日本株式市場の保有者比率の推移 ( 時価ベース ) 過去 30 年の間に投資家の保有比率は大きく変化 100% 90% 80% 70% 60% 50% 1.9% 0.4% 1.9% 0.9% 1.8% 0.9% 2.1% 3.7% 5.5% 2.5% 5.2% 2.8% 4.5% 9.1% 10.7

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預金を確保しつつ 資金調達手段も確保する 収益性を示す指標として 営業利益率を採用し 営業利益率の目安となる数値を公表する 株主の皆様への還元については 持続的な成長による配当可能利益の増加により株主還元を増大することを基本とする 具体的な株主還元方針は 持続的な成長と企業価値向上を実現するための投

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企業年金におけるスチュワードシップ・コード の受入れ促進に向けて

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平成 29 年度 厚生年金保険法第七十九条の八第二項に基づく国家公務員共済組合連合会にかかる管理積立金の管理及び運用の状況についての評価の結果 概要 平成 30 年 12 月 財務省主計局給与共済課

22222

有識者会議提言後の対応 好循環実現のための経済対策 好循環実現のための経済対策 ( 平成 25 年 12 月 5 日閣議決定 ) において 有識者会議の提言を踏まえ 厚生労働省等の関係省庁において 各資金の規模 性格に応じ 長期的な健全性の確保に留意しつつ 必要な施策を迅速かつ着実に実施すべく所要の

日本版スチュワードシップ コード についての第一生命の取組み 当社は 責任ある機関投資家 の諸原則 ( 日本版スチュワードシップ コード ) の趣旨に深く賛同し 受け入れることを表明し ます 当コードの原則 1 から 7 について 以下のような方針で取り組んでいきます 原則 1 機関投資家は スチュ

ための手段を 指名 報酬委員会の設置に限定する必要はない 仮に 現状では 独立社外取締役の適切な関与 助言 が得られてないという指摘があるのならば まず 委員会を設置していない会社において 独立社外取締役の適切な関与 助言 が十分得られていないのか 事実を検証すべきである (2) また 東証一部上場

資料1 平成28年度厚生年金保険法第79条の8第2項に基づく地方公務員共済組合連合会に係る管理積立金の管理及び運用の状況についての評価の結果(概要)

GPIF

コーポレート ガバナンスに関する報告書の主な開示項目 コーポレート ガバナンスに関する報告書 記載項目 ( 内訳 ) 記載上の注意 基本的な考え方 ( 記載例 : コーポレート ガバナンスについての取組みに関する基本的な方針 目的 ) Ⅰ コーポレート ガバナンスに関する基本的な考え方及び資本構成

n_201202

Stewardship2017

1 乖離幅が許容範囲を超えた場合 乖離状況が是正されるよう資産の移受管によりリバランスを行う 2 上記 1にかかわらず 積立水準の変化 マーケットの変動 マーケットインパクト 取引コスト等 総合的に判断したうえで 乖離状況が是正されるようリバランスを行うことができる 3 上記 1 2に基づくリバラン

以下が 対話の方針全文です 平成 26 年 6 月 23 日制定 平成 27 年 12 月 21 日改正 投資先企業との建設的な対話の方針 大和証券投資信託委託株式会社当社は 投資先企業の状況の的確な把握と認識の共有に努めます 特に以下の観点について 重点的に対話を深めてまいります 経営方針 財務戦

スチュワードシップ コード改訂に当たって 平成 29 年 5 月 29 日 スチュワードシップ コードに関する有識者検討会 1. 平成 26 年 2 月 26 日 日本版スチュワードシップ コードに関する有識者検討会 によりスチュワードシップ コードが策定されてから約 3 年が経過した この間 スチ

プライベート・エクイティ投資への基準適用

海外における年金基金におけるインハウス運用の状況について

< 目的 > 専ら被保険者の利益 にはそぐわない目的で運用が行われるとの懸念を払拭し 運用に対する国民の信頼を高める 運用の多様化 高度化が進む中で 適切にリスクを管理しつつ 機動的な対応を可能に GPIF ガバナンス強化のイメージ ( 案 ) < 方向性 > 1 独任制から合議制への転換基本ポート

