2014 年 10 月 29 日国際シンポジウム 転換期におけるエイジング : オランダの経験に学ぶ : 地域包括ケアシステム構築に向けた 日蘭のチャレンジ :Buurtzorg から学ぶこと 労働政策研究 研修機構研究員 /Buurtzorg Innovator 堀田聰子

Similar documents
ビュートゾルフとは 新しい組織モデル ケア提供モデル 2007 年に 1 チーム 4 人のナースでスタート 家庭医と協働してコミュニティケアを提供 オランダではプライマリ ケアの専門医である家庭医が 最初に出会い 最期まで関わる医師 としてゲートオープナー役を担い 患者の代理人になりながら それぞれ

区分

スライド 1

<4D F736F F D20CADFCCDEBAD D9595B68E9A816A8AEC91BD95FB8E735F5F91E682558AFA89EE8CEC95DB8CAF8E968BC68C7689E >

介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

【最終版】医療経営学会議配付資料 pptx

周南市版地域ケア会議 運用マニュアル 1 地域ケア会議の定義 地域ケア会議は 地域包括支援センターまたは市町村が主催し 設置 運営する 行政職員をはじめ 地域の関係者から構成される会議体 と定義されています 地域ケア会議の構成員は 会議の目的に応じ 行政職員 センター職員 介護支援専門員 介護サービ

計画の今後の方向性


2. 経口移行 ( 経口維持 ) 加算 経口移行 ( 経口維持 ) 計画に相当する内容を各サービスにおけるサービス計画の中に記載する場合は その記載をもって経口移行 ( 経口維持 ) 計画の作成に代えることができる 従来どおり経口移行 ( 経口維持 ) 計画を別に作成してよい 口腔機能向上加算 口腔

ケアプランの適正化に向けた今後の対応方針 ケアプランの適正化を進めるにあたり 現状の取組を強化していくことも含め 短期的 中期的な視点で以下の対応を検討する ケアプラン点検の強化 集合住宅の入居者に焦点を当てたケアプラン点検 国民健康保険団体連合会の介護給付適正化システムの活用の推進 運営基準の再徹

02 H30 å°‡éŒ•â–€ï¼„â–¡ã…»æł´æŒ°â–€ï¼„â–¡ï¼‹ç‘¾ä»»ï¼›ã‡«ã…ªã‡�ㅥㅩㅀ.xlsx

, 地域包括支援センターの組織と人材 2. 1 福祉専門職の歴史と特性

スライド 1

認知症医療従事者等向け研修事業要領

01 R1 å®�剎ç€fl修$僓ç€flä¿®ï¼„æł´æŒ°ç€fl修+å®�剎未組é¨fi蕖咂ㆂ;.xlsx

このような現状を踏まえると これからの介護予防は 機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく 生活環境の調整や 地域の中に生きがい 役割を持って生活できるような居場所と出番づくりなど 高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた バランスのとれたアプローチが重要である このような効果的

<4D F736F F F696E74202D A B837D836C CA48F435F >

<4D F736F F F696E74202D C E9197BF A90EA96E58AC58CEC8E E88AC58CEC8E F0977B90AC82B782E98AF991B682CC89DB92F682C682CC8AD68C5782C982C282A282C42E >

Microsoft Word - M 平成30年度診療報酬改定の基本方針

地域包括ケアにおけるチーム医療

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

Microsoft Word - 4㕕H30 �践蕖㕕管璃蕖㕕㇫ㅪ�ㅥㅩㅀ.docx

下の図は 平成 25 年 8 月 28 日の社会保障審議会介護保険部会資料であるが 平成 27 年度以降 在宅医療連携拠点事業は 介護保険法の中での恒久的な制度として位置づけられる計画である 在宅医療 介護の連携推進についてのイメージでは 介護の中心的機関である地域包括支援センターと医療サイドから医

Microsoft PowerPoint - 【4 山本先生】地域包括ケア時代のMC協議会のあり方

PowerPoint プレゼンテーション


藤沢型地域包括ケアシステムの推進について 平成 30 年 2 月藤沢市議会定例会厚生環境常任委員会資料 1 ⅠⅠ 中長期を見据えた検討体制の見直し 1 これまでの経過等について現在, 国では 地域共生社会 の実現に向け, 様々な改革が進められており, 平成 30 年 4 月に施行される社会福祉法の一

