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静岡県焼津市内エレベーター事故調査報告書 発生日時 : 平成 28 年 12 月 15 日 ( 木 )11 時 30 分ごろ 発生場所 : 静岡県焼津市工場 昇降機等事故調査部会部会長藤田聡委員深尾精一委員飯島淳子委員藤田香織委員青木義男委員鎌田崇義委員辻本誠委員中川聡子委員稲葉博美委員釜池宏委員山海敏弘委員杉山美樹委員高木堯男委員田中淳委員谷合周三委員寺田祐宏委員仲綾子委員中里眞朗委員二瓶美里委員松久寛委員宮迫計典

目次 1 事故の概要 1 1.1 事故の概要 1.2 調査の概要 2 事実情報 1 2.1 建築物に関する情報 2.2 エレベーターに関する情報 2.2.1 事故機の仕様等に関する情報 2.2.2 事故機の保守に関する情報 2.3 巻上機に関する情報 2.4 双葉工業より得られた事故発生時の状況等に関する情報 2.5 事故発生後に三栄製作所が実施した調査に関する情報 2.6 調査により得られた情報 2.6.1 事故機のブレーキに関する情報 2.6.2 事故機のプランジャー及びブレーキレバーに関する情報 2.6.3 事故機の同型機に関する情報 2.6.4 類似の構造を有する巻上機に関する情報 2.7 跳止めボルトの干渉に関する情報 2.7.1 事故機の跳止めボルトの干渉に関する図面確認 2.7.2 事故機の跳止めボルトの干渉に関する再現確認 2.7.3 製作誤差を考慮した場合の跳止めボルトの干渉に関する情報 3 分析 11 3.1 跳止めボルトの干渉に関する分析 3.2 プランジャーストロークの点検に関する分析 3.3 ブレーキパッドの摩耗に関する分析 4 原因 12 5 再発防止策 12 5.1 プランジャーを拘束する構造の改善 5.2 ブレーキパッド摩耗点検方法の変更 5.3 設計段階での製作誤差等の確認 5.4 点検マニュアルの活用 6 意見 14

参考 本報告書本文中に用いる用語の取扱いについて 本報告書の本文中における記述に用いる用語の使い方は 次のとおりとする 1 断定できる場合 認められる 2 断定できないが ほぼ間違いない場合 推定される 3 可能性が高い場合 考えられる 4 可能性がある場合 可能性が考えられる 可能性があると考えられる

1 事故の概要 1.1 事故の概要発生日時 : 平成 28 年 12 月 15 日 ( 木 )11 時 30 分ごろ発生場所 : 静岡県焼津市工場被害者 : なし概要 : 釣合おもりが緩衝器に突き下げて かごが最上階床より上で停止した 1.2 調査の概要平成 29 年 3 月 17 日 : 製造業者であり 保守点検業者でもある双葉工業株式会社 ( 以下 双葉工業 という ) より当該事故の報告があり 国土交通省職員によるヒアリングを実施 平成 29 年 4 月 13 日 : 昇降機等事故調査部会委員 国土交通省職員及び焼津市職員による現地調査を実施 その他 昇降機等事故調査部会委員によるワーキングの開催 ワーキング委員 国土交通省職員による資料調査を実施 2 事実情報 2.1 建築物に関する情報所在地 : 静岡県焼津市構造 : 鉄骨造階数 : 地上 2 階建物用途 : 倉庫確認済証交付年月日 :( 当初 ) 平成 2 年 8 月 23 日 ( 最終 ) 平成 27 年 4 月 10 日検査済証交付年月日 : 平成 27 年 6 月 18 日 2.2 エレベーターに関する情報 2.2.1 事故機の仕様等に関する情報 (1) 事故機の主な仕様に関する情報製造業者 : 双葉工業 1

