第 24 章 地域ごとの特徴 第24章 地域ごとの特徴 1 インドネシアの地域分類 インドネシアは 地理的にはスマトラ ジャワ カリマンタン スラウェシ ニューギニアの 5 つの大きな島と 小スンダ マルクの両諸島から構成される インドネシアの国土面積は約 191 万 日本の約 5 倍 であるが 面積では国土の 7 の広さしかないジャワに同国人口全体の 61 が集中して住んでいる 一方 マルク パプア カリマンタンはそれぞれ総面積の 26 29 を 占めるが 人口ではそれぞれ 3 7 程度に留まるなど 地域における人口密度の稠密の差が非 常に大きい 図表 24-1 インドネシアは行政的に ①州 特別州を含め 34 ある ②県 市 ③郡 区 村 の 3 段 階に分かれる 特別州として ジャワ島のジャカルタ首都特別州とジョグジャカルタ特別州の 2 つが定められている 図表 24-2 図表 24-1 インドネシアの地域分類 カリマンタン スラウェシ パプア スマトラ マルク ジャワ 小スンダ 面積 2 全国 215年推計 1,km 1,911 人口 構成比 1万人 1 237.6 人口密度 2 構成比 人 km 1 124 スマトラ 481 25.2% 55.3 23.3% 115 ジャワ 小スンダ カリマンタン 129 73 544 6.8% 3.8% 28.5% 145.1 14.1 15.3 61.1% 5.9% 6.5% 1,121 193 28 スラウェシ 189 9.9% 18.7 7.9% 99 マルク パプア 495 25.9% 6.9 2.9% 14 注 カリマンタン島 ニューギニア島については インドネシア領のみの数字 出所 インドネシア統計局ウェブサイト 各種資料より作成 183
インドネシアの投資環境 図表 24-2 インドネシアの州 特別州一覧 地域 州 州都 スマトラ アチェ Aceh バンダ アチェ 北スマトラ Sumatera Utara メダン 西スマトラ Sumatera Barat パダン リアウ Riau プカンバル ジャンビ Jambi ジャンビ 南スマトラ Sumatera Selatan パレンバン ブンクル Bengkulu ブンクル ランプン Lampung バンダルランプン バンカ ブリトゥン Kep. Bangka Belitung パンカルピナン リアウ諸島 Kepulauan Riau タンジュンピナン ジャワ ジャカルタ首都特別州 DKI Jakarta ジャカルタ 西ジャワ Jawa Barat バンドン 中部ジャワ Jawa Tengah スマラン ジョグジャカルタ特別州 DI Yogyakarta ジョグジャカルタ 東ジャワ Jawa Timur スラバヤ バンテン Banten セラン 小スンダ バリ Bali デンパサール 西ヌサ トゥンガラ Nusa Tenggara Barat マタラム 東ヌサ トゥンガラ Nusa Tenggara Timur クーパン カリマンタン 西カリマンタン Kalimantan Barat ポンチアナック 中部カリマンタン Kalimantan Tengah パランカラヤ 南カリマンタン Kalimantan Selatan バンジャルマシン 東カリマンタン Kalimantan Timur サマリンダ 北カリマンタン Kalimantan Utara タンジュンセロル スラウェシ 北スラウェシ Sulawesi Utara マナド 中部スラウェシ Sulawesi Tengah パル 南スラウェシ Sulawesi Selatan マカッサル 南東スラウェシ Sulawesi Tenggara ケンダリ ゴロンタロ Gorontalo ゴロンタロ 西スラウェシ Sulawesi Barat マムジュ マルク マルク Maluku アンボン 北マルク Maluku Utara テルナテ パプア 西パプア Papua Barat マノクワリ パプア Papua ジャヤプラ ( 出所 ) 各種資料より作成 2. 地域別の経済動向 (1) 地域別にみた GDP の構成比 215 年の名目 GDP を地域別にみると 地域毎の構成比はジャワが 58.3% スマトラが 22.2% カリマンタンが 8.1% スラウェシが 5.9% 小スンダが 3.1% マルク パプアが 2.4% となり 経済規模についてはジャワが突出して高いことが分かる また この地域毎の構成比は 21 年と比べほとんど変化がない 更に 図表 24-3 は地域毎 産業毎の名目 GDP 構成比をマトリックスに表したものである これをみると インドネシアの名目 GDP 中 ジャワの 第 3 次産業 ( インドネシア名目 GDP に占 184
