平成 28 年 9 月度実施実技試験 損保顧客資産相談業務 139

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実技試験 ( 個人資産相談業務 ) 次の設例に基づいて 下記の各問 ( 問 1 ~ 問 3 ) に答えなさい 設例 Aさん (33 歳 ) および妻 Bさん (29 歳 ) は 民間企業に勤める会社員である 平成 29 年 3 月に第 1 子を出産予定の妻 Bさんは 産前産後休業および育児休業を取得

( 第 1 段階 ) 報酬比例部分はそのまま定額部分を段階的に廃止 2 年ごとに 1 歳ずつ定額部分が消える ( 女性はすべてプラス 5 年 ) 報酬比例部分 定額部分 S16 S16 S18 S20 S22 4/1 前 4/2 ~4/2 4/2 4/2 4/2 ~~~

平成 29 年 1 月度実施実技試験 ( 保険顧客資産相談業務 ) 73

本書の特徴 本書は FP2 級実技試験 ( 個人資産相談業務 ) 合格を支援します FP 技能士 2 級実技試験の特徴は 1 実技 というものの 出題形式は一つテーマが与えられ それに対し正誤問題 穴埋 め問題 計算問題の 3 種類の設問に解答する形式です 2 問題数はテーマごとに 5 問 1 テー

第14章 国民年金 

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年金額の改定について 公的年金制度は平成 16 年の法改正により永久に年金財政を均衡させる従来の仕組みから おおむね ( 100 ) 年間で年金財政を均衡させる仕組みへと変わった この年金財政を均衡させる期間を 財政均衡期間 という これにより 政府は少なくとも ( 5 ) 年ごとに財政の検証をおこ

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表 2 イ特別支給の老齢厚生年金老齢厚生年金は本来 65 歳から支給されるものです しかし 一定の要件を満たせば 65 歳未満でも 特別支給の老齢厚生年金 を受けることができます 支給要件 a 組合員期間が1 年以上あること b 組合員期間等が25 年以上あること (P.23の表 1 参照 ) c

平成25年4月から9月までの年金額は

退職後の医療保険制度共済組合の年金制度退職後の健診/宿泊施設の利用済組合貸付金/私的年金退職手当/財形貯蓄/児童手当個人型確定拠出年金22 共イ特別支給の老齢厚生年金老齢厚生年金は本来 65 歳から支給されるものです しかし 一定の要件を満たせば 65 歳未満でも 特別支給の老齢厚生年金 を受けるこ

(2) 国民年金の保険料 国民年金の第 1 号被保険者および任意加入者は, 保険料を納めなければなりません また, より高い老齢給付を望む第 1 号被保険者 任意加入者は, 希望により付加保険料を納めることができます 定額保険料月額 16,490 円 ( 平成 29 年度 ) 付加保険料月額 400

再任用と年金加入の関係をまとめると次のようになる ( 都道府県によって勤務形態は異なる ) 再任用の勤務形態フルタイム勤務 3/4 1/2 週の勤務時間 38 時間 45 分 29 時間 19 時間 15 分 共済年金 厚生年金 (2016 年 9 月 30 日まで ) 加入する年金 (2015 年

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はじめに 定年 は人生における大きな節目です 仕事をする 働く という観点からすれば ひとつの大きな目標 ( ゴール ) であり 定年前と定年後では そのライフスタイルも大きく変わってくることでしょう また 昨今の労働力人口の減少からも 国による 働き方改革 の実現に向けては 高齢者の就業促進も大き

(2) 国民年金の保険料 国民年金の第 1 号被保険者および任意加入者は, 保険料を納めなければなりません また, より高い老齢給付を望む第 1 号被保険者 任意加入者は, 希望により付加保険料を納めることができます 定額保険料月額 15,250 円 ( 平成 26 年度 ) 付加保険料月額 400

はじめに 定年 は人生における大きな節目です 仕事をする 働く という観点からすれば ひとつの大きな目標 ( ゴール ) であり 定年前と定年後では そのライフスタイルも大きく変わってくることでしょう また 昨今の労働力人口の減少からも 国による 働き方改革 の実現に向けては 高齢者の就業促進も大き

