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前置き 2 改定 年 10 月 3 日付 2 改定 年 11 月 21 日付 3 改定 年 6 月 19 日付 3 改定 年 10 月 14 日付 3 移行タイミングの要求事項 4 移行審査の要求事項 5 CB に対する移行審査チームの要求事項

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Transcription:

1

本章では,20 年以上の歴史を有するマネジメントシステム認証について, 規格や適合性評価制度について学習し, また, 現在課題として認識されていることについても理解を深める [ 注 ] 認証 のことを 審査登録 ということがある 2

3

p.4~10 では,ISO 最初のマネジメントシステム規格となった ISO 9001 の成立の経緯に触れた後, 現在使用されているマネジメントシステム規格全体を概観する 適合性評価の方法については,p.11 以降で説明する (1) マネジメントシステム認証の開始と普及 ISO においてマネジメントシステム規格の作成が開始された経緯はスライドに示したとおりである 製品の性能値や製造プロセス, あるいは製品の試験や検査に関する基準ではなく, 組織のマネジメントシステムに関する基準に基づく認証という発想の発端になった規格の一つがイギリス国防省の品質保証規格である英国規格 BS 5750 であった ( 他にも, スライドに示したように, 同様の規格が存在した ) 特定の製品に限定されず, 品質に関して製品や業種の広い範囲にわたって利用できる基準であったため,ISO 9001 という国際規格になることによって, EU 域内同士の通商はもとより,EU 域内と域外の通商, さらには EU 域内との通商に直接関与しない組織に対しても, 世界的に品質マネジメントシステムの認証が普及されるに至った 一方, 数ある ISO 規格の中で, 今日に至るまで ISO 9001 ほど販売数の多い規格は類を見ず ( 注第 2 位は ISO 14001),1987 年発行の初版,1994 年発行の第 2 版を通じて ISO の名を一躍世界中に知らしめることになった なお, 第 2 版までは ISO 9001 は Quality systems( 品質システム ) という表記を使っていたが, 第 3 版から 品質マネジメントシステム という表記を使うことになった これは,1996 年に発行された ISO 14001 が用いた Environmental management systems ( 環境マネジメントシステム ) という表現を尊重したことによるものである 4

(1) マネジメントシステムの意味について ISO 9000:2000(JIS Q 9000:2000 品質マネジメントシステム 基本及び用語 ) の定義によれば, マネジメントシステムの意味は, 方針及び目標を定め, その目標を達成するための相互に関連する又は相互に作用する要素の集まり となる しかしながら, この表現は一般的には分かりづらいので, これを ある活動のための体制及び機能 と理解しておいても, 大きな間違いではないであろう [ 注 ] ISO 9000:2000 における定義より マネジメントシステム : 方針及び目標を定め, その目標を達成するためのシステム システム : 相互に関連する又は相互に作用する要素の集まり (2) ISO 9001:2000 の主要構成 - 品質マネジメントシステムに関する要求事項 ( 組織の共通的 基本的な管理に関する規定 ) - 経営者の責任 - 資源の運用管理 - 製品実現 - 測定, 分析及び改善 (3) ISO 規格と JIS の関係, 日本語訳について 上記 ISO 規格や ISO/IEC 規格の多くは, 同一の内容を有する JIS として発行されている JIS に基づく認証 =ISO 規格又は ISO/IEC 規格に基づく認証 という関係であり, 国内における認証審査の際には,JIS を使用して行われるのが一般的である (ISO 9001:2008 JIS Q 9001:2008 品質マネジメントシステム 要求事項 ) 5

(1) ISO TC 207 について環境管理に関して世界的に共通する重要なニーズを持つことから, 既に英国規格協会から発行されている規格をベースにイギリスから国際規格作成提案がなされ, 環境マネジメントシステム規格が新たに TC 207 という環境管理に関する規格作成を行う専門委員会を設立して作成されることになった TC207 設置に先立ち, 既に ISO 9001 というマネジメントシシテム規格を作成している ISO 専門委員会 TC 176 において作成しようという動きもあったが, 品質と環境という専門性の相違や関係者が異なるという背景のもと, 環境に係わる人達の要望もあって, 新たに専門委員会 TC 207 が設立された 実際の作成作業の多くは,SC(Sub-committee) と呼ばれる分科委員会や WG(Working group) と呼ばれる作業グループで行われる TC 176 の国際幹事と TC 207 の国際幹事はカナダ規格協会が担当しているが, ISO 9001 作成を担当している SC と,ISO 14001 作成を担当している SC の国際幹事は英国規格協会が担当しており, これら認証に用いられる二つの主要なマネジメントシステム規格の実質的な管理を行っているのは, 規格作成の提案者であった英国規格協会である (2) ISO 14001:2004 の主要構成 - 一般要求事項 ( 管理の基本的なことに関する規定 ) - 環境方針 - 計画 ( 環境側面, 法的及びその他の要求事項, 目的, 目標及び実施計画 ) - 実施及び運用 ( 資源, 役割, 責任及び権限, 力量, 教育訓練及び自覚, コミュニケーション, 文書類, 文書管理, 運用管理, 緊急事態への準備及び対応 ) - 点検 ( 監視及び測定, 順守評価, 不適合並びに是正処置及び予防処置, 記録の管理, 内部監査 ) - マネジメントレビュー [ 注 ] 環境に関する排出濃度 量等の基準については, 規格の中では規定しておらず, 規格で規定した活動を通じて, 組織が結果的に環境保護に寄与することをねらっている マネジメントシステムに共通の 方針 目標の設定, 文書化及び記録の管理, 組織自らによる監査の実施 の要素が含まれているのに加え, 計画 において 環境側面の特定 という, 環境に関するリスクアセスメントに相当するプロセスを規定しているところに特徴がある (3) ISO 14001 に該当する JIS JIS Q 14001:2004 環境マネジメントシステム - 要求事項及び利用の手引 6

