衛生管理要領項目 (1) 施設 設備等の衛生管理に関する事項 1. 施設内の衛生区分について ( ゾーニング 動線 物流線 ) 作業形態 ( または清浄度 ) で区画をし 各区画毎に衛生管理の基準を検討すること 一般には 汚染区域には荷受 原料保管などの作業場 準清潔区域には下処理 洗浄などの作業場 清潔区域には加工 調理 包装 製品保管などの作業場に分類されます 各作業場をこれら汚染区域 準清潔区域 清潔区域などに分類 区画し 各作業場間で相互汚染がないように注意をすることが望ましい 動線 ( 人の移動経路 ) 物流線 ( 原料 資材 製品などの移動経路 ) を明確にし 交差汚染や異物混入に繋がらないように管理をすること 必要があれば 区分に応じて作業服 履物 入室手順を区別して定めること 2. 清潔作業区域の製造環境について 3. 窓 出入口について 4. 換気設備について 作業室内を低温または低湿に保たなければ製品品質に影響する場合 室温 湿度の基準を設定し 維持すること 温湿度計があり 定められた時間 頻度 (1 日 2 回以上が望ましい ) で確認すること ( 製品品質に影響がある場合 ) 作業室の温度 湿度の測定の記録があること 作業室内の温度 湿度が基準からはずれていた場合の対応方法をあらかじめ決め 記録をとること 温度計 時計 蛍光灯等のガラスに飛散防止が講じられていること 作業室の天井 梁等に破損 錆が生じ 異物が落下しないように維持すること 作業場の照度を十分とること ( 検品場では特に高い照度が望まれます ) 必要なく開放しないこと 5. 出荷冷蔵庫の確保について 開放する箇所には網戸などにて 塵埃 昆虫 そ族の侵入防止処置を実施すること 製造ライン上に結露が生じないように 十分な換気設備を持つこと 出荷冷蔵冷凍室が充分な容量を確保されていること ( 繁忙期でも冷蔵 冷凍が必要なすべての商品が冷蔵 冷凍保管できること ) 6. 作業場の手洗い設備の衛生について 手洗い設備を備えていること ( 手洗い設備は作業場入口にあり 手洗い専用とすることが望ましい ) 定期的に清掃 ( 洗浄 ) が行われ 清潔であること 液体石鹸 ペーパータオル ( エアータオル ) アルコールが備えられ 常に使用できること 7. 作業場の洗浄設備の衛生について ( 洗浄シンク等 ) 定期的に清掃 ( 洗浄 ) 殺菌が行われ 清潔であること 器具洗浄用のシンクは手洗い用のものと区別がされていること 8. 機械 器具 容器の洗浄 殺菌について 機械 器具 容器の洗浄 殺菌方法を決めて実施すること ( 洗剤 殺菌剤の種類 濃度 洗浄用具 頻度など ) 食品に直接触れる機械 器具 容器は使用毎に洗浄 殺菌をすること 洗浄 殺菌の記録を残すこと 洗浄 殺菌後の保管場所を決め 清潔に保管をすること 洗浄 殺菌方法について 微生物の拭き取り検査などから評価をしていること 1 / 7 ページ
9. 機械器具の区分 保管について 使用目的毎 ( 加工調理食材 加熱 未加熱など ) で使い分けがされていること または同じ機械器具を使用する場合 使用前に十分に洗浄 殺菌を行うこと 特にアレルギー物質を含んだ物質を取り扱った後の機械 器具の洗浄は十分に行うこと アレルギー物質を含まない商品の製造は機械 器具を専用のものとし アレルギー物資を含む商品とは製造する機械 器具と分けることが望ましい 保管場所や表示などで使い分けの区分が確実になっていること 10. 冷蔵庫 冷凍庫について 冷蔵庫 冷凍庫内は清掃頻度を決め 定期的に清掃を実施し 汚れ カビがないように清潔に維持すること 11. 冷蔵庫 冷凍庫 冷却水の温度管理について 設定温度を決め 定めた頻度 (1 日 2 回以上が望ましい ) で測定がされていること また 測定記録を保管しておくこと 温度が不適切時の対応手順を決め 記録を残すこと 10. 床 排水溝の清掃について 施設の使用時ごとに床 排水溝のゴミ 食品残渣を取り除くこと また定期的に清掃 ( 洗浄 ) を実施し 汚れ カビがないように清潔に維持すること 11. 