第 24 章 地域ごとの特徴 める構成比 29.2 ジャワ スマトラ カリマンタンの 製造業 それぞれ同 16.8 4.5 1.4 スマトラとカリマンタンの 鉱業 それぞれ同 3.3 2.5 ジャワとスマトラの 第 一次産業 それぞれ同 4.8 4.9 の存在感が高いことが分かる 図表 24-3 地域別にみた名目 GDP の産業別構成比 全国=1 全国 全体 1 スマトラ 22.2% 小スンダ カリマン タン 58.3% 3.1% 8.1% 5.9% 2.4% ジャワ スラ ウェシ マルク パプア 第1次産業 13.3% 4.9% 4.8%.6% 1.1% 1.5%.4% 第2次産業 42.8% 1 24.3%.6% 4.7% 1.9% 1.1% 8.1% 3.3% 1.1% 2.5%.5%.6% 製造業 23.7% 4.5% 16.8% 1.4%.7% 公益業.4%.4% 建設業 1.5% 2.4% 6.1%.8%.7% 第3次産業 44.% 7.2% 29.2% 1.8% 2.4% 2.5%.9% 卸売 小売業 13.7% 2.7% 9.1%.7%.7% 運輸 通信業 4.4%.9% 2.5%.4% ホテル 飲食業 3.4% 2.5%.4% 情報 通信業 3.8%.5% 2.7% 金融業 3.9%.5% 2.9% 不動産業 2.9%.6% 1.9% ビジネスサービス業 1.6% 1.5% 公共サービス業 4.%.8% 2.%.4% 教育サービス業 3.4%.4% 2.2% 医療 社会福祉活動 1.1%.6% その他サービス業 1.6% 1.3% 鉱業 注 インドネシア全国の GDP に占める比率が 1.2 を上回っている産業 地域を黄色.5 下回っている産 業 地域は青色でシャドーしている 出所 国家統計局より作成 185
インドネシアの投資環境 図表 24-4 地域別にみた名目 GDP の産業別構成比 全国スマトラジャワ小スンダカリマンタン スラウェシ マルク パプア 全体 1 1 1 1 1 1 1 第 1 次産業 13.3% 21.9% 8.3% 19.8% 13.% 25.7% 15.2% 第 2 次産業 42.8% 45.7% 41.6% 2.9% 57.9% 32.1% 44.7% 鉱業 8.1% 14.7% 1.8% 6.9% 3.9% 8.5% 23.6% 製造業 23.7% 2 28.8% 4.6% 17.7% 11.% 8.9% 公益業.4%.6% 建設業 1.5% 1.8% 1.4% 9.1% 9.2% 12.4% 12.% 第 3 次産業 44.% 32.3% 5 59.3% 29.1% 42.1% 4 卸売 小売業 13.7% 12.2% 15.6% 1 8.2% 11.9% 9.6% 運輸 通信業 4.4% 4.% 4.3% 8.% 4.5% 5.% 4.7% ホテル 飲食業 3.4% 1.5% 4.3% 12.1% 1.4% 1.2%.9% 情報 通信業 3.8% 2.2% 4.6% 4.6% 1.9% 3.8% 3.2% 金融業 3.9% 2.3% 5.% 3.8% 2.4% 3.1% 2.% 不動産業 2.9% 2.5% 3.3% 3.5% 1.6% 3.1% 1.8% ビジネスサービス業 1.6%.4% 2.5%.6%.8% 公共サービス業 4.% 3.7% 3.4% 7.% 4.2% 5.9% 12.% 教育サービス業 3.4% 2.% 3.9% 5.8% 2.8% 4.5% 2.7% 医療 社会福祉活動 1.1%.8% 1.% 2.% 1.1% 2.% 1.5% その他サービス業 1.6%.7% 2.2% 1.8%.8% 1.3%.9% ( 注 ) 全国の構成比 ( 左列 ) に対し 1.2 倍以上であれば黄色.8 倍以下であれば青色でシャドーしている ( 出所 ) 国家統計局より作成 1% 9% 8% 7% 44% 32% 5% 59% 29% 42% 4% 6% 5% 4% 3% 43% 46% 42% 21% 58% 32% 45% 2% 1% % 13% 全国 22% スマトラ 8% ジャワ 2% 小スンダ 第 1 次産業第 2 次産業第 3 次産業 13% カリマンタン 26% スラウェシ 15% マルク パプア ( 注 ) 全国の構成比 ( 左列 ) に対し 1.2 倍以上であれば黄色.8 倍以下であれば青色でシャドーしている ( 出所 ) 国家統計局より作成地域別の産業構造の特徴 186
