へ回旋する c. 肩関節外旋 上腕骨を外方向に挙上する d. 前腕回外 手掌を内側下方に向ける方向に前腕をひねる e. 手関節背屈 手関節を手のひらの方向に動かす 解答 b 解説 : 股関節内旋 背臥位で 股関節と膝関節を 90 屈曲位にして下腿を外方へ回旋 足関節内反 ( この言葉があるのかわかりませんでした 整形的には内反はアライメントの異常であって 運動を意味しないようです 足関節の内反変形と内返しという関節運動は見た目上は同じなので 他の選択肢が違うことからもこれが正しいのでしょうか?) 肩関節外旋 上腕を体幹に接して肘関節を前方 90 に屈曲した肢位で外方へ回旋 前腕回外 肘を 90 に屈曲し手掌を床に垂直にし 前腕を手背側へひねる 手関節背屈 伸展と同じ 手背側に動かす ( 標準リハビリテーション医学 P.127~) 3. 座位での股関節の屈曲を指示したら 患者は大腿部をわずかに挙上できた 側臥位で股関節の屈曲を指示したら 股関節全可動域にわたって屈曲できた この時の評価筋を筋力との組み合わせで正しいのはどれか a. 腸腰筋 4(G)
b. 大腿四頭筋 3(F) c. 腸腰筋 3(F) d. 大腿四頭筋 2(P) e. 腸腰筋 2(P) 解答 e 解説 : 股関節屈曲の主動作筋は大腰筋 腸骨筋である 徒手筋力検査法 (MMT) は 重力の抵抗に逆らって関節可動域全体にわたって持ち上げられる筋力を 3(Fair) とし かけられる抵抗によって 5(Normal) 4(Good) をその上の段階とし 重力の影響を取り除けば全可動域を動かすことのできる筋力を 2(Poor) 収縮を視診または触診のみで認める状態を 1(Trace) それさえも認めない場合を 0(Zero) とする この問題では重力に逆らってわずかにしか運動できないため 正解は e の腸腰筋 2 といえる (P.133) 4. リハビリテーション専門職と専門業務との組み合わせで誤っているのはどれか a. 理学療法士 (PT) 基本動作訓練 b. 作業療法士 (OT) 自助具作製 c. 言語聴覚士 (ST) 失語症評価 d. 医療ソーシャルワーカー (MSW) 福祉制度利用の手続き e. 義肢装具士 (PO) 義肢装具の処方 解答 e 解説 :b. 自助具とは基本的に日常生活や生活関連動作の障害を改善する道具の一つ 義肢や装具とは異なり 障害者用に考えられた単なる道具や器具のため 処方に医師は必要ではなく 市販されていたり OT 自身により作成される場合が多い e. 装具とは変形の予防や矯正 組織の保護 機能の代償 補助を目的とし 医師により処方される 5. リハビリテーションで用いられる評価法と評価対象との組合せで誤っているのはどれか a.barthel Index ADL b. 線分二等分テスト 失行 c.vas (Visual Analogue Scale) 自覚的疼痛強度
d.sf36 QOL e.ashworth scale 筋緊張 解答 b 解説 : 線分二等分線テストは半側空間無視 ( 失認 ) を調べるためのテスト b 以外は選択肢通り 6. 脳卒中片麻痺の運動機能障害を評価する基準として適当な現象はどれか あ. 共同運動い. 痙縮う. 固縮え. 不随意運動お. 筋力 a. あ い b. い う c. う え d. え お e. あ お 解答 a 解説 : 急性期に弛緩性麻痺を呈するが 約 6 週間経過すると痙性麻痺に移行する. 弛緩性麻痺では車椅子なのに対し 痙性麻痺になれば杖をつきながら歩くことができる. お の筋力低下は 健側廃用症候群の評価としては重要である. 7. 右大脳半球損傷で頻度の高い高次脳機能障害はどれか a. 感情失禁 b. 記憶障害 c. 痴呆 d. 左半側空間失認 e. 失語 解答 d 解説 : 感情失禁は脳梗塞などの脳血管障害に好発し 間脳の脳梗塞との関連性が指摘されている 記憶障害は側頭葉 失語は前頭葉 側頭葉 8. 脳卒中片麻痺の廃用症候群で適切でないのはどれか a. 自律神経過反射 b. 心拍出量低下
