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Ⅰ 向精神薬の合理的な用い方 ④ 3 理学的および生化学的検査 身長 体重 体温 脈拍 血圧などの測定とともに 心電図およ び血液生化学的検査を施行し生体の病的状態の有無を評価してお く 脳波 CT MRI SPECT PET NIRS 等も必要に応じて施行 する 2 薬物療法の実際 ① 適切な薬剤

2 1. 精神科薬物療法の基本 医療チームの士気を高め, 心理社会的治療への導入をも容易にする. 薬物療法の効用を最大限に引き出す技術を身につけることは今日の精神科臨床において必須である. 1 薬物療法の目的 a. 対症レベルでの改善薬物治療は必ずしも病態や病因の本質に作用しなくてもよい. 認知症の

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

英和対照表

スライド 1

別添 1 抗不安薬 睡眠薬の処方実態についての報告 平成 23 年 11 月 1 日厚生労働省社会 援護局障害保健福祉部精神 障害保健課 平成 22 年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 向精神薬の処方実態に関する国内外の比較研究 ( 研究代表者 : 中川敦夫国立精神 神経医療研究センタートラン

オクノベル錠 150 mg オクノベル錠 300 mg オクノベル内用懸濁液 6% 2.1 第 2 部目次 ノーベルファーマ株式会社

気分障害(うつ病・躁うつ病)の原因はどこまでわかったか?

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抗精神病薬の併用数 単剤化率 主として統合失調症の治療薬である抗精神病薬について 1 処方中の併用数を見たものです 当院の定義 計算方法調査期間内の全ての入院患者さんが服用した抗精神病薬処方について 各処方中における抗精神病薬の併用数を調査しました 調査期間内にある患者さんの処方が複数あった場合 そ

別紙様式 (Ⅱ)-1 添付ファイル用 商品名 : イチョウ葉脳内 α( アルファ ) 安全性評価シート 食経験の評価 1 喫食実績による食経験の評価 ( 喫食実績が あり の場合 : 実績に基づく安全性の評価を記載 ) 弊社では当該製品 イチョウ葉脳内 α( アルファ ) と同一処方の製品を 200

26 年度後期時間割 時限は下記の通り 11 8:50~10: :30~12: :00~14: :50~14: :40~16: :30~16: :20~17:50 時限の例 開始時限が11で終了時限が11の場合は8:

抗ヒスタミン薬の比較では 抗ヒスタミン薬は どれが優れているのでしょう? あるいはどの薬が良く効くのでしょうか? 我が国で市販されている主たる第二世代の抗ヒスタミン薬の臨床治験成績に基づき 慢性蕁麻疹に対する投与 2 週間後の効果を比較検討すると いずれの薬剤も高い効果を示し 中でもエピナスチンなら

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スライド 1

賀茂精神医療センターにおける精神科臨床研修プログラム 1. 研修の理念当院の理念である 共に生きる 社会の実現を目指す に則り 本来あるべき精神医療とは何かを 共に考えて実践していくことを最大の目標とする 将来いずれの診療科に進むことになっても リエゾン精神医学が普及した今日においては 精神疾患 症

睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン_プレス資料

保険薬局の登録 ~ クロザリルは CPMS に登録された保険薬局で調剤され 通院患者に渡されることにな っています CPMS 登録にあたり薬局には下記要件が求められます < 要件 1> 1) インターネットが使えること (ecpms(web site) にアクセス可能であること ) 2) 処方元の医

ビックデータ解析により、知られざる睡眠薬の処方実態が明らかに

(別添様式)

Microsoft PowerPoint - 参考資料

幻覚が特徴的であるが 統合失調症と異なる点として 年齢 幻覚がある程度理解可能 幻覚に対して淡々としている等の点が挙げられる 幻視について 自ら話さないこともある ときにパーキンソン様の症状を認めるが tremor がはっきりせず 手首 肘などの固縮が目立つこともある 抑うつ症状を 3~4 割くらい

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要望番号 ;Ⅱ-286 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 要望者 ( 該当するものにチェックする ) 学会 ( 学会名 ; 特定非営利活動法人日本臨床腫瘍学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 優先順位 33 位 ( 全 33 要望

