臨床評価とは何か ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構医療機器審査第一部方眞美

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中小医療機関における輸血 療法委員会の設置に向けて 長崎県合同輸血療法委員会平成 31 年 1 月 16 日

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臨床評価とは何か ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構医療機器審査第一部方眞美

本日の Agenda 1. 臨床評価とは 2. 医療機器の特性を踏まえた有効性 安全性評価 3. 各国の規制の違い 4. 臨床評価報告書について 5. 臨床評価報告書の概念 6. 臨床研究と治験の違いは? 7. 文献評価の問題点 8. 治験活性化にむけて

臨床評価 とは そのものの有効性と安全性をヒトで評価すること 自己認証の欧州から出てきた概念 ヒトで使用する機器である以上 ヒトにおける有効性と安全性を評価するのは当然 臨床評価は必須 文献評価 使用実績 不具合報告 マーケティング 臨床試験

医療機器の特性を踏まえた有効性及び安全性評価とは 設計検証試験 非臨床試験 病態モデルがない 適切な試験系とは 臨床試験 機器として意図された性能を有している 安全性 機器自体が担保すべき安全性については各国に大きな差異はなく国際基準化が進んでいる 基本的な安全性の担保 : 生物学的安全性 電気学的安全性 機械的安全性 放射線に対する安全性など 品質の担保 : 耐久性試験 安定性試験など 有効性 ( 性能 :performance) 基本的性能 : 性能を裏付ける試験 使用方法を裏付ける試験 効能 効果を裏付ける試験など 有効性 (efficacy) 検証すべき あるいは確認すべきは機器の性能か 介入治療の効果か 動物からひとへの外挿可能性は? 確立された非臨床試験系は 感覚器は動物で評価不可

医療機器の有用性を評価するうえで考慮すべきこと どのような評 価が適切なの かは様々で常 に悩ましい 道具としての機能 機 機器の基本性能 器 介入治療の有用性 正しく上手な使い方 医 療 機 器 の 有 用 性 検 証 す べ き 内 容 エ ビ デ ン ス 検証 すべ き内 容 エ ビ デ ン ス

医療機器規制の我が国と欧米の比較 国際分類 クラスⅠ クラスⅡ クラスⅢ クラスⅣ (GHTF) メス ヒ ンセット等 MRI 内視鏡等 透析器 人工骨等 心臓ヘ ースメーカー等 分類一般医療機器管理医療機器高度管理医療機器 米国 承認等不要 国による承認 2 日本 承認等不要 第三者認証 1 国による承認 欧州 承認等不要 第三者認証 3 1 クラス Ⅱ 品目のうち 厚生労働大臣が基準を定めて指定した 指定管理医療機器 が第三者認証の対象 基準の定められていないクラス Ⅱ 品目は クラス Ⅲ クラス Ⅳ と同様に国による承認が必要 2 米国においてはクラス分類の考え方は 本格的には導入されていないが おおむねクラス Ⅰ に該当するものは承認等不要にした上で それ以外のものについては 基本的に国による承認 米国での法律上の定義では 新医療機器等未だ十分な安全性 有効性についての知見がないもの及び生命に直結するものは承認 それ以外のものは事前届出 なお 米国の事前届出制度は 市販前に提出されたデータを FDA( 米国食品医薬品庁 ) が審査するものであり 実際上我が国の承認審査と同様である 3 培養皮膚等のヒト組織 細胞由来製品については 第三者認証ではなく 欧州医薬品庁 (EMEA) による承認が必要

各国の医療機器規制の違い 医薬品医療機器等法に基づいて リスクに応じた審査 または認証が行われ 必要とされる有効性と安全性を担保する 承認を取得したものは 基本的に保険償還される 国民皆保険制度 基準適合マーク : 流通規制 EU(EC) 指令 の必須安全要求事項 (ESRs:Essential Safety Requirements) に適合自己宣言 ( 約 80%) 第 3 者認証機関 保険償還は各国で規定 法律に基づいて リスクに応じた審査が行われ 有効性と安全性が担保される 承認を取得したものは 基本的に保険償還される 国により保険償還される対象はごくわずか 蓄積されているエビデンスの質 量ともにばらばら

臨床評価報告書とは? 医療機器に関する臨床試験データの必要な範囲等について ( 平成 20 年 8 月 4 日薬食機発第 0804001 号通知 ) 今あるデータを最大限に生かす (1) 医療機器の臨床的な有効性及び安全性が性能試験 動物試験等の非臨床試験成績又は既存の文献等のみによっては評価できない場合 (2) 臨床試験の試験成績に関する資料の要否は 個々の医療機器の特性等により総合的に判断される なお新医療機器に該当するものは 原則として臨床試験成績に関する 資料の提出が必要 臨床試験成績に関する資料の提出が必要な範囲の機器であるが *GHTF SG5 にて提唱されている clinical evaluation とは別の観点

臨床評価報告書により承認された品目数 デバイスラグ解消手段 80 70 60 50 40 30 20 評価報告書 国内臨床試験 海外試験と国内試験 海外臨床試験 各国の規制 保険制度が異なり そのものに対して蓄積されているエビデンスは様々 そのもののエビデンスはなくても 類似機器あるいは類似手技により 有効性や安全性が判断できる場合も 臨床試験で確認できる内容に限界がある場合も 10 0 17 年度 18 年度 19 年度 20 年度 21 年度 22 年度 23 年度 24 年度

臨床研究? 治験? 倫理性と信頼性が担保されたデータ 医学系研究 いわゆる 臨床研究 目的の違い 治験 ( 承認取得が目的 ) 倫理性と信頼性が担保されたデータであることが調査可能なデータ それ以外の目的 ( 学術目的 ) 臨床研究に関する倫理指針 一般的に診療行為の延長として実施される行為と理解されており 診療に関する患者と医師の信頼関係の上に 更に他事目的 ( 研究性 ) に関する倫理的な配慮を求める運用を大臣告示で規定 薬事法の承認取得目的 医療機器 GCP ( 医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令 ) 一般的に企業による利益目的 ( 製品開発目的 ) の臨床試験となるため 特別に被験者保護として法令により実施手順 体制等を規定 (GCP: 通知 省令化 ) 臨床研究 基礎研究と対局をなすもので 臨床で行われるすべての研究 ( 症例報告や調査も含む ) を包括する概念 治験 臨床研究のうち 薬事承認を得る目的で行われる試験

人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/minutes/wg/2008/1112_02/item_081112_03.pdf

文献評価の問題点 様々なバイアスが厳密には排除されていない あるいはバイアスの存在が不明確 選択バイアス 手技バイアス 評価バイアス 非盲検の際の主観的要素 出版バイアス 判断基準が一定ではない 例 : 出血 心筋梗塞等の定義 検査値の評価にも左右される ( 詳細な記載はない ) プロトコールが途中で変更されても 文献にはそこまでの記載はない 手技が標準化されていない 併用療法 併用薬剤がそろえられていない あるいはわからない データの信頼性担保が行われているかどうか 不明 医学薬学上公知といえる バイアスの入りにくい あるいはバイアスが大きくても Unmet needs など 臨床上の有用性が非常に高く リスクの許容範囲が大きい場合など 限定された場合においてのみ 文献での評価の受け入れは可能

医療機器開発促進のために 臨床評価が必要な医療機器は 治験にて評価しよう 臨床試験に慣れた施設 人材育成 資金調達? 検証項目を絞り込む工夫 適切なモニタリングとは フィージビリティ試験でも評価可能な場合

何かありましたら いつでもご質問を 方 眞美 ho-mami@pmda.go.jp http://www.pmda.go.jp/