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八街市教育振興基本計画(平成26年~平成35年)

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経営課題 1 主な経営課題について 現状 データ 区民モニター : あなたにとって住民同士の つながり や きずな があると感じますか ( 単位 :%) 年代別 問 6 1. 感じる 2. ある程度感じる 3. あまり感じない 4. 感じない無回答 全体


4. 都市づくりの目標と方針 4-1 都市づくりの基本理念 地域の個性が輝く生活快適都市 上田 ~ 魅力あるふるさと活気ある交流風格ただようまち ~ 基本理念の意味あい 上田市は 歴史 文化 自然 産業などに恵まれた特色ある地域から成り立っており 各地域が個性を発揮し 連携し合い 交流を促進しながら

5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要 棋士のまち加古川 をより幅広く発信するため 市内外の多くの人が 将棋文化にふれる機会や将棋を通じた交流を図ることができる拠点施設を整備するとともに 日本将棋連盟の公式棋戦 加古川青流戦 の開催や将棋を活かした本市独自のソフト事業を展開する 5-2

別紙 町田市観光まちづくり リーディングプロジェクト ( 案 ) 町田市

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

城陽市総合計画策定に係る

2. 現状と課題 3 大津市の観光地としての課題 大津市の観光地として成長するには強みを磨き上げていく事と並行して 他の観光地と比較し課題を明らかにする事が大切です 大津市の観光地としての課題は 複数の調査結果をまとめ 次の5つであると考えています 1 一人あたりの来訪者の現地小遣いが低い 2 来訪

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目次 1 はじめに 1 2 根拠法令 1 3 計画期間 1 4 大綱の基本方針 2 5 主な取組 3 参考資料 7

はじめに

4. 子育て 教育 福祉 に関して Ⅱ 調査の結果 /4. 子育て 教育 福祉 に関して 問 12 子育て環境の充実度あなたは 西成区は 安心して子育てができる環境が充実している と思いますか? 回答数 1 思う 32 2 どちらかといえば思う どちらかといえば思わない 思わ

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります 基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります (1) 基礎的 基本的な学力の定着児童 生徒一人ひとりが生きる力の基盤として 基礎的 基本的な知識や技能を習得できるよう それぞ

Uモニ  アンケート集計結果

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一宮市住宅マスタープラン ~ 住み続けたいまち 住んでみたいまち 人々が生き生きと暮らせるまち ~ 概要版 平成 2 5 年 3 月 一宮市

Ⅱ. 日本遺産 事業の方向性日本遺産事業の設計に先立ち 既に文化財を活用した地域振興を行っている地方自治体の先行事例 10 件について実態調査を行った その際得られた課題を踏まえ 文化財を活用 発信して地域の活性化につなげていくために 以下のような方向性が有効と考えられる (1) 地域に点在する文化

基本施策情報活用能力の育成を図ります 幼児教育の推進 にあたっては 幼児期が生涯の人格形成の基礎を培う大切な時期であるとの認識のもと 子どもたちの心身の発達に資する質の高い幼児教育を推進します 2 人との絆や自然との関わりの中で伸びゆく豊かな心の育成 子どもたちが生命を大切にする心や思いやりの心 感

市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

ラグビーワールドカップ2019及び 東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた 掛川市の取組基本方針

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(市・町)        調査

で広く体幹トレーニング推進することにより 健康なまち としてイメージア ップを図り魅力の向上につとめ 転出の抑制や転入の促進へとつなげる 数値目標 体幹づくりを通じて行う地域活性化事業 KPI 体幹トレーニング参加移住者数のべ人数年月のべ人数 申請時 0 0 H29.3 初年度 H30.

二さらに現代社会においては 音楽堂等は 人々の共感と参加を得ることにより 新しい広場 として 地域コミュニティの創造と再生を通じて 地域の発展を支える機能も期待されている また 音楽堂等は 国際化が進む中では 国際文化交流の円滑化を図り 国際社会の発展に寄与する 世界への窓 にもなることが望まれる

問 2. 現在 該当区域内に居住していますか 1. 居住している % 2. 居住していない % 無回答 % % 単位 : 人 1.9% 32.7% 65.4% 1. 居住している 2. 居住していない無回答 回答者のうち 居住者が約 65

