第 4 章基本的な考え方 1. 計画推進の基本的な視点 本計画は 以下に示す基本的な視点をふまえて 各施策 事業の展開を図っていきます 協働とパートナーシップにもとづく活動の充実地域福祉の主役は その地域に暮らす市民です 地域福祉の取り組みを進めていくためには 市民 事業者 行政がお互いに理解し 尊重しながら協働すると共に パートナーシップに基づき 取り組みを進めることが大切です 第 1 期 第 2 期計画では さまざまな地域福祉の主役となる人や関係団体等のつながり 関係性の構築に取り組み ネットワーク基盤の構築を図ってきました 第 3 期では これまでのネットワーク基盤の充実を図りつつ さまざまな取り組みの中で それぞれ関係主体が担うべき役割を認識し 協働とパートナーシップに基づく取り組みを進めます 地域の主体性と行政の施策力が連携した事業の展開本市の地域福祉は 市民力 地域力 に支えられています 第 1 期 第 2 期計画では 民生委員 児童委員 校区福祉委員会 自治会 公民分館 老人クラブ PTA 自主防災組織 消防団など 地域を支えるさまざまな主体が 自発的 自主的に 共に話し合う場を持ち 課題を共有しながら 共に取り組んできました その中には 課題解決に向けた具体的な取り組みも生まれてきています 今後は 地域と行政がこれまで以上に密接に連携しながら 取り組みを進めていく必要があります 第 3 期では これまでの地域の自発的 自主的な活動を尊重しながら連携をしてくことが大切です 行政と地域におけるお互いの弱みを補い合い また 強みを活かしながら 地域の主体性と行政の施策力が連携した事業の展開をめざします 市民視点 地域特性を考慮した計画の効果的な推進地域には 支える者や支えられる者などさまざまな市民の存在や文化 施設 社会資源などが存在するなど 地域によって特性は多種多様です これらの市民や地域の特性を踏まえながら取り組みを進めることが大切です 第 1 期 第 2 期計画では 社会資源の有効活用や潜在的資源の掘り起し 財源の配分や使用方法の工夫などを通じて 柔軟な支援 効果的な施策の推進を行ってきました 第 3 期では さまざまな市民の心情や状況 背景に想いをはせながら 行動するとともに 多種多様な地域特性を踏まえ 効果的 効率的な計画の推進をめざします 24
25 2. 地域福祉推進にあたっての考え方 自助 互助 共助 自助 互助 共助 自助 互助 共助 自助 互助 共助 公助の考え方について公助の考え方について公助の考え方について公助の考え方について地域社会の変容により 市民が抱えるさまざまな問題が顕在化している中にあって 市民一人ひとりの実情に応じたきめ細やかで柔軟な対応が求められますが 複雑多様化する生活課題に応えていくためには 公的サービスのみでは限界があります たとえば 実際に地域で生活しているからこそ気づく問題や 高齢者や障害のある人などのごみ出しや買い物支援といった近隣同士のちょっとした声掛け 助け合いで解決できる問題もあります そのため これからの地域福祉の推進を行うためには 行政はもとより 地域住民 事業者 NPO ボランティアなど地域で活動する団体がより一層 地域課題への共通認識をもつとともに 各々の役割を理解し 自発的 自主的な取り組みを行っていくことが重要です 高齢者や障害のある人 子どもなど多様な住民が生活する地域においては 高齢者同士での見守り活動やひきこもりの経験のある方が ボランティア活動を行うなど その時々で 支援する者とされる者が入れ替わることもあります また 助け合うことにより 支援される者の生きる力が引き出されて自身の自己実現につながる一方で 支援者は地域福祉活動を通じて社会貢献することにより やりがいや喜びを感じることも可能です このように地域福祉活動を行うことは 互いに尊重し支え合うことを通じて 両者の自己を実現する可能性を秘めています 地域福祉の推進にあたっては これら多様な活動主体を 自助 互助 共助 公助 の概念で整理を行い 地域福祉 の主たる推進者として定義を行いました 地域のさまざまな課題に応えていくためには 自助 互助 共助 公助 それぞれが最大限役割を果たしていくとともに お互いが補完し合うなど おたがいさま おかげさま の視点で 重層的なネットワークで受け止めていくことが大切です 本計画では この考え方に基づき 地域福祉の意義や 自助 や 互助 共助 の重要性の理解を促すとともに 行政が 自助 互助 共助 の取り組みを支援し また 公助 で担うべきサービスをしっかりと提供することで 地域福祉の具体的な推進をめざしていきます 自助公助互助 共助地域課題を共有する地域課題を共有する地域課題を共有する地域課題を共有する自発的 自主的な取り組み自発的 自主的な取り組み自発的 自主的な取り組み自発的 自主的な取り組みネットワークで受け止めるネットワークで受け止めるネットワークで受け止めるネットワークで受け止める地域福祉の推進地域福祉の推進地域福祉の推進地域福祉の推進おたがいさま おかげさまのおたがいさま おかげさまのおたがいさま おかげさまのおたがいさま おかげさまの支え合い支え合い支え合い支え合い
