都心と臨海副都心とを結ぶBRTについて-基本計画に向けた中間整理-

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沖縄でのバス自動運転実証実験の実施について

目次

事業計画

SIP 自動走行システムの概要 1 < 実施体制 > 総合科学技術 イノベーション会議 (CSTI) ガバニングボード PD( プログラムディレクター ) ( 内閣府に課題ごとに置く ) 課題ごとに以下の体制を整備 推進委員会 PD( 議長 ) 担当有識者議員 内閣府 関係省庁 外部専門家 関係省庁

報道発表資料(新宿駅屋内地図オープンデータ)

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が実現することにより 利用希望者は認証連携でひもづけられた無料 Wi-Fi スポットについて複数回の利用登録手続が不要となり 利用者の負担軽減と利便性の向上が図られる 出典 : ICT 懇談会幹事会 ( 第 4 回 )( 平成 27(2015) 年 4 月 24 日 ) 2. 現状 日本政府観光局

Microsoft Word 交通渋滞(有明アーバン)_181017

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1 見出し1

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8. ピンポイント渋滞対策について 資料 8

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1 見出し1

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スマートICの事業費の基準について

1 はじめに

本章では 衝突被害軽減ブレーキ 車線逸脱警報 装置 等の自動車に備えられている運転支援装置の特性 Ⅻ. 運転支援装置を 備えるトラックの 適切な運転方法 と使い方を理解した運転の重要性について整理しています 指導においては 装置を過信し 事故に至るケースがあることを理解させましょう また 運転支援装

1 日本再興戦略 2016 改革 2020 隊列走行の実現 隊列走行活用事業モデルの明確化ニーズの明確化 ( 実施場所 事業性等 ) 技術開発 実証 制度 事業環境検討プロジェクト工程表技高齢者等の移動手段の確保 ( ラストワンマイル自動走行 ) 事業モデルの明確化 ( 実施主体 場所 事業性等 )

岐阜市の BRT の導入推進に向けた取り組みについて岐阜市企画部交通総合政策課課長青木保親 1. はじめに戦後のモータリゼーションの進展により 地方都市においても 道路網の整備が進み 車での移動を前提として公共交通が無い郊外部まで市街地が拡散し 大学 官庁及び病院などの公共公益施設や大規模商業施設も

資料 1 第 1 号議事 六会地区における予約型乗合タクシーの導入について 1. 実証運行までの経緯と結果 1-1. これまでの経緯六会地区の公共交通利用不便地区の解消に向けた取組については 平成 21 年度に交通不便地区解消検討事業が地域まちづくり事業として決定し 地域が主体となり 市と新たな交通

交通結節点が備えるべき機能を整理すると 最も基本となるものとして があり これに加えて 都市機能の誘導 集積を促進させ 都市内の中心的な拠点地区を形成する 及び 都市の顔 となる 交通結節点の計画 整備の検討においては 先に示した の三種の機能がそれぞれ交通結節性 人の交流や景観等の面で役割を果たし

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1.UR 都市機構における再開発共同事業者エントリー制度の概要 1 参考資料 1

ニュースレター「SEI WORLD」2016年6月号

PFI YOKOTA, Shigeru KAJITANI, Toshio 1 CO 2 PFI Private Finance Initiative PPP Public Private Partnership PFI Veolia Transport Kor

平成 30 年度 自動車局税制改正要望の概要 平成 29 年 8 月 国土交通省自動車局

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PowerPoint プレゼンテーション

今後のスケジュールについて 17 年 8 月 ~ 17 年 11 月 ~ 17 年 12 月 ~ NPO 等によるボランティア福祉有償運送を含む STSの普及促進 NPO 等の運行主体に対する実態調査 関係者等からのヒアリング 交通バリアフリー法の見直しの検討 ( 実態調査 ヒアリングを踏まえた )

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

スライド 1

SIP 自動運転 _ 研究開発計画説明会 SIP 自動運転 ( システムとサービスの拡張 ) 研究開発計画について 平成 30 年 8 月 3 日 ( 金 ) 内閣府プログラムディレクター 葛巻清吾 1

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【生産性革命プロジェクト】 産業界における気象情報利活用

お客様への約束 1. 安全の確保を最優先とします - 安全確保を最優先に 全てにおいて万全のコンディションでお客様をお迎えします 2. お客様の時間を大切にします - 欠航 遅延は最小限にします - やむを得ない場合は代替の移動手段の確保に努め お客様にご迷惑をおかけしないよう全力を尽くします -