(1) ISO JTC 1 /SC 27 について 情報セキュリティ マネジメントシステム規格は,ISO JTC 1 /SC 27 セキュリティ技術 という, ISO と IEC が共同して作業を行う委員会において作成された なお, 情報セキュリティ マネジメントシステムはその英訳の Information Security Management System より ISMS といわれることが多い 本章でも以下,ISMS と記す (2) ISO 27001:2005の主要構成 - 情報セキュリティ マネジメントシステムに関する要求事項 ( 組織の共通的 基本的な管理に関する規定 ) [ 注 ] リスクアセスメントの実施を含めている - 経営陣の責任 - ISMS 内部監査 - ISMSのマネジメントレビュー - 継続的改善 - 是正処置 - 予防処置 (3) 該当の JIS JIS Q 27001:2006 情報技術 セキュリティ技術 情報セキュリティマネジメントシステム - 要求事項 7

(1) ISO 9001 セクター規格自動車部品の供給における品質マネジメントシステム認証用基準 ISO/TS 16949 が ISO 9001 のセクター規格として TC 176 において作成され, その初版は 1999 年に発行された 元々は, ビッグスリーと呼ばれた GM, フォード, クライスラー他が作って第三者認証に使われていた QS-9000 という規格があり, それをベースに ISO/TS 16949 が作られている その後,ISO において品質マネジメントに関係する ISO 13485,ISO 22000,ISO/IEC 20000-1 が発行されている このうち ISO 13485 は, 医療機器に関する各国の規制等の基準を,ISO 9001 に反映させる目的で作られたものである 本来, あらゆる分野, あらゆる組織に適用可能な品質マネジメントシステムとして ISO 9001 が作成されたが, 実際は, より具体的な要求事項 ( 例えば, リスクアセスメントプロセス ) を含むセクター規格による認証が, 幾つかの分野において, 業界ニーズあるいは規制等への対応のため使われるようになった また, 認証のための審査を行う審査員に対する資格基準や認証機関に対する認定基準についても,ISO 9001 の場合のものとは違うものが要求される等, 独自の認証 認定制度が関係者の間で利用される状況になっている (2) JIS の発行状況 a) ISO/TS 16949 品質マネジメントシステム - 自動車生産及び関連サービス部品組織の ISO 9001:2008 適用に関する固有要求事項 は JIS は発行されていないが, 日本規格協会から ISO 中央事務局の許可を得た翻訳書籍が発行されている b) JIS Q 13485:2005 医療機器 品質マネジメントシステム 規制目的のための要求事項 c) ISO 22000:2005 食品安全マネジメントシステム - フードチェーンのあらゆる組織に対する要求事項 に対応する JIS は発行されていないが, 日本規格協会から ISO 中央事務局の許可を得た翻訳書籍が発行されている d) ISO/IEC 20000-1 : 2005 情報技術 - サービスマネジメント - 第 1 部 : 仕様要求事項 に対応する JIS は発行されていないが, 日本規格協会から ISO 中央事務局の許可を得た翻訳書籍が発行されている 8

a) ISO 28001:2007 ( サプライチェーンのためのセキュリティマネジメントシステム - サプライチェーンセキュリティ, 評価及び計画を実施するための最適実施手順 - 要求事項及び手引 ) テロ等の犯罪に結びつくような密売や貨物の保安に関する規定 対応する JIS は発行されておらず, 日本規格協会からの邦訳もまだ出されていない b) ISO 22301( 業務継続マネジメント 要求事項 ) 現在,TC 223 Social security( 社会セキュリティ ) にて作成中である TC 223 作業範囲 社会的セキュリティの分野における国際標準化を進めている 危機管理と事業継続の能力向上を目的とする すなわち, すべての利害関係者において, 技術, 人, 組織, 機能の相互運用性を高め, 状況認識を共有する 同委員会は, 危機管理と事業継続の重要な局面においてすべての必要な活動を網羅する全危険対応型アプローチを使う c) ISO 39001( 道路交通安全マネジメントシステム - 要求事項及び利用の手引 ) 現在,PC 241 Road-Traffic Safety Management System ( 道路交通安全マネジメントシステム ) にて作成中 PC 241 作業範囲 道路交通安全マネジメントシステム分野の標準化を進めている [ 注 ] PC(Project Committee) とは, 既存の TC では扱わない一つの規格作成のためだけの活動を行う委員会のこと d) ISO 50001( エネルギーマネジメントシステム - 要求事項及び利用の手引 ) 現在,PC 242 Energy management systems( エネルギーマネジメントシステム ) にて作成中 PC 242 作業範囲 エネルギーマネジメントシステム分野の標準化を進めている 9