研究の内容 結果本研究ではまず 日本人のクロザピン誘発性無顆粒球症 顆粒球減少症患者群 50 人と日本人正常対照者群 2905 人について全ゲノム関連解析を行いました DNAマイクロアレイを用いて 約 90 万個の一塩基多型 (SNP) 6 を決定し 個々の関連を検討しました その結果 有意水準を超

DRAFT#9 2011

医療連携ガイドライン改

要望番号 ;Ⅱ-183 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 要望者学会 ( 該当する ( 学会名 ; 日本感染症学会 ) ものにチェックする ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 優先順位 1 位 ( 全 8 要望中 ) 要望する医薬品

神経発達障害診療ノート

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

のつながりは重要であると考える 最近の研究では不眠と抑うつや倦怠感などは互いに関連し, 同時に発現する症状, つまりクラスターとして捉え, 不眠のみならず抑うつや倦怠感へ総合的に介入することで不眠を軽減することが期待されている このようなことから睡眠障害と密接に関わりをもつ患者の身体的 QOL( 痛

タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg タペンタ 錠 100mg に係る 販売名 タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 有効成分 タペンタ 錠 100mg 製造販売業者 ヤンセンファーマ株式会社 薬効分類 821 提出年月 平成 30 年

2. 改訂内容および改訂理由 2.1. その他の注意 [ 厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡に基づく改訂 ] 改訂後 ( 下線部 : 改訂部分 ) 10. その他の注意 (1)~(3) 省略 (4) 主に 50 歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において 選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び

症患者における検討は全く行われていない そこで本研究では VPA 服用中の統合失調症患者における高アンモニア血症に関するメカニズムを検討するために当該患者 37 名の朝食前空腹時血液サンプル ( 10mL) を採取し 血清アンモニアおよび VPA 濃度 尿素サイクルに関連する 40 種類の血中アミノ

認定看護師教育基準カリキュラム

改訂後 ⑴ 依存性連用により薬物依存を生じることがあるので 観察を十分に行い 用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること また 連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により 痙攣発作 せん妄 振戦 不眠 不安 幻覚 妄想等の離脱症状があらわれることがあるので 投与を中止する場合には 徐々に

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精神療法の治療機序

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

④資料2ー2

この薬は 体調がよくなったと自己判断して使用を中止したり 量を加減したりすると病気が悪化することがあります 指示どおりに飲み続けることが重要です この薬を使う前に 確認すべきことは? 次の人は この薬を使用することはできません 過去にインチュニブ錠に含まれる成分で過敏な反応を経験したことがある人 妊

日本内科学会雑誌第98巻第12号

大規模 RCT の結果は有用ですが 完全ではなく その結果は経験豊かな臨床医の評価にゆだねられる必要があります 大規模 RCT から得られる情報を元に 統計解析にのみ依拠して判断すると 臨床の現場で蓄積されてきた実践知から乖離した結論に至る危険性があると思われます (2)Clinical Quest

健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

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未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

レキサルティに係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 ( 別紙様式 ) レキサルティ錠 1mg 販売名有効成分ブレクスピプラゾールレキサルティ錠 2mg 製造販売業者大塚製薬株式会社薬効分類 安全性検討事項 提出年月 重要な特定されたリスク 平成 30 年 5 月 錐

ICD-11 β draft の訳について ( 要点のみ ) ICD-11 β draft の依存領域の全体的翻訳は別添資料 2 をご覧ください この資料 1 で は 先生方のご意見をいただきたいポイントを 7 項目にしぼって記載しています 1. 大項目について ICD-11 β draft では

エビリファイに係る ( 別紙様式 ) 販売名 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 1 エビリファイ錠 1 mg /3 mg /6 mg /12 mg 2 エビリファイ散 1% 3 エビリファイ内用液 0.1% 4 エビリファイ OD 錠 3 mg /6 mg /12 mg /24 mg 5

85.d 世代別うつ病の特徴を以下に示す ( 小児期 ) 自分の気持ちをうまく言葉で説明できないため 身体症状や行動面の症状のほうが目立つという特徴がある また 軽症うつ病の場合が多く 一見すると うつ病らしく見えない ケースも少なくないので 注意が必要 ( 思春期 青年期 ) 憂鬱感や自責的な傾向

骨粗しょう症調査

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未承認の医薬品又は適応の承認要望に関する意見募集について