1 基本的な整備内容 道路標識 専用通行帯 (327 の 4) の設置 ( 架空標識の場合の例 ) 自 転 車 ピクトグラム ( 自転車マーク等 ) の設置 始点部および中間部 道路標示 専用通行帯 (109 の 6) の設置 ( 過度な表示は行わない ) 専 用 道路標示 車両通行帯 (109)

(3) 増収率一覧定期外 定期計 合計 10.9% 10.7% 10.9% 10.7% 10.9% 2. 鉄軌道部門収支の実績及び推定 ( 単位 : 百万円 ) 項目 平成 27 年度 平成 29~31 年度 (3 年間平均 ) 現行 改定 収入 6,375 6,371 7,012 支出 6,940

5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要 棋士のまち加古川 をより幅広く発信するため 市内外の多くの人が 将棋文化にふれる機会や将棋を通じた交流を図ることができる拠点施設を整備するとともに 日本将棋連盟の公式棋戦 加古川青流戦 の開催や将棋を活かした本市独自のソフト事業を展開する 5-2

H28秋_24地方税財源

「自動走行システム」の大規模実証実験の実施について

第 20 回熊谷市地域公共交通会議会議録 平成 29 年 1 月 26 日 ( 木 )13:30~14:45 熊谷市役所議会棟第 1 委員会室 1. 開会 2. 会長挨拶 3. 議題 (1) ゆうゆうバスのルート変更 ( 要望箇所 ) について 1ゆうゆうバス運行ルート ( 全体図資料 1の1) 事

NITAS の基本機能 1. 経路探索条件の設定 (1) 交通モードの設定 交通モードの設定 とは どのような交通手段のネットワークを用いて経路探索を行うかを設定するものです NITASの交通モードは 大きく 人流 ( 旅客移動 ) 物流( 貨物移動 ) に分かれ それぞれのネットワークを用いた経路

Microsoft PowerPoint - 潟上市地域公共交通網形成計画(最終)

東京2020大会開催に伴う経済波及効果分析報告書

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により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地

03 【資料1】自動走行をめぐる最近の動向と今後の調査検討事項



平成29年度 地域指定型 実験箇所(今回選定)

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4-(1)-ウ①

別紙 おもてなしガイド を活用した多言語案内サービスの検証について 1. 駅改札口付近でのご案内について (1) 概要駅改札口付近に小型の音声トリガー再生機を設置し, 各改札口に応じた音声トリガーを配信 この音声トリガーをスマートフォンなどにインストールした おもてなしガイド アプリに 聞かせる こ

2 計画 ( 素案 ) からの主な変更点 1 はじめに頁主な変更点 1 これまでの経緯に 不燃化特区補助制度の指定 地区計画と都市防災不燃化促進事業の導入についての記載を追加 また 大和町中央通り沿道地区は 平成 26 年に不燃化特区補助制度 ( 平成 32 年度まで ) の対象区域に指定されるとと

(5) 老上西学区 1 まちづくりの方向性 1-1. 生活拠点の形成と交通環境の充実 既存の生活拠点を中心とした 50 戸連坦制度の厳守等により市街地の拡散を抑制するこ とで 利便性の高い生活環境を維持していくものとします 老上西学区は 東側から南側にかけての一帯が市街化区域に含まれ ( 主 ) 大

事項を札幌市と契約候補者で協議し 仕様の調整を行う また 本業務の受託者は 業務に伴う費用の支払い等を含め 下記項目に係る業務全般を行うこととする (1) 運営団体へのアンケート調査及びヒアリング調査市内で子ども食堂等を運営している団体に対してアンケート調査を実施し 本市における子ども食堂等の開設状

総合交通計画 ( 仮称 ) の策定について 背景 人口減少と超高齢化が同時に進行する中 自動車を使えない県民の移動手段を確保しなければ 経済活動の低迷 人口の流出 財政支出の増加などの問題が深刻化し 持続可能なまちづくりが困難になる恐れがある 平成 年度に実施したパーソントリップ調査の結

「新しい都市づくりのための都市開発諸制度活用方針」

勝どき駅では 朝の通勤時間帯 駅の出入口 駅と晴海間のアクセス歩道が 極めて厳しい混雑状況となっています このため 勝どき駅構内から晴海までの移課題動環境は 大変低い評価となっています 通勤時の勝どき駅及び周辺に対する印象通勤時の勝どき駅に対する印象 0% 20% 40% 60% 80% 100%

