第 2 部 医療圏と基準病床数 ( 第 1 章医療圏 ) 第 2 部 医療圏と基準病床数 医療圏とは 地域の医療需要に対応して包括的な医療を提供していくための区域であり 具体的には 医療資源の適正な配置と医療提供体制の体系化を図るための 地域的単位のこ とです 医療圏は 医療法により 初期の診断 治

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はじめに 2025 年にいわゆる団塊の世代が全て 75 歳以上となるなど急速な高齢化の進展に加え 疾病構造の変化 医療技術の高度化など 地域医療を取り巻く環境は大きく変化していきます こうした変化に対応するには 医療機関の役割分担と連携を進め 地域において切れ目のない医療を提供することにより 質の高

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問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

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( 様式第 6) 病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法に関する書類 病院の管理及び運営に関する諸記録の閲覧方法 計画 現状の別 1. 計画 2. 現状 閲 覧 責 任 者 氏 名 閲 覧 担 当 者 氏 名 閲覧の求めに応じる場所 閲覧の手続の概要 ( 注 ) 既に医療法施行規則第 9 条の

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医師等の確保対策に関する行政評価・監視結果報告書 第4-1

医科診療報酬点数表関係 別添 1 在宅患者支援療養病床初期加算 在宅患者支援病床初期加算 問 1 療養病棟入院基本料の注 6の在宅患者支援療養病床初期加算及び地域包括ケア病棟入院料の注 5の在宅患者支援病床初期加算の算定要件に 人生の最終段階における医療 ケアの決定プロセスに関するガイドライン 等の

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第1章 計画の基本的考え方 態を改善して地域社会への参加等を通じ 生きがいや役割を持てるようにすることが 重要です 4 住まい 持ち家や賃貸住宅だけでなく 有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など 多様な形態の住まいを含みます 生活の基盤である住まいは 高齢者のプライバシー と尊厳が十分に守ら

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高齢化率が上昇する中 認定看護師は患者への直接的な看護だけでなく看護職への指導 看護体制づくりなどのさまざまな場面におけるキーパーソンとして 今後もさらなる活躍が期待されます 高齢者の生活を支える主な分野と所属状況は 以下の通りです 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 脳卒中発症直後から 患者の

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区分 広島県 図表 一般診療所数 歯科診療所数 一般診療所 * 上段は実数, 下段は人口 10 万対 歯科診療所 施設数病床数施設数有床診療所無床診療所一般病床療養病床

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「平成30 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)(平成30 年3月28 日)」の送付について【介護保険最新情報Vol.633】(厚生労働省老健局老人保健課:H )

= 掲載済 12 短期入所生活介護 (P107~P121) 13 短期入所療養介護 (P122~P131) 16 福祉用具貸与 (P153~P158) 17 (P159~P170) 18 入居者生活介護 地域密着型入居者生活介護 (P171~P183) 20 介護老人福祉施設 地域密着型介護老人福祉

第3章 指導・監査等の実施

別紙 常勤医師等の取扱いについて 1. 一日平均患者数の計算における診療日数 (1) 入院患者数ア通常の年は 365 日である イ病院に休止した期間がある場合は その期間を除く (2) 外来患者数ア実外来診療日数 ( 各科別の年間の外来診療日数で除すのではなく 病院の実外来診療日数で除すこと ) イ

II 章. 都道府県別 二次医療圏別データ 1. 北海道 宗谷 後志 札幌 留萌 南空知 上川北部 北空知上川中部中空知 富良野 十勝 遠紋 北網 釧路 北渡島檜山 西胆振 東胆振 日高 南檜山 南渡島 32

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< 現行 > 対象者医療区分 Ⅰ(Ⅱ Ⅲ 以外の者 ) 1 * 医療の必要性の低い者医療区分 Ⅱ Ⅲ 1 2 * 医療の必要性の高い者 ( 指定難病患者を除く ) 3 指定難病患者 2 生活療養標準負担額のうちにかかる部分 1 日につき32 1 日につき 1 日につき < 見直し後 > 対象者医療区

( 災害医療調整本部の所管事務 ) 第 4 条災害医療調整本部は 次の事務をつかさどる (1) 全県域を対象とした医療資源の配置調整及び患者搬送調整に関すること (2) 国や他都道府県等に対する医療支援の要請及び受入れと その派遣調整に関すること (3) 地域災害医療対策会議の支援に関すること (4

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千葉大学医学部附属病院の基本情報 医療機関名 : 千葉大学医学部附属病院開設主体 : 国立大学法人千葉大学所在地 : 千葉県千葉市中央区亥鼻 許可病床数 :850 床 ( 病床の種別 ) 一般病床 800 床 精神病床 45 床 感染症病床 5 床 ( うち ICU18 床 CCU4 床

H I T A C H I 課題を解決する方策 高梁 新見及び真庭における課題を解決する方策 (1) 課題 : 圏域面積が県の 32% を占める広い圏域であるが 救命救急センターや周産期母子医療センターがなく 中小規模 の病院が救急医療を担っている また 救急搬送では 圏域外搬送の割

