マンホールの地震時液状化浮き上がり解析 ( 地震時せん断応力は 略算 で算定 ) 目次 (1) 基本方針 1, 本解析の背景 2 2, 構造諸元 2 3, 本解析の内容 2 4, 本解析の目的 2 5, 設計方針及び参考文献 2 6. 使用プログラム 3 7, 変形解析のフロー 3 8, 概要図 3 (2) 地盤概要 1, 地盤の概説 5 ( 一部省略 ) 2, ボーリング調査結果 5 3, 設計外力 6 (3) 自重変形解析の概要 1,ALIDによる自重変形解析法の概説 10 (ALID)( 一部省略 ) 2, 解析モデル 11 (4) マンホールの設計 1, マンホールの構造 12 2, 構造計算 12 (5) 地震時自重変形解析 1, 解析モデル 13 ( 一部省略 ) 2,ALID 解析モデル 15 3,ALID 解析結果 16 4, 結果の整理 17 マンホールの地震時液状化による浮き上がりを ALID により行った ( 株 ) ブルドジオテクノ 1
(1) 基本方針 1, 本解析の概説 本解析は 液状化を考慮した静的 FEM 解析である 解析法は, 液状化に伴う堤防及び盛土の変形を基礎地盤の砂質土層が液状化し, 砂質土層の剛性が低下したことに起因して発生するものと仮定し, 解析における外力として土層の自重のみを考慮する静的自重変形解析である 2, 構造諸元 設置場所 県 市 町地内 線 設備 地盤 雨水排水 ( マンホール ) 道路地下に設置 調査報告書参照 3, 本解析の内容 本解析は 道路設置マンホールの地震に対する液状化の影響を考慮した浮き上がり量を概略推定する FEM 解析 解析モデル 解析条件 液状化自重沈下解析 二次元 静的有効応力 ステップ解析行わない ( 現状の状態を解析 ) 液状化の判定 液状化定数の計算 FL による N 値及び諸定数によるプログラム内部計算 4, 本解析の目的 目的設計状態想定する荷重など解析の目的 沈下量予測地震時レベル 1 2 液状化を考慮した堤防の自重沈下量概略値を推定 5, 設計方針及び参考文献 下水道施設の耐震対策指針と解説 ( 日本下水道協会 ) 下水道施設耐震設計例 - 管路施設編 ( 日本下水道協会 ) 道路橋示方書 Ⅴ( 日本道路協会 ) 河川堤防の地震時変形量の解析方法 ( 国土技術研究センターー ) 液状化に伴う流動の簡易評価法 ( 安田ら ) 2
6, 使用プログラム 静的 FEM 解析コード :ALID(ALID 研究会 ) マンホールの設計 ( フォーラムエイト ) 二次元 有効応力解析 マンホール構造 地盤液状化の判定 7, 変形解析のフロー 土質定数の設定 : 試験値の適用定数の推定 仮定 設計外力の算定レベル 1,2 マンホールの構造 マンホールの設計 解析モデル ( 二次元 ) 液状化を考慮した土質定数の決定 (1) 地震前の応力解析 有限要素法による自重変形解析 (2) 液状化時の変形解析 ALID により解析 (3) 残留変形解析 安全性の確認 8, 概要図 1 地盤断面図 3
2 マンホール構造図 4
(2) 地盤概要 1, 地盤の概説 調査では 1 本のボーリング (No.3) が実施され 土質試験が行われている 土層は同一と思われる層はまとめて できるだけ簡単なモデルとなるようにしている ただし 土層の連続については サンプル及び観察結果等を参考に連続土層を設定した ( ここでは説明のため大きくまとめていることに注意 ) 2, ボーリング調査結果 1No.3: 5
耐震設計上の地盤種別 ( 道路橋示方書 Ⅴ P32 による ):2 種地盤 PAGE=7 液状化の判定資料 ( 道路橋示方書 Ⅴ P134 による ) PAGE=8~9 * ボーリング調査により 地層構成 標準貫入 N 値が実施され 結果は上図に示す * 地盤層 3~7 の砂質層は 土の粒度試験が行われている 3, 設計外力 ALID の解析には液状化に対する抵抗率 FL が必要であるため 道路橋示方書 Ⅴ(P134) により設計値を算定する 地域区分 (P27) B 地域 (0.85) レベル 1 (P35) レベル 2 (P35) khc=0.15x0.85=0.128 khc=0.7(2 種地盤 )x0.85=0.595 マンホールの設計では 下水道施設の耐震対策指針と解説 (P25) 地域区分 (P27) B 地域 (0.85) レベル 1 (P25) レベル 2 (P28) 応答変位法による (P120) 6
