<4D F736F F D DA18CE382CC A835E838A F95FB906A89FC92E888C BD A2E646F63>

Similar documents
降下物中の 放射性物質 セシウムとヨウ素の降下量 福島県の経時変化 単位 MBq/km2/月 福島県双葉郡 I-131 Cs Cs-137 3 8,000,000 環境モニタリング 6,000,000 4,000,000 2,000,000 0 震災の影響等により 測定時期が2011年7

1 海水 (1) 平成 30 年 2 月の放射性セシウム 海水の放射性セシウム濃度 (Cs )(BqL) 平成 30 年 平成 29 年 4 月 ~ 平成 30 年 1 月 平成 25 ~28 年度 ~0.073 ~ ~0.

中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会(第49回)

東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故直後の平成 23 年 3 月 17 日には 原子力安全委員会の示した指標値を暫定規制値として設定し 対応を行ってきました 平成 24 年 4 月 1 日からは 厚生労働省薬事 食品衛生審議会などでの議論を踏まえて設定した基準値に基づき対応を行っています 食品


学んで、考えてみよう 除染・放射線のこと 使い方

<82A082C682E082B731318C8E8D862E696E6464>

fruikei.xls

資 料 食品中の放射性物質の最近の検出状況 平成 30 年 10 月 消費者庁食品安全委員会厚生労働省農林水産省 目次 1 農林水産物の放射性物質対策 2~ 8 2 検査の仕組み 9~15 3 検査の結果 16~25 1

放射線被ばくによる小児の 健康への影響について 2011 年 5 月 19 日東京電力福島原子力発電所事故が小児に与える影響についての日本小児科学会の考え方 本指針を作成するにあたり 広島大学原爆放射線医科学研究所細胞再生学研究分野田代聡教授の御指導を戴きました 御尽力に深く感謝申し上げます

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

彦 根 市 水 道 事 業 水安全計画 概要書

Microsoft Word - 2-1

reference3

福島第1原子力発電所事故に伴う 131 Iと 137 Csの大気放出量に関する試算(II)

<4D F736F F D B4C8ED294AD955C8E9197BF E894A8AFA8B7982D191E495978AFA82C982A882AF82E996688DD091D490A882CC8BAD89BB82C982C282A282C4816A48502E646F63>

はそれぞれ 4~7 歳と推定された 当該ユメカサゴの検体は 4 個体を混合したものだったことから 今回の測定値は 4 個体の平均濃度を示しており 4 個体のそれぞれの濃度を知ることは出来ない このため 測定に供さなかった魚の頭部 ( 骨等の可食部以外の部位を含む ) を細断し これを検体として個体別

< F2D8E9696B D2E6A7464>

資料 3 前回の小委員会の振り返りについて 多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会 事務局

日本GAP協会 放射能検査プログラム 石岡市 プレゼン版


タイトル

平成24年度農研機構シンポジウム資料|牛肉における放射性セシウムの飼料からの移行について

2. 水管理に関連する障害 Q 軟化装置管理上の留意点ついて, 具体的な管理方法を教えてください イオン交換樹脂は球状で粒径は mm 程度, 複雑な網目状の三次元骨格構造を呈しており, 軟水採水量はイオン交換樹脂量と原水の硬度によって決まります イオン交換樹脂は一般的に1 年

2017 年 7 月 30 日 福島県七方部市町村空間放射線量 6 年間の変遷について 一般社団法人南相馬除染研究所 Chief Coordinator 田中節夫 はじめに東日本大震災に端を発した福島第一原発事故より 6 年余を経過しました 事故発生以来 測定機器の整備に伴い福島県では空間放射線量の

< F2D816994D48D FA957493FC816A >

リスクコミュニケーションのための化学物質ファクトシート 2012年版

飲用井戸水等のモニタリング検査結果 ( 川内村 ) 2/18 川内村 井戸水 上川内字林 2011/7/25 ND ND ND 井戸水 上川内字子安川 2011/7/27 ND ND ND 井戸水 上川内字細越 2011/7/29 ND ND ND 井戸水 上川内字瀬耳上 2011/7/31 ND