「オリンピック・レガシーに関する意識調査」(第2回)結果概要

基本方針 2-1 観光資源の有効活用〇歴史 スポーツ 自然など 恵まれた観光資源を活用し 世界に向けた積極的な情報発信や意見交換の場の整備を行います 〇文化 芸術資源のデジタルアーカイブ 33 化により 資源の保護を進め インターネット上での有効活用も行います 2-2 活力ある産業〇ホームページ等の

(4) 市からのお知らせについて 西宮市では 市民のみなさまに市政への理解と関心を深めていただき また市民サービスを円滑に利用していただくために 広報紙や放送 ホームページなどさまざまな媒体により 市政情報をお届けしています 市民のみなさまのご意見をいただき 利用しやすく わかりやすい情報提供となり

アイヌ政策に関する世論調査 の概要 平成 3 0 年 8 月内閣府政府広報室 調査対象 全国 18 歳以上の日本国籍を有する者 3,000 人 有効回収数 1,710 人 ( 回収率 57.0%) 調査時期平成 30 年 6 月 28 日 ~7 月 8 日 ( 調査員による個別面接聴取 ) 調査目的

子どもから大人まで県民だれもが生涯にわたって主体的にスポーツに親しめる環境 (= スポーツ振興基盤 ) を整えていくことが重要

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目的 川越市は 埼玉県の南西部に位置し 新河岸川の舟運や川越街道を通じた江戸との交流により発展してきました 蔵造りの町並みや時の鐘などの歴史的な観光資源に恵まれ 都心からのアクセスも良いことから 毎年多くの観光客が本市を訪れています このような中 本市では 平成 20(2008) 年に 川越市観光振

5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要 5-2(3) に記載 5-2 第 5 章の特別の措置を適用して行う事業まち ひと しごと創生寄附活用事業に関連する寄附を行なった法人に対する特例 ( 内閣府 ): A2007 (1) 事業名 : 勝山市まちなか誘客プロジェクト ( 拠点文化財改修


PowerPoint プレゼンテーション

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0-1表紙

NEWS 2020 速報 の一部を改正する法律案 REPORT 総会の様子 2025 GDP 3 02 vol

阿賀野市の発展と市民福祉の向上を図ることを目的とした 行政運営の指針となる 阿賀野市総合計画 に定める本市の将来像 人 まち 自然が輝く幸福祉都市阿賀野 の実現に向けて また こよなく愛するふる里創造のため 全力を上げ取り組んでいるところでございます 国から地方への事務 権限移譲や三位一体改革が加速

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第3節 重点的な取り組み

平成 29 年度第 10 回ネット モニターアンケート名古屋市の文化施設について アンケートの趣旨市内には様々な文化施設があり コンサートやバレエ オペラ 演劇などの実演芸術の公演が盛んに行われ 芸どころ名古屋 の土台となってきましたが 近年名鉄ホールや中日劇場といった民間の中規模ホールが相次いで閉

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資料 目 次 事業方針 実施計画 みんなで福祉の風土を広げよう 住民 関係機関 団体のネットワークで身近な福祉活動を進めよう 一人ひとりの安全で安心な暮らしを守ろう Ⅳ 推進基盤の強化 主な年間行事等

問 アンケートに回答される方について はじめに ご回答いただく方についておたずねします 次の各項目について それぞれあてはまるものを つずつ選んで 番号に 印をつけてください ( あて名の方以外が回答される場合は 回答される方にあてはまるものをお選びください ) 性 別 年 齢 職 業 現在の居住地

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8

スライド 1

11 歴史文化基本構想 の策定や 歴史的風致維持向上計画 の作成 認定に向けた計画の見込等 本事業で取り上げる文化遺産は多数の自治体に渡っており 関係する自治体における歴史文化基本構想の検討を促し これを支援する 12 担当局 地方公共団体担当局課 大阪府教育庁文化財保護課


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H27講座パンフ_表1表4

1 自然に対する関心 (1) 自然に対する関心 平成 24 年 6 月 平成 26 年 7 月 関心がある( 小計 ) 90.4% 89.1% 非常に関心がある 29.5% 21.9%( 減 ) ある程度関心がある 60.9% 67.2%( 増 ) 関心がない( 小計 ) 8.8% 10.5% あま

( ウ ) 年齢別 年齢が高くなるほど 十分に反映されている まあまあ反映されている の割合が高くなる傾向があり 2 0 歳代 では 十分に反映されている まあまあ反映されている の合計が17.3% ですが 70 歳以上 では40.6% となっています