しくみ2 厚生年金は基礎年金に上乗せ 厚生年金保険が適用されている事業所に勤めるサラリーマン等は 国民年金と厚生年金保険の2つの年金制度に加入することになります 厚生年金保険から支給される年金は 加入期間とその間の平均収入に応じて計算される報酬比例の年金となっていて 次のように基礎年金に上乗せするか

2 厚年と国年の加入期間がある人 昭和 36 年 3 月以前 20 歳未満および 60 歳以後の厚年の被保険者期間 昭和 36 年 3 月以前の厚年期間のみの人 坑内員 船員 ( 第 3 種被保険者 ) の場合 昭和 61 年 3 月までの旧船員保険の

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過去3年(9回)出題実績(第1問ライフプランと資金計画)

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第 2 節強制被保険者 1 第 1 号被保険者頻出 択 ( 法 7 条 1 項 1 号 ) 資格要件 日本国内に住所を有する20 歳以上 60 歳未満の者 ( 第 2 号 第 3 号被保険者に該当する者を除く ) 例 ) 自営業者 農漁業従事者 無業者など 適用除外 被用者年金各法に基づく老齢又は退

老齢基礎年金 老齢基礎年金を受けられる方 老齢基礎年金は 原則として受給資格期間が 25 年 (300 ヵ月 ) 以上ある方が 65 歳になったときから受けられます 受給資格を満たしているときは 本人の希望により 60 歳から 70 歳までの間で年金を受け始める年齢を変更することができます (17

スライド 1

(2) 再就職後 年金受給権が発生した場合正規職員無職一般企業無職 共済組合員 A 厚生年金 B ( 一般厚生年金 ) 退職 再就職 老齢厚生年金支給開始年齢 1 年金待機者登録 2 公的年金加入 ( 一部又は全額支給停止 ) 3 年金決定請求 1 退職した際は 年金の受給権発生まで期間がありますの

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他の所得による制限と雇用保険受給による年金の停止 公務員として再就職し厚生年金に加入された場合は 経過的職域加算額は全額停止となり 特別 ( 本来 ) 支給の老齢厚生年金の一部または全部に制限がかかることがあります なお 民間に再就職し厚生年金に加入された場合は 経過的職域加算額は全額支給されますが

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ライフプランニングと資金計画 問題 1. ファイナンシャル プランナーの顧客に対する行為に関する次の記述のうち 職 業倫理や関連法規に照らし 最も適切なものはどれか 1. 税理士資格を有しないファイナンシャル プランナーが 住宅ローン相談セミナーを開催し その出席者に対して無償で確定申告書の作成代行

一元化後における退職共済年金および老齢厚生年金の在職支給停止 65 歳未満の場合の年金の支給停止計算方法 ( 低在老 ) 試算表 1 年金と賃金の合算額が 28 万を超えた場合に 年金額の支給停止 ( これを 低在老 といいます ) が行われます 年金と賃金の合算額 (c) が 28 万以下の場合は

[ 組合員期間等の特例 ] 組合員期間等については 年齢 職種などにより 過去の制度からの経過措置が設けられており 被用者年金制度の加入期間 ( 各共済組合の組合員期間など ) については 生年月日に応じて次表の年数以上であれば 組合員期間等が 25 年以上とみなされます 生 年 月 日 組合員期間

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老齢基礎年金 老齢基礎年金は 国民年金の加入者であった方の老後の保障として給付され 65 歳になったときに支給されます 老齢基礎年金は 保険料納付済期間 ( 厚生年金保険や共済組合の加入期間を含む ) と保険料免除期間などを合算した資格期間が 10 年以上ある場合に 終身にわたって受け取ることができ

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52 (2) 再就職後 年金受給権が発生した場合正規職員無職一般企業 無職 共済組合員 A 厚生年金 B ( 一般厚生年金 ) 退職再就職老齢厚生年金支給開始年齢 1 年金待機者登録 2 公的年金加入 3 年金決定請求 ( 一部又は全額支給停止 ) 1 退職した際は 年金の受給権発生まで期間がありま

