難聴児童の伝える力を 高めるための指導の工夫 -iPadを活用した取り組みを通して-

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4. タブレット端末の利用状況 ( 利用機材の内容と利用のねらい ) ハードウェア機材名 :ipad ねらい : 水が流れる様子や地形が変化した様子を確認できるよう 動画で撮影し記録する 上流 中流 下流それぞれの様子が撮影できるよう ipadは3 台準備する 機材名 :ENVY110( 複合印刷機

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平成 22 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 22 年 4 月 20 日 ( 火 )AM8:50~11:50 平成 22 年 9 月 14 日 ( 火 ) 研究主任山口嘉子 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (105 名 )

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①H28公表資料p.1~2

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活動の流れ 1 4 人のグループに分かれ テーマを決める 校内の施設紹介 学校行事 クラブ活動 時間割など 2 各グループで実施計画を立てる 3 動画を撮影する 4 写真を使って動画を作成する 動画の長さは 1 人 2~3 分とし 全員が発表できるように 分担 を決める 5 必要な語いや表現を調べる

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スライド 1

1-1 小学校国語 A( 調査時間 20 分 ) 基礎的 基本的な言語活動や言語事項に関する知識 技能が身に付いているかどうかをみる問題 で 12 設問で構成されている 本町の結果は 全国の平均正答率 栃木県の平均正答率とほぼ同じであった この調査では 学習指導要領の領域等として 話すこと 聞くこと

町全体の状況を把握 分析するとともに 平均正答率については 全国 全道との比較を数値以外の文言で表現します また 質問紙調査の結果や 課題解決に向けた学力向上の取組を示します (3) 学校ごとの公表小規模校において個人が特定される恐れのあることから 学校ごとの結果公表はしません (4) 北海道版結果

(2) 学習指導要領の領域別の平均正答率 1 小学校国語 A (%) 学習指導要領の領域 領 域 話すこと 聞くこと 66.6(69.2) 77.0(79.2) 書くこと 61.8(60.6) 69.3(72.8) 読むこと 69.9(70.2) 77.4(78.5) 伝統的な言語文化等 78.3(

市中学校の状況及び体力向上策 ( 学校数 : 校 生徒数 :13,836 名 ) を とした時の数値 (T 得点 ) をレーダーチャートで表示 [ ] [ ] ハンドボール ハンドボール投げ投げ H29 市中学校 H29 m 走 m 走 表中の 網掛け 数値は 平均と同等または上回っているもの 付き

平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県和歌山市 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

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指導方法等の改善計画について

2 全国 埼玉県 狭山市の平均正答率 ( 教科に関する調査の結果 ) ( 単位 %) (1) 小学校第 6 学年 教科ごとの区分 教科 狭山市 埼玉県 全国 国語 A 国語 B 算数 A 算数 B 学習指導要領の

領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

Transcription:

難聴児童の 伝えたい を支えるために - 難聴特別支援学級での取り組みを通して - 沖縄県名護市立大北小学校 伊波興穂

県内のろう学校と難聴学級の状況 ろう学校 1 校 小学校難聴学級 5 校 ( 北部地区には本校のみ ) 本校難聴学級について 在籍児 2 名 他校より難聴児童の通級の受け入れ 幼稚園から難聴幼児の教育相談受け入れろう学校から遠いため 様々な難聴児の相談が寄せられる

ろう学校と難聴学級の違いは ろう学校 難聴学級 良さ ロールモデルの存在 きこえない仲間との関わりが充実している 充実した情報保障 ( オーテ オロシ ー 手話等も含め ) 学年や障害の状態に応じた学習環境が整っている きこえる仲間との関わりが充実している 大きな集団で学習できる 地域の中に居場所がある 小学校で学ぶ良さを活かしながら ろう学校のような情報保障 学習保障 同じ障害を持った仲間との関わりをどのように保障するか 携帯情報端末を活用できないか

対象の児童について 今回は難聴学級に在籍している児童 2 名への取り組みの中から準ずる教育に沿って学習している児童の実践を報告します

A くんの実態 小学 5 年 中等度の難聴 ( 右 :75.0dB 左 :70.0dB) 小 1より難聴学級に在籍 準ずる教育課程 国語 算数 自立活動以外は交流学級の児童と学習 今年 4 月より野球部に入部

A くんの実態 A 児のコミュニケーションモードの選択状況 交流学級 難聴学級 教師とのやりとり ( 授業時 ) 音声 FM マイクパソコン要約筆記 音声手話 指文字 友達とのやりとり 音声 音声手話 指文字 様々なコミュニケーションモードを対象に合わせて選択している

A くんの実態 複数の音声を同時に判断することが困難 グループ活動で自分の意見を伝えたり 質問したりすることが難しい Q-U テストの結果 侵害行為認知群 にプロット 失敗した時にクラスの友達は励ましてくれるか の問いに あまりない と回答 きこえにくさ を友達にも知ってほしいという思い 部活の送迎の際 保護者と電話でのやりとりに不安感

そこで 当初のねらい 1 グループ活動や話し合い活動の中で 主体的に自分の考えを伝えたり質問したりできる 2 自分自身の きこえにくさ について 考えや思いをまとめ 友達に伝えることができる 3 保護者や教師とメール機能を使って連絡を取り合うことができる