PowerPoint プレゼンテーション

平成 29 年 12 月 1 日水管理 国土保全局 全国の中小河川の緊急点検の結果を踏まえ 中小河川緊急治水対策プロジェクト をとりまとめました ~ 全国の中小河川で透過型砂防堰堤の整備 河道の掘削 水位計の設置を進めます ~ 全国の中小河川の緊急点検により抽出した箇所において 林野庁とも連携し 中

資料2

 

共同住宅の空き家について分析-平成25年住宅・土地統計調査(速報集計結果)からの推計-

PowerPoint プレゼンテーション

新旧対照表

仮設焼却施設の運転状況(11月4日~12月26日)

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱


Microsoft PowerPoint - 03_資料2医療機器の適正配置ver11(きした修正)

表 3 の総人口を 100 としたときの指数でみた総人口 順位 全国 94.2 全国 沖縄県 沖縄県 東京都 東京都 神奈川県 99.6 滋賀県 愛知県 99.2 愛知県 滋賀県 神奈川

Microsoft PowerPoint - ①23年度総括_訂正版

福島県内の災害廃棄物の処理の方針

平成 27 年度水質検査計画 はじめに三条市は 3 箇所の浄水場や管路延長 780 kmの配水管などの水道施設と三条地域水道用水供給企業団 ( 以下 企業団 という ) からの受水で 市内へ水道水を供給しています 浄水場は 信濃川 五十嵐川及び守門の湧水をそれぞれ水源としていますが その水質状況の把

注 3) 化学物質環境実態調査 ( 黒本調査 ) は 非意図的生成化学物質汚染実態追跡調査 ( 平成 5 ~13 年度 ) モニタリング調査 ( 平成 14 年度 ~) のデータをまとめた 注 4) 化学物質環境実態調査 ( 黒本調査 ) 内分泌攪乱化学物質における環境実態調査 については 環境中の

資料第10-1-1号 :文部科学省によるプルトニウム、ストロンチウムの核種分析の結果について

スライド 1

かけはし_049.indd

<4D F736F F D F5F8F4390B3816A95788E6D8CDC8CCE82CC90858EBF8AC28BAB82CC95CF89BB8F4390B B7924A90EC816A2E646F63>

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

中間指針第四次追補に関するQ&A集

平成 27 年 9 月埼玉県東松山環境管理事務所 東松山工業団地における土壌 地下水汚染 平成 23~25 年度地下水モニタリングの結果について 要旨県が平成 20 年度から 23 年度まで東松山工業団地 ( 新郷公園及びその周辺 ) で実施した調査で確認された土壌 地下水汚染 ( 揮発性有機化合物

平成17年3月24日

untitled

第4回 東日本大震災アスベスト対策合同会議

(審31)資料5-1 住民意向調査の結果及び住民帰還等に向けた取組について

第 2 編 地下水の水質測定結果

< E B B798E7793B188F5936F985E8ED EA97975F8E9696B18BC CBB8DDD816A E786C7378>

DOTS 実施率に関する補足資料 平成 26 年 12 月 25 日 結核研究所対策支援部作成 平成 23 年 5 月に改正された 結核に関する特定感染症予防指針 に DOTS の実施状況は自治体による違いが大きく実施体制の強化が必要であること 院内 DOTS 及び地域 DOTS の実施において医療

Microsoft Word - 退院後生活環境相談員

<4D F736F F F696E74202D CFA90B689C88A B6389EF908593B EF908593B9906B8DD08CE382CC93AE82AB2E >

2018/11/26 水産 ゴマサバ 和歌山県 検出せず 2018/11/27 畜産 PC 国産牛肉 ( ) 埼玉県 検出せず 2018/11/27 畜産 PC 国産牛肉 ( ) 香川県 検出せず 2018/11/27 畜産 PC 国産牛肉 (

< E B B798E7793B188F5936F985E8ED EA97975F8E9696B18BC CBB8DDD816A E786C7378>

<4D F736F F F696E74202D208E518D6C8E9197BF325F94F093EF8AA98D CC94AD97DF82CC94BB92668AEE8F8082C98AD682B782E992B28DB88C8B89CA2E B8CDD8AB B83685D>