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被用者年金一元化法

12 ページ, 図表 ,930 円 保険料納付済月数 + 全額免除月数 1/2+4 分の 3 免除月数 5/8+ 半額免除月数 3/4+4 分の 1 免除月数 7/8 ( 出所 ) 厚生労働省 老齢年金ガイド平成 2730 年度版 より筆者作成 40 年 ( 加入可能年数

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2 障害厚生年金障害厚生年金は次の1~3の条件すべてに該当する方が受給できます 1 障害の原因となった病気やケガの初診日 ( 1) が 厚生年金保険の被保険者である期間にあること 2 障害の原因となった病気やケガによる障害の程度が 障害認定日 ( 2) に法令により定められている障害等級表 ( 3)

2. 事例 Q&A [1] 公的年金制度の仕組み Q. 私は昭和 37(1962) 生まれの男性で 現在 55 歳のサラリーマンです 何歳からどのような年 金が受け取れるのでしょうか A. 65 歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金が それに加えて配偶者が 65 歳になるまで加給年金が 支給されます 確

国民年金

現在公的年金を受けている方は その年金証書 ( 請求者及び配偶者 請求者名義の預金通帳 戸籍謄本 ( 受給権発生年月日以降のもの ) 請求者の住民票コードが記載されているもの ( お持ちの場合のみ ) 障害基礎年金 受給要件 障害基礎年金は 次の要件を満たしている方の障害 ( 初診日から1 年 6か

本書の特徴 本書は FP2 級実技試験 ( 個人資産相談業務 ) 合格を支援します FP2 級技能士 2 級実技試験の特徴は 1 実技 というものの 出題形式は一つテーマが与えられ それに対し正誤問題 穴埋 め問題 計算問題の 3 種類の設問に解答する形式です 2 問題数はテーマごとに 5 問 1

無年金・低年金の状況等について

目 次 最新データ更新ページ 本誌該当ページ更新内容ページ P7 P15 P17 平成 25 年 10 月時点の老齢基礎年金の年金額および厚生年金の保険料率等の修正 平成 25 年 10 月時点の厚生年金の保険料率および毎月の保険料額の修正 平成 25 年 10 月時点の厚生年金の保険料率および賞与

8-1 雇用保険 雇用保険の適用基準 1 31 日以上引き続き雇用されることが見込まれること 31 日以上雇用が継続しないことが明確である場合を除き この要件に該当することとなります このため 例えば 次の場合には 雇用契約期間が31 日未満であっても 原則として 31 日以上の雇用が見込まれるもの

ただし 対象期間の翌年度から起算して3 年度目以降に追納する場合は 保険料に加算額が上乗せされます 保険料の免除や猶予を受けず保険料の未納の期間があると 1 年金額が減額される 2 年期を受給できない3 障害基礎年金や遺族基礎年金を請求できない 場合がありますのでご注意ください 全額または一部免除

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

1. はじめに 自ら変わります 社会保険庁を変えます 社会保険庁ホームページ : 社会保険庁改革リスタートプラン より やるき化 プロジェクト あたりまえ化プロジェクト 見える化 プロジェクト きれい化 プロジェクト 2007/4/14 Copyright

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国民年金基金は国民年金の第1号被保険者(自営業の方やフリーで働く方、およびその配偶者の方)の保険料を納めている方で、20歳以上60歳未満の方が加入することができます

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障害福祉制度あらまし目次

年金請求に必要な添付書類 年金請求書 を提出される前に 添付書類をご確認ください 戸籍 住民票 所得関係書類 戸籍 住民票 所得関係書類 の確認方法 スタート 配偶者や子ますか * 子については ( 注 1: パンフレット3ページ下段 ) をご覧ください ご本人の厚生年金保険の加入期間の合計は 20