第 24 章地域ごとの特徴 スマトラ(215 年名目 GDP 構成比 :22.2%) スマトラの特徴は 第 2 次産業 の構成比が 45.7% と全国平均 (42.8%) とほぼ同水準であるが 第 1 次産業 の構成比が (21.9%) 全国平均 (13.3%) よりも高いことである スマトラではゴム タバコ 茶などの大規模農業が行われているため 第 1 次産業 の構成比が高くなっている 第 2 次産業では特に 鉱業 の構成比が 14.7% と全国平均 (8.1%) より高いことが特徴と言える これは 同地域では 石油 ガスなど天然資源が豊富なためである ジャワ( 同 :58.3%) ジャワの特徴は 第 3 次産業 の構成比 (5) が全国平均 (44.%) よりも比較的高いことにある また 個別分野では ホテル 飲食業 が 4.3%( 全国平均 :3.4%) 情報 通信業 が 4.6%( 同 :3.8%) 金融業 が 5.%( 同 :3.9%) ビジネスサービス業 が 2.5%( 同 :1.6%) と全国平均に比較してそれぞれ高くなっている 尚 ジャワの 第 2 次産業 の構成比 (41.6%) は全国平均 (42.8%) を下回るが 製造業 の構成比は 28.8% と全国平均 (23.7%) を上回っている ジャカルタ首都圏を中心に人口が集中し様々なサービスのニーズがあることに加え 西ジャワ州を中心に製造業が集積していることなどがこれらの数値に反映されていると言えよう 小スンダ( 同 :3.1%) 小スンダの特徴は 第 3 次産業 の構成比 (59.3%) が全国平均 (44.%) を上回っていること共に 第 1 次産業の構成比 (19.8%) も全国平均 (13.3%) を上回っていることである これは ホテル 飲食業 の構成比(12.1%) が高いことにも示されるように バリ島などの観光産業が地域経済を経済を牽引していることが窺える また 第 1 次産業の構成比が高いことは 島によっては水耕農作が盛んであることが反映されていると考えられる カリマンタン( 同 :8.1%) カリマンタン島の特徴は 第 2 次産業 の構成比 (57.9%) が全国平均 (42.8%) を大幅に上回っていることである その要因として 金や鉄などの鉱物資源や石油 ガスなどの天然資源が豊富であり 鉱業が発展していることがその要因と考えられる スラウェシ ( 同 :5.9%) スラウェシの特徴は 第 1 次産業 の構成比 (25.7%) が全国平均 (13.3%) を大幅に上回っ ていることである その要因として漁業や農業が盛んなことが考えられる マルク パプア ( 同 :2.4%) マルク パプアの特徴は 鉱業 の構成比が 23.6% と全国平均 (8.1%) を大幅に上回ってい 187
インドネシアの投資環境 ることである これは カリマンタンと異なり石油 ガスなどの天然資源の開発は盛んではない ものの 同地域では金など貴金属を含む鉱業が発達しており この動きが数値に反映されている と考えられる (2) 地域別の実質 GDP 成長率の推移と特徴図表 24-5 では 211 年から 215 年までの地域別実質 GDP 成長率の推移を表している (21 年基準 ) 全体的な傾向として スラウェシの成長率が相対的に高いことが分かる また ジャワ島は人口が多く内需の堅調な伸びを受け 毎年 5~6% の安定した経済成長を続けている 最近では バリ島を含む小スンダ列島の成長 (216 年 1 増 ) が加速する一方 鉱物資源価格の落ち込みからカリマンタン島では成長率が 1% 台 (216 年 1.3%) に落ち込み 第 1 次産品 ( パーム油 ゴム ) への依存度が大きいスマトラ島でも成長が減速 (216 年 3.5%) しており 地域毎の経済成長に格差が見られる 188
第 24 章地域ごとの特徴 図表 24-5 地域別実質 GDP 成長率の推移 全国 スマトラ ジャワ 11 12 13 14 15 6.1% 6.1% 7.2% 5.2% 5.% 6.1% 5.7% 11.7% 4.6% 3.5% 6.3% 6.3% 6.% 5.6% 5.5% ジャカルタ首都特別州 6.7% 6.5% 6.1% 5.9% 5.9% 東ジャワ州 6.4% 6.6% 6.1% 5.9% 5.4% 西ジャワ州 6.5% 6.5% 6.3% 5.1% 5.% 中部ジャワ州 5.3% 5.3% 5.1% 5.3% 5.4% その他 4.7% 4.2% 5.% 5.5% 5.7% 小スンダ カリマンタン スラウェシ マルク パプア ( 暦年 ) 2.9% 4.% 6.% 5.9% 1 6.5% 5.7% 3.9% 3.3% 1.3% 8.5% 9.% 7.7% 6.9% 8.2% -.6% 3.2% 7.7% 4.6% 6.6% ( 注 1)21 年基準 ( 注 2) 各年の成長率が 全国 を上回っている場合 濃くマークしている ( 出所 ) 国家統計局資料より作成 3. 