既存構造物がある場合の基礎地盤の液状化対策案 国土交通省の 都市防災推進事業 ( 市街化液状化対策事業 ) と連動して住宅地域を囲む周辺道路 下水 ( ライフライン ) の液状化対策と協同して住宅地の液状化対策を実施する 対策工法 WG ( 加倉井 中井 秋葉 田村 畑中 ) 都市防災推進事業 ( 国土交通省 ; 市街化液状化対策事業 ) 補助対象 ( 費用に対する支援 ) : 1 液状化対策事業計画の案の作成及びコーデネートに要する費用 2 液状化対策事業計画に基づき実施される以下の補助要件を満たす事業及び付随する調査地方公共団体負担 補助要件 ( 要約 ): 1 災害復興特別区域 2 液状化対策事業計画の区域内 32 であって 敷地面積が 3000m 2 以上 かつ 家屋が 10 戸以上 宅地等所有者負担 液状化対策実施区域 42 であって 区域内の宅地の所有権及び借地権の所有者のすべての者の 3 分の 2 以上の賛成が得られている場合 5 公共施設と宅地との一体的な液状化対策が行われていると認められるもの 交付団体 : 都道府県 市町村事業実施主体 : 都道府県 市町村補助率 : 国 :1/2, 地方公共団体 :1/2 1
復旧 復興方法についての基本的な考え方 A: 今後予想される地震による地盤の液状化への対策を含む 1 被災した住宅を撤去し 地盤改良を行い 新たに耐震性の高い 共同住宅 を建造する 地盤も建物も耐震性増大 2 被災住宅を撤去し ( 一時移動 ) 地盤改良を行い 新たに個別の住宅を建造 ( 元の位置に設置 ) 地盤は耐震性増大 建物は不変 3 被災住宅の外周地盤に液状化対策を施し 沈下 傾斜を修復する 地盤は耐震性増大 建物は不変 B: 今後予想される地震による地盤の液状化への対策を含まず 1 傾斜 沈下を修復し 併せて 将来の地震による液状化の影響を修復する機構を新設する 地盤も建物も耐震性不変 修復性増大 2 傾斜 沈下を修復するのみ 地盤も建物も耐震性不変 提案概要 住宅間にせん断変形抑制壁の構築 (+ 補強 ) 2
地盤の液状化強度を増加させる工法 に関する条件の改良 基礎地盤の性質改良 応力 変形および間隙水圧 密度の増大 固 結 粒度の改良 飽和度の低下 有効応力の増大 間隙水圧の抑制 消散 間隙水圧の遮断 せん断変形の抑制 密度増大工法 固結工法 置換工法 地下水位低下工法 間隙水圧消散工法 せん断変形抑制工法 液状化発生そのものを防止する対策 5 A の 3 被災住宅の外周地盤を下水 道路の復旧と連動して液状化対策を施し 住宅の沈下 傾斜を修復 せん断変形抑制壁 3
せん断変形抑制壁の施工方法 1. 深層混合型工法 ( 壁状改良 ) TOFT 工法 パワブレンダー工法 2. シートパイル工法 振動挿入 静的圧入 液状化対策工法例深層混合工法 液状化層を囲む格子状改良壁 撹拌翼液状化対策の効用は十分であるが 住宅間では施工不可 4
TOFT 工法事例液状化による護岸の沈下 崩壊 改良地盤に立つ水門は被害なし 液状化対策工法例パワーブレンダー工法施工手順 道路からの施工は可能 住宅間では不可 5
液状化対策工法例シートパイル工法 U 形鋼矢板 ハット形鋼矢板 軽量鋼矢板の使用の検討 剛性は十分か せん断変形抑制壁の施工方法とその問題点 1. 深層混合型工法 ( 壁状改良 ) TOFT 工法施工スペースが不足 パワブレンダー工法更なる施工機械の小型化が必要 2. シートパイル工法シートパイルの挿入に伴う振動の影響シートパイルの剛性によってはせん断変形抑制機能が不十分 たとえ 上記いずれかの工法により壁が施工できたとしても 住宅を 囲む ことから 壁間の距離は大きく 地盤のせん断変形を抑制する効用については 検証する必要がある このようなせん断変形抑制壁の効用を補う方法として 地下水位低下工法あるいは不飽和化工法の活用を検討 6