居宅介護支援事業者向け説明会

平成 30 年度診療報酬改定に向けた検討について H29/1/16WG 厚労省提出資料 平成 30 年度診療報酬改定に向けた検討の方向性 平成 30 年度診療報酬改定に向けて 以下の遠隔医療形態モデルも参考に 委員からご指摘のあった初診に関する取扱いも含め 対面診療に比べて患者に対する医療サービスの

Microsoft Word - 単純集計_センター長.docx

地域総合支援協議会

介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ

4 月 17 日 4 医療制度 2( 医療計画 ) GIO: 医療計画 地域連携 へき地医療について理解する SBO: 1. 医療計画について説明できる 2. 医療圏と基準病床数について説明できる 3. 在宅医療と地域連携について説明できる 4. 救急医療体制について説明できる 5. へき地医療につ

ケア困難患者や家族への直接ケア 医療スタッフへのコンサルテーション 退院や倫理的問題を調整する調整 ケアの質を改善 向上させるための教育と研究を実践し CNS が関わることで患者の病状や日常生活機能と社会的機能が改善して 患者と家族の QOL が高まり 再入院が減少することが明らかとなってきておりま

板橋区版 AIP の構築に向けた取組に関する検討報告書 < 概要版 > 平成 28 年 2 月 板橋区

Ⅰ 通所リハビリテーション業務基準 通所リハビリテーションのリハビリ部門に関わる介護報酬 1. 基本報酬 ( 通所リハビリテーション費 ) 別紙コード表参照 個別リハビリテーションに関して平成 27 年度の介護報酬改定において 個別リハビリテーション実施加算が本体報酬に包括化された趣旨を踏まえ 利用

001

Ⅱ 各論第 2 章 各 論 第 2 章 介護と医療 関係機関の連携 第 1 節 介護と医療 関係機関の連携 1 連携のための関係機関のネットワークづくり 現状 課題 平成 19 年度に内閣府が公表した 高齢者の健康に関する意識調査 によると 多くの高齢者が要介護状態になっても 可能な限り住み慣れた地

高齢者を取り巻く状況 将来人口 本市の総人口は 今後も減少傾向で推移し 平成32年 2020年 には41,191人程度にまで減少し 高齢 者人口については 平成31年 2019年 をピークに減少に転じ 平成32年 2020年 には15,554人程度 になるものと見込まれます 人 第6期 第7期 第8

資料4-4 新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について 審議のまとめ(参考資料)

体制強化加算の施設基準にて 社会福祉士については 退院調整に関する 3 年以上の経験を有する者 であること とあるが この経験は 一般病棟等での退院調整の経験でもよいのか ( 疑義解釈その 1 問 49: 平成 26 年 3 月 31 日 ) ( 答 ) よい 体制強化加算の施設基準にて 当該病棟に

< E81408A438A4F8FEE90A895F18D CFA984A8FC8208D918DDB89DB C96DA8E9F817C907D955C96DA8E9F817C967B95B62E696E6464>

地域包括ケアシステムの構築に向けた取組み 平成 30 年 3 月 30 日 ( 金 ) 厚生労働省老健局振興課

Microsoft PowerPoint - 7_筒井 ガバナンス

【1117修正原稿】説明会資料

市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

65歳~74歳 介護認定率(平成22年度)

平成 31 年度 地域ケア会議開催計画 魚津市地域包括支援センター 平成 31 年 4 月

~この方法で政策形成能力のレベルアップが図れます~

まちの新しい介護保険について 1. 制度のしくみについて 東温市 ( 保険者 ) 制度を運営し 介護サービスを整備します 要介護認定を行います 保険料を徴収し 保険証を交付します 東温市地域包括支援センター ( 東温市社会福祉協議会内 ) ~ 高齢者への総合的な支援 ( 包括的支援事業 )~ 介護予

(目的)

リハビリテーションを受けること 以下 リハビリ 理想 病院でも自宅でも 自分が納得できる 期間や時間のリハビリを受けたい 現実: 現実: リ ビリが受けられる期間や時間は制度で リハビリが受けられる期間や時間は制度で 決 決められています いつ どこで どのように いつ どこで どのように リハビリ

