顕微鏡観察だけでなく 定量的解析から見える事 ~ ハイコンテントアナリシスのメリット ~ サーモフィッシャーサイエンティフィックライフテクノロジーズジャパン株式会社テクニカルサポート小林英夫 The world leader in serving science 1
顕微鏡観察時に苦労していることはありませんか? 観察前の操作 細胞の状態 染色方法 観察時 観察後の操作 撮影した画像をどのように解釈すべきか 細胞によって表現系 ( 形状 発現 ) が異なるため どの細胞を選択して撮影すべきか判断に困る 感度 褪色の影響 2
観察前の操作 細胞の状態や染色方法 実験条件の検討 細胞の播種条件 培養器の素材 コーティング 各試薬の濃度 インキュベーション時間など このような条件検討の際にも コントロールを用意して顕微鏡撮影をおこない 有意な差がみられる条件を探していく 3
観察時 観察後の操作 撮影した画像をどのように解釈すべきか いろいろな視野を観察し 撮影後のことを考えながら 視野を選んで撮影している 観察 撮影にとても時間がかかる サンプル間で何となく差があるようだが 視野によっても異なるので何とも言えない どう報告しようか 観察者の主観が入る 撮影すべきか考えているうちに蛍光シグナルが弱くなってしまう 4
ケース 1 個々の細胞で形状 大きさが異なる 5
ケース 2 細胞密度によって細胞の大きさが異なる 6
ケース 3 たくさん写真を撮影し 母集団を増やして検証したい それはそれで収拾がつかなくなる どのように有意差を求めるか? 画像をもとに数値化し 統計的に解析 7
細胞イメージからどのような数値データが取れますか? 顕微鏡画像の情報を数値化 個数面積蛍光強度 さまざまな数値データをデータを取得する 8
細胞イメージからどのような数値データが取れますか? サンプルが 1 枚の時 画像解析ソフトウェア ImageJ など 個数 : 30 個面積平均 : 1000 px 2 蛍光強度 : 10,000 さまざまな数値データをデータを取得する 9
細胞イメージからどのような数値データが取れますか? 複数枚 複数サンプルに及ぶと 全ての画像に対して数値化し 統計解析 とても大変 別の視点での解析が行いにくい 10
ハイコンテントアナリシス (High Content Analysis, HCA) 自動で撮影し 数値化 一つ一つの細胞 一つ一つデータと連動 11
ハイコンテントアナリシス (High Content Analysis HCA) 定義 蛍光標識された細胞の画像イメージを取得し 細胞個々の蛍光情報 / 形態情報から 統計学的な解析を自動的に行うアッセイ方法 ハイコンテントアナリシスを利用したスクリーニングをハイコンテントスクリーニング (High Content Screening, HCS) と呼びます 機械そのものは細胞イメージアナライザーと呼びます Image Analyzer High Content Analysis, High Content Screening Thermal Cycler PCR 撮影条件 解析条件さえ設定すれば 自動的に撮影および解析を行います 12
他の機械との比較 機器顕微鏡プレートリーダーフローサイトメトリー 特徴 多重染色サンプルの観察ができる 細胞の形態 分子の細胞内局在などが確認できる 定量性が高い 簡単 迅速に測定できる 定量性が高い 細胞のポピュレーション解析ができる 多重染色ができる 制約 定量性が低い 統計解析が困難 多重染色ができないため 複数分子の同時確認ができない 細胞を懸濁する必要がある 細胞の形態や分子の細胞内局在などが確認できない 細胞イメージアナライザー 3つの測定機器の長所を兼ね備えた機器 13
HCA 使用例 :Cell Viability 核染色 生細胞 / 死細胞染色 Nuclear Stain 核 : Hoechst 33342 ( 青 ) 生細胞 :Ca Calcein ceinam ( 緑 ) 死細胞 :Propidium PropidiumIodide ( 赤 ) 緑色 ( 生細胞 ) 赤色 ( 死細胞 ) - 両方染色 1 Well 毎に生細胞数 死細胞数をカウントし 生存率を計算 14
HCA 使用例 :Cell Cycle Raw Image G0/G1 期 S 期 細胞数 G2/M 期 死細胞アポトーシス 凝集した細胞他倍体化した細胞 Analyzed Image 2n Hoechst 33342 で染色された核の蛍光強度を測定し 各細胞を 2n ~ 4n に分類 ( 核の蛍光強度 染色体量 ) 4n 15
HCA 使用例 :Cell Cycle A549 細胞の細胞周期の解析 EdU 染色の蛍光強度 (S 期細胞の判定 ) 核の蛍光強度 (DNA 量 ) EdU 染色の蛍光強度 (S 期細胞の判定 ) 核の蛍光強度 (DNA 量 ) *Etoposide: 細胞周期を G2/M 期で停止させる抗がん剤 16
