【論文】

Similar documents
2.H29 年度の自動運転サービス実証実験の取り組み (1) 平成 29 年度の取り組み我が国では 特に中山間地域で高齢化が著しく進展しており 日常生活における人流 物流の確保が喫緊の課題となっている 一方 道の駅 については 全国に設置された 1,117 箇所のうち約 8 割が中山間地域に設置され

平成29年度 地域指定型 実験箇所(今回選定)

1 日本再興戦略 2016 改革 2020 隊列走行の実現 隊列走行活用事業モデルの明確化ニーズの明確化 ( 実施場所 事業性等 ) 技術開発 実証 制度 事業環境検討プロジェクト工程表技高齢者等の移動手段の確保 ( ラストワンマイル自動走行 ) 事業モデルの明確化 ( 実施主体 場所 事業性等 )

【生産性革命プロジェクト】 産業界における気象情報利活用

NITAS の基本機能 1. 経路探索条件の設定 (1) 交通モードの設定 交通モードの設定 とは どのような交通手段のネットワークを用いて経路探索を行うかを設定するものです NITASの交通モードは 大きく 人流 ( 旅客移動 ) 物流( 貨物移動 ) に分かれ それぞれのネットワークを用いた経路

Microsoft Word - (新)滝川都市計画用途地域指定基準121019

スライド 1

交通結節点が備えるべき機能を整理すると 最も基本となるものとして があり これに加えて 都市機能の誘導 集積を促進させ 都市内の中心的な拠点地区を形成する 及び 都市の顔 となる 交通結節点の計画 整備の検討においては 先に示した の三種の機能がそれぞれ交通結節性 人の交流や景観等の面で役割を果たし

が実現することにより 利用希望者は認証連携でひもづけられた無料 Wi-Fi スポットについて複数回の利用登録手続が不要となり 利用者の負担軽減と利便性の向上が図られる 出典 : ICT 懇談会幹事会 ( 第 4 回 )( 平成 27(2015) 年 4 月 24 日 ) 2. 現状 日本政府観光局

目次

沖縄でのバス自動運転実証実験の実施について

資料 1 第 1 号議事 六会地区における予約型乗合タクシーの導入について 1. 実証運行までの経緯と結果 1-1. これまでの経緯六会地区の公共交通利用不便地区の解消に向けた取組については 平成 21 年度に交通不便地区解消検討事業が地域まちづくり事業として決定し 地域が主体となり 市と新たな交通

スライド 1

指定標準 適用区域 建ぺい率 容積率 建築物の高さの最高限度 m 用途地域の変更に あたり導入を検討 すべき事項 ( 注 2) 1. 環境良好な一般的な低層住宅地として将来ともその環境を保護すべき区域 2. 農地等が多く 道路等の都市基盤が未整備な区域及び良好な樹林地等の保全を図る区域 3. 地区計

1 はじめに

報道発表資料(新宿駅屋内地図オープンデータ)

1 見出し1

(1) 当該団体が法人格を有しているか 又は法人格のない任意の団体のうち次の1~2の要件を全て満たすもの 1 代表者の定めがあること 2 団体としての意思決定の方法 事務処理及び会計処理の方法 並びに責任者等を明確にした規約その他の規定が定められていること (2) 関係市町村との協議体制を構築してい

1 見出し1

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

73,800 円 / m2 幹線道路背後の住宅地域 については 77,600 円 / m2 という結論を得たものであり 幹線道路背後の住宅地域 の土地価格が 幹線道路沿線の商業地域 の土地価格よりも高いという内容であった 既述のとおり 土地価格の算定は 近傍類似の一般の取引事例をもとに算定しているこ

計画書

(5) 老上西学区 1 まちづくりの方向性 1-1. 生活拠点の形成と交通環境の充実 既存の生活拠点を中心とした 50 戸連坦制度の厳守等により市街地の拡散を抑制するこ とで 利便性の高い生活環境を維持していくものとします 老上西学区は 東側から南側にかけての一帯が市街化区域に含まれ ( 主 ) 大

長岡市立地適正化計画概要版目次 1. 立地適正化計画制度の概要... 1 (1) 立地適正化計画策定の背景と目的... 1 (2) 立地適正化計画制度... 1 (3) 立地適正化計画の位置付け... 2 (4) 計画の対象区域... 2 (5) 計画期間 長岡市の現状と将来見通し.

1 見出し1

第 2 章横断面の構成 2-1 総則 道路の横断面の基本的な考え方 必要とされる交通機能や空間機能に応じて, 構成要素の組合せ と 総幅員 総幅員 双方の観点から検討 必要とされる道路の機能の設定 通行機能 交通機能アクセス機能 滞留機能 環境空間 防災空間 空間機能 収容空間 市街地形成 横断面構

1 基本的な整備内容 道路標識 専用通行帯 (327 の 4) の設置 ( 架空標識の場合の例 ) 自 転 車 ピクトグラム ( 自転車マーク等 ) の設置 始点部および中間部 道路標示 専用通行帯 (109 の 6) の設置 ( 過度な表示は行わない ) 専 用 道路標示 車両通行帯 (109)