Epilepsy2015

られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

回数テーマ学習内容学びのポイント 2 精神医学の概念 精神医学の方法論と 精神障害の成 因と分類を理解する 3 精神疾患の診断法 診断の手順と方法 症状把握 検査 法について理解する 4 精神疾患の理解 1 症状性および器質性精神疾患 5 精神疾患の理解 2 精神作用物質による精神障害 6 精神疾患

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

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公的医療保険が対象とならない治療 投薬などの費用 ( 例 : 病院や診療所以外でのカウンセリング ) 精神疾患 精神障害と関係のない疾患の医療費 医療費の自己負担ア ) 世帯 ( 1) における家計の負担能力 障害の状態その他の事情をしん酌した額 ( しん酌した額が自立支援医療にかかった費用の 10

より詳細な情報を望まれる場合は 担当の医師または薬剤師におたずねください また 患者向医薬品ガイド 医療専門家向けの 添付文書情報 が医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載されています

双極性障害(躁うつ病)とつきあうために

保険薬局におけるハイリスク薬取り扱い時の注意点

統合失調症患者の状態と退院可能性 (2) 自傷他害奇妙な姿勢 0% 20% 40% 60% 80% 100% ないない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 尐ない 中程度 高い 時々 毎日 症状なし 幻覚 0% 20% 40% 60% 80% 100% 症状

ファルマシア・53巻・7号・668頁

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為化比較試験の結果が出ています ただ この Disease management というのは その国の医療事情にかなり依存したプログラム構成をしなくてはいけないということから わが国でも独自の Disease management プログラムの開発が必要ではないかということで 今回開発を試みました

自殺危険率の高い双極性障害及び統合失調症に関しては 早期診断 早期介入の対策が必要であることは 以下の証左から明らかである 双極性障害の診断の遅れは顕著であり 69% の患者は誤診の経験があり 1/3 以上の患者は診断が確定するまでに 10 年以上を経過しており (J Clin Psychiatry

01 表紙

患者向医薬品ガイド フィコンパ錠 2mg フィコンパ錠 4mg 2016 年 5 月作成 この薬は? 販売名 フィコンパ錠 2mg フィコンパ錠 4mg Fycompa Tablets 2mg Fycompa Tablets 4mg 一般名 ペランパネル水和物 Perampanel Hydrate

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専門)精神医学 単位数履修方法配当学年 4 単位 R or SR 3 年以上 科目コード CQ4140 担当教員松江克彦 ( 上 ) 平成 26 年度より R or SR 科目に変更され スクーリングが開講されています スクーリングは別教員 ( 滝井泰孝先生 左 西尾雅明先生 中 高野毅久先生 右

日本内科学会雑誌第105巻第12号

精神科救急情報センターの機能等

142 児童青年精神医学とその近接領域 Vol. 58, No. 1 経刺激薬と抗うつ薬の使用の増加が (Zoëga et al., 2009), フランスでは2006 年の調査において精神疾患の種類に関わらず抗精神病薬の使用の増加が (Winterfeld et al., 2008), それぞれ報

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ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

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D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として

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複製 転載禁止 The Japan Diabetes Society, 2016 糖尿病診療ガイドライン 2016 CQ ステートメント 推奨グレード一覧 1. 糖尿病診断の指針 CQ なし 2. 糖尿病治療の目標と指針 CQ なし 3. 食事療法 CQ3-2 食事療法の実践にあたっての管理栄養士に

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

2015 年 8 月 27 日放送 第 78 回日本皮膚科学会東京支部学術大会 3 シンポジウム2 基調講演薬疹の最新動向と今後の展望 昭和大学皮膚科教授末木博彦 はじめに本日は薬疹の最新情報と今後の展望についてお話しさせていただきます 最初に薬疹の概念が変遷しボーダレス化が進んでいるというお話 続

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The Maudsley PRESCRIBING GUIDELINES 10th Edition Edited by David Taylor, Carol Paton & Shitij Kapur 2009 All rights RESEVED. ISBN-978 1 84184 699 6 This edition of The Maudsley PRESCRIBING GUIDELINES 10th Edition by David Taylor, Carol Paton & Shitij Kapur is publishied by Informa Healthcare Limited. Authorized translation from English language edition published by Informa Healthcare, part of Informa plc. Translation supervised by UCHDA Hiroyuki, SUZUKI Takefumi & WATANABE Koichiro First published 2011 in Japan by Aruta Shuppan Co., Ltd., Tokyo