c. 起立性低血圧 d. 関節拘縮 e. 精神発動性低下 解答 a 解説 : 廃用症候群とは 安静臥床に伴い 主に運動しないことによって身体機能や精神機能が退行的すること 適切な予防をしていかないと 原病は軽快したのに二次的な寝たきり状態になる 脳血管障害でおこる廃用症候群は以下のようなものがある 運動器系 ) 筋力低下 筋萎縮 関節拘縮 骨粗鬆症循環器系 ) 起立性低血圧 心予備能低下 深部静脈血栓呼吸器系 ) 肺活量低下 換気障害精神機能 ) 知的機能低下 痴呆 うつ状態消化器系 ) 便秘 食欲低下泌尿器系 ) 失禁 尿路感染症 尿路結石皮膚 ) 褥瘡自律神経過反射は 脊髄損傷の合併症として起こる (2003 過去問解説より ) 9. 脳卒中のリハビリテーション訓練内容とその目安との組合せで誤っているのはどれか a. 関節可動域訓練を重点的に行う 筋緊張亢進 b. 起座訓練を開始する 意識障害が JCS で 10 c. 座位訓練を中止する 収縮期血圧が 30mmHg 低下した d. 共同運動抑制訓練を行う 片麻痺運動機能が Brunnstrom StageⅣ e. 家族への介助法を指導する ADL の Barthl 指数が 90 点 解答 b 解説 : 起座訓練は JCS1 桁まで改善してから開始する 10. 脊髄損傷の総合的機能評価表 ASIA(American Spinal Cord Injury Association) Scale において 脊髄節と対応する運動筋群との組合せで誤っているのはどれか a. 第 5 頸髄節 肘関節屈筋群 b. 第 7 頸髄節 肘関節伸筋群 c. 第 8 頸髄節 手関節伸筋群 d. 第 2 腰髄節 股関節屈筋群
e. 第 1 仙髄節 足関節底屈筋群 解答 c 解説 : 第 8 頸髄節は手指屈曲 手関節伸筋群は第 6 頸髄節 11. ASIA Scale において 脊髄節と対応する表在感覚領域との組合せで誤っているのはどれか a. 第 3 頸髄節 頸周囲 b. 第 4 胸髄節 乳頭周囲 c. 第 10 胸髄節 臍周囲 d. 第 1 腰髄節 鼠径部周囲 e. 第 2 仙髄節 肛門周囲 解答 e 解説 : 第 2 仙髄節は大腿後面 肛門周囲は第 5 仙髄節 12. 高齢者の下肢切断原因で頻度の高いものはどれか あ. 外傷い. 腫瘍う. 下肢閉塞性動脈硬化症え. 糖尿病性壊疽お. 感染 a. あ い b. い う c. う え d. え お e. あ お 解答 c 解説 :2004 年過去問解答より 13. 短下肢装具で固定 ( 支持 ) する身体部位はどこか a. 足関節 b. 足関節と足部 c. 膝関節 d. 膝関節と足関節と足部 e. 股関節
解答 b 解説 : 短下肢装具 :ankle foot orthosis(afo) short leg brace(slb) 下腿から足底にかけての装具で 足関節を制御する 適応は 尖足 下垂足 麻痺足などの背屈力補助 ちなみに 長下肢装具 :knee ankle foot orthosis(kafo) long leg brace(llb) は 大腿から足底にかけての装具で膝関節と足関節を制御する (2003 過去問より 参考 P.253) 14. 健康保険で支給できない補装具はどれか a. 車椅子 b. 訓練用仮義足 c. 治療用短下肢装具 d. 治療用長下肢装具 e. 治療用短対立副子 解答 a 解説 : 車椅子は健康保険法で支給できないらしいです (2003 過去問より ) 15. 