「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針第二次追補(政府による避難区域等の見直し等に係る損害について)」

sankou5

資料4 検討対象水域の水質予測結果について

福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第276 報)

【通知】海外療養費・出産育児一時金の支給の適正化に向けた対策等について

22. 都道府県別の結果及び評価結果一覧 ( 大腸がん検診 集団検診 ) 13 都道府県用チェックリストの遵守状況大腸がん部会の活動状況 (: 実施済 : 今後実施予定はある : 実施しない : 評価対象外 ) (61 項目中 ) 大腸がん部会の開催 がん部会による 北海道 22 C D 青森県 2

1 調査概要調査手法 : 各県 300 票インターネットによるモニター調査調査時期 :2018 年 12 月 7 日 ~10 日調査対象 : 300 票宮城県 茨城県 東京都 大阪府各 300 票調査方法 : 合計 1500 票の調査を実施抽出方法 : 年層 (20 代 ~60 代 ) 男女割当法

福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第227報)

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

目次 平成 30 年 6 月環境経済観測調査地域別統計表 ページ 表 A 地域別対象企業数及び回答率 1 表 1-1 我が国の環境ビジネス全体の業況 主業別 2 表 1-2 発展していると考える環境ビジネス 4 表 2-1(1) 現在行っている環境ビジネス数 主業別 6 表 2-1(2) 現在行って

厚生労働科学研究費補助金 (地域健康危機管理研究事業)

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

Microsoft Word - HP掲載資料 docx

卵及び卵製品の高度化基準

特定健康診査等実施計画

<819A837D836A B8E6292E894C F4390B3816A2E786477>

資料2 食品衛生法に基づく魚介類への残留基準の設定に対応した水質汚濁に係る農薬登録保留基準の改定について(農薬小委員会報告)

計画の今後の方向性

福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第350 報)

Microsoft PowerPoint - 【セット版】140804保育キャンペーン資料

Microsoft PowerPoint - 補足資料(セット版-2).ppt

資料 5 自治体クラウド推進 業務改革について 平成 27 年 9 月 14 日

untitled

平成 24 年度職場体験 インターンシップ実施状況等調査 ( 平成 25 年 3 月現在 ) 国立教育政策研究所生徒指導 進路指導研究センター Ⅰ 公立中学校における職場体験の実施状況等調査 ( 集計結果 ) ( ) は 23 年度の数値 1 職場体験の実施状況について ( 平成 24 年度調査時点

Microsoft PowerPoint - ☆PTポイント・概要(セット)

( 参考 ) と直近四半期末の資産構成割合について 乖離許容幅 資産構成割合 ( 平成 27(2015) 年 12 月末 ) 国内債券 35% ±10% 37.76% 国内株式 25% ±9% 23.35% 外国債券 15% ±4% 13.50% 外国株式 25% ±8% 22.82% 短期資産 -

3 流動比率 (%) 流動資産流動負債 短期的な債務に対する支払能力を表す指標である 平成 26 年度からは 会計制度の見直しに伴い 流動負債に 1 年以内に償還される企業債や賞与引当金等が計上されることとなったため それ以前と比べ 比率は下がっている 分析にあたっての一般的な考え方 当該指標は 1

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

<4D F736F F F696E74202D EF8B638E9197BF82CC B A6D92E894C5816A E >

Microsoft Word - 【発送版】製造所の登録通知

安全証明書 平成 23 年 4 月 1 日 伊達物産株式会社緊急対策本部広報 伊達物産株式会社にて取り扱う鶏肉について 下記の通り 安全であることを証明致します 記伊達物産株式会社で取り扱います 福島県産伊達鶏 並びに国産若鶏につきまして 緊急時モニタリング検査結果について ( 福島県 肉 ) の検

4-2 地域の課題人口の減少により 町内では老朽化した空き家 空き店舗が随所に見られるようになっており 平成 28 年 3 月に町内を調査したところ 空き家 空き店舗と思われる建物が 159 軒存在していることが判明した 特に 商店街 公共機関 医療機関等が近接する利便性の高い中心市街地における空き

