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咲洲地区における 地震動作成方法

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07 別冊③三次元差分法を用いた長周期地震動の推計手法

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地震の概要 検知時刻 : 1 月 3 日 18 時分 10 発生時刻 : 1 月 3 日 18 時 10 分 マグニチュード: 5.1( 暫定値 ; 速報値 5.0から更新 ) 場所および深さ: 熊本県熊本地方 深さ10km( 暫定値 ) 発震機構 : 南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型 ( 速報

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日本海地震・津波調査プロジェクト

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2.1-震度分布からの震源域推定_

図 東北地方太平洋沖地震以降の震源分布図 ( 福島第一 第二原子力発電所周辺 ) 図 3 東北地方太平洋沖地震前後の主ひずみ分布図 ( 福島第一 第二原子力発電所周辺 )

8km M km M M8.4 1M M M 東北地方太平洋沖で想定されていた地震 Fig % 8 9% M8. 6 3m M % Fig.1 Distribution of

素早い避難の確保を後押しする対策として位置付けるべきものであることとされているところである 国及び関係公共団体等は 最大クラスの地震 津波に対して被害を減ずるため これらの報告で示された地震 津波対策を速やかに具体化し 推進する必要がある 主な津波対策を以下に示す (1) 強い揺れや弱くても長い揺れ

別添資料 3 南海トラフ沿いの大規模地震の 予測可能性に関する調査部会 ( 報告 ) 南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性について 平成 25 年 5 月 -0-

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防災情報のページ

配付先 : 文部科学記者会 科学記者会 神奈川県政記者クラブ 横須賀市政記者クラブ 青森県政記者会 むつ市政記者会 高知県政記者クラブ 沖縄県政記者クラブ 名護市駐在 3 社 大阪科学 大学記者クラブ 和歌山県政記者クラブ 和歌山県政放送記者クラブ 和歌山県地方新聞記者クラブ 新宮中央記者会 新宮記

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国土技術政策総合研究所 研究資料

報告書

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この資料は速報値であり 後日の調査で変更されることがあります 時間帯 最大震度別回数 震度 1 以上を観測した回数 弱 5 強 6 弱 6 強 7 回数 累計 4/14 21 時 -24 時 /15 00 時 -24 時 30

本ワーキンググループにおけるこれまでの検討事項

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H19年度

11-4 地震波の伝播と強震動生成のシミュレーション

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81_32【論文】首都圏における長周期地震動シミュレーション

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418 を見直すことによる震源再解析結果を報告した 一方, 奄美大島の南に位置する与路島等で実施した津波堆積物を調べるボーリング調査を紹介し,1911 年喜界島津波より古い時代のこの海域の巨大津波の発生を検討した また, この海域における過去の巨大津波の発生を推定するために, 奄美大島のリーフ上に点

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プレス発表資料 平成 27 年 3 月 10 日独立行政法人防災科学技術研究所 インドネシア フィリピン チリにおけるリアルタイム 津波予測システムを公開 独立行政法人防災科学技術研究所 ( 理事長 : 岡田義光 以下 防災科研 ) は インドネシア フィリピン チリにおけるリアルタイム地震パラメー

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津波警報等の留意事項津波警報等の利用にあたっては 以下の点に留意する必要があります 沿岸に近い海域で大きな地震が発生した場合 津波警報等の発表が津波の襲来に間に合わない場合があります 沿岸部で大きな揺れを感じた場合は 津波警報等の発表を待たず 直ちに避難行動を起こす必要があります 津波警報等は 最新

利用規程

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「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の改訂に伴う島根原子力発電所3号機の耐震安全性評価結果報告書の提出について

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佐賀県の地震活動概況 (2018 年 12 月 ) ( 1 / 10) 平成 31 年 1 月 15 日佐賀地方気象台 12 月の地震活動概況 12 月に佐賀県内で震度 1 以上を観測した地震は1 回でした (11 月はなし ) 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 図 1 震央分布図 (2018 年 1

目次第 1 はじめに : 本準備書面の目的 3 第 2 基準地震動 3 1 基準地震動の意味 3 2 基準地震動 Ss 4 3 基準地震動の表現方法 5 第 3 解放基盤 6 1 基盤 6 2 地震基盤 工学的基盤 深部地盤 表層地盤 6 3 解放基盤の意味 8 第 4 地震動 10 1 地震動の意

目次 第 Ⅰ 編本編 第 1 章調査の目的 Ⅰ-1 第 2 章検討体制 Ⅰ-2 第 3 章自然 社会状況 Ⅰ-3 第 4 章想定地震 津波の選定条件等 Ⅰ-26 第 5 章被害想定の実施概要 Ⅰ-37 第 6 章被害想定結果の概要 Ⅰ-48 第 7 章防災 減災効果の評価 Ⅰ-151 第 8 章留意