国営常陸海浜公園プレジャーガーデンエリア 改修 設置 管理運営事業 民間事業者選定結果 平成 30 年 3 月 国土交通省関東地方整備局

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DOBOKU 技士会 東京 57号12月号.indb


地域子育て支援拠点事業について

1. 実現を目指すサービスのイメージ 高齢者や障害者 ベビーカー利用者など 誰もがストレス無く自由に活動できるユニバーサル社会の構築のため あらゆる人々が自由にかつ自立的に移動できる環境の整備が必要 ICT を活用した歩行者移動支援サービスでは 個人の身体状況やニーズに応じて移動を支援する様々な情報

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東京都市計画第一種市街地再開発事業前八重洲一丁目東地区第一種市街地再開発事業位置図 東京停車場線 W W 江戸橋 JCT 日本橋茅場町 都 道 一石橋 5.0 特別区道中日第 号線 江戸橋 15.

1. 調査の背景 目的 (1) 本調査の背景 1 自動運転システムに関する技術開発が日進月歩で進化する中 自動運転システムの機能や性能限界等に関する消費者の認識状況 自動運転システムの普及に必要な社会的受容性への正しい理解等 解消すべき不安 ( リスク ) についての事前調査および議論がまだ広範かつ

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< 青森市 > 2 バスロケーションシステムの導入 ( 国土交通省総合政策局補助事業 ) 積雪寒冷地特有のバス遅れ情報の提供によりバス待ち環境の改善のため運用 乗車バス停 降車バス停をクリック 検索 をクリック 現在の運行情報と 選択バス停での発車 到着予想時刻を表示 バスの現在地を表示 予定時刻検

平成 31 年度自動車取得税の軽減措置について 平成 31 年度の自動車取得税の軽減措置について 次のとおり変更がありました 平成 31 年 4 月岐阜県 エコカー減税 について 環境インセンティブ機能を強化する観点から 軽減割合等の見直しを行いました なお 平成 31 年 4 月 1 日から平成

都市サービスの高度化アクションプラン 年には 4000 万人と想定される訪日外国人の方が 入国時から滞在 宿泊 買い物 観光 出国まで ストレスなく快適に過ごすことが可能となる ICT 基盤を整備することが重要 また東京大会以降の日本のレガシーとして実現を目指す 1 枚あれば電車 バス

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別紙 1 平成 28 年 10 月 3 日 横浜市都市整備局 建築局 宿泊施設の容積率緩和方針 ( 案 ) 1 趣旨観光立国の推進に寄与する宿泊施設の整備促進に向けた取組として 本年 6 月に 国土交通省から地方公共団体へ 宿泊施設の容積率緩和に関する通知 ( 以下 通知 という ) が出された 本

Microsoft Word _MICE_Q&A(最終案)

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審査の品質管理において取り組むべき事項 ( 平成 27 年度 ) 平成 27 年 4 月 28 日 特許庁 特許 Ⅰ. 質の高い審査を実現するための方針 手続 体制の整備 審査の質を向上させるためには 審査体制の充実が欠かせません そこで 審査の効率性を考慮しつつ 主要国と遜色のない審査実施体制の確

2. 現状の建物における物流に関する問題点 大きな懸念は オリンピックを契機として建設される大規模建築物をはじめ 今後新しく建造される施設において 物資の搬入や搬出を円滑に行うことが可能かどうかという点である 現存する百貨店や複合商業ビル等の大規模建築物では 物流に配慮されて建設されたものは少ないと

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2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会を見据えた行政の暑さ対策に関する取組 Countermeasure plans by governments against intense heat toward 2020 Tokyo Olympic & Paralympic games 内閣官


1 目次 2 背景 目的 指針 設備 整備基準 対策 保守 大会終了後 進捗状況の把握およびフォローアップ / 7

4-2 地域の課題人口の減少により 町内では老朽化した空き家 空き店舗が随所に見られるようになっており 平成 28 年 3 月に町内を調査したところ 空き家 空き店舗と思われる建物が 159 軒存在していることが判明した 特に 商店街 公共機関 医療機関等が近接する利便性の高い中心市街地における空き

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設 機能の見直しハード面の効率化財源確保1-3. 再配置パターン ( 手法 ) の考え方 再配置計画の検討に向けて 公共施設の再配置を う場合の基本的なパターン ( 手法 ) について整理し それらの効果についても確認していきます 施設の再配置にあたっては 厳しい財政状況の中 人口が減少傾向にあるこ