図表 1 個人保険の新規契約 保有契約 ( 万件 % 億円) 新規契約 保有契約 件数 金額 ( 契約高 ) 件数 金額 ( 契約高 ) 前年度比 前年度比 前年度比 前年度比 平成 25 年度 1, , , ,575,

1 大阪府の石綿対策の制度 1-1 建築物等の解体等工事に係る法 条例の主な規制内容 建築物の解体等工事 吹付け石綿 断熱材 保温材 被覆材 成形板 ( 石綿使用面積 1,000m 2 以上 ) 成形板 ( 石綿使用面積 1,000m 2 未満 ) 石綿無 着手前 着手中 事前調査条例条例条例条例

温暖化防止のための環境学習DVD教材

淀川水系流域委員会第 71 回委員会 (H20.1 審議参考資料 1-2 河川管理者提供資料

<4D F736F F F696E74202D E F EF816A8E9197BF A082E895FB82C982C282A282C4>

Transcription:

平成 23 年 4 月 4 日 ( 平成 23 年 6 月 30 日一部改定 ) 厚生労働省 今後の水道水中の放射性物質のモニタリング方針について 1 はじめに東京電力株式会社福島第一原子力発電所 ( 以下 東電福島第一原発 という ) の事故に関連した水道水中の放射性物質への対応について 平成 23 年 3 月 19 日付け健水発 0319 第 2 号厚生労働省健康局水道課長通知 福島第一 第二原子力発電所の事故に伴う水道の対応について 及び平成 23 年 3 月 21 日付け健水発 0321 第 2 号厚生労働省健康局水道課長通知 乳児による水道水の摂取に係る対応について に基づき 指標等 ( 放射性ヨウ素 300 Bq/kg( 乳児の摂取は 100 Bq/kg) 放射性セシウム 200 Bq/kg) を超過した時には 厚生労働省より 水道事業者に対し飲用を控える要請を行うこととした その後 政府の原子力災害現地対策本部 文部科学省 地方公共団体及び水道事業者等の測定結果が蓄積されていく中で 指標等を超過した一部の水道事業者に対して厚生労働省は水道水の摂取制限及び広報の要請を行い それを受けて水道事業者は水道利用者に対して広報等を行った また その後の放射性物質の濃度の減少を受けて 水道事業者は水道水の摂取制限の解除を実施してきた 以上の経緯及びその当時までの検査結果等を踏まえ 平成 23 年 4 月 4 日に今後のモニタリングの方針 検査結果に基づく摂取制限の要否の判断及び摂取制限の解除の考え方を公表し 現在 これに基づき 水道事業者等が検査を実施し その結果の公表を続けている 各地の測定結果からは 水道水から検出される放射性物質の濃度は検出下限 1

値未満又は極めて微量で推移していることが明らかになっているが 原子力緊急事態が依然として収束していないこと等に鑑み 東電福島第一原発における事故以降 今後の中長期的な水道水の安全性確保に万全を期すため 厚生労働省は平成 23 年 4 月 25 日から 水道水における放射性物質対策検討会 を 3 回開催し モニタリング結果を踏まえた中長期的な取組等の検討を行い 中間報告が平成 23 年 6 月 21 日にまとめられた 今般 この中間報告を踏まえ 平成 23 年 6 月 30 日に開催された厚生科学審議会生活環境水道部会の了承を経て 今後のモニタリング方針を改定したので公表する 2 基本的な考え方現状では 東電福島第一原発からの放出量が事故直後に比較して大幅に減少していること 降雨後においても放射性物質の降下量の上昇がわずかであること及び水道水中に検出される放射性物質の濃度が検出下限値未満又は微量で推移している状況にとどまっていることから 今後 再び東電福島第一原発から大気中への放射性物質の大量放出がない限り 放射性物質の影響により水道水の摂取制限等の対応が必要となる蓋然性は低い また 表流水の影響を受けない地下水を用いる福島県内の水道事業の水道水から放射性物質が検出されていないこと 東電福島第一原発から 20~30km 圏内及びその周辺地域の井戸水から放射性物質が検出されていないこと 放射性ヨウ素の半減期が 8 日間と比較的短期間であること並びに放射性セシウムは土壌等に吸着されて地面表層に残留するため地下に容易には浸透しないことを踏まえると 水道水源となる地下水に対して放射性物質の影響が現れる蓋然性は低い さらに ゲルマニウム半導体検出器を保有する検査機関が限られているため 一部の水道事業者等においては水道水中の放射性物質の検査の実施に苦慮しており 短期間で十分な検査体制を確立することが困難な状況にある このため 今後は 放射性物質の検出リスクが同じ傾向にあると考えられる 2

