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セメント系固化材による油含有土の固化処理に関する基礎検討 ( 社 ) セメント協会セメント系固化材技術専門委員会 1. はじめに工場やガソリンスタンドの跡地をセメント系固化材を用いて固化処理する際 油類を含有した土に遭遇する場合がある しかしながら このような油含有土をセメント系固化材により固化処理した報告 1) 2) は少なく 油種や油の含有レベルが改良効果に及ぼす影響は明らかとなっていない また 環境面において油類の法規制はベンゼンのみが対象であるが 近年は油膜や油臭の発生によって通常の土地利用が大きく制限されることを瑕疵として 対策を求められるケースもある 本報告は 油含有土に対するセメント系固化材の改良効果を確認するとともに 固化に伴う油膜発生状況や油類の溶出低減効果について実験的に検討したものである 2. 実験概要 2.1 使用材料対象土は 砂質土 ( 千葉県木更津産 ) と乾燥粘土 ( 笠岡粘土 ) を一定の割合で混合後 成型時にブリーディングが生じない含水比 (w=35%) に調整した 対象土の土質性状を表 1 に示す ここで 粒度は砂質土と乾燥粘土の粒度曲線をそれぞれ測定し 粘土置換率に応じて計算した値を示した なお 砂質土の粒度は土の粒度試験方法 (JIS A 124:9) に準じ 乾燥粘土の粒度は粒度分析計で測定した 油含有土の油類には炭素数の異なる軽油と C 重油の 2 種類を使用した 軽油はガソリンスタンドで市販されているもの C 重油は工場にて燃料として使用されているものとした なお セメント系固化材には汎用固化材 ( 特殊土用 ) を使用し 添加方法は粉体添加とした 乾燥粘土の 置換率 含水比 湿潤密度 表 1 土質性状 粒度 (g/cm 3 ) 礫砂シルト粘土 5 35. 1.85.6 77.5 16.9 5. 15 35. 1.86.5 7.4 21.7 7.4 3 35. 1.87.4 59.8 28.8 1.9 2.2 実験の要因と水準実験の要因と水準を表 2 に示す 対象土への乾燥粘土の置換率は 3 水準とし 粒度分布が油膜の発生に及ぼす影響を検討した 油の添加率は 目視での油膜の発生量が 3 水準となるように.5~4% の範囲で設定した 一例として 軽油を添加した際の油膜の発生状況を写真 1 に示す なお 油の添加率は 対象土の質量に対する割合とした また 固化材添加量は 低強度と高強度時の挙動を確認するため 5kg/m 3 と kg/m 3 の 2 水準とした 試験材齢は 7 日 28 日および 98 日の 3 材齢とした 表 2 実験の要因と水準要因水準粘土置換率 5 15 3 1 油種と油添加率 2 軽油 :1 2 4 C 重油 :.5 1 2 固化材添加量 5 (kg/m 3 ) ( 粉体添加 ) 材齢 ( 日 ) 7 28 98 1 5% および 15% については 軽油 2% 固化材量 kg/m 3 の条件のみ実施した 2 油添加率は 対象土の質量に対する割合とした 1

(A) 軽油 1%( 油膜 : 少 ) (B) 軽油 2%( 油膜 : 中 ) (C) 軽油 4%( 油膜 : 多 ) 写真 1 粘土置換率 3% における油膜の発生状況 2.3 固化処理土の作製方法油含有土は 対象土に油類を添加し ソイルミキサで 1 分間混合後 容器の底やパドルに付着した土をかきおとし さらに 1 分間混合して作製した 油の含有程度の把握は 嗅覚や視覚といった人の感覚を基本としているが 定量的に油の含有程度を把握する試験方法としてノルマルヘキサン抽出法 があり その試験結果を表 3 に示す ノルマルヘキサン抽出物質溶出量は 同一の油添加率において C 重油を添加した方が高くなる傾向にあった 固化処理土は 上述の油含有土に固化材を添加し ソイルミキサで 1.5 分間混合後 かきおとしを行い さらに 1.5 分間混合して作製した 