2. 各学区のまちづくりの方向性と将来ビジョン 第 3 章で整理した各学区の現状 課題等を踏まえ 学区ごとにまちづくりの方向性 ( 基本方針の 3 つの柱の何に該当するのか ) を整理します 方向性を踏まえ 施策の柱ごとに具体的なビジョンを検討します (1) 常盤学区 1 まちづくりの方向性 1-1

施設までの距離は 地区中心付近からのおおよその距離 大原台 回答者の年齢構成 3 5 主な (2 箇所の行き先 ) 10% 1 70% 主な行き先 フレスタ沼田店 ( 約 0.7km) ビッグハウス沼田店 ( 約 1km) 買物目的 :7 :1 : 最寄り駅 大原 ( 約 0.7km) 駅 :88

県産材の需要拡大の推進について(枠組み)

- -

<91E682548FCD5F8AEE967B8D5C917A2E786477>

北海道ドライブ観光促進社会実験 実施結果 1 例N 3を表示凡アプリ利用者の属性 実験期間中 1,211 人の外国人観光客が北海道内でアプリ Drive Hokkaido! を利用 ( 実験期間中の全道の外国人レンタカー貸渡台数 19,543 台の約 6% に相当 ) 国 地域別では香港 シンガポー

1. 実現を目指すサービスのイメージ 高齢者や障害者 ベビーカー利用者など 誰もがストレス無く自由に活動できるユニバーサル社会の構築のため あらゆる人々が自由にかつ自立的に移動できる環境の整備が必要 ICT を活用した歩行者移動支援サービスでは 個人の身体状況やニーズに応じて移動を支援する様々な情報

Microsoft Word 交通渋滞(有明アーバン)_181017

TRY TRY TRY TRY TRY 5

<4D F736F F D20964C895992AC926E88E68CF68BA48CF092CA918D8D C678C7689E6>

数値目標 事業開始前 ( 現時点 ) 平成 28 年度 (1 年目 ) 平成 29 年度 (2 年目 ) 平成 30 年度 (3 年目 ) 港湾取扱貨物量 556 万トン 4 万トン 0 万トン 20 万トン 観光入込客数 2,899.4 万人回 -9.5 万人回 1.9 万人回 1.9 万人回 7

ニュースレター「SEI WORLD」2016年6月号

計画的な再開発が必要な市街地 特に一体的かつ総合的に再開発を促進すべき地区 市町名 名称 再開発の目標 土地の合理的かつ健全な高度利用及び都市機能の更新に関する方針 特に整備課題の集中がみられる地域 ( 課題地域 ) 地区名 西宮市 C-4 浜脇 ( 約 175ha) 居住環境の向上 良好な都市景観

PowerPoint プレゼンテーション

国土技術政策総合研究所 プロジェクト研究報告

姫路市及びたつの市における連携中枢都市圏形成に係る連携協約 姫路市 ( 以下 甲 という ) 及びたつの市 ( 以下 乙 という ) は 連携中枢都市圏構想推進要綱 ( 平成 26 年 8 月 25 日付け総行市第 200 号総務省自治行政局長通知 ) に基づく連携中枢都市圏である播磨圏域 ( 以下

PowerPoint プレゼンテーション

経営理念 宇宙と空を活かし 安全で豊かな社会を実現します 私たちは 先導的な技術開発を行い 幅広い英知と共に生み出した成果を 人類社会に展開します 宇宙航空研究開発を通して社会への新たな価値提供のために JAXAは 2003年10月の発足以来 宇宙航空分野の基礎研究から開発 利用に至るまで一貫して行

地域公共交通確保維持改善事業 事業評価 ( 生活交通ネットワーク計画に基づく事業 ) ( 別紙 1) 資料 3 平成 23 年度 平成 24 年 4 月 23 日 協議会 構成員 上田市公共交通活性化協議会 上田市 上田バス 千曲バス 事業名 補助対象事業者等 事業概要 1 事業実施の適切性 2 目

Microsoft Word - 概要版.doc

<819A819A94928E E738C7689E F E6169>

総合交通計画 ( 仮称 ) の策定について 背景 人口減少と超高齢化が同時に進行する中 自動車を使えない県民の移動手段を確保しなければ 経済活動の低迷 人口の流出 財政支出の増加などの問題が深刻化し 持続可能なまちづくりが困難になる恐れがある 平成 年度に実施したパーソントリップ調査の結

Microsoft PowerPoint - 潟上市地域公共交通網形成計画(最終)

国土技術政策総合研究所 研究資料

スライド 1

<4D F736F F D20345F8E9197BF345F A835E838A F92B28DB88C8B89CA E646F63>

<4D F736F F D208A9D96EC8E CB491BA926E88E68CF68BA48CF092CA918D8D C678C7689E62E646F63>

PowerPoint プレゼンテーション

コンパクトシティ構想 2つの柱 ( 郊外の開発抑制 + 中心市街地の活性化 ) まちなか住み替え事業 や 家賃補助制度 を行っているが 借りたい人はいるが 貸したい人がいない という状況 コンパクトシティという構想だけでは 民間資本は動かない (= 補助金などのインセンティブが必要 ) 中心市街地活