(1) 市民と宇都宮の文化をつなぐ うつのみや文活 ( ぶんかつ ) プロジェクト 1 目的市民アンケート調査により文化への関心が大きく減少している現状を踏まえ, 市民のみなさんが身近にある文化に気付き, 新しい文化芸術活動にチャレンジする機会を創出します 2 取組の方向性 現在小中学校で行っている

1 横浜のイメージ [ 経年変化 ] 観光 レジャー が増加傾向経年変化をみると 異国情緒 国際都市 は減少傾向となっている一方 観光 レジャー は増加傾向となっている 図 横浜のイメージ [ 経年変化 ](3 つまでの複数回答 )

提案書

7-3 上田城南地域 (1) 将来像 ( 将来像 ) 水と緑と多様な都市機能が調和し快適な暮らしの環境が整ったまち ( 基本目標 ) 千曲川をはじめ産川や浦野川 小牧山や上田原古戦場 半過岩鼻など奇景や原風景の残る豊かな自然や農地を大切に保全するとともに 秩序ある都市空間づくりを進めます 良好な住環

- 目次 - 1. 基本構想策定の趣旨と役割 1 2. 交通バリアフリー法 2 3. 焼津市移動円滑化基本構想策定体制及び上位計画との関連 4 4. 重点整備地区及び特定経路について 6 5. 地区別の現状把握 整備の目標 心のバリアフリー 24 参考資料 1. 人口と高齢者

2 学校は 防災や防犯についての体制作りや情報収集を適切に行っている 十分 おおむね十分 やや十分 不十分 分からない 不明 計 学校は 防災や防犯についての体制作りや情報収

やる後押しと人材を活かせる仕組みづくりを行う A 班 テーマ系活動団体と連携して 若い人が参加できる取り組みを行う B 班 各種団体が集まり 話や協議ができる場を設け つながりができるシステム ( 協議会など ) をつくる それぞれの課題を理解する A 班 企業のリタイア組の活動の場をつくる A 班

[ 概要版 ] 倉吉都市計画 マスタープラン素案 鳥取県倉吉市

稲沢市の観光に関するインターネット調査調査項目 未定稿 1 回答者の属性 Q1 あなたの性別 1 男性 2 女性 1 つだけ選択 Q2 あなたの年齢 1 10 歳代 2 20 歳代 3 30 歳代 4 40 歳代 5 50 歳代 6 60 歳以上 1 つだけ選択 Q3 あなたの職業 1つだけ選択 1

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学校評価保護者アンケート集計結果 2 学校は 防災や防犯についての体制作りや情報収集を適切に行っている 十分 おおむね十分 やや十分 不十分 分からない 不明

施策吊

案 参考資料 1 健康長寿笑顔のまち 京都推進プラン ( 計画期間 : 平成 30 年 ~34 年度 ) 身体活動 運動分野抜粋案 1

中井町緑の基本計画(概要版)

「(仮称)姫路市地域IT基本計画」の概要について

2.10 暮らしやすい社会 現在の堺市での暮らしの満足度 さかいしげん 38 あなたは堺市での現在 ざいの暮 くまんぞくらしに満足していますか ひとつに 現在の堺市での暮らしについて 満足している 人は 38.2% まあまあ満足している 人は 47.4% 合 わせて 85.6% が満足

計画の基本的な考え方 〇 〇本計画でのスポーツ〇 〇 スポーツをより身近なものとし スポーツの果たす多様な役割を踏まえて 本計画におけるスポーツを位置づけます 競技スポーツやレクリエーション活動だけでなく 健康づくりのためのウォーキング ハイキング 気分転換の散歩や軽い運動 サイクリング キャンプ活

により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地

問 1 あなたは, 景観について関心をお持ちですか? 1 非常に関心を持っている 関心を持っている 関心を持っていない 全く関心を持っていない % 5 全く関心を持っていない 0.6% 1.1% 1 非常に関心を

持続可能な自治会活動に向けた男女共同参画の推進について(概要)

文化庁における舞台芸術振興策の現状資料 9 優れた芸術活動への重点的支援 ~ 我が国の優れた舞台芸術 伝統芸能及び映画製作活動に対する支援 ~ 公的支援の必要性 芸術活動については 準備に多くのコスト 期間を要し 一回の上演に収容可能な観客数や回数に限界があるなど 構造的に収支バランスがとりにくく