定期清掃について 内壁 天井 エアコン 換気フードなど定期的に清掃する箇所を決め 清掃を実施し 汚れ カビがないように清潔に維持すること 清掃箇所 清掃方法を決め 実施記録 ( 清掃チェック表 ) を残すこと 12. トイレの衛生管理について 靴を履き替えて使用すること 手洗い設備を備え 使用後は必ず手洗いを実施していること 定期的に清掃 殺菌が実施されていること ( 週 1 回以上 ) トイレの清掃方法を決め 実施記録 ( 清掃チェック表 ) を残すこと 液体石鹸 ペーパータオル ( エアータオル ) 消毒用アルコールが備えられ 使用されていること 13. 更衣室について 定期的に清掃が行われ 不要物が持ち込まれていないこと 14. 清掃道具の保管について 清掃道具は 保管場所を定め 整理 整頓をして保管をすること 清掃道具及び保管場所は汚れ カビがないように清潔に維持すること 必要に応じ 衛生度などにより清掃 洗浄道具を区別すること ( 汚染物用 清潔用具用 アレルギー物質用など ) 15. 毒劇物 洗浄剤の保管について 洗浄剤の保管場所を定め 洗浄剤と食材を同じ場所で保管をしないこと また 容器には物の表示をすること 毒劇物 ( 一部の殺虫剤 強酸 強アルカリ剤など ) は隔離して保管をすること 保管場所は鍵付で 毒劇物の保管場所であることを明示すること 毒劇物 洗浄剤の MSDS を入手し 保管すること MSDS とは製品や製品に含有する成分の性状及び取扱いに関する情報を記載した安全データシートのこと 殺虫剤 洗浄剤 殺菌剤等の薬剤や食品添加物などの製品にあり 製造元 ( 購入先 ) から入手が可能です 2 / 7 ページ
(2) 食品取扱者の衛生教育に関する事項 1. 製造従事者への衛生教育 新入の従業員には 入社時に衛生に関する基礎知識や社内ルールについて 教育を実施すること 年間を通じて衛生教育のプログラムを計画し 実施することが望ましい 保健所等の講習会を積極的に活用すること 従業員への衛生教育の効果について定期的に評価をし 教育を見直すこと ( 理解度テスト等 ) 教育訓練の記録を保管すること ( 実施日 参加者 使用テキストなど ミーティング形式の場合は議事録など ) (3) 施設 設備等の保守点検に関する事項 1. 機械 ( 付属部品 ) の点検 保守について 使用前後に機械器具の作動や破損状況について点検 メンテナンスすること 機械器具の点検 メンテナンスの記録をすること 破損があった場合の対応処置をあらかじめ決め 対処したを記録に残しておくこと 2. 作業場内の整理整頓について 作業場内は整理整頓がされていること ( 作業台 ライン周り 上方に異物となる不要物がないこと ) 器具 容器などの紛失 破損を点検すること 紛失 破損の点検結果 対応を記録すること 3. モニタリングに用いる計器類の点検 校正について ( 殺菌や異物除去に関わる計器類 ( 温度計 ph 計 金属探知機 圧力計 流量計など ) や商品品質や商品規格としてお客様に保証する [ 重量 ph 糖度など ] を測定する計器 ( 計量器 ph 計 糖度計など ) を校正 点検の対象として考えてください ) 金属探知機 X 線検査機 ウェイトチェッカーは製品の検査を行う前後にテストピース等を用いて検査をし 作動の確認をすること ph 計は使用の前にキャリブレーション ( ゼロ点調整 ) を実施すること 定期的に計器類の精度を点検し 結果の記録を残すこと 定期的に校正を実施し ( 自社または外部いずれでも ) 記録を残すこと (4) ねずみ 昆虫等の防除に関する事項 1. 昆虫 そ族の捕獲及び監視器具の設置について 適切な位置に捕虫器 粘着トラップを設置すること 2. 