変形性膝関節症に対するリハビリテーション治療で誤っているのはどれか a. 患側膝関節への荷重を軽減するため患側膝関節と同側の上肢に杖をつかせる b. 疼痛緩和を目的としてホットパックを適用する c. 大腿四頭筋の筋力増強訓練を行う d. 膝関節に動揺がある場合 膝装具を処方する e. しゃがみ動作など 膝関節に負担のかかる動作を避けるよう指導する 解答 a 解説 : 荷重を軽減することを 免荷 といい 杖は健側の上肢につかせる b~eは選択肢通り 16. 両手関節に発赤 腫脹 疼痛がある関節リウマチ患者に禁忌のリハビリテーションアプローチはどれか a. 関節保護法を指導する b. 手関節固定装具 ( 静的副子 ) を作成する
c. 家事用自助具を導入する d. 他動的伸張運動で関節可動域を増大させる e. 等尺性運動で筋力増強訓練をする 解答 d 解説 : リウマチ患者のリハアプローチは 病期によって異なる 急性炎症期局所の安静 疼痛の除去が最優先される 固定用装具など 回復期 関節手術後積極的なリハビリテーションを行う 自動介助間接可動域訓練 等尺性筋力強化訓練 ( 関節運動を生じない訓練 ) 自助具の導入など 慢性期 安定期障害予防に重点を置き 患者教育 日常生活指導を行う 矯正装具 関節保護法指導 全身運動 家事動作訓練など 安静が優先される急性炎症期に他動的に関節を動かしてはいけないので d は禁忌 (2003 過去問より ) 17. 歩行可能な脳性麻痺児の二次的身体障害で誤っているのはどれか a. 脊椎変形 ( 側弯 後弯 ) b. 股関節脱臼 c. 膝関節屈曲拘縮 d. 骨粗鬆症 e. 内反尖足変形 解答 e 解説 : 脳性麻痺の二次的障害とは 身体の筋肉の激しい緊張や力のバランスの崩れが継続的に起こることによって 成人以降に 骨格をゆがめて そのことによって頚椎や脊髄の障害や股関節 膝関節などの関節障害を引き起こすことを言い 関節拘縮 股関節脱臼 脊椎変形 骨萎縮 筋萎縮などがあげられる 内反尖足変形は痙直型の一症状 18. 出生後 4ヶ月の児の特徴はどれか a. パラシュート反応の出現
b. 全身が屈曲優位 c. 緊張性頸反射が支配 d. 抗重力姿勢 運動の出現 e. 体軸内の回旋運動が出現 解答 d 解説 :a パラシュート反応は 4 ヶ月を過ぎたあたりから出現する中脳レベルの反射 b 全身屈曲優位なのは生後 2 週目まで c 緊張性頚反射はだいたい 4 ヶ月までに消失する ( 原始反射 ) d 生後 4 ヶ月では抗重力姿勢 運動の発達がみられる ( 腹ばいになって安定した on elbow 頭部の正中位での保持) e 体軸内回旋運動がでてくるのは 5 ヶ月頃 寝返りができるようになる 19. 地域リハビリテーションを示す表現はどれか a. プライマリーケア段階のリハビリテーション b. 障害に適応して生活する時期の在宅リハビリテーション c. 発病早期に地域医療機関が行うリハビリテーション d. 障害が回復する時期のリハビリテーション e. 終末期の緩和ケアに協力するリハビリテーション 解答 b 解説 : 地域リハビリテーションとは 障害を持つ人々や高齢者が 地域社会において通常の市民と変わらない生活を獲得すること ( ノーマライゼーション ) である 地域リハビリテーションの2つの課題は 社会参加と円満な家庭生活の確立である この2つの課題を達成するのに 保健 医療 福祉の連携と介護保険が大きな役割を果たす (2003 過去問より ) 20. 17 歳の男子 オートバイ事故による頸髄損傷四肢麻痺 ( 第 5 頸髄節まで機能残存 ) 救命救急センター入院後早期よりリハビリテーションを開始し 6 週を経過した 最近 リハビリをしても良くならない 死にたい と口にし 機能訓練に対して消極的になっている 担当医 ( 研修医 ) のあなたが取る対応はどれか a. 抗うつ薬などの薬物療法を検討する b. 患者さんと二人でゆっくり話し合う時間を設ける c. 研修指導医に報告し 指示に従う