地域別の労働人口と所得水準 215 年のインドネシアの人口は 2 億 5,546 万人である 世界第 4 位の人口を擁し ASEAN1 ヵ国合計人口の約 4 割を占める人口大国である 国連の中位推計によると インドネシアの人口がピークに達するのは 25 年 (2 億 9,346 万人 ) である これは インドネシアは タイやベトナムなど周辺諸国と比べて人口ボーナス 6 期間が長く 労働人口 (15 歳以上 6 歳未満の人口 ) が 235 年まで安定的に増加し続ける見込みであるためである 地域別の人口をみると ジャワの人口が最多で 1 億 4,514 万人であり インドネシア全体の 57% を占める 次いでスマトラの 5,527 万人 (22%) スラウェシの 1,872 万人 (7%) が続く ( 図表 24-6, 24-7) インドネシアの一人当たり GDP は 3,272 ドルであり ジャワ地域の一人あたり GDP も 3,391 ドルであるが ジャカルタの一人当たり GDP は 14,123 ドルと既に中進国の水準に達している 一方 小スンダの一人当たり GDP は 1,831 ドルと全国平均の半分程度の水準に留まっている このように インドネシアでは都市と地方の所得格差が大きいことが分かる ( 図表 24-7) 6 総人口に占める生産年齢人口の割合が高く 豊富な労働力により経済成長に有利となる状態 189
インドネシアの投資環境 図表 24-6 インドネシアの地域別人口 カリマンタン, 1,557 スラウェシ, 1,872 マルク パプア, 687 ジャカルタ, 1,18 西ジャワ, 4,671 小スンダ, 1,411 総人口 2.55 億人 (215 年 ) ジャワ, 14,514 スマトラ, 5,527 中部ジャワ, 3,377 その他, 1,563 東ジャワ, 3,885 ( 注 )215 年の地域別人口 ( 万人 ) と比率 ( 出所 ) 国家統計局資料より作成 図表 24-7 地域別 1 人あたり GDP(215 年 ) 全国 スマトラ ( 万人 ) ( 構成比 ) ドル建全国 =1 25,546 1 3,272 1 5,527 21.6% 3,393 14 ジャワ 14,514 56.8% 3,391 14 ジャカルタ 1,18 4.% 14,123 432 西ジャワ州 4,671 18.3% 2,366 72 中部ジャワ州 3,377 13.2% 2,176 67 東ジャワ州 3,885 15.2% 3,153 96 その他 1,563 6.1% 2,686 82 小スンダ カリマンタン スラウェシ マルク パプア 人口 1 人あたり GDP( 年間 ) 1,411 5.5% 1,831 56 1,557 6.1% 4,418 135 1,872 7.3% 2,67 82 687 2.7% 2,912 89 ( 注 ) ドル建て一人あたり GDP は 名目 GDP を 1 ドル =13,798 ルピア (215 年末 ) で換算している ( 出所 ) 国家統計局資料より作成 19
第 24 章地域ごとの特徴 図表 24-8 地域別人口と労働力 (215 年時点 ) スマトラ 15 歳以上労働力総人口人口 ( 構成比 ) 雇用中 ( 注 ) 15 歳以上人口は 雇用者数と就業率から計算 ( 出所 ) 国家統計局資料より作成 単位 : 万人 5,527 N.A. 2,559 2.9% 2,391 N.A. N.A. アチェ 5 344 218 1.8% 197 126 9.93% 北スマトラ 1,394 95 639 5.2% 596 311 6.71% 西スマトラ 52 363 235 1.9% 218 129 6.89% リアウ 634 438 277 2.3% 255 161 7.83% ジャンビ 34 245 162 1.3% 155 83 4.34% 南スマトラ 85 574 393 3.2% 37 181 6.7% ブンクル 187 135 95.8% 9 39 4.91% ランプン 812 584 383 3.1% 364 21 5.14% バンカ ブリトゥン 137 1 67.5% 62 33 6.29% リアウ諸島 197 137 89.7% 84 48 N.A. ジャワ 14,514 N.A. 7,56 57.7% 6,64 N.A. N.A. ジャカルタ首都特別州 1,18 767 59 4.2% 472 258 6.2% 西ジャワ 4,671 3,412 2,59 16.8% 1,879 1,353 7.23% 中部ジャワ 3,377 2,549 1,73 14.1% 1,644 819 8.72% ジョグジャカルタ特別州 368 49 28 2.3% 189 129 4.99% 東ジャワ 3,885 2,93 1,988 16.2% 1,937 942 4.7% バンテン 1,196 788 491 4.% 483 298 4.47% 小スンダ 1,411 N.A. 694 5.7% 667 N.A. N.A. バリ 415 314 237 1.9% 232 77 N.A. 