自助 自分 家族など 自分の意思と行動や家族の支え合いによって 自発的 自主的に生活課題を解決してくことを 自助 と言います すべての課題を自助で解決することはできませんが 自助努力で解決し難い問題については 自らの判断により 隣近所や地域 行政に相談していくことも自助と言えます また いざ何かあった場合に 気軽に相談することができるように 日ごろから 地域の一員として積極的に地域福祉活動に参画していくことにより 近隣 地域とのつながりを作っていくことも大切です 日ごろから 近隣住民との交流を図り 協力し合える関係を構築すること 地域に愛着や関心をもち 地域活動などを通じて 地域とのつながりをもっておくこと 自分や家族では解決できない 困ったことがあった場合に助けを求めること 互助 共助 隣近所 自治会 民生委員 ボランティア団体など 個人や家族だけでなく 近隣の住民同士や市民団体同士で課題解決を図ることを 互助 共助 と言います 地域における身近な関係は 隣近所の関係です 日ごろの近所づきあいの中で それとなく支援が必要な人の見守りをしたり 話し相手になったり ちょっとした手助けをしたり 時には助けられたりすることを 互助 共助 と言います 地域においては特定課題の解決のためにさまざまな団体による活動が行われていますが 地域福祉推進にあっては地域に属する誰もが その担い手であると同時に受け手であることから それぞれの責任と役割を認識するとともに 共に連携 連動していくことも大切です また 住んでいる地域という地理的に限定されない趣味やサークル活動などの自己実現のための活動によるつながりも互助 共助の範疇です 日頃から あいさつや声掛けなどを通じて 地域との関わりやつながりを大切にすること 支援を要する人や社会的に孤立した方に対し 協力して見守り 何かあれば行政などに支援を求めるこ と 26
公助 行政 公的サービス 行政が提供する公的サービスや行政が行うべき支援を 公助 と言います 法律や各種制度に基づくサービス提供も公助ですが 自助 互助 共助のみでは 解決することが難しい生活課題に対応するための支援や地域福祉推進の基盤づくりを行うことも 公助 となります 公助は 行政がその責と役割を担うこととなりますが 住民が抱える複雑多様化する生活課題すべてに対応することは困難なため 自助 互助 共助と連携を行いながら 支援を行いつつ 自助 互助 共助 で解決できることに対しては 可能な限り地域が主体となって解決するという意識をもつことが大切です 福祉サービスをはじめとした公的サービスを提供すること 福祉課題を抱える方に対して 関係する部署 機関が連携して 対応できるよう横の連携を強化すること 市民が積極的 安定的に地域福祉活動を行えるように 仕組みづくりや支援を行うこと 社会福祉協議会との緊密な連携にもとづく取り組みの推進 本市では 第 1 期 第 2 期地域福祉計画においても 社会福祉協議会との連携強化 を施策運営における視点として位置づけてきました 社会福祉協議会は 社会福祉法において 地域福祉を推進する中核的な役割を担う団体として位置づけられ 地域におけるさまざまな団体の参画を得て構成されています またその内部組織として 地域では校区福祉委員会が組織され 地域住民の自発的 自主的な活動が展開されています 地域と行政との協働関係を築く上で コーディネーターとしての社会福祉協議会の役割は大きく とりわけ コミュニティソーシャルワーカー (CSW) がつなぎ手として地域課題に積極的に取り組むことで ライフセーフティネットの構築に関して重要な一翼を担っています 社会福祉協議会とのパートナーシップのさらなる強化に努め 行政と社会福祉協議会とが互いの役割を明確にし 連携を深める中で取り組みを進めていくことが大切です 27
3. 計画の基本目標 計画の基本理念を実現するために 以下のとおり 3 つの基本目標を設定します 1. 安心 安全に地域で生活できる環境づくり 少子高齢化や核家族化の進展 価値観やライフスタイルの多様化などを背景に 地域社会が大きく変容しています それにより 孤立死や虐待 ひきこもり ニートといった問題など 公的制度の狭間や複合的な問題も存在しているほか 災害時の避難に対するものから健康面など市民の不安や悩みごとも多岐にわたります 誰もが地域で安心して健康に暮らしていくためには 支援が必要な人が地域の中で孤立することなく 地域全体で見守り 寄り添い 支援を行うことが大切です このことから 基本目標 1では 行政はもとより 住民 事業者などの多様な主体が連携して 支援を要する人を早期に発見するとともに 個々の実情を踏まえた支援を行う重層的なネットワークの取り組みを進め ライフセーフティネットの充実強化を図っていきます 2. 人づくり 地域づくりの推進 誰もが地域で安心して健康に暮らしていくためには 住民一人ひとりが地域福祉について理解することが大切です 地域に住む誰もが時には 支える 支えられる 関係にあることを認識し 地域を構成する一員として 地域福祉の一端を担っているという自覚をもつことが必要です 地域での支え合いは住民間のつながり すなわち住民同士が出会い コミュニケーションが豊かになることにより 自然と強くなっていきます こうしたことから 基本目標 2では 市民意識の醸成を図るとともに 立場や世代を超えて 地域の人と人 人と地域がつながり合い 地域の生活課題に対して それぞれができることを活かして 支え合う関係 を作ることをめざします 3. 必要とする福祉サービスを利 しやすい環境づくり 誰もが地域で安心して健康に暮らしていくためには すべての地域住民が個人として尊重され 権利が守られるとともに 福祉サービスが必要となったときに 必要なサービスを選択でき 適切に利用できることが必要です また 地域住民が日常生活の中で何か困ったことに直面したときに 必要な福祉サービスについての情報が適宜入手できること 気軽に相談できる窓口があることが必要です その上で 適切なサービスが提供されることも求められます 基本目標 3では 福祉サービスに関する分かりやすい情報提供を推進するとともに 福祉ニーズに応じた相談や支援を受け 自らの意思と判断により 住み慣れた地域で安心して日常生活を送ることができるよう 福祉サービスを利用しやすい環境づくりをめざします 28