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Web 版 Vol.59( 通巻 704 号 ) 中高齢寡婦加算 ( 遺族基礎年金の4 分の3) 779,300 円 3/4=584,475 円 584,500 円 (100 円単位 ) (2) 老齢厚生年金の年金額の算定式 平成 30 年度の本来水準と従前額保障 図表

2/5 ヘ ーシ Q1. 年金通算とは何ですか? A. これまで各企業や基金では 加入者の老後の安定の一助となるよう さまざまな年金制度をつくり運営してきました しかし 従来の終身雇用を前提とした制度では 現代のライフスタイルに対応することが難しくなってきています 転職など雇用の流動化に対応し これ

例 言 厚生年金保険被保険者厚生年金保険被保険者については 平成 27 年 10 月 1 日から被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律が施行されたことに伴い 厚生年金保険法第 2 条の5の規定に基づき 以下のように分類している 1 第 1 号厚生年金被保険者第 2

の合計 ( ただし 20 歳以上 60 歳未満の期間 ) なお 保険料免除期間がある場合 本人は保険料を支払っていなくても 一定の期間が分子に加算される A さんの場合 保険料納付済月数は 国民年金保険料納付済期間 35 月 + 厚生年金保険被 保険者期間 398 月 + 厚生年金保険被保険者期間

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新規裁定当該期間 ( 月又は年度 ) 中に新たに裁定され 年金受給権を得た者が対象であり 年金額については裁定された時点で決定された年金額 ( 年額 ) となっている なお 特別支給の老齢厚生年金の受給権者が65 歳に到達した以降 老齢基礎年金及び老齢厚生年金 ( 本来支給もしくは繰下げ支給 ) を


年金支給開始年齢図 特別支給の ( 給料比例部分 ) 昭和 29 年 10 月 1 日生まれ以前 ~ 特別支給の退職共済年金 昭和 25 年 10 月 1 日生まれ以前 ~ 退職共済年金 経過的職域加算額 ( 旧職域部分 ) 退職等年金給付 ( 年金払い退職給付 ) 平成 27 年 9 月までの組合

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第 7 章 年金 福祉 1 年金 日本の公的年金制度は, 予測できない将来へ備えるため, 社会全体で支える仕組みを基本としたものです 世代を超えて社会全体で支え合うことで給付を実現し, 生涯を通じた保障を実現するために必要です 働いている世代が支払った保険料を高齢者などの年金給付に充てるという方式で

150130【物価2.7%版】プレス案(年金+0.9%)

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ファイナンシャル プランニングと倫理 関 連法規 Copyright (c) Akira Sugiyama all rights reserved 2

例 3 男性医師 1 歳 配偶者産前休暇産後休暇復帰 復帰 今までは 配偶者がを取得している場合 を取得できませんでしたが 取得できるようになりました 職員は 当該子が 3 歳に達する日まで 病院助手等は 当該子が 1 歳 6か月に達する日までを取得することができます 職場復帰後の特に大変な時期に協

JA バンク JF マリンバンク年金アドバイザー 第 2 回予想問題 (2017 年 10 月実施分 ( 一部修正 )) [ 問 -1] わが国の最近の人口動向等について, 正しいものは次のうちどれですか (1) 平成 27 年の簡易生命表によると, 日本人の平均寿命は, 女性が男性を8 歳以上上回

2. 特別障害給付金 象 次のいずれかに該当する方で 任意加入していなかった期間に初診日があり 現在 障害基礎年金 1 級 2 級相当の障がいに該当する方 平成 3 年 3 月以前に国民年金任意加入象であった学生 ( 夜間通学 通信制の学生は除く ) 昭和 61 年 3 月以前に国民年金任意加入象で

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問 28 高年齢雇用継続給付との調整難度 A 70 問 29 特例老齢年金難度 B 72 問 30 経過的加算難度 B 74 問 31 老齢厚生年金の支給の繰下げ難度 B 76 問 32 老齢厚生年金の支給の繰上げ難度 B 80 問 歳以後の在職老齢年金難度 A 84 問 34 障害厚生