西ヌサ トゥンガラ 484 339 226 1.8% 213 113 5.69% 東ヌサ トゥンガラ 512 333 231 1.9% 222 12 3.83% カリマンタン 1,557 N.A. 744 6.1% 73 N.A. N.A. 西カリマンタン 479 338 236 1.9% 224 13 5.15% 中部カリマンタン 274 179 127 1.% 121 52 4.54% 南カリマンタン 397 285 199 1.6% 189 86 4.92% 東カリマンタン 247 154 1.3% 142 93 7.5% 47 北カリマンタン 45 28 27 16 5.68% スラウェシ 非労働力 失業率 1,872 N.A. 846 6.9% 798 N.A. N.A. 北スラウェシ 241 179 11.9% 1 69 9.3% 中部スラウェシ 288 25 138 1.1% 133 67 4.1% 南スラウェシ 852 68 371 3.% 349 238 5.95% 南東スラウェシ 25 167 114.9% 17 53 5.55% ゴロンタロ 113 81 52.4% 49 3 4.65% 西スラウェシ 128 88 62.5% 6 N.A. 3.35% マルク パプア 687 N.A. N.A. N.A. N.A. N.A. マルク 169 113 73.6% 66 4 9.93% 北マルク 116 77 51.4% 48 26 6.5% 西パプア 87 N.A. N.A. N.A. N.A. 8.8% 25 パプア 315 N.A. N.A. N.A. N.A. 3.99% 図表 24-8 を基に 人口が集中するジャワ ( 総人口 1 億 4,514 万人 ) についてさらに州別にみると 西ジャワ州の人口は 4,671 万人 ( ジャワの 32%) 東ジャワ州の人口は 3,885 万人 ( 同 27%) 中部ジャワ州の人口は 3,377 万人 ( 同 23%) であることが分かる また 労働力は 西ジャワ (2,59 万人 ) 東ジャワ(1,988 万人 ) 中部ジャワ(1,73 万人 ) に集中しており これらの州を中心に豊富な労働力が存在することが分かる インドネシアに進出する日系企業の多くは 製造業ならば主に西ジャワに サービス業ならば主にジャカルタ首都特別州に拠点を構えるケースが多いが これらの地域に企業進出が集中する理由の一つとして 上述のように豊富な労働人口が存在することが挙げられよう 現状では これらの地域では ワーカーの確保は問題なくできるようである インドネシアの失業率は 215 年時点で 6.18% と やや落ち着いてきている 地域別にみると 191
インドネシアの投資環境 アチェ州 (9.9%) やマルク州 ( 同 ) など ジャワ島外の周縁地域の失業率が高いことが分かる 以前はジャカルタ首都特別州 ( 失業率 6.2%) や西ジャワ州 ( 同 7.23%) など都市人口の多い州で失業率が 1% を超え全国を上回っていたものの 都市部の産業発展が加速した結果 首都圏の失業率は全国平均並みへと低下している インドネシア経済の中心地は GDP 構成比からも明らかなように ジャワ島のジャカルタである 215 年の GDP 統計によると ジャカルタ首都特別州の一人あたり GDP は全国平均の 4.3 倍となり 越境通勤者の存在を考慮しても突出した値となっている 同じジャワでも 中部ジャワ州は全国平均の 3 分の 2 の水準にとどまり 地域間格差は大きい また ジャワ以外では カリマンタンは同 1.4 倍の一方で 小スンダは 6 割弱の水準である カリマンタンの一人あたり GDP がジャワよりも高い理由として 付加価値の高い資源産業が集積すると同時に 人口が少ないためと考えられる 4. 賃金水準 JETRO の アジア オセアニア進出日系企業実態調査 (216 年 1~11 月実施 ) によると 職種別の月額給与は図表 24-9 の通りである ジャカルタの場合 製造業の一般ワーカー ( 実務経験 3 年程度 ) の賃金 ( 月額 ) は 約 43 万ルピア ( 約 3 万 3, 円 ) 中堅技術者で約 614 万ルピア ( 約 5 万円 ) であった 一般ワーカーの月額賃金は 21 年 (168 万ルピア 約 1 万 4, 円 )) からの 6 年で 2.4 倍となっており 物価を考慮しても大きな上昇である 同調査によれば 216 年度のインドネシアの前年比昇給率は 1 と 調査対象 19 ヵ国 地域の中ではパキスタン (1.8%) ミャンマー(1) に次いで高い 217 年度は 8.8% へと低下が見込まれているが それでも同 5 位と他国に比べると昇給率は高い 更に製造業になると他国よりも昇給率は高なっており 216 年度のインドネシアの昇給率は 1.9% と調査対象中 2 番目に 217 年度は 9.4% と 4 番目に高い伸びとなっている 