ISO や IEC で作成せず, 関係者が集まって団体等を構成し,ISO や IEC の規格ではない コンソーシアム規格 とでもいうような規格を作成する場合がある 以下に, この例に該当する規格を紹介する a) OHSAS 18001:2007 労働安全衛生マネジメントシステム - 要求事項 この規格は, 英国規格協会 (BSI) が中心となり事務局を担当し, 認証機関や研修機関等, 関係者を集めて作成している 認証機関による審査 登録に用いられているが, 国内では ISO 14001 のような認定機関による認定は行われていない OHSAS 18001 に対応した JIS は発行されていないが, 規格作成の事務局を担当した組織 (BSI) の許可を得て, 日本規格協会から翻訳書籍が発行されている b) AS 9100 品質マネジメントシステム 航空, 宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項 当局及び業界関係者によって構成される IAQG (International Aerospace Quality Group) において規格が作成されている ISO 9001 の航空宇宙産業分野向けのセクター規格である 事故調査における部品等のトレーサビリティ ( 設計製作に係わる履歴 ) に重点を置いているところに特徴がある JIS としては,AS 9100 と同一の内容を有する規格が発行されている (JIS Q 9100:2009 品質マネジメントシステム 航空, 宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項 ) c) TL 9000 この基準は通信プロバイダー及び電気通信機器製造業界等のメンバーからなる QuEST Forum (Quality Excellence for Suppliers of Telecommunications) において作成されている ISO 9001 の電気通信機器製造業界向けのセクター規格である 関連してパフォーマンス測定法についても定めている点に特徴がある TL 9000 の基準として,TL 9000 Quality Management System Requirements Handbook Release 4.0 の他, TL 9000 Quality Management System Measurements Handbook Release 4.0 が審査において使用されている なお, 参考資料として次の書籍が日本規格協会から発行されている : TL9000 Requirement Handbook 4.0(TL9000 品質マネジメントシステム要求事項ハンドブックリリース 4.0 - 電気通信産業分野への要求事項 - 10

p.11~20 において, マネジメントシステム規格に基づく認証, 並びに認証機関の認定について説明する (1) 認証 ( 登録 ) の利用について 認証を取っていることを取引条件とされる場合への対応として, あるいは認証を取っていることで 能力があること を関係先に宣伝したいために企業等の組織が認証を取ることが多い したがって, 認証を取っていることを示すことが重要となる 取引先への認証 ( 登録 ) の提示方法としては, 次のような方法がある 1 認証機関のホームページに掲載されていることを確認してもらう 2 登録証の写しを送る [ 注 ] 取引先が海外にある場合, 認証証とは別に, 取引先から認証機関が発行したことの証明を 求められることがある この場合, 認証機関に問い合わせて対応することが多い (2) パンフレット, 工場看板等への, 認証に関する記述及び認証マークや認定マークの印刷方法や認証対象が誤解されないことが認定基準によって求められている [ 注 ] ISO/IEC 17030:2003 Conformity assessment -- General requirements for third-party marks of conformity (JIS Q 17030:2004 適合性評価 - 第三者適合マークに対する一般 要求事項 ) にマークの使用に関する規定が記載されている [ 注 ] 認証は組織が申請した範囲 ( 事業所, 事業, 製品 ) に基づいてなされるものなので, 必ずし も当該組織の全ての事業所や全ての事業 / 製品を対象としているとは限らないことに注意 [ 注 ] 認証は多くの場合,3 年ごとに更新することになっており, 認証に有効期限があることに注意 (3) 認証を取ることを, 単に取引きに使う目的だけではなく, 組織内の環境強化に役立てることを目的とする場合もある 11

(1) 認定制度について 認証機関, 認定機関共に, 多くの国では民間組織がその任にあたっているが, 制度の維持は法律に基づいて行われている訳ではない マネジメントシステム認証を受ける組織を認証機関が認証 ( 登録 ) し, その認証機関を認定機関が審査して認定 ( 登録 ) する, という三層構造は, ヨーロッパで発達した仕組みである 認証機関が認定を受けることは必須ではないが, 認定はそれぞれ法人として独立して活動している複数の認証機関の認証結果の信頼性を証明することを目的としている 認定基準を設けて認証機関の体制や活動を審査し, その認定基準に対する適合性評価を行うものである 認証機関が基本的に民間組織であるため, その財政状況に関しても認定審査において確認することになっている ただし, 認証機関の審査料金に関する基準のようなものはない 認定機関の数は,1 国 1 認定機関というケースが多いが, 必ずしも 1 認定機関に限定されている訳ではなく, 日本においても ( 財 ) 日本適合性認定協会 (JAB) と ( 財 ) 日本情報経済社会推進協会 (JIPDEC) が同じ認定対象を有している例がある 認証あるいは認定に関する公平性 客観性 一貫性の追求は極めて重要なことである これらのうち, 一貫性とは, 審査等が, いつ, いかなる場所においても, 同様に行なわれ得ることを意味している (2) 認定に関する ISO の対応について ISO は, 認証や認定の直接の管理を行うことはなく, 認証や認定に使われている ISO 規格の保護という観点から, 主に ISO 規格に基づく認証の信頼性に関心を払っており,ISO 9001 等の認証件数の調査や, 認定機関の国際的な集まりである IAF (International Accreditation Forum) との協調を図っている また,ISO では認証に関する問い合わせの受付けも行っている [ 注 ] 1 認定を受けずに認証業務を行っている認証機関がある ISO は, 認定を受けると, 認証の信頼性を対外的に示しやすくなると言っているが, 認定を受けている認証機関で認証登録をすべきとまでは言っていない 2 各国の認証機関の数に制限は設けていない 3 マネジメントシステム認証機関の認定機関は, 各国 1 機関程度 ( ただし, 認証機関が自国以外の認定機関から認定を受けることは可能 ) 4 認証を受けた組織は, 認証マークと合わせて認定マークを登録証や各種資料に使うことが許される ただし, 登録の範囲が分かるように使用することや, 見た人が誤解しない使用が認証機関から求められる 5 苦情, 問合わせ対応などを認証機関及び認定機関が行っている 12