地盤種別 ボーリング番号 -No.3 層番号 層名 層種別 層厚 平均 N 値 平均せん断弾性波速度 Hi/Vsi Hi(m) Vsi(m/s) (sec) 1 BS 砂質土 0.95 8 160 059 2 AS 砂質土 2.40 7 153 157 3 AS 砂質土 1.50 13 188 080 4 AS 砂質土 2.33 7 153 152 5 AC 粘性土 1.55 15 247 063 6 AS 砂質土 3.60 9 166 217 7 AS 砂質土 2.21 4 127 174 8 AS 砂質土 2.50 7 153 163 9 AS 砂質土 3.54 5 137 258 20.58 合計 0.1323 Tg = 4 Σ(Hi/Vsi) = 0.529 (sec) よって 耐震設計上の地盤種別は Ⅱ 種地盤となる 解説 : 道路橋示方書 Ⅴ 耐震設計編 P32 Ⅰ 種地盤 : 良好な洪積地盤及び岩盤 硬質砂れき層など Ⅱ 種地盤 :Ⅰ 種 Ⅲ 種にも属さない洪積地盤及び沖積地盤 Ⅲ 種地盤 : 沖積地盤のうち軟弱地盤耐震設計上の地盤面 : 十部堅固な地盤 (Vsi 300m/s) Tg 0.2 0.2<Tg 0.60 0.60<Tg 粘性土層 Vsi=100Ni 1/3 1 Ni 25 砂質土層 Vsi=80Ni 1/3 1 Ni 50 7
8 1 章液状化 1.1 液状化の判定 (1) レベル 1 計算深度 (m) N 値 Ip FC (%) D50 (mm) D10 (mm) R L FL 判定 1.200 2.200 3.200 4.200 5.200 6.200 7.200 8.200 9.200 10.200 11.200 12.200 13.200 14.200 15.200 16.200 17.200 18.200 19.200 8.0 4.0 1 15.0 12.0 5.0 8.0 2 12.0 1 9.0 2.0 5.0 4.0 11.0 4.0 6.0 4.0 5.0 18.9 2.8 2.8 5.1 5.1 5.1 5.1 9.8 9.8 11.1 11.1 6.8 6.8 6.8 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 0.355 0.256 0.160 0.228 0.204 0.190 88 0.136 0.119 0.196 0.116 0.137 0.109 0.120 0.138 0.150 0.159 0.172 0.175 0.177 0.178 0.178 0.176 0.175 0.173 0.171 0.168 0.166 2.570 1.701 1.007 1.326 1.168 1.075 0.494 0.766 0.675 1.120 0.673 0.801 0.650 0.723 注 ) 地表面から 20m までを表示判定 := 液状化しない,= 液状化する (2) レベル 2 計算深度 (m) N 値 Ip FC (%) D50 (mm) D10 (mm) R L FL 判定 1.200 2.200 3.200 4.200 5.200 6.200 7.200 8.200 9.200 10.200 11.200 8.0 4.0 1 15.0 12.0 5.0 8.0 2 12.0 1 9.0 18.9 2.8 2.8 5.1 5.1 5.1 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 0.653 0.388 0.191 0.324 0.274 0.247 0.637 0.694 0.732 0.794 0.807 0.817 1.025 0.558 0.261 0.409 0.340 0.302