InterRisk Report Form(2010.7改定)


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東北地方太平洋沖地震への 気象庁の対応について ( 報告 ) 気象業務の評価に関する懇談会 平成 23 年 5 月 31 日 気象庁 1

資料 総08-(3) 土木構造物に対する設計地震動の現状と地震動研究に対する期待

基本方針

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9 箇所名 江戸川区 -1 都道府県東京都 市区町村江戸川区 地区 清新町, 臨海町 2/6 発生面積 中 地形分類 盛土地 液状化発生履歴 近傍では1855 安政江戸地震 1894 東京湾北部地震 1923 大正関東地震の際に履歴あり 土地改変履歴 国道 367 号より北側は昭和 46~5 年 南

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津波発生域モデル【日本海溝・千島海溝(南部)沿い海域】

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177 箇所名 那珂市 -1 都道府県茨城県 市区町村那珂市 地区 瓜連, 鹿島 2/6 発生面積 中 地形分類自然堤防 氾濫平野 液状化発生履歴 なし 土地改変履歴 大正 4 年測量の地形図では 那珂川右岸の支流が直線化された以外は ほぼ現在の地形となっている 被害概要 瓜連では気象庁震度 6 強

平成 24 年 ( 行ウ ) 第 15 号東海第二原子力発電所運転差止等請求事件 原告大石光伸外 265 名 被告国外 1 名 準備書面 (67) 2018 年 11 月 29 日 水戸地方裁判所民事第 2 部合議ア A 係 御中 原告ら訴訟代理人 弁護士 河 合 弘 之 外 本書面は 原告ら準備書

Transcription:

資料 2 内閣府における 長周期地震動の検討 ( 内閣府検討結果の概要 ) 1

平成 27 年 12 月 17 日 内閣府の公表資料一覧 (1) 南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動に関する報告 (2) 南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動に関する報告図表集 (3) 別冊 1-1 南海トラフ沿いの過去地震の強震断層モデル及び津波断層モデル (4) 別冊 1-2 南海トラフ沿いの過去地震の強震断層モデル ( 図表集 ) (5) 別冊 1-3 南海トラフ沿いの過去地震の津波断層モデル ( 図表集 ) (6) 別冊 2 統計的グリーン関数法を用いた震度分布の推計手法 (7) 別冊 3 三次元差分法を用いた長周期地震動の推計手法 (8) 別冊 4 長周期地震動の推計結果 ~ 長周期地震動による地表の揺れ ~ (9) 別冊 5 長周期地震動の推計結果 ~ 擬似速度応答スペクトル ~ (10) 別冊 6 長周期地震動の推計結果 ~ 超高層建築物における最上階の揺れ ~ 2

検討の流れ 東北地方太平洋沖地震等から得られた知見の整理 南海トラフ沿いの長周期地震断層モデルの作成 地盤構造モデルの整理 3 次元差分法による長周期地震動の計算 超高層建築物への影響評価 3

長周期地震動の検討対象とする地震 過去地震 中央防災会議 (2003) と同じく 過去地震については *1707 年宝永地震 (M8.6) *1854 年安政東海地震 (M8.4) *1854 年安政南海地震 (M8.4) *1944 年昭和東南海地震 (M7.9) *1946 年昭和南海地震 (M8.0) の 5 地震を長周期地震動を検討する対象とする 最大クラスの地震 最大クラスの地震についても長周期地震動の推計を行う 最大クラスの地震の断層モデルは 東北地方太平洋沖地震の震源過程解析から得られた科学的知見を基に 5 つの過去地震で強震動を生成した領域を包絡する形で設定する 長周期地震動の発生を検討する最大クラスの地震の発生頻度については 津波堆積物等の資料が十分でなく 直接的な評価はできないが 一般的には 地震規模が大きいほど頻度が低くなるため 検討対象とした 5 つの過去地震に比べて発生頻度は更に低い 4

東北地方太平洋沖地震等から 得られた知見の整理 (1) 概要 複雑な断層の破壊過程によって生じる * 強震動 * 津波 * 長周期地震動 のすべてを統一的に表現する震源断層モデルを構築することは困難 本検討では これまでに構築した 強震断層モデル 津波断層モデル とは別に 長周期地震動を推計するための 長周期地震断層モデル を構築 * 強震断層モデル 津波断層モデルは下記で検討済み内閣府南海トラフの巨大地震モデル検討会 : 南海トラフの巨大地震による震度分布 津波高について ( 第一次報告 ) 平成 24 年 3 月 31 日 5