平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

000-はじめに.indd

歯科中間報告(案)概要

福岡県のCTやMRIと医療費の関係に関する研究

実務研修(研修記録シート)【茨城県社協版】

資料1 第1回会議のポイントについて

千葉県 地域包括ケアシステム構築に向けた取組事例 1 市区町村名 銚子市 2 人口 ( 1) 68,930 人平成 25 年 4 月 1 日現在 ( ) 3 高齢化率 ( 1) 65 歳以上人口 20,936 人 ( 高齢化率 30.37%) ( ) (65 歳以上 75 歳以上それぞれについて記載


デンマークの ICT 国家戦略 ( デンマーク電子政府戦略 ) デンマークの ICT 国家戦略の中心は 電子政府戦略である 1990 年代半ばから 行政間 行政内のデジタル化を推進し 2000 年代からデジタル化による抜本的な 行政の効率化 を目指してきた デンマーク電子政府戦略

③【JILPT堀田聡子様】地域に飛び出せ!-支えあい育みあう地域づくり

スキル領域 職種 : ソフトウェアデベロップメント スキル領域と SWD 経済産業省, 独立行政法人情報処理推進機構

Microsoft Word - Q&A(訪問リハ).doc

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

Microsoft PowerPoint - 矢庭第3日(第6章ケアマネジメントのプロセス)

3 歯科医療 ( 救護 ) 対策 管内の歯科医療機関の所在地等のリスト整理 緊急連絡網整備 管内の災害拠点病院 救護病院等の緊急時連絡先の確認 歯科関連医薬品の整備 ( 含そう剤等 ) 自治会 住民への情報伝達方法の確認 病院及び歯科診療所での災害準備の周知広報 - 2 -

高齢化率が上昇する中 認定看護師は患者への直接的な看護だけでなく看護職への指導 看護体制づくりなどのさまざまな場面におけるキーパーソンとして 今後もさらなる活躍が期待されます 高齢者の生活を支える主な分野と所属状況は 以下の通りです 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 脳卒中発症直後から 患者の

7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな

( 別紙 ) 地域ケア会議 に関する Q&A 問 1 今般 地域ケア会議 を通知に位置づけた背景は何か 団塊の世代が 75 歳以上となる 2025 年へ向けて 高齢者が尊厳を保ちながら 住み慣れた地域で自立した生活をおくることができるよう 国は 医療 介護 予防 住まい及び生活支援サービスが 日常生

小児_各論1の2_x1a形式

jitsumu_nikai_kiroku_300912

所掌業務①:研究関係

16_27

特定健康診査等実施計画

スライド 1

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション

2017介護保険制度改正.pptx

2 基本理念と基本目標 本市のまちづくりの指針である 第 2 次柳井市総合計画 は 平成 29 年 3 月に策定 されました この総合計画では すべての市民が健康で安心して暮らせる 人にやさ しいまちづくり を健康 福祉分野の基本目標に掲げ その実現を目指しています これは 高齢者も含めた全ての市民

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

加算 栄養改善加算 ( 月 2 回を限度 ) 栄養スクリーニング加算 口腔機能向上加算 ( 月 2 回を限度 ) 5 円 重度療養管理加算 要介護 であって 別に厚生労働大が定める状態である者に対して 医学的管理のもと 通所リハビリテーションを行った場合 100 円 中重度者ケア体制加算

untitled

認知症サポーター養成講座

™ƒ‰ž…j…–†[…X No.49 1.pdf

<4D F736F F D2088E397C3835C815B B838F815B834A815B8BC696B18E77906A>

ファーストケアチーム 事業実施マニュアル 阿南市保健福祉部福祉事務所 介護 ながいき課 平成 28 年 6 月作成

01_協議体及びコーディネーター【9人Ver.】-2.xdw

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

7 時間以上 8 時間未満 922 単位 / 回 介護予防通所リハビリテーション 変更前 変更後 要支援 Ⅰ 1812 単位 / 月 1712 単位 / 月 要支援 Ⅱ 3715 単位 / 月 3615 単位 / 月 リハビリテーションマネジメント加算 (Ⅰ) の見直し リハビリテーションマネジメン

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (2) 年金 平成 16 年年金制度改革において 少子化 高齢化の進展や平均寿命の伸び等に応じて給付水準を調整する マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びはの伸びとほぼ同程度に収まる ( ) マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びは 1.6

Microsoft Word - 体裁修正 【登録後修正版】説明資料(案)