(1) 認証機関の活動について p.13~14 において,ISO 9001 や ISO 14001 の認証機関がどのような活動を行っているかを説明する 認証機関は, 組織との契約に基づき組織の認証 ( 登録 ) を行っている 手順の多くは, マネジメントシステム機関のための国際規格 (ISO/IEC 17021) 等に基づく認定基準であるが, その他に, 認証機関が個別に登録組織 ( 認証を受ける組織 ) との間で交わした契約書や覚書に基づいて行っているものもある 例えば, 登録組織に不祥事が発生した場合の, 調査の実施や認証の扱いについて等がある (2) 認証審査について 初回認証審査は, 組織のマネジメントシステム構築状況が登録のための審査 ( 第二段階審査 ) に対応できる状況であるかどうかを確認する第一段階審査と前述の第二段階審査から構成されている 認証審査は, 基本的にサンプリング審査となっており, 文書や記録類のすべてを審査のたびに確認するようなことは行っていない また, 認証を受ける事業所が複数の部署等からなる場合には, サーベイランス審査時に組織を選択して行うことがある しかしながら, 登録審査以降は 1 年ごとに, 規格の要求事項を 2 回のサーベイランス審査と 1 回の更新審査の 3 年周期の間ですべての部署で確認することが認定基準によって求められる 審査員には, 主任審査員と審査員の 2 種類があり, 審査員がチームを組んで審査を行う場合には, チームを統率する主任審査員が決められている 審査が一人の審査員で行われる場合には, 当該審査員が主任審査員となる 個々の審査は, 主任審査員が受審組織の各部署及び面接する管理者 職員, 初回会議, 終了会議等の時間設定を含む詳細の審査プログラムを作成して実施する この審査計画作成の際の基準として ISO 19011 Guidelines for quality and/or environmental management systems auditing (JIS Q 19011 品質及び / 又は環境マネジメントシステム監査のための指針 ) が用いられている 13

(1) その他の審査 通常は認証登録時に審査を受けた組織の活動の範囲についてサーベイランス審査時や再認証審査時に審査を受けるが, この他に, 組織の統合や事業の拡大等に伴って登録範囲が拡張された場合にサーベイランス審査あるいは再認証審査における追加的審査や, システム維持に関して疑いを起させる事態が発生した場合 ( メディアによる, 登録組織の不祥事の報道等 ) に臨時に行う審査がある (2) 文書審査 現地審査 審査は文書審査と現地審査から構成されており, どの文書を審査するか, どの部署等を現地で審査するかは認証機関が決定し, 被審査組織に伝えることになっている (3) 判定 審査結果を判定する判定委員会の委員構成は, 認証機関の職員の数を制限し, 外部の者を含めることとしている しかしながら, 被審査組織の利害関係者 ( 例 : 当該組織のコンサルティングを行った者, 等 ) は協議には参加しない 14

p.15~17 において, 認定機関がどのような活動を行っているかを説明する (1) 認定機関の役割 認証機関が認定を受けることは必須ではないが, 認定は法人として独立して活動している認証機関の審査登録の結果の信頼性を証明し, そのことを関係者に示す上で有意である この証明を国際的に客観的に, かつ一貫性を持って実行できるよう,ISO においてマネジメントシステム認証機関を認定する際に用いる審査基準 (ISO/IEC 17021) が作成されており, これが認定基準の基礎として用いられている 認定は, 認証の対象とする基準 (ISO 9001 等 ) に対して行われるが, 認定範囲 ( 産業分野 ) が定められている場合には, 認証機関から申請のあった認定分野に限定して行われる 認定機関は, 認定を受けている認証機関名及びその認証機関が認証している組織名を公表している さらに,ISO は認定自体についても国際的に客観的に, かつ一貫性を持って行われるよう, 認定機関のための基準 (ISO/IEC 17011) も作成しており, これは認定の相互承認を行う際に行われる認定機関間の審査に用いられている (2) 認定審査の区分 認定は, 認証審査と同様の区分を持っており, 認定維持のための審査も 1 年周期で行われる 認定の有効期間 ( 更新 ) は通常 4 年ごとである 15

(1) 認定の判定 判定は, 公正を期した委員構成からなる委員会において, 審査員の報告に基づいて行われる したがって, 認定は, 認定活動に携わる審査員個人の資質や力量, 並びに判定委員に大きく依存している (2) その他, 認定機関の管理に関して 認定における公平性, 客観性, 一貫性という基本原則は, 適合性評価全般に通じる原則であり, 認定機関や認証機関が常にそれらの実現を目指しつつ活動を行うべき目標である 16