計算深度 (m) N 値 Ip FC (%) D50 (mm) D10 (mm) R L FL 判定 12.200 2.0 5.1 00 00 88 0.823 0.107 13.200 5.0 9.8 00 00 0.152 0.820 0.186 14.200 4.0 9.8 00 00 0.126 0.814 0.155 15.200 11.0 11.1 00 00 0.257 0.806 0.319 16.200 4.0 11.1 00 00 0.123 0.797 0.154 17.200 6.0 6.8 00 00 0.153 0.788 0.194 18.200 4.0 6.8 00 00 0.113 0.777 0.145 19.200 5.0 6.8 00 00 0.128 0.766 0.167 注 ) 地表面から 20m までを表示 判定 := 液状化しない,= 液状化する 9
(3) 自重変形解析法の概説 1, 自重変形解析法の概説 1 解析法の概要 本解析法は, 二次元断面を対象とし 各節点の変位量を算出する すなはち 地震によって液状化した層は剛性が低下し これによって堤体が沈下する また 砂質土層の剛性低下に伴う堤防の変形が地震動が終了した後に発生するものと仮定するため, 慣性力に起因する変形は考慮しない 剛性低下率は液状化に対する抵抗率 FL 及び細粒分含有率 FC の関数として与えられ 地震前の土の剛性 T L と FC が分かれば沈下量を求めることが出来る比較的簡便な方法である 液状化層の剛性低下の特徴は, 下図に示すように 地震前の解析には液状化層のせん断弾性係数 Go として OA 線の傾きを使用する 一方 地震後の解析では 液状化層については剛性低下そたせん断弾性係数 G1 として OC 線の傾きを使用する ポアソン比については 地震前の解析では常時 ν0 を用い 地震後の解析では体積弾性係数 K が地震前 後で一定となるよう逆算した地震後のポアソン比 ν1 を用いる 比液状化層についても 地震前の解析では常時の G ν を使用し 地震後の解析では液状化層の過剰間隙水圧の影響等によりある程度のせん断剛性の低下を見込んだ物性値 G ν を用いて 変形量を算出する ( 出典 : 河川堤防の地震時変形量の解析方法 ) 2 解析のフロー 本解析法では, 1 液状化層 2 液状化層上部に位置する非液状化層 ( 堤体の盛土と表土層 ) 3 液状化層の下部に位置する非液状化層の 3 種類の土層で液状化時における剛性を設定する 液状化時における剛性の設定方法は 1 液状化層は, 液状化時の剛性低下を考慮した変位を 応力解放法 により内部計算する 2 液状化層の上部に位置する非液状化層 ( 堤体の盛土と表土層 ) については, 下部の液状化層の影響を受け, 液状化の程度が大きいほど剛性が低下しやすいため 経験値による剛性の低下率により算定する 3 液状化層の下部に位置する非液状化層については, 液状化の発生に伴う剛性の低下を考慮しない 液状化層の剛性低下を考慮した有限要素法による変形解析は, 下図に示す通り 自重を用いて地震前のせん断弾性係数とポアソン比を用いた地震前の変形解析と液状化が発生し剛性の低下が生じた際のせん断弾性係数とポアソン比を用いた液状化時の変形解析の 2 ステップの解析を行い, 両者の差分をとることにより液状化の発生に伴う変位を求めることができる ただし 以上に述べた解析は, 土中の間隙水の移動を無視した非排水条件を仮定しており, 液状化層に発生した過剰間隙水圧が地震後に消散することにより生じる体積圧縮に伴う変位量が考慮されないため, それを別途算定し, 合計の変位量を求める 合計変位量は 液状化時の流動変形量 と 液状化後の過剰間隙水圧の消散による沈下量 を合算する 10
液状化の判定 解析モデル作成 パラメータ設定 地震前の変形解析 液状化時の変形解析 液状化層の体積圧縮変位量算定 非排水条件 変形量を合計 = 自重沈下量 自重変形解析 : ALID ( 出典 : 河川堤防の地震時変形量の解析方法 ) 2, 解析モデル ( 二次元 FEM) 1FEM 解析モデル 側方の境界の影響を少なくするため 左右へ解析地盤深さを目安とし側方地盤域を設定した モデル ( 側方地盤域 + 解析目標域 ) の左右部分については モデル全体長 ( 解析目標長の 10 倍 ) を考慮した付加地盤 ( 水位考慮 ) を設定した モデルの境界条件は モデルの両側面は付加地盤 水平固定とし モデル底面は水平変位と鉛直変位を固定とした 解析モデル図 各解析結果に記載 2 要素適用モデル 要素モデル 液状化の有無 要素種類 構成則 モデル方式 Con - ソリッド 弾性 平面応力要素 各土層 液状化層上部 ソリッド 剛性低下 MC/DP 各土層 液状化層 ソリッド バイリニアー 液状化要素 各土層 非液状化層 ソリッド 弾塑性 MC/DP 11
