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4. 単元の実際 習得 (1) 三部構成のモデル文 ゲームなんてやめなさい を提示し 子どもの意識とのズレを生む 実践を行った4 年生のクラス 38 名全員が何らかのゲームをもっていることを確認し 子どもがゲームについて感じている楽しさを十分掘り起こす その上で はじめ なか おわり の形式で書かれ

国語科学習指導案

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6. 単元の展開 ( 全 6 間 ) 学習活動 単元の見通しを持つ 2. 学習計画を立てる 3. 本文を読み, 感想を書く 内容に関する感想 書き方に関する感想 4. 感想や疑問を交流する 指導上のポイント ( ) 学習活動に即した評価規準 ( 関 読 言 ) 既習事項を振り返らせ,

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1 学期末実施の初見の説明文 ( サクラソウとトラマルハナバチ ) についてのワークテスト ( ぶんけい ) の正答率は 以下のとおりである 正答率設問本教材とのつながり誤答部分点正答 1トラマルハナバチのどんなところが サクラソウに合っていますか 二つ書きましょう 2サクラソウとトラマルハナバチは

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教科 : 外国語科目 : コミュニケーション英語 Ⅰ 別紙 1 話すこと 学習指導要領ウ聞いたり読んだりしたこと 学んだことや経験したことに基づき 情報や考えなどについて 話し合ったり意見の交換をしたりする 都立工芸高校学力スタンダード 300~600 語程度の教科書の文章の内容を理解した後に 英語

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4 本単元と情報リテラシーの関わり 課題設定担任による 説明会におけるデモンストレーションを見ることを通して 本単元を貫く言語活動としての これぞ和の文化! おすすめの 和の文化 を調べて説明会を開こう を知り 見通しを持たせ学校司書による関連図書紹介を通して 和の文化への関心を高め 進んで調べよう

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平成 30 年 1 月平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果と改善の方向 青森市立大野小学校 1 調査実施日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) 2 実施児童数第 6 学年 92 人 3 平均正答率 (%) 調 査 教 科 本 校 本 県 全 国 全国との差 国語 A( 主として知識

HからのつながりH J Hでは 欧米 という言葉が二回も出てきた Jではヨーロッパのことが書いてあったので Hにつながる 内開き 外開き 内開きのドアというのが 前の問題になっているから Hで欧米は内に開くと説明しているのに Jで内開きのドアのよさを説明 Hに続いて内開きのドアのよさを説明している

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はっきした声であいさつ は高学年では少ないね < 資料 2 より > よい感想だけでなく 問題点も挙げている感想も多いね めあてを達成したとは言えないかもしれないね < 資料 3 より > あいさつ運動への意見が出されているね 4 つの意見が出されているね < 資料 1 2,3 より > 資料 2

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問い1, 問い2のどちらも誤答した児童は, しかし や ~が というような逆説の接続詞の意味を読み取ることができずその前に書かれている内容を選択している また, 問い3では, 文章の一部を読んだだけで答えを選択している児童が多かった これらのことから, 本学級の児童は, 接続詞の意味をしっかりと捉え

第1学年国語科学習指導案

ことが大切である 本単元では, 児童にとってもっとも身近な存在である父親や児童が選んだ相手に手紙や暑中見舞いを出すことで, 気持ちを伝える学習ができるように工夫する この学習を通し, 障害児学級の児童の感情表現を豊かにし, 人とのかかわりを広げることにつながっていくと考える (4) 個に応じた支援に

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補充資料 2-1 単元 Let's Read 1 の指導展開案 (1) 単元 Let's Read 1 A Magic Box 1 の指導展開案(1/5 時間 ) (1) 目標 物語を読んで 場面展開を読み取ることができる 昨日の日記 というトピックに基づき 自分について英語で書いて表現できる (2

6 年 No.12 英語劇をしよう (2/7) 英語での 桃太郎 のお話を理解し 音読する 導 あいさつをす 挨拶の後 Rows and Columns を交え 天気や時 入 候の確認 既習事項の確認をす (T1,T2) ペンマンシップ ペンマンシップ教材を用いて アルファベットの ジングル絵カー