2020 年に向けた社会全体の ICT 化推進に関する懇談会 の開催について 1 平成 26 年より 総務大臣の懇談会として 2020 年に向けた社会全体の ICT 化推進に関する懇談会 を開催 アクションプランに基づき 2020 年以降のレガシーを視野に入れつつ ICT 化に向けた施策を進めてきた

平成21年6月26日

3 検討プロセス 3-1 県計画案を策定するねらい 沖縄 21 世紀ビジョン基本計画を着実に実施していくための総合的な交通体系のビジョンを示した 沖縄県総合交通体系基本計画 において 県土の均衡ある発展を支える利便性の高い公共交通ネットワークの構築が位置づけられている 同計画を踏まえ 県では 南北骨

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都心と臨海副都心とを結ぶ BRT について - 基本計画に向けた中間整理 - 平成 27 年 3 月 東京都都市整備局

目次 はじめに 1 ページ 1 運行について 2 ページ 2 車両について 4 ページ 3 トータルデザインについて 6 ページ 4 新たな東京モデル 6 ページ 5 運行の予定 7 ページ 6 今後のスケジュール 7 ページ < 用語解説 > 8 ページ

はじめに 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会 ( 以下 オリンピック パラリンピック という ) の開催まで 5 年を切り 民間の開発はもとより 選手村の整備に向けた取組が進むとともに 昨年末には燃料電池車が市販され 水素ステーションの設置など水素社会の実現に向けた取組も進んでいます 都心と臨海副都心とを結ぶBRT * については 一帯の交通需要の増加に素早くかつ柔軟に対応することや 水素技術をはじめとした最先端技術を取り入れることにより 高いレベルで環境 安全 安心を実現していきたいと考えています また オリンピック パラリンピックを一里塚として 高い技術に裏打ちされた社会システムを構築し 次世代に残る大きな資産となるよう取り組んでいます この中間整理は こうした理念に基づき 都心から臨海副都心に至る地域におけるB RTの整備に向けて 平成 26 年 11 月に設置した 都心と臨海副都心とを結ぶBRT 協議会 ( 座長 : 中村文彦横浜国立大学教授 ) においてこれまでに議論 検討してきた内容を踏まえ 取りまとめたものです ここでは 運行のルート BRTで使用する車両についての考え方を記載しています 引き続き BRT 運行の基軸となる 基本計画 の策定に向けて 同協議会において 停留所や既存交通機関との整合 採算性など 更なる議論を進めていきます ( 参考 ) これまでの経緯 〇平成 26 年 8 月 〇平成 26 年 10 月 基本方針の策定 事業協力者の公募 事業協力者の選定 ( 京成バス株式会社 東京都交通局 ) 〇平成 26 年 11 月 都心と臨海副都心とを結ぶ BRT 協議会設置 2015 年 ( 平成 27 年 )3 月 東京都都市整備局 1

1 運行について ( 需要対応 ) 別紙 1 2 3 1 勝どき 晴海 豊洲 有明 国際展示場の各地域では 時間帯や方向が異なる交通需要 ( 早朝は都心から豊洲新市場 ( 仮称 ) への業務交通 朝は勝どき 晴海地区から都心に向かう通勤交通や都心から晴海地区等へ向かう通勤交通 日中は都心と国際展示場間を移動する観光交通や買物交通 夕方から夜にかけては帰路につく通勤交通など ) が発生しており 単純な都心 臨海副都心間の往復運行だけでは需要に的確に対応できません 2 このため 都心 臨海副都心間の往復ルートを基本として それぞれの地域のピーク需要に合わせたシャトル運行や 大規模な需要地を網羅するフィーダー輸送を加えた 複数運行ルートの設定を行うことで LRTに比肩する輸送力を確保します 3 BRTの運行ルートについては 安全で円滑な運行が確保できるよう総合的な検討を行います ( 地域交通体系 ) 1 既存の鉄道やゆりかもめ 路線バス コミュニティバスのほか コミュニティサイクルなどの いわゆるラストマイルを担う地域内交通を含めた 地域全体の交通について効率的な交通体系の構築を図ります 2 このため BRTの運行ルートを検討していく中で 既存公共交通機関の運行事業者や関係区などと連携し 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく協議会の設置を検討します ( 街づくりとの連携 ) 1 都心や臨海副都心地域における都市開発は 現在計画されている以外にも様々な主体によって今後も進むものと考えられます 需要に柔軟に対応できるBR Tの利点をいかして 新たに発生する需要にも的確に対応していきます 2 このため BRTの発着場所となる停留施設 ( バスステーション等 ) について 高層マンションなど大規模建築物のエントランスや公開空地など 都市計画との整合を図るとともに 地域の声を聴き道路外の活用を積極的に検討していきます 3 また 選手村の後開発をはじめとして 今後都市計画事業や大規模開発などで 2