図表 24-9 職種別にみた給与水準 (215 年 : ジャカルタ ルピア / 月 ) 職種 月額 (1, ルピア ) 備考 製造業ワーカー ( 一般工職 ) 4,32 実務経験 3 年程度の作業員の場合 エンジニア ( 中堅技術者 ) 6,138 専門学校 / 大卒以上 かつ実務経験 5 年程度のエンジニアの場合 中間管理職 ( 課長クラス ) 13,479 大卒以上 かつ実務経験 1 年程度のマネジャーの場合 非製造業スタッフ ( 一般職 ) 6,78 実務経験 3 年程度のスタッフの場合 マネージャー ( 課長クラス ) 15,395 大卒以上 かつ実務経験 1 年程度のマネージャーの場合 ( 注 1) 正規雇用 基本給 ( 注 2) 為替レートは 1 円 =116.88 ルピア (217/2/28) ( 出所 )JETRO アジア オセアニア進出日系企業実態調査 (216 年 1~11 月実施 ) より抜粋して作成 192
第 24 章地域ごとの特徴 217 年の全国の平均最低賃金 ( 月額 ) は 平均 28 万ルピア ( 約 1 万 8, 円 ) に定められた 州別の他 県単位で別途定められているケースもあるが 州別での最高額はジャカルタ首都特別州 (336 万ルピア 約 2 万 9, 円 )) であり 続いてパプア州 (266 万ルピア 約 2 万 3, 円 ) であり その後北スラウェシ州 (26 万ルピア 約 2 万 2, 円 ) バンカ ブリトゥン州(253 万ルピア ( 約 2 万 2, 円 )) が続く 平均最低賃金が最も低い州はジョグジャカルタ特別州の 134 万ルピア ( 約 1 万 2, 円 ) であり 最も高いジャカルタとの格差は 2.5 倍に上る 最低賃金は毎年見直され 州知事によって決定される ( 通常は 1 月 1 日から引き上げ ) 日系企業が多い西ジャワ州全体の最低賃金は 142 万ルピア ( 約 1 万 2, 円 ) と低水準ながら 工業団地が集積するカラワン県 ブカシ県においては県 市単位での最低賃金が別途定められており 両県は 35 万ルピア超 ( 約 3 万円 ) とジャカルタを上回る水準に設定されている点 留意が必要である 図表 24-1 最低月額賃金 ( ルピア / 月 )(217 年 ) パプア 266 西パプア 242 北マルク 198 マルク 193 東ヌサ トゥンガラ 153 西ヌサ トゥンガラ 163 バリ 196 西スラウェシ 22 ゴロンタロ 23 北スラウェシ 26 南東スラウェシ 2 中部スラウェシ 181 南スラウェシ 25 北カリマンタン 235 東カリマンタン 234 南カリマンタン 226 中部カリマンタン 222 西カリマンタン 188 バンテン 193 東ジャワ 139 ジョグジャカルタ 134 中部ジャワ 137 カラワン県 ( 西ジャワ ) 361 ブカシ県 ( 西ジャワ ) 353 西ジャワ 142 ジャカルタ 336 リアウ諸島 236 バンカ ブリトゥン 253 ランプン 191 ブンクル 173 南スマトラ 239 ジャンビ 26 リアウ 227 西スマトラ 195 北スマトラ 196 アチェ 25 全国平均 28 5 1 15 2 25 3 35 4 ( 万ルピア ) ( 出所 ) 国家統計局資料より作成 193
インドネシアの投資環境 5. 外国投資が多い地域と工業団地分布図表 24-11 は BKPM による地域別の外国直接投資を実行ベースで示したものである これによると外国直接投資金額に関しては 211 年までジャワのジャカルタ首都特別州が首位であったが 首都圏西部での工業団地開発と外資製造業進出に伴い 212 年以降は西ジャワ州が外国直接投資金額では最大となった また ジャワ島は依然として最大の投資先であり 216 年時点でも外国直接投資全体の 52% を占めた 他方 スマトラ島への外国直接投資も目立つようになってきている スマトラ島への外国直接投資は 21 年には全体の 5% を占めるにすぎなかったものの 216 年には外国直接投資全体の 2 割を占めるに至っている 次に日系企業拠点の所在分布をみると ジャカルタ首都圏を含めたジャワ島西部が圧倒的であることが分かる 図表 24-12 では大使館 総領事館の管轄地域別に集計したものだが 1,81 に上る拠点のうち 1,55 はジャカルタ所在の日本大使館の管轄区域内である 特に金融 不動産といったサービス業は 9 割超が同区域内に集積している 他方 製造業については一定の地理的分散も見られる バタム島を擁する在メダン総領事館の管内に 32 拠点が存在する他 東ジャワ州を中心とする在スラバヤ総領事館管内にも 74 拠点が存在する バリ島を中心とする在デンパサール総領事館管内では 旅行業を中心としたサービス業が全体の半分以上を占めている 