親愛なる日本の読者のみなさんへ この度, みなさんとモーズレイ処方ガイドライン ( 第 10 版 ) を共有できることは大きな喜びです 本ガイドラインは薬理学の教科書としてではなく, 処方医のハンドブックとして発展してきました 我々は, 最新の論文を収集し, 評価し, そしてそれらを精神科医が使える現実的な介入にまとめ上げました このようにして, 各章の構成は, 薬理学的または精神医学的分類よりも, 臨床における現実を反映した形になっています しかし, モーズレイ処方ガイドライン英語版が, 主に英語文献と西洋における患者に対する適応を反映している, という点を我々は認識しています また, 精神医学および精神薬理学における科学は世界中でほぼ同様である一方, 人種間や地域間の差異は大きく, それが日々の臨床に影響することを, 我々は十分に承知しています それゆえ, 単に翻訳するのではなく, ここで我々が目指したのは, 見方 を伴う翻訳です その 見方 とは, 精神薬理学のみならず日本における臨床の実際にも精通した専門家により提供されたものです この点において, 我々は, 慶應義塾大学医学部精神神経科学教室の先生方と協力できたことを誇りに思うとともに, 本ガイドライン第 10 版日本語版が皆さんの要望に沿うことを希望しています モーズレイ処方ガイドライン英語版と同様に, 皆さんに忌憚ないご意見を寄せて頂きたいと考えています 次の版でもっと知りたいこと, あまり役に立たないことを我々に教えてください また, どの観点が不十分で, 何がさらに必要か, も我々に教えてください 皆さんのご意見をぜひ出版社までお送りください 2010 年 11 月 David Taylor Shitij Kapur 3

4 モーズレイ処方ガイドライン第 10 版 5

6 モーズレイ処方ガイドライン第 10 版 7

8 モーズレイ処方ガイドライン第 10 版 9

Contents 統合失調症の再発 / 急性増悪 ( アドヒアランス良好例 ) 41 統合失調症の再発 / 急性増悪 ( アドヒアランス不良例 ) 42 忍容性低下による抗精神病薬のスイッチング - 推奨例 43 親愛なる日本の読者のみなさんへ 3 原著の著者 編集者 4 原著の序 5 原著の謝辞 6 原著からの注意 7 監訳者 訳者 8 本書を使用する際の注意 9 抗精神病薬に対する反応性 - 処方薬を増量, 変更, 追加すべきか, あるいはそのまま続けるべきか? 45 抗精神病薬の効果が現れるスピードと時期 49 第一世代抗精神病薬 -その位置づけ 52 抗精神病薬 -モニタリング 54 抗精神病薬のデポ剤 56 リスペリドン持効性注射剤 (RLAI) 59 デポ剤を長期間使用している患者の管理 - 減量について 62 Chapter 1 Plasma level monitoring of psychotropics and anticonvulsants 17 向精神薬および抗てんかん薬の血中濃度モニタリング 総論 18 検体結果の解釈 20 主な抗精神病薬の血中濃度 21 抗精神病薬の併用療法 63 高用量の抗精神病薬の処方とモニタリング 66 陰性症状 69 抗精神病薬の予防投与 71 治療不応性統合失調症 75 クロザピン使用の最適化 77 治療不応性統合失調症 - クロザピンに代わる治療法 80 Chapter 2 Schizophrenia 27 統合失調症 抗精神病薬 - 総論 28 抗精神病薬 - 等価換算量 30 抗精神病薬 - 最小有効量 31 抗精神病薬 - 認可された最大量 33 新しい抗精神病薬 34 新しい抗精神病薬 - 費用 36 抗精神病薬 - 処方の一般原則 37 NICE ガイドライン - 統合失調症 38 初発統合失調症 40 クロザピン- 一般的な副作用への対処法 84 クロザピン- 一般的ではない稀な副作用 86 クロザピン- 重篤な血液学的および心血管系副作用 88 クロザピン, 好中球減少およびリチウム 91 クロザピン関連流涎 94 クロザピンと化学療法 96 外来におけるクロザピン治療開始のガイドライン 98 オメガ3 脂肪酸 ( 魚油 ) 101 錐体外路症状 103 高プロラクチン血症 105 アカシジアの治療アルゴリズム 107 遅発性ジスキネジアの治療 109 10 モーズレイ処方ガイドライン第 10 版 Contents 11

