FRI 経済研セミナー 中国の自動車産業の最新動向と将来展望 2018 年 10 月 29 日 ( 月 ) CASE に向けた中国の自動車産業政策と企業動向 FRI) 経済研究所金堅敏 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
本報告の背景 自動車産業市場で CASE(Connected Autonomous Shared Electric) の方向に向かっており トヨタ メルセルベンツ GM 等の日米欧伝統的な大手 OEMが巨大ネット企業という異業種の競争相手を意識して 車製造メーカーからモビリティーサービスベンダーへ 世界最大の自動車市場 最大の EV 車市場 最大のモビリティー シェアリング市場となっている中国では 世界的に有力な OEM が存在していないが 産官学連携して自動車の 四化 ( 電動化 智能化 網絡化 共有化 )( 中国的 CASE) に取組みを急いでいる 世界主要国の自動車産業と方向性は同じだが 中国の次世代自動車市場は 政策市場 で終わるのか? それとも世界をリードし 持続的な進化が発展していくのか? 本報告は 自動車産業市場の CASE 化における中国の特徴や優位性や将来展望を見る 1 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
次世代自動車市場の競争軸が中国で形成されたらそのインパクトが大きい! 伝統的に自動車市場のピーク = 主に平均保有台数 ( 収入水準 人口密度 )* 人口総数で決定 販売台数 ( 万台 2017) 2,915 3,000 前後 (2018) 4,400 ピーク? 保有率 ( 台 /1000 人 2017)140 450(20XX)? 出所 : 各国自動車工業会 OICA 2 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
中国では 政策の影響が大きいだけでなく 消費サイドと供給サイドも激変 中国の自動車産業市場を分析する視点 供給サイド 自動車メーカー ( 地場 外資 ) 大手ネット企業 ベンチャー企業 需要サイド モノからサービスへ デジタルネイティブ世代 ( 生活スタイル ) 自動車産業市場 政策 規制当局 産業育成政策 通商政策 政治 社会政策 3 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
電動化 に傾く政策 : 一石三鳥 の狙い 1 モビリティー ニーズとエコ化の両立 伝統的な制約要因を解消しながら モビリティー ニーズを満たす 政策背景 2 自動車産業の育成 経済成長の原動力とともに基幹産業への育成 ( 外資との競争戦略 ) 伝統的なガソリン車 (ICE) では世界の OEM に勝てないと判断! * 燃料電池車 ( 特に乗用車 ) ではトヨタ等の日本メーカーに大分遅れているので 純電池車 EV を電動化政策の中核に 3 デジタルエコノミーの推進 : 自動車 四化 への順応 消費者のデジタル化が進み 有力なネットベンダーが生まれている 2018 年 6 月末 約 8000 万人の運転免許所有者が車所有なし 個人車両の運行時間は 5% で 平均乗客人数 1.5 人 利用効率悪い! 電動車は 1 エコ化への対応 2 自動車産業の国際競争力形成に有利 3 自動車 四化 (CASE) への順応 出所 : 各種資料 著者ヒアリングなどによる 4 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
政策市場 から 消費者市場 への転換が求められる 5 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
世界の EV 市場の半数を占める中国の NEV 市場 ( 政策市場 ) が育成された 90 80 70 60 50 40 30 20 万台 日米中欧の NEV( 乗用車 ) の販売台数 China EU+EFTA US 10 0 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018.1-9 Japan 中国のシェア (EV+PHEV)= 中国市場での販売台数 / 世界販売総数 50.6%(2018.1-8) 出所 :EV Sales 6 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
一方 NEV 普及の部分コストを在来 OEM に負わせる政策 ( 双積分政策 ) へ 1 企業燃費点数管理 (CAFC 管理 ) 2 企業 NEV 点数管理 Ccafc( 点数 )= 目標値 (Wi) ー実際値 ( プラスかマイナス点数 ) Wi= 政策的に設定される指数 Cnev( 点数 )= 実際値ー目標値 (β) ( プラスかマイナス点数 ) β= 政策的に設定される指数 自動車メーカー (3 万台以上の生産 + 輸入 ) 1 と 2 はそれぞれ達成目標が求められる マイナス Cacfc 点数は Cnev 点数の購入等で相殺しなければならない マイナス Cnev 点数は 他社の Cnev 点数で相殺させなければならない 相殺してゼロの状態にしなければ翌年の新車型認証しないなどの罰則適用 7 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
産業政策 通商政策 消費者動向に影響される EV 市場でのメーカー競争 外資ブランドの市場シェア 4%(17 年 テスラ 2%) 7%(18.1-7 テスラ 3% BMW2%) 6%(18.1-8 テスラ 2%(70% 減 )) 6%(18.1-9 テスラ 2%(84% 減 200 台販売 )) EV ベンチャー NIO の販売 (ES8) は 1,296 台 (18.8) 1,766 台 (18.9) 中国の NEV 市場におけるブランド別シェア NIO 展示ホール 出所 :EV Sales その他 8 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
しかし 欧米 EV 市場における中国メーカーの存在感がゼロに近い 欧米市場における EV メーカー一覧 出所 :EV Sales 9 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
智能汽車 ( スマートカー ) 促進の政策展開 自動車産業中長期発展計画 (2017.04) 2020 年 自動車 DA( 自動運転レベル 1) PA(2) CA(3) を実装した新車 50% に ( 自主型 ) ネットワーク式運転補助システム実装車 10% ( インフラ協調型 ) 2025 年 : 自主型 80% 協調型 25% L4/L5 が市場へ 智能汽車創新発展戦略 ( 案 ) (2018.01) 自主型と協調型の自動運転技術や製品開発の具体化 2035 年に高度な自動運転先進国を目指す 活発化する研究開発 テスト テストモデル地域 16 以上 : 中央政府や地方政府 メーカー主導など様々 活発化するベンチャー活動 ドイツとの協力が盛んになる 10 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