整備される 多くの需要が見込まれる主要な施設については BRT が直接乗 り入れできるよう 敷地内や建物併設の停留施設 ( バスステーション等 ) の整 備を促していきます ( 継続的な経営 ) 1 BRTは 既存の交通不便地域を解消し オリンピック パラリンピックを契機に高まる交通需要に速やかに対応することに加え オリンピック パラリンピック後も地域の交通需要の変化に的確に対応した運行を目指します 2 地域の基幹的な交通機関として 将来にわたり運行することから 必要となる制度の創設等について関係機関と調整を進めます 3 今後 継続的な運行を行うことを前提として運行事業者を公募し 経営基盤 事業計画 人員管理などの観点から選定します ( 時間に正確な運行 ) 1 車両や施設 道路 交通管理 運賃収受方式 啓発活動など ハード ソフト両面からの対策を講じ 速達性 定時性の確保を図ります 2 車両面では 全ての扉で同時に乗降可能な広い乗降扉の採用や 停留所との段差 隙間のない停車を可能にする技術の導入を検討します 3 施設面では 一度に多くの乗客が待機し 各扉からスムーズな乗降ができる停留所スペースの確保や 運行情報の提供 一般車両の路上駐車の影響を受けにくいバスベイの工夫などを検討します 4 道路 交通管理面では 専用 優先レーン等の設定や公共車両優先システム (P TPS) * の導入などを検討します 5 運賃収受方式は ICカードによる事前決済を基本として 将来的には非接触通信技術などを活用し 乗降時の滞留が起きないスムーズな収受方式を検討します 6 啓発活動は 運行に当たって沿道地域の協力を求め 公共交通を優先し 一般車が 譲る 止まる などの意識改革に向けたキャンペーンの実施などを検討します 3

2 車両について 内閣府が進める 戦略的イノベーション創造プログラム (SIP) における 次世代都市交通 WG では自動走行の技術を取り入れることで 市民にとってより魅力的な次世代都市交通システム ART:Advanced Rapid Transit ( 図 1) の実現を目指した検討を進めています このWGとの連携などにより下記項目の実証 実装を図ることで 安全 快適性の確保はもとより 乗降時間の短縮などを図り 時間に正確な運行も目指していきます ( 安全 安心 ) 1 燃料電池車両による運行 水素ステーションの導入 2 衝突防止機能 加減速の自動化による事故防止機能の高度化 3 車両相互の通信 自動制御による滑らかな交通流動の実現 4 その他乗務員の負担軽減技術の導入 ( 車両制御 車内サービス ) ( ユニバーサルデザイン バリアフリー ) 1 車椅子利用者が自力で乗降可能な 隙間なし 段差なし 停車 2 電車のようにスムーズな乗降を可能とする乗降扉の拡大 ( 全ての扉での乗降を実現 ) 3 車内ノンステップ部分の最大化 ( ローフロア車両の導入 ) 4 要介助 ( 交通弱者 ) 利用の事前車内通知機能 5 車椅子の簡便な固定装置の導入 ( 利便性の追求 ) 1 乗降時の滞留が起きないスムーズな運賃収受方式の段階的な導入検討 2 車内通信 情報提供機能 ( ディスプレイ 案内等 ) の拡充 3 全扉での乗降を実現 4 需要に応じた車両 ( 連節バス ) の検討 4

参考 内閣府 HP 戦略的イノベーション創造プログラム SIP http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/ 新幹線レベルのスムーズな加減速 乗客転倒防止 自動走行制御 待ち時間最小でシームレスな乗継ぎ 統合的 有機的な運行システム 速達性 定時運行性の向上 PTPS 公共交通優先システム の高度化 自動走行制御 事故低減 運転負荷軽減 自動走行技術 高度運転支援 乗降時間短縮 乗降安全性向上 自動走行 正着 制御 Cyber Agent 乗降時間短縮 乗客の転倒事故防止 車椅子固縛装置 非接触自動課金 交通流整流 渋滞 CO2 低減 C-ACC 出典 2020 年オリンピック パラリンピック東京大会に向けた科学技術イノベーションの取組に関するタスクフォース 図 1 ARTイメージ 5