今回の改正によってこの規定が廃止され 労使協定の基準を設けることで対象者を選別することができなくなり 希望者全員を再雇用しなければならなくなりました ただし 今回の改正には 一定の期間の経過措置が設けられております つまり 平成 25 年 4 月 1 日以降であっても直ちに希望者全員を 歳まで再雇用

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年金制度のしくみ 3 階私的年金みらい企業年金基金 2 階 1 階 公的年金 厚生年金 国民年金 共済年金 自営業者など会社員の配偶者会社員公務員など 国民年金の加入者区分 第 1 号被保険者 第 33 号被保険者 第 2 号被保険者 3 階建ての年金制度 日本の公的年金制度は 国民年金 から全ての

第 2 問問 4 2 < 遺族に必要な生活資金等の総額 > 生活費 30 万円 50% 12 カ月 29 年 =5,220 万円 死亡整理資金( 葬儀費用等 ) 200 万円 緊急予備資金 300 万円 住宅ローンについては団体信用生命保険に加入しているので計算に含めない合計 5,220 万円 +2

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平成 28 年 9 月度実施実技試験 損保顧客資産相談業務 139

実技試験 ( 損保顧客資産相談業務 ) 次の設例に基づいて 下記の各問 ( 問 1 ~ 問 3 ) に答えなさい 設例 株式会社 ( 以下 X 社 という ) に勤務するAさん (59 歳 ) は 妻 Bさん (57 歳 ) との2 人暮らしである Aさんは 平成 28 年 12 月 13 日に定年を迎えるが X 社は最長 65 歳まで勤務することができる継続雇用制度を導入している Aさんは X 社の継続雇用制度の利用を含め 今後のライフプランの検討のために 公的年金制度からの給付額について知りたいと思っている そこで Aさんは ファイナンシャル プランナーのMさんに相談することにした Aさんおよび妻 Bさんの公的年金の加入歴に関する資料は 以下のとおりである 公的年金の加入歴( 定年退職までの見込みを含む ) (1)Aさん( 昭和 31 年 12 月 13 日生まれ ) 厚生年金保険の加入歴 昭和 54 年 4 月 ~ 平成 15 年 3 月 (288 月 )( 平均標準報酬月額 :300,000 円 ) 平成 15 年 4 月 ~ 平成 28 年 11 月 (164 月 )( 平均標準報酬額 :450,000 円 ) 国民年金の加入歴 昭和 51 年 12 月から昭和 54 年 3 月までの大学生であった期間 (28 月 ) は 任意加入していない (2) 妻 Bさん ( 昭和 34 年 6 月 22 日生まれ ) 厚生年金保険の加入歴 昭和 53 年 4 月 ~ 昭和 59 年 3 月 (72 月 ) 国民年金の加入歴 昭和 59 年 4 月から昭和 61 年 3 月までの期間 (24 月 ) は 任意加入していない 昭和 61 年 4 月から現在に至るまで第 3 号被保険者として加入している 妻 B さんは A さんと同居し 現在および将来においても A さんと生計維持関係に あるものとする 140

A さんおよび妻 B さんは 現在および将来においても 公的年金制度における障害等 級に該当する障害の状態にないものとする 上記以外の条件は考慮せず 各問に従うこと 141

(1) はじめに Mさんは Aさんに対して Aさんが 65 歳までに受給することができる公的年金制度からの老齢給付について説明した Mさんが説明した以下の文章の空欄 1~3に入る最も適切な数値を求めなさい なお 年金額は平成 28 年度価額に基づいて計算し 年金額の端数処理は円未満を四捨五入すること 老齢厚生年金の支給開始年齢は原則として 65 歳ですが 経過的措置として 老齢基礎年金の受給資格期間 ( 原則 25 年 ) を満たし かつ 厚生年金保険の被保険者期間が ( 1 ) 年以上あることなどの所定の要件を満たしている方は 65 歳到達前に特別支給の老齢厚生年金を受給することができます 昭和 31 年 12 月生まれのAさんは 原則として ( 2 ) 歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます Aさんが 60 歳で定年退職し 厚生年金保険の被保険者ではない場合 下記 < 資料 >の計算式により Aさんが ( 2 ) 歳から受給することができる特別支給の老齢厚生年金の額は 年額 ( 3 ) 円となります < 資料 > 特別支給の老齢厚生年金の計算式 (a+b) a 平成 15 年 3 月以前の期間分平均標準報酬月額 (7.125/1,000) 平成 15 年 3 月以前の被保険者期間の月数 b 平成 15 年 4 月以後の期間分 平均標準報酬額 (5.481/1,000) 平成 15 年 4 月以後の被保険者期間の月数 142