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3 医療安全管理委員会病院長のもと 国府台病院における医療事故防止対策 発生した医療事故について速やかに適切な対応を図るための審議は 医療安全管理委員会において行うものとする リスクの把握 分析 改善 評価にあたっては 個人ではなく システムの問題としてとらえ 医療安全管理委員会を中心として 国府台

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医療圏と基準病床数 ( 第 1 章医療圏 ) 医療圏と基準病床数 医療圏とは 地域の医療需要に対応して包括的な医療を提供していくための区域であり 具体的には 医療資源の適正な配置と医療提供体制の体系化を図るための 地域的単位のこ とです 医療圏は 医療法により 初期の診断 治療を担う一次医療圏 一般的な入院 治療を担 う二次医療圏 高度 特殊な医療を担う三次医療圏に大別され 各医療圏の圏域については 県民の受療状況 生活圏 行政の圏域等を考慮しながら 医療の効果的な提供に適した圏域 を設定しています 1 一次医療圏県民の日常の健康管理や健康相談 通常見られる傷病の診断 治療の外来医療などの圏域 として 県民が居住する市町の範囲です 2 二次医療圏入院医療や専門外来等の二次医療の提供は 主として病院がその機能を担い 日常生活圏 より広域の範囲を単位としています 医療法には 通常の入院医療を行う病院および診療所の病床整備を図るための地域的単位 として 区分する区域を設定するよう規定されています 今回の計画策定に当たり 人口規模が 20 万人未満で 流入患者割合が 20% 未満 流出患者 割合が 20% 以上である二次医療圏については その設定について検討することとされ 奥越 と丹南の圏域が対象となります ( 第 6 次計画における二次医療圏 ) 第 1 章医療圏 区分人口 ( 人 ) 流出率流入率面積 ( km2 ) 市町数構成市町 福井 坂井 401,897 2.7% 20.8% 957 3 市 1 町 福井市 あわら市 坂井市 永平寺町 奥越 55,595 38.0% 2.8% 1,126 2 市大野市 勝山市 丹南 183,336 25.7% 6.3% 1,007 2 市 3 町 嶺南 137,501 16.5% 9.2% 1,100 2 市 4 町 計 778,329 4,190 9 市 8 町 鯖江市 越前市 池田町 南越前町 越前町 敦賀市 小浜市 美浜町 高浜町 おおい町 若狭町 人口は 平成 29 年 10 月現在 県政策統計 情報課調流出率 流入率は 平成 28 年 11 月福井県患者調査流出率 = 当該医療圏に居住する入院患者のうち 他の医療圏に所在する医療機関に入院している患者の割合 18

医療圏と基準病床数 ( 第 1 章医療圏 ) ( 奥越地域の現状 ) 人口は 平成 24 年の59,048 人から 平成 29 年は55,595 人と6% 減少しています また 65 歳以上の人口割合は 平成 25 年の推計では 2025 年に約 4 割と推計されており 前回の平成 19 年の推計よりも 10 年早く迎えることから 急速に高齢化が進んでいます 医療圏の面積は 1,126km2で 県内の他の3 医療圏とほぼ同じです 基幹となる福井勝山総合病院については 救急 災害医療などの政策医療を担うとともに 併設する介護老人保健施設 訪問看護ステーション等において在宅医療 介護サービスを提供するなど 地域の医療 介護の要としての機能を果たしています 福井勝山総合病院までのアクセスについては 大野市中心部からでも20 分程度の距離です なお 中部縦貫自動車道については 平成 29 年度に福井北 ~ 大野間が全線開通し 高速交通網の整備が進んでいます また 圏域の全域が 豪雪地帯対策特別措置法 に基づき特別豪雪地帯に指定されており 冬期間の自動車 鉄道など交通機関への影響が考えられます 入院患者の流出は 全体で38% ですが その流出先のほとんどは 福井 坂井医療圏で 37.3% の流出となっています ( 丹南地域の現状 ) 人口は 平成 24 年の189,106 人から 平成 29 年は183,336 人と3.1% の減少にとどまっています 県内の4 圏域の中では 人口減少 高齢化の進行が遅い地域です 医療圏の面積は 1,007km2で 奥越と同様です 丹南地域は 公的医療機関等が少なく 民間病院の役割が非常に大きい地域になります 現在 これらの民間病院においては 地域完結型の医療を目指し 地域包括ケア病棟の整備などが進められていることから 今後の受療動向が変化することが見込まれます また 圏域の南部は 豪雪地帯対策特別措置法 に基づき特別豪雪地帯に指定されており 冬期間の自動車 鉄道など交通機関への影響が考えられます 入院患者の流出は 全体で25.7% ですが その流出先のほとんどは 福井 坂井医療圏で25.0% の流出となっています 気象条件や高齢化を踏まえたアクセスの状況 地域包括ケア病棟など回復期病床の整備による地域完結型医療の推進など地域の実情を考慮し 二次医療圏は従来と同様 福井 坂井 奥越 丹南 嶺南 の4つの圏域とします 奥越と丹南医療圏については 今後の医療需給の改善に向け 地域医療連携クリティカルパス 地域医療連携システムの運用等により 急性期から回復期 在宅までの医療の役割分担と連携を推進するなど 地元の医療機関への入院や在宅療養への移行を促進します また 19