流域単位で水道水のモニタリングを実施する等 合理的かつ効果的な検査体制に移行すべきである その際には 早期に検出リスクを把握すること 浄水処理による除去効果を確認すること等の観点から 関係都県ごとに 水源となる河川の流域単位で代表性のあるモニタリング箇所を選定し 水道原水の放射性物質のモニタリングを実施して その結果を当該流域の水道事業者等が共有することにより 水道事業者等の水道水質管理に活用することが望ましい 一方で 我が国で初めての原子力緊急事態が依然として収束していないこと及び今後梅雨や台風等大雨が予想される時期に入ること等に鑑み 当面の数ヶ月間 水道水の検査を継続的かつ定期的に実施する必要がある こうした状況下 放射性物質の拡散による水道水への影響と安全性を確認するため 福島県及びその近隣都県において 検査体制を引き続き維持していく必要がある また 放射性物質の拡散による水道水への影響が及ぶと考えられる地域において広域的な検査を着実に実施する必要もある これらの検査結果等を踏まえ 摂取制限の要否の判断及び摂取制限の解除の考え方に基づき 水道水中の放射性物質の濃度が指標等を超過する場合には 水道事業者に対し水道水の摂取制限及び広報の要請を行うとともに 水道水中の放射性物質の濃度が指標等を下回る情報も含めて検査結果を公表することにより 水道利用者の水道水への不安感を払拭し 安心 安全な水道を持続させることが重要である 3 当面のモニタリングの方針 (1) 調査方針水道水中の放射性物質 大気中の放射性物質等の検査結果や東電福島第一原発からの距離も参考にしつつ 福島県及びその近隣の地域 ( 宮城県 山形県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 ) の水道事業 ( 本州から地理的に離れ 水源が独立している島嶼部の水道事業を除く ) について 重点的にモニタリングを実施していく 3

検査の実施にあたって これらの地域の地方公共団体に対して 地域内の市町村の水道水の定期的な検査を実施するよう要請する なお 福島県では 政府の原子力災害現地対策本部が福島県の協力を得て検査を実施しているところであり 引き続きそのデータや調査内容等の情報を収集していく さらに 文部科学省及び水道事業者等が実施している全国の調査結果も収集し モニタリング結果を集積していく また 地方公共団体及び水道事業者等の検査の実施体制を随時把握し 中長期的に 水道水専用の検査機器を設置する等検査体制を確保するよう検討していく 原子力発電所から大気中へ大量の放射性物質が再度放出された場合には 風向き等から重点的にモニタリングを実施すべき地方公共団体を追加することがある (2) 対象項目 当面 放射性ヨウ素 放射性セシウムを対象項目とする なお 原子力発電所事故の推移等を踏まえ 必要に応じて見直す (3) 検査対象試料採水場所は 蛇口の水 浄水場の浄水とし 水道事業ごとに設定する 水道事業者等が実施する検査においては 浄水場での放射性物質に対する水質管理の実施に役立たせるため 浄水場の浄水を基本とする 流域単位で代表性のある箇所での水道原水のモニタリングが可能となった場合には 代表性のある箇所における原水水質が その水源を利用する全ての水道事業者等の原水水質とみなしても差し支えないと考えられるため 水道水の水質検査についても 水道原水の検査を考慮して実施することとし その水源を利用する水道事業者等が実施した水質検査結果を他の水道事業者等が活用することができるものとする 水道用水供給事業者から受水している水道事業者は 当該水道水供給事業者の水質検査結果を活用することができるものとする 4