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2018年度年金資産運用状況(速報).pdf

2016( 平成 28) 年度 業務概況書会見 理事長髙橋則広 2017( 平成 29)07.07

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2 名以上の独立社外取締役の選任状況 2 名以上の独立社外取締役を選任する上場会社の比率は 市場第一部では 9 割を超え 91.3% に JPX 日経 400では 97.7% に 2 名以上の独立社外取締役を選任する上場会社 ( 市場第一部 ) の比率推移 ( 参考 ) 100% 88.0% 91.

東証上場会社における独立社外取締役の選任状況及び委員会の設置状況 2017 年 7 月 26 日株式会社東京証券取引所

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IR 活動の実施状況 IR 活動を実施している企業は 96.6% 全回答企業 1,029 社のうち IR 活動を 実施している と回答した企業は 994 社 ( 全体の 96.6%) であり 4 年連続で実施比率は 95% を超えた IR 活動の体制 IR 専任者がいる企業は約 76% 専任者数は平

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コーポレートガバナンス ガイドライン 2015 年 10 月 27 日制定 2018 年 12 月 13 日改定 大王製紙株式会社 1

議決権行使に係る事務取扱手続

< 本制度の仕組みの概要 > 5 ポイント付与 委託者 当社 3 自己株式の処分 1 役員株式交付規程の 制定 2 信託 < 他益信託 > を設定 ( 金銭を信託 ) 3 払込 受託者 ( 予定 ) 三井住友信託銀行 ( 再信託受託者 : 日本トラスティ サービス信託銀行 当社株式 株式交付信託 信

日本基準基礎講座 資本会計

PYT & Associates Attorney at law

アンケートの送付方法 NPO 法人日本サステナブル投資フォーラム 本調査は JSIF が連絡先を保有する 58 機関へアンケートへの協力依頼をメールで送付しまし た また PRI ジャパンネットワークに国内 PRI 署名機関への周知にご協力をいただきました 回答機関の分類 前回 今回 アセット オー

また 代表取締役社長直属の内部監査部門を設置し 法令遵守 内部統制の有効性と効率性 財務内容の適正開示 リスクマネジメントの検証等について 各部門 工場 グループ会社などの監査を定期的に実施し チェック 指導するとともに 監査役との情報共有等の連携を図っております 1-4( 中長期的な経営戦略等 )

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

2018 平成30 年度第2四半期 GPIFの運用実績 2001年度 平成 年度 平成 年度 平成 年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 20

XBRL導入範囲の拡大

Ⅰ. 株主総会における議決権行使結果 (2015 年度 ) 当社は投資先企業の持続的成長をサポートし 中長期的な投資リターンの拡大を図ることを目的として 議決権行使基準を定めており 当該基準に則り 議決権行使を実施しています 2015 年度に株主総会が開催された国内上場企業のうち 当社の議決権行使の


( 参考 ) と直近四半期末の資産構成割合について 乖離許容幅 資産構成割合 ( 平成 27(2015) 年 12 月末 ) 国内債券 35% ±10% 37.76% 国内株式 25% ±9% 23.35% 外国債券 15% ±4% 13.50% 外国株式 25% ±8% 22.82% 短期資産 -

カプコン (9697) 平成 25 年 3 月期 決算短信 ( セグメント情報等 ) ( セグメント情報 ) 1. 報告セグメントの概要 (1) 報告セグメントの決定方法 当社の報告セグメントは 当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり 取締役会が経営資源の配分の決定および業績を評価す

公的準公的資金の運用 リスク管理等の高度化等に関する有識者会議報告書 Ⅰ はじめに 1 Ⅱ デフレからの脱却を見据えた運用の見直し 1 運用目的 2 2 運用目標 方針 3 1 国内債券を中心とするポートフォリオの見直し 2 収益目標及びリスク許容度の設定 3 運用コスト等 4 余裕金の運用方法 3