2 経口移行加算の充実 経口移行加算については 経管栄養により食事を摂取している入所者の摂食 嚥 下機能を踏まえた経口移行支援を充実させる 経口移行加算 (1 日につき ) 28 単位 (1 日につき ) 28 単位 算定要件等 ( 変更点のみ ) 経口移行計画に従い 医師の指示を受けた管理栄養士又

総合診療

訪問リハビリテーションに関する調査の概要

2014 年度事業計画書 2014 年 3 月 25 日 一般社団法人日本テレワーク協会 1

2 居宅サービス事業所の状況

知創の杜 2016 vol.10

Transcription:

2014 年 10 月 29 日国際シンポジウム 転換期におけるエイジング : オランダの経験に学ぶ : 地域包括ケアシステム構築に向けた 日蘭のチャレンジ :Buurtzorg から学ぶこと 労働政策研究 研修機構研究員 /Buurtzorg Innovator 堀田聰子 (hotta@jil.go.jp) 1

構成 地域包括ケアをめぐる世界的な潮流 転換期にあるオランダのケア サポートをめぐる制度 オランダにおけるケア提供体制の変遷 慢性疾患ケアモデルとケアの担い手 Buurtzorg からのさまざまな示唆 おわりに 2

ケアをとりまくいくつかの変化 人口構成の変化 ( 高齢化 少子化 ) 疾患構造の変化 ( 複数疾病 継続発症 : ケアサイクル ) 健康概念の変化 支援観の変化 ( 医療モデルから社会モデルへ ICF) サービスの断片化 連続性の欠如 無駄な費用の肥大化 生活の質 ( 個人 家族 地域の物語 ) 3

地域包括ケア :2 つのコンセプト 地域を基盤とするケア (community-based care) 公衆衛生アプローチに立脚し 地域の健康上のニーズ 健康に関する信念や社会的価値観にあわせ 地域社会による参画を保証しながら 構築されるケア Plochg and Klazinga(2002) 統合ケア (integrated care) 診断 治療 ケア リハビリテーション 健康増進に関連するサービスの 投入 分配 管理と組織をまとめる概念 Gröne and Garcia-Barbero(2001) 地域における最適を地域が自ら選ぶことが重要 諸外国における統合ケアをめぐる動向及び我が国への示唆については筒井孝子 (2014) 地域包括ケアシステム構築のためのマネジメント戦略 integrated care の理論とその応用 中央法規出版等を参照のこと 4

日本の地域包括ケアシステムの構成要素 オランダの医療 介護 生活支援 予防をめぐる 制度枠組み ( 現行 ) 健康保険法 (ZVW) 治療可能な疾患に関する短期の医療 (cure) 特別医療費補償法 (AWBZ) 1 年以上の長期療養 介護 (care) 社会支援法 (Wmo) 社会参画 生活支援 (social support) 強制加入の医療保険 < 医療保険の 3 層構造 > 第 1 層 :AWBZ 第 2 層 :ZVW 第 3 層 :VHI( 補完的保険 任意 ) 公衆衛生法 (Wpg) 予防 保健 (public health) 地方自治体が主体公費 + 自己負担 5

オランダの AWBZ 改革の方向性 6

オランダにおけるケア提供体制の変遷 伝統的に : 宗教的基盤を背景とする救貧 ケア近代以降 : 互助的基金による疾病 失業等の健康 社会上のリスクのカバー 実際のケアの担い手は宗教 宗派別民間非営利組織 19 世紀末 ~1940 年頃 : 現代福祉国家の萌芽 第二次大戦後 ~1970 年代 : 福祉国家の拡大 分権性 ( 補完性原理 ) 受動性 1960 年代 : 短期医療保障 長期ケア保障枠組みの整備 脱病院化 ( ナーシングホーム急増 ) 1970 年代後半 ~: 脱施設化 プライマリ ケアとセカンダリ ケアの機能分業 地域医療 予防重視 プライマリ ケア一体性向上 強化水平統合 社会政策上の要請 ( 自己責任 互助促進 ) + 当事者による 自立 選択の自由 の要求に基づく流れ 代替 : ナーシングホーム ケアホーム 高齢者住宅や地域へのサービス提供 治療 予防 二次医療専門医 家庭医 医師 看護師 介護士 専門職 インフォーマルケア 保険市場 一般市場 個別仕立てのケア プライマリ ケアの中核領域 : 家庭医 地域看護 ホームケア ソーシャルワーク (1983 7 年プライマリ ケア白書 )