能代市中心市街地活性化計画

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ともに ほぼ 17 万人から 22 万人で推移している 8 月の休日の数字がこの基地跡地エリアの潜在的に有する土地資源としての可能性 ( キャパシティ ) を示していると言える こうした中 朝霞市は 平成 29 年 3 月 15 日に市制施行 50 周年を迎えること また 2020 年東京オリンピッ

活動状況調査

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基本指針の概要 1 基本指針改定の趣旨近年 地域社会における社会的課題が多様化 複雑化する中 行政 企業 NPO 自治会などが互いに協力して課題解決に取り組み 地域社会をより住み良いものとしていくことが今後ますます重要となっています このため 従前の NPO 活動に関する基本指針 の基本的な考え方を


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スライド 1

スライド 1

(2) 熟練技能者等の派遣による若年技能者等に対する実技指導ものづくりマイスター対象職種以外の職種で企業等から実技指導の要請を受けた場合 熟練技能者等を派遣し実施します (3) 学校単位の製作実演のイベント熟練技能者等を小中学校 訓練施設等へ派遣し 製作実演 ものづくり体験等を行う ものづくり体験教

スライド 1

調査の結果 問 1 あなたの性別は 調査に回答していただいた生徒の性別は 男 が問 % 女 が 49.5% です 男 女 問 2 あなたは, 生まれてからずっと鈴鹿市に住んでいますか 生まれたときから鈴鹿市に ずっと住ん

本町は 過疎地域における人口減少や少子高齢化 核家族化の進展という構造的な課題を抱え 若年層の人口流出や世代間交流の機会が少ない現代社会現象が問題となっている また 本町は 県を代表する観光地であるが 観光入込客数は 瀬戸大橋が開通した昭和 63 年をピークに減少しており 平成 27 年には約 23

な取組 日本や東京の文化 歴史を学び 日本人としての自覚と誇りを涵養主な取組 東京都国際交流委員会 * を再構築し 外国人への生活サポートを推進主な取 様々な広報媒体の活用などによる障害者への理解促進主2020 年に向けた取組の方向性 1 オリンピック パラリンピック教育を推進するとともに 多様性を

Transcription:

旧美野分教場 塩田町 第2章 嬉野市の文化の 現状と課題

嬉野市 文化振興基本計画 Ureshino-shi culture promotion basic plan 1 嬉野市の文化の土壌 地域の文化芸術はそれぞれの土地特有の自然環境や歴史の中で育まれてきたものであり 地域の文化振興を図るにはまずその土地の特性を知ることが基盤となります 本市は 肥前小富士の別名を有する唐泉山など特色ある山々 市の中心部を流れる有明海 に注ぐ塩田川 8世紀頃に書かれた肥前風土記にも記されるほどの歴史ある嬉野温泉といっ た恵まれた自然資源に囲まれています また 国指定では天然記念物の大チャノキや重要伝 統的建造物群保存地区の塩田津 重要文化財の西岡家住宅 永寿寺の不動明王 二童子像 史跡の不動山窯跡など その他にも県及び市指定の多くの文化遺産があります これらの文 化財やまちに伝わる伝統芸能などは先人たちが私たちに伝え残してくれた大切な資産とし て 後世へ保存継承していく必要があります このような豊かな自然 町並みなどふるさとの歴史や文化のすばらしさ また お茶や焼 き物などの特産品を対外的に発信していくことはもちろんですが 市民自らがその良さを再 認識することで 豊かな文化資源を活用したまちづくりにつなげることが期待されます 本市では伝統芸能や文化財の保護を目的とした活動をはじめ 市民の手によるさまざまな 文化活動が盛んとなっています また リバティ を活用した活動も広がってきており 市民の文化振興に対する関心は高まってきています 平成26年3月には 嬉野市総合計画 後期基本計画 を策定し この中で 文化振興に 関しては市民が文化芸術への興味をさらに深め 心の潤いのある生活を送ることができるよ う 文化活動の活発化を図ることとしております このため 豊かな自然 伝統 文化を守り 人を育てるまち の実現を目指し 活動拠 点である文化施設を最大限活用した本格的な市民芸術活動の実施 市民だけでなく観光客も 対象とした文化芸術イベントの開催 地域資源を活用した特色ある文化芸術活動の支援など 嬉野市の新しいまちづくりを牽引していくべき戦略的プロジェクトを掲げています 8