スマートICの事業費の基準について

<第1回> 帯広市都市計画審議会 第二次 都市計画マスタープラン検討                   専門部会

資料 -2 国道 24 号烏丸通 歩行者 自転車通行安全協議会 国道 24 号烏丸通の概要 平成 30 年 3 月 国土交通省近畿地方整備局京都国道事務所

Microsoft Word _MICE_Q&A(最終案)

大谷周辺地区 及び 役場周辺地区 地区計画について 木原市街地 国道 125 号バイパス 役場周辺地区 (43.7ha) 美駒市街地 大谷周辺地区 (11.8ha) 地区計画の概要 地区計画とは住民の身近な生活空間である地区や街区を対象とする都市計画で, 道路や公園などの公共施設の配置や, 建築物の

計画の目的 多様化する生活交通ニーズへの対応 効率的 効果的な生活交通サービスの構築 山陽小野田市では 生活交通バス路線維持 通学児童定期補助 福祉タクシー券の発行等 上記の施策が行われており 生活交通の確保を図っている 行政負担 サービスの地域間格差 交通活性化計画 生活交通の現状と問題点の把握

都市再生整備計画の目標及び計画期間 都道府県名 茨城県 市町村名 坂東市 ( 旧猿島町 ) 地区名 猿島地区 面積 800 ha 計画期間 平成 16 年度 ~ 平成 20 年度 交付期間 平成 16 年度 ~ 平成 20 年度 目標 地域資源を活用した交流人口の拡大と良好な居住環境を形成するまちづ


(第14回協議会100630)

筑豊広域都市計画用途地域の変更 ( 鞍手町決定 ) 都市計画用途地域を次のように変更する 種類 第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域第二種中高層住居専用地域 面積 約 45ha 約 29ha 建築物の容積率 8/10 以下 8/10 以下 建築物の建蔽率 5/10

の復旧状況に関する長期的な見通しを可能な限り明らかにしながら 復旧の段階に 応じた役割の分析を行う 5) 交通事業者ヒアリング調査沿線地域に関係する交通事業者 ( 鉄道事業者 2 社 バス事業者 2 社 タクシー事業者 2 社その他 ) に聞き取り調査を行い 定性的な利用特性や地域の公共交通の問題点

<4D F736F F F696E74202D208F E7382C982A882AF82E98CF68BA48CF092CA90AD8DF482CC8EE C982C282A282C42E B8CDD8AB7838

速度規制の目的と現状 警察庁交通局 1

1-(1) 中部電力 ( 株 ) 大日本印刷 ( 株 ) と共同で 歩道上の路上変圧器を活用した情報発信の実証実験を実施 ~1/24 国交省実証実験の対象地域に選定 ~ 1 国交省実証実験の対象地域に選定 先週木曜日(1/24) 国土交通省から 無電柱化に伴う一般国道の歩道上に設置されている電力設備

NITAS Ver.2.4 システムの概要 利用上の注意等 1.NITAS の概要 動作環境 利用対象者 (1)NITAS の概要総合交通分析システム (NITAS:National Integrated Transport Analysis System) は 道路 鉄道 航空 船舶の各交通機関を

Microsoft Word - ★都市マス案(最終案) docx

<8ED089EF8E91967B90AE94F5918D8D878CF095748BE0955D89BF88CF88F589EF2E786477>

<4D F736F F D B836792B28DB8955B817A8DC58F498C8892E8>

STAMP/STPA を用いた 自動運転システムのリスク分析 - 高速道路での合流 - 堀雅年 * 伊藤信行 梶克彦 * 内藤克浩 * 水野忠則 * 中條直也 * * 愛知工業大学 三菱電機エンジニアリング 1

福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律 について <1. 特定復興再生拠点区域の復興及び再生を推進するための計画制度の創設 > 従来 帰還困難区域は 将来にわたって居住を制限することを原則とした区域 として設定 平成 29 年 5 月復興庁 地元からの要望や与党からの提言を踏まえ 1 帰還困難区

1 趣旨このガイドラインは 日本国内の公道 ( 道路交通法 ( 昭和 35 年法律第 105 号 ) 第 2 条第 1 項第 1 号に規定する 道路 をいう 以下同じ ) において 自動走行システム ( 加速 操舵 制動のうち複数の操作を一度に行い 又はその全てを行うシステムをいう 以下同じ ) を

4. 都市機能誘導区域 4.1 都市機能誘導区域設定の基本的な考え方 (1) 都市機能誘導区域とは医療 福祉 商業等の都市機能を都市の中心拠点や生活拠点に誘導し集約することにより これらの各種サービスの効率的な提供を図る区域のことです 原則として 居住誘導区域内において設定します これらの都市機能は

構成 1 第 1 章 IoT 時代の新たな地域資源 1. IoT 時代の新たな地域資源とその可能性 2. 新たな地域資源の活用に向けた基本的視点 第 2 章地域におけるオープンデータ ビッグデータ利活用の推進 1. 地域におけるオープンデータ利活用の現状と課題 2. 地域におけるビッグデータ利活用の