d. パラリンピックの選手など 障害を克服した障害者の例を紹介する e. 臨床心理士に心理テストを依頼し 心理面の問題を明らかにする 解答 b? 解説 : 人によると思いますが b 以外はまずbの対応を取ってからでも良いと思うのでここではbとしました
リハビリテーション科 2006 問 1 国際生活機能分類(International classification of functioning, disability and health: ICF) でいう参加 (Participation) の制約を評価するのはどれか (1) 徒手筋力検査 (MMT) (2) 脳卒中片麻痺機能検査 (Brunnstorm 回復ステージ ) (3) 関節可動域 (ROM) 測定 (4) 日常生活活動検査 (Barthel 指数 ) (5) 職業適性検査 解答 (5) 解説障害に関する国際的な分類は ICIDH;WHO 国際障害分類 (1980 年 ) が用いられてきたが 2001 年 その改訂版として ICF が採択された ICF は 1 心身機能 身体構造 2 活動 3 参加に加え 4 環境因子等の影響を及ぼす因子 で構成されている ICIDH では 障害を1 機能障害 2 能力障害 3 社会的不利 の因子で評価し 障害を負の影響とする考え方をしていたが ICF では 環境因子という観点を加え 同じ障害でも個人によって 必ずしも不都合なことばかりでない という価値中立的な考えに転換した特徴がある (1) 身体機能評価 (2) 身体機能の重傷度評価 (3) 身体機能評価 (4) 活動の評価 (5) 社会的参加の制約に関する 問 2 関節可動域測定について誤っているのはどれか (1) 基本肢位を0 とする (2) 自動的可動域測定を原則とする (3) 最小測定範囲は5 とする (4) 関節名 運動方向 角度を記載する (5) 角度計を用いる 解答 (2) 解説 (2) 他動的に最大可動域まで動かした値で測定 問 3 徒手筋力テスト(MMT) で筋力 3(F) の検査を腹臥位で行うのはどれか (1) 三角筋 (2) 上腕二頭筋 (3) 大殿筋 (4) 大腿四頭筋 (5) 下腿三頭筋
解答 (3) 大殿筋解説 (1) 上肢を側方へ挙上させ抵抗を加える (2) 前腕を回外させて肘を屈曲させ抵抗を加える (3) 腹臥位で 膝関節屈曲位で股関節を伸展させ下腿下端に抵抗を加える (4) 座位で 下腿に抵抗を加えて 膝を伸展させる (5) 腓腹筋とヒラメ筋のこと 片脚立位でつま先立ちを繰り返す 休みなく疲れもなしに完全に行える回数が1~9 回のとき F とする 問 4 理学療法士(PT) が行う医療行為で誤っているのはどれか (1) 呼吸訓練 (2) 関節可動域訓練 (3) 物理療法 (4) 気管吸引 (5) 家屋改造指導 解答 (4) 解説 (4) 気管吸引は 医師 看護師のみが行える医療行為 問 5 日常生活活動(ADL) に含まれないのはどれか (1) 食事動作 (2) 排泄コントロール (3) 階段昇降 (4) 移乗動作 (5) 家事動作 解答 (5) 家事動作解説 ADL の評価尺度として Barthel Index が広く用いられている Barthel Index: 1 食事 2 移乗 3 整容 4トイレの出入り 5 入浴 6 歩行 ( 車椅子による移動 )7 階段昇降 8 更衣 9 大便禁制 10 尿禁制 問 6 廃用症候群とその対策との組合せで誤っているのはどれか (1) 筋萎縮 超音波療法 (2) 骨萎縮 起立訓練 (3) 起立性低血圧 段階的座位訓練 (4) 褥瘡 体位変換 (5) 関節拘縮 関節可動域訓練 解答 (1) 解説 (1) 抵抗運動により残存筋の筋力強化を行う