学習指導改善調査事業 実践報告

第1学年国語科学習指導案

た, 導入で扱うイメージキャラクターについて, デザインやネーミングの意図, 理由について疑問や関心を持つことにより, より北広島町に興味を持つことが可能となる その他, 調べる際に新聞記事を利用することにより, 記事をスクラップすることができる 記録性 に優れ, 疑問を解決するための手立て, 情報

6 年 No.22 my summer vacation. 1/8 単元の目標 主な言語材料 過去の表し方に気付く 夏休みの思い出について, 楽しかったことなどを伝え合う 夏休みの思い出について, 音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現で書かれたものの意味が分かり, 他者に伝えるなどの目的

(2) 指導の実際 1 話すこと 聞くこと の実践ア協働による教材研究の柱 モデルの提示について対話のためのスキルの定着や対話の深まりを目指し, 教師や代表グループによる対話のモデルを提示し, 気付いたことや発見したことを基に自分たちの対話や話合いの様子を振り返らせ, 学びの充実を図るようにする 共

(4) ものごとを最後までやりとげて, うれしかったことがありますか (5) 自分には, よいところがあると思いますか

(4) ものごとを最後までやり遂げて, うれしかったことがありますか (5) 難しいことでも, 失敗を恐れないで挑戦していますか

4 全体計画 ( 総時数 6 時間 ) 主な学習活動 時数 教師のかかわり 評価の観点 ( 求める子どもの姿 ) 新聞について興味をもち, 投 1 新聞への興味をもつことができるよう 関心 意欲 態度 書の特徴を知る に, 実際の新聞をもとに, 投書の内容 新聞について興味をもち, を取り上げる 投

1 高等学校学習指導要領との整合性 高等学校学習指導要領との整合性 ( 試験名 : 実用英語技能検定 ( 英検 )2 級 ) ⅰ) 試験の目的 出題方針について < 目的 > 英検 2 級は 4 技能における英語運用能力 (CEFR の B1 レベル ) を測定するテストである テスト課題においては

第 9 章 外国語 第 1 教科目標, 評価の観点及びその趣旨等 1 教科目標外国語を通じて, 言語や文化に対する理解を深め, 積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り, 聞くこと, 話すこと, 読むこと, 書くことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う 2 評価の観点及びその趣旨

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5. 学習指導計画 ( 全 9 時間 ) 次時学習活動指導上の留意点 Ⅰ 教材文を読み わかりやすく伝えるための筆者の工夫について考えるという見通しをもつ 枚の拡大写真を見比べて 共通項を見付けて 2 つに分 類する 教科書の写真を拡大し それぞれに記号を付けて掲示し 興味 関心を高める


フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

瑞浪市調査結果概略(平成19年度全国学力・学習状況調査)

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(2) 国語科 国語 A 国語 A においては 平均正答率が平均を上回っている 国語 A の正答数の分布では 平均に比べ 中位層が薄く 上位層 下位層が厚い傾向が見られる 漢字を読む 漢字を書く 設問において 平均正答率が平均を下回っている 国語 B 国語 B においては 平均正答率が平均を上回って

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2 児童観復習プリントから 乗法の交換法則 4 7=7 乗法の結合法則 = 加減混合の式や乗除混合の式の計算はできていると考えられる しかし 分配法則 6 10=6 9+ や 7 8=7 9 はできない児童が数名いて 定着していないことが分かる また 計算の仕方は理解してい

平成 21 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 21 年 10 月 2 日 ( 金 ) 教務部 平成 21 年 4 月 21 日 ( 火 )AM8:50~11:50 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (95 名 ) 教科に関す

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Taro-H29結果概要(5月25日最終)

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

単元の学習を進めるに当たっては, 下記の5つの言語意識を明確にする 相手意識 学級の友達や家の人に 目的意識 動物の赤ちゃんの特徴を分かってもらうために 場面 状況意識 どうぶつの赤ちゃんずかん を作る 方法意識 どうぶつの赤ちゃん で読み取ったことをもとに, カードを作る 評価意識 動物の赤ちゃん