2. 本制度の仕組み 株式市場 残余財産の給付残余株式の無償譲渡 消却94 当社株式 4 代金の支払 1 本株主総会決議 54配代当金の支6 委託者 議決権不行使の指図8当社 受託者( 共同受託 ) ( 予定 ) 三菱 UFJ 信託銀行 日本マスタートラスト信託銀行 BIP 信託 当社株式 金銭 4

1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

2015 年度 ~2017 年度中期経営経営計画 14 中計 1. 当社が目指すもの企業理念と Vision E 2.11 中計 中計 (2nd STAGE / 2012~ 年度 ) の成果 - Vision E における 11 中計の位置づけと成果 - 1

第 Ⅰ 章総則 ( 目的 ) 第 1 条本ガイドラインは 群栄化学工業株式会社 ( 以下 当社 という ) が 次に定める 社是 理念 実現のため ステークホルダーと協働して企業価値を向上させ 持続的に発展できるよう より良い経営を実現することを目的とする 2. 当社は GCIグループ基本理念 を制

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大和証券グループ中期経営計画 Passion for the Best 年 4 月 3 日 大和証券グループ本社

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2 / 5 ファンドマネージャーのコメント 現時点での投資判断を示したものであり 将来の市況環境の変動等を保証するものではありません < 運用経過 > ダイワ マネーアセット マザーファンドを組み入れることで 安定運用を行いました < 今後の運用方針 > 今後につきましても 安定運用を継続して行って

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2 資産 地域 時間等を分散して投資することを基本とし 短期的には市場価格の変動等はあるものの 長い投資期間を活かして より安定的に より効率的に収益を獲得し 併せて 年金給付に必要な流動性を確保する 分散投資 一つの籠に卵を盛るな という西洋のことわざがありますが 年金積立金の運用に限らず 一般に

H25見える化 Ⅰ

共済事業団をいう 以下同じ ) が共同して モデルポートフォリオを定めるとともに 連合会は モデルポートフォリオを参酌して 長期的な観点からの資産構成割合 ( 以下 基本ポートフォリオ という ) を策定し 管理積立金の管理及び運用を行う (2) 運用の目標 リスク管理等 1 運用の目標管理積立金の

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

2. BIP 信託の仕組み 1 本株主総会決議 株式市場 9 残余財産の給付 8 残余株式の無償譲渡 消却 4 当社株式 5 配当 委託者 当社 受託者 ( 共同受託 ) ( 予定 ) 三菱 UFJ 信託銀行 ( 株 ) 日本マスタートラスト信託銀行 ( 株 ) 本信託 3 信託設定 7 当社株式等

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第 1 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +1.54% 収益率 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1.02% 実現収益率 ( )) 運用収益額 +3,222 億円 総合収益額 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1,862 億円 実現収益額 ( )) 運用資産残高 ( 第 1 四半期末 )

野村資本市場研究所|公表された厚生年金基金連合会の株主議決権行使基準 (PDF)

M&A投資の現場から

2018 年度第 3 四半期運用状況 ( 速報 ) 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に判断することが必要ですが 国民の皆様に対して適時適切な情報提供を行う観点から 作成 公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか 四半期ごとに運用状況の速報として公表を行うも

2019 年 6 月 26 日 各 位 会社名 代表者名 問合せ先 株式会社スターフライヤー代表取締役社長執行役員松石禎己 ( コード番号 :9206 東証第二部 ) 取締役常務執行役員柴田隆 (TEL ) コーポレートガバナンス方針 の改定について 当社は 2019 年 6

企業アンケート ( 東証一部 二部の 941 社が回答 ) の結果等のポイント 指名委員会を設置済み 又は設置を検討中 検討予定の企業 : 55% 報酬委員会 : 5 3 ページ参照 社長 CEOの選定 解職の決定に関して監督を行なうことについて 社外取締役が役割を果たしている と回答 した企業 委