(2) 体重負荷および筋活動による牽引などの機械的刺激が骨の維持に重要 (3) (4) (5) 問 7 脳卒中による片麻痺の症状 所見で誤っているのはどれか (1) 筋線維束攣縮 (2) 共同運動 (3) 腱反射亢進 (4) 痙縮 (5) 感覚障害 解答 (1) 解説 (1) 見られない (2) 脳卒中の運動麻痺に特徴的 各筋肉を独立して動かすことが困難で その運動は屈曲や伸展といった決まったパターンでしか動かすことができない (3) (4) 片麻痺の回復段階で見られる (5) 問 8 左半側空間失認について正しいのはどれか (1) 左大脳半球損傷に高率に見られる (2) 失語症の合併が多い (3) 患者は症状を自覚していることが多い (4) 患者の視線は左を向いていることが多い (5) 脳卒中機能回復の阻害因子である 解答 (5) 解説 (1) 右大脳半球損傷で見られる (2) 失語症は左大脳半球損傷に見られる (3) 患者は自覚がないことが多い (4) (5) 問 9 患者は流暢に会話をするが 意味のある単語は喋らず会話の中身はまったく理解できない この失語症のタイプはどれか (1) 全失語 (2) ブローカ失語 (3) 健忘失語
(4) ウェルニッケ失語 (5) 伝導失語 解答 (4) 解説 (1) 言語のすべての面での重大な障害 発語が極めて少ない (2) 非流暢だが 理解は良好 (3) 換語困難が著明で迂回表現が多い (4) 構音は良好だが 理解面が障害される (5) 復唱能力が極めて低い 錯語が多い 問 10 脳血管障害と比較した際の脳外傷の特徴で誤っているのはどれか (1) 若年者が多い (2) 認知障害より運動障害が重症 (3) 長期の機能回復が見られる (4) 社会参加に重大な影響を与える (5) 運動器の合併障害が多い 解答 (2) 解説 (1) (2) 慢性期には認知行動障害が主な問題となる (3) 運動障害の回復は自覚的早期に見られるが 認知障害の回復は遷延する (4) 社会参加の制約が大きい (5) 運動障害と認知障害が合併する 問 11 脊髄損傷の総合的機能評価表 ASIA(American Spinal Cord Injury Association)Scale において 脊髄節と対応する運動筋群との組合せで正しいのはどれか (1) 第 4 頚髄節 肘関節屈筋群 (2) 第 6 頚髄節 肘関節伸筋群 (3) 第 8 頚髄節 手関節伸筋群 (4) 第 2 腰髄節 股関節屈筋群 (5) 第 5 腰髄節 足関節底屈筋群 解答 (4) 解説 (1) 第 5 頚髄節 肘関節屈筋群 (2) 第 7 頚髄節 肘関節伸筋群 (3) 第 6 頚髄節 肘関節屈筋群 (4) 第 2 腰髄節 股関節屈筋群 (5) 第 1 仙髄節 足関節底屈筋群
問 12 ASIA Scale において 脊髄節と対応する表在感覚領域との組合せで正しいのはどれか (1) 第 5 頚髄節 頚周囲 (2) 第 6 胸髄節 乳頭周囲 (3) 第 10 胸髄節 臍周囲 (4) 第 2 腰髄節 そけい部周囲 (5) 第 1 仙髄節 肛門周囲 解答 (3) 解説 (1) 第 2~4 頚髄節 頚周囲 (2) 第 4 胸髄節 乳頭周囲 (3) 第 10 胸髄節 臍周囲 (4) 第 1 腰髄節 そけい部周囲 (5) 第 4-5 仙髄節 肛門周囲 問 13 仙髄節の感覚が温存され 上肢の筋力低下が下肢より重度な不全脊髄損傷はどれか (1) 脊髄中心損傷 (2) ブラウンセカール損傷 (3) 脊髄前部損傷 (4) 円錐損傷 (5) 馬尾損傷 解答 (1) 解説 (2) 脊髄半側部障害 : 患側の運動麻痺 触覚 振動覚 関節覚障害 