第2章 2 課題1 嬉野市の文化の現状と課題 文化振興にあたっての現状と課題 市民の文化活動の活性化に向けた環境整備が必要である 市民アンケートの結果によると 本市で日頃継続的な文化 芸術活動を行っている人の割 第2章 嬉野市の文化の現状と課題 合は全体の1割台の16.7 と決して高くはありません 市内文化団体では会員の高齢化な どにより 文化祭などへの参加機会 出品作品も減少しており 今後人材不足が心配されます 市民が行う文化活動の促進については 広く市民に関連情報が行き届いていないことも課 題としてあげられます 市民に対する積極的な働きかけや文化活動に気軽に参加できるきっ かけづくりも重要です 市内におけるさまざまなジャンルの文化活動を活性化するためには 活動場所として利用 されている公共施設等をより利用しやすくする仕組みづくりや 地域コミュニティ 文化団 体同士など関係者が協力し合うための体制づくりが重要となります 日頃 継続的な文化 芸術活動を行っていますか 課題2 嬉野市独自の文化の保存 継承に向けて 担い手となる 人材不足が懸念される 市民アンケートでは 文化的な環境 という言葉の持つイメージとして 地域に伝わる 伝統芸能 郷土芸能などが大切に継承されていること と 古い建物 伝統工芸などが大 切に継承されていること を多くの人があげています その一方で 一部を除いて市内歴史 的文化財の認知度が低い傾向にあり 啓発活動により文化財への理解を深めてもらうことや 市内外に向けての情報発信が課題となっています 少子高齢化による伝統芸能などの継承者不足も懸念されています 伝統芸能の担い手の育 成は技術の継承に時間を要し 学ぶ側と教える側双方の情熱が不可欠であることから 子ど もや若者が文化財について学んだり伝統芸能にふれる機会の充実と 関係機関の協力及び継 続的な支援が必要です 9

嬉野市 文化振興基本計画 Ureshino-shi culture promotion basic plan 文化的な環境 という言葉に対してどのようなイメージを持っていますか 10

第2章 嬉野市の文化の現状と課題 市内にある次の文化財を知っていますか 全体 N 473 知っている 知らない 無回答 西岡家住宅 重要文化財 第2章 嬉野市の文化の現状と課題 木造不動明王及び二童子像 重要文化財 国指定 不動山窯跡 史跡 嬉野の大チャノキ 天然記念物 カササギ生息地 天然記念物 選定 嬉野市塩田津 伝統的建造群保存地区 登録 文化財 杉光陶器店主屋 一の蔵 二の蔵 三の蔵 池田家住宅主屋 座像 石垣 石造眼鏡橋 重要文化財 県指定 木造神像及び仏像 重要文化財 両岩の小浮立 重要無形民俗文化財 唐泉山の椎の天然林 天然記念物 明治初期の本村地籍図 重要文化財 西山陶山社 史跡 市指定 天保5年銘の唐箕 重要有形民俗文化財 畦川内綾竹踊り 重要無形民俗文化財 千室神社のクスノキ 天然記念物 11

嬉野市 文化振興基本計画 Ureshino-shi culture promotion basic plan 課題3 子どもたちが豊かな文化創造活動をできるような連携や 働きかけが必要である 小中学生へのアンケートでは 嬉野市が 文化が盛んなまち になるために 特に大切だ と思うことは 歴史のある古い建物や町並みを保存してきれいにすること という意見が 最も多くなっています また 市民が中心になって観光客や外国人と交流するイベントを 行うこと が2番目に多くなりました しかしながら 一般市民と同様 小中学生の地元の文化財への認知度も低く 地域の良さ が子どもたちに充分に伝わっていないことから 本市ならではの文化資源を活用し学校 家 庭 地域が一体となった ふるさと教育 に取り組むことが重要です また 本市の文化資源を活かした市民が中心となった交流イベントの開催など 自分たち も楽しく誇りに思えるまちづくりに向けて 親と子 地域の人たちが一緒になって活動して いくことが求められます 小中学生アンケートより 嬉野市が 文化が盛んなまち になるために 特に大切だと思うこと 12