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企業活動のグローバル化に伴う外貨調達手段の多様化に係る課題

1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

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会計ニュース・フラッシュ

1 制定の目的 方針 当社におけるコーポレートガバナンスを向上させるための枠組みである パーク 24 コーポレートガバナンスガイドライン を制定し コーポレートガバナンスの強化 充実に努めることで 当社の中長期的な価値向上と持続的成長を実現する コーポレートガバナンスに対する基本的な考え方公正で透明


Fiduciary Research No.50

コーポレートガバナンス基本方針

< 目次 > 第 1 章責任投資についての基本的な考え方... 3 第 2 章責任ある投資家としての組織体制... 4 第 3 章 スチュワードシップ活動への取組み 1. 投資先企業の望ましい経営のあり方 (1) 社会的責任への適切な取組み... 5 (2) 資本の効率的な活用による価値創造...

個人投資家の参加拡大

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第101期(平成15年度)中間決算の概要

コーポレートガバナンス・ガイドライン

平成27年5月20日

1

1

止するとともに 取締役等に付与済みのストックオプションとしての新株予約権で未行使の ものにつきましては 本制度に基づく応分のポイントを付与することを条件として 当 該取締役等において権利放棄することといたします 2. 本制度の概要 (1) 本制度の概要本制度は 当行が拠出する金銭を原資として当行株式

平成30年度 スチュワードシップ活動報告

【PDF】コーポレートガバナンス・ガイドライン

受益者の皆様へ 平成 28 年 2 月 15 日 弊社投資信託の基準価額の下落について 平素より弊社投資信託をご愛顧賜り 厚くお礼申しあげます さて 先週末 2 月 12 日 ( 金 ) 以下のファンドの基準価額が 前営業日の基準価額に対して 5% 以上下落しており その要因につきましてご報告いたし

運用基本方針

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退職等年金給付積立金等の管理運用の方針

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様式第一六(第12条関係)

1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

Microsoft Word - 最終_Zeavola株式取得と持分法適用会社異動のお知らせ.doc

コーポレートガバナンス コードについて 本コードにおいて コーポレートガバナンス とは 会社が 株主をはじめ顧客 従業員 地域社会等の立場を踏まえた上で 透明 公正かつ迅速 果断な意思決定を行うための仕組みを意味する 本コードは 実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめたも

Transcription:

日本企業の企業価値向上に向けた提言 ( 案 ) ー機関投資家と企業経営者双方をパートナー化するにはー 2013 年 10 月 22 日 株式会社野村総合研究所金融 IT イノベーション研究部 堀江貞之 (s-horie@nri.co.jp) 100-0005 東京都千代田区丸の内 1-6-5 丸の内北口ビル

日本株式市場の保有者比率の推移 ( 時価ベース ) 過去 30 年の間に投資家の保有比率は大きく変化 100% 90% 80% 70% 60% 50% 1.9% 0.4% 1.9% 0.9% 1.8% 0.9% 2.1% 3.7% 5.5% 2.5% 5.2% 2.8% 4.5% 9.1% 10.7% 27.9% 20.4% 5.8% 4.7% 18.4% 17.5% 19.4% 18.8% 20.2% 28.0% 40% 15.7% 11.6% 17.5% 30% 6.5% 10.1% 物 3.8% 言わ 20% ぬ 30.1% 長 26.2% 期 10% 21.8% 21.7% 投資家 0% 1981 年 3 月末 1991 年 3 月末 2001 年 3 月末 2013 年 3 月末 ( 出所 ) 東京証券取引所等の 株式分布状況調査 を基に野村総合研究所が作成 その他企業年金投信その他機関投資家個人外国法人生損保銀行事業法人 1

