西穂高岳西尾根冬季バリエーション縦走 報 告 者 T K 日 時 2016 年 12 月 30 日 ~31 日 天 候 12 月 30 日 / 晴れ 31 日 / 雪のち晴れ 参 加 者 M 森 (CL 想山会) T 上 ( フェニックスM.T) Y 口 ( フェニックスM.T) S 上 T K コースタイム 12 月 20 日 登山口 ( 新穂高温泉ゲート )11:10~ 穂高平 12:30~1940 ピーク 15:30( テント泊 ) 12 月 31 日 起床 4:00~ 出発 6:00~2343 ピーク 7:50~ 西穂高岳ピーク 12:35~ 西穂高山荘 15:05~ 新穂高ロープウェイ乗り場 ( 新穂高口 )15:50 報告 メンバー間における事前の計画の打合せが遅れ メンバー間の情報 意識のすり合わせの時間が取れず 不安が残るスタートであったが 道中の車内にて情報交換 行程 役割分担を確認してできるだけメンバーシップを深める 特に帰省ラッシュの渋滞に巻き込まれることもなく 10 時すぎに新穂高温泉に到着 個人装備の確認と共同を振分け いざスタート 久しぶりにパンパンになったザックが背中 腰 足にズシリとのしかかってくる ボッカトレーニング不足につき 最後まで歩ききれるかやや不安が募る 天候は晴れ 出発当初のヤマテンでは 31 日は午前中より崩れる予報がでていたが 新穂高温泉に到着時に確認してみると晴れ予報に変わっている ブリザードの中歩く心配は減ったが 気温上昇による雪崩の心配は残ったが しかし それにしても雪が少ない 記録によっては穂高平までもラッセルという記事も目にしていたが 雪は深くともくるぶし程度までしかない ワカンの装着もせず - 1 -
穂高平までの行程はほぼ無積雪期のタイムスケジュールと変わらず歩くことができた 若干の休憩ののち 牧場よりいよいよ西尾根に取りつく 西尾根も変わらず雪が少ない 部分的にツボ足で足を取られる場面があるもののワカンの出番はない また先行者によりルートは踏み固められており 藪がうるさいのを除けば残雪期より歩きやすいのではないだろうか ただしやはり日頃のトレーニング不足で 急登では先頭から遅れる場面もでてくる 比べてM 森氏は 日頃の徹底したトレーニングのたまものでグイグイ先頭をリードしてくれた やっぱり努力したものにはしっかり身体は答えてくれるものだなぁ と実感 またY 口さんも身体の不調により遅れ始める ただ先行者の踏み跡は明確で天候の崩れもないので 前後の間隔と気にしつつも歩みを進めた 行程としては 当初穂高平でテント泊予定であったが 予定よりかなり早く進むことができたので 1940 ピークでテント泊予定へ変更 15:30 に 1940 ピークへ到着し テント設営 テント場にはほかに 1 組 (2 名 ) がすでにテントを設営しており ほか単独者がテントを設営しようとしていた 設営後は ビールや焼酎 ウイスキーで酒盛り 詳細割愛 飲みすぎた 12 月 31 日 4 時起床 朝食 ( ラーメン ) 後 出発準備にかかり 6 時登攀開始 スタート時よりアイゼンを装着する 2343 ピークに 7:50 到着 ピークには 2 張りのテントが設営されており 出発した気配はない ここまでのルートも踏み跡が明確で 積雪量もくるぶし程度と大変歩きやすかった 気温は出発時マイナス 10 度程度 2343 ピークでマイナス 15 度程度 ほぼ無風で快晴 休憩中に 2 人組の登山者が到着する さて昨日同様 Y 口さんが体調不良で 2343 ピークまでの行程でも遅れており T 上さんの判断により下山となった 5 人での登頂を願っていたので大変残念であるが 西尾根が本当に厳しくなるのはこれからの行程なので 適切な判断だったと思う 2343 ピークを小休憩ののちスタート このあたりより踏み跡がなくなり 軽いラッセルを強いられながら 9:00 ごろ第一岩峰直下に到着 急激に傾斜も増し雪崩危険地帯へと突入する 第一岩峰直下より右回りにトラバースを開始 傾斜が増すにつれふくらはぎがパンパンになり 呼吸も荒くなる ただし雪面は昨晩の冷え込みで凍結しており アイゼン - 2 -