テーマA 小学校国語 基山町立基山小学校教諭古賀太一朗要旨本研究は, 言語を手掛かりとしながら論理的に思考する力を育成するために, 対話を取り入れた学習指導の在り方を探ったものである 文章の内容や構成に関する問いを設定し, 問いに対する 考え, 根拠, 理由付け を検討する対話を行わせた 対話を通し

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第 4 学年算数科学習指導案 平成 23 年 10 月 17 日 ( 月 ) 授業者川口雄 1 単元名 面積 2 児童の実態中条小学校の4 年生 (36 名 ) では算数において習熟度別学習を行っている 今回授業を行うのは算数が得意な どんどんコース の26 名である 課題に対して意欲的に取り組むこ

価 がら読んでいる 語句には性質や役割の上で類別 規 文章を読んで考えたこ があることを理解している 準 とを発表し合い 一人 指示語や接続語が文と文との意 一人の感じ方につい 味のつながりに果たす役割を理 て 違いのあることに 解し 使っている 気付いている 学 登場人物の思いを想像し 時代の状況

指導観学習を進めるにあたって, 教師が宿泊体験学習に関する新聞記事を書き, 視覚化しておくことで, 児童に本単元の具体的なゴールイメージを持たせたい その際, 完成した新聞を廊下に掲示し, 全校のみんなに見てもらうことを伝え, 相手意識を持って学習に取り組もうとする意欲を持たせたい そして, 新聞は

【授業 1】

平成19年度全国学力・学習状況調査の結果をふまえた指導改善策

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H27 国語

座標軸の入ったワークシートで整理して, 次の単元 もっとすばらしい自分へ~ 自分向上プロジェクト~ につなげていく 整理 分析 協同的な学習について児童がスクラップした新聞記事の人物や, 身近な地域の人を定期的に紹介し合う場を設けることで, 自分が知らなかった様々な かがやいている人 がいることを知

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学習者用デジタル教材リスト 国語 1 年 国語 1 年上コンテンツ上 8 あいさつをしよう 8 関連ページ 内容 趣旨など 場面の様子を想像する ( 音声付 場面や状況に合わせた言葉遣いの確認 ) 国語 1 年上 コンテンツ 上 10 じこしょうかいをしよう 10 場面の様子を想像する ( 音声付

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たい 単元を貫く言語活動として, ポップカード で友達におすすめの本を紹介するという活動を位置 付ける もうすぐ雨に で習得した学びを活用し, 自分で選んだ本の紹介文を書いていく 作品の テーマを読み取りまとめる言語活動は, 読書に対する興味 関心を広げることにつながると考える (4) 単元の指導計

24 京都教育大学教育実践研究紀要 第17号 内容 発達段階に応じてどのように充実を図るかが重要であるとされ CAN-DOの形で指標形式が示されてい る そこでは ヨーロッパ言語共通参照枠 CEFR の日本版であるCEFR-Jを参考に 系統だった指導と学習 評価 筆記テストのみならず スピーチ イン

============================== < 第 6 章 > 高校生 大学生 社会人の反応 ============================== 本調査研究では 高校生が社会に出ていく上での実効性のある資質 能力の重要性が感じられ また 調査問題そのものについての興味 関

【単元吊】「段落のつながりに気をつけて読もう《[ツバメがすむ町]

5. 単元について本単元は,2 年生 1 学期に学習した ともこさんはどこかな から引き続いての 話す 聞く の学習である ともこさんはどこかな では, 大事なことを落とさずに話したり聞いたりできるようにすることをねらいとして学習してきた 本単元では, これに加えて互いの話をしっかり聞いてやり取りを

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第 3 学年算数科学習指導案 日時対象学校名授業者会場 平成 27 年 7 月 8 日 ( 水 )5 校時 13:40~14:25 第 3 学年均等割クラス 19 名町田市立町田第六小学校 2 階 3 年 1 組教室 1 単元名 かけ算の筆算 ( 学校図書 みんなと学ぶ小学校算数 3 年上 ) 2