製品型式 :FR 600MRL 2S 2 用途 構造 : 荷物用 機械室なし ( 巻上機ピット置き ) 定格積載量 :600kg 定格速度 :45m/ 分駆動方式 : ロープ式 ( トラクション式 ) 制御方式 : 可変電圧可変周波数制御方式操作方式 : 単式自動方式昇降行程 :6,050mm 停止階数 :2 箇所停止 (1~2 階 ) 出入口の大きさ : 間口 1,100mm 高さ2,100mm 出入口の戸 :2 枚戸片開きかごの大きさ : 間口 1,300mm 奥行 1,500mm 巻上機製造業者 : 株式会社三栄製作所 ( 以下 三栄製作所 という ) 巻上機型式 : ヘリカルギヤ SHR900 型 (2:1ローピング) 電動機定格容量 :5.5kW ブレーキ型式 : ドラムブレーキ SVB 220 型戸開走行保護装置 : 未設置 (2) 確認済証交付年月日 : 平成 15 年 2 月 5 日 (3) 検査済証交付年月日 : 平成 15 年 7 月 10 日 2.2.2 事故機の保守に関する情報保守点検業者 : 双葉工業契約内容 :POG 契約 (2 箇月毎点検 ) 直近の定期検査実施日 : 平成 28 年 6 月 20 日 ( 指摘事項なし 既存不適格あり ) 直近の保守点検日 : 平成 28 年 12 月 13 日 ( 指摘事項なし ) 2.3 巻上機に関する情報 (1) 事故機の巻上機のブレーキは ブレーキコイルに電流が流れると 可動鉄心の動きにより ブレーキレバーを押してブレーキを開放する構造である ( 図 1 2 写真 1) (2) ブレーキパッドの摩耗が進行することで プランジャーストロークが拡大する構造である ( 図 2) (3) 当該巻上機のブレーキの特徴として プランジャーの鉄心ロッド先端 ( ブレーキレバー接触側 ) に跳止めボルトと呼ぶ部品が設置されている ( 図 1 写真 2) (4) 三栄製作所によると 跳止めボルトは プランジャーの鉄心ロッドとブ 2

レーキレバーを常時接触させることで ブレーキ制動時のブレーキレバーの跳ね上がりを防止する役割を担っているとのことである ただし 本構造が有効であることを示す資料 ( 数値 ) はない (5) 三栄製作所製の巻上機でプランジャーが縦に配置された機種には プランジャーの自重によりブレーキレバーが常時接触するため 跳止めボルトは設置されていない ブレーキアーム ブレーキドラム ブレーキスプリング : プランジャーブレーキレバーブレーキコイル可動鉄心 鉄心ロッド ブレーキパッド 正面 : モーター側 ( 背面 : 綱車側 ) 図 1 ブレーキ部品名称 跳止めボルト プランジャーストローク : ブレーキ制動 : ブレーキ開放 図 2 ブレーキ部品の動作方向 3

図 1 で示した部位 綱車 モーター側 ブレーキパッド 綱車側 モーター ブレーキドラム 写真 1 巻上機部位名称 跳止めボルト ブレーキレバー 鉄心ロッド 写真 2 鉄心ロッド先端の部品配置 2.4 双葉工業より得られた事故発生時の状況等に関する情報 (1) 利用者から 2 階 ( 最上階 ) でかごが動かない との連絡を受けた (2) 双葉工業が確認したところ かご戸が開いた状態で かごが最上階床レベルより上で停止していた 事故後に測定した結果 釣合おもり下端と緩衝器上端の距離 160mm 及び緩衝器たわみ量 5mmより 最上階床から+165mmかご床が上であったと推定される (3) 昇降路内の点検用はしごでかご上に上り かごを最上階床レベル付近に下げた際 停止時の挙動に違和感 ( ブレーキ制動で停止させる際に生じる衝撃がなかった ) があったため 点検用はしごでピットへ確認に降り始めたところ かごがゆっくり上昇し始め 釣合おもりが緩衝器に突き下げた (4) 巻上機を確認したところ ブレーキレバーが跳止めボルトに引っ掛かり プランジャーが戻りきっていなかった ( 写真 3) 4