東北地方太平洋沖地震等から 得られた知見の整理 (2) 1 海溝に近い側に大きな津波を発生させた断層すべり量の大きな領域 ( 大すべり域及び超大すべり域 ) が存在する 周期 20 秒から数百秒以上の地震動は 概ね大すべり域 超大すべり域に対応する領域から発生している 6

東北地方太平洋沖地震等から 得られた知見の整理 (3) 2 周期 10 秒程度或いはそれより短い周期の地震動は 大すべり域 超大すべり域よりも陸域側の領域で発生すると考えられる このような強震動を発生する領域は 強震動生成域 (SMGA:Strong Motion Generation Areas) と呼ばれている 7

東北地方太平洋沖地震等から 得られた知見の整理 (4) 3 川辺 他 (2012) Kurahashi&Irikura(2013) 等による解析では 周期 2~10 秒程度の長周期地震動は震源断層全体ではなく 強震動生成域のみから生成される というモデルによって観測記録を再現できる 8

東北地方太平洋沖地震等から 得られた知見の整理 (5) 仙台 SMGA の位置 9

東北地方太平洋沖地震等から 得られた知見の整理 (6) 4 超大すべり域を含む断層モデルを用いて地震動を推定した結果 周期 10 秒の長周期地震動が広範囲にわたり過大評価になった 周期 10 秒程度までの長周期地震動の断層モデルに 超大すべり域を含むことは適切でない 過大評価 10

東北地方太平洋沖地震等から 得られた知見の整理 (7) 5 東北地方太平洋沖地震の強震動生成域は 過去に発生した M7~8 クラスの地震の強震動を発生させた領域と概ね近い位置にある 11

東北地方太平洋沖地震等から 得られた知見の整理 (8) 6 下記パラメータ間には相似則 ( スケーリング則 ) が成立する * 地震モーメントと断層面積 [ 例えば室谷 他 (2012)] * 強震動生成域毎の地震モーメントと面積 [ 横田 他 (2012)] このことから 各強震動生成域の地震モーメントは このスケーリング則を用いて設定する 12

東北地方太平洋沖地震等から 得られた知見の整理 (9) 7 強震動生成域の応力降下量は その面積等の大小によらず 概ね 15~30MPaである そこで * 過去地震の再現に用いる強震動生成域の応力降下量 :15~30MPa * 最大クラスの地震に用いる強震動生成域の応力降下量 : 最大 30MPa が適切と考えられる 応力降下量 地震断層に蓄えられた応力は 地震の発生によって解放される この蓄えられた応力の解放量のこと 13

長周期地震断層モデルの作成 モデル作成の基本方針 * 今回検討する長周期地震断層モデルは 強震動生成域のみのモデルを用いる * 過去地震の長周期地震断層モデルとして設定する強震動生成域の位置は 統計的グリーン関数法で震度分布を再現する強震動生成域と同じ位置とする * 応力降下量は全ての強震動生成域で 30MPa とする * 最大クラスの地震による長周期地震動を推計するための断層モデルの強震動生成域は 5 つの過去地震の強震動生成域を全て包絡するように設定する * 過去地震の強震動生成域は 同様の位置にあっても面積が異なる場合がある この場合 最大クラスの地震の強震動生成域の面積は最大のものを採用する また 応力降下量は 30MPa とする 14

過去地震の強震動生成域の位置 (1) 震度分布を再現する強震動生成域の位置を求める 手法 : 統計的グリーン関数法 左 : 観測記録や古文書から推定される震度分布右 :Simulation による震度分布 : 強震動生成域の位置 15

過去地震の強震動生成域の位置 (2) 16

最大クラスの地震の 強震動生成域の位置 最大クラスの地震 * 位置 :5 つの過去地震の強震動生成域を全て包絡する位置 * 個数 :11 個 * 面積 : 面積が最大のものを採用する 17

その他の震源パラメータ (1) 破壊伝播の揺らぎの導入 実際の地震における断層破壊は 断層面の不均質性等により 破壊伝播速度や破壊の大きさが場所により異なる 本検討では 乱数を用いて (1) 破壊伝播速度に揺らぎを与える (2) すべり量に揺らぎを与えるケースについて検討した 上記 (1) が複雑な破壊過程を効果的に表現できる (1) を採用 160 通りの揺らぎを与え 地震動を推計 2 地震動の推計値及び推計値のばらつきが平均的な範囲に収まる 5 通りを抽出 35 通りの推計結果を平均化した値を採用 速度応答スペクトル ( 周期不明 ) 18