対側の温痛覚障害 (3) 完全運動麻痺 痛覚鈍麻 損傷部以下では 触覚 振動覚 関節覚障害なし (4) 膀胱直腸障害 サドル型感覚障害 高所からの墜落などで起こる (5) 下肢の運動 知覚障害 サドル型感覚障害 膀胱直腸障害 問 14 日常生活活動(ADL) の自立に自助具が有効な疾患はどれか 2つ選べ (1) 脳卒中片麻痺 (2) 頚髄損傷四肢麻痺 (3) パーキンソン症候群 (4) 関節リウマチ (5) 四肢の骨折 解答 (1)(4) 解説 (1) 手の巧緻性低下に対してのボタンエイドなど (4) 関節リウマチのような可動域制限や疼痛を主体とする疾患では非常に有用
問 15 四肢切断について誤っているのはどれか (1) 片側上肢切断では義手を使わないことが多い (2) 高齢下肢切断の原因は骨の悪性腫瘍が多い (3) 幻肢の長さは経過とともに短縮する (4) 下腿切断者は義足を装着し走ることができる (5) 運動療法を行うと切断端の周径は縮小する 解答解説 (1) 義手よりも 健側上肢が 切断側の機能を代償できるようになることが多い (2) 近年 閉塞性動脈硬化症 (ASO) 糖尿病性壊疽を中心とする末梢循環障害によるものが多い (3) (4) (5) 術後の運動療法は 術後断端に現れる浮腫を防ぎ 収縮を促進するとされる 問 16 上肢の変形が高度な関節リウマチ患者が人工股関節置換術を行った 術後のリハビリテーションで適切でないのはどれか (1) 松葉杖を用いた歩行訓練 (2) 起立台での加重訓練 (3) 水中歩行訓練 (4) 等尺性筋力増強訓練 (5) 上肢機能障害に対する作業療法 解答 (1) 解説 (1) 高度な上肢の変形に対し 松葉杖は適切でない 問 17 脳性麻痺について誤っているのはどれか (1) 四肢の痙性麻痺を特徴とする痙直型が多い (2) 未熟児が危険因子である (3) 成長するにつれて障害は進行する (4) 早期に発達訓練を開始する (5) 幼児期は通園施設で療育を行う 解答 (3) 解説 (3) 受胎から生後 1 ヶ月の発育期に生じた非進行性の中枢性運動障害である 問 18 生後 6 ヶ月の乳児の特徴はどれか
(1) 把握反射がみられる (2) モロー反射がみられる (3) パラシュート反射がみられる (4) 四つばいができる (5) つかまり立ちができる 解答 (1) 解説 (1) 6 ヶ月ごろに消失する原始反射のひとつ (2) 急に落下させようとすると上肢と指を伸展 3~4 ヶ月で消失する原始反射のひとつ 4 ヶ月以降も存続する場合 脳の機能障害を疑う (3) 9 ヶ月ごろから見られ 一生見られる (4) 8 ヶ月ごろから (5) 10 ヵ月ごろから 問 19 介護保険制度に含まれないのはどれか (1) 訪問介護 (2) 通所リハビリテーション (3) 福祉用具貸与 (4) 住宅改修費支援 (5) 在宅医療 解答 (5) 解説 (1) ホームヘルプのこと (2) ディケアのこと (3) (4) 手すりや段差の解消など (5) 含まれない 問 20 72 歳の男性 3 日前に発症した脳梗塞 右片麻痺 意識障害は軽度で バイタルサインが安定したため 脳卒中科主治医よりリハビリテーション科に診療依頼が出された 診察の結果 右片麻痺は完全麻痺で 意識は JCS1( だいたい清明だが 今ひとつはっきりしない ) 体を起こして座位にさせると気分不快を訴え 血圧モニターでは収縮期血圧が 15mmHg 低下した リハビリテーション処方で正しいのはどれか (1) 訓練室での立位訓練 (2) 食事動作 移乗動作などの ADL 訓練 (3) 血圧を監視しながらベッドアップ訓練 (4) 失語症の評価と言語訓練 (5) 嚥下障害の評価と摂食嚥下訓練
解答 (3) 解説他の選択肢は座位耐性が向上してから 文責 : 池上