防虫 防そ対策について 捕虫器の設置の原則について :1 建屋の外に誘虫灯の光が漏れない位置 向きであること 2 捕虫器に誘引された昆虫が混入しないように 下部や周辺にて加工 原料 製品 包装資材の保管がない位置であること 3 設置する部屋において 侵入口 ( 搬入口 入口など ) に近い箇所に設置し 昆虫を部屋の奥まで侵入させないこと 4 捕獲効率 メンテナンスのしやすさから 高さは 2m 以下が望ましい 電撃殺虫器は捕獲時に電撃で昆虫が飛散するため 製造場内での使用は避けること 食品加工施設では粘着テープ付の捕虫器を使用すること メンテナンスのため 捕虫器 粘着トラップの設置場所は図面にて明示すること 昆虫生息調査 ( モニタリング ) を実施し 調査結果に基づいて設備改善 清掃 薬剤施工などの対策を検討すること 薬剤 ( 殺虫剤 殺そ剤など ) を工場で使用した場合 使用した薬剤の散布記録と薬剤の MSDS を保管すること MSDS とは製品や製品に含有する成分の性状及び取扱いに関する情報を記載した安全データシートのこと 殺虫剤 洗浄剤 殺菌剤等の薬剤や食品添加物などの製品にあり 製造元 ( 購入先 ) から入手が可能です 防虫 防そ管理上の問題点への改善対策を計画 実施しており その記録を保管しておくこと ( 写真などで改善を記録するなど ) 食品製造エリアで殺そ剤を使用しないこと 3 / 7 ページ
(5) 使用水の衛生管理に関する事項 1. 使用水の衛生管理について ( 井戸水や貯水槽を使用している場合に該当 市水を貯水槽に溜めず 直接使用しているのであれば不要 ) 残留塩素濃度を末端蛇口で測定し 記録を保管すること :1 回 / 日以上 ( 基準 0.1ppm 以上 ) 水質検査を定期的に ( 年 1 回以上 ) 実施し 検査結果を保管すること 定期的に受水槽 貯水槽の点検 清掃を実施 ( 年 1 回以上 ) し 点検清掃記録を保管すること 製造に使用する氷は上記の条件を満たす 飲料可の使用水を用いて製造すること (6) 廃棄物及び排水の衛生管理に関する事項 1. 廃棄物の処理方法について 廃棄物は食品の製造 保管エリアから隔離して保管すること 特に ガラス片 ( 破損瓶など ) 等の危険物は速やかに廃棄をすること 廃棄物の容器は他の容器と区分され 汚液 臭いが漏れないこと 保管場所の清掃のルールを決め 衛生的に維持すること 産業廃棄物として処理をする場合 処理業者と契約を結び マニフェストを保管すること 廃棄物の保管 廃棄方法の手順書を作成すること 2. 排水の衛生について 機械 シンク等から出る排水は排水溝や排水口に誘導され 床に排水が溜まらないようにすること ( 原材料 製品 包装資材 機械器具に排水の跳ね返りがないこと ) 排水は適切に建屋外へ排水されていること ( 法令に従って排水すること ) (7) 食品取扱者の衛生管理に関する事項 1. 入室ルールについて 入室手順を決め 掲示などにて従業員に伝達すること 2. 粘着ローラー掛けについて 3. 従業員の健康管理について 服装規定を決め 掲示などで従業員に伝達すること ( 専用のユニフォーム 帽子 マスク 靴の着用 長い爪 マニュキュア 装飾品の禁止など ) 手洗いを適切な手順で行うこと ( マニュアルの掲示などで従業員に伝達すること ) 現場に不要な私物や危険物 ( 金属たわし 鉛筆 画鋲等 ) の持込を禁止すること ( 又は 持ち込み禁止物の掲示をし 従業員に伝達すること ) 作業場への入室前に粘着ローラー掛けを実施すること 粘着ローラー掛けマニュアルを作成し 掲示などで従業員に伝達すること 年 1 回の健康診断を実施すること 製造従事者は検便をしていること ( 年に 1 回以上 サルモネラ + 赤痢 +O-157 の 3 項目 ) 検便結果陽性者が出た場合 当該従業員は病院での診断を受けさせ 保菌していないことがわかるまで 出勤を停止させること 従業員の健康チェック ( 体調 手指の傷など ) を毎日実施すること 問題がある場合は病院での診断 または食品を直接取り扱う作業に従事させないこと 手指に傷がある場合は 手袋の着用などで傷が食品に触れないようにすること 4. 喫煙 休憩室について 健康診断 検便 健康チェックの記録を残すこと 喫煙場所や休憩室を設け 製造場で喫煙 飲食をしないこと 4 / 7 ページ