(4) 検査頻度表流水及び表流水の影響を受ける地下水を利用する水道事業者等に関しては 地方公共団体 水道事業者等の検査体制に応じて 1 週間に 1 回以上を目途に検査する 降雨の影響を受ける水道事業者等は 降雨の影響を受ける間 検査頻度を高める 表流水の影響を受けない地下水を利用する水道事業者等に関しては 1 ヶ月に 1 回以上を目途に検査する ただし 指標等を超過した場合 または指標等に近い値が測定されている場合には 原則として 毎日測定することとする 東電福島第一原発から大気中へ大量の放射性物質が再度放出され 厚生労働省が地方公共団体に対して検査を要請した場合には 水道事業者等は 水道水や水道原水を毎日採水し 検査を実施することとする これらの場合において 水道水の検査結果による数値が指標等と比較して低い数値となった段階で検査頻度を通常のものに戻すこととする (5) 検査体制の確保地方公共団体による検査実施を要請する一方 地方公共団体の検査機関において水道水の検査が困難な場合 当該地方公共団体に対し 厚生労働省が民間検査機関や国の研究所等検査実施可能な検査機関を紹介することで 当面の検査体制を確保する (6) とりまとめ及び公表 全国の検査結果を集約し 検査実施地域 ( 指標等以下 乳児摂取制限 一 般摂取制限 ) 及び検査未実施地域を示す図表等と併せて定期的に公表する 4 厚生労働省が行う摂取制限及び広報の要請の目安原則として 直近 3 日分の水道水の放射性物質の検査結果の平均値が指標等を上回った水道事業者に対し 摂取制限及び広報の要請を実施する ただし 5

1 回の検査結果でも指標等を著しく上回った場合には 当該水道事業者に摂取制限及び広報の要請を実施する また 東電福島第一原発から大気中へ大量の放射性物質が再度放出された場合には 事故発生直後に測定した水道水中の 1 回の検査結果でも放射性ヨウ素が指標等を上回った水道事業者に対し 摂取制限及び広報の要請を実施する なお 1つの水道事業において複数の浄水場を所有し 浄水場ごとの給水区域が独立して設定されている場合は 給水区域ごとに摂取制限及び広報の要請を実施する 本来 摂取制限に関する指標等は 放射性物質による長期影響を考慮して設定されており 長期間にわたる摂取量と比較して評価すべきものである 一方 これまでの検査結果によれば 水道水中の放射性物質の濃度には時間的な変動がみられ 将来の長期にわたる変動を予測することは困難である 以上のことを踏まえ 摂取制限の発動及び解除には一定の迅速性を求められることを考慮して 当面 3 日分のデータで評価することとしたものである なお 東電福島第一原発から大気中へ大量の放射性物質が再度放出された場合において 水道水源の広範囲にわたり放射性ヨウ素が流入し 高濃度の放射性ヨウ素を含む水道原水が数日間にわたって流入した場合には 浄水処理工程で粉末活性炭を投入しても 一定濃度は水道水中に残留し続けると考えられる このため 放射性物質の大量放出以降に測定した浄水中の放射性ヨウ素が指標等を超過する場合は その後の数日間においても指標等を超過する蓋然性が高いことから 1 日分のデータで評価することとした 5 水道事業者が行う摂取制限の解除の目安水道水の摂取制限を行っている水道事業者が 水道水の摂取制限の解除を実施する際の目安を 直近 3 日分の水道水の放射性物質の検査結果の平均値が指標等を下回り かつ 検査結果が減少傾向にある場合とする なお 摂取制限の解除にも適切な広報を要請する 6

6 その他 上記 3 4 5 の内容等については 必要に応じて厚生労働省が地方公共団 体に別途要請することがある 7 今後の取組 放射性物質の検出リスクが同じ傾向にあると考えられる流域単位で水道原水や水道水のモニタリングを実施する等 合理的かつ効果的な検査体制に移行するため 厚生労働省は地方公共団体と調整を行い 水道原水監視も含めた流域単位の具体的なモニタリング実施体制を整備拡充していく これらの実施体制の整備状況等を踏まえ あらためてモニタリング方針の見直しを検討する 測定時間に応じた検出下限値及び検査機器の使用方法等をまとめたモニタリングマニュアルを作成する 7