(5) ブレーキレバーの先端を削り 引っ掛かりを是正して復旧した (6) 事故時のかご内に荷物等の積載はなかった ブレーキレバー 跳止めボルト ブレーキ制動 ブレーキ開放 引っ掛かりが生じた箇所 写真 3 跳止めボルト引っ掛かりの状況 ( 事故機 ) 2.5 事故発生後に三栄製作所が実施した調査に関する情報 (1) プランジャーストロークは4.5mm 以上 ( 以下 上限値 という ) で調整が必要である しかし 事故発生時は8mmであった (2) ブレーキを分解し モーター側のブレーキパッド厚みを測定したところ 規定値 1.5mm 以上に対し 残存厚み1mmであった ( 写真 4) (3) 跳止めボルト側面にブレーキレバー先端との接触痕があった ( 写真 5) 新品事故部品 ( モーター側 ) 3mm 1mm 写真 4 新品と事故部品のブレーキパッド比較 5

接触痕 写真 5 跳止めボルト側面の接触痕 2.6 調査により得られた情報 2.6.1 事故機のブレーキに関する情報 (1) 三栄製作所の点検マニュアルでは ブレーキパッド厚みの初期値は3 mm 規定値は1.5mm 以上としている (2) 事故直近の保守点検において ブレーキパッドの摩耗確認は ブレーキパッドとブレーキドラムの隙間 ( 点検マニュアルのA 寸法 : 図 4 参照 ) に六角棒レンチを差し込み測定するよう点検マニュアルに記載されており 規定値以上 ( 測定値 :2mm) であったため 交換の必要がないと判定していた しかし 構造上の制約 ( 六角棒レンチの差し込み可否 ) から 本方法では片側 ( 綱車側 ) しか確認できず 反対側 ( モーター側 ) は確認していなかった ( 図 3) (3)2.5(2) で述べた モーター側のみ規定値を下回った原因として ブレーキパッドの製造時のばらつきや偏摩耗が考えられるが 初期値の寸法情報がないため 特定できなかった モーター側 ブレーキ パッド 綱車側 点検時に測定不可能 ( 事故後 に取り外して撮影 : 写真 4) ブレーキドラム 点検時の測定箇所 図 3 ブレーキパッド断面図 6

A 寸法 図 4 ブレーキパッド摩耗確認方法 ( 三栄製作所の点検マニュアルより抜粋 ) 2.6.2 事故機のプランジャー及びブレーキレバーに関する情報 (1) プランジャーストロークの初期設定値 (3~3.5mm) 及び上限値 (4.5mm) は平成 23 年に作成された点検マニュアルより記載されたが 双葉工業は認識していなかったとのことである (2) 跳止めボルトは 開発時に巻上機試作品による動作検証を実施したが ブレーキパッド摩耗時のブレーキレバーとの干渉確認等について 設計検証は実施していなかった (3) 出荷検査では プランジャーを手で動かして確認し ブレーキレバーとの干渉等による抵抗が無ければ問題ないと判定していたが ブレーキレバー間の隙間については 規定値を設けた管理までは実施していなかった (4) 三栄製作所は平成 25 年 10 月に点検マニュアルを改訂し 跳止めボ 7