3 トータルデザインについて ( 必要性 ) 1 鉄道不便地域における新たな交通機関としての位置付けを図り 地域のシンボルとして認識し 利用者に愛着と高揚感を持ってもらうための新たなブランドを創造します 2 オリンピック パラリンピックを契機としてより一層の発展を遂げる地域において 次世代交通のモデルとしての存在を世界にアピールします ( 統一されたコンセプト ) 別紙 4 1 車両や駅施設 乗務員の制服 各種媒体など BRTシステム全てに統一されたコンセプトを導入します 2 統一されたコンセプトは 色彩 字体 メッセージ 画風によるものとして 今後 その組合せのパターン ( 見本 ) を示し 実施段階においてトータルデザインの公募を行います ( 見本の作製に当たり 多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科と官学共同研究を実施中 ) 4 新たな東京モデル ( 水素社会の実現 ) 1 1964 年大会時における新幹線のように オリンピック パラリンピックを契機として生まれた画期的な技術は その後の社会の発展に大きく寄与しています 2 2020 年大会におけるそれは 水素社会の実現であり 今回のBRTにおいても 開業当初から燃料電池バスと水素ステーションの導入を図り 水素社会の一つのショーケースとしてアピールしていきます ( 自動車両制御技術の導入 ) 1 BRTに高い安全性と快適性を備えるため 内閣府が進める 戦略的イノベーション創造プログラム (SIP) における 自動走行システム分野 で開発が予定される車両の自動制御技術を積極的に取り入れます 2 具体的には 衝突防止や停留所への段差や隙間が生じない停車や 新幹線並みのスムーズな加減速運転などの導入により 世界に誇る高い安全性や快適性の向上 ユニバーサルデザインの実現を目指します 6

5 運行の予定 1 (2019 年度の運行 ) 走行可能なルート 範囲で運行を開始し 順次本格化させます 2 (2020 年度の運行 ) 東京オリンピック パラリンピック競技大会組織委員会と調整を行い 可能な範囲で運行を行います 3 (2020 年度以降 ) 選手村の後開発の状況に合わせ 同地区への運行を加えた本格運行とします 全ての車両が燃料電池バスとなるよう積極的に導入し その一部に連節燃料電池バスの導入を目指します なお 2019 年度の BRT 運行開始までは 勝どき 晴海地区等における開発や 豊洲新市場 ( 仮称 ) などの需要に合わせ既存の路線バス運行の拡充を図るとともに 燃料電池バスの早期導入を目指し 周辺地域の公共交通の充実を図ります 6 今後のスケジュール 2015 年度のスケジュール ( 予定 ) 4 月基本計画の策定及び事業者の公募開始 第 1 四半期 第 4 四半期 事業者の選定 協定締結 事業計画の策定 以後 諸手続及び関係機関との調整 2016 年度以降の見込み 2016 年度 ~2018 年度 既存路線バスの拡充 燃料電池バス導入 2019 年度内 BRT 運行開始 2020 年度以降 BRT 本格運行 7

< 用語解説 > BRT BRTとは Bus Rapid Transit の略です 連節バス IC カードシステム 道路改良等により 路面電車と比較して遜色のない輸送力と機能を有し かつ 柔軟性を兼ね備えたバスをベースとした都市交通システムを指します ( 出典 : 東京の都市づくりビジョン ( 改定 )) 公共車両優先システム (PTPS:Public Transportation Priority Systems) 道路上に設置された光ビーコンを利用して バスに搭載された車載器からの車両情報を識別し その交差点を通過する際に 優先的な信号制御を行い 円滑な走行を確保するシステムを指します 8

都心と臨海副都心とを結ぶBRTについて- 基本計画に向けた中間整理 - 平成 27 年 3 月編集 発行 : 東京都都市整備局都市基盤部交通企画課東京都新宿区西新宿二丁目 8 番 1 号電話番号 (03)5388-3304 本書に掲載した 1 万分 1 の地図は 国土地理院長の承認 ( 平 19 国地関公第 377 号 ) を得て作成した東京都地形図 (S=1:2,500) を複製 (26 都市基交第 589 号 ) して作成したものである 無断複製を禁ずる 9