(1) 国際相互承認について 認定機関間の相互承認とは, 認定業務が互いに同等であることを相互に承認することである この承認のための活動は,IAF (International Accreditation Forum, Inc. 国際認定機関フォーラム ) において,MLA (Multilateral Lateral Arrangement) の活動として行われている ただし, 実際は IAF の地域グループ 日本が参加しているのは PAC (Pacific Accreditation Cooperation 太平洋認定機関協力機構 ) において相互承認グループを結成して相互承認の活動を行っており,IAF がその地域グループにおける相互承認の結果を受け入れる形を取っている 国際相互承認は, 認定が国際的に一貫性を持って行われていることを証明する上で有意である しかしながら, 認証マークの近くに ( 相互承認先の ) 認定マークを貼ることは認められておらず, 認証を受けた組織にとっての宣伝効果という点では不満がある 17

(1) ISO 認証基準である,ISO 9001, ISO 14001 等の規格を作成する他, 認定基準である ISO/IEC 17021(JIS Q 17021 適合性評価 マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項 ) 認定機関のための基準である ISO/IEC 17011(JIS Q 17011 適合性評価 適合性評価機関の認定を行う機関に対する一般要求事項 ) 審査員の評価基準である ISO/IEC 17024(JIS Q 17024 適合性評価 - 要員の認証を実施する機関に対する一般要求事項 ) を作成している (2) IAF (International Accreditation Forum, Inc. 国際認定機関フォーラム ) ISO は自らは認証や認定の管理は行っていない しかしながら,ISO が作成した規格が正しく使われていることを監視することを目的とした活動を行っており, その活動の一環として IAF と覚書 (MoU)[ 注 ] を結んで,ISO 9001 と ISO 14001 に関して相互交流を図っている [ 注 ] MoU:Memorandum of Understanding 覚書のこと さらに詳しい情報は, 下記の参考資料に示す Web サイトより入手することができる 参考資料 1) IAF Web サイト http://www.iaf.nu/ 18

(1) 審査員評価登録制度 認定基準の上では, 第三者機関による審査員の評価登録は求められていない しかしながら, 国内の認証機関は, 審査員の要件として何らかの第三者 ( 要員認証機関 ) による評価登録を利用している ISO 9001 品質マネジメントシステム審査員,ISO/IEC 27001 情報セキュリティマネジメントシステム審査員, 及び JIS Q 9100 航空宇宙産業向け審査員に関しては,( 財 ) 日本規格協会マネジメントシステム審査員評価登録センター (JRCA) において評価登録を行っている ISO 14001 に関しては,( 社 ) 産業環境管理協会 環境マネジメントシステム審査員評価登録センター (CEAR) において評価登録を行っている 評価登録基準の基礎, 並びに評価登録活動への要求事項として,ISO/IEC 17024(JIS Q 17024 適合性評価 - 要員の認証を実施する機関に対する一般要求事項 ) を用いている 審査員の種類には, 主任審査員 (: 審査チームリーダー相当 ), 審査員 (: 審査チームメンバー相当 ) 及び審査員補の三種類があるが, 審査員補は実際の審査において独立して審査活動を行う審査員としては認められていない資格であり, 実際の審査において審査員の管理の下で審査経験を積むことが許される程度の権利を有する資格である [ 注 ] JAB は認証機関に対して, 正式には評価登録審査員であることを求めておらず, 認証機関自らが必要な基準を作成し, それに基づいた教育 審査実績等を審査員に与えると共に, 個々の審査員の力量を評価することを求めている しかし, 実際は多くの認証機関は, 審査員の管理に利用している 評価登録には, 研修機関による, 内容 時間の定められた研修を修了していること, 経歴が条件を満たしていること, 過去 1 年間の活動実績 ( 審査実績, 研修受講他, 学習実績 ) が基準を満たしていることが求められる 19

(1) 審査員の評価登録の概要 資格基準があり, 学歴, 職歴, 審査実績, 研修受講 教育実績を示す必要がある また, 資格維持のために, 毎年申請して更新する必要があり, その際, 直前 1 年間の審査実績及び研修受講 教育実績が基準を満たしていることが求められる 資格基準に関する詳細な情報は参考資料に示す Web サイトより入手することができる (2) 研修機関 審査員の資格取得, 維持のためには, 評価登録のための基準に基づいて, 研修機関による研修を受講し修了しておく必要がある 研修実績の対象となる研修を行う研修機関は, 審査員評価登録機関による審査を毎年受ける必要があり, 研修機関認定基準に基づく研修プログラム ( 研修内容及び各内容ごとの時間 ) を整備することが求められる [ 注 ] かつては, 研修機関の認定審査を認定機関である ( 財 ) 日本適合性認定協会 (JAB) が行っていたが, 認定機関が審査する審査員評価登録機関の評価の対象となる研修に認定機関が関与するのは公平性に疑問を生ずるおそれがあるとの認識から, 認定機関ではなく審査員評価登録機関が行うことになった 参考資料 1) JRCA 関連 http://www.jsa.or.jp/jrca/seido-1.asp 2) CEAR 関連 http://www.jemai.or.jp/cache/ems_details_detailobj2441.cfm 20