80 年代後半 : 垂直統合中間ケア-オランダ版 Chain of care (Ketenzorg) の萌芽 住まい機能が向上した独立住宅と多様で柔軟なケア サポートの組み合わせ 90 年代後半 ~: 脳卒中や糖尿病のケア提供者の地域ネットワークにおける疾患管理プログラムの実践 評価 ケア基準の整備 2000 年代 : 政府による慢性疾患の疾患管理プログラム推進 成果に基づく包括払いへ ( ケアグループ ) 統合ケアの新たなテーマとしての認知症 8

多職種協働プライマリ ケア重視のオランダのケア提供体制三次医療 出所 : 堀田聰子 オランダの地域包括ケア 労働政策研究報告書 No.167 http://www.jil.go.jp/institute/reports/2014/0167.htm 二次医療 一次医療 ( プライマリ ケア ) 家庭医 看護師医師補助者 栄養士薬剤師 歯科 住民 ( 患者 ) 助産師 通所ケア リハビリ職 在宅ケア ( 地域看護師 介護士 ) ファーストライン 地域福祉 ( コミュニティセンター Wmo 窓口 ) 保健 予防 ( 保健センター ) ゼロライン 9

Wagner らの慢性疾患ケアモデル (CCM) コミュニティ 医療システム 資源と政策 養生 ヘルスケア組織 ( 地域包括ケア研究会 2013) セルフマネジメント 供給システム 意思決定 臨床情報 ( 自己管理 ) 支援 デザイン 支援 システム 情報 スキルを得て活性化された患者 自らの生活を自ら支える 自助 の主体 生産的相互関係 先を見越して準備ができた多職種チーム 本人 家族の選択と心構え ( 地域包括ケア研究会 2012) 機能 臨床的アウトカムの向上 出所 :Wagner et al.(1999 2001) 10

慢性疾患ケアのためのコアコンピタンス 1. 患者中心ケア 2. 協働 効果的なコミュニケーション健康行動変容のサポートセルフマネジメント支援プロアクティブアプローチ 患者と他の提供者とコミュニティと 3. 質向上 プロセス 成果の測定学習 変化エビデンスを実践に反映 4. ICT 患者の登録パートナーとのコミュニケーションコンピュータ技術の活用 5. 公衆衛生視点 Population-based care 予防重視とケアの連続を横断する働きプライマリケア主導のシステム 出所 :WHO(2005) Nolte and McKee(2008) 11

Buurtzorg の玉ねぎモデル 4. フォーマルネットワーク 3. Buurtzorg チーム 2. インフォーマルネットワーク 利用者 1. セルフマネジメント ( 自己管理 ) 1 2 3 4 内から外へエンパワメント 適応ネットワークづくり サポート

イノベーション BuurtKliniekへ 歩行器レース お散歩クラブ ラジオ番組

アカウンタビリティとナレッジマネジメント コミュニティ 業務管理 Buurtzorgweb オマハシステムに基づく ケアの見える化 チームの生産性 チームコンパス

プライマリ ケアの統合的機能 に基づく統合ケアの概念枠組み システム統合 組織統合 専門職統合 臨床統合 機能統合 規範的統合 地域住民を基盤とするケア 人間中心のケア 地域住民を基盤とするケア マクロレベルメゾレベルミクロレベルメゾレベルマクロレベル 15

日本版ビュートゾルフモデルの実証開発に向けて 一般財団法人オレンジクロス ソーシャル コミュニティ ナーシング研究会 ~ 地域看護機能の発展 ~ 家庭医療研究会 ~ 地域のかかりつけ医と在宅医療機能の発展 ~ 統合ケアマネジメントに向けた事例検討会 ( 下記 2 団体との共催 ) ~ 統合的なケアの提供に向けたアセスメント マネジメントの検討 ~ 国立社会保障 人口問題研究所 地域包括ケアイノベーションフォーラム 地域包括ケアステーション実証開発プロジェクト ~ 新たな多職種協働 地域包括ケアステーションの実証的研究 ~ 全国各地の多様な主体による実証的ステーション 実証開発のための地域包括ケアステーションーオレンジクロス直営 ST ー 医療機関ー家庭医機能を目指す在宅療養支援診療所ー 地域の各種サービス 密な連携 訪問リハビリ 訪問看護 訪問介護 定期巡回 複合型 など 16

移行期のムーブメント! 地域包括ケアイノベーションフォーラム 17