工業団地の分布については 特にジャカルタ東部 ( 西ジャワ州 ) のジャカルタ チカンベック高速道路沿いに多数立地しているのが特徴である また シンガポールに近いバタム島にも多数の工業団地が集積している 尚 近年では最低賃金が低い中部ジャワ州や東ジャワ州でも工業団地開発が進んでおり 軽工業を中心に移転 拡張の動きもみられるようになった ( 図表 24-13) 図表 24-11 地域ごとの外国直接投資金額推移 ( 実行ベース ) (1 万ドル ) 35, 3, 25, 2, 15, 1, 5, 1 11 12 13 14 15 16 マルク パプアスラウェシカリマンタン小スンダジャワーその他ジャワー中部ジャワジャワー西ジャワジャワー東ジャワジャワージャカルタスマトラ ( 暦年 ) ( 出所 ) 投資調整庁資料より作成 194
第 24 章地域ごとの特徴 図表 24-12 地域別にみた日系進出企業の業種の内訳 (216 年 1 月時点 ) 全地域 大使館 ( ジャカルタ ) 在メダン総領事館 在スラバヤ総領事館 在マカッサル領事事務所 在デンパサール総領事館 全業種 1,81 1,55 4 161 14 45 農業, 林業 8 7-1 - - 漁業 14 8-2 - 4 鉱業, 採石業 5 3-1 - 1 建設業 112 11 5 4-2 製造業 938 827 32 74 3 2 電気 ガス 熱供給 水道業 9 8 1 - - - 情報通信業 49 46 - - - 3 運輸業, 郵便業 87 78-9 - - 卸売業 小売業 212 22-9 1 - 金融業 保険業 43 4-3 - - 不動産業, 物品賃貸業 31 3 - - - 1 学術研究, 専門 技術サービス業 65 58 1 4 1 1 宿泊業, 飲食サービス業 19 9-6 1 3 生活関連サービス業, 娯楽業 16 13 1 1-1 教育, 学習支援業 1 - - 1 - - 医療, 福祉 7 7 - - - - 複合サービス事業 3 2 - - - 1 サービス業 ( 他に分類されないもの ) 13 72-4 1 26 公務 ( 他に分類されるものを除く ) 6 6 - - - - 分類不能の産業 2 - - 2 - - 区分不明 8 33-4 7 - 大使館 ( ジャカルタ ) 在メダン総領事館 在スラバヤ総領事館 在マカッサル領事事務所 在デンパサール総領事館 ( 出所 ) 外務省 海外在留邦人数調査統計 (216 年 1 月 1 日時点 ) より作成 195
インドネシアの投資環境 図表 24-13 インドネシア国内の工業団地分布図 スマトラ バタム島 ビンタン島 Medan Industrial Estate Batamindo Industrial Park (BATAMINDO) Kabil Industrial Estate Taiwan International Park Pulahan Seruai Industrial Estate Bintang Industrial Park Kara Primanusa Tunas Industrial Estate Medan Star Industrial Estate Cammo Industrial Park Latrade Industrial Park West Point Maritime Industrial Park Dumai Industrial Estate Citra Buana Industrial Park Malindo Cipta Perkasa Industrial Park Wirajaja Industrial Park Padang Industrial Park Executive Industrial Park Panbil Industrial Estate Hijrah Industrial Estate Puri Industrial Park 2 Indah Industrial Park Sarana Industrial Point ジャカルタ首都特別州 西ジャワ州 東ジャワ州 Jakarta Industrial Estate Pulogadung MM21 Industrial Town Ngoro Industrial Park Kawasan Bonded Zone(Cakung) Karawang International Industrial City (KIIC) Gresik Industrial Estate Kawasan Bonded Zone (Tanjung Priok) Suryacipta City of Industry Surabaya Industrial Estate Rungkut (SIER) Kawasan Bonded Zone(Marunda) Greenland