HCA 使用例 : スポットの検出 1 GFP-β-Arrestin の細胞内スポットのカウントと定量 Control Untreated GFP を融合した β-arrestin は Vasopressin を投与すると顆粒状に観察される Vasopressin Vasopressin 30 min Treated 17
HCA 使用例 : スポットの検出 1 GFP-β-Arrestin の細胞内スポットのカウントと定量 Control Untreated Vasopressin 30 min Treated 1 細胞あたりのスポット数 Vasopressin の濃度 黄色のリング : 細胞ドメイン 黄色のスポット : 解析対象のスポット 18
HCA 使用例 : スポットの検出 2 EGF-EGF Receptor の細胞内インターナリゼーションと ERK(MAPK) の核への移行 EGF ERK EGF ERK EGF は EGF Receptor と結合し インターナリゼーションを起こす 橙色 : スポットの個数や蛍光強度を定量 ERK が活性化し 核内へ移行する 緑色 : 核部分の蛍光強度を定量 19
HCA 使用例 : スポットの検出 2 Nucleus Hoechst 33342 ( 対比染色 ) ERK 抗体染色 ( 核内の蛍光強度 ) EGF Texas Red-EGF ( スポットの個数 蛍光強度 ) 20 Cellomics, Inc. 1999-2005
HCA 使用例 : スポットの検出 2 EGF (ring spot total intensity) EGF インターナリゼーション 1.0E+05 ( 橙色 : スポットの総蛍光強度 ) 1.0E+04 1.0E+03 0 minutes 0 minutes 5 minutes 50 minutes 15 minutes 15 5 minutes 30 minutes 複数分子の局在変化を同時解析 1.0E+02 1.0E+04 (circ total intensity) ERKの核内への移行 の核内への移行 ( 緑色 : 核内の総蛍光強度 ) 1.0E+05 21
HCA 使用例 : 神経突起の伸長 核染色 Anti-Tubulin Hoechst 染色 全細胞の核 (nuclear) を認識 anti-tubulin + 二次抗体 神経細胞体 (cell body) と神経突起 (neurite) を認識 * 細胞 : NeuroScreen-1 cells 22
HCA 使用例 : 神経突起の伸長 平均細胞質面積 神経細胞あたりの神経突起本数神経突起本数 実験 : 以下の薬剤を処理後 7 日目に染色し HCA 機で撮影 解析 SU6656: Src family Kinase 阻害剤 Bis-1: PKC 阻害剤 Dopamine: 神経伝達物質 Thyroxine: 甲状腺ホルモン 撮影視野あたりの総神経突起長 撮影視野あたりの神経突起分岐点数 結果 : 平均細胞質面積の減少 2 種類のキナーゼ阻害剤 ( 青 ) ( 赤 ) を高濃度で添加した場合 神経突起はほとんど見られなかった dopamine ( 緑 ) と Thyroxine ( 紫 ) の結果は コントロールと類似 X 軸 : 薬剤濃度 ( 高 低 ) Y 軸 : コントロールとの数値変化割合 23
HCA 使用例 :ES 細胞のコロニー解析 ヒト ES 細胞 (HSF-6) フィーダー細胞 (MEF) 1. 核染色を用いてコロニーを認識 密集した細胞は一つの塊として認識させる その面積が小さいものは除外 ( フィーダー細胞が除外される ) HSF-6 human embryonic stem cells growing on a feeder layer of mouse embryonic fibroblasts 2. コロニーのみを解析 サイズ 細胞数 ( 核染色 ) 未分化の細胞数 (anti-oct4) 分裂中の細胞数 (anti-phospho Histone H3) 24
HCA 使用例 :ES 細胞のコロニー解析 Channels 1-2 Channel 3 Channel 4 コロニーの認識フィーダー細胞の除外細胞数をカウント 未分化の細胞をカウント 分裂中の細胞をカウント 25
まとめ イメージング画像から定量解析を行うことにより 客観的なデータを得ることができます 統計学的に解析できます 細胞内の局在やトランスロケーションなどの解析も簡単です 今まで見えなかったものが見えてきます 日々の研究にも活躍する実験手法です 26
ご清聴ありがとうございました 本セミナー終了後 ご不明な点などがございましたら テクニカルサポートまでご連絡ください 電話 0120-477-392 E-mail jptech@lifetech.com Web http://www.lifetechnologies.com/ HCA 体験セミナーも行っております お気軽にご参加ください インターネットにて ライフテクノロジーズセミナー で検索! 27