背景 1: 消費者サイドの変化 ~ デジタルネイティブ世代の台頭 ~ 11 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
デジタルネイティブ世代の台頭とブランド意識の薄い特有性 100% 90% 80% 70% 60% 50% 新規車購入者の年代分布と将来予測 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 6.7 9.7 12.6 14.7 18.2 21.8 46.4 49.8 52.7 54.8 52.3 49.6 4.2 7.2 34.8 41.8 ドイツ / 中国の車所有者のブランドチェンジの意思 40% 39.4 30% 20% 35 30 26 23 22 21 35.4 10% 17 10.3 8.9 7.3 7.1 6.7 6.4 4.2 2.2 13 0% 1940/50 60 70 80 90 2000 出所 : 清華大学資料 Mckinsey & Company 12 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
モビリティーシェアリングの消費習慣がすでに浸透している 中国におけるモビリティーシェアリングのモデル Bike-Sharing Mobike Car-Sharing B2P EVCard Car-Sharing P2P P2P CarPool 滴滴順風車 Ride-Sharing 滴滴出行 運転の自主性 自己運転 P2P Car-Sharing B2P Car-Sharing シェアリング度合いが高い 運転手配置 P2P Ride-Sharing B2P Ride-Sharing 所有権の属性 個人 (P) 会社 (B) 出所 : 清華大学資料 作者ヒアリング 13 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
消費者の意識は自動運転に対して開放的 China Mexico Italy Global USA France Germany Japan ベネフィットのために個人データの提供意識 (Yes %) 8% 12% 15% 25% 28% 27% 30% 38% 1990 以降生まれの消費者が自動車発展への関心度 智能自動車 NEV オーダーメイド自動車 カーシェア EC で車購入 中古車 ネット企業による車づくり 0% 10% 20% 30% 40% 0 10 20 30 40 50 60 70 出所 :Kleiner Perkins (2018) Internet Trends 中国国家情報中心消費者調査 14 Mckinsey Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
背景 2: 産業サイドの変化 : ~ 有力民間企業の出現と活発な新興 OEM 活動 ~ 15 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
外資 OEM 地場 OEM 新規参入者 (IT ベンチャー ) の三つどもえ 中国市場参入加速 日米欧韓系 OEM 地場 OEM ( 国有 民営 ) 活力あり 実力は未知 プレゼンス低下の可能性ただし 有力民間 OEM も 新規参入者スマートカーベンチャー IT 企業等 出所 : 筆者のヒアリング調査など 16 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
自動運転技術開発を競い合うベンチャー企業 Google の Waymo も参戦! 免許保有者 カリフォルニア州 DMV 許可の自動運転走行試験企 (54 社 ) 中国 (12 社 ) 日本 (4 社 ) 米国 欧州 (38) 1)OEM メーカー 上海自動車 長安自動車 2) 自動車シェアード企業 滴滴出行 3) ベンチャー IT 企業 Baidu NIO Pony.Ai TuSimple Jingchi Roadstar.Ai SF.Motors Nuro.Inc OEM メーカー 日産 ホンダ トヨタスバル 1)OEM メーカー GM フォード テスラ VW ベンツ BMW 2) 自動車部品メーカー デルファ Bosch Continental Valeo 3) シェアード企業 Lyft Uber 4)IT ベンチャー IC Google Apple Qualcom,NVIDIA サムソン電子 Zoox Telenav Drie.ai AutoX 等 22 社 出所 :CDMV 等 17 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
自動運転に中国ユニコーンも誕生 :Momenta 投資者には テンセント ダイムラー NIO など含む 出所 :Momenta Web 等 18 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
台頭する中国 EV 産業市場のインパクト 19 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
まとめ : 中国の自動車市場の特徴と将来性 世界の最大市場なのでモビリティーベンダーが集中 デファクトスタンダード 形成に影響 CASE に向けて ICV NEV Smart Car の順で政策展開 *ICV 競争はあきらめた? EV へシフト ただし電池を含む EV 市場で勝てるかは自信を持てないので Smart Car へ * 二つの前提条件 EV 自動運転 シェアードに前向きになっている消費者が台頭 伝統的な OEM よりも巨大化する PF の存在と盛んなベンチャー活動 コネクティド 自動運転に関する開放 PF を OEM ではなくネットベンダー大手が優先される 政策の関与を残す形で : 自動車産業を戦略産業ととらえ 自動車実体 + インフラ協調型で競争戦略に 20 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
中国の自動車産業市場の変容 : ビッグプラットフォーマー + 大量のベンチャー企業? モビリティーサービス市場 APP NEV APP APP APP NEV NEV APP APP Old OEM++ ビッグプラットフォーマー A B C 制度 財政 市場環境等のインフラ 21 Copyright 2018FUJITSU RESEARCH INSTITUTE
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