6 年 No.22 my summer vacation 夏休みの思い出を紹介しよう! 1/8 単元の目標 主な言語材料 本時の目標 夏休みに行った場所や食べた物 楽しんだこと 感想などを表す表現が分かる 過去の表現が分かり 夏休みに行った場所や食べた物 楽しんだこと 感想などを伝え合う また 夏休

し, 定期的に評価することで 自己の考え を自覚する場面を意図的に設定している 本教材の学習においては, 様々な情報の中から必要な情報を取り出し, 整理 分析し, それに基づいた自分の考えを表現する活動を通して, 自己の考えの深まりや広がり を実感させることによって, 課題改善につなげたいと考えてい

調査の概要 1 目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し その改善を図るとともに そのような取組を通じて 教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する また 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の

文部科学省認可通信教育文部科学省認可通信教育文部科学省認可通信教育文部科学省認可通信教育国語表現b1回目長尾谷高等学校レポート後期前半提出期限平成30 年11 月6日通信欄全 2 枚一日一枚 コツコツと 考えを発表する 教科書p72 ~75 準拠ノートp52 ~53 一次の文は 意見文を書くときの

項目評価規準評価方法状況 C の生徒への対応 関心意欲態度 1 自の考えを持ち 積極的に交流 討論している 2 自らの言葉で 中学生にかりやすく紹介文を書こうとしている 交流 討論で得た仲間の意見を取り入れて 自らの考えを深めるよう促す 参考例を示したり 書き出しを例示したりして 参考にするように指

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平成 30 年度 品川区学力定着度調査 の結果から明らかになった課題と学力向上に向けた取組 ( 国語 ) 1. 国語の定着状況についての概要 どの学年もほとんどすべての項目において 目標値を上回った 昨年度から取り組んできた 文章を書き表す際の 言葉の正しい使い方の指導 が 言葉についての知識 理解

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平成29年度 中学校国語科教育

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文章構成の在り方を実感できる 読むこと の学習指導の工夫 五泉市立五泉小学校長谷川水緒 1 はじめに 23 年度, 自校で行った学習指導改善調査の結果 23 年度学習指導改善調査 5 年生の問題点 を分析したところ, 段落構成 理由明確 体験 < 段落構成 > ( 自校 ) 予想 の項目の正答率が低かった これまで, 書くことの学習の中で, 文章構成の枠を示して文章を書かせることに取り組んできた だが, 枠を用いて書く練習を繰り返しても, 枠に従って書くことはできるが, 三部構成にする必要性や理由を多面的に考える良さを実感することができなかったのではないか その結果, 右記のように, 本論に書くべき理由を序論に書いたり, 思い付くままに 序論 本論 結論の三部構成になっていない, 本論の段落分けができていない < 理由明確 > 理由の内容が整理されていない, 理由として何を書けばよいか分からない < 体験 予想 > 理由を多面的に考えられない, 体験や予想が立場と一致していない 理由を書き加えたりする姿につながったと考える また, 書くことだけでなく, 読むことにおいて, 筆者の意図をとらえて文章構成や述べ方に着目でき る学習を行うことの必要性を感じた そこで, 読むことにおいて, 文章構成の在り方を実感できる学習指導の工夫を探りたいと考え, 実 践することとした 2 実践の実際 (1) 説明のしかたを考えよう 天気を予想する ( 光村図書五年 ) 1 本論の3つのまとまりを考える 天気を予想する は, 本論が3つに分かれる説明文である 問いと答えが,3 回繰り返され, 筆者の主張へと導いている文章である この構成を生かし, 本論部分を形式段落ごとに切り離し, バラバラにした文章を与え,3つのまとまりに分けさせた 児童は, 各形式段落の最初と最後の一文のつながりはどうか, 言葉同士が関連している段落はないかを視点にまとまりを考えていった さらに, 問いに答える形で展開されていること, 各形式段落の中心文が本論 1のまとまりの中でつながっていることに気付くことができた また, 形式段落に小見出しを付けることで, 段落同士のつながりを確認することができた バラバラな形式段落を3つのまとまりにすることで, 各本論のまとまりには, 内容やそれを支える言葉, 文のつながりがあることを実感することができた < 本論の文章構成 > < 本論 1 のまとまり >