ルトとブレーキレバーの干渉確認の追記及びプランジャーストロークを確実に点検するよう修正し 巻上機出荷先に配布したが 改訂内容についてマニュアル配布先への説明は行われず マニュアル配布先 ( 双葉工業 ) で 点検担当者による内容確認がなされなかったため 点検マニュアル作成当初から改訂後も点検されていなかった 2.6.3 事故機の同型機に関する情報三栄製作所によれば 鉄心ロッド先端に跳止めボルトが設置された巻上機は事故機のSHR900 型に加え SHR600 型 SHR2000 型の計 3 種類あり 双葉工業以外の製造業者も含めて 平成 11 年から平成 22 年までに計 690 台出荷されたとのことである 2.6.4 類似の構造を有する巻上機に関する情報事故機のように 跳止めボルトが設置されることで プランジャーの動きに引っ掛かりが生じるおそれがある構造の巻上機の有無について 関係団体を通じて調査した結果 他の製造業者において該当する巻上機はなかった 2.7 跳止めボルトの干渉に関する情報 2.7.1 事故機の跳止めボルトの干渉に関する図面確認事故機は 復旧時にブレーキレバーの先端を削っており事故発生時の実寸法が不明なため 三栄製作所において 設計寸法 ( ブレーキレバー長さ : 78mm) で 事故発生時の状況 ( プランジャーストローク :8mm) における寸法関係を 図面より確認した ブレーキ開放時 ( プランジャー吸引時 ) の初期設定の寸法関係を図 5 ブレーキ制動時 ( プランジャー釈放時 ) の初期設定の寸法関係を図 6に示す 図面確認の結果 プランジャーストローク4.6mmでブレーキレバーと跳止めボルトが干渉し ( 図 7) プランジャーストローク8mmでは 跳止めボルトの径よりブレーキレバー間の隙間が狭い状態であった ( 図 8) この状態でブレーキレバーが動かなくなると ブレーキアームが閉じないため ブレーキが正常に機能できなくなる 8

プランジャーストローク 0.8mm 跳止めボルト直径 4mm 図 5 初期設定の設計寸法 ( ブレーキ開放時 ) プランジャーストローク 3mm 図 6 初期設定の設計寸法 ( ブレーキ制動時 ) 9

プランジャーストローク 4.6mm 図 7 干渉する際の設計寸法 ( ブレーキ制動時 ) プランジャーストローク 8mm 図 8 事故発生時の設計寸法 ( ブレーキ制動時 ) 2.7.2 事故機の跳止めボルトの干渉に関する再現確認三栄製作所において 事故発生時のブレーキレバーの寸法を把握するために 同型機を用いて ブレーキレバー先端を金属用パテで調整し 事故時のプランジャーストローク (8mm) でブレーキレバーと跳止めボルトの引っ掛かりが再現する際のブレーキレバーの長さを測定した ( 図 9) 測定の結 10

果 ブレーキレバーが動かなくなり 引っ掛かりが生じた寸法は設計寸法 ( ブ レーキレバー長さ :78mm) であった ブレーキレバー長さ 金属用パテで延長 図 9 ブレーキレバー寸法測定箇所 2.7.3 製作誤差を考慮した場合の跳止めボルトの干渉に関する情報 2.7.1で確認したブレーキレバーは設計寸法通りの形状であり 製作誤差の最大値 (79.5mm) で 同様の図面確認を実施した結果 プランジャーストロークが2mmで干渉することになる 3 分析 3.1 跳止めボルトの干渉に関する分析 2.5(3) に示したように事故機の跳止めボルトに接触痕があること 2.7.1の図面確認結果及び2.7.2 の再現確認から ブレーキレバー先端 ( 干渉部分 ) の押付力から摩擦が発生し ブレーキレバーが動かなくなり 引っ掛かりが生じたと認められる また 2.7.3の製作誤差を考慮した図面確認結果より プランジャーストロークの上限値 (4.5mm) に達するまでに引っ掛かりが生じる可能性があると考えられる 2.6.2のとおり 開発時にこのような事象についての検討はされていないとのことであり ブレーキレバーと跳止めボルトの干渉について 設計検証が不十分であったと推定される 3.2 プランジャーストロークの点検に関する分析 跳止めボルトとブレーキレバーの干渉を防止できなかった要因として 点 検マニュアルにプランジャーストロークを確実に点検するよう修正した際 11