第2章 嬉野市の文化の現状と課題 小中学生アンケートより 市内の文化財を知っていますか 第2章 嬉野市の文化の現状と課題 13

嬉野市 文化振興基本計画 Ureshino-shi culture promotion basic plan 課題4 市民が文化芸術にふれる機会が十分とはいえない まちの現状についての満足度に関する市民アンケートでは 教育 文化の分野において 文化芸術環境に対する満足度はスポーツ環境や生涯学習環境などと比べて低くなっていま す また 今後参加したいと思う文化 芸術活動については 一流の文化 芸術公演の鑑賞 という意見が最も多くなっていますが 全体では文化活動への参加意向がない市民も多く 文化芸術にふれる機会や場が少ないことがうかがえます 今後 さらなる高齢化が進んでいくなか 生きがいづくりとしての文化活動の役割はます ます重要になります そういった観点も踏まえ 文化芸術に興味があっても 日頃接する機 会が少ない市民 あるいは文化施設などに足を運べない市民に対しても 市内各所での鑑賞 機会や学び 交流の場づくりなどきめ細かい環境整備を進め 参加 参画などのさまざまな 機会を提供し 観る文化 創る文化 の楽しさをより多くの市民に知ってもらう取り組み が必要です 平成26年嬉野市総合計画後期基本計画 まちの現状についての満足度 より 満足 不満それぞれの回答の割合を指標化したもの プラスの値が大きい方が 市民全体の満足度が高い 14

第2章 嬉野市の文化の現状と課題 市内において文化 芸術活動などを学んだり 参加したりする機会がどの程度あるか 第2章 嬉野市の文化の現状と課題 今後参加したいと思う文化 芸術活動 15

嬉野市 文化振興基本計画 Ureshino-shi culture promotion basic plan 課題5 嬉野市の魅力である文化資源をまちづくりに十分に活かす ことができていない 本市には 温泉などの豊かな自然 お茶や焼き物などの特産品のほか 歴史的文化財や伝 統行事 芸能 町並みのほか 多くの文化資源に恵まれています しかしながら 温泉やお 茶は本市のイメージ シンボルとして定着しているものの そのほか多くの文化財をはじめ とした地域資源については 市民の間でも認知率が高くないのが現状です 市民アンケートでも 本市の文化 芸術分野の活動を活発にするために必要だと思うこと として 四季折々の観光イベントを充実させる という意見が最も多くなっており 県内 有数の観光地である本市ならではの取り組みが必要です 豊富な文化資源を市民自らが再確 認し 観光 産業などの分野と連携し 対外的に広く発信するなど 本市の新たな魅力を創 造し 観光のまちづくりに活かしていくことが求められます 嬉野市のイメージ シンボル 16

第2章 嬉野市の文化の現状と課題 嬉野市の文化 芸術分野の活動を活発にするために必要だと思うこと 全体 N 473 四季折々の観光イベントを充実させる 質の高い文化 芸術を鑑賞 体験する機会 を充実させる 第2章 嬉野市の文化の現状と課題 地域に伝わる伝統芸能 郷土芸能などを記 録保存し後継者を育成 文化 芸術活動を通じて子どもたちを育む 環境を整える 古い建物や伝統工芸など文化資源を継承 保存する バリアフリーなど だれもが文化施設を利用 しやすい環境を整える 地域の文化的な良さを広く情報発信する 文化芸術施設など文化 芸術の活動場所を 充実させる 市外の作家 アーティスト等が滞在し創作活 動をできるようにする 他市や外国との文化交流に力を入れる その他 分からない 無回答 17

嬉野市 文化振興基本計画 Ureshino-shi culture promotion basic plan 課題6 まちの一体感を醸成する文化的な取り組みが期待される 嬉野町と塩田町はともに先人たちが育んできた豊かな文化資源 歴史遺産を大切にしてき ており 次世代に伝えるための取り組みに力を入れています 市民アンケートでも 嬉野 市が文化的な環境だと思うか という問いに対し どちらかといえば文化的だと思う を 加えると56.0 の人が 文化的だと思う と答えています 一方 文化団体や地域コミュニティ同士の交流は十分ではなく まち全体として取り組む 文化イベントが少ないのが現状です 市内でも嬉野町と塩田町ではお互いの活動をよく知ら ないといった声があります 市民アンケートでは 嬉野市が催し物を行うことで どのようなまちになってほしいと思 うか という問いに対して 身近な催し物への参加を通じて 子どもや高齢者 住民同士 や訪れる人との心が通い合う関係の住みやすいまち という意見が半数以上となり 文化的 な取り組みを通じて 地域や世代を超えた交流が生まれることが期待されています まちの一体感の醸成は本市のまちづくりにおける大きなテーマです 人と人 地域と地域 をつなぐ文化の力を最大限に活かし まちづくりに波及させていくことが求められます 嬉野市が文化的な環境だと思うか 嬉野市が催し物を行うことで どのようなまちになってほしいと思うか 18