2 本論の3つのまとまりの順番を考える次に,3つに分けた本論の順番を考えさせた 児童は, 意味段落のまとまりとしてのつながりを考えていった 児童は,3つのまとまりについて, 内容のつながりを検討していった 本論 1は 科学技術による天気の予想と的中率の向上, 本論 2は 予想しきれない天気の変化, 本論 3は 人間の感覚や経験による天気の予想 について述べられているとした 各まとまりの内容をとらえた上で, 本論 1と本論 2は対比してあること, そしてこれを受けて, そのための手立てが本論 3で述べられているというつながりに気付くことができた さらに, 科学技術と人間の感覚や経験という2つの予想の仕方を対比しながらも, 互いに補い合って予想することが大切だという筆者の考えに気付いていった 本論を3つのまとまりに分ける, 分けた3つの順番を考える学習をとおして, 児童は, 各本論は筆者の意図を受けて展開されることを実感することができた < 本論 2と本論 3のつながり> 3 結論の続きを考える 天気を予想する の結論は, 左下の図に示したように, 本論 1, 本論 2, 本論 3を受け, 筆者の主張を述べている そこで, 児童には, 右下に示したように, 本論 2, 本論 3の部分を隠し, 本論 1について述べてある不十分な結論を提示した すると, 児童は, 本論 1のことしか言っていない, 本論 2や本論 3についても必要だ, 筆者は百パーセント的中するのは難しいと言っているから, その手立ても書いていないといけない ということに気付いた これまで自分の意見を書く際に, 結論を 私は,~が良いと思いました, ぼくは,~を選びました という一文のみでまとめていた児童が多かった だが, 結論の続きを考える学習をとおして, 結論は, 本論を受けた主張が述べられていること, 本論は, 筆者の主張へと導く論の展開がされなければいけないことを実感することができた 児童は, 筆者の意図に沿って, 結論の役割, 結論と本論のつながり, 本論同士のつながりを考えることができた < 結論部分 > < 本論 1 を受けた結論部分を提示 >

(2) 自分の考えを明確にしながら読もう ゆるやかにつながるインターネット ( 光村図書五年 ) 1 序論 結論から筆者の主張をつかむ ゆるやかにつながるインターネット は, 序論本論 1 2 3, 結論という全体構成である 話題提示である序論, 言葉の設定とインターネットの特色を述べた本論 1, インターネットが人とのつながりにもたらすよさを述べた本論 2, 危うさとそれに対する手立てを述べた本論 3, 結論と続いている 本論は, 特色 よさ あやうさ 手立て と, とらえやすい そこで, まず, 序論と結論だけを提示し, 筆者の伝えたい主張をつかませた < 序論 > インターネットを通じて, 人と人とがつながるとは, どのようなことなのか, 考えてみましょう 主張結論序論 < 序論 結論のワークシート> < 結論 > 新たなゆるやかなつながりが, どんな可能性をもたらしてくれるかは, それをどう使い, 人とのつながりをどのように大切にしていくのかにかかっている 児童は, 序論と結論から, 筆者の主張は, インターネットをどう使い, どのように大切にしていくのかを私たち一人一人が考えなくてはいけない ということであるととらえた 序論と結論のみの限られた情報の中で考えることで, 児童は, 筆者の主張を焦点化することができた 2 序論 結論から必要な本論を考える次に, 児童は, 筆者の主張が伝わるようにするためには, どのような本論にすればよいのだろう と, 本論に必要な内容を考え, 構成メモを作った 序論や結論から, 本論で述べられるとよい内容を推論していった ゆるやかなつながり という言葉が分からない ゆるやかなつながり が何かを説明しているはずだ, インターネットを使うことで生まれるよいこと, インターネットを使った悪いこと, 筆者の池田さんの体験, インターネットを使うことで何が起きるのかという具体例 などが挙がった 述べられるとよいと考える内容比較筆者が書いた本論の見出し < 本論を考えるワークシート> その後, 筆者が書いた本論を提示した 児童は, 名づけましょう とあるから設定だ, 容易に起こりうる 安心感をもたらします とあるから, やっぱりよさが書いてある, あやうさ とあるから, 悪いことも書いてあるんだよ と, 自分たちの予想した内容と照らし合わせながら, 叙述を根拠にして本論で述べられていることをとらえていった 筆者が書いた本論と, 序論や結論から自分たちが導いた予想を比較することで, 本論は, 筆者の主張を支える内容であることを実感することができた