取り組み 1 ipad で筆談 1 友達と筆談で関わるツールとして カメラ 筆談パット Notability を活用

1 ipad で筆談 紙と鉛筆での筆談 言葉の意味がわからない

1 ipad で筆談 紙と鉛筆での筆談 ipad で写真や絵に文字を書き込む 言葉の意味がわからない 指さしでもわかるみんなで画面を共有できる

1 ipad で筆談 5 月 < 理科の観察や実験場面での活用を試みた > A 児を含め同じグループの児童全員が自由に書き込んで使えるようにした A 児は友達が書き込む様子を見ているだけだった のちの聞き取りでの A 児のコメント 最初は恥ずかしかったから 使いたくなかった

1 ipad で筆談 6 月 A 児が初めて自分の考えを友達に伝えられた A 児が文字を書き込んだメモ 指さしで友達に伝える

1 ipad で筆談 7 月 A 児が初めて自分から友達に筆談で質問できた

1 ipad で筆談 10 月 A 児から友達へ教えてあげることもできた 写真を 2 枚 常に情報の 受け手 だったが 初めて情報を発信できた 社会や外国語活動など他教科のグループ活動でも活用中

1 ipad で筆談 ipadを使った学習をふりかえった時のa 児の言葉 紙( の筆談 ) よりも写真 (ipad) がわかりやすい ( 紙はなんて書いていいかわからない時がある ) 紙の時は恥ずかしい みんなが集まってくるから ipadはみんなで使うから みんなで使っている時ははずかしくない

1 ipad で筆談 児童の変化 ipad を使用することで自ら友達へ尋ねることができた 言葉だけではわからないことが写真を介することで 友達と情報を 共有 できた A 児にとって紙の筆談は 自分だけ が使うもの ipad は みんなと一緒に 使えるもの 同じグループの友達がわからない時に A 児から友達へ 教えてあげる場面も見られるようになってきた A 児にとってはみんなと一緒に共有できた経験が自ら友達に 伝える 行動につながったのではないか

取り組み 2 ipad でプレゼン 2 自分の気持ちや考えを整理し 友達の前で プレゼンするためのツールとして ロイロノート を活用

2 ipad でプレゼン 文章を書く 書き言葉で気持ちを表現することが苦手

2 ipad でプレゼン 文章を書く ロイロノート で文を構成 書き言葉で気持ちを表現することが苦手 短い文章をつないでプレゼン作成ができる文章全体の構成が見てわかりやすい

2 ipad でプレゼン ロイロノート を使った文作りとカードの並び換え ローマ字で入力 カードの順番を入れ換えて構成を考える

2 ipad でプレゼン 難聴理解の啓発授業 (A 児の作成したスライドの一部 ) 1 2 3 4

2 ipad でプレゼン 難聴理解の啓発授業の様子

2 ipad でプレゼン 授業後の交流学級児童からの感想 みんなと遊ぶのや勉強することが好きだと言ってくれたのが嬉しかった 聞こえないと不安に感じた それでも一生懸命話を聞こうとしている A くんはすごいと思った もっと A くんのことを知りたいと思った

2 ipad でプレゼン 発表後の A 児の感想 発表できた自信と友達に分かってもらった喜びを感じることができたのではないか

2 ipad でプレゼン ipad 導入前後でのQ-Uの比較 クラスの人が励ましてくれることがあるか クラスの人は協力してくれるか の質問項目に対して 4 月 あまりない と回答 12 月 とてもある と回答 わかってくれる友達がいる 交流学級での所属意識の高まり

取り組み 3 ipad でメール 3 保護者や教師とメール機能を使って連絡を 取り合うためのツールとして メール を活用

3 ipad でメール 電話でのやりとり うるさい場所では聞こえない

3 ipad でメール 電話でのやりとり メールで保護者や教師とやりとり うるさい場所では聞こえない 伝えたい事が正しく伝わる

3 ipad でメール 学習の経過 すぐに写真の添付方法を理解できた 交流学級からの宿題でわからない問題についてメールで質問することができた ( 右の写真 6 月 ) 台風の際 休校の有無について質問できた (7 月 ) 保護者とメールでのやりとりを開始 (9 月 ) 部活動後 保護者と連絡の行き違いがなくなった A 児から担任へのメール 困った時に自ら ipad を活用できた A 児にとって ipad が生活の一部に

今後の見通し 1 ipad で筆談 同じ難聴者と関わる場面での活用へとつなげたい 2 ipad でプレゼン 聴こえない児童と関わる機会を増やしていきたい ( ろう学校や他校の難聴学級との連携 ) 3 ipad でメール 同じ難聴者とのやりとりにつなげていきたい 文を書くことへの抵抗感を減らしていきたい

今後の見通し ipad で同じ障害のある仲間とつながる機会を設定したい 将来 デフコミュニティと健聴者の社会 どちらへも自分で選択し 関わっていけるように ipad などの携帯情報端末を活用する 難聴児が小学校で学ぶことの良さを活かしながら 小学校で学ぶ上での課題や地理的な課題を 解決していくために効果的なツール

ご清聴ありがとうございました