第2部 医療圏と基準病床数 第1章 医療圏 保健所単位で県 市町 地域の医療関係者等が 地域医療構想調整会議や地域医療連携体制 協議会を開催し 地元の医療機関の利用を促進するための住民の機運醸成を図る取組みなど を協議していきます なお 5疾病 5事業 在宅医療のそれぞれの医療提供体制については 脳卒中などの急性 期医療においては早期の治療開始が治療法の有用性や予後に大きく影響すること 疾病 事 業ごとに医療資源の制約があることなどを考慮して 二次医療圏にこだわらず 地域の実情 に応じて弾力的に圏域を設定します 第5部 5疾病 5事業 在宅医療の医療提供体制構築の各疾病 事業別の急性期医療を担 う主な医療機関等を参照 3 三次医療圏 医療法に基づき 発生頻度の低い疾病 特に専門性の高い救急医療等に係る特殊な診断ま たは治療を必要とする三次医療の提供体制を整備する地域的単位は県全域とします 福井 坂井医療圏 奥越医療圏 丹南医療圏 嶺南医療圏 圏域 流出率 H23.11 調査 流出率 H28.11 調査 福井 坂井 2.4 2.7 奥越 46.0 38.0 丹南 28.9 25.7 嶺南 13.5 16.5 20 p000-065_はじめに-第4部_修正.indd 20 2018/06/19 12:09

医療圏と基準病床数 ( 第 2 章基準病床数 ) 第 2 章基準病床数 医療圏内で 効率的で効果的な医療提供体制を確立するためには 各地域における病院等の病床数は重要な要素となります 基準病床数は 医療法に基づき二次医療圏における病院および診療所の一般病床および療養病床 県全域における精神病床 感染症病床および結核病床について定めることとされているもので これらの圏域内における病床数の目安であるとともに 一定以上の病床が整備されている場合の規制基準としての役割を持っており 病床の適正配置を行う上での基本となるものです 計画で定めた基準病床数を既存病床数 1 が上回る 病床過剰地域 においては 病院の開設や増床 または診療所の病床設置や増床は 原則としてできなくなります Ⅰ 二次医療圏における一般病床および療養病床 各医療圏域における人口や流入流出患者数等を基に 医療法施行規則等により定められた 計算方法により 基準病床数を算出しています 上表の病床過剰地域であっても 以下の 1 から 3 に該当する診療所における療養病床または 一般病床については 医療審議会の審議を経た上で 新たな設置が可能です ( 医療法第 7 条 第 3 項 医療法施行規則第 1 条の 14 第 7 項第 1 号から第 3 号 ) 1 法第 30 条の 7 第 2 項第 2 号に掲げる医療の提供の推進のために必要な診療所その他の地 域包括ケアシステムの構築のために必要な診療所であること 2 へき地診療所であること または 無医地区または無医地区に準じる地区に設置され る診療所であること 3 次のア ~ エのいずれかに該当する診療所であること ア小児科または小児外科を標榜し 小児の入院治療を行う診療所 イ産科または産婦人科を標榜し 分娩を取り扱う診療所 ウ救急診療所であること ( 予定を含む ) エ上記のアからウのほか 医療審議会において必要と認める診療所 ( 単位 : 床 ) 医療圏域 ( 二次医療圏 ) 基 準病床数 参考 : 既存病床数 ( 平成 29 年 10 月 1 日時点 ) 福井 坂井 4,237 5,244 奥 越 416 417 丹 南 1,344 1,731 嶺 南 1,230 1,412 計 7,227 8,804 1 既存病床数は 病院の許可病床数等を基に医療法の規定に基づき補正を行った後の数です 21

医療圏と基準病床数 ( 第 2 章基準病床数 ) Ⅱ 県全域における精神病床 感染症病床および結核病床 精神病床に係る基準病床数は 県全体の人口や県内外の流入流出患者数等を基に 医療法施行規則等により定められた計算方法により算出しています 感染症病床および結核病床に係る基準病床数については 厚生労働省が定める基準により算出しています ( 単位 : 床 ) 病床の種類基準病床数 参考 : 既存病床数 ( 平成 29 年 10 月 1 日時点 ) 精神病床 1,872 2 2,296 感染症病床 20 20 結核病床 22 35 用語の解説 病床の種別 一般病床 療養病床 精神病床 感染症病床および結核病床以外の病床 療養病床 精神病床 感染症病床および結核病床以外の病床であって 主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病床 ( 介護保険適用となる指定介護療養型医療施設の病床を含む ) 精神病床 精神疾患を有する者を入院させるための病床 感染症病床 感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律第 6 条第 2 項に規定する一類感染症 同条第 3 項に規定する二類感染症 同条第 7 項に規定する新型インフルエンザ等感染症および同条第 9 項に規定する新感染症の患者を入院させるための病床 結核病床 結核の患者を入院させるための病床 2 精神病床は 2020 年までの基準病床数 計画の進捗により見直しを行います 22