北部大阪都市計画彩都地区計画 ( 案 ) 北部大阪都市計画彩都地区計画を 次のとおり変更する 1. 地区計画の方針 名称彩都地区計画 位 置 茨木市大字粟生岩阪 大字宿久庄 大字清水 大字佐保 大字泉原 大字千提寺 大字大岩 大字福井 大字大門寺 大字生保 大字安威 山手台一丁目 山手台三丁目 山手

Microsoft Word _表紙.doc

PowerPoint プレゼンテーション

21m 車両の検証項目 ダブル連結トラック実験 高速道路 3 交通流への影響 4 道路構造への影響 合流部 : 本線 合流部 : ランプ 追越時 車線変更部 検証項目 分析視点 データ等 1 省人化 同一量輸送時のドライバー数 乗務記録表 環境負荷 同一量輸送時のCO2 排出量 2 走行 カーブ (

県民を対象とした需要喚起方策の検討検討方針県民を対象とした需要喚起方策の検討では 今年度調査の主なターゲットのうち 都心部への自動車流入抑制 を対象とする まずは 都心部への自動車流入抑制に関する最新事例の整理を行う それを参考に 沖縄本島を対象としたケーススタディを行い 需要喚起効果及び課題を整理

図 1 平成 19 年首都圏地価分布 出所 ) 東急不動産株式会社作成 1963 年以来 毎年定期的に 1 月現在の地価調査を同社が行い その結果をまとめているもの 2

<836F F815B2E786264>

01_表紙

PowerPoint プレゼンテーション

untitled

2-2 需要予測モデルの全体構造交通需要予測の方法としては,1950 年代より四段階推定法が開発され, 広く実務的に適用されてきた 四段階推定法とは, 以下の4つの手順によって交通需要を予測する方法である 四段階推定法将来人口を出発点に, 1 発生集中交通量 ( 交通が, どこで発生し, どこへ集中

資料 2 主要渋滞箇所 ( 案 ) の抽出方針について ( 一般道 ) 平成 24 年 8 月 9 日

自動運転サービス実証実験主な検証項目 ( みやま市の実証実験の例 ) 技術面 項目 走行空間の確保 運行管理システム 主な検証内容 中山間地域の特性を活かした走行空間の確保方策 専用の走行空間確保( 交通量が少なく他の道路で代替可能な区間 ) 自動運転車の走行路の路上明示等 運行管理センターの設置

コンパクト プラス ネットワークの形成 1

平成 26 年度公共事業事後評価調書 1. 事業説明シート (1) ( 区分 ) 国補 県単 事業名道路事業 [ 国道橋りょう改築事業 ( 国補 )] 事業箇所南巨摩郡身延町波高島 ~ 下山地区名国道 300 号 ( 波高島バイパス ) 事業主体山梨県 (1) 事業着手年度 H12 年度 (2) 事

地域経済分析システム () の表示内容 ヒートマップでは 表示する種類を指定する で選択している取引価格 ( 取引面積 mあたり ) が高い地域ほど濃い色で表示されます 全国を表示する を選択すると 日本全国の地図が表示されます 都道府県単位で表示する を選択すると 指定地域 で選択している都道府県

[ 概要版 ] 倉吉都市計画 マスタープラン素案 鳥取県倉吉市

( おさらい ) 自動運転とは レベルレベル1 レベル2 レベル3 レベル4 定義 加速 操舵 制動のいずれかの操作をシステムが行う 加速 操舵 制動のうち複数の操作を一度にシステムが行う ( 自動運転中であっても 運転責任はドライバーにある ) 加速 操舵 制動をすべてシステムが行い システムが要


本章では 衝突被害軽減ブレーキ 車線逸脱警報 装置 等の自動車に備えられている運転支援装置の特性 Ⅻ. 運転支援装置を 備えるトラックの 適切な運転方法 と使い方を理解した運転の重要性について整理しています 指導においては 装置を過信し 事故に至るケースがあることを理解させましょう また 運転支援装

第 7 回大阪市人口移動要因調査報告書 平成 27 年 3 月 大阪市都市計画局

Transcription:

北海道の生産空間を支える冬期自動運転技術の活用可能性について ~ 道の駅 コスモール大樹 を拠点とした自動運転サービス実証実験の検証より ~ 1. はじめに 川村達也 *1 北海道の 生産空間 は 我が国の食糧供給基地や観 光拠点の役割を担う一方 低密度な散居型の地域構造及 び人口減少 高齢化等の課題を有しており 効果的で持 続可能な 新たな道路交通施策 が求められている このような中 国土交通省では平成 29 年度から 中 山間地域における道の駅等を拠点とした自動運転サービ ス実証実験 に取り組んでおり この実証実験の公募に より選定された北海道広尾郡大樹町の実証実験検証結果 と冬期自動運転技術の活用可能性について報告する 北海道における人口減少は全国平均より 1 年早く進 むとされている ( 図 -1) 北海道の食糧供給基地や観光拠点となる 生産空間 は散居型の地域構造をなしているため人口減少の影響を 受けやすく 公共交通や物流の維持が困難な状況に陥る 可能性が極めて高い 上記の課題を有する 生産空間 を維持していくため に 自動運転技術の採用や 道の駅 を活用した新たな 道路交通施策のあり方について研究開発が進められ 生産空間 居住者からも地域の生活と産業を維持する 効果的かつ持続可能な道路交通施策の投入が強く求めら れている 札幌市 帯広市 更別村中札内村 大樹町 ( 実証実験地域 ) 生産空間 地方部の市街地 圏域中心都市 図 -2 北海道の 生産空間 の定義と分布状況出典 : 総務省 平成 22 年度国政調査 国土交通省 国土数値情報 ( 土地利用 3 次メッシュ ) 第 2,3 版 を基に北海道局作成 図 -1 全国と北海道の人口及び高齢化の推移 出典 : 総務省 国勢調査 人口推計 道路交通施策に関しては 昨今 BRT やデマンドバス 等の公共交通システム 貨客混載等物流施策 自動運転 等の最先端技術を採用した取り組みが進んでおり それ らの交通結節点として 道の駅 の活用が注目されてい ることから 自動運転技術や道の駅等の活用を含む 新 たな道路交通施策 を実装し 生産空間 に定住可能 な道路交通環境を確保することが重要となる 2. 平成 29 年度自動運転サービス実証実験の取り組み 2.1 自動運転サービス実証実験の目的 我が国では 特に中山間地域で高齢化が著しく進展し ており 日常生活における人流 物流の確保が喫緊の課 題となっている 一方 全国 1,145 箇所 (H3.4.25 時点 ) に設置された 道の駅 のうち 約 8 割が中山間地域に設置され 診 療所や行政窓口などの生活に必要なサービス機能 路線 バスや高速バス等の交通拠点機能も有している 国土交通省では 道の駅 など地域の拠点を核とし て自動運転技術を活用し 1 買い物や通院など高齢者の生活の足の確保 2 宅配便や農産品の集荷などの物流の確保 3 観光への活用や新たな働く場の創出 *1 国土交通省北海道開発局帯広開発建設部道路計画課

など 地域生活を維持し 地方創生を果たしていくため の路車連携の移動システムを構築することを目指し 平 成 29 年度より全国各地域で実証実験を実施している 3. 大樹町の概要 3.1 大樹町が有する地域課題大樹町は 北海道十勝地域南部に位置し 畜産 畑作 漁業を主たる産業とした 生産空間 を有し 一大食糧基地として我が国に貢献している また 約 3 年前から 宇宙のまちづくり を進め 民間企業によるロケット開発が展開されているほか 実験施設に隣接した宇宙交流センター ( 写真 -1) が新たな観光拠点となっている さらに 建築家の隈研吾氏プロデュースによる実験住宅施設 メムメドウズ ( 写真 - 2) が立地し 研究開発拠点としても注目されている 図 -3 自動運転サービス実証実験の取組み方針 2.2 実証実験地域の選定自動運転サービス実証実験は 平成 29 年 4 月に地域指定型として 5 箇所が先行して示されると同時に ビジネスモデルの検討を行うための実験地域の公募が行われ 既存の地域の特色ある取組みとの連携でビジネスモデルの高い実現性が期待できる箇所として 大樹町 道の駅コスモール大樹 を含む 8 か所が選定された 図 -4 公募型実証実験箇所選定 人口 ( 人 ) 写真 -1 大樹町宇宙交流 1, 8, 6, 4, 2, センター SORA 大樹町 中札内村 更別村 写真 -2 実験住宅施設 メムメドウズ 一方 大樹町では 道の駅周辺の 市街地 を除く 生産空間 において専業 大規模営農が進み それゆ えに低密度な 散居型 の地域構造を呈している これにより 生産空間 に住む住民は 日用品の買物 学校への通学 かかりつけ病院への通院等は大樹町内の 市街地 までの移動が必要となる また 圏域中心都市 である帯広市に大きく依存し ている買回り品の買い物や大きな病院への通院はマイカ ーを運転した長距離移動を余儀なくされている 帯広市までの移動距離が約 6 kmとなる大樹町は 帯 広市に比較的近い中札内村 ( 約 3 km ) や更別村 ( 約 35 km ) と比較して人口減少が顕著 ( 図 -6) であり 大樹町 に住み続けることの難しさが裏付けられた形となってい ることから 生産空間 から 市街地 や 圏域中心 都市 へ誰もが移動しやすい生活の足を確保することが この地域に住み続け さらには農水産品の生産を継続し ていく上で解消すべき課題となっている 図 -5 平成 29 年度自動運転実証実験箇所 S55 S6 H2 H7 H12 H17 H22 H27 図 -6 十勝地域南部 (3 町村 ) の人口推移