投資期間と投資家行動から見た日本株式の投資家分類物言わぬ長期投資家の減少と短期投資家の増加 右上ゾーンの投資家拡大が今後の鍵 アクティブ Engagement EA 機関投資家 経営への積極関与型 10% 程度? LA 海外 / 機関投資家 長期企業価値評価型 3%? 短期 SA 海外投資家 14%(+7%)? LP1 海外投資家 欧州の大手年金ファンド等 5% 以上? 長期 SA 機関投資家 伝統的アクティブ投資家 個人 14%?(+12%) LP2 海外投資家 一部の SWF 等 5% 以上? 約 7% LP 機関投資家 年金 /ETF 等のパッシブ投資家 20%( 8%) ( 注 1) 括弧内の数値は 1981 年との差 ( 注 2)SA: 短期アクティブ運用 LA: 長期アクティブ EA:Engagement 型アクティブ LP: 長期パッシブ運用 ( 出所 ) 各種資料を下に野村総合研究所が作成 パッシブ Engagement 22% ( 4%) 10% ( 26%) 事業法人 金融法人 2

企業と投資家の対話 という視点から株式投資を考えるアクティブエンゲージメントは 企業と投資家との間で行われる対話 交流 意思表示 エンゲージメントの内容 経営への 関与度 内容とその特徴 公開 非公開 狭義の ボイスエンゲ ージメント ハードエンゲ ージメント エンゲージメント ソフト エンゲージメント 議決権行使 株主提案 個別の議論 提案 株主間の調整 広義の経営及び業務エンゲージメ執行ント ( 出所 ) 野村総合研究所 浅 深 株主総会において 企業の提案に対して賛否を表示 提出可能な議案の内容は各国により大きく異なる 議案は取締役選任 ガバナンス構造の変更 資本構成変更 ( 増資等 ) 配当政策 経営者報酬等 議決権行使代行のプロバイダーを活用し お茶を濁すケースも多い 株主自らが株主総会において議案を提出 議決権行使が経営者の提案に対するパッシブな行動であるのに対し よりアクティブな行動と考えられる 一般的には 個別に企業経営者と投資家が経営に関する事項について相対で議論 経営戦略 資本構成等多岐に亘る議題を議論 狭義のエンゲージメント活動の中では 最もアクティブな活動 内容が専門的になるため 専門性を持った人的資源 (+ コスト ) が必要 株主の間での意見調整及び協調体制の確立 意見の異なる株主の説得 取締役 執行役の選任及び送り込み 事業再編計画の立案 業務内容の遂行 等 公開公開非公開が中心非公開非公開 3

様々な企業と投資家の対話 ( エンゲージメント活動 ) 投資家の種類によって重きを置くエンゲージメント活動に大きな差がある エンゲージメント活動機関投資家の分類 パッシブ運用マネジャーアクティブ伝統的運用会社 ( 短期 ) 株主権の行使 議決権行使株主提案個別提案 ガバナンス構造 取締役選任 経営者報酬等 取締役の提示 資本構成変更 増配等 経営戦略 資本構成 意見調整 株主間の 意見調整 協調体制の確立 意見の異なる株主の説得等 経営及び業務執行 経営者変更 / 派遣 経営計画の策定 経営計画の実行 公開公開原則として非公開非公開非公開 議決権行使代理業者を使って 議決権行使を行うことも多い 独自のガイドラインを持つマネジャーが増加 活動は限定的と 思われる 年金ファンドでは共同提案を実施する場合もあり アクティブ ( 長期 ) 保険会社 独立系長期企業価値評価型責任投資経営への積極関与型 議決権は行使するが 活動の中心ではない 経営陣を信頼して投資を行うため 基本的に敵対的議決権行使を行わない 一般的に 株主総会における株主提案という形での提案活動は行わない ( 公になる活動を行わないようにしている ) 状況によっては 経営者との非公式な対話によって 気付きを与え企業価値向上を支援する 経営者との非公式な対話によって 気付きを与え企業価値向上を支援 状況によっては 経営陣に敵対する投資家に対抗する活動も行う 特殊アクティビスト ファンド 増配 アセット売却などの株主提案を敵対的に行い それに呼応する形で議決権行使も行う ファンド独自の経営ビジョンを提示することもある プライベート株式ファンド活動の中心とは位置づけていない ( 出所 ) 野村総合研究所 提案活動も行うが それ以上に実行を重視 既存株主の説得や PE 間の共同投資なども実施 企業価値を向上させる取組みに最も注力 4