解説 (1) 老齢厚生年金の支給開始年齢は原則として 65 歳ですが 経過的措置として 老齢基礎年金の受給資格期間 ( 原則 25 年 ) を満たし かつ 厚生年金保険の被保険者期間が (11) 年以上あることなどの所定の要件を満たしている方は 65 歳到達前に特別支給の老齢厚生年金を受給することができます 昭和 31 年 12 月生まれのAさんは 原則として (262) 歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます Aさんが 60 歳で定年退職し 厚生年金保険の被保険者ではない場合 下記 < 資料 >の計算式により Aさんが (262) 歳から受給することができる特別支給の老齢厚生年金の額は 年額 (3 1,020,098) 円となります 特別支給の老齢厚生年金の受給要件は 厚生年金の被保険者期間 1 年以上 老齢基礎年金の受給資格期間 (25 年 ) を満たしていることなどである 特別支給の老齢厚生年金は 昭和 30 年 4 月 2 日 ~ 昭和 32 年 4 月 1 日生まれの男性は 62 歳 ~65 歳になるまで報酬比例部分が支給される < 報酬比例部分の支給開始年齢 >( 女性は各 5 年遅れ ) 昭和 28 年 4 月 1 日以前生まれ 60 歳 昭和 28 年 4 月 2 日 ~ 昭和 30 年 4 月 1 日生まれ 61 歳 昭和 30 年 4 月 2 日 ~ 昭和 32 年 4 月 1 日生まれ 62 歳 昭和 32 年 4 月 2 日 ~ 昭和 34 年 4 月 1 日生まれ 63 歳 昭和 34 年 4 月 2 日 ~ 昭和 36 年 4 月 1 日生まれ 64 歳 昭和 36 年 4 月 2 日以降生まれ ( 女性は昭和 41 年 4 月 2 日以降 ) は特別支給の厚生年金なし A さんの生年月日は昭和 31 年 12 月 13 日とあるので 報酬比例部分の支給が 62 歳から開始される 143

解説 特別支給の老齢厚生年金額は 報酬比例部分の年金額を求める 報酬比例部分は ( 平均標準報酬月額 乗率 平成 15 年 3 月までの被保険者期間の月数 + 平均標準報酬額 乗率 平成 15 年 4 月以後の被保険者期間の月数 )( 注 ) で計算される ( 注 ) マクロ経済スライドの発動により 物価スライド率の計算 ( 平成 26 年度は 1.031 0.961) は無し Aさんの平成 15 年 3 月までの平均標準報酬月額は 30 万円 被保険者月数 288 月であり 平成 15 年 4 月以降の平均標準報酬額は 45 万円 被保険者月数 164 月である よって Aさんの報酬比例部分の年金額は 300,000 円 7.125/1000 288 月 +450,000 円 5.481/1000 164 月 =1,020,098 円 ( 円未満四捨五入 ) となる 144