(1) JAB の認定に係わらない ISO 9001 の国内人件数 : 合計 52200 件 [ 注 ] 審査対応負荷及び審査料金の削減のため, 従来複数の事業所等でそれぞれ取得した認証を統合し, まとめて審査を受ける組織が増えている また,ISO 9001 と ISO 14001 の審査を同時に受けて, 同様の効果をねらう組織も増えている 認定審査の場合にも, 同様に ISO 9001 と ISO 14001 に関する認定機関による審査を同時に行うことが普及している (2) JAB の認定に係わらない ISO 14001 の国内人件数 : 合計 26076 件 (3) ISO/IEC 27001 の認定制度 世界の認証件数 (2007 年末現在 ):7,732(70 カ国 ) 認定基準は ISO/IEC 27006 : 2007 を採用している 日本では JIPDEC ( 財 ) 日本情報経済社会推進協会 情報マネジメントシステム推進センターと JAB ( 財 ) 日本適合性認定協会 の 2 機関が認定活動を行っている (4) ISO/IEC 20000 の認定制度 ISO 22000 の認定は,ISO/IEC 17021 そのものではなく,ISO/IEC 17021 をベースとし, さらに規定を追加した ISO/TS 22003:2007 が使われており, JAB が認定業務を行っている (5) ISO 13485 の認定制度日本では,GHTF(Global Harmonization Task Force: 医療機器規制国際整合化会議 ) において作成した文書を参考とし,JAB において作成した認定基準に基づいて,JAB が認定業務を行っている (6) AS 9100 の認定制度 世界の認証件数 :11069 件航空宇宙産業の品質マネジメントシステム認定制度は, 国際航空宇宙業界の品質組織である IAQG (International Aerospace Quality Group: 国際航空宇宙品質グループ ) の下で構成され, 確立 運用されている IAQG は, アメリカ, ヨーロッパ及びアジア パシフィックの 3 セクターで構成されており, 各セクターの認証スキームは相互承認されている 日本では,( 社 ) 日本航空宇宙工業会に JAQG( 航空宇宙品質センター ) が設置され,IAQG で制定する品質保証に関する制度, 標準, 規格等の国内への展開 運用を促進する等の活動を行っている 審査員に対しては独自の要求事項を有している 日本では,JAB が IAQG 制定の基準に日本独自の基準を追加した上で,IAQG から IAQG の基準との同等性の確認を得て認定業務を行っている また,JRCA において AS 審査員の評価登録を行なっている (7) TL 9000 の認定制度 世界の認証件数 :1821 件国際的電気通信業の品質マネジメントシステムの認定制度は QuEST Forum( クエストフォーラムにおいて運用管理されている 通信プロバイダー及び電気通信機器製造業界等のメンバーからなる QuEST Forum において作成された TL 9000 Quality Management System Requirements Handbook Release 4.0 の他,TL 9000 Quality Management System Measurements Handbook Release 4.0 が審査において使用され, これらに基づいて JAB が認定基準を定めて, 認定業務を行っている 21

(1) IATF について IATF は, BMW, ダイムラー, フィアット, フォード, GM, プジョー, ルノー, フォルクスワーゲン, 米国, その他米国, イタリア, フランス, イギリス, ドイツの各自動車メーカーの団体がメンバーになっている 1999 年に ISO/TC 16949 が発行される前は, 各国で自動車部品業界用の品質管理規格を作成して審査に用いていた 例えば, 米国では QS-9000 という品質管理規格があった (2) ISO 9001 セクター規格による認証の普及は,ISO 9001 の認証の目的 価値に影響を与えるものであり,ISO/CASCO の委員会などにおいても, 関係者間で議論されることのある課題であるが, いまだ明快な整理はされていない 一方, 企業等の組織は, セクター規格による認証のほかに ISO 9001 による認証を受ける場合があり, 認証対応の負荷を増す結果となっている 22

( 解説なし ) 23

p.24~27 において, 代表的マネジメントシステム認証機関の認定基準である ISO/IEC 17021 の概要を示す (1) ISO/IEC 17021 の概要 序文 : マネジメントシステム認証の意義, この規格の項で扱っていること 1 適用範囲 : この規格はマネジメントシステムの監査と認証の力量, 一貫性及び公平性のための原則及び要求事項を提供 2 引用規格 :ISO 9000,ISO 19011,ISO/IEC 17000 を引用している 備考 ISO 9000 は品質マネジメントに関する用語規格 ISO 19011 は品質及び / 又は環境マネジメントシステム監査のための指針,ISO/IEC 17000 は適合性評価に関する用語規格 3 用語及び定義 : 被認証組織, 公平性, マネジメントシステムのコンサルティング の各用語について定義 4 原則認証において重要なことを,4.1 一般,4.2 公平性,4.3 力量,4.4 責任,4.5 透明性, 4.6 機密保持,4.7 苦情への適切な対応に分けて記述 24

(1) ISO/IEC 17021 の概要 5 一般要求事項認証業務を行う法人あるいは法人の一部としての基本的なことに対する要求事項を,5.1 法的及び契約上の事項,5.2 公平性のマネジメント,5.3 債務及び財務に分けて記述 6 認証機関の業務体制に係る要求事項を, 6.1 組織構造及びトップマネジメント,6.2 公平性委員会に分けて記述 7 認証機関の人的資源に係る要求事項を,7.1 経営層及び要員の力量,7.2 認証活動に関与する要員,7.3 個々の外部審査員及び外部技術専門家の起用,7.4 要員の記録, 7.5 外部委託 25