その他の震源パラメータ (2) 破壊開始点の位置の違いの影響 破壊開始点が異なると 長周期地震動の伝播の様子が異なるため 本検討では * 破壊開始点が異なった場合の例についても試算する 破壊開始点 * 中央破壊 ( 紀伊半島沖 ) * 東破壊 ( 知多半島沖 ) * 西破壊 ( 足摺岬南西沖 ) 最大速度分布 19

文科省地震調査研究推進本部より公開されている 全国一次地下構造モデル ( 暫定版 ) (2012) を基に 水平動 (H) と上下動 (V) の周期ごとの振幅比 (H/V スペクトル ) に着目して地下構造モデルの点検と一部修正を行った 地下構造モデル 中部圏 首都圏 S 波速度 深さ 5km まで 修正を行った地域 * 首都圏 * 中部圏 * 四国地域 四国地域 関西圏 関西圏については修正は行われていない 20

地震動推計手法 厚い堆積層などで増幅する表面波を含めた長周期地震動を推計するため 弾性体の運動方程式を逐次数値計算的に解くことで地震動を求める 3 次元差分法を用いる 3 次元差分法においては 地盤構造モデルを格子の集合体のモデルに置き換え 各格子の粒子速度と応力を逐次計算する 対象周期 :2~10 秒程度 21

地震動推計結果と観測記録の比較 3 次元差分法による推計手法の妥当性の評価 比較的記録が残っている * 昭和東南海地震 * 大正関東地震 [ 横田 他 (1989)] を対象として 観測記録と推計結果を比較した 観測記録を概ね再現できることを確認した 上 : 昭和東南海地震横浜 左 : 大正関東地震東京本郷 黒 : 観測 赤 : 推計 22

内閣府における検討の概要 手法対象周期 3 次元差分法 2~10 秒 破壊領域 強震動生成域 (SMGA) のみ 震過去 5 地震の震度分布を再現する位置を求め, 強震動生成域配置源それらを包絡する位置に配置する モ地震モーメント 5.1 10 21 (N m) (Mw:8.4) デ応力降下量 (SMGA) 30MPa 破壊開始点中央破壊, 西破壊, 東破壊の3 通り 最 下記 2つの方法の試算し,1を採用 大 1 破壊伝播速度に揺らぎを与える方法ク 2 断層すべり量に揺らぎを与える方法ラ破壊過程のばらつき全 60ケースス)推計値および推計値のばらつきが平均的な範囲に収まる 5 通りをまず抽出し, さらにその5 通りを平均化する 推本全国一次地下構造モデル ( 暫定版 )(2012) 地下大局的モデル一部地域については修正構造大阪堆積盆地上記に含まれている構造 [Kagawa et al.(2004)] モデル地表面の工学的基盤 (350~700m/sec) せん断波速度 23

結果 ( 擬似速度応答スペクトル ) 擬似速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 最大クラス 中央破壊 24

結果 ( 継続時間 ) 最大クラスの地震 周期 2~10 秒のバンドパスフィルター処理後速度値が 5cm/s 以上 かつ PGA 最大値の 10% 以上 25

留意事項 1 本報告で行った長周期地震動の推定結果は想定される地震発生パターンの一例に基づく結果であり 必ずしも次に発生する地震を特定したものではない 2 その地域の概ねの揺れの程度を推定したものであって 特定の場所の揺れを詳細に表現したものではない 3 長周期地震動を推計する際の注意点として 地震動の干渉によって強い場所と弱い場所が交互に現れることがあげられ その場所や範囲については 推計に用いる地盤構造モデルによって大きく変わる 4 個別の建築物への影響を評価する場合には 建築物の構造や立地場所の地下構造など更なる詳細なデータに基づき評価することが必要となる 5 実際の地震では強震動生成域以外の背景領域からも微弱ではあるが地震動が発生しており 長周期地震動の継続時間がより長くなることも考えられる 26

本報告の位置づけ 長周期地震動による超高層建築物等への影響は 個々の建築物の構造特性により大きく異なる このため 具体的な長周期地震動対策については 本報告を参考にして 今後 関係省庁等において 詳細な検討が進められることを期待する 最大クラスの地震の位置づけ 建築物の耐震対策における検討で対象とする地震は 一般的に その使用期間や使用目的等を踏まえて検討される この際 最大クラスの地震を対象とすることは 建築主及び設計者の判断に委ねられている 本検討における最大クラスの地震による長周期地震動の推計結果については 建造物の使用期間や使用目的等を踏まえて参考とされたい 27

終了 28