一軸圧縮強さ試験用の供試体は 作製した固化処理土を φ5 H1cm の型枠に投入し 安定処理土の締め固めをしない供試体作製方法 (JGS 821:) に準拠して成型した 養生は 2±3 の恒温室にて封緘養生とし 脱型は材齢 7 日で行った なお 材齢 7 日以降の供試体については 脱型後水分の逸散がないようラップフィルムで覆い 養生を行った 溶出試験用の試料は 塊にしてビニル袋内に入れ密封し 試験材齢まで 2±3 の恒温室にて保管した 表 3 油汚染土のノルマルヘキサン抽出物質溶出量 油種 油添加率ノルマルヘキサン抽出物質溶出量 (mg/l) 1. - 軽油 2. 2.7 4. -.5 14. C 重油 1. 28. 2. 7. 2.4 試験項目試験項目を表 4 に示す 油膜の測定試料は 一軸圧縮試験後の供試体を 5mm 以下に粉砕したものとし 油汚染対策ガイドラインのシャーレ法 で測定した 溶出試験の検液作製は 産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法環境庁告示第 13 号 ( 昭和 48 年 2 月 17 日 ) とし ノルマルヘキサン抽出物質の抽出 測定は 水質汚濁に係る環境基準について環境庁告示第 59 号付表 12( 昭和 46 年 12 月 28 日 ) とした 表 4 試験項目 試験項目 基準 規格 備考 一軸圧縮強さ JIS A 1216:9 油膜 油汚染対策ガイドライン シャーレ法 溶出量 環告 13 号 環告 59 号 参考文献と同様 2

3. 実験結果 3.1 一軸圧縮強さ固化材添加量 5kg/m 3 における油添加率と一軸圧縮強さの関係を図 1 固化材添加量 kg/m 3 における油添加率と一軸圧縮強さの関係を図 2 に示す 固化材添加量によらず 油添加率の増加に伴って一軸圧縮強さは低下する傾向を示した また 同一油添加率で油種の影響を比較した場合 重油を含有した固化処理土は軽油より強度発現性が低く その傾向は固化材添加量が低添加の水準で顕著であった これは 表 3 に示すとおり 重油の方が同一添加率でのノルマルヘキサン抽出物質溶出量が多く セメント水和物に対して間隙中で自由に働く強度阻害物質が多いためと推察される しかしながら 固化材添加量の増加や材齢の経過に伴い強度増加が確認されることから 対象土が油類を含有していても本報告で実施の範囲において 十分な改良効果を得ることが可能と示唆された 一軸圧縮強さ (kn/m 2 ) 材齢 :28 日添加量 :5kg/m 3. 1. 2. 3. 4. 5.. 1. 2. 3. 4. 5.. 1. 2. 3. 4. 5. 油添加率 材齢 :7 日添加量 :5kg/m 3 油添加率 油添加率 材齢 :98 日添加量 :5kg/m 3 図 1 油添加率と一軸圧縮強さの関係 ( 粘土置換率 3% 5kg/m 3 ) 一軸圧縮強さ (kn/m 2 ) 材齢 :7 日添加量 :kg/m 3 材齢 :28 日添加量 :kg/m 3 材齢 :98 日添加量 :kg/m 3. 1. 2. 3. 4. 5.. 1. 2. 3. 4. 5.. 1. 2. 3. 4. 5. 油添加率 油添加率 油添加率 図 2 油添加率と一軸圧縮強さの関係 ( 粘土置換率 3% kg/m 3 ) 3.2 油膜油膜試験結果を表 5 油膜測定状況の一例 ( 軽油 4% kg/m 3 ) を写真 2 に示す 油膜は 目視による確認とし 有 無 の 2 通りで評価した 油種によらず 固化材添加量の増加および材齢の経過に伴って油膜の発生が抑制されることが確認された また 同じ油添加率で油種の影響を比較した場合 重油を含有した固化処理土は軽油の場合より油膜の抑制効果が低い傾向にあった これは 重油の方が同一添加率でのノルマルヘキサン抽出物質溶出量が多いことによるものと考えられる 以上より 油種の影響により油膜の抑制効果は異なるものの セメント系固化材を用いて固化処理することにより 油膜の発生を抑制できる可能性があることが確認された さらに 粘土置換率 5% 15% 3% の結果を比較すると 粘土置換率が大きいほど油膜の発生が抑 3