(1) ISO/IEC 17021 の概要 8 認証取得の状況を示す情報 文書 マークの扱いに対する要求事項を,8.1 公にアクセス可能な情報,8.2 認証文書,8.3 被認証組織の登録簿,8.4 認証の引用及びマークの使用,8.5 機密保持,8.6 認証機関とその依頼者との間の情報交換に分けて記述 9 認証のプロセスに対する要求事項を,9.1 一般要求事項,9.2 初回審査及び認証,9.3 サーベイランス活動,9.4 再認証,9.5 特別審査,9.6 認証の一時停止, 取消し, 又は認証範囲の縮小,9.7 異議申立て,9.8 苦情,9.9 申請者及び依頼者に関する記録に分けて記述 26

(1) ISO/IEC 17021 の概要 10 認証機関が有すべきマネジメントシステムに対する要求事項を, 二つの選択肢から選択可能とし (10.1 マネジメントシステムに関する選択肢 ), 選択肢をそれぞれ 10.2 選択肢 1: JIS Q 9001 に従ったマネジメントシステムの要求事項,10.3 選択肢 2 : マネジメントシステムに対する一般要求事項として記述 27

(1) IAF 文書の概要 このスライドにおいて, マネジメントシステンムに関する認定に大きな影響を与える IAF 文書を紹介する IAF Mandatory Documents は認証活動に対する追加要求となっている IAF MD 1 : サンプリングに基づく多数サイトの認証 に関する要求事項 IAF MD 5 : QMS( 品質マネジメントシステム ) 及び EMS( 環境マネジメントシステム ) の審査 における第一段階及び第二段階の初回審査, サーベイランス審査及び再承認審査の審査間隔を適合性評価機関が決定するための規定及び指針 28

このスライドにおいて, 品質及び / 又は環境マネジメントシステム監査のための指針である,ISO 19011 ( JIS Q 19011) の概要を示す (1) 主要事項 [ 監査活動 ] 監査の原則 ( 監査員に関するもの ): 倫理的行動, 公正な報告, 独立性, 証拠に基づくアプローチ等 監査プログラムの管理 : 目的, 範囲, リソース, 手順, 実施, 記録, 監視 レビュー等 監査活動 : 監査の目的 範囲の明確化, 監査チームの選択等 文書レビューの実施 現地監査活動の準備 : 監査計画の作成, 監査チームへの作業の割当て等 現地監査活動の実施 : 初回会議の開催, 情報の収集及び検証, 監査所見の作成, 監査結論の作成, 最終会議の開催 監査報告書の作成, 承認及び配付 監査の完了 監査のフォローアップの実施 : 是正処置等の検証 ( 次回監査で行うこともある ) 等 [ 審査員の力量及び評価 ] 個人的資質 : 倫理的である, 心が広い, 外交的である, 観察力がある, 知覚が鋭い, 適応力がある, 粘り強い, 決断力がある, 自立的であることが望まれる 知識及び技能 : 異なる監査にそれぞれ適切な原則, 手順及び技法を適用し, 一貫性のある体系的な監査を行えるとともに, 監査対象に関する知識及び技能を備えていることが望まれる 教育, 業務経験, 監査員訓練及び監査経験 : 監査員は, それぞれの役割に応じて教育 訓連を受け, 経験を有することが望まれる 力量の維持及び向上 : 専門能力の継続的開発, 監査能力の維持が望まれる 監査員の評価 : 評価対象を定め, 評価基準を設定し, 適切な評価方法を選定し, 評価を実施する 29

(1) 審査スキーム ( 手順 ) 以外に, 認証機関が認定基準に基づいて行っていること このスライドで, 審査スキーム ( 手順 ) 以外に, 認証機関が認定基準に基づいて行っていることを示す 認証機関は, 審査登録活動を維持するために, 様々な管理を行っており, 審査登録に関する直接の管理の他, 審査員や認証機関の職員の管理も行っており, 彼らの教育管理も行っている また, 認証機関による内部監査も行っている (2) 審査員に求められるもの 審査において, 審査員の役割は大変重要である 審査員には, 審査に関する技術的なことのほか, コミュニケーション能力, 審査実行の管理能力, さらには正当性に関わる資質も求められる 認証活動において, 組織に対する審査を行っている審査員の力量が認証 認定制度を支えている 30

(1) ISO/IEC 17011:2005(JIS Q 17011:2005 適合性評価 適合性評価機関の認定を行う機関に対する一般要求事項 ) の概要 マネジメントシステムの認証 認定制度において重要な役割を果たす認定機関の内部活動を知る目的で,p.31~34 にて認定機関に対する要求事項を紹介する 序文 : 認定機関がこの規格をもとに, 相互承認協定のメンバーになることで認定の重複を避けることができること等を記述 1 適用範囲 : 適合性評価機関を審査し認定する認定機関に対する一般要求事項 2 引用規格 :ISO 9000:2000,ISO/IEC 17000:2004,VIM:1993(international vocabulary of basic and general terms in metrology, issued by BIPM, IEC, IFCC, ISO, IUPAC. IUPAP and OIML) を引用 3 定義 : 認定, 認定機関, 認定機関のロゴ, 認定証, 認定シンボル, 異議申立て, 審査, 審査員, 苦情, 適合性評価機関, コンサルタント業務, 専門家, 認定の拡大, 利害関係者, 主任審査員, 認定の縮小, 認定範囲, サーベイランス, 認定の一時停止, 認定の取消し, 立会い の各用語の定義 4 認定業務を行う法人あるいは法人の一部としての基本的なことに対する要求事項を,4.1 法的責任,4.2 組織構成,4.3 公平性,4.4 機密保持,4.5 債務及び財務,4.6 認定活動に分けて記述 5 認定機関の活動の基本となるマネジメントに対する要求事項を,5.1 一般,5.2 マネジメントシステム,5.3 文書管理,5.4 記録,5.5 不適合及び是正処置,5.6 予防処置,5.7 内部監査,5.8 マネジメントレビュー,5.9 苦情に分けて記述 31