International Industrial Center (GIIC) Pasuruan Industrial Estate Rembang (PIER) Cilandak Commercial Estate East Jakarta Industrial Park (EJIP) Sidoarjo Industrial Estate Berbek (SIEB) Bukit Indah Industrial Park Maspion Industrial Estate Kota Bukit Indah Industrial City バンテン州 Modern Cikande Industrial Estate Krakatau Industrial Estate - Cilegon Bekasi International Industrial Estate(BIIE) 中部ジャワ州 Millennium Industrial Estate Cibinong Center Industrial Estate Kendal Industrial Park Modern Cikande Industrial Estate Gobel Industrial Estate Candi Industrial Estate Soewarna Integrated Business Park Jababeka Industrial Estate Cikarang Cilacap Industrial Estate Lippo Cikarang Industrial Park Terboyo Industrial Estate Patria Manunggal Java Industrial Estate Tanjung Emas Export Processing Zone Marunda Center Guna Mekar Industrial Estate Kujang Industrial Estate Wijayakusuma Industrial Estate Mitra Karawangjaya Industrial Estate Taman Industri BSB City Cibinong Centre Industrial Estate Lik Bugangan Baru Semarang ( 出所 ) 白地図および日本アセアンセンター資料より作成 196
第 24 章 地域ごとの特徴 参考 地域別気候 インドネシアは熱帯性気候で 一年を通して非常に暑く雨が多いが 図表 24-14 の通り地域に より違いがある 例えばジャカルタやスラバヤは 平均気温が 28 度前後で一定し 12 4 月ごろ の雨量が多い 一方 北スマトラ州は標高が高く 一年を通してやや涼しいといった特徴がある 図表 24-14 地域別の気温と降水量 mm mm 35 35 3 3 25 25 25 2 2 2 15 15 1 1 5 5 ジャカルタ 45 スラバヤ 東ジャワ州 4 最高気温 4 35 最高気温 最低気温 35 3 最低気温 3 25 2 15 15 1 1 5 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 1月 11月 メダン 北スマトラ州 mm 45 4 12月 最高気温 35 5 1月 2月 3月 4月 mm 4 9 35 8 3 5月 6月 7月 8月 9月 1月 11月 アンボン マルク 12月 35 3 最高気温 7 25 3 最低気温 25 25 6 最低気温 5 2 2 2 4 15 15 15 3 1 1 1 2 5 5 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 1月 11月 ビアク ニューギニア mm 12月 1月 3 5 1 2月 3月 4月 5月 6月 mm 35 7月 8月 9月 1月 11月 東京 25 12月 35 最高気温 3 3 25 2 25 25 2 15 最低気温 2 2 15 15 1 15 最高気温 1 1 1 5 5 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 1月 11月 12月 5 最低気温 5 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 1月 11月 12月 注 ジャカルタ以外のインドネシアの都市は 1961 199 年の 3 年間の月平均 東京は 1981 21 年の 3 年間の平均 ジャカルタは気温が 1994 1999 年の平均 降水量は 193 196 年の 31 年間の平均 出所 世界気象機関 World Meteorological Organization: WMO データより作成 197