制される傾向にあった したがって 油類は粒径の小さい土粒子に吸着しやすいと推測され 細粒分の多い土壌を混合することも油膜の発生を抑制する一つの方法であると考えられる 油種 軽油 C 重油 油添加率 1. 2. 4..5 1. 2. 表 5 油膜試験結果 固化材 粘土 油膜 添加量置換率 (kg/m 3 ) 混合直後 7 日 28 日 98 日 5 3 有 有 無 無 3 無 無 無 無 5 3 有 有 有 無 3 有 無 無 無 15 有 無 無 無 5 有 有 無 無 5 3 有 有 有 無 3 有 無 無 無 5 3 有 有 無 無 3 無 無 無 無 5 3 有 有 有 無 3 有 有 無 無 5 3 有 有 有 有 3 有 有 無 無 (A) 固化材無添加 ( 油膜 : 有 ) (B) 固化材を混合した直後 ( 油膜 : 有 ) (C) 材齢 7 日 ( 油膜 : 無 ) (D) 材齢 28 日 ( 油膜 : 無 ) 写真 2 油膜測定状況の一例 ( 軽油 4% kg/m 3 ) 4

3.3 溶出量溶出試験結果を表 6 に示す 固化材の添加および材齢の経過によってノルマルヘキサン抽出物質溶出量は低下しており 目視による油膜発生の確認結果と同様な傾向であった したがって セメント系固化材を用いて固化処理することにより 油類の移動を抑制することが可能であることが明らかになった 表 6 溶出試験結果 ( 粘土置換率 3%) 固化材ノルマルヘキサン抽出物質溶出量 (mg/l) 油添加率油種添加量 未処理土 7 日 28 日 98 日 (kg/m 3 ) 5 <1 - - 軽油 2. 2.7 <1 - -.5 14. 1.5 <1-1. 28. 1.9 1.2 - C 重油 2. 5 <1 - - 7. 2. 1.8 1.5-4. まとめ油汚染土をセメント系固化材により固化処理し その改良効果と固化に伴う油類の溶出低減効果を目視および油分の指標であるノルマルヘキサン抽出物質溶出量で確認した結果 本検討の範囲において以下の知見が得られた < 一軸圧縮強さ > 油添加率の増加に伴って一軸圧縮強さは低下する傾向を示した 固化材添加量 5kg/m 3 で強度発現が小さい場合は油種による影響が大きいものの 固化材添加量の増加や材齢の経過に伴い強度増進が確認され 対象土が油類を含有する場合においても十分な改良効果を得ることが可能であった < 油膜 > 固化材添加量の増加および材齢の経過に伴って油膜の発生が抑制された 重油を含有した固化処理土では 軽油の場合より油膜の抑制効果が低い傾向にあり 油種による影響が認められた 細粒分の多い土壌では 油膜の発生が抑制される傾向であった < 溶出量 > 固化材の添加および材齢の経過によって 固化処理土からのノルマルヘキサン抽出物質溶出量は低下した これは目視における油膜発生の確認結果と同様であった 以上より 対象土が油類を含有した油汚染土に遭遇した場合においても セメント系固化材を用いた固化処理により 十分な改良効果や油類の溶出低減効果が得られ 油汚染土の含有レベルによっては現場で適用可能な対策の一つであることが示された 参考文献 1) 保賀康史他 ) 油分含有汚染土壌の不溶化処理に関する基礎的検討 土木学会第 54 回年次学術講演会 Vol.56 No.7 pp.532-533 1999 2) 保賀康史他 ) 固化材を用いた油分混入廃泥の不溶化処理 第 7 回廃棄物学会研究発表会講演論文集 Vol.7(1) pp.282-284 1996 中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会 ) 油汚染対策ガイドライン - 鉱油類を含む土壌に起因する油臭 油膜問題への土地所有者等による対応の考え方 - 6 5 以上