(8) 食品等の取扱いに関する事項 1. 原材料の受入れについて 原材料などの品質 ( 異物 鮮度など ) の受入れ基準を決め 入荷時または使用時にチェックをすること また記録を保管すること 受入れしない場合の記録を残すこと 原料が農産物 水産物である場合 産地 ( 原産国 ) 証明 生産履歴 残留農薬試験結果などを購入先から入手をしておくこと 破袋原料がないこと 2. 原料 中間品 製品の保管について 3. 包装資材の保管について 原料の発注量は適切であること ( 保管や生産能力に見合っていること ) 保管場所の区別をすること ( 食材毎 加熱 未加熱など ) 原料等の開封後は袋の口を閉じる 密封できる別容器に保管するなどし 昆虫類や異物の混入を防止すること 直置き 壁付けがないこと 原料は使用期限内で使用すること 冷蔵 冷凍品を常温で放置しないこと 裸保管がないこと 開封後は袋の口を閉じる 密封できる別容器に保管するなどし 昆虫類や異物の混入を防止すること 直置き 壁付けでの保管がないこと 4. 原料の先入れ 先出しについて 5. 手袋の着用について 6. 添加物の調合について 入荷日 使用期限 原料の製造ロットなどで管理を行うこと ( 袋に記入する 保管場所の区分けするなどで明確にすること ) 先入れ 先出しを実施すること 食品を直に扱う際には手袋 ( 樹脂やラテックス手袋 ) の着用を原則とすること 手袋を着用した際にはアルコール殺菌をすること 交換ルールを決め 実施すること ( 手袋が汚れたり 破損した場合 作業の切替時などで交換 ) 食品添加物類などを用いる際には 正確に秤量し 適正に使用すること 使用の記録を残すこと 7. アレルギー物質の保管について 原料に用いないアレルギー物質が他の食材に混入しないように区分けして保管をされていること ( 保管場所の区分けや名称が記入された密封容器での保管など ) 食品の原材料で表示義務のあるアレルギー物質は小麦 そば 卵 乳 落花生 えび かにの 7 品目です (2010 年 1 月現在 ) 8. 重要な管理点 ( 加熱 冷却工程 ) の監視について 9. 製造管理 記録について 重要な加熱 冷却工程においては品温または調理温度を測定し 監視すること 機械の設定温度ではなく 中心温度計や温度計を用いて実測すること 品温または調理温度の測定した記録を残すこと 製品を常温で長期間 放置しないこと 製品の規格書を作成すること ( 製品特性 製造手順 原料 取扱いなどの説明書 ) 工程ごとに製造方法や衛生管理上の注意点を示した手順書を作成すること 原料 製品 容器包装をロット毎に管理をし 使用の記録を残すこと 仕込み 加工 出荷 販売の記録 ( 製造記録 ) があること 5 / 7 ページ
(9) 製品の回収に関する事項 1. 出荷 販売停止 回収について 不良製品が発見され 出荷 販売停止 回収が必要になった場合の手順をあらかじめ決めておくこと ( 不良製品の情報収集と緊急処置対応の方法 出荷 販売停止 回収に関わる責任体制 具体的な回収方法 回収した製品の保管 廃棄方法 保健所などへの報告方法などについての手順書を作成することが望ましい ) 社内 関連取引先 および保健所などの緊急連絡網を作成すること 製造中に包装資材 ラベルのミス ( 日付等 ) の追跡調査が可能な記録を残すこと ( 印字記録やラベルの保管など ) 2. クレーム対応について クレーム ( 外部 社内発見 ) を記録し 集計をしておくこと クレームが発生した場合 原因究明を行い 再発防止改善処置を計画 実施すること また 記録を残すこと PL 保険に加入すること (10) 製品の試験検査に関する事項 1. 定期的な微生物検査について 定期的に原料 中間製品 製品の検査を実施し 安全面を確認すること また 検査記録はファイリングをし 保管をすること 定期的な拭き取り検査を実施し 施設の衛生状態を確認することが望ましい 検査記録はファイリングをし 保管すること 2. 試験検査 ( 細菌検査等 ) に用いる機械器具について ( 自社で検査機器がある場合 ) 定期的な保守点検を実施し 記録を残すこと (11) 管理体制に関する事項 1. 品質管理体制について 品質管理の責任者及び食品衛生の責任者が定まっていること 施設の見取り図を作成 更新し 品質管理 衛生管理の活動に活用すること 必要な営業許可を取得し 営業許可書を掲示しておくこと 従業員が多数の場合 衛生管理を指導するメンバーを選出し衛生の活動を行うことが望ましい これらのメンバーにて定期的にミーティングを実施し 議事録を残すこと 6 / 7 ページ