3 本論の内容の順序を考える児童から, よさよりも, あやうさとその手立てを先に述べた方が良いのではないか という意見が出た 理由を聞くと, 最後にあやうさがあると, あやうさが強調され, インターネットを使うことがよくないと伝わってしまうから と答えた これは, 天気を予想する で学んだ, 本論同士のつながりを考えている姿である そこで, 学級全体にこの疑問を返し, 本論 2のインターネットが人にもたらすよさと本論 3のあやうさとその手立ての順序をどうすればよいのかを考えさえた 児童は, 天気を予想する みたいに, 本論 2を受けて本論 3が書いてある だから, 本論 3 の方により言いたいことが書いてあるとよい と考えていた 初め, 多くの児童が, 本論 2と本論 3の本論同士のつながりを考えて検討していたが, 次第に, 本論同士だけではなく, 結論とのつながりに着目し始めた 結論にある筆者の主張が伝わるようにするには, よさだけでなく, あやうさもあることを知り, だからこそ自分の言動を常に問わなければならないと述べている 筆者の主張と合わせると, よさ あやうさ 手立て の順序の方が伝わりやすい と, 結論から本論のつながりを実感することができた < 本論同士のつながり > < 結論と本論のつながり > 3 実践のその後単元終了時に, 違う単元で学習していた討論会で使う自分の意見文を見直させた A1,A2が, 見直させる前の文章であり,B1,B2が見直させた後の文章である < 児童 Ⅰ> A1 これまでの理由から, 私は栽培施設の中で育ったしいたけが良いと思いました B1 安くて新せん しかも, 育てた人と話せて安心という, このような理由から, 私は栽培施 ( 本論一, 二 ) ( より強く伝えたいこと ) 設の中で育ったしいたけが良いと思いました < 児童 Ⅱ> A2 これらのことから, 私は地元産のしいたけを選びました B2 これらのことから, 水もきれい, 空気もきれいなこの五泉市のしいたけを買うと, 作った ( 本論一, 二 : 根拠 ) 人も買った人も元気になり, 安全なものを食べることができます, だから, 私は, 地元産の ( 根拠を受けての伝えたいこと ) しいたけがおすすめです

Aの文章は, 自分の立場を述べるだけである Bは, 本論の根拠を受けて, より自分の伝えたいことが伝わるように変えている また, しかも だから など, 伝えたいことがより明確に伝わるように接続詞を生かしている 結論の文頭にある これまでの理由から これらのことから とは違った生かし方をしていることが分かる このように, 形式的に文章を書くのではなく, 自分の主張がより伝わるように結論と本論のつながりを考えたり, 構成, 表現を工夫しながら書いたりする経験を積ませることが大切であると考える 4 おわりに改めて, 読むことの学習過程についてふり返ってみたい Ⅰ Ⅱ Ⅰのように, 教師が指示を出し, 内容を読ませると, 書いてあることを見付けるだけであり, 教師に指示されたから考える学習 になってしまう 当然, 構成を考える必要性も感じず, 自分が書く力となって発揮しない Ⅱのような学習を組むことで, 児童は構成を読み, 問われなくても内容を読んでいった 内容の理解とともに, 文章構成や論の進め方の良さを実感していった 文章構成の在り方を実感できるからこそ, 自分が文章を書くときも, 文章構成や論の進め方を考えて書こうとする意識が高まる姿につながったと考える 今後も, 読むことにおいても, 本論同士のつながりや本論と結論のつながりなど, 文章構成の在り方を実感できる学習指導の工夫を探り, 読むことで実感できたことを書くことや話すことにも生かせるように取り組んでいきたい