ピッケルがしっかり極まりコンディションとしてはかなり良かったと思われる ただしガスが広がり視界悪し 9:40 ごろ第二岩峰取り付き さらに傾斜が増し 雪と岩のミックスへと突入した さらにふくらはぎがパンプ 11:30 ごろジャンクションピークに到着 さらに雪庇が張り出した痩せ尾根を進んだところで 2 人 1 組でロープでつながりコンテでの登攀開始 さらに斜度が増す コンテの方法については T 上さんの指示により手にロープの束を持たないスタイルにて繋がる この方法により両手が自由となり登攀がしやすくなる その後場面により 2 人の間隔を 15M 6M 3Mと調整した 短くした分のロープは最初と同じように肩に下げて固定 ここで後続より続いてきていた他のパーティ 2 人組に先頭を代ってもらう この頃には青空が広がり 西穂高のピークやジャンダルムの峻厳な稜線が姿を現しテンションアップ ただし疲労度はMAXで気持ちには余裕なし この時のためにダブルアックスで登攀用で背負っていたバイルを取り出す気持ちすら起こらず 先行するM 森さんに遅れないよう必死の登攀が続いた 登頂までは約 15 分程度の時間だったかと思われるが パンプしたふくらはぎやずっしり重いザックを必死に上へと身体を引き上げる時間はかなり長く感じられた 12:35 西穂高岳ピーク到着 M 森さんとガッチリ握手を交わして記念撮影 稜線上は風も強いため 長居せず西穂高山荘へ下山開始 コンテの距離を 3Mに縮める 独標までも雪と岩がミックスした急峻な稜線歩きが続き 滑落の危険が高く気が抜けない ルートを逸れないよう また雪庇を踏み抜かないよう注意を払いながら 高度をどんどん下げていく 途中より徐々にすれ違う登山者が増える ザックが小さいことから 新年を西穂高山荘で迎える登山客と推察された 風は相変わらず強くバラクラバを装着していないと顔の表面がすぐに冷えて固くなってくるのがわかる 時折強く吹く風にバランスを崩しそうになるのをこらえながら ようやく独標到着 ここでコンテを解除 - 3 -
小休憩ののち山荘に向けてさらに下山開始 さらにすれ違う登山客が増える 独標以降は傾斜もなだらかになるが その分ルートを逸れることに注意しつつペースを上げて一気に山荘へ到着 15:05 思ったより早く山荘へ到着でき ロープウェイの最終便 (16:15 発 ) にも間に合いそうだったので 一気に本日下山することにスケジュール変更 山荘からロープウェイ乗り場までは旗竿が等間隔で立てられており また踏み跡もしっかりしているので迷うことなくロープウェイ乗り場到着 15:50 頃 M 森さんが先行してチケットも購入してくれていたおかげで 余裕をもって乗車することができた 初の厳冬期北アルプスのバリエーションルートであったが 例年になく降雪が少なく 厳冬期というより残雪期に近い状態であったが おかげで経験不足新米アルピニストにはしんどくはあったが 比較的安全な山行であったかと思う ただし当然天候次第では一気に厳しい条件に変わるルートでもあり 天候や雪の状況により撤退やルート変更が判断できるよう今後も経験を積んでいきたいと思う 当然体力強化も! メンバー感想 S 上今シーズンの北アルプスは積雪量が少なくワカンを使用する事はなかった また 西尾根ルートに取りついている登山者が他にもおり第 1 岩峰の手前までトレースもあった為 ラッセルはあまりしていない 樹林帯にテントを設営した為 夜も快適に過ごせた 第 1 岩峰からは急傾斜が続くが雪のコンディションが良くアイゼンもピッケルもがっつり刺さり安心感がある 雪庇が沢山あった T 上さんにフランス流コンテを教えてもらう 両手があくのですごくいいと思った コンテ時 ついランニングビレイをとるのを忘れてしまう 西穂高岳独標手前より急な腹痛に襲われ下山までものすごくきつかった 元々下山の歩き方が苦手で雪の斜面を降りる際何度か後ろ向きに姿勢をとって降りていたのですが 腹筋や背筋を鍛えた方が良いと教えてもらい筋トレをしてみようと思った 今回の山行は天候に恵まれ積雪量も少なく雪のコンディションもすごく良かった 積雪量があり入山時からラッセル状態の場合どれだけ体力強化が必要なのだろうか ロープウェイに向かう途中すれ違いで話した男性が野口健だった事を後から教えてもらいミーハーな私は少し嬉しかった ( 笑 ) 怪我も事故もなく無事に山行が終わり 山行を通して先輩方から沢山のことを教えていただき とてもいい経験になりました - 4 -
概念図あるいはルート図 - 5 -