3.2 大樹町における自動運転サービス実装の意義 生産空間 と 市街地 間の移動に自動運転サービスを導入し 道の駅 の交通結節点機能を活かして帯広市への路線バスと円滑に接続することで 町民へのきめ細かい交通サービスの提供を持続的に行うことが可能になると考えられる また 帯広市から町内各地への円滑な交通を確保することにより 宇宙交流センター等への観光客の誘客 研究開発施設への技術者やビジネスパーソンの来訪が容易となり 観光や地場産業の発展 ひいては地域の活性化につながっていくものと考えられる さらに 道の駅 コスモール大樹 では チーズ等の畜産加工品や水産品 地元生産者の加工品 ( 写真 -3) など多数の特産品が販売されており 自動運転サービスによる人の移動だけではなく 町内各地から 道の駅 への物流手段としても活用することで 効率的な輸送や売り上げ拡大につながり 交通サービスを維持する収入源にもなり 大樹町の農水産業の発展にも寄与するものと考えられる このように 人口減少に苦しむ大樹町で自動運転サービスの実装に向けた実証実験を行うことで 同様の問題を抱える地域のモデルになるものと考えられる 4.2 実証実験本実証実験は 平成 29 年 12 月 11 日 ( 月 )~16 日 ( 土 ) の 6 日間で道の駅 コスモール大樹 を拠点とした循環ルートを前述の自動運転車両を使用し レベル 2 による走行を 5 日間 レベル 4 による走行を専用区間を設けて 1 日実施した レベル2: ドライバーが運転席に乗車した状態でハン (5 日間 ) ドルに手を添えた状態で加速 操舵 制御を実施レベル4: 専用区間を設け ドライバーが運転席に乗 (1 日間 ) 車しない状態で走行 ( 加速 操舵 制御を全てシステムが自動で実施 ) 4.3 走行ルート走行ルートは 生活する上で必要な施設 拠点を結び 1 周 4~5 分程度で走行するルート (1 周約 7.6km) を設定した ルート上には 高齢者が多い地区や住宅が集積する地区にバス停留所を設定しており 町民が利用しやすい間隔 (5m 程度 ) で配置した なお 実験車両は 予め設定した時刻表をもとに定時運行を行い 町民 ( 乗客モニター ) が希望する便に 任意の停留所で乗降できるようにした 写真 -3 道の駅 コスモール大樹 で販売されている 地元洋菓子店 ( ハ ティスリーナオヤヒロセ ) の加工品 4. 大樹町における平成 29 年度の実証実験概要 4.1 実験車両平成 29 年度の実証実験では 先進モビリティ株式会社が開発する自動運転バス実験車両を使用した この車両は 地図情報や GPS レーザーライダー等から収集した情報に基づいて走行するものであり 加速 操舵 制御を全てシステムが自動で運転するレベル 4 ( 高度自動運転化 ) での走行が可能な車両で 定員は 2 人 走行速度は 35km/h( 最大 4km/h) となっている 図 -8 自動運転実証実験走行ルート 4.4 実証実験のねらい本実証実験では 散居型の地域構造をなす 生産空間 において 道の駅 コスモール大樹 を拠点とした 市街地 や 圏域中心都市 への人流 物流の確保 来訪客のスムーズな移動の確保 農水産業の輸送効率化を目的とした自動運転サービスの社会実装に向け 道路 交通 地域環境 コスト 社会受容性 地域への効果等の内容について検証を行うこととし 次の3つのねらいを設定し実施することとした 図 -7 自動運転バス実験車両概要

ねらい1: 高齢者等の外出 生活の足の確保広域路線バスとの乗り継ぎが容易となる走行ルート ダイヤを設定して自動運転バスを運行し 利用者の満足度や外出機会の増加等の効果を検証する ねらい 3: 宇宙のまちづくりを促す実験 自動運転バスを活用して観光周遊の実験を行い 観光 客の満足度や消費拡大等の地域への効果を検証する N 他市町村 5m 5m 道の駅コスモール大樹 N 帯広 55 5m 5m 道の駅で広域路線バスの乗り継ぎ利便性確保 道の駅コスモール大樹 55 帯広へ日帰り移動できる乗換環境を構築 生涯学習センター 福祉センター 役場 51 展示品 大樹町で打ち上げたロケットの実機及び説明パネル JAXA( 宇宙航空研究開発機構 ) 関連の大型気球模型 実験の映像紹介等 51 病院 図 -11 宇宙のまちづくりを促す観光 の実験設定 図 -9 高齢者等の外出 生活の足の確保 の実験設定 ねらい 2: 生産拠点 道の駅 町外間のモノの輸送 自動運転バスを活用して農産品や加工品を配送し 住 民の満足度 ( 生活利便性の向上 ) や 輸送の効率化 販 路の拡大効果等を検証する コスモール大樹の商品を住民に配送 販売 生産物出荷場 ( アイスクリーム ) N 5m 5m 道の駅コスモール大樹 地元の食材を使った加工品等を自動運転で道の駅まで配送 51 地元の農産品を自動運転で道の駅まで配送 生産物出荷場 ( かぼちゃ ) 生産物出荷場 ( お菓子 ) 地元の食材を使った加工品等を自動運転で道の駅まで配送 近隣の道の駅 55 近隣の道の駅の物産を道の駅コスモール大樹等で販売 かぼちゃ ( 尾田地区 ) 4.5 自動運転バスの運行スケジュールとダイヤ設定運行は 通院 買物等の生活行動や帯広市 ~ 大樹町間を結ぶ都市間バスの乗継を考慮し 9:~16: の間で運行することとした 曜日別ダイヤは道の駅発着を基本とし 高齢世帯が多く市街地から遠い地区 ( 柏木町 日方団地 ) の利便性を考慮した便 (12/11 12/12 の 13 時台 ) 福祉センターで開催される いきいき健康クラブ の利用を考慮した便 (12/13 の 9 時台 11 時台 ) 道の駅での広域路線バスとの接続を考慮した便 (12/15 の 9 時台と 15 時台 ) 観光のビジネスモデルを検討するため 町外からのモニターに乗車してもらう便 (12/16 の 9 時台 11 時台 ) を設定した また ルート沿線の農産品や加工品 都市間輸送と接続した貨客混載の実験を行う便 (12/11 の 13 時台 12/12 の 13 時台 12/15 の 15 時台 ) も設定した 実証実験運行スケジュール ( 案 ) 運行 走行レベル 本数 6 時 7 時 8 時 9 時 1 時 11 時 12 時 13 時 14 時 15 時 16 時 17 時 18 時 日数 1 日 5 日 A: レベル2 3~4 便 広域移動者向け 広域移動者向け 通院 買物者向け 広域移動者向け 通院 買物者向け 通院 買物者向け 通院 買物者向け B: レベル4 1 日 1 日 3 便 ( ドライバーなし ) 都市間バスダイヤ 運行運行会社 本数 6 時 7 時 8 時 9 時 1 時 11 時 12 時 13 時 14 時 15 時 16 時 17 時 18 時 頻度 ~ アイスクリーム ( カウベルアイス日方地区 ) 図 -1 モノの輸送 の実験設定 洋菓子 ( ハ ティスリーナオヤヒロセ ) 毎日 毎日 十勝バス ( 都市間バス ) 大樹発帯広行 1 日 14 便帯広発大樹着 1 日 14 便 図 -12 運行スケジュールの設定