悪性症候群 112 緊張病 114 抗精神病薬と高血圧 116 抗精神病薬による体重増加 118 抗精神病薬による体重増加への治療 119 抗精神病薬と関連するQT 延長 123 抗精神病薬, 糖尿病および耐糖能異常 128 抗精神病薬と脂質異常症 133 抗精神病薬と性機能障害 136 抗精神病薬誘発性の低ナトリウム血症 141 抗精神病薬 : 相対的副作用 - 簡易ガイド 143 抗うつ薬 -MAOI 185 抗うつ薬 -その他 186 気分障害の治療 189 うつ病の薬物治療 191 有効最低用量 - 抗うつ薬 193 抗うつ薬の再発予防効果 194 難治性うつ病の治療 - 第一選択 197 難治性うつ病の治療 - 第二選択 201 難治性うつ病の治療 -その他報告がある治療法 202 精神病症状を伴ううつ病 204 電気けいれん療法 (ECT) と向精神薬 206 うつ病に対しての精神刺激薬 209 Chapter 3 Bipolar disorder 145 双極性障害 バルプロ酸 146 リチウム 151 カルバマゼピン 157 急性躁病または軽躁病の治療 162 双極性障害における抗精神病薬 166 双極性うつ病 168 急速交代型双極性感情障害 172 双極性障害における予防 174 抗うつ薬誘発性低ナトリウム血症 212 脳卒中後うつ病 215 SSRIと出血 217 抗うつ薬と糖尿病 220 高齢者のうつ病治療 222 抗うつ薬の心臓への影響 224 抗うつ薬誘発性の不整脈 227 抗うつ薬と性機能障害 229 抗うつ薬と高プロラクチン血症 232 抗うつ薬 - 置換と中止 234 抗うつ薬の中断症状 238 St John s Wort 241 Chapter 4 Depression and anxiety 177 うつと不安 抗うつ薬 178 抗うつ薬 - 三環系抗うつ薬 181 抗うつ薬 - 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 183 抗うつ薬の薬物相互作用 244 抗うつ薬 : 副作用の相対的評価一覧 247 抗うつ薬 - 経口 ( 錠剤 ) 以外の投与経路 248 不安障害 252 ベンゾジアゼピン 259 ベンゾジアゼピンと脱抑制 262 12 モーズレイ処方ガイドライン第 10 版 Contents 13

ベンゾジアゼピン : 依存性と解毒について 264 不眠症 267 Chapter 7 Use of psychotropics in special patient groups 331 特殊な患者群における向精神薬の使用 てんかんにおけるうつ病および精神病 332 Chapter 5 Children and adolescents 271 小児 思春期 小児 思春期における処方の原則 272 小児 思春期におけるうつ病 274 小児 思春期における双極性障害 278 小児 思春期における不安障害 281 小児 思春期における強迫性障害 (OCD) 282 注意欠陥多動性障害 (ADHD) 285 小児 思春期における精神病 290 自閉症スペクトラム障害 291 チックとトゥレット症候群 296 小児 思春期の不眠症に対するメラトニン 300 小児 思春期における急速鎮静 302 小児 思春期によく使用される向精神薬の使用用量 304 抗てんかん薬と他の向精神薬の薬物動態相互作用 336 抗けいれん薬の中止 339 妊婦に対する薬剤の選択 341 授乳期の向精神薬 353 腎障害 361 肝障害 370 高齢者に対する処方 376 認知症 379 認知症に伴う行動と心理的症状 391 食事や飲み物を利用した秘密裡の投薬 397 パーキンソン病 399 摂食障害 402 急性の行動障害または暴力的行動 405 学習障害 (LD) における慢性行動障害 ( 挑戦的行動 ) 411 学習障害 (LD) における自傷行動 413 向精神薬と手術 416 Chapter 6 Substance misuse 305 物質依存 序文 306 アルコール依存症 307 心房細動 - 向精神薬の使用 420 境界性パーソナリティ障害の投薬治療 422 せん妄 425 高頻度に報告される向精神薬の身体的副作用の要約 429 高頻度に報告される向精神薬の行動的 認知的 精神的副作用の要約 434 ニコチンと禁煙 318 刺激性薬物の依存に対する薬物的治療 323 ベンゾジアゼピン使用 325 薬物乱用 - 要約 326 街で手に入る薬物と処方される向精神薬の相互作用 328 14 モーズレイ処方ガイドライン第 10 版 Contents 15