提言の枠組みと提言群 ( 案 ) 責任ある投資家 と 責任ある経営 を構築するための具体的方策は何か 金主 を動かす 運用会社を動かす 企業を動かす 責任ある投資家 概念の導入運用会社の投資家責任の向上資本生産性を厳しく意識した経営 公的年金ファンドのガバナンス強化 定められたリスク政策の下で コスト控除後のリターン最大化を目的とする 専門性を高める ( コスト制約排除 ) 資本生産性考慮のベンチマーク採用 パッシブマネージャーの評価基準改定 コストとリターン追随のみでなく エンゲージメント等によるベータ向上努力を加える 運用委託の際の指針の制定 モデルマンデートの提示 ( 下記参照 ) 企業年金への政策的支援 年金運用の損失繰延オプション導入 投資契約書の見直し 日本版スチュワードシップ コードの制定 運用会社全体の Engagement 方針の公表 運用会社の経営規律の強化 経営方針のディスクロージャー ( 取締役会の多様性 顧客利益を代表する取締役選任等 ) 報酬制度の長期インセンティブ付与 長期リターン連動の報酬制度の採用 コーポレートガバナンス コード の充実 資本生産性向上 株主の意思の取締役会 ( 等 ) への反映を明文化 東証 上場企業のコーポレートガバナンス原則 の導入促進 経営者の意識向上と役員報酬の整備 情報開示の充実 ROIC-WACC スプレッドの公表 事業セグメント別 EVA の公表 資本生産性向上に向けた政策支援 開業率 廃業率を高める等 企業の新陳代謝を促進する施策の推進 株主還元還付税 の導入 投資家と企業の間の対話の促進 モデルマンデート ( 雛形契約書 ) の作成 顧客と運用会社の利害を一致させる報酬体系の促進 ( 成功報酬型投資顧問契約の奨励 ) マンデート別の企業との対話 ( Engagement) 方針の要求 対話 (Engagement) 環境の整備 株主議案の分割提示 株主総会集中慣行の解消 実質株主の株主総会参加 ( 出所 ) 山を動かす 研究会 5

公的 準公的資金の運用等のあり方に関する有識者会議 7~11 月までの予定で改革提言とりまとめ ( 内閣府 / 厚労省が事務局 11 月下旬発表予定 ) 議論の対象となるファンド ( 約 230 兆円 ): 独立行政法人通則法で処理可能な範囲のファンド 1. GPIF 国共済 地共済 私学共済 (4 法人 約 150 兆円 厚生年金基金廃止で 20 兆円以上増加?) 2. 独立行政法人 ( 除く GPIF 100 法人 約 55 兆円 ) 国立大学法人 (86 法人 約 0.7 兆円 ) 議論のポイント (9 月 26 日発表の中間論点整理 ) 1. 運用目的 運用目標 方針 被保険者の利益を優先する資産運用が果的に日本経済に貢献 国内債券中心のポートフォリオの見直し 収益目標及びリスク許容度の設定 運用コスト等 2. ポートフォリオ 運用対象の多様化 パッシブ運用のベンチマーク ポートフォリオやヘッジ方針の機動的な見直し等 3. ガバナンス 資産運用の最終責任の所在 合議制機関の必要性 専門人材の確保 ステークホルダーの参画 4. リスク管理 フォワード ルッキングな ( 先行きを見据えた ) リスク分析に基づくポートフォリオの構築 デフレ脱却を見据えた対応策 余裕金の運用におけるリスク管理 5. エクイティ資産に係るリターン最大化 投資先との緊密な対話や適切な議決権の行使 日本版スチュワードシップ コードに係る検討を踏まえた運用受託機関に対する当該方針に則った対応の要求 非財務的要素である ESG( 環境 社会等 ) を考慮 6