(1) ISO/IEC 17011:2005(JIS Q 17011:2005 適合性評価 適合性評価機関の認定を行う機関に対する一般要求事項 ) の概要 ( つづき ) 6 認定機関の人的資源に対する要求事項を,6.1 認定機関に関係する要員,6.2 認定プロセスにかかわる要員,6.3 監視,6.4 要員の記録に分けて記述 7 認定プロセスに対する要求事項を,7.1 認定基準及び情報,7.2 認定の申請,7.3 資源のレビュー,7.4 審査の下請負契約,7.5 審査の準備,7.6 文書及び記録のレビュー,7.7 現地審査,7.8 所見の分析及び審査報告,7.9 意志決定及び認定の授与,7.10 異議申立て,7.11 再審査及びサーベイランス,7.12 認定の拡大,7.13 認定の一時停止, 取消し又は認定の縮小,7.14 適合性認定機関に関する記録,7.15 試験所 校正機関に対する技能試験及びその他の比較に分けて記述 32

(1) ISO/IEC 17011:2005(JIS Q 17011:2005 適合性評価 適合性評価機関の認定を行う機関に対する一般要求事項 ) の概要 ( つづき ) 8 認定機関及び認証機関等の適合性評価機関の責任に対する要求事項を,8.1 適合性評価機関の義務,8.2 認定機関の義務,8.3 認定の言及及び認定シンボルの使用に分けて記述 (2) 認定の判定 判定は, 構成を期した委員構成からなる委員会において, 審査員の報告に基づいて行われる したがって, 認定は, 認定活動に携わる審査員個人の資質や力量に大きく依存している 33

(1)ISO/IEC 17011 に基づく認定機関の管理 認定における公平性, 客観性, 一貫性という基本原則は, 適合性評価全般に通じる原則であり, 認定機関や認証機関が常にそれらの実現を目指しつつ活動を行うべき目標である 34

1) マネジメントシステム規格の増加取引先の要求, 他組織との事業競争上の対応等にて, 複数のマネジメントシステム認証取得を行う組織は, 認証登録 維持費用及び現地における審査対応の負荷が増大する マネジメントシステムの種類によっては, 同時期に複数の現地審査を行うことが可能であり, そうすることで負荷の軽減を図っている 2) ISO 9001 のセクター規格における複数の認証 認定制度本来,ISO 9001 はいかなる業種 ( 産業分野 ) にも対応可能であるが, 業界関係者のニーズ等によってセクター規格と呼ばれる,ISO 9001 に要求事項を追加した規格が独自に作成され, 種類によっては独自の認定制度を設けて実施されている すなわち, 類似した目的の下で複数の制度が存在する状態になっている 3) 認証の効果 経済性マネジメントシステム認証の意味 意義が関係者に十分に正しく理解されていること, その上で認証登録 維持の効果が把握され, 組織が認証維持に対応していることが重要である 4) 認証の信頼性 公平性 公平性, 客観性, 一貫性 は, 適合性評価活動の基本的目標であるが, 完璧な活動が事実上不可能であることから, 常に改善すべき点が現れてくる [ 注 ] 改善に向けた活動に関する一つの指針として マネジメントシステム規格認証制度の信頼性確保に向けたアクションプラン が公表されている 5) 認証 認定制度のルールに含まれていない ( 重要 ) 関係者マネジメントシステム認証には, 事実上コンサルタントの活動が大きく影響している しかしながら, コンサルタントの活動に関しては制度上, 取り扱っておらず, 認定基準において公平性の維持に関する制限が設けられているだけである 6) 上記の課題等に関する ISO の立場マネジメントシステム認証は世界的に普及しており, ビジネス上にも大きな影響を与えている 一方, 不適切な認証, 認定が行われているとの指摘や, 認証の効果や制度の効率に関する疑問が問われることがある しかしながら, 現在,ISO は自ら規制のようなことは行わず,IAF による管理を期待している 35

( 解説なし ) 36

(1) ISO 9000における定義 : 方針及び目標を定め, その目標を達成するためのシステム [ 注 ] システムとは 相互に関連する又は相互に作用する要素の集まり と定義されている (2) 基本的に認証基準 ( 規格 ) の要求事項の対象となるものであり, 体制や活動そのもの, その体制や活動を規定している文書や活動等の記録である (3) 認証基準 ( 規格 ) の要求事項に照らして, 不適合がないか確認され, 不適合が確認された場合には, 認証の一時停止等の措置が取られる 規格の要求事項に対する不適合のほかに, 組織と認証機関の間に取り交わされている契約 覚書の内容に照らして, 認証の一時停止等の措置が取られる場合がある (4) 認証機関や認定機関が, 現地審査あるいはその立会において法違反を確認していたような場合を除いて, 基本的には法的責任が問われることはない (5) コンサルタントは審査員になることができる ただし, 実際の審査の実行においては, 受審組織に対してコンサルティングをしていない等, 不公平につながるような利害関係が無いことが問われる (6) 製品に認証マークを貼ることは許されない これは, 製品認証と誤解されるおそれが強いためである 37

( 解説なし ) 38