12/11( 月 ) 12/12( 火 ) 12/13( 水 ) 12/14( 木 ) 12/15( 金 ) 12/16( 土 ) 8: 実験準備実験準備実験準備実験準備実験準備 9: 1: 11: 9:3 道の駅発 9:3 道の駅発 8:45 1:16 道の駅着 1:16 道の駅着福祉センター発 1:25 十勝バス発 1:25 十勝バス発 11: 道の駅発 11: 道の駅発 11:4 福祉センター発 図 -13 曜日別ダイヤの設定 4.6 乗客 ( モニター ) の募集 本実証実験期間中に自動運転バスに乗車していただく 乗客 ( モニター ) について 以下のような期間 要件 周知方法により募集した 実験準備 1: レヘ ル 4 8:45 道の駅発 9:3 貸切バス発 〇乗客 ( モニター ) の募集期間平成 29 年 12 月 4 日 ( 月 )~14 日 ( 木 ) 〇募集要件 ( 次の 1~5 をすべて満たす方 ) 1 原則 大樹町にお住まいの方 2 自動運転に興味のある方 3 実証実験参加同意書へご署名いただける方 4 アンケート調査にご協力いただける方 ( 小学生以上の方 ) 5 自動運転車両に乗車している際の様子が撮影され 国土交通省の HP 等で公開されることに承諾いただける方 募集人数はバス運行 1 回当たり約 1 名と設定 ( 申込先着順 ) 〇周知方法地元説明会 新聞折込チラシ ( 北海道新聞 十勝毎日新聞社の 2 社 ) 道の駅留め置きチラシ 大樹町役場ホームページ 防災行政無線等を通じて募集 図 -14 乗客 ( モニター ) の募集概要 9:3 道の駅発 < 観光客 > 11: レヘ ル4 11: 道の駅発 11:3 道の駅発 < 観光客 > 12: 日報とりまとめ 13: 14: 15: 13: 役場発 ( 柏木町地区 ) 野菜配送 ( 役場 ) 15:9 十勝バス着 15:15 道の駅発 13: 日方団地発洋菓子配送 ( 大樹本町 ) 15:9 十勝バス着 15:15 道の駅発 13:3 道の駅発アイス配送 ( 川南団地 ) 日報とりまとめ 14: レヘ ル 4 日報とりまとめ 13:3 道の駅発都足市寄間パ輸ン送 15:9 貸切バス着 15:15 道の駅発足寄ハ ン輸送 ( 戸別配送 ) 16: 日報とりまとめ日報とりまとめ日報とりまとめ 道の駅発着便貨客混載便福祉 観光便レベル 4 4.7 主な検証項目 本実証実験の検証項目は 1 道路 交通 2 地域環境 3 コスト 4 社会受容性 5 地域への効果の 5 つを設定 し 自動運転バスの走行データ アンケート調査 ヒア リング調査等を用いて 設定したねらいに応じた検証を 進めるとともに 積雪寒冷な北海道特有の道路管理水準 のあり方や ビジネスモデルとしての採算性 有効性の 検証を行った 項目 1 道路 交通 2 地域環境 実験において検証する内容 相互に円滑な通行のための道路構造の要件 自動運転に必要となる道路の管理水準 後続車の追い越しを考慮した幅員 除排雪や凍結防止剤の散布等 停留所の設置 路肩駐停車車両 冬期 ( 積雪時 ) における磁気マーカによる自己位置特定性能 GPS との精度差 3 コスト 磁気マーカの整備 維持管理コスト等 車両の維持管理コスト 4 社会受容性 5 地域への効果ビジネスモデルの検討を含む 表 -1 本実証実験の検証項目 自動運転技術への信頼性 乗り心地 円滑な地域内物流の支援 生産拠点から道の駅への加工品の配送実験 道の駅から住宅への商品等の配送実験 高齢者の外出機会の増加 役場への行政手続き 国保病院への通院 道の駅への買い物での利用 広域路線バスへの乗り継ぎ 運営主体のあり方 自治体や交通事業者等の役割分担 採算性確保の方策 将来の利用ニーズ ( 支払意思額 求めるサービスレベル等 ) 地元の食材を使った加工品の出荷機会の拡大可能性 将来の地域の協力体制 ( 企業支援等 ) 他事業との連携 実験参加者の将来参入ニーズ ( 広域路線バス ) 新たな連携先 ( 農業 観光業等 ) のニーズ 5. 冬期の道路交通環境における自動運転技術の検証 本実証実験では実験車両に搭載したドライブレコーダ ーと調査員 ( 常時同乗 ) によるドライバーマニュアル操 作介入状況調査や走行記録に基づく自己位置特定機能の 分析を実施した これらの調査 分析結果をもとに 自動運転サービス を導入するために必要となる道路構造や道路管理に関す る検証結果を報告する 5.1 マニュアル操作介入の発生状況 1 一般道路上の雪堤からの落ちこぼれ 自動運転走行ルート上の路肩の雪堤から落ちこぼれた 雪によりマニュアル操作介入した事象が単路部で 2 回発 生した 自動運転走行ルートでは雪堤の落ちこぼれを考慮した 自動運転車両の走行空間を確保する検討が必要である 後方カメラ映像 1 日目 9 時 34 分 走行軌跡 道路上の落雪箇所 図 -15 乗客 ( モニター ) の募集に用いたチラシ 単路部 図 -16 落ちこぼれによるマニュアル操作介入