地盤の液状化強度を増加させる工法 に関する条件の改良 基礎地盤の性質改良 応力 変形および間隙水圧 密度の増大 固 結 粒度の改良 飽和度の低下 有効応力の増大 間隙水圧の抑制 消散 間隙水圧の遮断 せん断変形の抑制 密度増大工法 固結工法 置換工法 地下水位低下工法 間隙水圧消散工法 せん断変形抑制工法 液状化発生そのものを防止する対策 気泡注入工法 13 水位の低下 : 飽和度をゼロにする Sr = V w /V v 100(%) 間隙 Sr: 飽和度 (%) V w : 土要素に含まれる水 ( 地下水 ) の体積 V v : 土要素に含まれる空隙の体積 間隙水 土粒子 7
地盤のせん断変形抑制壁 + 地下水位低下 ( せん断変形抑制壁の設置方法 : 深層混合型工法 シートパイル ) 既存構造物がある場合の液状化対策のイメージ 不飽和化の方法 : 気泡注入 マイクロバブル水の注入 間隙水 土粒子 気泡 気泡の圧縮 地震動 過剰間隙水圧の上昇を抑制 16 8
マイクロバブル水を用いた液状化対策工法 排水管の設置 地下水の排水 既存構造物 注水管の設置 気泡溶存水の注水 対象地盤の不飽和化 マイクロバブル水を用いた不飽和化工法の概念図 本工法の利点と適用性 本工法のメリット 既存構造物が存在する状況でも実施可能 振動 騒音が小さく 地盤変状への影響が小さい環境に優しい工法 施工の容易さ メンテナンス費用を含めた優れたコストパフォーマンス 活用法 既存構造物のあるばあいの液状化対策 港湾構造物 道路 鉄道 ライフライン等 広域の液状化対策 開発途上国の液状化対策 9
地盤せん断変形抑制壁 + 不飽和化 ( せん断変形抑制壁の設置方法 : 深層混合工法 シートパイル ) 注水 揚水 建物 液状化層 既存構造物がある場合の液状化対策のイメージ 薬液注入 ( 住宅間にせん断変形抑制壁なし ) 注入 注入 注入 建物 道路側 液状化層 既存構造物がある場合の液状化対策のイメージ 10
地盤せん断変形抑制壁 + 薬液注入 ( せん断変形抑制壁の設置方法 : 深層混合型工法 シートパイル ) 注入 注入 注入 建物 液状化層 液状化層 既存構造物がある場合の液状化対策のイメージ 検討工法の課題 (1) ーせん断変形抑制壁についてー 深層混合型工法によるせん断変形抑制壁 壁の離間距離が大きいので 変形の抑制性能は十分か 狭隘な場所 ( 住宅間 ) での施工性の向上 住宅と道路からの上下水の連結方法の検討 シートパイル工法によるせん断変形抑制壁 壁の離間距離が大きいので 変形抑制性能は十分か 道路 下水の液状化対策と異なる工法の問題点 こられの工法については 重要となる適切な離間距離について 現在実験や解析で検討が進められている 11
検討工法の課題 (2) ー不飽和化工法についてー 地下水位の低下工法 長期間の水位低下にかかるランニングコスト 敷地地盤の沈下 ( 敷地地盤に粘性土層の有無 ) 周辺地盤への沈下の影響 ( 変形抑制壁で完全囲むのであれば 問題はない ) 地盤不飽和化工法 地盤の飽和度分布の測定精度の向上 不飽和地盤の沈下特性の評価 これらの工法については 住宅周辺地盤を壁で囲むことになれば効用が増大し 周辺地盤の沈下への影響を低減できる なお 不飽和化工法については関連研究が進められている 検討工法の課題 (3) ー薬液注入工法ー 1. せん断変形抑制壁がない場合 薬液が隣地に浸透する可能性があり その場合の影響評価 薬液の浸透範囲の把握 コストの問題 2. せん断変形抑制壁がある場合 薬液浸透範囲の把握 ( 周辺地域への浸透による影響評価 ) コストの問題 12
現状ではいずれの工法についても 効用の確認とコストの試算が必要 構造物がある場合の基礎地盤の液状化対策工法の開発 ( 効用の確認 ) が喫緊の課題である なお 上記の液状化対策を踏まえた現状の沈 下 傾斜の修復も検討する必要がある 13