(4) マンホールの設計 1. マンホールの構造 2. 構造計算 使用プログラム マンホールの設計 ( フォーラムエイト ) ファイル名 :2110 計算結果詳細目次 設計条件 計算結果省略 12
(5) 地震時自重変形解析結果 1. 解析モデル 解析モデルは上図に示すように 解析目標である 解析目標域 より左右に側方地盤域を設定した 境界条件は 両側面は付加地盤 水平固定とし モデル底面は水平変位と鉛直変位を固定とした 付加地盤の設定長 ={( 解析目標域 x10)-( 解析目標域 + 深さ x2)}/2 ={(10mx10=100m)-(10+20.6x2=51.2m)}/2 =24.4m 構成要素は図のように 1~12 まで設定した 各要素の設定は以下の通り 番号 * 土質液状化層物性モデル液状化時条件 1 AS MC/DP 剛性低下 2 AS MC/DP 剛性低下 3 AS MC/DP 剛性低下 4 AS MC/DP バイリニアー 5 AC MC/DP 剛性低下 6 AS MC/DP バイリニアー 7 AS MC/DP バイリニアー 8 AS MC/DP バイリニアー 9 AS MC/DP バイリニアー 10 マンホール弾性 * すべてソリッド要素 * 設定値は別紙調査結果参照 * 液状化層はレベル 2 時 13
各要素のパラメータ 番号 * 土質 γ G ν Dr φ c ψ 1 AS 17.0 8421 0.33 67.222 32.7 7.6 2 AS 18.0 7368 0.33 53.525 32.0 7.0 3 AS 17.0 13684 0.33 65.263 34.4 9.4 4 AS 16.0 7368 0.33 45.670 31.0 6.0 5 AC 18.0 14483 0.33 64.134 3.75 6 AS 19.0 9474 0.33 46.976 31.3 6.3 7 AS 2 4211 0.33 29.391 26.8 1.8 8 AS 2 7368 0.33 37.008 29.0 4.0 9 AS 2 5263 0.33 29.443 26.8 1.8 10 Con 24.5 1041667 0.2 γ: 単位体積重量 (kn/m3)( 一般値による推定 ) G: せん断弾性係数 (kn/m2)(n 値より推定 ) ν: ポアソン比 ( 推定値 ) Dr: 相対密度 (Meyerhof 式より推定 ) φ: せん断抵抗角 ( )(N 値より推定 ) c: 粘着力 (kn/m2)(n 値より推定 ) ψ: ダイレイタンシ角 ( )(N 値より推定 ) 変形係数の応力依存性を考慮するため Janbu の実験式による推定式により算定した 番号 * 土質 k n 1 AS 95576 0.5 2 AS 38677 0.5 3 AS 54909 0.5 5 AC 67988 1.0 液状化層の液状化抵抗率 FL: レベル2) 番号 * 土質 FL ALID 4 AS 0.329 今回のALID 解析では プログラム内で自動計算する 6 AS 0.335 7 AS 0.174 8 AS 0.231 9 AS 0.166 使用プログラム ALID (ALID 研究会 ) ファイル名 :2110 14
2.ALID 解析モデル 1 ブロック図 2 メッシュ図 15
3.ALID 解析結果 ( ここではレベル 2 タイプ Ⅱ を掲載する ) 1 残留変形図 (x1.0) 2FL 値分布図 16
3 液状時間隙水圧分布図 4. 結果の整理 1 液状化によるマンホール天端浮き上がり量の確認 浮き上がり量 (m) 59.4cm * 液状化による天端浮き上がり量は約 0.6m という結果を得た 17