双葉工業の点検マニュアルの活用に対する認識が低く マニュアルの内容が 確認されなかったことで当該箇所の点検がされていなかったことが認められ る 3.3 ブレーキパッドの摩耗に関する分析ブレーキパッドの摩耗について パッドが両側均等に摩耗することが前提とされ 綱車側の摩耗測定のみで交換要否を判定しており モーター側の摩耗が発見できなかったことが認められる 4 原因 かごが最上階を超えて停止していた原因は プランジャーの動きが拘束されて移動できなくなったため ブレーキパッドがブレーキドラムを制動できず かごを静止保持できなくなったものと推定される プランジャーの動きが拘束されたのは ブレーキパッドの摩耗によりプランジャーストロークが拡大し ブレーキレバー先端が跳止めボルト側面に接触したことで生じたと認められる このような構造となっていたのは プランジャーストロークについて ブレーキパッドが摩耗した際のプランジャーの動作に関する設計時の検討が不十分であったためと推定される また プランジャーストロークの拡大を防止できなかったのは 双葉工業の点検マニュアルの活用に対する認識が低く マニュアルを確認しなかったことでプランジャーストロークの点検を実施していなかったことが認められる なお ブレーキパッドの摩耗について 点検時 綱車側の摩耗測定のみで交換要否を判定したため モーター側の摩耗を発見できなかったことが認められる 5 再発防止策 5.1 プランジャーを拘束する構造の改善三栄製作所は 本事故の再発防止策として 跳止めボルト ( 写真 2 破線部左側の部品 ) を切断し プランジャーの動きを拘束する構造を改善することとした 跳止めボルトは 2.3(2) で述べた ブレーキ制動時のブレーキレバーの跳ね上がりを防止する目的で取付けられているが 切断した際 機能上に問 12

題が生じないか動作確認を三栄製作所において実施した 動作確認の条件として 切断時の影響が想定される下記 2 通りの条件で実施した 条件 1. ブレーキスプリングのばね力最大条件 2. ブレーキスプリングのばね力最小条件 1は ブレーキレバーとプランジャー先端の接触時の衝撃力が最も大きい条件として選定し 条件 2は ブレーキレバーとプランジャー先端の動作の追従が最も困難な条件として選定した ワーキングを開催し 内容及び結果について確認したところ 問題はなかった ( 写真 6 7) ブレーキレバーとの接触痕は生じたが動作に影響を与える変形は見られなかった 写真 6 条件 1の動作確認結果 ( プランジャー先端 ) 若干の摩耗は生じたが動作に影響を与える変形は見られなかった 写真 7 条件 1 の動作確認結果 ( ブレーキレバー先端 ) 5.2 ブレーキパッド摩耗点検方法の変更三栄製作所は ブレーキパッドの摩耗確認をこれまでの片側 ( 綱車側 ) から六角棒レンチを挿入して確認する方法から ブレーキパッド先端とブレーキドラム溝の間に隙間ゲージを挿入して測定する方法に変更することとした 本方法により ブレーキパッドの偏摩耗に影響されず ブレーキパッド摩耗を適切に点検することができる ( 写真 8) 13

隙間測定 隙間ゲージ ブレーキパッド 隙間ゲージ ブレーキドラム 写真 8 ブレーキパッドの摩耗確認 5.3 設計段階での製作誤差等の確認 三栄製作所は 寸法精度が求められる部位に対して 寸法公差や機械加工が 適切に図面指示されているか図面チェックシートで確認することとした 5.4 点検マニュアルの活用双葉工業は 品質管理担当者が責任者となり 点検担当者に点検マニュアルの内容を共有する体制に整備することで マニュアルが活用されない状態を改善することとした 6 意見 国土交通省は 製造業者に対し プランジャーとブレーキレバーを有する構造 のドラム式ブレーキで 付加的な役割の部品がプランジャーの動きを拘束する 可能性について 設計時に十分留意して検討するよう指導すること 国土交通省は 安全性の観点から付加的な役割の部品によりプランジャーの動きを拘束する可能性があるドラム式ブレーキが新たに用いられないようにするために 戸開走行保護装置の大臣認定にかかる性能評価において ブレーキが安定確実に作動する構造であるか評価されるよう 必要な措置を講ずること 国土交通省は 保守点検業者に対し 製造業者が作成した保守 点検に関する 書類を受理した際 書類の内容を点検担当者に周知徹底するよう指導すること 14