(2) 次に Mさんは Aさんに対して Aさんが 65 歳以後に受給することができる公的年金制度からの老齢給付について説明した Mさんが説明した以下の文章の空欄 1 ~3に入る最も適切な数値を求めなさい なお 年金額は平成 28 年度価額に基づいて計算し 年金額の端数処理は円未満を四捨五入すること I Aさんが 65 歳に達した日に 特別支給の老齢厚生年金の受給権は消滅し 新たに老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権が発生します 下記 < 資料 >の計算式により Aさんが 65 歳から受給することができる老齢基礎年金の額は 年額 ( 1 ) 円となります Ⅱ 65 歳から支給される老齢厚生年金の額は 下記 < 資料 >の計算式により 算出することができます Aさんの場合 老齢厚生年金の受給権取得時に 厚生年金保険の被保険者期間が ( 2 ) 年以上あり かつ Aさんと生計維持関係にある妻 Bさん (62 歳 ) が厚生年金保険の被保険者期間が ( 2 ) 年以上の老齢厚生年金等を受給していないため Aさんの老齢厚生年金の額には 妻 Bさんが ( 3 ) 歳になるまでの間 配偶者の加給年金額が加算されます < 資料 > 老齢基礎年金の計算式 (4 分の 1 免除月数 4 分の 3 免除月数は省略 ) 老齢厚生年金の計算式 ( 本来水準の額 ):i)+ii)+iii) ⅰ) 報酬比例部分の額 =a+b a 平成 15 年 3 月以前の期間分平均標準報酬月額 (7.125/1,000) 平成 15 年 3 月以前の被保険者期間の月数 b 平成 15 年 4 月以後の期間分平均標準報酬額 (5.481/1,000) 平成 15 年 4 月以後の被保険者期間の月数 ⅱ) 経過的加算額 =1,626 円 被保険者期間の月数 -780,100 円 ( 昭和 36 年 4 月以後で 20 歳以上 60 歳未満の厚生年金保険の被保険者期間の月数 /480 月 ) ⅲ) 加給年金額 =390,100 円 146

解説 (2) Aさんが 65 歳に達した日に 特別支給の老齢厚生年金の受給権は消滅し 新たに老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権が発生します 下記 < 資料 >の計算式により Aさんが 65 歳から受給することができる老齢基礎年金の額は 年額 (1 734,594) 円となります 老齢基礎年金額は 満額の基礎年金 ( 納付済月数 + 免除分調整月数 )/( 加入可能年数 12) で計算される 平成 28 年度の満額の基礎年金額は 780,100 円である 納付済月数は厚生年金の被保険者期間の合計として 288 月 +164 月 =452 月となるが これは厚生年金の被保険者期間である 老齢基礎年金は 20 歳から 60 歳までの 40 年間 (480 ヶ月 ) が加入可能年数の上限となる Aさんは 大学在学中は国民年金に任意加入せず 卒業後就職してから継続して厚生年金に加入している よって 上限の 480 ヶ月から 在学中の未加入期間を差し引けば 保険料納付済期間を算出できる 大学生だった昭和 51 年 12 月から昭和 54 年 3 月までは 28 ヶ月 A さんは昭和 16 年 4 月 2 日以降生まれなので 加入可能年数 は 40 年である 以上により A さんの老齢基礎年金は 780,100 円 (480 月 -28 月 )/(40 年 12)=734,594 円 ( 円未満四捨五入 ) となる 147

解説 65 歳から支給される老齢厚生年金の額は 下記 < 資料 >の計算式により 算出することができます Aさんの場合 老齢厚生年金の受給権取得時に 厚生年金保険の被保険者期間が (220) 年以上あり かつ Aさんと生計維持関係にある妻 Bさん (62 歳 ) が厚生年金保険の被保険者期間が (220) 年以上の老齢厚生年金等を受給していないため Aさんの老齢厚生年金の額には 妻 Bさんが (365) 歳になるまでの間 配偶者の加給年金額が加算されます 配偶者の加給年金は 厚生年金の被保険者期間が 20 年以上で 65 歳未満の配偶者がいる場合には 老齢厚生年金に加給年金が加算される 支給条件は 上記に加えて 配偶者と生計維持関係にあること ( 配偶者の年収 850 万円以下 ) 配偶者が厚生年金の被保険者期間 20 年以上の老齢厚生年金等を受給していないこと などもある 配偶者の加給年金は 配偶者が 65 歳になって老齢基礎年金をもらえるようになると加算されなくなるが 一定額が振替加算として 配偶者の老齢基礎年金額に加算される 148