2 施設敷地内における堆雪 大樹町役場敷地内において 自動運転走行ルート上の 除雪幅が車両幅よりも狭くなっていたため マニュアル 操作介入により回避した事象が 1 回発生した このため 施設敷地内においても冬期の走行に支障の ない走行空間の確保が求められる 後方カメラ映像 1 日目 1 時 12 分 除雪済みのライン 走行軌跡 雪が走行を妨げている範囲 除雪が必要なライン 図 -17 敷地内の堆雪を回避するマニュアル操作介入 1 [%] GPS で測位された車両位置 (σ 8[cm]) 磁気マーカを用いた走行時における車両位置 (σ 7[cm]) N=143 磁気マーカ上を通過した数 [m] 図 -19 積雪地の道路における磁気マーカの誤差 3 敷地内におけるマス外駐車車両大樹町役場と大樹町立国民健康保険病院の敷地内において 積雪により駐車マスの区画線が見えないこと等により 所定の駐車マスに駐車していない車両が多く マニュアル操作介入で回避する事象が計 14 回発生した このため 施設敷地内の駐車場では除雪対策とともに コーン設置等による自動運転走行ルートの確保が必要と考えられる 6. 社会実装に向けた今後の取組について本実証実験の検証により 冬期の自動運転技術活用には 道路のみならず施設敷地内での除雪対応や運行経費に影響するマニュアル操作介入を減少させるために走行区間を専用空間化させるなどの工夫が必要である また 今後の社会実装に向けては地域の実情に応じた継続可能な運営体制の構築が必要であることから 今後は長期の実証実験による採算性やビジネスモデルの検証を行うことが重要であると考える 7. おわりに 我が国の食糧基地や観光拠点の役割を担う北海道の 生産空間 には大樹町と同様に人口減少に歯止めがか からない自治体が多数存在する 3 回 2 回 1 回 4 凡例イベント発生箇所走行ルート駐車マス 凡例イベント発生箇所走行ルート駐車マス 3 1 回 1 1 回 今回の大樹町の実証実験による取り組みが他地域での活動の参考となり 生産空間 を維持するためのひとつの手段となれば幸いである 2 回 4 回 2 大樹町役場敷地内大樹町立国民健康保険病院 図 -18 施設敷地内駐車車両の回避発生状況 5.2 冬期における磁気マーカによる自己位置特定機能積雪路面での走行安全性を検証するため 磁気マーカを設置し 走行記録から走行車両中心軌跡の平均値と磁気マーカを通過する際の車両中心推定値および RTK-GPS ( 高精度 GPS) による車両中心推定値との位置差 ( 横偏差 ) を比較した この結果 ばらつきの差がほとんどなく冬期積雪路面においても磁気マーカを使用した自己位置特定機能は有効と考えられる 謝辞最後に この取り組みに多大なるご協力をいただいている 北見工業大学 北海道大学 室蘭工業大学をはじめ道の駅 コスモール大樹 を拠点とした自動運転サービス地域実験協議会の皆様及び大樹町民の皆様に感謝の意を表する